電気自動車用非接触給電の技術動向 - 金子研究室

平成 23年電気学会産業応用部門大会
2-S11-6
電気自動車用非接触給電の技術動向
正
員
阿部
茂
正
員
金子
裕良(埼玉大学)
Technology Trends of Contactless Power Transfer Systems for Electric Vehicle
Shigeru Abe, Member,
Yasuyoshi Kaneko, Member, (Saitama University)
The Contactless power transfer systems are expected as ideal battery chargers for electric vehicles. The technical progress in
inductive coupling types are steady and remarkable. The short history of this technology, the principle and theory, technical issues
and their solutions, and the specification of typical systems are presented.
キーワード:非接触給電,電気自動車,電磁誘導,充電器,
Keywords:contactless power transfer system, inductive power transfer, electric vehicle, electromagnetic induction, battery charger
1. はじめに
Inverter
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(P
HV)の販売が始まると共に,EV用(PHV用を含む)
非接触給電装置の発表が盛んになってきた。2010 年 10 月に
Load
は昭和飛行機が早稲田大学電動バス用 30kW 装置を,パイオ
Load
(a) Moving pick-up type.
ニアがEV用 3kW 装置を発表した。11 月には中国深圳で開
催された EVS25(世界電気自動車シンポジウム)で,ニュ
ージーランドの Auckland 大がEV用 2kW 装置を,埼玉大の
Motor
グループがEV用 1.5kW 装置を発表した。ドイツでは環境
原子力安全省が Wampfler 社と Daimler 社と共にEV用ワイ
Inverter
Battery
Charger
Battery
ヤレス充電の研究を始めると Wampfler 社が発表した。これ
らはみな電磁誘導方式である。ここではEV用電磁誘導方
Inverter
式非接触給電の歩み,原理と理論,課題と解決策,最新の
EV用非接触給電装置について紹介する。
(b) Stationary pick-up type for electric vehicle.
Fig.1. Contactless power tranfer systems.
2. 電磁誘導方式非接触給電の歩み
〈2・1〉
非接触給電の歩みと利点
非接触給電のアイ
性がある。これらはすべて電磁誘導方式の非接触給電で,
ディアは古くからあったと言われているが,本格的な研究
工場内搬送車用は移動型(Fig.1(a))であり,EV用や家電
開発はインバータが一般に利用できるようになった 1980 年
用は固定型(Fig.1(b))である(3)。
代半ばから始まった。1985 年に Lashkari は道路に埋設した
非接触給電の利点は,接点が無いため摩耗粉や火花が発
給電線から 3 インチのギャップ長でバスに給電するシステ
生せず,埃や水分の多い悪い環境や水中でも給電が可能で
ム(1)を発表した。1993 年と 1994 年に Auckland 大の Boys ら
あり,保守が容易なことである。従って,摩耗粉をきらう
が現在の移動型の基本となるシステム(2)を発表すると,1990
半導体・液晶工場のクリーンルーム内の搬送車への給電,
年代半ばにダイフクと Wampfler 社が Auckland 大の技術をベ
水に濡れやすい電動歯ブラシや,埃で接点不良が発生しや
ースに半導体・液晶パネル工場や自動車工場向けの搬送シ
すい FAX 電話子機への充電に最適であった。
ステムを製品化し大きな成功を収めた。家電用では 1990 年
〈2・2〉
電気自動車用非接触給電の利点と歩み
電気
代初めに松下電工(現パナソニック電工)が電動歯ブラシ
自動車用非接触給電(Fig.1(b))の利点はどこにあるだろう
やシェーバ用の充電器を製品化した。現在は FAX 電話子機
か(4)
の多くが採用し,将来は携帯電話も非接触充電になる可能
(5)
。第一の利点は電気ケーブルとコネクタによる給電
(以下「接触給電」と呼ぶ)に比べ,利便性と安全性で優る
[II - 205]
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2-S11-6
IIN
点である。給電のたびにコネクタを接続し,また外さねば
ならない煩雑さ,雨天の日やケーブルの汚れ,また急速充
I2
CS
V2
VIN
電コネクタの重さなどを考えると,非接触給電にしたいと
IL
CP
誰もが望むであろう。第二の利点は非接触給電になれば,
駐停車時の充電が容易になるため,充電回数を増やし蓄電
Fig.2.
池容量を削減できる点である。東大の堀洋一教授はこれを
「ちょこちょこ充電」と呼んでいる。高価な蓄電池の容量を
RL
System configuration.
I
削減できれば,電気自動車の価格が下がり,普及が早まる
と考えられる。宅配や郵便配達の車は一日の走行距離が
40km 以下と短いため,電気自動車の「ちょこちょこ充電」
に適していると思われる。
実用化をめざすEV用非接触給電の歩みを見てみよう。
1990 年代初めにアメリカの GM 社が,人がパドル型の送電
Fig.3.
部を車の受電部へ差し込む Magne Charge を開発した。電気
Detailed equivalent circuit.
接点のないコネクタ方式であったが普及しなかった。非接
触給電でも接続操作が必要では接触給電と同じで利点が少
ない。
次に Wampfler 社が電気バス用の非接触給電装置を製品化
し,欧州,日本,米国で試行的に採用された。この装置は,
円形のフェライトコアの片面にパンケーキコイルを配した
送電部(一次トランス)と,同じ構造の受電部(二次トラ
ンス)とから成る。これを円形コア片側巻トランス構造と
呼ぶことにする。最初に紹介した昭和飛行機,パイオニア
の装置もこれと同じ構造である。しかしこの方式はギャッ
プ長や位置ずれの許容範囲を大きくすると,トランス寸法
が大きくなる欠点がある。バス用は多少寸法が大きくても
設置場所に困らないが,乗用車用は小型でないと取り付け
られない。
埼玉大のグループは 2009 年と 2010 年に小型化と位置ず
れの問題を解決する角形コア両側巻トランス構造(6) (7) (8)を,
2011 年にH型コア両側巻トランス構造(9)を発表した。2010
年の EVS25 では,円形コア片側巻トランス構造(10) (11)を採用
してきた Auckland 大も Flux Pipe と呼ぶ両側巻トランス構造
(12) (13)
を発表した。今後は Flux Pipe 方式にすると述べてい
る。乗用車用非接触給電の開発競争は活気を帯びてきた。
3.
非接触給電のシステム構成
Fig.4.
(b) Ideal transformer.
Simplified equivalent circuit and ideal transformer.
れる。二次出力は通常直流に変換して利用するが Fig.2 では
負荷電力に相当する等価抵抗 RL で表している。Fig.2 は一次
側に直列コンデンサ CS を二次側に並列共振コンデンサ CP
を配置する方式(S/P 方式と記す)である。CP はトランスの
二次自己インダクタンス L2 との共振周波数が電源周波数 f0
となる値に,CS は電源の出力力率が 1 になる値に選ぶ。コ
ンデンサ配置は様々な方式が提案されているが,電気自動
車用では上記(S/P 方式)と一次側を並列コンデンサ CP に
する方式(P/P 方式)が多い。
〈3・2〉
一次直列二次並列コンデンサ方式
一次直列
二次並列コンデンサ方式(S/P 方式)には興味深い特性があ
る(3)
(14)
。この特性を利用すると非接触給電の特性解析が容
易になる。Fig.2 の給電トランス部を T 形等価回路で表し,
直列及び並列共振コンデンサ CS, Cp と抵抗負荷 RL を加えた
詳細等価回路を Fig.3 に示す。給電トランスの巻数比を a=
電磁誘導方式の原理と理論
〈3・1〉
(a) Simplified equivalent circuit.
電磁誘導方式の
非接触給電の基本はギャップ長の大きいトランスである。
漏れリアクタンスが大きく,結合係数が 0.1~0.5 と小さい
ため,電源周波数を 10kHz 以上にとり二次誘起電圧を上げ,
漏れリアクタンスの補償のため共振コンデンサを用いる。
結合係数が低い場合は二次側に並列共振コンデンサを置く
方式が多く用いられる。周波数が高いためコアにはフェラ
イトを用い,表皮効果による巻線抵抗の増大を防ぐためリ
ッツ線(絶縁被覆された細線を束ねた線)を用いる。主な
N1/N2 とし,一次側諸量は二次側に換算し'(ダッシュ)をつ
けて表す。実際の給電トランスでは,フェライトコアとリ
ッツ線を用いると鉄損を表す r0'と巻線抵抗 r1', r2 は,電源
周波数 f0(=ω0/2π)においてトランスのリアクタンス x0', x1',
x2 に比べ十分小さい。従って r0'と r1', r2 を省略した簡略等価
回路(Fig.4(a))で解析を進める。
まず二次側並列コンデンサ Cp の値を,電源周波数 f0 にお
いて励磁リアクタンス x'0 と漏れリアクタンス x2 との和(二
次巻線の自己リアクタンス ω0 L2)に共振するように決める。
1
損失はリッツ線で発生する銅損とフェライトで発生する鉄
0C P
損であるので,これらを小さくすれば給電効率が上がる。
固定型非接触給電のシステム構成例を Fig.2 に示す。電源
の周波数 f0 は 10kHz~100kHz の範囲で最適な周波数が選ば
 0 L2  xp  x0  x2
..................................(1)
次に一次側直列コンデンサの値を(2)式の値に決める。
[II - 206]
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DC Cable
x x
1
 xs  0 2  x1 .....................................(2)
x0  x 2
 0 CS
〈3・3〉
理想変圧器特性とトランス効率
AC3φ
PFC
200V
rectifier
(a) Conductive rapid charger.
ここで,V'IN
AC Cable
と V2,I'IN と IL の関係を求めると次式となる。
VIN  b V2 ,
  IL
I IN
x 0
b, b 
x 0  x 2
Rectifier
Inverter
PFC
AC1φ
…......(3)
rectifier
Inverter
100V/200V
Rectifier
DC-DC converter
(b) Conductive slow charger.
(3)式は共振周波数(=電源周波数)において,図4(a)の
Contactless
コンデンサを含むトランスの等価回路が,Fig.4(b)に示す巻
PFC
数比 b の理想変圧器と等価であることを示している。なお
AC1φ
b の値は結合係数 k とほぼ同じ値となる。
100V/200V
理想変圧器特性から一次直列二次並列コンデンサ方式に
は次の利点があることが分かる。
rectifier
Inverter
Rectifier
(c) Contactless power transfer charger.
Fig.5.
EV battery chargers.
(1)抵抗負荷であればインバータの出力力率が 1 となり,
ソフトスイッチングが可能となる。これはインバータの小
量,高効率,安価にでき,漏洩磁束も少なくなる。設置工
型化と高効率化に有利である。
事を簡単にするため,駐車場の地表に一次トランスを置く
(2)コンデンサは負荷(給電電力)に依らず一定値でよい。
方式にすればギャップ長は 50mm~100mm で良い。
駐車を楽にするには位置ずれに強いことが必要である。
(3)電源を定電圧/定電流制御すれば負荷が変化しても,負
タイヤ止め等を用いれば,前後方向の位置ずれは±50mm 以
荷も定電圧/定電流になる。
Fig.3 よりトランス効率 η は(4)式で表される。

R L I L2
2
R L I L  r1I 1 2

r2 I 22

RL
  R
r
R L  12  r2 1   L
b
  x P
下にできる。しかし左右方向の位置ずれは±150mm を許容



2
...(4)



する必要がある。大学駐車場の調査では 95%の車の左右方
向の位置ずれは±150mm 以下であった。
乗用車用では小型化と軽量化は特に重要である。車の底
面に車載トランスを付ける場合,平面寸法は 400mm×
効率 η が最大になるときの抵抗負荷の値 RLmax とその時の最
400mm 以下,厚みも 40mm 以下にする必要があるだろう。
Fig.5 で接触給電と非接触給電の給電効率を比べてみよう。
大効率 ηmax は(5)式となる。
RL max  xp
1 r1
1
b 2 r2
 max 
1
2r
1 2
xp
1 r1
1
b 2 r2
どちらも車載の蓄電池に充電するためには,充電(電圧電
....(5)
流制御)機能と,商用電源と車両間の電気的絶縁機能が必
要となる。EV用急速充電器 Fig.5(a)では地上側に高周波イ
ンバータと高周波絶縁トランスと整流器を置き,電気ケー
なお,上記の解析では r0 による鉄損(フェライトの損失)
ブルには直流を流す方式(例えばチャデモ方式)が主流で
を無視している。
ある。普通充電器 Fig.5(b)では車載の充電器に DC-DC コン
(5)式を用いれば,定格出力,定格電圧時に効率が最大と
バータを用い充電機能と絶縁機能を持たせ,電気ケーブル
なるトランスを容易に設計できる。また効率を上げるには
には商用周波数の交流を流す方式が一般的である。これに
巻線抵抗を下げ,結合係数を上げればよいことも分かる。
対し非接触充電器 Fig.5(c)も,Fig.2 に示すように可変電圧イ
ンバータと非接触トランスと整流器から成り,充電機能と
4. 電気自動車用の課題と解決策
絶縁機能がある。
他の固定型非接触給電
接触給電と非接触給電の大きな相違は,絶縁機能を前者
に比べ,電気自動車用では特に,(1)一次二次間のギャッ
はギャップの無い高周波絶縁トランスが,後者は大きなギ
プ長が大きい,
(2)一次二次間に位置ずれが発生する,(3)
ャップ長の非接触給電トランスが受け持つ点にある。従っ
車載(二次)トランスは小型軽量が不可欠,という特徴が
て総合効率の差はトランス効率の差であり,2%~5%と考え
〈4・1〉
電気自動車用の課題
ある。さらに現在の電気ケーブルとコネクタによる接触給
られる。接触給電の急速充電器や普通充電器の総合効率(商
電に代わるものである以上,(4) 給電効率が高く,(5) 安価
用電源出力から蓄電池入力までの効率)は約 90%であるの
でなければならない。(1)~(5)について詳しく述べよう。
ギャップ長は車のどこに二次トランスを付け,駐車場に
大きな差はない。普通充電の場合,非接触給電方式は車載
どのように一次トランスを設置するかによって変わる。車
機器が軽量になる可能性がある。
で,非接触給電の総合効率は 88%~85%と考えられ,両者に
の底面に二次トランスを付け,地中に一次トランスを埋設
非接触給電は量産すればかなり安価になると思われる。
する場合は,最低地上高(約 150mm)以上のギャップ長が
実は非接触給電装置はIH調理器と良く似ている。IHコ
必要となる。ギャップ長を小さくすればトランスを小型軽
[II - 207]
平成 23年電気学会産業応用部門大会
2-S11-6
z: Vertical direction
x: Forward direction
Aluminum sheet
y: Lateral direction
with
aluminum sheet
Gap
k
without
aluminum sheet
Cross section in the xz plane
a
b
a
a b
2a
b a
b/Gap
Fig. 7.
2a + b
Change of coupling factor k with (b/Gap).
Secondary winding
Position(A)
4a + 2b
Position (B)
(a) Double-sided winding.
(b) Single-sided winding.
Fig.6. Structures of single and double-sided winding transformers.
ンロには約 30kHz の交流を発生するインバータとコイルが
入っている。このコイルで発生する交流磁界が鉄鍋に渦電
Magnetic flux line
流を発生させ鍋が熱くなり,鉄鍋の代わりに受電コイルを
Primary winding
置くと非接触給電ができる。IHコンロ 2 台で非接触給電
(a)
Single-sided winding transformer.
装置ができるので,普通充電(1.5kW)対応非接触給電装置
Secondary winding
は量産すれば実用的な価格で提供可能になると思われる。
〈4・2〉
片側巻と両側巻トランス
前に述べたように
Position (B)
Position (A)
非接触給電トランスの構造は,Fig.6(b)の円形コア片側巻構
造 (4)(5)(10)(11) と Fig.6(a)の角形コア両側巻構造 (6) ~ (9)(12)(13) に大
別できる。従来,トランス背面に磁束が存在せず結合係数 k
Ferrite core
の高い片側巻が多く用いられてきた。両側巻は背面に磁束
が漏れるため一見不利だが,アルミ板を設置すれば磁束の
Magnetic flux line
Primary winding
z : Vertical direction
遮蔽が可能で,Fig.7 に示すように結合係数 k を高めること
(6)
ができる 。Fig.6 でギャップ長が同じ場合,コア幅は片側
巻では(コイル幅 b+磁極幅 2a)の 2 倍程度必要なのに対
し,両側巻ではその半分で済むため,両側巻のほうが大幅
(b)
Fig.8.
に小型化できる。
また円形コア片側巻構造には,位置ずれ量が直径の約
40%の時に給電電力がゼロになる問題が指摘されている(11)。
5.
y : Lateral direction
x : Forward direction
Double-sided winding transformer.
Single and double-sided winding transformers.
最新の非接触給電装置
〈5・1〉
Flux Pipe 構造トランス
Auckland 大のグルー
Fig.8(a)に示すように片側巻では地上一次コイルが発生する
プは外径 420mm の円形片側巻トランス(Fig.9)の給電電力
磁束は,車載二次コイルを位置(A)では上方向に貫くが,位
が位置ずれによって Fig.10 のように変化し,位置ずれ
置(B)では下方向に貫く。従って位置(A) と位置(B) の間で
160mm でゼロになることを実験と磁界解析で示した(11)。
この問題を解決するため,Fig.11 に示す Flux Pipe 構造(12)
車載コイルを貫く磁束の総和が0となる位置があり,結合
係数 k が0になり給電できなくなる。このため片側巻では位
(13)
置ずれ許容範囲の約 4 倍の直径が必要である。一方,両側
央部コアの両端に2分割したコイルを巻回し(両側巻),中
巻(Fig.8(b))は車載コイルが y 方向に位置(A)から位置(B)
央部コアから磁束が漏れないように,中央部コアとコイル
に変化しても,車載コイルを貫く磁束量の変化は小さく,
を上下2枚のアルミ板(電気的に非接続)で挟む構造とな
結合係数 k の低下が小さいため,位置ずれに強い。
っている。主磁束 Flux は上下2枚のアルミ板で挟まれた
小型軽量化と位置ずれ問題の解決が重要な乗用車用に
は,両側巻トランスが有利である。
を発表した。Flux Pipe 構造は左右の磁極 Tx/Rx を結ぶ中
Pipe の中を通るので Flux Pipe と呼んでいる。Fig.11 のトラ
ンスは一次と二次が同じ構造で,長さは 550mm,面積は
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平成 23年電気学会産業応用部門大会
2-S11-6
300
Fig. 9
Ferrite core
Winding
150
240
40
150
Pad layout(11).
Ferrite core
Fig. 10. PSU against horizontal offset(11).
Fig. 11.
Fig. 12.
Flux Pipe(13).
2200cm2,巻数 15 ターンでギャップ長 200mm での結合係数
Table 1.
H-shaped transformer.
Specification of H-shaped Transformer.
が 0.2 である。位置ずれ 200mm 以内では 2kW の給電が可能
Rated power
1.5kW
である。磁極は Fig.11 左右方向の位置ずれに強くなるよう
Gap length
Tolerance to
x
Misalignment
y
Size
Aluminum sheet
70±30mm
±45mm
±150mm
240×300×40mm
400×600×1mm
Weight of secondary
Litz wire
Primary
Winding
Secondary
3.9kg
0.1mmφ×800
3p×20T
9p×6T
翼を伸ばした形をしている。Flux Pipe は従来の円形トラン
スに比べギャップ長 200mm で結合係数が 20%高く,Fig.11
上下方向の位置ずれに強い(結合係数の低下が小さい)。
〈5・2〉
H型コア両側巻トランス
埼玉大学のグルー
プは,乗用車用ではトランスの小型化と左右方向位置ずれ
許容量の拡大が最重要とし,最初から Fig.6(a)の両側巻構造
VDC IDC
を採用している。効率を上げるには(5)式より,結合係数 k
≒b を高くする必要がある。このため,背面にアルミ板を設
I2
V1
V2 I D
CS
+
置し,k を上げると共に外部への漏れ磁束を遮蔽している。
VIN IIN
VL IL POUT
+
-
CP
-
+
RL
-
最新のH型コア両側巻トランス(Fig. 12)では,Fig.6(a)
η
の角形コア両側巻トランスに比べ,(1)巻線長短縮とフェラ
イト量削減による軽量化,(2)巻線長短縮(巻線抵抗低減)
Fig.13.
Experimental circuit.
による高効率化,(3)磁極長拡大による左右の位置ずれ許容
Table 2.
Experimental results.
量の拡大,(4)より高い電源周波数(30kHz)の採用による高
Type
H-shaped core
f0 [kHz]
30
gap [mm]
70
x [mm]
0
45
0
0 **
y [mm]
0
0
150
0
RL [Ω]
80
VIN [V]
168
143
128
226
V2 [V]
128
129
129
182
VL [V]*
346
346
346
491
POUT [W] 1507 1503 1506 3060
η [%]
94.9 93.7 93.0 94.7
B2 [T]
0.21 0.21 0.22 0.29
CS [μF]
0.189
CP [μF]
1.91
*
VL is the output voltage value of rectifier.
** Values when 3kW feeding power.
効率化を図っている。
ギャップ長 70mm で 1.5kW 普通充電と 3kW 倍速充電が可
能なH型トランスの仕様を Table 1 に,外形を Fig. 12 に示す。
Fig.13 の回路での給電実験結果を Table 2 に示す。第1列は
ギャップ長 70mm で位置ずれのない標準状態,第2列は前
後位置ずれ 45mm,第3列は左右位置ずれ 150mm での 1.5kW
給電,第4列は標準状態での 3kW 給電の結果である。トラ
ンスの効率は標準状態で 95%,最大の位置ずれでも 93%と
高効率であることが分かる。
ギャップ長や位置ずれ量を変えた時の特性を Fig.14 に示
す。Fig.14(a)には標準ギャップを 70mm から 100mm に変え
た場合の実験結果も示している。結合係数は 0.33 から 0.24
ように(4)式と少しずれる。この差はフェライトの鉄損と考
に低下し,給電効率も 95%から 92%に低下するが 1.5kW 給
えられ,Fig.3 の r0 を考慮すると実験値とよく一致する。
電に支障はない。
Table3 は各部の損失の実測値でその他損失が鉄損にあたる。
抵抗負荷 RL の値を変えた時の給電効率の変化は Fig.15 の
銅損(アルミ板の損失を含む)と鉄損の比は約 5:3 である。
[II - 209]
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150
V2
100
η(standard gap100mm) 0.5
k
50
L2
0
40 50 60 70 80 90100110120130
gap [mm]
VIN
η
150
100
1
V2
0.5
50
k
L2
50
100
x [mm]
0
(a) With change in gap length.
150
Voltage [V], L2 [μH]
1
200
250
1.5
POUT
POUT [kW], k, η
η(standard gap70mm)
VIN
250
1.5
Voltage [V], L2 [μH]
200
POUT
POUT [kW], k, η
Voltage [V], L2 [μH]
250
200
POUT
η
VIN
1
150
100
1.5
V2
k
50
0.5
POUT [kW], k, η
2-S11-6
L2
0
50
100
y [mm]
150
(b) With change in positions.
Fig.14.
Experimental results for transformer with H-shaped core.
Efficiency [%]
100
90
文
80
Curve calculated using equation(4)
iron loss
Curve calculated considering
using equation(11)
Experimental value
70
60
0
50
100
150
200
RL [ Ω]
Fig. 15. Efficiency vs. RL.
Table 3.
250
Copper and other losses.
POUT
Total loss [W]
Loss_r1 [W]
Loss_r2 [W]
Copper loss [W]
Other loss [W]
1.5kW
83
13
20
33
50
3kW
175
26
41
67
108
ケース付トランスでの 3kW 給電時の温度上昇試験では,
約 2 時間で熱平衡となり,最も熱い二次側コイルとコアの
温度上昇は約 80℃である。実用上の倍速充電は約 2.4kW と
考えられ,その場合の温度上昇は約 50℃に下がる。
1.5kW 給電時の漏れ磁界の測定結果では,磁束密度は距離
の 2.7 乗に反比例して減少し(距離が2倍になると約 15%に
低下)トランス中心から約 80cm で ICNIRP の参考レベルの
6.25μT以下となっている。本基準は 27μTに緩和されるの
で,車の中心部にトランスを設置すればまず問題はないだ
ろう。
それぞれ独自に研究を進めてきた Auckland 大と埼玉大が
奇しくもよく似たトランス構造になってきたことは極めて
興味深い。
6.
むすび
実用に近い試作装置の発表が増えてきた電磁誘導方式非
接触給電の歩み,原理と理論,課題と解決策,最新のEV
用非接触給電装置について紹介した。最近注目を集めてい
る磁気共鳴方式については参考文献(5)を参照頂きたい。
[II - 210]
献
(1) K. Lashkari, S. E. Schladover, and E. H. Lechner, “Inductive power
transfer to an electric vehicle,” in Proc. 8th Int. Electric Vehicle Symp.
1986, pp.258–267 (1986)
(2) A.W.Green and J.T.Boys:“10kHz inductively coupled power transfer –
concept and control”, IEE Power electronics and variable speed drives
conference, PEVD, No.399, pp.694-699 (1994)
(3) 阿部 茂・金子裕良:「非接触給電技術」,電学誌,Vol.128,No.12,
pp.796-799 (2008)
(4) 紙屋雄史・大聖泰弘・松木英敏:
「電動車両用非接触急速充電システ
ム」,電学誌,Vol.128,No.12, pp.804-807 (2008)
(5) 「自動車技術ハンドブック⑩設計(EV・ハイブリッド)編」,自動
車技術会,pp.322-336 (2011)
(6) 岩田卓也・江原夏樹・金子裕良・阿部 茂・保田富夫・井田和彦:
「電気
自動車用非接触給電装置のトランス巻線方式による特性比較」,電学
半導体電力変換研究会資料,SPC-09-39,pp.109-114 (2009)
(7) Y.Nagatsuka, N.Ehara, Y.Kaneko, S.Abe and T.Yasuda : “Compact
Contactless Power Transfer System for Electric Vehicles”, Proc. of 2010
International Power Electronics Conference (IPEC2010-Sapporo), IEE
Japan, pp.807-813 (2010)
(8) Y.Nagatsuka, S.Noguchi, Y.Kaneko, S.Abe, T.Yasuda, K.Ida, A.Suzuki,
and R.Yamanouchi:“Contactless Power Transfer System for Electric
Vehicle Battery Charger”, Proc. of 25th World Battery, Hybrid and Fuel
Cell Electric Vehicle Symposium and Exhibition (EVS-25), Shenzhen
China, (2010)
(9) 千明将人・長塚裕一・金子裕良・阿部 茂・保田富夫・鈴木明:
「新コア
構造による電気自動車用非接触給電装置トランスの小型軽量化」
,電
学半導体電力変換研究会資料,SPC-11-48,pp.139-144 (2011)
(10) C.-S.Wang, O.H.Stielau, and G.A.Covic:“Design consideration for a
contactless electric vehicle battery charger”, IEEE Trans. Ind. Electronics,
Vol.52, No.5, pp.1308-1314 (2005)
(11) M. Budhia, G.A. Covic and J.T. Boys:“Design and Optimisation of
Magnetic Structures for Lumped Inductive Power Transfer Systems”,
IEEE ECCE, pp.2081-2088 (2009)
(12) G.A.Covic, J.T.Boys, M.Budhia and C.-Y,Huang : “Electric Vehicles
-Personal transportation for the future”, Proc. of 25th World Battery,
Hybrid and Fuel Cell Electric Vehicle Symposium and Exhibition
(EVS-25), Shenzhen China, (2010)
(13) M.Budhia, G.A.Covic, and J.T.Boys:“A New Magnetic Coupler for
Inductive Power Transfer Electric Vehicle Charging Systems”, IEEE
IECON 2010, pp. 2481-2486 (2010)
(14) 藤田敏博・金子裕良・阿部 茂:
「直列および並列共振コンデンサを
用いた非接触給電システム」,電学論 D,Vol.127,No.2, pp.174-180
(2007)