野外ゲーム I N 曽爾 国立曽爾少年自然の家の周辺でできる野外ゲームを紹介しましょう。Ⅰ自然に親しみ、そ の良さを体感できるゲーム Ⅱ人間関係を良くし、集団の高まりにつながるゲーム をそれ ぞれ3つずつ紹介します。どのゲームも、準備物があまり必要でなく、気軽に行ってもらえる ものばかりです。 ゲームを始める前の説明をきちんと行い、終わった後の「ふりかえり」を必ず行ってもらい たいと思います。そのことによって、ゲーム参加者一人ひとりが、感動や発見を体験できると 思います。そして、感動や発見を仲間とわかちあうことができると思います。 子どもたちのすこやかな成長を願っておられる先生や、野外活動に関係されている各団 体の指導者、また野外活動を愛好されている保護者の方々などに、役立てていただければ 幸いです。 野外ゲームでやってはならないこと ・ほかの人を傷つけるような言動 ・危険な場所での活動(ハチやウルシなどにも注意) ・草木をむやみに折ったり、生き物を傷つけること もくじ Ⅰ 自然に親しみ、その良さを体感できるゲーム A ネイチャービンゴ・・・・・・・・・・・・・・・・2ページ B 目かくしトレイル・・・・・・・・・・・・・・・・・3ページ C ハイクで俳句・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4ページ Ⅱ 人間関係を良くし、集団の高まりにつながるゲーム D クモの巣脱出・・・・・・・・・・・・・・・・・・5ページ E ラインナップ(ならびかえ)・・・・・・・・6ページ F カメラマンゲーム(人間カメラ)・・・・・7ページ A ネイチャービンゴ 1 ゲームの内容 自然の中の宝ものをさがして、ビンゴをできるだけ多く完成していくゲームです。 2 準備するもの (1)筆記用具 (2)ビンゴの用紙(グループの数) (ビンゴの用紙は、4×4または5×5。宝ものやその特徴を要領よく書きこんだものを 用意しておく。または、ゲームの前にリーダーが宝ものを発表して、1人ずつ自分の用 紙に自由に書きこんでもらってもよい。そうすれば、何種類ものビンゴの用紙ができる し、用紙の準備だけですませることができます。) 【ビンゴのます目にいれるものの例】 どんぐり、鳥、赤い実、黒い実、白い花、紫色の花、赤い花、黄色い花、きのこ類、こ け、とげのある葉、いい匂いがする葉、自然の音(虫の鳴き声、風の音など)、ふわ ふわしたもの、(セミなどの)ぬけがら、食べあとのあるもの、細長い葉、手のひらより も大きな葉、動物の足あと、鳥の羽、あきかん5つ、すいがら5つ、つるつるした小石 など <見つけにくいものを入れると難易度が上がります> 3 人数・場所・時間 (1)1グループ5∼7人程度(何グループでもよい) (2)ハイキングをしながら(草原や森林、山頂や湿地など変化に富んだ場所があります) (3)1∼3時間程度 4 ゲームのながれ (1)あらかじめ準備しておいたビンゴの用紙を配布 する。(ゲーム前に宝ものを発表して記入してい ってもよい。) (2)ビンゴゲームの説明をする。 ・一列だけでなく、できるだけ多くビンゴを完成さ せる。 ・宝ものは、採集するのではなく、グループのみ んなが確認できればマスに○印をつけていく。 (3)宝ものをさがして、ビンゴを完成していく。 (4)リーダーの所にビンゴの用紙を提出して確認を うける。 (5)ふりかえりをする。(いろいろな発見や感動があったはずです。みんなでわかちあいま しょう。) B 目かくしトレイル (トレイル 小さな道の意味) 1 ゲームの内容 目かくしをすることにより、視覚以外の感覚を精一杯はたらかせて、じっくり自然を感じと るゲームです。林の中を木の間にはられた1本のロープだけをたよりに1人ずつゆっくりと 歩いていきます。 ※ 視覚以外の感覚をはたらかせると、木の肌ざわりや音、匂いなどを感じます。手さぐ りで洞くつの中を探検しているという雰囲気や、神秘的な雰囲気を味わうことができる活動 です。 2 準備するもの (1)ロープ数本(20m以上のもの、つぎたしてもよい) (2)バンダナまたは目かくし用のタオル(人数分) 3 人数・場所・時間 (1)1グループ10∼15人程度(何グループでもよ い) (2)キャンプ場が最適 (3)20∼40分程度 4 ゲームのながれ (1)事前に、安全を確認しながら、ロープでトレイ ルをつくる。 (2)ゲームのルールを説明する。 ・目かくしをしたままで、右手でロープを持 ち、左手で前方の確認をしながら歩く。 ・話をせずに静かに歩く。 (3)全員が目かくしをして、前の人の右肩に右 手、左肩に左手をのせていって列をつくり、リ ーダーの誘導でトレイルの出発点までゆっくり と歩いていってすわる。 (4)リーダーは1人ずつ手を取ってトレイルの入り 口まで誘導し、前の人との間かくを十分にとっ てスタートさせる。 (5)出口まで来たら、手を取って誘導して、安全 なところにすわらせる。 (6)全員がすわり終わったら、目かくしをとる。 (7)全員スタート地点にもどり、いっしょにもう一度 歩く。 (8)目かくしをして歩いた時に感じたことを話し合 う。 C ハイクで俳句 1 ゲームの内容 いくつかポイントを選び、その場で俳句をつくり、わかちあうことをくり返します。俳句に は、五・七・五の韻や季語があるのですが、形式にはとらわれずに、短い詩をつくるような つもりでやってみましょう。「見ること、感じること」が大切です。 2 準備するもの (1)厚手の紙(画用紙やダンボールなど)を短冊状に切ったものを、1人につき5∼6枚。 (2)筆記用具(筆ペンがあればなお良い) 3 人数・場所・時間 (1)1グループ5∼10人(何グループでもよい) (2)ハイキングをしながら、ススキの草原や山頂・峠、林の中など、適当な場所で。 (3)2∼3時間 4 ゲームのながれ (1)1人につき5∼6枚の用紙と筆記用具を配布する。 (2)最初の場所で、各々がひとりになり、一句詠む。(約10分程度) (3)グループ全員が集まり、つくった句を順番に発表する。(発表は声に出して、2回ずつ くり返す。) (4)次のポイントとなる場所へ行き、再び句を詠む。 (5)詠んだ句を発表しあう。これを何回かくり返す。 (6)プログラム全体を通じて、感じたことをわかちあう。 (7)全員の句を載せた句集をつくる。 D クモの巣脱出 1 ゲームの内容 立ち木の間にクモの巣のように、ロープを張りめぐらしたすき間を、ロープに触れない ように、グループ全員が通りぬけるゲームです。グループ全員が信頼しあい、協力しあ って、課題を解決していくゲームです。 2 準備するもの ロープまたはひも(ゴムでもよい) 3 人数・場所・時間 (1)1グループ 5・6人以上15人くらいまで (2)キャンプ場や本館炊飯場など (3)20∼40分程度(1グループの挑戦タイム) 4 ゲームのながれ (1)立ち木の間のはば3m程度、高さ2m程度の間に、クモの巣のようにロープを張りめぐ らせる。 (2)ゲームの説明 「これは、巨大毒グモの巣です。みなさんはこちら側にいると巨大毒グモに食べられて しまいますので、今から向こう側に、みんなで逃げます。逃げ道は、クモの巣の網の間 を抜けていく以外にありません。ただ、クモの巣に さわると、はりついてとれなくなってしまいますから、 絶対にさわらないように通り抜けなくてはなりませ ん。」 (3)さわってしまった場合には、その人だけもどるか、 全員がもどるようにします。全員がもどるようにす ると、かなり時間がかかり、難易度も急に上がりま す。 (4)一度誰かが通った穴は、自動的にふさがれてし まいます。一度使った穴は、二度と使えません。 (グループの人数と穴の数によってアレンジします。 穴よりも人数のほうが多いときには、1つの穴に2 人まで、など。) (5)一度くぐりぬければ、二度と反対側へ行けませ ん。 ※ 参加者がどのようにからだを扱うかに注意をし、雑に扱っていたり、危険を感じるような 時には、活動を止めさせ、安全に行う方法を確認してください。 E ラインナップ(ならびかえ) 1 ゲームの内容 人ひとりが立てる丸太の上で並びかえをするゲーム。どうすればよいのか知恵を出し合 い、協力することが大切です 2 準備するもの (1)丸太(直径15c m以上、長さ2∼5m) (2)ロープ 3 人数・場所・時間 (1)1グループ5・6人∼15人程度 (2)キャンプ場や本館炊飯場 (本館炊飯場の炊飯説明をする場所の丸太がそのまま使えます。そうすれば、とくに 準備するものは不要となります。) (3)10∼20分程度 4 ゲームの方法 (1)立ち木を利用して丸太橋をつくり、その上にグループ全員が乗る。 (下図のように丸太橋が高い所にあると危険なので、地面に丸太をおき、立ち木にし ばりつけるだけの方が良いと思います。) (2)リーダーの指示で落ちないように並べかえる。 (リーダーはグループのようすから、誕生日や背の順、50音順などに並べかえることを 指示する。) (3)途中で落ちたときには、やりなおす。 (リーダーは、落ちた人だけやりなおすのか、最初からやりなおすのかを判断する。) F カメラマンゲーム(人間カメラ) 1 ゲームの内容 自然の景色をカメラに撮ります。人間の頭がカメラ、目がレンズ、そして頭脳をフィルム とするゲームです。 ※ ・目を閉じて他の人に身をまかせることのむずかしさ、すばらしさを体験的に味わい、 お互いの信頼感を培います。いたわりや優しさを身につけることができ、信頼関係を つくります。 ・無意識に接している自然をじっくり観察することによって、自然の良さを感じとること ができます。 ・「同じものを見ているつもりでも、人によって見え方、考え方はちがう。」ということに 結びつけることもできます。 2 準備するもの とくになし 3 人数・場所・時間 (1)何人でもOK (2)キャンプ場やススキの草原(リーダーの目の届く範囲に限って行うほうが良い。ようす を見ることができるし、あとのふりかえりにも有効です。) (3)20∼30分程度 5 ゲームの方法 (1)2人組になります。カメラ役とカメラマン役を決めます。 (2)カメラマンは、カメラを使って写真を撮ります。自分の 好きなものを撮ってください。ただし、このカメラは3枚し か写真を撮ることができません。写すものをよーく考え て決めてください。 (3)シャッターは、カメラの耳です。写したいものが決まっ たら、そこにカメラをしっかりと向けて、耳をきゅっとひね ると、それまで閉じていたカメラの目が開き、写真を撮る ことができます。また、耳をきゅっともどすと再び目は閉 じられます。(カメラは、写真を撮るときだけ、目を開けま す。) (4)3枚撮り終わったら、スタート地点にもどり、フィルムに 残っている景色(目を開けて見えたときの景色)をさがしだします。お互いに何を撮っ たのか、2人で話し合います。そのあと、それぞれの組の感想を発表しあい、みんなで 聞いて、わかちあいましょう。 発行年月 平成13年3月 執筆者 岩城 辰彦 参考にした資料 ・『つながり ひろがれ 環境学習』 生態計画研究所 小笠原孝生編 小野三津子著 ぎょうせい ・『野外ゲームのマニュアル』 京都市小学校野外教育研究会著 日本教育新聞社 ・『楽しみながら信頼関係を築くゲーム集』 高久啓吾著 学事出版 ・『自然体験活動の方法』 日本教育科学研究所発行 その他 ネイチャーゲームやプロジェクト・アドベンチャー(PA)に関する本いろいろ
© Copyright 2024 Paperzz