3.3 3課のアイディアと工夫

3.3
3 課のアイディアと工夫
1巻
第3課
「学校案内」
あきこ Can-do:
非常に基本的な表現を使って、自分の学校の施設や教室の場所を案内
できる。また、そこにあるものについて質問があった場合、非常にゆ
っくりとした聞き方であれば答えることができる。
もじ・ことば
とけい、ペン、えんぴつ
ぶんぽう
ぶ1
れんしゅう
れ1
・N がいます/あります。
・N もいます/あります。
・N がいます/ありますか。
はい、います/あります。
いいえ、N はいません/
ありません。
たてもの、しょくどう、
ぶ 3.1
上、下、そと、中、ひだり、
りょう、きょうしつ、ま
みぎ、となり、まえ、うしろ、そ
ど
ば、まわり
かばん、いす、でんわ、
ぶ 2
(場所)にいます。
木
あります。
がっこう、LLきょうし
ぶ2
つ、たいいくかん、とし
・~に~があります。~にもあり
ょかん
ます。
ラジカセ
・ ~には、なにがありますか。
ぶ 11
れ2
なに/なん
だれ、なに
60
ばいてん、しょくいんし
れ3
つ、
ぶ9
としょしつ
なんがい、1-10 かい
0-10
パン、ジュース、おかし、
くだもの、テレビ、ビデ
オ、しんぶん
りかしつ、トイレ
いぬ、ねこ
ぶ7
NとN
コンピューターしつ
ぶ8
NやN
れ4
じむしつ、ほけんしつ
すみません
ぶ 3.2
ここ、そこ、あそこ、どこ
どうも、ありがとうござ
・ どこのがっこうのがくせい
います。
ぶ5
N はどこですか。
れ5
れ6
本だな、じしょ
ざっし、ひきだし、けし
ゴム
ああ、
ぶ4
れ7
~たち、
・N は~にいます/あります。
わたしたち
・N は~にも~にもあります。
クラス
ぶ6
S か。(↓)
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◇導入(文法 1)
準備するもの:
a.(インターネットが通じれば)Google Earth や世界の動物カメラ
( 例 : Smithsonian National zoo logical Park Animal Web Cams,
http://nationalzoo.si.edu/Animals/WebCams/default.cfm)など、町、場所の
様子が見られるもの
b.(インターネットが通じなければ)色々な場所や人の写真、自分の
家の写真など
c. 新しい言葉の絵-(無生物のものの)絵と(生物の)絵
例)
進め方
①教師は、学習者に写真や映像などを見せながら、「○○があります」
「△△がいます」の文を使って見つけたものを叙述していく。
例 1)「バンコクです。ビルがあります。人がいます。あ、ワットプ
ラケオがありますね。大学生がいます。高校生もいますか。
あ、いますね。…」
例 2)「私の家です。犬がいます。ねこもいますよ。私の部屋に、ベ
ッドがあります。ベッドの上に、
(目覚まし)時計があります
…。
」
②クラス全体に絵カードを見せ、言葉の確認をする。
③クラス全体に絵カードを見せながら、
「あります」と「います」を使
い分けて聞かせる。
T(木の絵を見せて)
「木があります」。
(パン屋の絵を見せて)
「パン
屋があります」。駅、時計、本など…。
生物の絵カードを見せながら、同様に行う。
T(学生の絵を見せて)
「学生がいます」。
(先生の絵を見せて)
「先生
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がいます」
。女の子、犬、高校生など…。
④クラス全体にランダムに絵カードを提示し、
「います」か「あります」
のどちらを使うか答えさせる。絵カードを「います」と「あります」
に分けて黒板に貼り、生物と無生物であることをビジュアルで確認
させる。
[提案]
※導入の際には、なるべく既習の語彙を使った方が学習者の負担が少
なくてよいです。ただし、まだ始めの方の課だと、既習の言葉が少な
いため、未習の語彙が出てくることがあると思います。しかしこれは、
新しい語彙を知るいいチャンスでもあります。外国語を勉強している
とき、知りたい言葉をちょうどいいタイミングで与えられると、印象
に残り、しっかり覚えられるものです。時には、このきっかけをうま
く利用し、学習者に新しい語彙を教えてあげてください。ただし、数
は少なく限定し、しっかりと分かるように絵を用意したり、説明をし
てあげましょう。
◆練習 1
・そこにいる人やそこにある物が言えるようになる。
準備するもの:新しい言葉の絵(導入のものと同じ)
+できれば学習者がよく知っている人物、アニメの絵など
(○○先生、有名アイドル、一休さん、のびたくん、しずかちゃん…)
進め方
基本の練習
+時間があれば
①絵カードを使い、新しい言葉を確認する。
・いろいろな物や
②言葉が定着したら「女の子」「いぬ」など生き 生き物が書かれた
物の名詞を代入しながら「△△がいます」の文 シ ー ト を 用 意 し
て、ペアで「~が
をリピートする。
③絵カードを提示し、名詞の代入練習を行う。
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います」、「~があ
※はじめはコーラスで、徐々に学習者を一人ず ります」の文を言
つ指名して行う。
う練習をしてみま
④「えんぴつ」「とけい」など無生物の名詞を代 しょう。
入しながら「えんぴつがあります」「~があり ・Google Earth な
どを使って、映像
ます」の文をリピートする。
⑤絵カードを提示し、名詞の代入練習を行う。
を見ながら様子を
⑥生物と無生物の絵カードを混ぜて提示し、「○ 叙述してみましょ
○があります」「△△がいます」を使い分けな う。
がらの代入練習を行う。
⑦教科書の練習 1 のチェーンドリルを、グループ
で行う。
◇導入(文法 2, 文法 3)
準備するもの:
a.職員室の写真(○○の中、下、上など、位置を表せるもの)
例 1)
例 2)
b.位置を示す絵カード(※字は消しておく)
例)
進め方
①a の写真を使って学習者に問いかける。
例 1)T「職員室です。だれがいますか。
」→S「○○先生がいます。
」
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T「△△先生の前、となり、うしろ…(手で示しながら)に、
だれがいますか。」
→S「△△先生がいます。
」
T「職員室に何がありますか。」→S「コンピューター、本棚、
本、電話…があります。
」
T「そうですね。職員室にコンピューターがあります。」
例 2)T「私の机です。机の上に何がありますか。
」→S「おかし、辞
書、本…があります。」
②b の、位置を示す絵カードや体を使って、「もの(いす、机など)の
位置です」
(例「いすの上です」
「いすの下です」
)を聞かせ、導入す
る。以下、外、中、左、右、となり、まえ、うしろ、そば、まわり・・・
位置の言葉を導入する。体で左右を示す場合、教師は黒板の方を向き、
学生と同じ手を上げて「右」
「左」を発声するようにする。
※ゲームを取り入れてもおもしろい。コインを右手、左手にもちかえ、
どちらかの手に隠す。
T「右にありますか、左にありますか。」
S「右にあります!」or「左にあります!」
◆練習 2
・位置の言葉を覚える。
・
「N の~(位置の言葉)に N(物)があります」を使って物がどこにあ
るか言えるようになる。
準備するもの:
a.あきこの名詞の絵カード(文法 1 の導入で使ったもの)
b.かばん、ペン、おかしなど、簡単に移動ができる実物
c.教室の絵カード
例)
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進め方
基本の練習
+時間があれば
① まず、絵カードや実物を見せながら、3 課の ・立って、体を動か
名詞の言葉を復習する。
しながら、位置を表
② 机の上にペンを置いて、
「机の上」、机の下に す言葉を覚えまし
ペンを置いて「机の下」
、かばんの中、外…と ょう。教師の号令に
位置の言葉がスムーズに言えるようになるま 合わせて、手足を動
で練習する。
かすのも楽しいで
しょう。
③ b の物をあちこちに置いて、
「物(机、本棚な
ど)の位置に B(ペン)があります」をリピ
ート練習する。
④ b の物と、置く位置を変え、代入練習をする。
スムーズに言えるようになるまで練習を行
う。
⑤ 疑問文を練習する。事前にかばんの中にお菓
子を入れておき、
「私のかばんです。かばんの
中に何がありますか」と学習者に質問する。
そしてかばんの中からお菓子を取り出し、
「お
かしがあります」と見せる。
⑥ 教師がキューを与え、学習者が疑問文を作る
練習を行う。
T「黒板の上」→S「黒板の上に何があります
か。」
T「先生の机の下」→S「先生の机の下に何が
ありますか。
」
⑦ 教師が場所を指さし、学習者が疑問文を作る
練習を行う。教師はその質問に答えていく。
例えば
T(黒板の上の方を指さす)→S「黒板の上に
何がありますか。
」→T「黒板の上に時計が
あります。
」
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T(机の下の方を指さす)→S「先生の机の下
に何がありますか。
」→T「私の机の下にか
ばんがあります。
」
※学校や教室によって、置いてあるものが違
うので、練習になりそうなものをあらかじ
め探しておくとよい。
⑧ cの教室の絵カードを見せながら、学習者を
二人指名し、Q-A 練習をさせる。
⑨ ペアになり、絵カードを見ながら⑧でした練
習をする。
◇導入(文法 3~文法 6)
準備するもの:
a.学校のイラスト、学校内の施設のイラスト(図書室、教室、職員室、
売店など)
b 学校へ来たお客さんと学校を案内している学生の絵
進め方
「学校に日本人のお客さんが来ました。校内を案内しながらお客さん
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と一緒に歩いてみましょう。」と言い、教師が学生と客の二役になって
案内の様子を聞かせる。
※絵カードを黒板に貼っておき、話す時に立ち位置を変えると分かり
やすい。
学生:「1 階に職員室があります。2 階に教室があります。
」
客 :「学校に売店がありますか。
」
学生:「はい、あります。教室の右にあります。
」
客 :「売店にパンがありますか。
」
学生:「はい、あります。
」
客 :「○○さんの学校に、日本人の先生がいますか」
学生:「はい、います。/いいえ、いません。」 など。
◆練習 3
・学校内の、ある場所にある物について質問したり答えたりできる
ようになる。
・学校にいる人について質問したり答えたりできるようになる。
準備するもの:
a.学校のイラスト、学校内の施設のイラスト絵カード(導入で使った
もの)
b.色々な物や人のイラスト絵カード(練習 3 に出てくる名詞)
進め方
基本の練習
+時間があれば
①クラス全体で、a 学校内の施設の言葉の絵カード 「学校に犬がい
と b 名詞の絵カードを見ながら、言葉を確認する。 ますか」
「ネコも
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②「場所にものがありますか/人がいますか」の代 いますか」
、
「
(自
入練習を行う。教師は、a と b の絵カードの中か 分たちの学校の
ら 1 枚ずつ提示し、学習者はそれを見て文を作る。 ある町の名前)
③「場所にものがありますか/人がいますか」
「はい に、セブンイレ
/いいえ」の文を使って教師が質問、学習者が答 ブンがあります
か」
「デパートも
える Q-A 練習を行う。
・黒板に、a の絵カードを貼る。そこに、b の絵カ ありますか」
など、自分たち
ードを貼っていく。
の学校や町につ
黒板の例)
いて話してみま
しょう。
・ 絵カードを示し、T「売店にジュースがあります
か」→S「はい、あります」
、T「パンもあります
か」→S「はい、あります」
。T「教室にテレビが
ありますか」→「はい、あります」、T「ビデオ
もありますか」→S「いいえ、ありません」と練
習していく。
④学習者をペアにし、黒板の絵を見ながら Q-A 練習
をさせる。スムーズにできるようになったら数組
に発表させる。
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◆練習 4
・学校のどこに何があるか言えるようになる。
準備するもの:
a.学校内の施設の絵カード(導入で使ったもの)か自分の学校内の
写真
例)
b.階数が分かる絵カードと数字カード
1
2
3
4
5
10 20…
c.タスクシート(教科書 p.77 の絵)
例)
進め方
基本の練習
+時間があれば
① a の絵カードを使って、学校内の様々な施設 自 分 の 町 に あ る 映
の言葉を確認する。b の絵カードを使って 1 画館、デパートやシ
階~3 階までの言い方を確認する。数字カー ョ ッ ピ ン グ セ ン タ
ドを使って、階数の言い方を代入練習する。
ーを例に学生と話
②「○○階に施設があります」の文の代入練習を してみましょう。
例)ロータスがある
行う。
場合
70
黒板の例)
「1 階にマクドナル
ドがありま す」「2
3
階に食堂とロータ
スがあります」など
2
時間があれば、黒板
に簡単な地図を書
1
いて、学生をペアに
して各場所を選ば
・教師は、b の階数カードを下から黒板に貼り、 せ、会話練習の時間
その横に a の施設の絵カードを 1 枚ずつ貼って を 取 っ て も い い で
いく。教師は階を指さし、学習者はそれを見て しょう。
文を作る。言えるようになったら施設の絵カー
ドを入れ替えて練習を続ける。
・スムーズに言えるようになったら、a のカー
ドを 1 枚増やし、
「○○階に施設と施設があり
ます」の文の練習を行う
⑤p.77 の絵に、1 年生の教室~売店を自由に書き
込む。その後、クラスメイトとどの階にどんな
部屋があるか話して、得た情報をタスクシート
に書き込む。会話練習が終わったら、合ってい
るか確認し合う。
◇導入(文法 5)
準備するもの:
a.学校へ来たお客さんと学校を案内している学生の絵
71
b. ?棒
c.施設の絵(練習 5 に合ったもの)
進め方
①教師は、a、b の絵カードを黒板に貼る。※cのカードは、教室のあ
ちこちに貼っておく。
例)
②教師は、学生と客の二役になって案内の様子を聞かせる。
※話すときに、それぞれの役の立ち位置を変えると分かりやすい。
客(キョロキョロしながら)
:
「すみません。トイレはどこですか。
」
学生:「トイレですか。あそこです。」(遠くを指さす)
客 :「どうもありがとうございます。」
③黒板のcの絵カードを貼り替えて、同じように会話を聞かせ、
「ここ」
「そこ」
「あそこ」の感覚をつかませる。
◆練習 5
・学校内のある施設がどこにあるか質問したり、答えたりできる
ようになる。
準備するもの:
施設内の絵カードや自分の学校内の写真
例)
72
5.1 進め方
基本の練習
①学校内の施設の言葉の絵カード(写真)を見て、もう一度言葉を復
習する。
②「ここ」
、
「そこ」
、
「あそこ」の感覚を身につける。
・絵カードを、教室のあちこちに貼っておく。
(学習者に近い所、教
師に近い所、両方から離れている所…)
・教師は施設名を学習者に尋ねる。T「すみません、○○はどこです
か」学習者はその施設の絵カードを探し、
「ここです」、
「そこです」
、
「あそこです」と答える。教師は「どうもありがとうございます」
と礼を言う。
③②で貼った A の絵カードをそのまま使い、教科書の例文の通りに、
教師が尋ねる役、学習者が答える役になって代入練習を行う。T「す
みません、○○はどこですか」→S「○○ですか。ここです/そこで
す/あそこです」→T「どうもありがとうございます」
④学習者をペアにし、Q-A のどちらもスムーズに言えるようになるま
で練習する。
5.2 進め方
基本の練習
+時間があれば
①ペアになり、一人は客になって学校のことにつ 学 内 を 歩 き な が ら
いて質問する。一人は答える練習をする。
話す練習をしてみ
ましょう。
◆練習 6
・教室内にある物について、それがどこにあるか質問したり、答え
たりできるようになる。
準備するもの:
a. 教科書 p.79 に出ている名詞の絵カード
73
例)
b.辞書など実物(簡単に移動できるものがよい)
c.教科書の絵(p.79)を 2 枚
d.タスクシート 例
A
次の物を絵に書き込んでください
B に次の物がどこにあるか聞いてください。
B
次の物を絵に書き込んでください
Aに次の物がどこにあるか聞いてください。
進め方
基本の練習
+時間があれば
①言葉を復習する。
最初の「すみませ
・絵カードや実物を使って、教室の中にあるもの ん」、最後の「どう
の言葉を確認する。
もありがとうござ
・教師が B の実物を色々な場所に置き、位置を
表す言葉を復習する。
いました」を言うと
きに、お辞儀をしな
がら話して見まし
②p.79 の例文をドリル練習する。
・教師は、B の物の場所を学習者に尋ねる。T「す ょう。
みません、B(辞書)はどこですか」学習者はそ
74
れを探し、S「B(辞書)ですか。もの(机、本棚
など)の位置(上、中など)です」と答える。
教師は「どうもありがとうございます」と例を
言う。
③学習者同士で Q-A 練習を行う。
・学習者をペアにし、教師が言った名詞を使って
例文のように Q-A を行う。ペアでスムーズに
会話ができるようになるまで練習する。
④教科書のインフォメーションギャップ活動を
行う。
・ ペアで A か B かどちらかになり、タスクシ
ートの指示のように絵に物を書き込む。
・ 練習したように Q-A を行い、物の場所を書き
込んでいく。
・ 相手が書いた絵と自分が会話を聞きながら
書いた絵が合っているか確認する。
◆練習 7
・学校内のある施設やそこにあるものについて質問したり、答えた
りできるようになる。
準備するもの:ロールプレイのシート
例)
1-A お客さんになったつもりで、日本語教室に
どんなものがあるか聞いてください。
1-B
あるお客さんが学校を訪問しています。そ
のお客さんは、あなたの日本語教室につい
て質問します。その質問に答えてください。
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進め方
基本の練習
+時間があれば
①クラス全体を A のグループと B のグループに ・最初の「すみませ
分ける。A のグループはお客さん、B のグルー ん」、最後の「どうも
プは学生という設定にする。
ありがとうございま
②それぞれのグループにロールプレイのシート した」を言うときに、
を配り、どんな会話をすれば目的が達成でき お辞儀をしながら話
してみましょう。
るか、考える時間を取る。
③A、B それぞれ会話を考えたら、ペアを作り、 ・Q「トイレはどこ
実際に会話をかみ合わせてみる。会話におか にありますか」
しい部分があれば、二人で訂正し合う。
A「あそこにありま
④ペアでスムーズに会話ができるようになるま す。それから、1 階
にも 4 階にもありま
で練習する。
す」など、複数ある
⑤数組、前に出て発表する。
ものを「~にも~に
もあります」で説明
してみましょう。
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