2016年10月改訂(第 6 版) 日本標準商品分類番号:871124 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会の IF 記載要領(1998年 9 月)に準拠して作成 マイナートランキライザー 向精神薬 処方箋医薬品 ジアゼパム注射液 剤 形 水性注射剤 規 格 ・ 含 量 1管中ジアゼパム5mg、10mg含有 一 般 名 和 名:ジアゼパム( JAN) 洋 名:Diazepam ( JAN) 2001年 8 月24日* 製造 販売承認年月日: 製造販売承認年月日 2001年 9 月 7 日* 薬価基準収載年月日: 薬 価 基 準 収 載 発 売 年 月 日: 5mg:1971年 2 月24日 ・ 発 売 年 月 日 10mg:1969年10月15日 開 発 ・ 製 造 ・ 販 売:武田薬品工業株式会社 輸入・発売・提携・ 製造販売元:武田テバ薬品株式会社 販 売 会 社 名 担 当 者 の 連 絡 先 ・ 電話番号・FAX番号 *:販売名変更に伴い、新販売名の製造販売承認年月日、薬価基準収載年月日を記載 本 IF は2016年10月改訂の添付文書の記載に基づき作成した。 IF 利 用 の 手 引 き の 概 要 — 日本病院薬剤師会 — 1 . 医薬品インタビューフォーム作成の経緯 当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下、MR と略す)等にインタビュー し、当該医薬品の評価を行うのに必要な医薬品情報源として使われていたインタビュー フォームを、昭和 63 年日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が 「医薬品インタビューフォーム」 (以下、IF と略す)として位置付けを明確化し、その記 載様式を策定した。そして、平成 10 年日病薬学術第 3 小委員会によって新たな位置付け と IF 記載要領が策定された。 2 . IF とは IF は「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常 業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる 情報等が集約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、薬剤師 等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付け られる。 しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に反した 情報及び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。 3 . IF の様式・作成・発行 規格はA 4 版、横書きとし、原則として 9 ポイント以上の字体で記載し、印刷は一色刷 りとする。表紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成する。 IF は日病薬が策定した「IF 記載要領」に従って記載するが、本 IF 記載要領は、平成 11 年 1 月以降に承認された新医薬品から適用となり、既発売品については「IF 記載要領」 による作成・提供が強制されるものではない。また、再審査及び再評価(臨床試験実施 による)がなされた時点ならびに適応症の拡大等がなされ、記載内容が大きく異なる場 合には IF が改訂・発行される。 4 . IF の利用にあたって IF 策定の原点を踏まえ、MR へのインタビュー、自己調査のデータを加えて IF の内容を 充実させ、IF の利用性を高めておく必要がある。 MR へのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、薬理作 用、臨床成績、非臨床試験等の項目が挙げられる。また、随時改訂される使用上の注意 等に関する事項に関しては、当該医薬品の製薬企業の協力のもと、医療用医薬品添付文 書、お知らせ文書、緊急安全性情報、Drug Safety Update(医薬品安全対策情報)等に より薬剤師等自らが加筆、整備する。そのための参考として、表紙下段に IF 作成の基 となった添付文書の作成又は改訂年月を記載している。 なお、適正使用や安全性確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発 売状況」に関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が記載されている場合が あり、その取扱いには慎重を要する。 目 次 Ⅰ :概要に関する項目 1 .開発の経緯 1 2 .製品の特徴及び有用性 1 Ⅱ :名称に関する項目 1 .販 売 名 1 − 1 和 名 2 1 − 2 洋 名 2 1 − 3 名称の由来 2 2 .一 般 名 2 − 1 和 名(命名法) 2 2 − 2 洋 名(命名法) 2 3 .構造式又は示性式 2 4 .分子式及び分子量 2 5 .化学名(命名法) 2 6 .慣用名、別名、略号、記号番号 2 7 .CAS 登録番号 2 Ⅲ :有効成分に関する項目 1 .有効成分の規制区分 3 2 .物理化学的性質 2 − 1 外観・性状 3 2 − 2 溶 解 性 3 2 − 3 吸 湿 性 4 2 − 4 融点(分解点)、沸点、凝固点 4 2 − 5 酸塩基解離定数 4 2 − 6 分配係数 4 2 − 7 その他の主な示性値 4 3 .有効成分の各種条件下における安定性 4 4 .有効成分の確認試験法 5 5 .有効成分の定量法 5 Ⅳ :製剤に関する項目 1 .剤 形 1 − 1 剤形の区別、規格及び性状 6 1 − 2 溶液及び溶解時の pH、浸透圧比、粘度、比重、安定な pH 域等 6 1 − 3 注射剤の容器中の特殊な気体の有無及び種類 6 2 .製剤の組成 2 − 1 有効成分(活性成分)の含量 6 2 − 2 添 加 物 6 3 .製剤の各種条件下における安定性 6 4 .他剤との配合変化(物理化学的変化) 7 5 .混入する可能性のある夾雑物 7 6 .製剤中の有効成分の確認試験法 7 7 .製剤中の有効成分の定量法 8 8 .容器の材質 9 9 .そ の 他 9 Ⅴ :治療に関する項目 1 .効能又は効果 10 2 .用法及び用量 2 − 1 用法・用量 10 2 − 2 用法・用量に関連する使用上の注意 10 3 .臨床成績 3 − 1 臨床効果 10 3 − 2 臨床薬理試験:忍容性試験 10 3 − 3 探索的試験:用量反応探索試験 10 3 − 4 検証的試験 10 3 − 5 治療的使用 10 Ⅵ :薬効薬理に関する項目 1 .薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 11 2 .薬理作用 2 − 1 作用部位・作用機序 11 2 − 2 薬効を裏付ける試験成績 11 Ⅶ :薬物動態に関する項目 1 .血中濃度の推移・測定法 1 − 1 治療上有効な血中濃度 13 1 − 2 最高血中濃度到達時間 13 1 − 3 通常用量での血中濃度 13 1 − 4 中毒症状を発現する血中濃度 15 2 .薬物速度論的パラメータ 2 − 1 吸収速度定数 15 2 − 2 バイオアベイラビリティ 15 2 − 3 消失速度定数 15 2 − 4 クリアランス 16 2 − 5 分布容積 16 2 − 6 血漿蛋白結合率 16 3 .吸 収 16 4 .分 布 4 − 1 血液−脳関門通過性 17 4 − 2 胎児への移行性 17 4 − 3 乳汁中への移行性 17 4 − 4 髄液への移行性 17 4 − 5 その他の組織への移行性 18 5 .代 謝 5 − 1 代謝部位及び代謝経路 18 5 − 2 代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種 19 5 − 3 初回通過効果の有無及びその割合 19 5 − 4 代謝物の活性の有無及び比率 19 5 − 5 活性代謝物の速度論的パラメータ 19 6 .排 泄 6 − 1 排泄部位 19 6 − 2 排 泄 率 19 6 − 3 排泄速度 19 7 .透析等による除去率 7 − 1 腹膜透析 20 7 − 2 血液透析 20 7 − 3 直接血液灌流 20 Ⅷ :安全性(使用上の注意等)に関する項目 1 .警告内容とその理由 21 2 .禁忌内容とその理由 21 3 .効能・効果に関連する使用上の注意とその理由 21 4 .用法・用量に関連する使用上の注意とその理由 21 5 .慎重投与内容とその理由 21 6 .重要な基本的注意とその理由及び処置方法 21 7 .相互作用 7 − 1 併用禁忌とその理由 22 7 − 2 併用注意とその理由 22 8 .副 作 用 8 − 1 副作用の概要 23 8 − 2 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 23 8 − 3 基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度 24 8 − 4 薬物アレルギーに対する注意及び試験法 25 9 .高齢者への投与 25 10 .妊婦、産婦、授乳婦等への投与 25 11 .小児等への投与 25 12 .臨床検査結果に及ぼす影響 25 13 .過量投与 25 14 .適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等) 26 15 .その他の注意 26 16 .その他 26 Ⅸ :非臨床試験に関する項目 1 .一般薬理 27 2 .毒性試験 2 − 1 単回投与毒性試験 27 2 − 2 反復投与毒性試験 27 2 − 3 生殖発生毒性試験 27 2 − 4 その他の特殊毒性 27 Ⅹ :取扱い上の注意等に関する項目 1 .有効期間又は使用期限 28 2 .貯法・保存条件 28 3 .薬剤取扱い上の注意点 28 4 .承認条件 28 5 .包 装 28 6 .同一成分・同効薬 28 7 .国際誕生年月日 28 8 .製造販売承認年月日及び承認番号 28 9 .薬価基準収載年月日 29 10 .効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日及びその内容 29 11 .再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容 29 12 .再審査期間 29 13 .長期投与の可否 29 14 .厚生労働省薬価基準収載医薬品コード 29 15 .保険給付上の注意 29 Ⅺ:文 献 1 .引用文献 30 2 .その他の参考文献 31 Ⅻ:参考資料 32 ⅩⅢ:備 考 33 Ⅰ:概要に関する項目 1 .開発の経緯 本品は 1960 年に Hoffmann − La Roche 社研究所で、一連の benzodiazepine 誘導体の研究の結 果合成されたジアゼパムの製剤である。1961 年より薬理試験、毒性試験の検討が開始され、 本品の馴化作用、筋弛緩作用は同じベンゾジアゼピン誘導体であるクロルジアゼポキシドの 約 5 倍、抗痙攣作用は約 5 〜 10 倍強いこと、又、毒性にはほとんど差のないことが確認さ れた。1962 年より臨床的検討が世界各国で行われ、武田薬品工業株式会社では注射剤が 1969 年に承認された。その後、1974 年に再評価を受け、有用性が確認されたが、1997 年に 「抗不安薬の臨床評価に関するガイドライン」に基づく再評価により、効能・効果の一部が 変更された。 さらに、医療事故防止対策として、セルシン注射液の販売名を見直し、販売名をセルシン注 射液 5mg、セルシン注射液 10mg に変更し、2001 年 8 月に承認された。 2016 年 10 月に武田テバ薬品株式会社が武田薬品工業株式会社より製造販売承認を承継し た。 2 .製品の特徴及び有用性 (1)薬理作用として馴化・鎮静作用、抗不安作用及び筋弛緩・抗痙攣作用を示す。 (2)神経症における不安・緊張・抑うつに有用性が認められている。 (3)麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、術後、アルコール依存症の禁断(離脱)症状、分娩時の 不安・興奮・抑うつの軽減に有用性が認められている。 (4)てんかん様重積状態におけるけいれんの抑制に有用性が認められている。 (5)承認時までの調査では 1,221 例中 315 例(25.8 %)に、製造販売後の副作用の頻度調査 (1973 年 9 月時点)では 1,091 例中 263 例(24.1 %)に臨床検査値の異常を含む副作用が 認められている。 なお、重大な副作用として、大量連用により薬物依存、投与量の急激な減少ないし投与 の中止により離脱症状、舌根の沈下による上気道閉塞、呼吸器疾患に用いた場合に呼吸 抑制、精神障害者に投与すると刺激興奮、錯乱等、循環性ショックが上記の調査あるい は自発報告等で認められている。 −1− Ⅱ:名称に関する項目 1 .販 売 名 1−1 和 名 セルシン® 注射液 5 mg セルシン® 注射液 10mg 1−2 洋 名 CERCINE® INJECTION 5 mg. CERCINE® INJECTION 10mg. 1−3 名称の由来 “certain な精神”状態にもっていく薬剤ということで命名された。 2 .一 般 名 2−1 和 名(命名法) ジアゼパム(JAN) 2−2 洋 名(命名法) Diazepam(JAN) 3 .構造式又は示性式 CH3 O N Cl N 4 .分子式及び分子量 分子式: C16H13ClN2O 分子量: 284.74 5 .化 学 名(命名法) 7 − Chloro − 1 − methyl − 5 − phenyl − 1,3 − dihydro − 2H − 1,4 − benzodiazepin − 2 − one(IUPAC) 6 .慣用名、別名、略号、記号番号 開発コード: TAV − 12 7 .CAS 登録番号 439 − 14 − 5 −2− Ⅲ:有効成分に関する項目 1 .有効成分の規制区分 向精神薬 2 .物理化学的性質 2−1 外観・性状 本品は白色〜淡黄色の結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。 (日本薬局方) 2−2 溶 解 性 本品はアセトンに溶けやすく、無水酢酸又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチ ルエーテルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。 (日本薬局方) ■各種溶媒に対する溶解度(21 ℃) 溶 媒 名 溶 解 度(%) クロロホルム アセトン メタノール エタノール(95) ジエチルエーテル 2−プロパノール ヘプタン 水 58.28 12.79 5.18 2.74 2.26 1.95 0.12 0.0045 (武田薬品・研究所) ■各種 pH での溶解性(25 ℃)1) (mg/mL) 0.3 溶 解 度 0.2 0.1 3 4 5 pH 6 7 −3− 8 2−3 吸湿性 40 ℃・ 90 % RH で 2 ヵ月間保存したとき、吸湿量は 0.4 %であった。 (武田薬品・研究所) 2−4 融点(分解点)、沸点、凝固点 融点: 130 〜 134 ℃ (日本薬局方) 2−5 酸塩基解離定数 pKa : 3.3(20 ℃)2) 2−6 分配係数 Log P(octanol/水): 2.803) 2−7 その他の主な示性値 吸光度 E 1% (285nm) :425∼445[乾燥後、2mg、硫酸のエタノール(99.5)溶液(3→1000)、200mL] 1cm (第十五改正日本薬局方解説書 2006, C − 1562 廣川書店) 3 .有効成分の各種条件下における安定性 (1)熱安定性(保存条件:100℃、保存形態:無色粉末用アンプル) 試験項目 Init ial 2時間 4時間 6時間 8時間 外 観 白色∼微黄色 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 98.6 97.8 98.4 98.5 残 存 率(%) 100 (2)湿度安定性(保存条件:40℃・90%RH、保存形態:開放容器) 試験項目 I niti al 10日 30日 50日 70日 外 観 白色∼微黄色 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 98.8 99.8 98.7 99.1 残 存 率(%) 100 (3)光安定性 (保存条件:室外直射日光、保存形態:褐色ガラス瓶) 試験項目 I niti al 10日 30日 50日 70日 外 観 白色∼微黄色 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 99.7 99.4 98.7 98.6 残 存 率(%) 100 (武田薬品・研究所) −4− (保存条件:室外直射日光、保存形態:無色ガラス瓶) 試験項目 Init ial 10日 外 観 白色∼微黄色 変化なし 残 存 率(%) 100 99.7 30日 50日 70日 粉末表面 粉末表面 粉末表面 やや着色 黄色着色 黄色着色 97.8 97.9 99.0 (武田薬品・研究所) 4 .有効成分の確認試験法 日局「ジアゼパム」確認試験による。 5 .有効成分の定量法 日局「ジアゼパム」定量法による。 −5− Ⅳ:製剤に関する項目 1 .剤 形 1−1 剤形の区別、規格及び性状 ◇剤形の区別 水性注射剤 ◇規 格 本品は定量するとき、表示量の 90 〜 110 %に対応するジアゼパム (C16H13ClN2O : 284.74) を含む。 ◇性 状 淡黄色〜黄色澄明なわずかに粘性のある注射液 1−2 溶液及び溶解時の pH、浸透圧比、粘度、比重、安定な pH 域等 ◇ pH 6. 0 〜 7.0 ◇浸透圧比 約 30(生理食塩液に対する比) 1−3 注射剤の容器中の特殊な気体の有無及び種類 窒素を封入している。 2 .製剤の組成 2−1 有効成分(活性成分)の含量 1 管(1mL)中にジアゼパム 5mg 又は 1 管(2mL)中にジアゼパム 10mg を含有する。 2−2 添加物 本剤 1 管中にベンジルアルコール(5mg : 0.015mL、10mg : 0.03mL) 、プロピレングリコー ル(5mg : 0.4mL、10mg : 0.8mL)、無水エタノール(5mg : 0.1mL、10mg : 0.2mL)、安 息香酸(5mg : 42.8mg、10mg : 85.6mg)、水酸化ナトリウム(5mg : 13.05mg、10mg : 26.1mg)、pH 調整剤を含有。 3 .製剤の各種条件下における安定性 (1)長期保存試験(保存条件:室温、保存形態:褐色アンプル+ホルダー+外箱) ◇セルシン注射液5mg 調査項目 Init ia l 12カ月 24カ月 36カ月 42カ月 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 6.5 6.6 6.4 6.5 6.5 100 100.2 99.0 99.1 99.0 外 観 淡黄色∼黄色澄明 pH 残存率(%) (武田薬品・品質保証部) −6− ◇セルシン注射液10mg 調査項目 Init ial 12カ月 24カ月 36カ月 42カ月 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 6.5 6.5 6.3 6.5 6.4 100 100.3 99.4 98.2 98.6 外 観 淡黄色∼黄色澄明 pH 残存率(%) (武田薬品・品質保証部) (2)熱安定性(保存条件: 40 ℃、保存形態:褐色アンプル) ◇セルシン注射液10mg 調査項目 Init ial 1カ月 2カ月 4カ月 6カ月 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 6.3 6.4 6.3 6.3 6.4 100 99.3 99.8 99.9 98.0 外 観 淡黄色∼黄色澄明 pH 残存率(%) (武田薬品・研究所) (3)光安定性(保存条件: 1000lx 蛍光灯、保存形態:褐色アンプル) ◇セルシン注射液10mg 調査項目 Initial 30万lx・h 60万lx・h 変化なし 変化なし 6.6 6.6 6.5 100 99.5 101.1 外 観 淡黄色∼黄色澄明 pH 残存率(%) (武田薬品・研究所) 4 .他剤との配合変化(物理化学的変化) 白濁・沈殿を生じるため、他の注射液と混合又は希釈して使用しないこと。 5 .混入する可能性のある夾雑物 2 − methylamino − 5 − chlorobenzophenone 3 − amino − 6 − chloro − 1 − methyl − 4 − phenylcarbostyril 7 − chloro − 1,3 − dihydro − 5 − phenyl − 2H − 1,4 − benzodiazepin − 2 − one (第十六改正日本薬局方解説書 2011, C − 1791 廣川書店) 6 .製剤中の有効成分の確認試験法 (1)本品 2mL に硫酸 2 〜 3 滴を加え、紫外線下で観察するとき、黄緑色の蛍光を発する。 (2)本品 1mL に水 30mL 及びクロロホルム 50mL を加え、5 分間激しく振り混ぜた後、遠心 分離し、下層のクロロホルム液 5mL をとり、シリカゲルカラムを通過させ、クロロホ ルム 50mL でカラムを洗った後、クロロホルム・メタノール混液(95 : 5)10mL を用い て溶解する。この液を窒素を送風しながら蒸発し、残留物に硫酸・メタノール液 (0.1mol/L)50mL を加えて溶かした液につき、硫酸・メタノール液(0.1mol/L)を対照 として、紫外可視吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき、波長 282 〜 286nm 及び 364 〜 368nm に吸収の極大を示す。 (武田薬品・研究所) −7− 7 .製剤中の有効成分の定量法 本品のジアゼパム(C16H13ClN2O)約 0.010g に対応する容量を正確に量り、メタノールを加 えて正確に 10mL とする。この液 5mL 及び内標準溶液 2mL を正確に量り、メタノールを加 えて正確に 10mL とし、試料溶液とする。 別にジアゼパム標準品約 0.010g を精密に量り、メタノールを加えて溶かし、正確に 10mL とする。この液 5mL 及び内標準溶液 2mL を正確に量り、メタノールを加えて正確に 10mL とし、標準溶液とする。 試料溶液及び標準溶液 10mL につき、次の条件で液体クロマトグラフィーによって試験を行 う。それぞれの液のジアゼパム(保持時間:約 6 分)及びパラオキシ安息香酸プロピル(内標 準物質、保持時間:約 4 分)のピーク面積を自動積分法によって測定し、内標準物質のピー ク面積に対するジアゼパムのピーク面積比 AT 及び AS を求める。 ジアゼパム(C16H13ClN2O)の量(mg) =ジアゼパム(C16H13ClN2O)に換算したジアゼパム標準品の秤取量(mg)× AT AS 内標準溶液:パラオキシ安息香酸プロピルのメタノール溶液(1 → 1000) 操作条件 検 出 器:紫外吸光光度計(測定波長: 254nm) カ ラ ム:内径 4mm、長さ 300mm のステンレス管に充填剤としてオクタデシルシリ ル化した 10mm のシリカゲルを充てんする。 カ ラ ム 温 度:常温 移 動 相:メタノール・水混液(7 : 3) 流 量:ジアゼパムの保持時間が約 6 分になるように調整する。 システム適合性 システムの性能:標準溶液 10mL につき、上記の条件で操作するとき、内標準物質、ジア ゼパムの順に溶出し、その分離度は 2 以上である。 システムの再現性:標準溶液 10mL につき、上記の条件で試験を 6 回繰り返すとき、内標 準物質のピーク面積に対するジアゼパムのピーク面積の比の相対標準偏差 は、1.0 %以下である。 (武田薬品・研究所) −8− 8 .容器の材質 褐色のガラスアンプル 紙ラベル 紙のホルダー 紙箱 9 .そ の 他 該当しない −9− Ⅴ:治療に関する項目 1 .効能又は効果 神経症における不安・緊張・抑うつ 下記疾患及び状態における不安・興奮・抑うつの軽減 ・麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、術後 ・アルコール依存症の禁断(離脱)症状 ・分娩時 てんかん様重積状態におけるけいれんの抑制 2 .用法及び用量 2−1 用法・用量 本剤は、疾患の種類、症状の程度、年齢及び体重などを考慮して用いる。 一般に成人には、初回 2mL(ジアゼパムとして 10mg)を静脈内又は筋肉内に、できるだけ 緩徐に注射する。以後、必要に応じて 3 〜 4 時間ごとに注射する。 静脈内に注射する場合には、なるべく太い静脈を選んで、できるだけ緩徐に(2 分間以上 の時間をかけて)注射する。 2−2 用法・用量に関連する使用上の注意 (1)低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には、筋肉内注射しないこと。 (2)痙攣の抑制のために本剤を投与する時、特に追加投与を繰り返す際には、呼吸器・ 循環器系の抑制に注意すること。 3 .臨床成績 3−1 臨床効果 該当資料なし 3−2 臨床薬理試験:忍容性試験 該当資料なし 3−3 探索的試験:用量反応探索試験 該当資料なし 3−4 検証的試験 該当資料なし 3−5 治療的使用 該当しない − 10 − Ⅵ:薬効薬理に関する項目 1 .薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ベンゾジアゼピン系化合物 2 .薬理作用 2−1 作用部位・作用機序 ベンゾジアゼピン(BZ)の作用の本態は、GABA 系の機能を促進することである。ベンゾ ジアゼピン受容体は、GABA 受容体及び Cl −イオンチャネルとともに 1 つの複合体を形成 しており、GABA − BZ 受容体− Cl −チャネル複合体と呼ばれる。GABA 受容体には GABAA 受容体と GABAB 受容体の 2 種類があるが、GABA − BZ 受容体− Cl −チャネル複合体を形成 しているのは GABAA 受容体である。GABA が GABAA 受容体に結合すると、GABA − BZ 受容体− Cl −チャネル複合体の Cl −イオンチャネルが開き、Cl −イオンの細胞内への流入が 増加する。通常の状態では細胞膜の内側はマイナスに外側はプラスに荷電しており、細胞 内に陽イオンが流入することで脱分極が生じて活性電位が発生し、細胞の興奮が起こる。 GABA − BZ 受容体− Cl −チャネル複合体の Cl −イオンチャネルが開き細胞内への Cl −イオン の流入が増加すると、細胞内の荷電状態はさらにマイナス方向に傾き過分極状態となって 細胞の興奮が抑制される。この時ベンゾジアゼピンが BZ 受容体に結合すると GABA 受容 体の高親和状態をもたらし、GABA が GABA 受容体に結合しやすくなり、その結果 Cl −イ オンチャネルの開口回数が増加する。これによって Cl −イオンの流入もさらに増加し、 GABA による細胞興奮の抑制を強めることになる。ベンゾジアゼピンが GABA − BZ 受容 体− Cl −チャネル複合体に対して作用を発現するのは GABA の存在下においてのみであり、 ベンゾジアゼピン自体は BZ 受容体に結合しても Cl −イオンチャネルを開くことはないし、 細胞の興奮を抑制することもない。すなわちベンゾジアゼピンは GABA − BZ 受容体− Cl − チャネル複合体における GABA の作用を強めることにより細胞興奮の抑制作用を発現し ているのである。 (村崎 光邦他編:臨床精神医学講座 14 精神科薬物療法 1999, 216 中山書店) 2−2 薬効を裏付ける試験成績 (1)馴化作用 1)闘争マウスによる検討 マウスを 2 匹 1 組として組み合わせ電気刺激を与えて闘争させ、50 %闘争を阻止す る量を ED50 とした場合、腹腔内投与によるジアゼパムの ED50 は投与 30 分後で 2.1mg/kg、60 分後で 1.35mg/kg であった 4)。 − 11 − 2)粗暴サルによる検討 粗暴な赤毛サルの活動性と攻撃性を行動評点によって、投与前の状態とジアゼパム 2mg/kg 経口投与 2 時間後に採点し、その比をもって馴化作用を判定した。ジアゼ パム投与 2 時間後に攻撃性は 72 %、活動性は 14 %抑制され、攻撃性/活動性の抑制 比は約 0.3 であり、馴化作用が認められた 5)。 (2)鎮静作用(ラット) ラットの中隔野に電気的損傷を作り、ラットの興奮作用を 50 %抑制する量を ED50 と した場合、腹腔内投与によるジアゼパムの ED50 は 16mg/kg であった 5)。 (3)筋弛緩作用 1)マウス傾斜板法による検討 45 °の傾斜板から、投与 30 分後に半数のマウスが 5 秒以内に滑り落ちる量を ED50 とした場合、腹腔内投与による ED50 は 0.8mg/kg であった 4)。 2)除脳ネコによる検討 ネコを除脳して生じる四肢の関節、背、頸及び尾の硬直阻止効果を、ED50 でみた とき、静脈内投与による ED50 は 1.6mg/kg であった 5)。 (4)抗痙攣作用(マウス) マウスにペンチレンテトラゾール及び電気ショックを与え、痙攣によって死亡率を半 減させる量を ED 50 とした場合、腹腔内投与による ED 50 はそれぞれ 0.25mg/kg、 2.5mg/kg であった 4)。 − 12 − Ⅶ:薬物動態に関する項目 1 .血中濃度の推移・測定法 1 − 1 治療上有効な血中濃度 抗痙攣剤として 0.2 〜 0.5 mg/mL6) 他の疾患では該当資料なし 1−2 最高血中濃度到達時間 Ⅶ−1−3の項参照 1 − 3 通常用量での血中濃度 (1)静脈内投与での検討 1)メフェントイン水酸化酵素発現型での検討 ランソプラゾールの代謝の速い健康成人(年齢: 21 〜 26 歳、体重: 51.1 〜 84.0kg)8 例 (EM 群)と遅い健康成人(年齢: 21 〜 30 歳、体重: 56.1 〜 77.5kg)8 例(PM 群)にジア ゼパム 5mg を 2 分間で静脈内投与して、ジアゼパム及びデメチルジアゼパムの血中濃度 を検討した。PM 群では EM 群に比しジアゼパム及びデメチルジアゼパムの AUC は増加 し、血中半減期は延長した 7)。 ■ジアゼパムの血中濃度の推移 (ng/mL) 100 血中濃度 10 1 0.1 mean±SD 0 10243848 72 96 PM 168 240 投与後時間 (h) 336 504 336 504 EM ■デメチルジアゼパムの血中濃度の推移 (ng/mL) 血中濃度 10 1 0.1 mean±SD 0 10243848 72 96 PM 168 240 投与後時間 (h) EM − 13 − ■薬物動態パラメータ E M 群 P M 群 2標本t検定 ジアゼパム デメチルジアゼパム T1/2(h) AUC0−504(ng・h/mL) T1/2(h) AUC0−504(ng・h/mL) 3300±883 70.9±9.4 29.7±3.5 4091±951 6977±1382 6879±1206 145.5±48.0 52.0±14.3 p=0.001 p≦0.001 p=0.003 p=0.003 mean±SD 2)高齢者での検討 〔外国人データ〕 健康な若年者(年齢: 20 〜 30 歳、体重: 57.6 〜 90.0kg)7 例*と、健康な高齢者(年齢: 60 〜 75 歳、体重: 69.2 〜 98.4kg)6 例*に[2 − 14C]ジアゼパム 250mg を静脈内に投与し て、ジアゼパム及びデメチルジアゼパムの血中濃度を検討した。高齢者では若年者に比 しジアゼパムの血中半減期は延長し、分布容積は増大したが、クリアランスは有意な差 を認めなかった 8)。 ■ジアゼパムの血中濃度の推移 ■デメチルジアゼパムの血中濃度の推移 (ng/mL) (ng/mL) 10 100 血 中 濃 度 血 中 濃 度 10 1 1 0.1 0.1 0.01 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216 投与後の時間(h) 二本の線:若年者のmean±1SEの範囲 :高齢者のmean±1SE 0.01 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216 投与後の時間(h) 二本の線:若年者のmean±1SEの範囲 :高齢者のmean±1SE ■ジアゼパムの薬物動態パラメータ T1/2(h) 若 年 者 高 齢 者 ANOVA 44.5±16.5 71.5±27.6 p=0.03 AUC (ng・h/mL) CL (mL/min/kg) 166.2±44.0 0.29±0.09 118.2±26.2 0.26±0.09 p=0.06 p=0.40 Vss(L/kg) 0.88±0.30 1.39±0.32 p=0.004 mean±SD *:文献に「今回の検討では、PM、EM の測定はしていない。しかし、その後に報告された PM、 EM のジアゼパムのクリアランスと比較したとき、今回の被験者はすべて EM と考えられる。」 との記載がある。 − 14 − (2)筋肉内投与での検討 胆のう摘出術を受けた患者 5 例を対象に、術後 60 分にジアゼパム 10mg を筋肉内に投与し たとき、ジアゼパムの血中濃度は下記のとおりであった 9)。 ■ 10mg 筋注時の血中濃度の推移 (ng/mL) 70 血 中 濃 度 60 50 40 30 20 10 0 0.5 1 2 4 8 投与後の時間(h) 24 mean±SE 1−4 中毒症状を発現する血中濃度 ジアゼパムを大量に摂取した患者の血中濃度を測定した結果、1,000ng/mL 以上は明らか な中毒域濃度、500 〜 1,000ng/mL は中毒域と治療域のオーバーラップ域と考えられた 10)。 2 .薬物速度論的パラメータ 2−1 吸収速度定数 該当資料なし 2−2 バイオアベイラビリティ 〔外国人データ〕 健康な若年男性(年齢: 25 〜 39 歳)5 例、健康な若年女性(年齢: 20 〜 30 歳)6 例、健 康な高齢男性(年齢: 68 〜 77 歳)5 例及び健康な高齢女性(年齢: 64 〜 78 歳)6 例にク ロスオーバー法でジアゼパム 5mg を静脈内投与と筋肉内投与して、AUC からみた筋肉 内投与時のバイオアベイラビリティはそれぞれ 101 %、77 %、97 %、86 %であった 11)。 2−3 消失速度定数 健康成人男子(年齢: 30 〜 36 歳)3 例にジアゼパム 5mg を静脈内投与したとき、ジアゼパ ムの消失速度定数は 3 例それぞれ 0.12h − 1、0.05h − 1、0.09h − 1 であった 12)。 − 15 − 2−4 クリアランス 〔外国人データ〕 ○健康な若年者(年齢: 20 〜 30 歳、体重: 57.6 〜 90.0kg)7 例と、健康な高齢者(年 齢: 60 〜 75 歳、体重: 69.2 〜 98.4kg)6 例に[2 − 14C]ジアゼパム 250mg を静脈内に投 与したとき、ジアゼパムのクリアランスはそれぞれ 0.29 ± 0.09mL/min/kg、0.26 ± 0.09mL/min/kg であった(mean ± SD)8)。 ○メフェントイン水酸化酵素欠乏型の健康成人(年齢: 24 〜 36 歳、体重: 74 〜 86kg)4 例とメフェントイン水酸化酵素通常型の健康成人(年齢: 24 〜 29 歳、体重: 70 〜 85kg)6 例にジアゼパム 0.1mg/kg を 10 分間で静脈内投与したとき、ジアゼパムのクリ アランスはそれぞれ 17.5 ± 2.6mL/min、41.0 ± 6.1mL/min であった(mean ± SD)13)。 2−5 分布容積 〔外国人データ〕 ○健康な若年者(年齢: 20 〜 30 歳、体重: 57.6 〜 90.0kg)7 例と、健康な高齢者(年 齢: 60 〜 75 歳、体重: 69.2 〜 98.4kg)6 例に[2 − 14C]ジアゼパム 250mg を静脈内に投 与したとき、ジアゼパムの定常状態の分布容積はそれぞれ 0.88 ± 0.30L/kg、1.39 ± 0.32L/kg であった(mean ± SD)8)。 ○メフェントイン水酸化酵素欠乏型の健康成人(年齢: 24 〜 36 歳、体重: 74 〜 86kg) 4 例とメフェントイン水酸化酵素通常型の健康成人(年齢: 24 〜 29 歳、体重: 70 〜 85kg)6 例にジアゼパム 0.1mg/kg を 10 分間で静脈内投与したとき、ジアゼパムの 定 常 状 態 で の 分 布 容 積 は そ れ ぞ れ 1.00 ± 0.30L/kg、 1.11 ± 0.36L/kg で あ っ た (mean ± SD)13)。 2−6 血漿蛋白結合率 (参考)〔in vitro〕 健康成人 8 例の血清 1mL に 14C ジアゼパムを 574mg/L の濃度で加えたときの蛋白結合率 は 98.1 ± 0.5 %であった(mean ± SD)。また、ジアゼパム濃度が 5.74mg/L までの間で は、蛋白結合率は 97.5 〜 98.6 %で、ほぼ一定であった(遠心分離法)14)。 3 .吸 収 該当資料なし − 16 − 4 .分 布 4−1 血液−脳関門通過性 〔外国人データ〕 ジアゼパムを投与中に死亡した患者 14 例を解剖して組織中のジアゼパム、デメチルジ アゼパム濃度を測定した結果、脳内濃度はそれぞれ骨格筋の 1.9 ± 0.4、1.8 ± 0.2 倍 (mean ± SE)であった 15)。 (参考)〔ラット〕 ラットに 3H ジアゼパム 0.6mg/kg を腹腔内投与して脳内移行を検討した結果、脳内濃度 は投与 1 時間後で 0.032mg/g、2 時間後で 0.028mg/g であった 16)。 4−2 胎児への移行性 妊娠中に胎児疾患を診断され帝王切開による娩出後ただちに胎児の蘇生・集中治療が予定 されている患者 11 例にジアゼパム 0.3mg/kg を静脈内投与した結果、全例で娩出児の臍帯 静脈血濃度は母体動脈血濃度より高く、平均 1.40 倍であった。また、胎児動脈血濃度を測 定した 10 例では、母体投与後 30 分後の胎児動脈血濃度は、ジアゼパム投与 5 分以内に娩 出した 2 例は母体動脈血より低かったが、5 分を越える 8 例中 7 例では高かった 17)。 4−3 乳汁中への移行性 〔外国人データ〕 分娩時にジアゼパム 20mg を静脈内投与した健康な母親 4 例を対象に、分娩 3 日後から ジアゼパム 10mg を 1 日 1 回、5 〜 6 日間経口投与し、連日、投与後 9 時間 15 分及び 23 時間 30 分に乳汁を採取して、乳汁移行を検討した結果、乳汁中のジアゼパム及びデメ チルジアゼパム濃度は 2 人の母親では最初から 17 〜 39ng/mL 及び 19 〜 52ng/mL の一 定範囲で推移したが、2 人の母親では徐々に増加しジアゼパムでは最高 43ng/mL、デメ チルジアゼパムでは最高 85ng/mL になった 18)。 4−4 髄液への移行性 〔外国人データ〕 神経疾患患者 7 例を対象に、ジアゼパム 10mg を筋肉内に投与して、投与 2 時間後の血漿 中、蛋白非結合体の血漿中及び髄液中のジアゼパム及びデメチルジアゼパム濃度を検討 した結果は下記のとおりであった。また、神経疾患患者 42 例を対象に、ジアゼパム 10mg を筋肉内に投与しジアゼパムとデメチルジアゼパムの血漿中、髄液中濃度を検討した結 果、ジアゼパムの髄液中濃度は投与後 30 分〜 24 時間までは血漿中濃度の 2 〜 3 %、デメ チルジアゼパム濃度は投与後 2 時間〜 24 時間までは 1 〜 4 %であった 19)。 ■ジアゼパム、デメチルジアゼパムの濃度 ジアゼパム濃度(ng/mL) デメチルジアゼパム濃度(ng/mL) 血漿中 蛋白非結合体の血漿中 髄液中 126.6±57.4 2.1±1.1 2.2±0.7 41.7±14.6 1.3±0.4 1.3±0.8 mean±SE − 17 − 4−5 その他の組織への移行性 〔外国人データ〕 ジアゼパムを投与中に死亡した患者 14 例を解剖して、組織中のジアゼパム、デメチル ジアゼパム濃度を骨格筋内濃度を 1 として測定した結果は下記のとおりであった 15)。 ■骨格筋内濃度を 1 としたときの各組織内濃度 ジ ア ゼ パ ム 組 織 デメチルジアゼパム 例数 mean±SE 範 囲 例数 mean±SE 範 囲 脳 10 1.9±0.4 0.3−3.9 10 1.8±0.2 1.1−3.3 肝 臓 12 5.9±1.9 0.7−25.2 11 6.9±2.4 1.7−29.1 心 臓 10 4.3±1.0 0.5−9.2 8 3.8±0.5 2.2−6.5 肺 10 2.1±0.5 0.3−4.6 8 1.4±0.1 0.8−2.1 脂 肪 7 2.2±0.4 1.0−4.1 5 0.9±0.3 0.4−2.3 腎 臓 13 4.0±1.0 0.4−10.8 9 2.3±0.6 0.6−6.8 副 腎 5 12.1±5.9 1.0−34.8 4 14.4±6.6 5.1−34.0 5 .代 謝 代謝部位及び代謝経路 〔外国人データ〕 主に肝臓で代謝される。 ヒトに 3H −ジアゼパム 10mg を経口投与した時、血中には未変化体と脱メチル化された 代謝物デメチルジアゼパム、尿中には水酸化された代謝物、オキサゼパム、デメチルジ アゼパムを認めた 20)。 ■ヒトにおける推定代謝経路 Cl O N C C N H CH2 METABOLIC DEMETHYLATION CH3 Cl C C N O N C C N CH2 demethyldiazepam POSSIBLE POSSIBLE diazepam Cl O N HYDROXYLATION CH3 HYDROXYLATION 5−1 H CHOH POSSIBLE DEMETHYLATION 3-hydroxydiazepam Cl O N C C N oxazepam − 18 − CHOH 5−2 代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種 (参考)〔in vitro〕 ジアゼパムは CYP2C19 及び CYP3A4 で代謝される 21)。 5−3 初回通過効果の有無及びその割合 該当資料なし 5−4 代謝物の活性の有無及び比率 (参考)〔マウス〕 血中主要代謝物デメチルジアゼパムは活性を有する 4)。 ヒトでの比率はⅦ− 1 − 3 の項参照 5−5 活性代謝物の速度論的パラメータ 〔外国人データ〕 健康成人 12 例を対象に、デメチルジアゼパム 10mg を 1 分間以上かけて静脈内に投与し、 薬物動態を検討した結果は、下記のとおりであった 22)。 ■デメチルジアゼパムの薬物動態パラメータ 薬物動態パラメータ デメチルジアゼパム mean±SE 範 囲 分 布 容 積(L) 90.4±9.3 39−173 分 布 容 積(L/kg) 1.24±0.09 0.84−1.75 血 中 半 減 期(h) 92.7±11.2 49−179 クリアランス(mL/min) 12.3±1.3 6.4−20.2 クリアランス(mL/min/kg) 0.17±0.02 0.08−0.29 6 .排 泄 6−1 排泄部位 該当資料なし 6−2 排 泄 率 〔外国人データ〕 入院患者 2 例に 3H −ジアゼパム 10mg を単回経口投与したとき、12 日間での尿中排泄率 はそれぞれ 62 %、73 %であった 16)。 6−3 排泄速度 該当資料なし − 19 − 7 .透析等による除去率 7−1 腹膜透析 該当資料なし 7−2 血液透析 該当資料なし 7−3 直接血液灌流 ジアゼパム 250mg を服用した 55 歳の女性に、ジアゼパム服用 5 日後に吸着型血液浄化器 (DHP − 1)を利用して 4 時間直接血液灌流を実施し、直接血液灌流実施前後にジアゼパム、 デメチルジアゼパムの血中濃度を測定した結果、ジアゼパムは 25.2 %、デメチルジアゼパ ムは 31.6 %減少した 23)。 ■直接血液灌流前後のジアゼパム及びデメチルジアゼパムの血中濃度 ジアゼパム デメチルジアゼパム 血液灌流実施前 2.06μg/mL 7.72μg/mL 血液灌流実施後 1.52μg/mL 5.52μg/mL − 20 − Ⅷ:安全性(使用上の注意等)に関する項目 1 .警告内容とその理由 該当しない 2 .禁忌内容とその理由 (1)急性狭隅角緑内障のある患者 [本剤の弱い抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。] (2)重症筋無力症のある患者 [本剤の筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。] (3)ショック、昏睡、バイタルサインの悪い急性アルコール中毒の患者 [ときに頻脈、徐脈、血圧低下、循環性ショックがあらわれることがある。] (4)リトナビル(HIV プロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者(「相互作用」の項参照) 3 .効能・効果に関連する使用上の注意とその理由 該当しない 4 .用法・用量に関連する使用上の注意とその理由 (1)低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には、筋肉内注射しないこと。 (2)痙攣の抑制のために本剤を投与する時、特に追加投与を繰り返す際には、呼吸器・ 循環器系の抑制に注意すること。 5 .慎重投与内容とその理由 (1)心障害、肝障害、腎障害のある患者 [心障害では症状が悪化、肝・腎障害では排泄が遅延するおそれがある。] (2)脳に器質的障害のある患者 [作用が強くあらわれる。] (3)乳児、幼児 [作用が強くあらわれる。] (4)高齢者(「高齢者への投与」の項参照) (5)衰弱患者 [作用が強くあらわれる。] (6)高度重症患者、呼吸予備力の制限されている患者 [静脈内注射時、無呼吸、心停止が起こり易い。] 6 .重要な基本的注意とその理由及び処置方法 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患 者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。 − 21 − 7 .相互作用 7−1 併用禁忌とその理由 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 リトナビル 過度の鎮静や呼吸抑制等が チトクロームP450に対する競合的阻害に ノービア® 起こる可能性がある。 より、本剤の血中濃度が大幅に上昇する ことが予測されている。 7−2 併用注意とその理由 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 中枢神経抑制剤 フェノチアジン誘導 体、バルビツール 酸誘導体 等 モノアミン酸化酵素阻 害剤 眠気、注意力・集中力・反射 相互に中枢神経 抑制作用を増 運動能力等の低下が増強する 強することが考えられている。 ことがある。 アルコール (飲酒) 眠気、注意力・集中力・反射 相互に中枢神経 抑制作用を増 運動能力等の低下が増強する 強することが考えられている。 ことがある24)。 シメチジン、 オメプラゾール 眠気、注意力・集中力・反射 本剤のクリアランスがシメチジ 運動能力等の低下が増強する ンとの 併 用 に より 2 7 ∼ 5 1% 25, 26) 、オメプラゾールとの併用 ことがある。 により2 7∼5 5% 2 7∼2 9 )減 少す ること が 報 告されて い る 。 シプロフロキサシン 眠気、注意力・集中力・反射 本 剤 の ク リ ア ラ ン ス が 3 7 % 運動能力等の低下が増強する 減少することが報告されてい る 30)。 ことがある。 フルボキサミンマレイ ン酸塩 眠気、注意力・集中力・反射 本 剤 の ク リ ア ラ ン ス が 6 5 % 運動能力等の低下が増強する 減少することが報告されてい ことがある。 る 31)。 マプロチリン塩酸塩 1)眠気、注意力・集中力・反 1)相互に中枢神経抑制作用を 射運動能力等の低下が増強 増強することが考えられて することがある。 いる。 2)併用中の本剤を急速に減量 2)本剤の抗痙攣作用により抑 又は中止すると痙攣発作が 制されていた塩 酸マプロチ おこる32)可能性がある。 リンの痙攣誘発作用が本剤 の減量・中止によりあらわれ ることが考えられている。 ダントロレンナトリ ウム水和物 筋弛緩作用が増強する可能性 相互に筋弛緩作用を増強する ことが考えられている。 がある。 − 22 − 8 .副作用 8−1 副作用の概要 承認時までの調査では 1,221 例中 315 例(25.8 %)に、製造販売後の副作用の頻度調査 (1973 年 9 月時点)では 1,091 例中 263 例(24.1 %)に臨床検査値の異常を含む副作用が認 められている。以下の副作用は上記の調査あるいは自発報告等で認められたものである。 (1)重大な副作用 1)大量連用により、薬物依存(頻度不明)を生じることがあるので、観察を十分に行 い、用量を超えないよう慎重に投与すること。また、大量投与又は連用中におけ る投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、 不安、幻覚、妄想等の離脱症状(頻度不明)があらわれることがあるので、投与を 中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。 2)舌根の沈下による上気道閉塞(0.1 〜 5 %未満)が、また、慢性気管支炎等の呼吸器 疾患に用いた場合、呼吸抑制(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十 分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 3)統合失調症等の精神障害者に投与すると逆に刺激興奮、錯乱(0.1 〜 5 %未満)等が あらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与 を中止するなど適切な処置を行うこと。 4)循環性ショック(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異 常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 (2)その他の副作用 5%以上 1)精神神経系 眠気 0.1∼5%未満 0.1%未満 ふらつき、眩暈、頭痛、 振戦、複視、霧視、眼振、失神、 言語障害 失禁、歩行失調、多幸症 2)肝 臓 注1) 黄疸 3)血 液 注1) 顆粒球減少、白血球減少 4)循環器 血圧低下 頻脈、徐脈 5)消化器 悪心、嘔吐、便秘、口渇 食欲不振 6)過敏症 注2) 7)その他 発疹 怠感、脱力感 倦 卷 浮腫 注1) 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 注2)このような場合には投与を中止すること。 8−2 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 承認時までの調査では 1,221 例中 315 例(25.8 %)に、製造販売後の副作用の頻度調査 (1973 年 9 月時点)では 1,091 例中 263 例(24.1 %)に臨床検査値の異常を含む副作用が認 められている。なお、重大な副作用として、大量連用により薬物依存、投与量の急激な減 少ないし投与の中止により離脱症状、舌根の沈下による上気道閉塞、呼吸器疾患に用いた − 23 − 場合に呼吸抑制、精神障害者に投与すると刺激興奮、錯乱等、循環性ショックが上記の調 査あるいは自発報告等で認められている。 ■副作用の発現状況 承認時までの調査 調査施設数 製造販売後の調査 37 47 1,221 1,091 副作用発現例数 315 263 副作用発現症例率(%) 25.8 24.1 調査例数 ■副作用の項目別発現頻度 副作用の種類 承認時まで の 調 査 製造販売 後の調査 ねむけ 深いねむり 怠感・脱力感 倦 卷 尿失禁 ふらつき 歩行失調 もうろう状態 逆説反応 頭痛・頭重 血圧下降 悪心・嘔吐 食欲不振 口 渇 口のしびれ 便 秘 上気道閉塞 舌根沈下 呼吸抑制 167(13.68) 0 42(3.44) 0 41(3.36) 0 0 17(1.39) 16(1.31) 14(1.15) 8(0.66) 0 7(0.57) 0 5(0.41) 0 0 5(0.41) 65(5.96) 1(0.09) 15(1.37) 1(0.09) 13(1.19) 4(0.37) 2(0.18) 6(0.55) 3(0.27) 2(0.18) 25(2.29) 1(0.09) 12(1.10) 1(0.09) 1(0.09) 23(2.11) 5(0.46) 5(0.46) 承認時まで の 調 査 副作用の種類 呼吸停止 血圧上昇 不快感 心悸亢進 めまい感 熱 感 血管痛 注射部疼痛・異和感 注射部静脈炎 注射部腫脹 陣痛微弱 児心音変化 Sleeping baby 構音障害 吃 逆 多幸症 複 視 0 4(0.33) 2(0.16) 1(0.08) 1(0.08) 1(0.08) 16(1.31) 15(1.23) 0 0 11(0.90) 9(0.74) 3(0.25) 0 0 0 0 製造販売 後の調査 3(0.27) 0 0 0 1(0.09) 0 61(5.59) 27(2.47) 3(0.27) 1(0.09) 4(0.37) 0 0 41(3.76) 5(0.46) 5(0.46) 2(0.18) 承認時資料集計 :1969年8月 製造販売後の調査集計:1973年9月 8−3 基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度 該当資料なし − 24 − 8−4 薬物アレルギーに対する注意及び試験法 その他の副作用 発疹があらわれた場合には投与を中止すること。 9 .高齢者への投与 高齢者へ投与する場合には、少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。 [運動失調等の副作用が発現しやすい。] 10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦(3 ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険 性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。 [妊娠中に本剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例 が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある 33)。] (2)妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投 与すること。[ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、 筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神 経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症 状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。ベンゾジアゼピ ン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。また、分娩時に 静脈内注射した例に Sleeping baby が報告されている 34)。] (3)分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジア ゼピン系化合物で報告されている 35)。 (4)授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避け させること。 [ヒト母乳中へ移行し 18)、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことがあり、また、 黄疸を増強する可能性がある。] 11.小児等への投与 Ⅷ− 4 の項参照 低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。[外国において、ベンジ ルアルコールの静脈内大量投与(99 〜 234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシ ドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベ ンジルアルコールを含有している。] 12.臨床検査結果に及ぼす影響 該当資料なし 13.過量投与 本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン 受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌、慎重 投与、相互作用等)を必ず読むこと。 三環系抗うつ剤は、大量投与で不整脈、低血圧等の循環器症状、痙攣、呼吸抑制等の中枢 − 25 − 神経症状を起こすことが知られているが、ドキセピン(国内未発売の三環系抗うつ剤) 、 ジアゼパム、クロナゼパムを大量服用した患者にフルマゼニルを投与したところ、それま でベンゾジアゼピン系薬剤の抗痙攣作用により抑えられていた三環系抗うつ剤の痙攣作用 が、フルマゼニルを投与したことで誘発された症例が報告されている 36)。このような事 象が起こることがあるので、ベンゾジアゼピン系薬剤の過量投与に際してフルマゼニルを 使用する場合は、フルマゼニルの使用上の注意も必ず読むこと。 14.適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等) (1)投与経路 1)経口投与が困難な場合や、緊急の場合、また、経口投与で効果が不十分と考えら れる場合にのみ使用すること。なお、経口投与が可能で効果が十分と判断された 場合には、速やかに経口投与にきりかえること。 2)投与経路は静脈内注射を原則とすること。 (2)投与方法 1)筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意す ること。 ①筋肉内注射は、やむを得ない場合にのみ、必要最少限に行うこと。なお、特に 同一部位への反復注射は行わないこと。 ②神経走行部位を避けるよう注意すること。 ③注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針 を抜き、部位をかえて注射すること。 2)急速に静脈内に注射した場合、あるいは細い静脈内に注射した場合には、血栓性 静脈炎を起こすおそれがある。 3)動脈内に注射した場合には、末梢の壊死を起こすおそれがあるので、動脈内には 絶対に注射しないこと。 (3)投与部位 静脈内注射時に血管痛が、また、筋肉内注射時に注射部痛、硬結がみられることが ある。 (4)配合変化 他の注射液と混合又は希釈して使用しないこと。 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の 患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。 15.その他の注意 投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を 投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延 するおそれがある。 16.そ の 他 該当しない − 26 − Ⅸ:非臨床試験に関する項目 1 .一般薬理 イヌにおいて大量投与(15mg/kg)で血圧低下、心拍数の減少が認められたが、1 〜 8mg/kg では影響は認められなかった。 内分泌機能に対する影響は認められなかった 37)。 2 . 毒性試験 2−1 単回投与毒性試験 LD50、mg/kg 投与経路 動物種 ラット(♂) 静 注 皮 下 腹腔内 59.0 63.5 46.5 (武田薬品・研究所) 2−2 反復投与毒性試験 ジアゼパム 2.5、5、10mg/kg/日を 6 カ月間ラットの腹腔内に投与した試験では、5、 10mg/kg/日投与群で摂餌量の減少、体重増加の抑制がみられた以外、ジアゼパム自体の 毒性による所見は認められていない 38)。 2−3 生殖発生毒性試験 妊娠ラットの器官形成期に、ジアゼパム 5、10mg/kg を腹腔内に投与した試験では、胎児 の発生並びに出産児の発育・分化に対する影響は認められていない。 (武田薬品・研究所) 2−4 その他の特殊毒性 該当資料なし − 27 − Ⅹ:取扱い上の注意等に関する項目 1 .有効期間又は使用期限 3 年 6 ヵ月 (外箱に表示の使用期限内であっても、開封後はなるべく速やかに使用すること。) 2 .貯法・保存条件 室温保存 3 .薬剤取扱い上の注意点 向精神薬 注意−医師等の処方箋により使用すること 【注意】本品は「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、ヤスリを用いず、ア ンプル枝部のマーク(白)の反対方向に折り取ること。 4 .承認条件 該当しない 5 .包 装 5mg・1mL : 10 管 10mg・2mL : 10 管 6 .同一成分・同効薬 同一成分薬:ホリゾン等 同 効 薬:フルニトラゼパム、ミダゾラム 7 .国際誕生年月日 該当しない 8 .製造販売承認年月日及び承認番号 承認年月日 * セルシン注射液 5mg * セルシン注射液 10mg 2001 年 8 月 24 日 承認番号 21300AMZ00651 21300AMZ00652 *:販売名変更に伴い、新販売名の承認年月日・承認番号を記載した。 旧販売名 セルシン注射液(5mg・1mL) セルシン注射液(10mg・2mL) 承認年月日 承認番号 1969年 8 月30日 44AM−436 − 28 − 9 .薬価基準収載年月日 2001 年 9 月 7 日* *:販売名変更に伴い、新販売名の薬価基準収載年月日を記載した。 (旧販売名)セルシン注射液(5mg・1mL) : 1972 年 2 月 1 日 セルシン注射液(10mg・2mL): 1970 年 8 月 1 日 10.効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日及びその内容 該当しない 11.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容 「抗不安薬の臨床評価に関するガイドライン」に基づき、再評価を受け、効能・効果の表現 が下記に改められた(結果通知: 1997 年 6 月 5 日)。 改 訂 前 改 訂 後 下記疾患及び状態の不安・興奮・抑うつの軽減 神経症における不安・緊張・抑うつ 不安神経症、ヒステリー、心気症、抑う 下記疾患及び状態における不安・興奮・抑 つ状態、アルコール中毒、てんかん様重 うつの軽減 積状態、てんかん性もうろう状態、面接 麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、術後、 前処置、麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、 アルコール依存症の禁断(離脱) 症状、 術後、分娩時 分娩時 てんかん様重積状態におけるけいれんの抑制 12.再審査期間 該当しない 13.長期投与の可否 該当しない 14.厚生労働省薬価基準収載医薬品コード セルシン注射液 5 mg : 1124402A1030 セルシン注射液 10mg : 1124402A2053 15.保険給付上の注意 該当しない − 29 − Ⅺ:文 献 1 .引用文献 1)Mason N.A.,et al.: Am.J.Hosp.Pharm. 1981,38:1449 2)Barrett J.,et al.: 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