第4節 流通とコスト調査 §20 流通の体系 流通とは商品やサービスが生産者からそれを使用する消費者へ流れていく過程である。 下水汚泥利用製品の販売には流通とそれに係るコストを十分に検討する必要がある。 【解説】 (1)流通の役割 流通とは商品やサービスが生産者や提供者から、それを使用あるいは享受する消費者へ流れてい く過程である。流通の役割は以下の3点であり、その枠組は図5-10 のようになる。 ① 生産者と消費者を結び付ける(商取引) ② 生産地と消費地の場所の違いを補う(輸送) ③ 生産時と消費時の時間の違いを補う(保管) 物流 物流 商品・サービス 商品・サービス 生産者 流通者 使用者 ・製造業 ・卸売業 ・消費者 ・サービス業 ・小売業 お 金 お 金 図5-10 流通の枠組み したがって、流通は商品やサービスが単にある場所からある場所まで移動していく過程だけを示 すものではなく、社会性や経済性も含めた概念である。生産者は自らの商品をできる限り多く販売 したいと望み、消費者は選択肢の多い品揃えのある小売店を求める。この両者の願望を経済性をも って結び付けるものが流通業である。今日問題化している流通の複雑化に対して、消費者にとって は経済性の視点から、生産者にとっては販売機会の拡大の視点からその見直しが進んでいる。 また、インターネットによる生産者から消費者への直接販売やインターネットによる迅速な受発 注システムなど、ITの活用によって消費者、生産者、流通業者それぞれに便利な条件が形成され つつある。 いずれにしても、 下水汚泥製品の販売においては、 流通とそれに係るコストが大きな課題であり、 この点に関する調査が重要となる。 商品やサービスが流通する道筋を流通経路(流通チャネル)というが、流通は物流と商流に分け て考えられる。 トラックなどによって倉庫から目的地に運ばれる商品そのものの動きを物的流通 (物 流)という。一方、商品の売り買い関係、売り掛け・支払い債務の発生等の伝票上の動きを商的流 -272- 通(商流)という。一般的に流通という場合には商流のことを指す場合が多い。商取引においては、 より安い流通コストでより多く売れる流通経路を選択することが望まれる。 商取引上の流通の役割を以下の図で説明する。生産者は4つの商品をまとめて1社の卸売業者に 販売(流通)すれば、2社の小売業者を通じて4人の消費者へ販売(流通)することができる(① 商品の分配、配送機能) 。また、代金を4人の消費者から1人ずつ回収する必要なく、1社の卸売業 者から4つ分をまとめて回収すればよい(②代金の回収機能) 。 代金回収 生産者1社 卸売業者1社 消費者4人 小売業者2社 代金回収 分配 販売 分配 代金回収 代金回収 分配 代金回収 商取引上の流通の役割 代金回収 ①商品の分配、配送機能 ②代金の回収機能 図5-11 商取引上の流通の役割 こうした流通業者の役割の対価が流通マージンである。一般的な消費財の流通マージンは小売業 者で小売価格の 30%程度、卸業者段階で小売価格の 10%程度(卸価格の 15%程度)である。小売 価格を 100 とした場合、生産者は 60 で卸業者に販売し、卸業者は 70 で小売業者に販売、小売業者 は 100 で消費者に販売することとなる。 したがって、生産者と消費者の間に流通業者が多く介在するほど生産者が負担する流通マージン は大きくなる。なお、流通マージンは業種や業態によって異なるが、同一業種内、同一業態内では ほとんど同率となっている場合が多い。 生産者の販売商品が部品や材料等の生産財である場合には、小売業者に当たる部分が組立て業者 や加工業者、施工業者に当たる。 下水汚泥の建設資材化は、図5-14 に示す「生産財の流通②(例えば建設資材等) 」に当たるも のが多い。 -273- (二次卸業者) 商流 生 産 者 卸 業 者 小売業者 (マージン15%) 一般的な価格 60 消 費 者 (マージン30%) 70 100 図5-12 消費財の流通(例えば、植木鉢・園芸用土壌等の製品の場合) ※ 図中の数値は一般的な目安となる数値である。 (二次卸業者) 商流 生 産 者 卸 業 者 一般的な価格 90 商品 組立・加工業者 (マージン10%) 消 費 者 使 用 者 100 図5-13 生産財の流通①(部品など) (例えば、汚泥肥料、MAPなどの材料の場合) ※ 図中の数値は一般的な目安となる数値である。 ゼネコン・サブコン 構造物 構造物 商流 一次卸業者 生産者 二次卸業者 施工業者 構造物 工事業者 一般的な価格 49 (マージン10%) (マージン10%) 54 施主 使用者 (マージン40%) 60 100 図5-14 生産財の流通②(例えば、建設資材等) ※ 図中の数値は一般的な目安となる数値である。 (2)流通業者の特徴 一般的に卸売業者は、小売業者の業種・業態や対象とする地域によって小売業者を決める。また、 小売業者は、その店舗の商圏によって来店客層の特徴が決まっている。 したがって、流通業者の選択に当たってはその業者が得意とする地域や業種・業態、商圏等を明 らかにして、生産者の事業の進め方に応じた業者を選択することが必要である。 1)顧客地域 全国展開型、地域密着型 2)顧客の業種・業態 業種:百貨店、ホームセンター、建設業者、セメントメーカー、農協、建材店等 業態:建設資材、肥料、園芸品等 -274- 3)商圏 ある店を利用する消費者の住んでいる範囲を商圏という。小売業者の場合は、その店舗によく 買い物にくる消費者(顕在需要層)が住んでいる地域を一次商圏として、店を中心とした半径2 km などと表現する。幅広い商品を扱う大型店ほど商圏は広い。商圏の居住者の属性や商圏内の幹 線道路、交通状況等が店舗の販売政策の判断材料となる。 卸売業者の場合には、販売先の流通業者の所在の広がりのことをいい、特定の市内や県内に限 定される場合と、全国に販売先を有する場合とがある。 (3)流通経路の形態 1)直接流通と間接流通 直接流通とは、生産者が卸売業や小売業等の流通業者を通さず、直接消費者に流通する形態で ある。訪問販売や通信販売(インターネットなど) 、農・水産物の産地直送等の販売方法である。 間接流通とは生産者が卸売業者や小売業者を通して商品やサービスを消費者に流通する形態で ある。卸売業者を通さず生産者から小売業者へ流通する場合と、複数の卸売業者を通して小売業 者へ流通する場合とがある。 従来は間接流通が一般的であったが、近年は宅配便の普及、インターネットなど情報インフラ の発展と、競合他社との差別化戦略等の面から、直接流通が増加する傾向にある。 直接流通 生産者 ・製造業 使用者 流通者 商品・サービス ・サービス業 間接流通 ・卸売業 ・小売業 商品・サービス ・消費者 間接流通 図5―15 直接流通と間接流通 2)選択型と解放型 ① 選択型流通経路 生産者が自社商品の流通業者をある程度選択する場合の流通経路。消費者がいくつかの商品 を比較検討して購入するような買回り品(洋服、靴、家電、家具等)や、消費者が特定の商品 の品質やブランドなどを信頼して購入するような専門品(自動車、ピアノなど)は、商品の説 明やアフターサービスなどの説明が必要なため、その目的に適う卸売業者や小売業者を選別し て流通させる場合が多い。自動車や宝石などの専門品では卸売業者や小売業者が特定の生産者 の商品やサービスだけを専門的に扱う場合もある。生活必需品以外の商品や、生産者サイドの 力が強い商品に見られる。建設資材の場合には、この経路に相当するケースが多い。 -275- 卸 売 小 売 卸 売 小 売 消 費 者 生産者 図5-16 選択型流通経路(家具・婦人服・自転車等の買回り品・専門品に多い) ② 開放型流通経路 生産者がなるべく多くの販売量を求め、できる限り多くの卸売業者や小売り業者に流通を委 ねる場合の経路。消費者が近所の商店で頻繁に購入するような最寄品(食料品、日用雑貨等) に多い。今後はインターネットによる生産者から消費者への直接流通が増えてくると予測され る。 生産者 一 次 卸 小 売 二 次 卸 小 売 二 次 卸 小 売 一 次 卸 消 費 者 一 次 卸 二 次 卸 小 売 インターネットなど 図5-17 開放型流通経路(加工食品・日用雑貨等の最寄品に多い) (4)商習慣 高度成長期には生産者が自社商品を大量に販売するために流通面で様々な手法が商習慣として行 われてきた。商習慣は、低成長や流通の成熟とともにその効果は薄れ、減少してきてはいるが、今 なお、幅広い業種にわたって残っている。 下水汚泥製品の販売に際しては、こうした商習慣を十分に考慮する必要がある。 1)委託販売 商品の所有権を流通業者に移さず、販売委託をして、売れた分だけ流通業者に請求する方法。 販売価格を維持したり、流通業者に大量に販売してもらうためにとられる手段。 下水汚泥利用製品の場合、この例が多い。 2)リベート制 自社商品を多く販売してもらうために、期間ごとの取引量等に応じて仕切り価格や支払い金額 を割引く制度。季節商品、新商品等は特定期間内で実施するケースが多い。 コンポストの販売で一部行われている。 -276- 3)店会制 自社商品を多く販売してもらうために、流通業者の横断的な組織を結成し、商品の適切な販売 方法等を話し合う制度で、生産者と流通業者の共存共栄を目的とする場合が多い。 4)専売制 生産者が流通を掌握しコントロールするために、販売流通業者に自社商品だけを扱い他社製品 を扱わないようにする制度。 5)テリトリー制 生産者が流通を掌握しコントロールするために、流通業者ごとの販売地域を特定し、流通業者 同士が競合しないようにする制度。 6)支払い方法 日本の流通業者の取引では手形が利用される場合が多い。 一般的に 90 日サイトの手形が多いが、 建設資材等は建物や公共物となって完成するまでの期間が長いため、180 日サイトと長くなって いる。そのため、生産者によっては早く回収するために支払いリベートを設定して、早く支払う 場合の割引制度を設定している。 7)返品 小売店が売れ残った商品を卸売業者や生産者に返すことができる返品制度が残っている業種も 多い。返品は建前ではできないことになっている業種がほとんどであり、返品する際には返品額 に相当する商品を購入する場合が多い。書店やCD店などは 100%返品可能であるが、その分小 売業者の利益率は小さい。 8)マークダウン 小売店が通常の販売価格から値引きして販売した場合に、その値引分についてメーカーの納入 価格を下げることをマークダウンという。衣料品など季節性の高い商品等に多く見られる。小売 店が仕入れた後の商品をメーカーが値引きする点で、仕入れ時から安い特価とは異なる。 9)展示会 建材等の実際の取引は、生産者主導でイベント(展示会、慰安会、セミナーなど)を中心にし て流通業者を集め、一種の囲い込みが実施される。そこで年間・半期の販売量の 20~30%が決定 されるケースもあり、生産者の生産計画の基礎数値となっている。同様なことを流通業者が行う ケースもあり、この場合は生産者に各種の協力や支援を求める場合が多い。 これらは「謝恩セール」 「販売促進セール」などの名称で行われ、これによって生産者は新商品 や目玉商品を取り揃えることで他社との差別化を図り、販売量を確保するとともに、生産者のマ ーケティング活動の場ともなっている。 -277- §21 販売価格とコスト分析 販売価格は需要と供給のバランスによって決まる市場価格が基準となる。 価格を安く設定するためには、生産や流通にかかるコストを十分に検討し、削減することが必 要となる。 【解説】 (1)販売価格の種類 1)市場価格 商品は、それをある価格で購入しようという需要(買い手)が発生して初めて商品としての価 値が発生することとなる。ある商品の需要(買い手)が非常に多く、仕入れてもすぐに売れてし まい生産が間に合わない状況であれば、もっと価格を高く設定しても売れる(売り手市場) 。反対 にあまり売れない商品を売るためには、価格を下げなければならない(買い手市場) 。 このように、市場における商品の価格は需要(買い手)と供給(売り手)のバランスによって 決定される。この需要と供給のバランスによって決定される価格を市場価格という。 高い 高い商品は買いたい 高い商品は売りたい 人が少ない 人が多い 需要曲線 供給曲線 (販売量) (出荷量) 需給バランス 価格 市場価格 安い 安い商品は売りたい 安い商品は買いたい 人が少ない 人が多い 少ない 需要量 多い 図5-18 市場価格(需要と供給の関係) 2)生産者価格(出荷価格) 生産者が商品を出荷して卸売業者等に販売する価格を生産者価格(出荷価格)といい、製造原 価、販売費及び利益からなっている。 製造原価は、その商品を生産するためにかかる費用であり、原材料費、建物・設備や機械の償 却費、及び生産、技術開発、管理等に関係した人の人件費等の総計である。 販売費は、 その商品を販売するためにかかる費用であり、 販売に関係した人や事務員の人件費、 -278- 事務所の償却費、広告宣伝費、荷造り・運送費、倉庫費等の総計である。 利益は、営業外費用の負担や法人税等の税金の支払いなどに当て、資本提供者への配当、事業 を存続、拡大させるための準備金、資本等として使用、留保される。 3)卸売価格 卸売業者が小売業者等に販売する価格を卸売価格という。 4)小売価格 小売業者が消費者に販売する価格を小売価格という。 メーカー 製 造 原 価 ←生産コスト → 仕 入 原 価 → 利 益 卸売業者 流 通 コ ス ト 販売費 ② 卸売価格 ←販売→ コスト ← 利 益 ① 生産者価格 粗利益 → 販売費 ← 流通コスト 流通コスト 仕 入 原 価 利 益 小売業者 販売費 ③ 小売価格 図5-19 流通段階別の価格の種類 5)メーカー希望小売価格 市場価格を考慮したうえで生産者が希望する小売価格のことである。 商品を販売したい相手に最も効率的に流通できる経路を選び、生産者から使用者までの流通に かかるマージン(流通コスト)をできるだけ小さくすることで、メーカー希望小売価格を下げて 販売量を増やすことが可能となる。あるいは、流通業者への販売価格を高く設定できることとな り、自分の利益を増やすことが可能となる。このように価格設定と流通コストは、密接に関係し ている。 建設資材の場合、既に流通している商品が多く、これらに合わせた価格に設定せざるを得ない 場合が多い。したがって、リサイクル製品の製造・販売においては、製品化する前に価格を十分 に検討することが必要である。 -279- (2)販売価格とコスト分析 会計上では、売上高(販売価格)から売上原価(製造原価)を引いたもの(販売費+利益)を売 上高総利益(粗利益)と呼び、売上高総利益(粗利益)から販売、一般管理費(販売費)を引いた ものを営業利益と呼ぶ。 販売者が自身の販売価格を設定する際には製造原価に一定の粗利益を加える。販売価格はこのよ うに原価志向による決定が基本であるが、実際には、市場価格や競合他社の販売価格をもとに政策 的に決定される場合が多い。 この政策的な販売価格は原価志向の価格より安い場合が多く、それに合わせて製造原価(仕入原 価)や販売費、利益をコストとして削減することが必要となる。一般的に言われているコスト削減 努力である。 流通面からみると、製造(仕入)原価を生産(仕入)コスト、販売費と利益の総計を流通コスト と考える。こうした生産コスト、流通コストの中身を人件費や材料費、運送費等に細分化し、それ らひとつひとつの削減余地はないか、あるいは別な方法がないかを分析、検討をすることが必要で ある。こうして商品にかかるコストを削減し、より安く、より多く売れる商品を開発し売上高の増 加と利益率の向上を図ることが望まれる。 表5-7はコストの内訳とおおよそのウェイトを示し、表5-8にはその例として損益計算書上 でみたコストを示す。 表5-7 コストの内訳とウェイト 生産コスト(製造原価) 流通コスト(粗利益) 材料費…………35%程度 生産者の流通コスト 人件費…………15%程度 ……出荷価格の 30%程度 加工費…………10%程度 卸売業者の流通コスト 修繕維持費、減価償却費 ……卸売価格の 15%程度 等………10%程度 小売業者の流通コスト 合計 70%程度(売上比) ……小売価格の 30%程度 販売コスト(販売費) 人件費…………15%程度 運送費…………2%程度 広告宣伝費、研究開発費 事業税、減価償却費 等…………3%程度 合計 20%程度(売上比) 注)ウェイトのパーセンテージは一般的な目安となる数値である。 -280- 表5-8 損益計算書上のコスト(生産者の例) 金額(万円) 構成比 売上高 A 売上原価(生産原価) B=a+b+c 原材料費 労務費(2~3人) 経費 a b c 10,000 100.0 7,000 70.0 3,500 1,500 2,000 35.0 15.0 20.0 売上高総利益(粗利益) C=A-B 3,000 30.0 販売、一般管理費(販売コスト) D=d+e+f+g 2,000 20.0 200 200 1,500 100 2.0 2.0 15.0 1.0 1,000 400 10.0 4.0 600 6.0 広告宣伝費 運賃、荷造り、倉庫費 給与、福利厚生費 その他 営業利益(利益) d e f g E=C-D 営業外費用 F 経常利益 G=E-F 注)表中の数値は一般的な目安となる数値である。 §22 生産販売計画 「生産 → 在庫 → 販売」の流れに無駄が発生しない適切な在庫量が維持できるような生産計 画と販売計画をたてることが必要である。 【解説】 (1)在庫管理の考え方 生産者にとって商品の開発と同様に大切なことに在庫管理がある。在庫が多すぎれば生産量を調 整したり値下げして販売したり、場合によっては廃棄処分をして在庫量を削減する必要がある。 反対に在庫量が少なすぎると、受注量をすべて納品できなかったり、そのために受注できないこ ともある。こうした場合は1日当たりの生産量を増やしたり、他の商品との生産スケジュールを調 整するなどして、販売機会を逃さないようにする必要がある。 こうした「生産 → 在庫 → 販売」の流れを無駄なくスムーズに行えるよう、適切な在庫量を維 持することが在庫管理である。そのためには、販売量の変動に応じて適切な生産量を維持すること が必要である。 特に、在庫が過大であっても売上高の変動に影響を与えないために、無駄な在庫になっているこ とがわかりにくいので注意を要する。在庫金額も含めて過大な在庫は資産の固定化につながり、無 駄なコストを費やすこととなる。流通業者も在庫機能を有するが年々その役割は低下傾向にあり、 生産者における在庫管理の重要性が増してきている。 下水汚泥利用製品の場合、原料である汚泥の発生量が一定であることから、受注量の変動が大き な製品を生産する場合には、特に在庫管理を重要視する必要がある。 -281- (2)商品回転率 適切な在庫量を決定するための指標として商品回転率が使われている。ある商品の年間販売量を 年間の平均在庫量で割り算をし、1年間に在庫が何回転するかを表したものである。一般的な商品 回転率は生産者と小売業者で5回前後、卸売業者で 10 回前後である場合が多い。 下水汚泥の建設資材では、公共事業の関係から一時期に工事時期が集中し、時期による在庫量の 変動が大きくなるために商品回転率が1回~2回である場合が多く、在庫の効率化が課題となって いる。 以下に、商品回転率の計算例を示す。 計算例:年間販売量 10,000 個のブロックの年間平均在庫量が 2,500 個の場合 商品回転率(回)=年間販売量(数量、金額)÷年間平均在庫量(数量、金額) =10,000(個)÷2,500(個) =4(回) (3)生産販売計画 商品回転率は数値が大きいほどよいが、大きすぎると販売量に対して在庫量が少なくなりがちで あるし、小さすぎると販売量に対して在庫量が多すぎることとなる。ある商品の商品回転率を定期 的に収集、分析を続けることで最も適切な商品回転率となるよう在庫量(生産量)を調整していく 必要がある。 また、その商品に適切な商品回転率が決まれば、目標とする年間販売量を商品回転率で割れば適 切な在庫量を決めることができる。そして、季節や時期による販売量の増減等を加味して月単位や 週単位の販売量を計画し、時期ごとの在庫量をあらかじめ計画して、それに合わせた生産計画を組 むなどして効率的な事業運営を図ることが望まれる。 汚泥利用製品の場合も、こうした生産販売計画を実施することが必要である。 粗利益率 販売状況 商品回転率 在庫状況 生産状況 販売計画 販売量 在庫計画 在庫管理 事業計画 ・商品政策 生産計画 ・価格政策 ・流通政策 図5-20 生産販売計画 -282-
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