Yashavanth Dongre著「インドにおける国家とボランタリー

「インドにおける国家とボランタリーセクターの関係」
Yashavanth Dongre 著
桜 井 政 成(訳)・川 口 清 史(監訳)
訳出にあたって
本稿はインド・マイソール大学教授ドングレイ氏によるインドの非営利組織に関する論稿である。今日、アメリカ、ヨーロッパ、
そして日本といった先進諸国での非営利組織の役割が注目されているが、他方で発展途上国における開発NGOの役割も大きくなって
いる。とりわけインドは「NGO大国」とも呼ばれるほどNGOが広く発達し、「もう一つの政策主体」として、インドの地域開発、教
育、福祉、女性の地位向上に大きな役割を果たしている。
インドにおけるNPO、NGO研究には、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の国際共同研究と連動した研究があるが、このアメリ
カンスタンダードの研究をドングレイ氏は拒否し、よりインドの現状にあった概念と枠組みを用いて分析する。インドにもアメリカ
と同様の巨大な財団が存在するが、ドングレイ氏がむしろ注目するのはコミュニティに密着した自助グループであり、協同組合であ
る。こうした彼の分析枠組みは、日本における非営利・協同セクターを研究するわれわれにとっても示唆深いものになっている。
なお、ドングレイ氏は、2000年3月から8月まで、国際交流基金の招聘によって、本学部において客員研究員として研究された。本
稿はその際、川口を座長とする研究グループ「福祉社会と非営利・協同セクター」において報告されたものである。
(川口)
はじめに
4.国家とアソシエーション
Ⅰ.ボランタリー・セクター:その概念とインドの現状
5.その他の活動
への適応
Ⅱ.国家の役割
a
セルフ・ヘルプ・グループ
s
地域活動
1.国家と協同組合
Ⅲ. インドにおけるボランタリーセクターの位置
2.国家とNGO
おわりに
3.国家と教育団体
はじめに
は中心的な話題としては取り扱わない)
。例えばそれは、
宗教、原理主義者、分離主義者の政策を押し通すもので
インドにおいてはボランタリー・セクター(以下、
あったり、海外からの資金援助を不正に使用し、それを
VSと略記する)は、その社会経済的領域における、巨
粉飾決算で隠していたり、脱税のかくれみのとして組織
大かつ最も多様な形態をとる構成体である。学術的にき
を利用していたりなどである。本論文では、州とVSと
ちんとした調査が行われるようになったのはごく最近の
の関係において重要な研究課題となるのは、こうした問
ことであるが、それよりもずっと以前から、このセクタ
題ではないという立場に立つ。
ーはインドにおける社会経済的領域に対して、多大な貢
本論文における試みは、インドにおけるVSと国家と
献をしてきているのである。VSに含まれる様々な組織
の複雑な関係を理論的な立場から読み解こうというもの
は、人々の社会経済的ニーズの巨大なギャップを満たす
である。以下、本論は三つのパートから成っている。第
べく橋渡しをしている。それはたいてい巨大な経済と人
一のパートではVSの概念を簡単に説明し、それをイン
口が原因となっており、国家のような他の機関では効果
ドにおける文脈に適用する。第二のパートでは、国家と
的に行うことが不可能なのである。しかし、それらの活
VSとの愛憎絡み合った関係について、これまでの歴史
動には別の面も存在しているのも事実である。VSに含
を紹介する。そして最後に第三のパートでは、今までに
まれる結構な数の組織が、批判されるべき行動をとって
展開されている異なった諸理論に、国家とVSの関係を
いるのである(しかしそうした部分に関しては本論文で
当てはめ、検証したい。
−111−
政策科学9−1,Nov. 2001
Ⅰ.ボランタリー・セクター:その概念とイ
ンドの現状への適応
として社会的経済というものがある(Defourny, 1999)。
規範的なこの用語の使われ方は、大変広い使われ方をし
ているが、インドの状況とは二つの難点があるように思
VSとは、インドでは一般的に、制度化されている/
われる。それは、この言葉が異なった使われ方をする可
いない、人々の様々な社会経済的ニーズを満たすための
能性があることと、地域コミュニティにおける地域活動
1)
一連の諸活動を示す用語である 。そしてそれは、以下
のような、インフォーマルで、一時的な形態を除いてし
のような組織を含むものである。すなわち、協同組合、
まう可能性があることである。ヨーロッパにおいては社
NGO(非政府組織)、青少年団体のようなアソシエーシ
会的企業といった用語(Pestoff, 1998)もあるが、これ
ョン、セルフ・ヘルプ・グループ、政府の支援を受けた
ではますます制度上の体裁を整えたものに限定してしま
独立組織、様々なエスニックやカーストを土台とした組
う。そしてサード・セクターという用語(ISTR,
織、教育団体(Educational Societies)や、あまり制度
Defourny, 1992)もある。しかしこれは、インドでは既
としては確立されていないものの、効果的な組織である
に別のものを指す用語として使われているために、誤解
アクション・グループ(政治的・社会的なもの)や、地
を受ける可能性がある。
域活動などである。言い換えればインドにおけるVSと
それゆえに、インドの文脈でもっとも受け入れること
は、制度上に登録されている組織がまずその中に含まれ
ができる定義は、ボランタリー・セクター(VS)であ
るし、それ以外にも、非公式の組織や、登録されてもい
ると考えるのである。VSという単語には、制度で定め
ないし制度も存在していない活動も含まれる。こうした
られている組織も、そうでない組織も、公式な活動も非
諸組織は、組織構造も根拠法もまちまちであるにも関わ
公式な活動も、開発志向の活動もアドボカシー志向の活
らず、三つの共通点が存在していることを述べる必要が
動も、都市部での活動も農村部での活動も、個人による
ある。それはまず、これらの組織は利益を追求すること
活動もグループによる活動もコミュニティによる活動
が活動の中心的な関心ではないこと。次に、その活動が
も、それらの全てが含まれるのである。
「ボランタリー」
2)
でボランタリーであり、活動対象の人々の集
という単語は、ボランタリズムに基づく活動という意味
団的社会的な生活向上が目的であること。そして、国家
であることはもちろんだが、それに加え、利益を追求す
から資金的な援助や、その他の援助を受けていることで
ることが中心的な目的でないという意味も含むと考えら
ある。ある意味で、これらの団体は絡み合って存在して
れる。このように、インドにおけるVSとは、人々の社
いて、相互依存で諸団体がよりよくなる状態になってい
会経済的ニーズを満たすことを目的とした、様々な組織
ると言えよう。従ってこれら全ての組織を、一括りのセ
のことを意味している。
民主的
クターとして考えてもよいのではないだろうかと考え
る。社会政策の形成においても、共通のセクターとして
Ⅱ.国家の役割3)
見なすことが必要である。
インドの憲法は、経済のための開発ニーズ全てに対し、
では、インドのこのようなセクターをどのように定義
すべきなのであろうか。最も広く用いられているNPO
国家の直接的な役割を明確に定めている4)。それは促進
という定義(これは組織構造・意志決定の面からの定義
と規制の両方においての役割である。農業も工業も、ま
である―Salamon & Anhier, 1992, 1997)では、限定的
た、社会的活動であれ経済的活動であれ、国家は直接的
なものになってしまう。なぜならこの定義では協同組合
な役割を果たさなくてはならない。こうした直接的関与
やセルフ・ヘルプ・グループといった、当該セクターの
の原則をもった政策のもとで国家は成長への道筋をつけ
主要な担い手は、余剰の非分配という項目に該当しない
るとともに、同時に、それらの活動を規制していかなけ
ため、「利益を目的としない組織」ではない、という判
ればならない。こうした国家の役割はVSとの関係にお
断になってしまうためである。この定義を用いて行った
いても見られることである。
インドのVSに関する調査は、結局は役に立たないもの
このようなVSに関連した促進や規制の活動は、一般
であるという意見と同意見である(Sen, 1998)。また、
的に州政府によって行われるが、その指導は中央政府か
ヨーロッパで(本来はフランスで)用いられている定義
ら来る。海外資金のような、いくつかの規制的な活動は、
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「インドにおける国家とボランタリーセクターの関係」(桜井・川口)
直接的かつ独占的に中央政府が扱う。その一方、補助金
しい協同組合のための立ち上げ資金であるとか、指定カ
と予算の配分は州政府が行う(例えば年間予算における
ーストや指定部族 7)のメンバーに対する出資金の補助
開発関係の予算など)のと同様に、中央政府も行う(例
であるとか、事業のための運転資金貸与などである。現
えば五ヶ年計画のもとでの分配)。VSと国家の関係を祥
在、多くの州が必要な品を協同組合から購入している。
細に述べるにあたって、VS内の組織を5つの代表的な形
(しかし、いくつかの州では協同組合は不利益を被って
態に分類をしてみたい。それは協同組合、NGO、教育団
いる。というのは、政府には協同組合から購入した商品
5)
体、クラブやアソシエーション、地域活動である 。
に対しての巨額の未払い金があるからである。)いくつ
かの州では、税金を免除する政令(Government Orders)
1.国家と協同組合
を制定し、協同組合が免税措置を受けることができるよ
協同組合はインドのVSを構成する組織の中でもっと
うにしている。また、いくつかの州では、もし政府機関
も多い制度化された組織である。40万ほどの個々の組織
や外郭団体(quasi-government bodies)が必要な品を協
が存在し、2億人の組合員を抱え、4億ルピーの資本金を
同組合から購入する際には、優先的に指定入札を受ける
持つ。これは世界最大規模の協同組合ネットワークであ
ことができる政令を制定しているところもある。
る。中央政府・州政府とも協同組合に対し、支援を行っ
他方で、中央政府も州政府も、協同組合のネットワー
てきている。1904年、最初の協同組合法が制定され、そ
クを彼らの都合のいいようにコントロールし、利用しよ
の後、1912年に改正された。国家は協同組合を独立する
うとしている。実際、インドにおいては協同組合への干
よりもずいぶん前から認めていたことになる。第二次世
渉はとても多く、そのためにボランタリー性をほとんど
界大戦危機の間、協同組合は乏しい日用品を配給するの
失ってしまっている。(しかし、最近では多くの州が、
に効果的な手段と見なされ、国家はその国庫から資金援
より協同組合の自律性を強調した新しい法律を制定して
助を大々的に行い、消費者協同組合の設立を促した。
いるか、準備している8)。)各州政府が共通して行って
インド独立政府は、1947年の独立後、協同組合に対し、
いることは、完全な投票権を持った者を州が指名して、
農業・農村信用を行う役割を強調し、それゆえに農業協
協同組合の理事会(経営委員会)へ入れている。いくつ
同組合を推進した。そしてそれは現在、協同組合の中で
かの州では、州政府を代表する者が協同組合の最高経営
の最大のネットワークをつくり上げている。
責任者を担っている。政府の協同組合登録官は公務員で
全国協同組合法の制定によって、巨大な規模や全国レ
あるが、協同組合窓口の最高責任者は強大な力を持った
ベルでの協同組合が法的立場を獲得することが可能とな
神のようである。彼は、選挙で選ばれた協同組合の理事
った。いままでの五ヶ年計画(FYPs)全てにおいて、
をすげ替えることができる。また、協同組合を解散させ
協同組合を支援するための政策的・財政的方針が盛り込
ることもできる。実際、協同組合の理念や民主性を損な
まれている。中央政府は全国協同組合開発機関(NCDC,
う様なことを数多く行っている。
もちろん例外はある。すばらしい活動をしている協同
the National Cooperative Development Corporation)を
設立し、協同組合に対して様々な資金的援助を行った。
組合がいくつも存在している。例えばムンベイやデリー
イ ン ド 全 国 協 同 組 合 連 合 ( NCUI, the National
のような大都市で活動する消費者協同組合や、マハラシ
Cooperative Union of India)は財政支援を受け、全国協
ュトラの砂糖協同組合、グジャラシュの(酪農)牛乳協
同 組 合 教 育 評 議 会 ( NCCE, National Council for
同組合、南西湾岸地方の農業協同組合などである。彼ら
Cooperative Education)と全国協同組合養成評議会
は独自の政策を押し通し、組合員全体の生活向上に成功
(NCCT, National Council for Cooperative Training)を通
している。
じて教育と養成のプログラムを行った。1960年代に協同
組合は州政府リスト 6)に載り、それからずっと協同組
2.国家とNGO
合は各州政府によって取り扱われることとなった。ほぼ
インドのVSの中で、NGOは、歴史が浅いが、急激に
全ての州政府がそれぞれの州で抱える協同組合の活動に
成長してきた存在である。ボランタリズムの制度化がイ
ついて法制化した。今日においては、様々な方法で州政
ンドで行われたのは最近である。ヒンドゥー教はインド
府により、協同組合への支援が行われている。例えば新
では2000年をゆうに越える歴史を持った、インドで最も
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政策科学9−1,Nov. 2001
広まっている宗教であるが、その教えは、輪廻転生を通
たのはこの法制度であった。その後、国家はNGOの活
して、最終的に“モークシャ”(解脱)に到達すること
動に対して、ややリベラルな政治スタイルを取るように
での個々の救済を説いている。“モークシャ”への到達
すらなり、インドの政治制度の根幹をなすような価値に
は、“ニヤーヤ”(正義)と“ダルマ”(正義。慈善も意
反対する理念を持つNGOにさえ、その主張を間接的に
味する)を、輪廻転生を経ている最中の段階それぞれに
支援するようになった。現在では、州政府が、宗教的・
おいて、一心に信じ続けることによる。この宗教が個人
カースト的な基盤を持ったNGOの活動にさえ、財政的
を強調するため、ボランタリーな活動は個人的行為に留
支援を行っている無数の例が存在している。
まっていることが多い。しかしながら、いくつかのヒン
最も重要なNGOへの支援は、NGOの役割の国家の認
ドゥー寺院では、ダルマ、ないしダーナ(慈善)として
識枠組みから来る。国家のNGOに対する認識は、以前
の活動の一環として、コミュニティへの福祉活動を行っ
からずっと、彼らは開発の推進者であり、政府の一連の
ているところもある9)。歴代のヒンドゥーの王達は、あ
福祉制度を実行する機関であるというものである。この
る種の組織的なボランタリズムについて支援していた。
認識は結果的に二つの重要な支援制度に結びついた。第
例えばチャトラ(Chatras)という貧民のための宿舎に
一に中央政府はNGO支援のための補助金枠をつくった。
対してである。しかし、インドでは古い時代においては、
最初の五ヶ年計画(FYP)から、4000万ルピーという額
組織化されたボランタリー活動はそれほどみられなかっ
でである(GDI, 1951)。政府によるNGOへの資金援助は
た(Sen 1998)。初期のNGOのコミュニティへの福祉活
第七次五ヶ年計画から巨額になり、そのため、NGOの
動は、たいていカーストに基づいた組織であった。この
数は非常に増加した。(第七次と第八次の五ヶ年計画に
多くは南インドの多くの州で見られたが、チャトラ
おいて、その額はそれぞれ20億ルピー、75億ルピーに達
(Chatra)やヴィドヤルティー・ニラヤ(Vidyarthi
している)(Dinesh Shah、1985)。第二に、インドの政
Nilaya、学生寮)の形をとっていた。あるカーストの中
策担当者が常にNGOに信頼をおいて、彼らに重要な政
で裕福な地主や実業家になった者が、そのカーストの
策立案の相談をしてきている(Kochanek 1974)。ボラ
人々のために、そうした活動に資金を提供した。南イン
ンタリー組織は政策を形成するときのみならず、計画を
ド地方に伝わる過去数世紀の伝説は、このような施設の
実行する際にも協力をしている(Rohini Patel、1998)。
設立経緯について語っているもので溢れている。
国家のNGOに対する認識は、「地区レベル計画におけ
現在のNGOの形に近い組織化されたボランタリズム
の形は、宣教師によって設立された教会と、その後、ガ
るワーキング・グループに関するレポート」に詳細に描
写されている。レポートには次のような記述がある。
ンディー主義者たちが形成してきた。比較的早い時期に
「古来、我が国では、ボランタリー機関は人々の福祉を
おいては国家はこうしたVS組織に対し、支援も資金援
促進するために少なからぬ役割を担ってきている。地区
助をすることもなく、また、批判的な姿勢をとることも
レベル計画の策定チームは、計画の準備段階で彼らの地
なかった。イギリスからの政治的独立の後、インド政府
区のボランタリー組織に相談したり、積極的に協力を求
はNGOの促進と統制に強い関心を抱いてきた。NGOに
めるべきである。また、計画の実行段階でボランタリー
対する政策の第一段階は法人格の取得を認めることであ
組織が計画に必要な専門技術・知識や経験を持っている
った。これは諸州が既に持っていたインド財団法
と思われる部分に関しては、その部分の実行を任せるべ
(Indian Trust Act)やインド社団法(Indian Societies
きである」。
Act)への登録を認める形で行われた。現在活動してい
同時に国家は、NGOに対してある程度の疑い・不信
るNGOのほとんどが登録しているのはこの二つの法人
も持っている。このような国家のスタンスがはっきりし
格である。
たのは、1978年から1979年のジャナタ党(インド人民党)
中央政府もまた、NGOに行われる寄付に関しての部
政権の敗北とインディラ・ガンディーの政権復帰であ
分的・全体的な免税措置を所得税法のもとで法制化し
る。この時に、政争として端を発したにもかかわらず、
た。これはNGOが法的要件をクリアーしていることを
かなりの数のボランタリー組織が、ガンディーの非常事
前提に、そのNGOに寄付した寄付者にメリットがある
態宣言に対する戦いを支援していた。この影響が徐々に
制度である。インドでのNGOの増加の第一段階を招い
国家の政策にも反映してきて、それが現在に影響してい
−114−
「インドにおける国家とボランタリーセクターの関係」(桜井・川口)
る。そうしたNGOへの統制手段の中で、最も影響力の
に支援することは役にたつと考えている。なぜなら政府
大きなものは外国寄付規制法の法制化である。これは
としては、もしそれがなければ応えなければならなかっ
NGOが受けた寄付に対し、非常に厳しい監視を付ける
たはずのコミュニティにおける福祉ニーズに対して、そ
ことができる。また、大企業家が税金を逃れるために作
うした教育団体が部分的にでも応えているからである。
ったNGOや、分離独立主義者を支援するNGOや、自然
環境保護の名の下に政府の開発計画を妨害するNGOな
4.国家とアソシエーション
どに対する諸手段が講じられている。このことは、
数多くのアソシエーションがインドのVSの一角を占
NGOが政府から“ひとつまみの塩”としてみられてい
めている。これらは概して活動範囲が小さな範囲に限定
ることを意味している。
されていたり、活動内容も固定されたものになっている
過去数十年におけるインド政府によるNGOへの援助
公益的な組織である。サンガ(Sangha、サンスクリッ
や規制は、全体的には前向きなものであったので、結果
ト語でアソシエーションと同意語)やそこから派生した
的にここ20年でNGOは爆発的な増加をみたと考えられ
組織が一般的に知られているが、そうした組織のほとん
る。
どは団体法に登録されている。彼らは地域コミュニティ
の中で活動している。これらのアソシエーションは普通、
3.国家と教育団体
以下のようなものである。すなわち、ユバカ・サンガ
教育団体は、密接に国家によって支援され、統制され
(Yuvaka Sangha)、またはユバカ・マンダラ(Yuvaka
ている別のVS組織である。このような組織はインド中
m a n d a l a 、 青 少 年 団 体 )、 ユ バ テ ィ ー ・ マ ン ダ ラ
に存在しているが、教育は州権限の中に入るので、州に
(Yuvathi Mandala、青少年女性団体)、マヒラ・マンダ
よって支援や関与の仕組みがまちまちになっている。州
ラ(Mahila Mandala)、またはサマージ(Samaj、女性団
と教育団体の関係について、以下では特にカルナータカ
体)、サルバヤニカ・サンガ(Sarvajanika Sangha、公益
州に存在している状況に沿って論を展開するが、これは
団体)、ナガリカ・ベディケ(Nagarika Vedike、市民会
他の州の状況にもだいたいあてはまると考える。
議)などである。こうしたアソシエーションの中には、
政府が直接運営する学校・大学以外にも、営利団体や
名前に込められた目的で活動している団体もある。例え
非営利団体が運営する教育団体が無数に存在している。
ばナガリカ・サムダヤ・セバ・サンガ(Nagarika
教育団体に対して補助金を出しているケースが数多く見
Samudaya Seva Sangha、地域支援活動市民団体)や、
られる。(ただし、カルナータカ州ではすでに1990年前
サンジェッタ・サブハ(Sangeetha Sabha、音楽団体)
後に、新たに資金援助の必要を求める教育団体の承認を
や、ナタカ・サンガ(Nataka Sangha、演劇団体)など
ストップしている。)最も重要な補助金はスタッフの人
である。同様なアソシエーションが、スポーツや民族芸
件費に対するものである。教育団体は全ての意志決定を
能の活動などの多様な分野で形成されており、それぞれ
選ばれた人々が行い、一般的にインド団体法に登録して
地域コミュニティのニーズを満たすために活動してい
いるVS組織であるけれども、そのスタッフの給料は州
る。
政府によって支払われる。この場合の州の統制のメカニ
これらのアソシエーションは、各州政府からの優遇政
ズムは、政府が提案・承認したカリキュラムを教育団体
策や財政支援を受けている。ほとんどの州では、社会福
が執行し、政府が定めた授業料や教職員の給料の規定に
祉と女性福祉と青少年福祉はそれぞれ別の省で扱ってお
従わせるといったものである。教育団体が政府に定めら
り、それぞれの省の部局によってアソシエーションに対
れた科目以外の教育・訓練プログラムを行うことは全く
する効果的な財政支援施策が計画され、執行されている。
自由である。しかし、それに対して政府は全く支援をし
多くの州がアソシエーションの年間活動を評価すること
ない。インドには様々な教育訓練プログラムを行ってい
によって、活発なアソシエーションを認識し、賞する制
る教育団体が、小学校から大学院まで、また、専門学校
度を設けている。
も含め、無数に存在している。実際のところ、南インド
多くの場合、州の補助金の金額は大変少額であるので、
の諸州ではこうした教育団体の広がりによって、より高
協同組合やNGOの場合に比べてコントロール機構はあ
い識字率を達成している。政府はこれらの組織を部分的
まり厳密ではない。全ての公式な(登録された)アソシ
−115−
政策科学9−1,Nov. 2001
エーションは、指定された公認会計士によってその会計
Swaraj、自給自足的/自助的農村コミュニティ)の典型
の監査を受け、毎年その結果を政府の地域事務所に提出
的な姿である。農村地域で、例えば村にある池に溜まっ
することが求められている。
た泥を取り除く作業など、地域のための活動を自分たち
で行っている団体が数多く存在している。こうした判断
5.その他の活動
は、長く存在している地域活動システムによるものであ
インドのVSには、多くの個人やグループの活動も含
ったりとか、自分たちのことは自分たちでやろうという
まれる。なぜこれらの活動を“その他”として分類する
モチベーションであったりとか、彼らのニーズが国家に
のかというと、こうした団体は法で定められた地位を得
よって満たされていない不満による。極めて興味深いの
ていないことが主な理由である。その中でも特に、セル
は、このような地域活動が多くの場合、その地域で貧困
フ・ヘルプ・グループと地域活動についてここでは述べ
者たちの住居を建設することや、共同農場をつくったり、
ておきたい。
紛争解決の場を設けることなどにまで及んでいることで
ある。政府にはこうした地域活動に対して全体的に関与
a
セルフ・ヘルプ・グループ
するような諸機関は存在しないが、積極的に支援をする
セルフ・ヘルプ・グループは、一般的にマイクロ・ク
立場をとっている。例えば、地方政府が村に道路を敷設
レジット組合(小規模信用組合)であるが、そうした団
するのが資金的に困難な場合、その村は自発的に呼びか
体は一緒に働くことから物品の製造・販売までも、マイ
け、必要とされる資金を融通し、残りの部分を地方政府
クロ・クレジット以外にも主要な事業として行っている
が出すように申し出る。そうでない場合には、その村の
場合が多い。セルフ・ヘルプ・グループのいくつかのと
団体は村の労働力を供給し、政府に材料の負担のみをす
ころは何らかの法的な資格を有していることがあるが、
るよう提案する。これらの場合、政府機関は積極的にそ
多くは無認可・無登録のままである。概してこれらのセ
うした提案に応える。このように地域団体は時折、政府
ルフ・ヘルプ・グループは、NGOや協同組合や、時に
機関と協働関係を形成し、時には自立的な活動がインド
は民間銀行さえもが支援をしてつくられるのだが、その
の多くの村々を助けてもきたのである。
セルフ・ヘルプ・グループは独立して活動する。興味深
い点は、こうしたインフォーマルな団体に対してまでも
国家は包括的な支援を行っていることである。国家や銀
Ⅲ.インドにおけるボランタリーセクターの
位置
行が資金援助をセルフ・ヘルプ・グループに行う際、多
くの場合は安全を期するために、彼らのスポンサーとな
このようにインドではVSへの国家の関与が緊密なの
っているNGOを通して資金を提供する。NGOにその資
であるが、そのVSの出現と活動の持続の理由をどのよ
金の回収義務を持たせるのである。しかし、セルフ・ヘ
うに説明するべきなのであろうか。そこで再び、主に西
ルプ・グループがグループ貸与という枠組みのもとで、
洋を起源とし、一般的にこのような現象を説明するため
直接的に資金貸与を受けたり、補助金をもらうケースも
に用いられてきた、少なくとも半ダースはあるであろう
多数存在している。そしてこうした資金は、グループ内
理論やモデルに目を向けてみたい。それらの一部は、イ
での再貸し付けのための流動資金としても、特定の活動
ンドにおけるVSの存在を部分的には説明できるけれど
のための投資としても使用することが認められる。一般
も、多くのものは説明できない。60年代の経済学理論で
的に国家によるセルフ・ヘルプ・グループへの関与はや
ある交換理論は(Salisburg, 1969)、VS組織の出現の理
や希薄なものである。ただし、資金を借りている場合は、
由はVS組織とその受益者との間の隠れた交換によるも
その借り手としての規律によってつながれていると言え
のであると主張している。利益の相互性が促進理由とし
よう。
て働いているとする。しかしこの理論はインドにおける
文脈には適用できない。なぜなら、VS組織の受益者グ
s
地域活動
ループは一般的には貧しいため、彼らはVS組織に対し
地域活動は一般的に農村部で多く見られ、それらはガ
ンディーの考え方に基づく「グラム・スワラジ」(Gram
て何の利益も与えてはおらず、相互利益を生んではいな
いからである。「契約の失敗」もしくは「市場の失敗」
−116−
「インドにおける国家とボランタリーセクターの関係」(桜井・川口)
理論(Hannsman, 1979/80)は、VS組織の出現について、
あってこそであった。そのためインドにおけるVSの存
人々が物やサービスの供給者としての民間企業に信用が
在は、大きく次の三点から議論を行うことができると考
おけないために、これらの組織を意識して選ぶようにな
える。それは、a国家は自身の福祉サービスの供給者と
ったからであるとしている。しかしインドの消費者の多
しての能力と限界に気づいており、協働できる存在とし
くは字が読めないため、この理論を正しいとするのは困
てVSを求めていた。また、s国家はVS内の組織が、あ
難である。また、VSセクターは明示的・非明示的に資
る種のサービスにおいては唯一適した供給者であるとい
金とモチベーションを様々に与えられているために存在
うことを明らかに意識し、受容している。aとsの結果、
するという補助金理論(Fama and Jansen, 1994)は、
d多様なタイプのVS組織が生まれ、育つように、国家
VS出現の理由を部分的に説明している。文化的多様性
はそれを促す環境をつくっている。しかし、国家との関
理論(James, 1987)では、VSは一般的な形態の組織で
係が緊密であることが、インドでのVSに一定の否定的
は満たされることのなかった、文化的なサービスを求め
な面を生んでいることも認めなければならない。
る需要によってつくられた存在であるとしている。この
理論は現状をほぼ説明しているが、積極的にVSを設立
おわりに
し、維持している国家の役割は説明できない。
インドの研究者たちは、以上のような諸理論の適用可
能性については多様な意見を持つ。Sen(1998)は、文
今後のインドにおける国家とVSとの関係分析に寄与
すると思われる点を、以下に記述しておく。
化的多様性理論がインドの状況に対して最もよい説明を
与えているとしているが、Patel(1998)は、全ての理
1.国家は福祉政策を実施する過程で、VSの様々な組
論は部分的にしか適用できないと考えている。確かに、
織と、積極的に協働したり、または依存したりしてい
あらゆる社会はその社会経済的目的を達成するのに適し
る。国家がVSに依存していることは、協同組合(再
た組織を選択している(Weisbrod, 1988)。VSの出現と
分配の推進)、NGO(農村開発と啓発)、そして教育
存在を特定の文脈で明確に説明しておくことは、VSを
団体(識字率の向上)との関係において、密接である。
研究分析するためだけでなく、政策を形成するためにも
こうした協働の事例は、その他のVSに含まれる組織
重要な要素となってくる。インドの例から、VSが社会
とでも同様に見られる。重要な点は、独立後のインド
的ニーズを満たすために形成されたとする説は疑う余地
において、国家はVSとの協働については決して否定
がない。この点において文化多様性理論はVSの出現を
的ではなかったということである。
明快に説明していると言える。しかし気をつけなければ
ならないのは、このセクターの形成にあたって、国家が
2.国家は徐々にVSを制御するための法制度を整えつ
意識的な旗振り役を務めているという点である。従って、
つある。これらの枠組みの土台は、いぜんとしてイギ
インドにおけるVSの出現と存在は、こうした国家の意
リス統治時代から引き継いでいるものが残存している
識的、積極的な役割を理論的に明らかにしておかなけれ
が、国家は時期に適した法律の準備に強い関心を抱い
ば説明できないと考える。
ている。このようなVSに関連する政府の対応は多く
国家のVSに対しての政策をつぶさに観察すれば、独
の先進諸国に比べ、やや緩やかなものであるが、イン
立後のインドにおいて、VSの成長が国家から完全に独
ド政府としては、このセクターの強化のためにはそれ
立してなされたものではないことは明らかである。国家
が中心的な政策課題であると見なしている。
は、巨大で多様な地域コミュニティの福祉ニーズを完全
に充足するためには、彼らのみでは不可能であることに
3.このような国家の積極的な姿勢にも関わらず、奇妙
気づき、認めたのである。政府内の政策立案者は、福祉
なことに、VSそのものを具体的に定義するような政
ニーズを一定量まかなうためには、VSという組織形態
策が中央政府レベルでも州政府レベルでも未だにつく
が理想的であると確信している。それゆえに国家はVS
られていない。協同組合が国のほとんどの重要な政策
を意識的に促進したのである。過去20年間でのこのセク
の展開に関与してきたことは明らかなのに、今日まで
ターの成長は、明らかに促進役としての国家との関係が
「協同組合政策」はどの州でもつくられていない。唯
−117−
政策科学9−1,Nov. 2001
一の主要な政策として、中央政府が1992年につくった
にもかかわらず、インドにおいて教育のある人々の間
協同組合に関するモデル法が存在している。また、国
では、将来、VSは重要な役割をますます担うであろう
家がNGOに対して何らかの政策的方針を打ち出した
という認識が広がっている。このセクターへの関心は学
のは、第七次五カ年計画の後になってからである。こ
術的にも行政的にも高まってきている。実際、10億人の
れはおそらく、政策立案者がいつまでVSとの協働を
人口と巨大な二重経済から起きている多様な問題群への
続けていくのかということに関して、確信が持てなか
解決をより効果的に行える存在は、VS以外に今のとこ
ったからではないかと考えられる。いつの日か、国家
ろ無いのである。
は、完全な社会主義国家となって、その中にVSも含
まれるという考えがあったのではないかと思われる。
注
4.国家によるVSへの資金援助はインドでは一般的に
1)インドでは多様な用語が使われている。ボランタリー・ア
ソシエーションズ、ボランタリー・オーガニゼーション、ピ
見られるものとなっている。今日においても、VSが
ープル・オーガニゼーションなどの用語がVS全体を指して
受けている資金援助の70%以上は州から直接のもので
使われているのに対して、時にはNGO、ボランタリー機関な
ある。特記すべきことは、NGOの場合は、海外から
どもインドで同じものを指して使われている。
の資金援助が拡大しているものの、この状況は国家も
インドの世論もあまり好ましいと考えてはいないとい
2)VSに含まれるほとんどの組織は、1860年のインド社団法
うことである。他方では、政府は国内法人や在外イン
(the Indian Societies Act、法律の修正や適用に関してはそれ
ぞれの州が行う)に登録された組織であるので、本来的に民
ド人からの資金提供を増やすなどの並々ならぬ努力を
主的である。1880年にできたインド財団法(the Indian Trust
してきている。
Act、Trustとは財団に似たもので、永続的な管財人となる)
に登録している団体の多くでも、選挙で選ばれた理事会を設
5.インドにおけるVSの発展に国家が密接に関わって
けているのが普通である。
きたことは、同時にこのセクターが政治化されてきて
いることをも意味する。協同組合はVSの中で最も政
3)国家という言葉は、政府と同意義で用いる。必要があると
きに限り、中央政府、州政府と明記する。
治的な組織である。最近の傾向では、NGOが政治的
な潮流の中で現れてきている。ほとんどの政党は
4)インド憲法においての国家の指導原理は、中央政府は人々
NGOに対しての間接的なコントロールを始めている。
の社会的・経済的なあらゆる場面でよりよい生活ができるよ
これらのNGOでは、何とかして州の資金援助を受け
うになるように、全ての経済分野において促進と規制の役割
たいと考えているし、同時に、関連している政党と、
を演じるべきとしている。国家があらゆる分野において、直
そのイデオロギーを広めることを努力している。連立
接的な役割を果たすことは憲法で認められている。
与党の主導的立場にあるジャナタ党は、ほとんど全て
の社会経済的側面において、NGOのネットワークを
5)この分類は試案段階である。多くの国が、これらの組織に
対しての支援や規制のプログラムを明示しているので、別々
広げている中心に存在している。
に分類するためにこれらが選ばれた。これらの組織を重要な
ものから順位付けしているということではない。実際には、
6.しかしもう一つ、国家のVSへのサポートに関して
セルフ・ヘルプ・グループがインドのVS組織の中では最も
重要な存在であるようにみえる。
警告しておかねばならないことは、NGOが急増して
きていることである。これらの幾つかは州の資金援助
の分け前を得るためだけにつくられている。かつて第
6)国家が関与する主な社会経済的問題は、三つのリストに分
七次五カ年計画において、NGOへの資金援助の分配
けられている。それらのうち、中央政府の権限下にあるもの
は中央政府リストに分類され、主に州政府の権限下にあるも
が公表されて以降、インドでは登録NGO数が急激に
のは州政府リストに分類され、中央政府と州政府との合意に
増加してきている。これらのNGOは、民衆のセクタ
よって、お互いが関与することになっている分野については
ーとしてのVSの信頼性を著しく損ねている。
競合リストに分けられる。
−118−
「インドにおける国家とボランタリーセクターの関係」(桜井・川口)
7)指定カースト(Scheduled Caste)や指定部族(Scheduled
3.Fama, E., and E. Jensen, (1994) "Separation of Ownership
and Control' Journal of Law and Economics, 26, pp 301-26.
Tribe)は、長い間、社会的経済の権利を奪われてきたため
に貧困な人々のグループである。インド憲法では、こうした
4.GOI, (1951) Draft First Five-Year Plan Document, New
人々に対して特別な一連の支援政策がある。従って、州政府
の中には、これらの人々に対して、協同組合に加入するため
Delhi, Planning Commission.
5.GOI., (1978) Report of the Block Level Planning, New Delhi,
の出資金を負担しているところも多い。この方法はそれらの
人々が協同組合活動へ参加することを後押ししている。
Planning Commission.
6.Hannsman, H., (1979/80) "The role of Non Profit
Enterprise", Yale Law Journal, 89, pp835-901.
8)1992年、中央政府は、協同組合を真のボランタリー組織に
7.James, Estelle., (1987) "The Nonprofit Sector in
する新たな法律であるモデル協同組合法(Cooperative Act)
Comparative Perspective" in W. Powell (Ed) The Nonprofit
を公表した。しかし、州政府はこの法律を受け入れなかった。
この新しい法を初めて取り入れたのは、アンドラ・プラデシ
Sector: A Research Handbook, New Haven, YUP.
8.Kothanek, Stanely A., (1974) "Business and Politics in
ュ州の相互扶助協同組合法(Mutually Aided Cooperative Act,
1994)である。それにならい、カルナータカ州とビハール州
India", Barkely, UCP
9.Patel, Rohini., (1998) "Voluntary Organizations in India:
も同様の法律を制定した。その他の州ではそれぞれである。
Motivations and Roles' in Dantwala, M. L., Harsh Sethi and
新しい法律は、以前からの法律としばらく並行して施行され
Pravin Visaria (Eds) Social Change through Voluntary Action,
ることになる。それらの新法で登録している協同組合は、政
府の干渉から自由であるが、その反面、政府の支援の対象外
New Delhi, Sage.
10.Pestoff, Victor. A., (1998) "Beyond the Market and State",
にもなる。
Eng/USA, Ashgate.
11.Salamon, Lester M., and Helmut K Anheier (1992) "In
9)多くのヒンドゥー教寺院では、地域開発のための援助事業
Search of the Non-profit Sector I: The question of definition",
を恒常的に行っている。教育に焦点を絞って活動していると
Voluntas 3(2), pp 125-51.
ころもあれば、ヘルスケアのための活動に取り組んでいると
12.Salamon, Lester M., and Helmut K Anheier (1997) "Defining
ころもあり、様々である。南インドの宗教拠点として有名な
the Non-Profit Sector: A cross national analysis", Manchester,
ダルマスターラ(Dharmasthala)が顕著な例である。ここで
は100年以上に渡って、パナシェ・ダーナ(Panache Dana、
MUP.
13.Salisburg, Robert., (1969) "An Exchange Theory of Interest
五つの慈善活動)に定めた活動に従事している。その五つと
は教育、健康、食事、衣服、仲裁である。
Groups" Midwest Journal of Political Science, 13(1), pp 1-32.
14.Sen, Siddartha., (1998) "The Non Profit Sector in India" in
Anheier, Helmut K., and Lester M Salamon, The Non Profit
Sector in the Developing World, Manchester, MUP.
参考文献
15.Shah, Dinesh., (1985) "Voluntary Agencies in the Seventh
1.Defourny, Jacques and Jose L. Monzon Comlos (Eds) (1992)
Plan", Voluntary Action, 27(9-10) p259.
16.Weisbrod, Burton A., (1988), "The Non Profit Economy",
"Economic Sociale - The Third Sector", Brussels, De Boeck.
2.Defourny, Jacques, Patrick Develtere and B. Fontencau
(1999) "L'economic Social au Sud", Brussels, De Boeck
−119−
Cambridge, HUP.