第1 章 自作パソコンの基本 パソコンの自作の メリット・デメリット 組み立てが不要、保証もあるのがBTOパソコンの大きな魅力といえますが、自作 パソコンには、予算や目的合わせて自由にパーツを選べるという、とても大きなメ リットがあります。BTOパソコンでもパーツを選んで注文ができるとはいえ、その 種類には限界があります。その一方で、自作パソコンならば、どのパーツを使うの も自由です。低予算を追求することも、グラフィック性能にこだわることもできま 1990年代に比べてコストパフォーマンスの面での魅力は薄れているパソコン す。また、必要なパーツは全国のパーツショップのほか、インターネット通販でも の自作ですが、予算や目的に合わせて膨大なパーツから自由に組み合わせられる 手軽に購入が可能です。全国のどこにいても入手が困難になることはありません。 メリットは健在です。その柔軟性こそが自作パソコン最大の魅力といえます。 自分だけのパソコンを作れるのが、自作最大の魅力といえるでしょう。 自由にパーツを選べる楽しみが大きな魅力 パーツ交換で長く使えるのもメリット パソコンの動作に必要なパーツをそろえ、自分で組み立てるのが「自作パソコン」 パーツ交換の柔軟性も自作パソコンの大きなメリットです。CPUやグラフィック です。1990年代の後半に大ブームとなりましたが、その最大の理由は圧倒的なコス ボードは世代の移り変わりが早い一方で、パソコンケースやBlu-rayドライブなどの トパフォーマンスでした。同性能の大手メーカー製パソコンに比べ、数万円以上安 光学ドライブ、電源ユニットは性能の変化がゆるやかなパーツです。そのため、一 く組み上がることが当たり前だったのです。 度自作パソコンを完成させれば、パソコンケースや光学ドライブはそのままに、グ しかし、現在ではパソコンの価格が大きく下がったのに加えて、 大手パーツショッ ラフィックボードだけ新しいものに交換するなど、自分が求める性能だけをピンポ プや中小のパソコンメーカーが手がけるBTOパソコンが増え、価格的なメリットは イントでアップさせることができます。また、アップグレードの際に余ったパーツ 薄れています。ちなみにBTOとは、「Build to Order」の略称で注文に応じて作ると を他のパソコンに流用して、家族用のパソコンやサブのパソコンを安いコストで作 いう意味です。BTOパソコンは、注文に応じて汎用パーツの組み込みを行い、出荷 ることも可能です。 するというケースがほとんどであるため、“準自作パソコン”と呼べる存在です。 その一方で、パーツ単位の保証はあっても、自作パソコン全体の動作に対しては 保証がないのがデメリットといえます。自作パソコンの組み立て自体はそれほど難 しくありませんが、完成後に正しく動作しない場合の原因を自分で見つける必要が あります。とはいえ、パーツ同士の相性によるトラブルなどは、昔に比べてずっと 少なくなっています。配線など接続ミスにさえ注意を払えば、大きな問題が起きる ことはほとんどありません。 ▲目的に合わせてパーツを自由に組み合わせられるのが最大のメリット 016 ◀CPUだけを交換するなど、 メーカー製パソコンに比べ てアップグレードしやすい のも魅力 017 第1章 自作パソコンの基本 01 第1章 自作パソコンの基本 第4 章 グラフィックカード、モニター、ケースの選択 01 グラフィックカードの 選び方 ● 3DMarkFireStrike のベンチマーク結果 Corei5-4670K 815 GeForceGTX760 とても選択肢が多いのがグラフィックカードです。微妙に性能が異なるものが現 RadeonR9280X 5962 7402 行モデルだけも30製品以上あります。ハイエンドが必要なのか、あるいはロー エンドで十分なのか、目的と予算を考えてマッチしたものを選びましょう。 上図はCPU内蔵グラフィック機能と、アッパーミドルと呼ばれるミドルレンジの なかでもハイエンドに近い性能を備えるグラフィックカードとの3D性能差を示し CPU内蔵のグラフィック機能との違いを知る たものです。圧倒的に違うのがわかります。 インテルもAMDもCPUにグラフィック機能を内蔵しているのが当たり前となっ ています。そのため、映像をディスプレイに出力するという点では、グラフィック カードは不要な時代といえるでしょう。搭載する端子に関してはマザーボード側で グラフィックカード選択のポイント 決まるものの、CPU内蔵のグラフィック機能はDVI、HDMI、DisplayPortなど主要 グラフィックカードはとにかく製品数の多いパーツです。GPUと表記されること な出力端子をサポートしています。グラフィックカードの魅力であった動画再生支 が多いグラフィックカードの頭脳といえる「グラフィックチップ」は、現在市場にあ 援(動画のエンコードなど)についても、CPU内蔵のGPUにサポートする機能が搭載 る製品だけでもハイエンドからローエンドまで合わせて20種類を超えています。 されています。機能面については、グラフィックカードの優位性はほとんどなく GPUの選択はもちろんのこと、製品ごとに静音性や耐久性に差があるなど、選択 なっています。 がもっとも難しいパーツの1つといえます。それだけに、どのようなシーンで必要 その一方で、圧倒的に差があるのは「3D性能」です。今では、CPU内蔵のグラ なのかハッキリと知ることが重要です。 フィック機能も簡易な3Dゲームであればプレイ可能なレベルになり、ローエンドな 基本的に、ミドルレンジ、ハイエンドと高性能なGPUは、3Dゲームをプレイした グラフィックカードとの差はなくなりつつあります。しかし、ミドルレンジ以上の い人にしか必要ありません。GPUは移り変わりの激しいパーツだけに、価格帯を目 グラフィックカードとは、数倍の性能差があります。最新の3Dゲームを快適にプレ 安にして選ぶのが無難です。具体的には「2万円前後」が目安となります。この価格 イしたい場合は、まだまだグラフィックカードは必須といえるパーツです。 帯の製品は基本的にミドルレンジのGPUを採用しているので、最高画質を追求しな い限りは最新の3Dゲームも快適にプレイできます。プレイしたいゲームが決まっ ● CPU 内蔵グラフィック機能の主なスペック 内蔵 GPU グラフィックカード、モニター、 ケースの選択 HDGraphic4600 主な搭載 CPU ブーストクロック 動画再生支援 エンコード支援 ている場合は、そのゲームの推奨環境を見て決めるという方法もあります。 1.1 〜 1.2GHz ○ ○ なお、ローエンドのグラフィックカードの存在意義はCPU内蔵のグラフィック機 HDGraphic4400 LGA1150 版 Corei3 (一部) 200 〜 350MHz 1 〜 1.15GHz ○ ○ 能の性能向上で薄れつつあります。しかし、CPU内蔵のグラフィック機能はグラ HDGraphic4000 LGA1155 版 Corei7 650MHz 1.05 〜 1.15GHz ○ ○ HDGraphic2500 LGA1155 版 Corei3 650MHz 1.05 〜 1.15GHz ○ ○ フィックの描画にメインメモリを利用するため、使用できるメインメモリが少し HDGraphic LGA1150/1155 版 Pentium/Celeron 200 〜 350MHz 1.05 〜 1.2GHz ○ × 減ってしまうデメリットがあり、3D性能もローエンドのほうが若干上というケース RadeonR7 A10-7850K/7750K 720MHz - ○ ○ が多いため、導入がまったく無意味ということはありません。このほか、グラフィッ 844MHz - ○ ○ 800 〜 844MHz - ○ ○ RadeonHD8470D A6-6400K 800MHz - ○ ○ RadeonHD8370D A4-6300 760MHz - ○ ○ RadeonHD8670D A10-6xxx RadeonHD8570D A8-6xxx 090 コアクロック LGA1150 版 Corei3/5/7 200 〜 350MHz クカードには人気ゲームやゲームのプレイ動画を保存できるツールなどが無料で付 属することがあるのもポイントです。 091 第4章 グラフィックカード、モニター、 ケースの選択 第4章 第5 章 / UEFI の設定と BIOS ユーティリティ BIOS / UEFI の設定 UEFIは自動的に最適な状態へと設定してくれるため、何もしなくても問題なく動 基本的なチェック項目 ❶ UEFIInformation UEFI のバージョンが表示される。最新のバージョンは、メーカーの Web サイトで確認ができる ❷ CPUInformation CPU の型番や動作周波数が表示される ❸ MemoryInformation メモリの容量や動作周波数が表示される ❹ SystemDate、SystemTime システム時計の日時と時間が表示される。OS インストールを行うと正し い時刻に修正される 第5章 / UEFI の設定と BIOS ユーティリティ 02 第5章 BIOS / UEFIの設定とユーティリティ 作することがほとんどです。しかし、各ハードウェアが正しく動作しているか、 また性能がしっかり発揮できているか確認しておくことは大切です。 CPUやメモリが正しく動作しているか確認する ここからはASUSTeKのZ97チップセット搭載マザーボードのUEFIを例にチェッ ハードディスク/ SSDの動作モードを確認する SerialATAコントローラーの設定は「AHCI」「IDE」「RAID」の3種類がありま す。接続しているハードディスクやSSDなどのストレージの性能を発揮するには、 通常「AHCI」に設定する必要があります。 クすべき項目を解説します。まず、「UEFI」メニューを表示して行いたいのが、各 「IDE」は古いハードディスクやOS向けの設定で、現在のストレージデバイスと 種ハードウェアが正しく認識されているかどうかの確認です。ほとんどのUEFIは Windows 8/8.1では使用しません。通常はAHCIに設定されているはずですが、念の トップ画面にCPU、メモリの動作状況が表示されます。 ため確認しておきましょう。またRAIDを組む場合は、 「RAID」に設定します。RAID メモリの容量が少なければ、しっかりとスロットに挿し込まれているのか確認し の詳しい解説は第7章のP.174を参照してください。 ましょう。CPUの名前が正しくない場合は、UEFIのバージョンが古く、新しいCPU を認識できていない可能性があります。その場合は、P.129を参考にUEFIをバー ジョンアップしましょう。 ❶ ❷ ▲このUEFIの場合、 「Advanced」メニューの「PCH Storage Configuration」の「SATA Mode Sele ction」で設定を行う。 「AHCI」に設定すれば、SSD/ハードディスクの性能を発揮できる Fast Bootを有効にする Windows 8/8.1には、ドライバの読み込みやシステムの初期化など、旧OSでは起 ❸ 動時に毎回必要だった処理を省き、起動速度を大幅にアップさせる「ハイブリッド ブート」という仕組みが搭載されています。この起動の高速化を最大限発揮するた めに必要なのが「Fast Boot」を有効にすることです。かなりの起動高速化につなが ❹ るので、有効になっているのか確認しておきましょう。 ▲メモリの容量が正しいか、CPUが正しく認識されているかのチェックは、 「Main」メニューで行う 124 125
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