発行者:JAAC 日米学術センター 10 月号 2007 年9月 15 日発行 “日本の MBA ブームの背景と求められる MBA 取得者の役割” (連 取得者の役割” 載 ②) 今、再び MBA(経営学修士号)が注目を浴びている。2003 年頃ごろから第 4 次 MBA ブームと呼ばれるトレンドが起き、米国のトップビジネススクールや海 外のビジネススクールへの留学の再燃に加え、社会人を対象とした日本の大学や経営大学院が実施する、いわゆる「夜間ビジネススクール」への入学者が増えてい る状況である。ここで、日本社会における MBA ブームの変遷を、その年代とともに振り返ってみたい。第一次 MBA ブームは 1970 年代初期頃から 1980 年代終 わりにかけて、大手商社やメーカー、金融・証券業界をはじめとする大手企業や官公庁などが中心となり、男性社員(職員)を社費(公費)により米国のビジネス スクールに挙って留学させた時代である。1990 年代に入ると、日本では実力を発揮してもなかなか(企業に)評価してもらえない女性による自費での海外ビジネ ススクールへの留学が顕著であった。特に、この時代に“キャリア・アップ”なる言葉が生まれたことは記憶に新しい。この時期を第二次 MBA ブームと称してい るようだ。そして、第三次 MBA ブームは 1990 年代後半から 2000 年初頭にかけて起きた、自費による日本国内のビジネススクールへの入学者の急増に特徴づけ られる。各年代とそのブームとには、それぞれの時代の社会背景が大きく影響している。この場合の社会背景とは、日本国内のものだけを言うのではなく、国際社 会における政治、経済、文化と言った様々な情勢を指すものである。 第一次ブームと称される社費(公費)による留学が大多数を占めていた時代は、企業が大学新卒者を主として採用し、その企業独自の文化を背景にした熟練者を 育てるための従業員教育を施すことが主流であった。これを「企業特殊的熟練(ファーム・スペシフィック・スキル) 」と言い、かつては、これが日本企業の競争 力の源泉であったのだ。つまり、会社と従業員との一体感を基に企業力を強めてきた「日本的経営」と言われるものである。1981 年に当時(同現)UCLA で教鞭 を執っていた William G. Ouchi(ウィリアム G・オーウチ)によって提唱された「Theory Z」 (Z 論)の中で、この「日本的経営」理論と手法が紹介された。アメ リカ型企業経営者のみならず、世界の企業経営者達がそれに注目し、その導入方についての研究が行われた。これは、先に MIT 教授を務めた Douglas M. McGregor (ダグラス M. マクレガー(1964 年没) )が、その著書である「企業の人間的側面」の中で提唱した「Theory X, Theory Y」 (XY 論)に対する、新たな企業経営の アプローチを示したものである。 W.G.オーウチは、 組織社会学の分野において民族社会学的方法論と比較文化論とを用いた経営手法を提案した研究者の一人である。 やがて、バブルが崩壊し第二次ブームを迎えることになる。多くの企業では、それまでの社費(公費)による海外留学制度を中止、あるいは廃止し、さらには終 身雇用制度の見直しや撤廃が起り始めた。そこで、企業は即戦力となる高度なスキルを持ち合わせている社員を求め、従業員も求職者も自分への投資を行い汎用性 のあるスキル(技能)を求めて多くの者達が海外を目指したのである。そして、このブームに乗るかのように、また、優れた人材の頭脳流失を防ぐ目的においても、 多くの日本の大学がビジネススクールや経営大学院を設置し、社会人のための MBA 講座を開設してきた。これが、第三次ブームと言われている現象である。 第四次ブームの成熟期を迎えた現在では、再び米国をはじめとした海外の MBA を求める海外組が増加している。これに対して、国内での MBA 取得希望者数は 一時期よりもやや減少傾向にあるが、依然、その人気は衰えていない。 「団塊の世代」の大量退職に伴い、求職者の「スキル(技能)武装」としての MBA の価値 は高いのであろう。つきなみな言い方だが、ワールドスタンダード(世界標準)と称される MBA は、やはり米国流のビジネススクールで取得するものという観念 が根強い。こうした背景には「日産」のように外資の傘下に入った多くの日本企業や、中国に進出しようとしている日本企業による MBA 取得者の確保という、需 要ニーズそのものが高まっていることが挙げられる。また、1990 年代半ば頃から外資の日本進出が増大し、そこでのニーズの高まりも、第四次 MBA ブームの根 底にあるものとして考えられる。現代は、IT の発達とグローバル化により、人、物、金、企業、社会といった要素が、国を越えて複雑に絡み合って機能している。 よって、MBA の内容も多岐に渡り、より細分化され、さらに専門性に富んだものでなければ MBA 本来の価値は見出せないのである。目まぐるしく社会環境が変 わる現代においては、常にその時代に対応できる MBA カリキュラムへと絶えず進化させていかなくてはならない。この点については、その圧倒的なまでに実践的 ケーススタディーの種類と数の豊富さを誇り、常に学術的優位性を堅持してきた北米のビジネススクールの右に出るものはないであろう。特に、米国のビジネスス クールは名実ともに世界に通用する「ブランド力」を築き上げてきた。経営に必要な実践経験から経営理論に至るまでを、その企業独自の従業員教育という名の下 に企業に任せてきた日本の大学は、結果として北米のビジネススクールからかなりの遅れをとることとなった。このことは、日本独特の「産」と「学」の連携のあ り方に起因することとしても、日本の大学そのものが負うべき責任は大きいと言わざるをえない。 しかしながら、米国流ビジネススクールのあり方が地球上全ての国々のビジネス体系に適応するとは限らない。カナダの McGill University(マギル大学)教授 である Henry Mintzberg(ヘンリー・ミンツバーグ)が唱えているように、その国には、その国なりの長い歴史の中で培われた商習慣があるがために、それに合 わせ準じた経営手法の構築が大事なのだ。日本には日本古来の文化的、社会的、国民的土壌と伝統的背景により、独自の「商い」の仕方を確立してきた経緯がある。 かつて、 「日本的経営」と言われた経営手法は姿を消しつつあるが、これに代替する「新日本的経営」手法の確立を急がねばならない。ビジネススクールで学んで きた MBA ホールダー達の役割の一つとして、学び知り得た知識と情報を基に、それを従来の日本的経営手法に融合させ、更には日進月歩に変化する現代の経済の 流れに対応させて、 「新日本的経営」の構築と確立のために努める、ということがあると思う。さらに欲を言えば、新しいワールドスタンダードと称される MBA カリキュラムやビジネススクールとしてのあり方の、たとえ一理論、一体系であっても、日本という国から世界へ発信していって欲しいものである。 ( JAAC カリフォルニア担当:照井 ) 発行者:JAAC 日米学術センター 10 月号 2007 年 9 月 15 日発行 《 《 《 《 親と子の絆(8) “こどもの世界、大人の世界”③ 》 》 》 》 シリーズ全 11 回 (カリフォルニア担当:照井 紀久夫) 「親への服従」によって守られていた乳児期のこども達はやがて、3~4歳ごろの第1反抗期に入ります。 「反抗」と「服従」には深い関係があり、一般的に母 親のように自分に対して最も近い存在であり、且つ、強い影響を与えていた者に対して、より強い「反抗」が起きるとされています。親の言うことを聞かなくなり、 自分の意志と我を通すようになる ― (親がダメッと言っても、こどもは自分がやりたいことをする方が楽しいですからね) - 子供の独立宣言です。 6~7歳ごろの中間反抗期では、親の指示や言い付けに対して何かと理由を付けて反抗しますよね。 「分かったよ! 今、やろうと思っていたんだから、ガタガ タ言うなよ!」 、とか、 「それを言うなら、さっき僕が(ママに)言ったことも早くしてよ! こっちだって都合があるんだから・・」等々、思い起こせば私もこん なやり取りを何回したことか(苦笑) 。この時期には、親を絶対的な権威者であると認めていながらも、何とか自分の立場を親と同等に見てもらおうと躍起になっ ていますね。親としてもそれを理解してあげて、こどもからの指摘に対しては素直に認め、改めていく姿勢を見せることが肝要ですね。これは、決して親が子供に 屈するのではありません。親の権威と権限による「職権の乱用」で、こどもを必要以上に圧制すると、彼らの反抗を煽ることとなり、かえってこの時期の反抗期を 長引かせて逆効果となります。この時期を乗り越えると、次は 13 歳ごろの思春期にやってくる第2反抗期と向き合います。 (ハぁ、またか・・、また、来るの?) 精神保健福祉の分野では、第2(二次)反抗期を、 『親以外の大人や権威、体制にまで対象が及ぶ。親からの心理的自立、心身の発達の不均衡さ、社会地位に見 合わぬ自我意識の高揚等への反応とする見方がある。 』と定義しています。つまり、それまで抵抗と反抗を繰り返しながらも、親や学校の先生をはじめ、周囲の大 人達に対しては太刀打ちできない相手として信頼してきた状態から、大人達の本当の姿が見え始め、 「結局のところ大人達もただの人じゃないか」 、とか、 「実際に はそんな卑劣で卑怯なことをしている人間なのか・・」などと、今までの自分の服従心に我慢ができなくなり、ある種の行動を起こすわけです。その行動の一つと して、全ての権威や社会のしくみ、ルールや規則と言ったものに強い疑いの念を持ち、嫌悪と軽蔑の対象とします。また、同時にこども達は理想や夢と言った希望 と、自分が実際に生きている現実との狭間で、物事が思い通りに運ばない自分自身にも腹を立て、あるいは自分の資質や能力においての自信の無さを隠すための反 抗行動をとります。実は、この思春期から青年期にかけての心理と成長の過程が、人格形成にとって最も重要な時期の一つなのです。言うなれば、社会に出てゆく 準備の時期として、自立心や独立心が確立し始めながらも、まだまだ親の援助と保護が必要な事との相反する状況における葛藤の時期と言えましょう。 ハンガリー系ユダヤ人精神分析家であり精神科医の Margaret S. Mahler(マーガレット S. マーラー)は、著書『乳幼児の心理的誕生―母子共生と個体化』の 中で、 「乳児にとっては、母親の乳房と母親は一体化している」と言っています。また、 『息子と父親―エディプス・コンプレックス論をこえて:青年期臨床の精神 分析理論』を著したアメリカ人精神分析家の Peter Blos(ピーター・ブロス)は、その著書の中で、思春期から青年期にかけての時期を「第ニの固体化の時代」と呼 んでいます。彼らの考えを合わせると、乳児は這い這いをしだし、歩き出す時期にはしだいに乳離れして母親から離れ、 「母親と自分とは違う存在」だと言うこと に気づきます。これを「第一の固体化」と言います。そして、青年期にかかる時期になると、対象が母親から他の人々に変わり、自分の容姿や学業成績などを他人 と比較し、いわゆる自分自身の「自己」を(他の者と比べ)問うことが多くなってきます。この時期を「第ニの固体化」と呼ぶ、と言うものです。 実は、この『第二の固体化』と呼ばれる時期に、多くのこども達が「留学」を考え、ある者は高校留学に参加し、そして、ある者は大学留学の道を選ぶのです。 ですから、JAAC 生(ほぼ)全員が渡米してから自身の青年期初期迎えます。それは、将来の人格と人間形成に最も大きく影響する時期なんです。 (次号に続く) ★JAAC 生の皆さん、 生の皆さん、保護者の皆さん、何でもお気軽にご相談ください★ 保護者の皆さん、何でもお気軽にご相談ください★ ◆10 10 月 8 日は Columbus Day (コロンブスの日)です。 大航海時代の 1492 年 10 月 12 日、イタリア人探検家クリストファー・コロンブ FAQ 「編入のために成績の悪い科目を取り直すべき・・?」 A:前に取った成績が「F」や「D」だった場合は、取り直し(再 スが初めてアメリカ海域に到達し新大陸を発見しました。1860 年代になるとニュ 履修)をする方が良いですね。但し、何科目まで再履修できるか、 ーヨークのイタリア系住民がこの日を祝うようになりました。1937 年、時の大統 再履修した成績を以前の成績と入れ換えて GPA 計算できるかど 領ルーズベルトにより 10 月 12 日を「コロンブスの日」と定め、国民の祝日とし うか等々は、その大学によって異なる場合があります。必ず、事 ました。1971 年からは毎年 10 月の第2月曜日に改め、現在に至っています。 前にカウンセラーに相談してから行動してください。また、以前 ▼年末年始を日本で過ごす 年末年始を日本で過ごす方 年末年始を日本で過ごす方へ:航空券の予約とパスポート へ:航空券の予約とパスポート/ 航空券の予約とパスポート/ビザ更新について。 ビザ更新について。 1度取った科目であっても決して気を抜かずに、前回の成績より 年々、帰省希望出発日/帰国日のチケットが取りにくくなっています。特に、米国 少なくとも 2Grade Point(2段階)以上引き上げないと再履修 内乗り継ぎ便が必要な方は早めに予約してください。また、パスポートやビザの 更新手続きをする方は早めに必要書類等を準備しましょう。アメリカ大使館での 面接予約は3ヶ月前から可能です。詳しい手続きのご相談は JAAC 鈴木まで。 ▲ ロサンゼルス・ ロサンゼルス・キャリア・ キャリア・フォーラムが フォーラムが開催されま 開催されます されます - 9/21 金・22 土。 場所:Renaissance Hollywood Hotel, Los Angeles の意味がありません。絶対に、再、再履修は避けるべし!! ちょっと、一休みしませんか・・・? 9 月 23 日は秋分の日 Autumnal Autumnal Equinox Day 昼と夜の長さがほぼ等しくなる日です。ちょうどお彼岸 詳しくは http://www.careerforum.net/info/about.asp の『キャリアフォーラ にもあたり、祖先や亡くなった人々を偲ぶ日本の祝日で、 ム』をクリックしてください。 (注) 『参加予約』の手続きが必要です。 ※ 次回の開催は 11 月 9 日(金)~11 日(金)~11 日(日)、ボストンにて。詳細は上記参照。 日(日)、ボストンにて。詳細は上記参照。 家族でお墓参りに出かけます。 On this day, the length of daytime and nighttime is ●JAAC JAAC 本部内保護者様専用ご連絡・ご相談窓口: 本部内保護者様専用ご連絡・ご相談窓口: nearly the same. It is also the central day of the フリーダイヤル 0120- 0120-525- 525-626 [email protected] 担当:高瀬 Buddhist memorial service (Higan), and because this ◎カリフォルニア担当:照井(てるい)[email protected] is a time to remember ancestors and the dead, it is a ◎JAAC 日米学術センター 鈴木:[email protected] national holiday and people visit their family graves.
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