2007 年度 卒業論文 女性の服に対するイメージと 性格の関連 はじめに わたしはお洒落なものやお洒落をすることがとても好きです。ファッションビルなどに 行ってお洋服を見たり買ったり、美容院に行って髪の毛をカットしたりカラーを入れた り・・・お洋服やバッグなどの小物だけではなく、インテリアの家具や雑貨などもすごく 好きで、見ているだけでとても幸せな気分になります。 お洋服を自分で買うようになったのはいつ頃だろう。小学生のころは親が買ってきたも のを着たり、親と一緒に買い物に行って買ってもらったりしていたので、自分の意思だけ で買いだしたのは、たぶん中学生くらいからだと思います。最初は、お店に行って気に入 ったお洋服を買うこと自体がすごく楽しかったのですが、いつからか、お洋服で自分らし さを表現しはじめていました。わたしは小さいころからすごくやんちゃだったので、高校 生までは男っぽい格好ばかりしていて「かわいい」よりは「かっこいい」ほうが好きでし た。「かっこいい自分になりたい」 、「自分をかっこよく見せたい」という気持ちがあったの だと思います。そして、大学に入って少し環境も変わり、友達もいろいろな友達が増えま した。そこで、友達のすすめで今まで着ないようなジャンルのお洋服にチャレンジしてみ ました。すると、「全然雰囲気が違う!」とか「かわいい!」とか、周りの反応がとても大 きかったのです。それから、もっと色々なお洋服を着てみたい、色々なジャンルに挑戦し てみたい、という気持ちになり、すごくかわいらしくて女の子らしいお洋服や、大人っぽ いシンプルなお洋服や、トレンド感の強いギャルっぽいお洋服など、色々なジャンルのも のを着るようになりました。そうやって色々なジャンルのお洋服を着るようになってから 感じたことが「服によって自分自身の気持ちが変わる」ということです。甘いロリっぽい 格好(パステルピンクとかふんわりしたスカートなど)をすると気持ちも甘くかわいい感 じの気持ちになり、いかついギャルっぽい格好(色使いが派手な感じやトレンド感の強い ものなど)をすると気持ちもちょっとカッコイイ女性のような気持ちになり、すごくカジ ュアルな格好をすると気持ちもカジュアルでラフな気持ちになりました。服によって気持 ちが変わって、きっと歩き方やしぐさも変わっていたと思います。 そして去年、何か資格を取ろうということで、わたしは東商カラーコーディネーター検 定のために、色彩について勉強をしました。カラーコーディネーター検定というのは、東 京商工会議所の資格試験のひとつで、色というものはどうやって見えているのかという神 経心理学などでも聞くようなことや、日本や世界の色彩の歴史や、色の測定法などの知識 を問う検定です。色の見え方やパーソナリティーカラーなど勉強していてとても楽しかっ たので、より色彩に興味を持ちました。そして、先に出た「服によって自分自身の気持ち が変わる」ということのヒントになるようなものを出したくて、卒論で色と性格の関連に ついて調べてみようと思ったのです。 1 目次 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p1 <第一章>問題意識・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p3 第一節 問題意識 p3 第二節 目的 p4 <第二章>先行研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p5 第一節 色彩に対する印象ついて p5 第二節 色彩嗜好について p5 第三節 性格について p6 第四節 性格検査について p7 4-1 日本における5因子心理検査 p7 4-2 FFPQ について p7 4-3 超特性因子の解釈 p8 第五節 性格と色彩嗜好について p10 5-1 YG 性格検査×色彩好悪 p10 5-2 Big Five・CAS 性格検査×配色好悪 p12 5-3 他研式向性検査×SD 法 p13 p14 第六節 仮説 <第三章>調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p16 第一節 予備調査 p16 第二節 本調査 p16 <第四章>結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p34 第一節 総合考察 p34 第二節 今後の課題 p36 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p37 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p38 引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p39 付録 2 <第一章>問題意識・目的 第一節 問題意識 人には必ずといっていいほど好きな色や嫌いな色がある。 その個人個人が好む色というのは自分らしさを表現する色であるという推測はしばしば 語られ、個人個人の性格によって異なるのではないか、つまり「好きな色から性格がわか る」という研究は多く行なわれている。 『色彩幸福論』の中で野村順一(1996)注1は「外交的な人は赤を好み、内向的な人は青を 好む、とは一大原則のようなもの」と語り、黄色は冒険好きで人に暖かさを印象付ける、 緑はバランスを好み誠実な人柄、青は感性に優れて自制心がある、黒は指導力があるがや や暗い、白は純粋で無邪気でちょっとうぬぼれや、などと 24 色それぞれについてその色を 好きな人がどういう性格かということを細かく書いている。好きな色が複数ある人はそれ ぞれの色の特徴を少しずつ持っているという。 松田ら(2004)注2の『色の好みとパーソナリティについての研究』では、 「内向的でおと なしい安定型は鮮やかなトーンを嫌ってはいないが、嗜好色としての選択は少なく、黄系 を嫌う。比較的明度の高い明清色の青系、紫系やライトグレーを好む傾向があり、着たい 服や鞄にも同様の傾向が見られ、それに加えて黒の鞄を好む。同じ内向型でも不安定型は ビビッドトーンや高彩度を嫌い、グレーやダルトーンといった中∼低彩度の濁色を好む傾 向がある。洋服については高明度で低彩度のペールトーンも選択するが、ダークトーンや 黒といった比較的明度の低い服も好み、オレンジ系(茶色も含む)の鞄を好む傾向が見ら れる。外向的で安定型はビビッドトーンやブライトトーンの中∼高明度の高彩度を好み、 濁色系を嫌う。服においても同様の選択をする。無彩色では黒よりも白を嗜好する傾向が ある。外向的で不安定型は高彩度トーン、赤紫系・黒・白の無彩色を好み、服においては 黒を好む傾向が見られた。」という結果になっている。 また、近江ら(1997)注3の『配色好悪によるパーソナリティ・テストの試作』では、 「情 緒不安定なものは対照色相・青系・グレイッシュトーン・シェイドトーンを好まず、無彩 色を好む」などと、一部のパーソナリティ因子と配色好悪との間に、相関関係が高くはな いけれども認められた。 これらの先行研究は、結果はそれぞれ多少違ったものになっているが。少なからず色と 性格には関連があるということを示唆している。 これまでの研究では、色そのものの好悪について調べているが、本研究では嗜好色と性 格の関連ではなく、色のイメージと性格の関連について調査する。ただの好悪だけでなく 色に対してどのように感じるかを調べる。さらに本研究では、被服の色に対するイメージ を調査する。これは、松田ら(2004)注 4 も服や鞄にも言及しており、また色そのものにつ いてよりも、被服の色のほうがより身近であり、個人の性格がより反映されるのではない 3 かと考えたためである。 ところで、性格について、心理学では多様な定義があるが、共通するところは個人の 行動に見られる感情や意志の特徴であること、一貫性と安定性を持つものであることであ る。その人を特徴付けている基本的な行動傾向といえよう。 性格は character(英) 、Charakter(独)の訳語である。昔、土地の境界に目印の石を置 き、それに所有者の名前などを刻み込んでいたが、その刻み込む、掘り込むというギリシ ャ語をこの言葉は意味していた。転じて標識を意味するようになったが、語源から考えて 静態的で固定的である。 性格が比較的変わりにくい個人的特徴という点を強調しているのに対し、パーソナリテ ィというときには、環境に対する適応機能の全体的特徴がどうかという点を問題としてい る。したがってパーソナリティには知能、態度、興味、価値観なども含められ、性格より も広い概念として用いられることがある。(詫摩 2003)注 5 以上のことをふまえて、本研究では広い意味のパーソナリティではなく、 「一貫性と安定 性を持つもの」である「性格」について研究する。 第二節 目的 そこで、本研究では、性格傾向により被服の色のイメージに違いがみられるか質問紙を 用いて調査し、それぞれの色と性格についての関連を明らかにする。 また、先行研究で明らかになっている結果と照らし合わせ、色と性格の関連について定 説を出すことができるか検証する。 4 <第二章>先行研究 第一節 色彩に対する印象について 加藤雪枝ら(2004)注 6 は色彩に対する印象について調査した。被験者にワンピースを着 装してもらい、着装した状態と着装した自身の姿を鏡に映して見た場合の認識条件の違い による、被服の色彩から受ける心理的生理的な関係について、SD法(15 項目:好きな― 嫌いな、快適な―不快な、親しみやすい―親しみにくい、上品な―下品な、活動的な―し とやかな、派手な―地味な、明るい―暗い、重い―軽い、個性的な―平凡な、若々しい― 大人っぽい、くつろぐ―くつろげない、落ち着いた―落ち着かない、涼しげな―暖かな、 気が晴れる―気が沈む、元気が出る―疲れる)で 6 色(黒、白、赤、黄、緑、青、紫)に ついて 5 段階評価を行なった。すると、鏡なしおよび鏡ありにおいて同じような印象傾向 になった。黒、白、青は「好きな」「快適な」「親しみやすい」「落ち着いた」「くつろぐ」 の値が高く、赤、黄、緑、紫では値が低い。 「活動的な」 「派手な」では赤、黄、緑、紫の 値が高く、黒、白、青では低い値を示していた。 第二節 色彩嗜好について 松田博子ら(2002)注 7 は大学生の色彩嗜好を調査した。大学生 279 名(男子 67 名、女 子 212 名)に調査用カラーチャートを配布し、①好きな色:3 色(1位から順に記入)とそ の理由②嫌いな色:3 色(1位から順に記入)とその理由、③持ちたい鞄の色:1 色、④着 たい服の色:3色、⑤着たいトレーナーの色:1色、⑥あなたがさびしいと感じたときの 気分の色:1 色、⑦あなたを元気付けてくれる色:1 色、⑧自分を元気付けたいときに着た い服の色:1 色、を 75 色から選択してもらった。 そして、以下のような結果になった。※各トーンの意味:v(高彩度高明度 vivid:さえた、鮮や かな)lt(中彩度高明度 light:浅い)p(低彩度高明度 pale:薄い)ltg(低彩度中明度 light grayish:明 るい灰みの) ③鞄:男子は黒(38.2%) 、ブラウン系、グレー系、ブルー系など。女子は、赤(8%) 、 黒(7.6%)の他、幅広い色相を選択し、v トーン(20%)で上位を占めたがトーンにもば らつきが見られた。 ④服:男女とも無彩色が上位を占めた。男子は黒(18.3%)、白(16.7%)グレー(11%) で全体の 46%が好み(抽象的嗜好色の 2 倍超) 、女子では白(8.4%) 、黒(7%) 、グレー(4%) 全体の 20%を占めた(抽象的嗜好の 6 倍超)。トーンにおいては性差が見られ、女子では p トーン(24%) 、v トーン(15%) 、lt トーン(15%)で、全体の半数以上を占めたが、男子 は p トーン、ltg トーンをほとんど好まなかった。 5 ⑤トレーナー:男女とも無彩色嗜好が強く、男子(52%)、女子(40%)で、特に男女と もグレー系(30%)を好む傾向が見られた。有彩色では男女ともブルー系を好み、トーンで は女子が鮮やかで明るい色を好み、男子は暗い色を好んだ。 ⑥さびしいと感じたときの色:女子はライトグレイッシュブルー(32%)に集中し、トー ンでは ltg 系(54%) 、色相ではブルー系(53%)が半数以上を占めたが、男子はグレー系 (24%)と各トーンのブルー系(合計 36%)に分散した。 ⑦元気づけてくれる色:女子(40%)男子(26%)とも v トーンのイエローに集中した。 ⑧元気付けたいときに着たい服の色:性差が大きく表れた。女子は v、lt、p トーンのY 系が 30%近くを占めたのに対し、男子では無彩色が 43%で、特に白(33%)が多く、元気 付ける色と元気付けたいときに着る服の色とは多いに違った。 第三節 性格について ここでは、性格の定義について述べる。性格の定義は、様々な心理学者や研究者が定義 している。以下に、その代表的なものを引用する。 ●オールポート(Allport, G. W.)1937 注 8 「パーソナリティとは個人のうちにあって、その個人に特徴的な行動や思考を決定する心 理学物理学的体系の力学的体制である」 ●柏木惠子(1970)注 9 「人格は有機体の行動に特殊的、個人的傾向と統一性、連続性を与えているものの統合」 ●心理学辞典(H. C. Warren)1934 注 10 「性格:1(倫理学)個人の道徳的性質、2(心理学)倫理的、社会的意義を持った比 較的持続的な特性(traits)から成るパーソナリティの一位相(phase) 、3(生物学)有機 体の持つ何らかの顕著な特徴でそれによって他のものと区別することができるもの。4(論 理学)個人あるいは集団から区別される何らかの特徴」 ●クレッチマー(E. Kretschmer) 1955 注 11 性格「人間の生活過程中に生じてくるあらゆる情動的・意思的反応可能性の総体である」 気質「性格の下部層をなすものであり、個人の体質の解剖学的生理学的基礎に根をおくも のである」 6 第四節 性格検査について 4-1 日本における5因子心理検査 日本で開発・翻案され標準化されたパーソナリティ Big-Five モデルの心理検査は少なく とも3つある。 (大野木、2005)注 12 注 13 1つめは内山ら(2001) が EQS の構成概念妥当性を検証するために用いた村上(1999) 注 14 の主要5因子性格検査(BFPI)である。この検査では5因子として外向性、協調性、 勤勉性、情緒安定性、知性を測定する。 2つめは下中ら(1999)注 15 によるネオ人格目録改訂版の日本版(NEO-PI-R)である。 この NEO-PI-R は、世界の多くの国で翻案されている Costa &McCrae(1985,1992)注 16 の日本版であり、その短縮形(60 項目)も同時に開発されている。この検査では5因子と して神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性を測定する。 3つめは辻平次郎らの FFPQ 研究会(1998/2002)注 17 による FFPQ 版である。この検査 では5因子として内向性―外向性、分離性―愛着性、自然性―統制性、非情動性―情動性、 現実性―遊戯性を測定する。 これら3つの Big-Five 尺度には、次のような相関的対応関係がある(大野木 2004)注 18。 1)FFPQ の外向性―BFPI の外向性―NEO-PI-R の外向性、2)FFPQ の愛着性―BFPI の協調性―NEO-PI-R の調和性、3)FFPQ の統制性―BFPI の勤勉性―NEO-PI-R の誠実 性、4)FFPQ の情動性―BFPI の情緒安定性―NEO-PI-R の神経症傾向(−)、5)FFPQ の遊戯性―NEO-PI-R の開放性 (BFPI の知性は独自の内容を含んでいるものと考えられる) 。 4-2 FFPQ について FFPQ の5因子は、①外向性―内向性、②愛着性―分離性、③統制性―自然性、④情動 性―非情動性、⑤遊戯性―現実性であり、これらを超特性と呼んでいる(辻 1998)注 19。さ らに一つの長特性に対して5つの要素特性から構成されており、合計すると 25 の要素特性 から性格特性を検査することが可能である。 超特性 Ⅰ.外交性―内向性 表1、FFPQの超特性と要素特性 要素特性 ①活動-非活動、②支配-服従、③群居-独居、④興奮 追求-興奮忌避、⑤注意-注意回避 Ⅱ.愛着性―分離性 ①温厚-冷淡、②強調-競争、③信頼-警戒、④共感非共感、⑤他者尊重-自己尊重 Ⅲ統制性―自然性 ①几帳面-大まか、②執着-無執着、③責任感-無責 任、④自己統制-衝動、⑤計画-無計画 Ⅳ.情動性―非情動性 ①心配性-のんき、②緊張-弛緩、③抑うつ-非抑うつ、 ④自己批判-自己受容、⑤気分変動-気分安定 Ⅴ.遊戯性―現実性 ①進取-保守、②空想-実際、③芸術への関心-芸術 への無関心、④内的敏感-内的鈍感、⑤奔放-堅実 7 4-3 超特性因子の解釈(辻 1998)注 20 ① 外向性―内向性 この超特性は、一般に、対人関係の「積極性―消極性」に関わる因子と考えられている。 しかし外向性には、対人関係とは関係なく、強烈な刺激を求めたり、危険を冒したりする 傾向も含まれている。それゆえこれは、内面の活動に沈潜して不活発になるか、外界に活 発に働きかけるかに関わる因子と考えられる。 具体的な特徴を見てみると、内向的な人はあまり活動的でなく、外見上はおっとりして いて、刺激を求めず、物静かな生活を好む。対人的には控えめであり、消極的で、気が弱 いとも見られる。これに対して外向的な人は、常に強い刺激を求め、活動的で活発であり、 大胆で冒険好きでもある。他者に対しては積極的・支配的で、リーダーシップをとる傾向 がある。また、騒々しくて厚かましく、向こう見ずなところがある。 ②愛着性―分離性 この超特性は伝統的に、対人的な「協調性―非協調性」 「愛情―敵意」の次元と解されて いた。しかし、これでは「甘え」や「依存―独立」などの近縁の特性をカバーできなくな る。また、この解釈では「非強調・敵意」の極をあまりにもネガティブに見ることになる。 そこで、これを対人的な「愛着―分離」因子とし、 「関係性」あるいは「距離」を代表する 因子と解釈する。 ここで、分離性の極は、分離・個別化の傾向を表し、自己を他者から切り離して、他者 とは異なる自己の独自性を強調し、自主独立的行動をとろうとする傾向と考えられる。こ れはまた、他者への冷淡や無関心、あるいは警戒や不信、敵対などとして現れる可能性が ある。これに対して愛着の極は、自他の境界をなくして、他者と一体化しようとする傾向 であり、他者への愛情や信頼、共感や友好、協調などを生じる。また、人に追従して、集 団の中に埋没し、自己を見失う危険性も持っている。 ③統制性―自然性 この超特性は仕事や達成に関連した勤勉誠実性因子とみなされてきた。しかし、これで はこの特性を狭く限定しすぎているだけでなく、怠惰不誠実の極をあまりにもネガティブ に捉えることになる。そこで、自己や環境に対する統制と放棄して自然をあるがままに受 け入れる「自然性」か、むしろ意思的に統制しようとする「統制性」かの次元とする。 自然性の極にある人は、自然や環境を人為的に支配・統制しようとするのではなく、む しろ自己自身をも自然の一部とみなして、自然の枠組みや秩序を尊重し、それをあるがま まに受け入れようとする。しかし、自らの意思による統制を放棄し、世俗的な仕事への義 務感やこだわりを持たないので、無気力、怠惰、無責任な性格とみられることもある。一 方、統制性の極にある人は、はっきりして目的意識を持ち、その目的を目指して事物を意 識的、合理的、あるいは合目的的に統制し、ものごとに秩序を与え、無駄なく合理的に生 8 きようとする。それゆえ、勤勉かつ能率的に仕事をこなしていく。このような人は、現代 の産業社会や高度経済成長を目指す社会では高く評価されるが、脅迫的な仕事中毒や環境 破壊などに結びつくものとして、疑惑の目が向けられることもある。 ④情動性―非情動性 この超特性は、心身へのストレスや脅威に対する「ネガティブな情動反応」にその本質 があり、情動混乱や神経症的問題を引き起こす原因にもなりうる。 非情動の極にある人は心身の危機やストレスに無頓着で、あまり動じることがなく、平 然としてられる。のんびりと気楽で情緒が安定しているが、感情や情動が平板あるいは貧 困だとも言いうる。またこの鈍感さゆえに、ストレスへの対処行動が遅れることもありう る。これに対して情動性の強い人は、心身の危機に敏感で、不安や恐怖、緊張や抑うつな どのネガティブな感情反応を生じやすい。また、情動混乱や神経症的問題を引き起こすこ ともあり、自己をあまり肯定的に評価しない傾向が見られる。 ⑤遊戯性―現実性 この超特性の特徴は、感覚、感情、イメージ、思考、活動などが日常的な現実経験の枠 内におさまりきらず、あふれ出てくる「豊穣さ」にある。この豊穣さに身をまかせている と、人は多少とも非日常的な経験へと「遁走」あるいは、 「超越」することになる。この非 日常的経験を自由に楽しめるか否かは、 「遊び心」を持っているかどうかにかかっていると 考えられるので、これを「遊戯性」と呼ぶ。 現実的な傾向の強い人は、現実から逸脱するような危険を冒さず、現実の世界に踏みと どまり、足が地に着いた着実な生き方を選択する。また、曖昧で不確実なものを拒否し、 感傷におぼれることなく、現実的で確実な行動を取ろうとする。しかし現実へのとらわれ が強くなると、伝統や権威にしがみつがずにはいられない権威主義者や、ドグマに固執し それを見直す余裕のない独断主義者などになる可能性もある。ただし、一般に「権威主義」 、 「独断主義」 、 「硬直性」 、 「曖昧さへの耐性の欠如」などと言われている特性は、単なる現 実性を現す特性よりも、無駄や不合理を許さない統制性や、情緒不安定性などとの複合的 特性と考えるべきであろう。 一方、遊戯的な人は、新しいもの、変わったもの、複雑なもの、わけのわからぬもの、 喧騒などに好奇心をかきたてられ、これに接近しようとする。彼らは危険に直面した時で さえも、それをスリリングなものとして楽しみ遊ぶ余裕を持っている。それどころか、危 険を承知で日常生活から離脱して、わけのわからぬ世界に入っていき、目くるめく面白さ を楽しんだりもする。常識の枠を踏み越える冒険家、革命家、発明家、芸術家などはしば しばこの遊び心を持っている。しかし、この遊戯性が過剰になったり、現実生活に戻って こられなくなったりすると、現実社会からは理解されず、足が地に着かない夢想家、アウ トサイダー、危険分子などと見られることになる。 9 近年の性格に関する特性論的研究領域では5因子モデルが定説となりつつある点や、本 研究で関与の深いと思われる項目が含まれている点、また、FFPQ は価値中立的であると いう特徴を持っている点を考慮して、本研究では FFPQ を用いるものとした。 第五節 性格と色彩嗜好について 5-1 YG 性格検査×色彩好悪 5-1.1:押山八重子(1997)注 21 は大学生(男子 100 名、女子 100 名)を対象に色彩嗜好 と性格特性との関連性について研究を行った。 カラーチャート(ペール、ライト、ビビッド、ディープ、ダークの各トーンから 10 色相 の有彩色 50 色と無彩色 5 色の計 55 色)を提示し、その中から嗜好色、嫌悪色、被服嗜好 色、被服嫌悪色を 1 位から 3 位まで選択してもらい、YG性格検査との関連を見た。 平均型、安定消極型、安定積極型の 3 類型に白が出現していて白嗜好の高いことを示し ている。白嗜好を示さなかった不安定積極型は、上位にはパープリッシュピンクやピンク があらわれて赤系統嗜好を示し、比較的に白嗜好が低かった平均型はビビッドブルーやペ ールイエロー、ペールパープリッシュピンクなどの選択率が高く、一定の傾向が表れてい ない。被服嗜好色はいずれの性格類型の人も被服の色として白と黒を好むことを示してい る。これは流行色の影響を少し受けているとも思われるが、被服の色としての無彩色嗜好 が相変わらず高いことを示している。嫌悪色は、すべての性格類型においてオリーブが高 い値を示し、特に、安定消極型と不安定消極型にその傾向が強く表れている。また、オリ ーブは被服色としても嫌われ、特に、平均型と安定消極型の人々に嫌われることが示され ている。その他、不安定積極型と不安定消極型の人がビビッドレッドを、平均型、安定消 極型、安定積極型の人はビビッドパープルを嫌うことを示している。 次に、平均型を省いた 4 つの性格類型の嗜好色を 5 色相に分類してその選択率を比較し た。不安定積極型の人はレッド系の暖色をより好み、不安定消極型の人々はブルー系の寒 色とレッド系の暖色の両方に高い選択率を示し、グリーン系やパープル系には低い選択率 を示していることがわかる。それに対して安定消極型の人はパープル系、レッド系、イエ ロー系の広い範囲に暖色を好む傾向を示している。 また被服嗜好色では、安定積極型と不安定積極型の人はレッド系を被服の色として好み、 パープル系とグリーン系は被服の色としてあまり選ばないことを示している。それに対し て、安定消極型と不安定消極型の人は安定積極型と不安定積極型に比べると、ブルー系と パープル系を被服の色として好み、レッド系を被服の色としてあまり選ばないという反応 の傾向を示している。 また、嫌悪色と被服嫌悪色の 5 色相の選択率では、いずれの性格類型の人もレッド系と パープル系を一般と被服の両方の色として嫌っていることがわかり、特に、不安定消極型 10 にその傾向が強く見られる。その他、安定消極型には一般と被服の色としてイエロー系を 嫌い、不安定積極型と安定積極型にはグリーン系やブルー系を嫌う傾向が見られる。 以上の結果から、情緒的に安定している人は一般の色として彩度の高い冴えた暖色系を、 被服色としては無彩色と暖色系を好む傾向のあることがわかった。それに対して、情緒的 に不安定な人は、一般色として明度の高い淡い暖色を好み、被服の色としても明度の高い トーンを好むが、色相においてははっきりとした傾向が表れないことが示された。また、 活動的で外向的な人は被服色として暖色と無彩色を、非活動的で内向的な人は寒色を好む 傾向のあることがわかった。嫌悪色と被服嫌悪色においては、情緒の安定している人はイ エロー系とパープル系の色を、情緒的に不安定な人はレッド系の色を嫌う傾向のあること がわかった。 5-1.2:松田博子ら(2004)注 22 は女子大生(324 名)を対象に色の好みとパーソナリテ ィについての研究を行った。 1、カラーチャート嗜好色テスト(75 色)では①好きな色 3 色、②嫌いな色 3 色、③持 ちたい鞄の色 1 色、④着たい色の服の色 3 色を選択してもらった。2、トーン嗜好色テス ト(b、v、d、p、lt、d、dk、g、p、ltg の 9 トーン×12 色)では、好きな色、嫌いな色グ ループをそれぞれ1つずつ選んでもらった。3、彩度嗜好色テスト(4R、4YR、5Y、3 GY、3G、3PB、7P の中・高明度の7色相を、L:低彩度グループ、M:中彩度グルー プ、H:高彩度グループに分けたもの)では、好きなグループ、嫌いなグループを1つ選ん でもらった。以上の3つの色彩嗜好調査と矢田部ギルフォード性格検査の関連を見た。※各 トーンの意味:v(高彩度高明度 vivid:さえた、鮮やかな) 、lt(中彩度高明度 light:浅い)p(低彩度高 明度 pale:薄い)ltg(低彩度中明度 light grayish:明るい灰みの)dk(低彩度低明度 dark:暗い)d(dull:) dp(deep:深い)g(greyish:灰みの) 1、色彩選択法:嗜好色について以下の傾向が見られた。B 類(外向的で不安定型)と D 類(外向的で安定型)は v トーンを、C 類(内向的でおとなしい安定型)と E 類(内向的 で不安定型)よりも好む傾向がある。A 類(平均型)と E 類はブルーグリーン系を多く好 み、C 類は青系と紫系を好む。D 類は無彩色をあまり好まない。嫌悪色について以下の傾 向が見られた。C 類は黄系を嫌う。A 類と E 類は v トーンを嫌う。C 類と E 類は dp トー ンを嫌う。E類の dk トーンの嫌悪率は低い。 2、トーン選択法:嗜好色について以下の傾向が見られた。C類は v トーンを全く好ま ず、lt トーンを好む。D類は v トーンを好む傾向がある。E類は d トーンを好む傾向があ る。嫌悪色について以下の傾向が見られた。E類は v トーンを他の類型よりも嫌う。C類 は g トーンを嫌う。 3、彩度選択法:D類は高彩度色を好むのに対してE類は高彩度色を相対的に好まない。 E類は中彩度色を比較的好むが、C類とD類は好まない。A類は低彩度色を相対的に好む が、B類とD類は好まない。A類とE類は高彩度色を嫌うが、B類は嫌わない。 11 4、商品嗜好色について:着たい服の色について、C類は赤系よりも赤紫系、明清色、 ライトグレーを好み、B類は黒を好む傾向が見られた。E類とC類はペールパープルを、 B類D類よりも好む傾向が強い。鞄については、E類がオレンジ系を、B類が青紫系を、 C類が青系、黒を好む傾向があり、A類は p トーンを、C類とE類は ltg トーンを好む傾向 が見られた。 5-1.3:近江源太郎ら(2003)注 23 は大学生(24 名)に対して色彩の好悪選択とパーソナ リティの関連について研究した。 ①トーン(v、p、dk、d)をそろえて色相差を考えた組み合わせ 60 対、②色相(R、O、 Y、G、B、P)をそろえてトーン差を考えた組み合わせ 42 対、③対称トーンで対称色相の 組み合わせ 36 対の色見本対を提示しどちらが好きかを選択させた。 見本対の好悪選択とYG性格検査の関連性をみた。YG性格検査の 12 の性格特徴の尺度 を以下のように 6 項目に分類している。①情緒安定性(抑うつ性、気分の変化、劣等感、 神経質)②社会的適応性(主観的、強調的、攻撃的)③活動性(攻撃的、活動的)④衝動 性(活動的、のんき)⑤内省性(のんき、思考的向性)⑥主導性(支配的、社会的向性)。 「情緒的安定」等は dark トーンを好み、 「内省的でない」者は pale トーンを好む。情緒 的に安定している者は、色としても彩度や明度を押さえた安定感のある色を選ぶという性 格特徴と選好色彩のイメージとの 類似関係 が推測される。あるいは、dark トーンのよ うに覚醒効果の弱い色彩を取り入れることによって心の安定をはかっているという論理も あり得るだろう。 Purple の選好。 「情緒不安定」等および「内省的」な者は(yellow より)purple を好み やすい、という傾向が見られた。紫系への好みがある種の性格特徴の指標となる、と語ら れる場合がある。 Red、Yellow、Blue の選好。 「非活動的」等の者は Yellow そして Blue を好みやすいとい う結果が認められた。黄と青とは色立体において相対立する色相である。その相反する色 彩が同一の性格特徴を備えたものに選好された点に留意すべきであろう。また、 「内省的で ない」人は Red を選好するという傾向が認められた。 5-2 Big Five・CAS 性格検査×配色好悪 近江源太郎ら(1997)注 24 は大学生(20 歳前後の 158 名)を対象に配色の好悪とパーソ ナリティとの関係を研究した。 『改訂新版色感テスト』の「テスト2」を用いた。このテストチャートは 70 点の二色配 色から構成され、延べ 140 色が用いられている。この二色配色見本 70 点を提示して「好き・ 嫌い・どちらでもない」の判断を求めた。 パーソナリティ・テストは『C.A.S 不安診断検査』と『Big Five 尺度』を用いた。 C.A.S 不安診断検査:自我統制力の欠如したものは類似色相を好まず、ティントトーンを 12 好む。換言すれば、統制力に富むものは類似色相の配色を好むことになる。パラノイド傾 向の強い者は青系を好み、赤形やティントトーンを好まない。衝動の緊迫したものは同一 トーン・対照色相・赤形色相を好む。逆に衝動性の低い粘着質な落ち着いたものはこれら の色相を好まない。 Big Five 尺度:ここでは、5因子のうち外向性・開放性と配色好悪との関係は認められ なかった。特に、外向性は5因子のうちで標準偏差が最も大きかった(平均:18.3、標準偏 差:11.3)つまり個人差をはっきり弁別していたにもかかわらず配色好悪と無関係であった わけである。 情緒不安定な者は対照色相・青系・Grayish トーン・Shade トーンを好まず、無彩色を 好む。換言すれば、情緒が安定したものは対照色相・青系・Grayish トーン・Shade トー ンを好み、無彩色を避ける。ここでいう調和性は「温和・寛大・親切・素直」などの特徴 をさすが、こうした人物は青形色相を好まない傾向が認められた。また、誠実性は「勤勉・ 几帳面」などの性格であるが、この人たちは紫系や Shade トーンを好まない。 5-3 他研式向性検査×SD 法 伊藤法瑞(1976)注 25 は大学生(46 名)に対して、性格と色彩印象の関係を研究した。 他研式向性検査を行い、この内から外向性を示すもの 16 名(男子 9 名、女子 7 名、平均 偏差値 59.1)と内向性を示すもの 12 名(男子 4 名、女子 8 名、平均偏差値 42.1)を選ん だ。 9 種類の色紙(赤・橙・黄・緑・青・紫・黒・灰・白)についてSD法(20 項目、7 段階 法)で評定してもらった。 赤: 「どちらでもない」を中心として、外向性と内向性で方向の異なる評価を与えている のが、尺度 19(すんだ―にごった)と尺度 16(おもしろい―つまらない)の 2 箇所である。 尺度 16、19 のいずれについても積極的評価を与えているのが外向性で、消極的評価を与え ているのが内向性である。赤に対して情緒的な興味を外向性は示しているが、内向性はそ の反対の傾向つまり拒否的な態度をとっていることは興味深いところである。そして、尺 度 14(よい―悪い) 、尺度 17(新鮮な―くさった)については、方向の異なるものではな く、外向性、内向性共に積極的な評価は与えているが、いずれも外向性がより強い評価を 与えている。ここでいえることは、赤に対して外向性は積極的で好意的であるが、内向性 はどちらかといえば、行為の程度が少ないかあるいはやや拒否的な態度であるのが特徴的 である。しかしながら、尺度 11(熱い―冷たい)、尺度 15(明るい―暗い)といった赤に 対する知覚的なイメージにおいては、外向性、内向性は全く同じ印象を示している。 橙、黄:この 2 色のプロフィルは酷似している。つまり、橙は赤に対してより黄に傾向 が似ているといえる。方向の異なるところは、黄における尺度 11(熱い―冷たい)と尺度 13(充実した―からの)の2箇所と、橙における尺度 10(強い―弱い)の計3箇所である。 前者についてはは外向性が好意的に、後者については内向性が好意的に取り扱っている。 13 両者ともに同じ値を示しているのは尺度1(近い―遠い)、尺度 5(新しい―古い)、尺度 7 (重い―軽い) 、尺度 15(明るい―暗い)、尺度 20(派手な―地味な)であり、これらから 外向性、内向性共にこれらの色に対して、春を感じさせる浮き浮きとした健全な感じを受 け取っているのである。その中でもやはり外向性はそれらの感じを増幅して受け取ってい る。外向性は橙、黄に対して内向性より親近感を持ち、畏敬の念を持って対処しているの に対し、内向性はこれらの色に対しやや距離を置き、不安を感じて対処しているのではな いかと思われる。 緑、青、紫:これら 3 色においては暖色系 4 種で見られた方向の違いが見出されない。 従来の報告によれば、日本人の色彩嗜好が青をピークとしたものであるので、外向性、内 向性でほとんどプロフィルに差が出ていないのも頷ける。緑においては尺度 4(深い―浅い) 、 尺度⑥(騒がしいー静かな) 、尺度 11(熱い―冷たい)、尺度 14(よい―悪い)では、両者 全く一致した値であり、緑を静かで深く重たく冷たい感じの好ましい色であると受け取っ ているのである。そして、この傾向をより増幅して強く感じているのが青である。つまり 青は緑と比べて、より深く、より重く、より冷たく、より暗い感じの色であり、より澄ん だより美しい印象を与えているのである。また、暖色系の色と比べて内向性にその差が大 きく表れており、評価の仕方に外向性と比べて、より感情を素直に率直に表現している。 つまり情緒的な評価においては、外向性は暖色系の色で、内向性は寒色系の色で大きく現 れるといえる。紫については、青の持つ寒色系の特徴と備えつつも、色彩としての色の意 味合いが薄れ、次に述べる灰色のプロフィルに似ている。 黒、灰、白:黒と白ではプロフィルは全く一変している。黒においてはプロフィルは右 下がり型を示すが、白では左下がり型を示している。つまり黒に対しては畏敬的な感じを 懐きつつ拒否的な態度を示しているが、白に対しては好意的である。そして外向性内向性 の違いはほとんど見られないが、わずかであるが白は外向性が、黒は内向性がより好意的 な評価を与えている。暖色系の色では外向性が、寒色系の色では内向性がより好意的な態 度を示していることから、黒は寒色系に、白は暖色系の範疇に入れることもできる。この 事は、これまでの結果と同様に明度が色彩印象に大きく影響していることを表している。 それゆえ、逆に暖色系の色は、明度の高い白に、寒色系の色は明度の低い黒に似た結果を 示すともいえる。つまり、有彩色も白型の色、黒型の色、中間の灰色型の色の 3 つに分類 できるといえるのではないかと思われる。 第六節 仮説 以上の先行研究を総合すると、以下の仮説を立てた。 ・情緒不安定で活動的な者は、レッド系の色を好み、パープル系グリーン系の色は好まな い。 ・情緒不安定で非活動的な人は、ブルー系を好み、レッド系やグリーン系を好まない。 14 ・情緒安定的な人や平均的な人は幅広い範囲で暖色を好み、寒色も好む。 ・外向的な人は白や暖色系を好む。 ・内向的な人は黒や寒色系を好む。 特に、FFPQ において、 ①外向性の高い人は白や暖色系を好む。 ②内向性の高い人は黒や寒色系を好む。 ③情動性が高く外向性の高い人はレッド系の色を好み、パープル系グリーン系の色は好ま ない。 ④情動性が高く内向性が高い人は、ブルー系を好み、レッド系やグリーン系を好まない。 ということが言えるだろう。 15 <第三章>調査 第一節 予備調査 【実施期間】7 月中旬 【目的】質問項目の選定 【方法】質問紙:二部構成 ①Big Five を使った性格検査:FFPQ(辻ら、1997 注 26 が作成した 150 項目中 90 項目、5 段階評定。下位尺度[外向性―内向性 18 項目、愛着性―分離性 18 項目、統制性―自然性 18 項目、情動性―非情動性 18 項目、遊戯性―現実性 18 項目]からなる) ②SD 法を使った被服の色のイメージ調査(加藤雪枝ら、2004 注 27 が作成した SD 法 15 項目;5 段階評定)で別紙の服の画像(8 色)を並べカラープリントしたものを見ながら回 答してもらった。 【対象】10 代∼20 代女性 28 名(平均 20.75 才、標準偏差 2.287) 【結果】FFPQ において、平均値の偏りのある項目( 「明るいときと暗いときの差が大きい」 や「人とよくもめる」や、3と回答している項目「寛容で付き合いやすい人間だと思われ ている」など)や、多くの回答者が自由記述に「質問の意味がわからない」と記入した項 目(「イメージがあふれ出てくる」など)を除いた。 SD 法において、色の選定としては白と黒の平均値に偏りがあり、その2色を除くことに した。質問項目の選定としては、平均値に偏りのある項目(「明るい−暗い」など)や「ど ちらでもない」が多い項目(「快適な−快適でない」など)を除いた。 第二節 本調査 【実施期間】9 月下旬∼11 月初旬 【方法】質問紙:二部構成 ①Big Five を使った性格検査:FFPQ(辻ら、1997 注 28 が作成した 150 項目中 75 項目、 5 段階評定。下位尺度[外向性―内向性 15 項目、愛着性―分離性 15 項目、統制性―自然性 15 項目、情動性―非情動性 15 項目、遊戯性―現実性 15 項目]からなる) ②SD 法を使った被服の色のイメージ調査(加藤雪枝ら、2004 注 29 が作成した SD 法 10 項目;5 段階評定)で、別紙の服の画像(6 色)を並べカラープリントしたものを見ながら 回答してもらった。 【対象】10 代∼20 代の女性 175 名(平均 19.83 才、標準偏差 1.658) 【結果】本調査の結果を以下に示す。 1、各色に対するイメージについて 被験者全体の各色に対するイメージを図1と表 1.1∼1.6 に表した。 16 赤に対するイメージの特徴は「元気が出る(平均値 1.95)」 「活発な(1.48)」 「派手な(1.34) 」 「くつろげない(4.20) 」。ピンクに対するイメージの特徴は「若々しい(1.81) 」 「気が晴れ る(2.33) 」 。緑に対するイメージの特徴はどの項目も「どちらでもない」に近いが「個性的 な(2.31)」がやや特徴的である。青に対するイメージの特徴は、ほとんどの項目で「どち らでもない」に近い。ただ「好きな(2.34) 」が各色の中で第 2 位の値ではある。茶に対す るイメージの特徴は「好きな(1.95)」 「親しみやすい(1.98) 」 「品のある(1.96)」 「大人っ ぽい(4.23)」 「しとやかな(4.15) 」「地味な(4.35)」 「くつろぐ(2.05)」などほとんどの 項目で偏りを示した。黄に対するイメージの特徴としては「品のない(3.75)」 「若々しい (1.63)」 「気が晴れる(1.84) 」 「元気が出る(1.70) 」 「活発な(1.47) 」 「派手な(1.60) 」 「個 性的な(1.99) 」 「くつろげない(3.81)」で、赤と似たようなイメージであることがわかる。 そして、茶色とはほぼ正反対のイメージであることがわかる。 1 2 得点 3 4 5 好 きな -嫌 いな 親 しみ や す い -親 しみ に くい 品 の あ る -品 の な い 若 々 しい-大 人 っ ぽい 気 が 晴 れ る -気 が 沈む 元 気 が 出 る -疲 れ る 活 発 な -しとや か な 派 手 な -地 味 な 個 性 的 な -あ りふ れた くつ ろぐ-くつ ろげ ない 17 赤 各色の服に対するイメージ ピンク 緑 青 茶 黄 図1 表1.1赤に対するイメージ(平均、標準偏差) 合計 平均値 表1.2ピンクに対するイメージ(平均、標準偏差) 標準偏差 合計 平均値 標準偏差 赤(好きな×嫌 422 2.41 1.01 ピンク(好きな× 434 2.48 1.17 赤(親しみやすい 551 3.15 1.05 ピンク(親しみやすい 426 2.43 1.21 赤(品のある× 584 3.34 0.95 ピンク(品のある 468 2.67 1.01 赤(若々しい× 405 2.31 1.09 ピンク(若々しい 316 1.81 0.79 赤(気が晴れる 356 2.03 0.86 ピンク(気が晴 407 2.33 0.91 赤(元気が出る 341 1.95 0.98 ピンク(元気が 428 2.45 0.93 赤(活発な×しとやかな 259 1.48 0.69 ピンク(活発な 509 2.91 1.09 赤(派手な×地味 235 1.34 0.61 ピンク(派手な 427 2.44 0.97 赤(個性的な× 367 2.1 0.88 ピンク(個性的 562 3.21 1.01 赤(くつろぐ×くつろげない735 4.2 0.76 ピンク(くつろぐ 475 2.71 1.02 N=175 N=175 表1.3緑に対するイメージ(平均、標準偏差) 表1.4青に対するイメージ(平均、標準偏差) 合計 平均値 標準偏差 合計 緑(好きな×嫌 438 2.5 1.02 緑(親しみやすい 460 2.63 1.1 緑(品のある× 512 2.93 緑(若々しい× 449 緑(気が晴れる 緑(元気が出る 平均値 標準偏差 青(好きな×嫌 410 2.34 0.99 青(親しみやすい 462 2.64 1.01 1.03 青(品のある× 469 2.68 1.05 2.57 1.06 青(若々しい× 484 2.77 1.09 454 2.59 0.93 青(気が晴れる 446 2.55 0.98 423 2.42 0.85 青(元気が出る 469 2.68 0.94 緑(活発な×しとやかな 485 2.77 1.02 青(活発な×しとやかな 506 2.89 1.17 緑(派手な×地味 499 2.85 0.97 青(派手な×地味 510 2.91 0.95 緑(個性的な× 404 2.31 1.05 青(個性的な× 494 2.82 1.05 緑(くつろぐ×くつろげない470 2.69 1.02 青(くつろぐ×くつろげない488 2.79 1.09 N=175 N=175 表1.5茶に対するイメージ(平均、標準偏差) 表1.6黄に対するイメージ(平均、標準偏差) 合計 平均値 標準偏差 合計 平均値 標準偏差 茶(好きな×嫌 342 1.95 1.01 黄(好きな×嫌 496 2.83 1.02 茶(親しみやすい 346 1.98 1.03 黄(親しみやすい 505 2.89 1.09 茶(品のある× 343 1.96 0.99 黄(品のある× 656 3.75 0.78 茶(若々しい× 741 4.23 0.79 黄(若々しい× 286 1.63 0.68 茶(気が晴れる 617 3.53 0.81 黄(気が晴れる 322 1.84 0.86 茶(元気が出る 592 3.38 0.71 黄(元気が出る 298 1.7 0.87 茶(活発な×しとやかな 727 4.15 0.78 黄(活発な×しとやかな 258 1.47 0.58 茶(派手な×地味 761 4.35 0.77 黄(派手な×地味 280 1.6 0.76 茶(個性的な× 674 3.85 1.01 黄(個性的な× 349 1.99 0.94 茶(くつろぐ×くつろげない358 2.05 1.08 黄(くつろぐ×くつろげない667 3.81 0.95 N=175 N=175 18 2、色の因子の抽出 色に対するイメージの因子を主因子法による因子分析を行い、プロマックス回転後、因 子付加量.4 以上の項目について解釈を行った。その結果、第一因子は「元気が出る」 「気が 晴れる」など、色を見て活動的になったり解放的な気持ちになったりすることを示す項目 から成っているため、 「解放活動性」因子と命名した。第二因子は、 「好きな」 「くつろげる」 など、その色を快適だと感じることを示す項目から成っているため、「快適性」因子と命名 した(表 2) 。なお、これらの因子を構成する項目は、加藤(2004)注 30 における「快適性」 「解放性」「活動性」とほぼ一致した構成になっていた。 表2 因子分析の結果 Cronbach のアルファ α=0.87 α=0.80 因子 1 解放活動性 因子 2 快適性 共通性 元気が出る×疲れる 0.85 0.28 0.487 気が晴れる×気が沈む 0.84 0.31 0.671 活発な×しとやかな 0.78 -0.21 0.485 派手な×地味な 0.71 -0.33 0.463 若々しい×大人っぽい 0.65 -0.07 0.623 個性的な×ありふれた 0.43 -0.33 0.637 親しみやすい×親しみにくい 0.20 0.87 0.769 好きな×嫌いな 0.23 0.75 0.779 くつろぐ×くつろげない -0.20 0.63 0.401 品のある×品のない -0.19 0.60 0.529 因子抽出法: 主因子法 回転法: Kaiser の正規化を伴うプロマックス法 3、各性格因子のイメージ比較 FFPQ のビッグ・ファイブ各性格因子の平均±標準偏差で群を3つにわけ、それぞれ高 群、中群、低群とした。 各群間での、色に対するイメージの各因子の平均値を一元配置分散分析により比較した (表 3.1∼3.5) 。Tukey 法の多重比較の結果を以下に示す。 ●「外向性内向性」因子では、茶色の「快適性」因子において、高群の得点が中群に比べ 5%水準で有意に低い得点であり、ピンクの「快適性」因子において、高群の得点が低群 19 の得点に比べ有意に低い傾向があった。 ●「愛着性分離性」因子では、赤の「解放活動性」因子において、高群の得点が中群に比 べ有意に低い傾向があり、赤の「快適性」因子において高群の得点が低群の得点に比べ5% 水準で有意に高い得点であった。ピンクの「解放活動性」因子においては高群の得点が低 群の得点に比べ5%水準で有意に低い得点であり、黄色の「開放性」では高群の得点が中 群の得点と比べ5%水準で有意に低い得点であった。 ●「統制性自然性」因子では、有意な差はなかった。 ●「情動性非情動性」因子では、緑の「解放活動性」因子において中群の得点が低群の得 点に比べ、有意に低い傾向であった。 ●「遊戯性現実性」因子では、緑の「快適性」因子において、高群の得点が低群の得点に 比べて、有意に低い傾向があり、青の「解放活動性」因子においては、高群の得点が中群 の得点に比べて5%水準で有意な差があった。 20 表3.1 外向性内向性の各群の平均と群間の比較 低群 中群 表3.2 愛着性分離性の各群の平均と群間の比較 高群 低群 中群 高群 N=32 N=94 N=49 F値 N=52 赤 平均値 N=92 11.54 11.17 10.81 3.26 2.68 4.21 解放活動性 標準偏差 赤 平均値 13.48 12.71 13.61 快適性 標準偏差 2.92 2.4 2.45 ピンク 平均値 14.85 15.57 14.35 3.72 3.51 3.15 9.52 解放活動性 標準偏差 ピンク 平均値 11.29 10.01 快適性 標準偏差 3.61 3.38 緑 平均値 15.75 15.58 14.9 4.5 3.63 3.56 11 10.83 10.06 解放活動性 標準偏差 平均値 快適性 標準偏差 3.51 3.1 3.19 青 平均値 17.02 16.5 16.32 4.02 4.43 4.2 青 平均値 10.81 10.45 9.87 快適性 標準偏差 3.49 3 3.14 茶 平均値 24.12 23.5 22.45 2.73 2.97 4.02 解放活動性 標準偏差 0.537 2.264 1.63 3.417* 0.488 0.873 0.338 0.845 2.769 快適性 標準偏差 3.51 3.02 2.95 高<中 黄 平均値 10.19 10.47 9.68 3.04 3.22 2.66 13.32 快適性 標準偏差 2.96 2.85 3.42 3.22 3.075* 0.777 12.19 13.06 快適性 標準偏差 2.98 2.51 ピンク 平均値 15.03 15.28 14.94 4.62 3.44 2.88 21 13.76 9.33 3.671* 2.31 低<高 ピンク 平均値 11.47 10.41 快適性 標準偏差 4.08 3.26 緑 平均値 15.81 15.53 15.27 4.22 3.78 3.91 0.164 4.056* 3.01 高<低 緑 平均値 11.19 10.89 10.16 快適性 標準偏差 3.36 3.1 3.41 青 平均値 17 16.71 16.2 4.14 4.12 4.63 青 平均値 10.53 10.56 10.18 快適性 標準偏差 3.56 2.99 3.3 茶 平均値 23.88 23.19 23.84 2.89 3.31 2.97 茶 平均値 8.06 7.99 7.76 快適性 標準偏差 3.23 3.34 2.96 黄 平均値 10.69 10.59 9.31 3.61 2.88 0.194 1.19 0.381 0.242 0.959 0.115 3.284* 2.9 高<中 黄 平均値 13.41 12.99 13.76 快適性 標準偏差 2.56 3.03 3.26 **p<.01 *p<.05 +p<.10 **p<.01 *p<.05 +p<.10 3.073* 2.81 高<中 平均値 解放活動性 標準偏差 2.824 10.29 赤 解放活動性 標準偏差 6.77 12.83 3.29 解放活動性 標準偏差 8.39 14.06 11.53 解放活動性 標準偏差 7.83 平均値 11.72 解放活動性 標準偏差 平均値 黄 平均値 解放活動性 標準偏差 茶 解放活動性 標準偏差 赤 2.87 高<低 緑 解放活動性 標準偏差 F値 N=31 1.07 表3.3 統制性自然性の各群の平均と群間の比較 低群 中群 表3.4 情動性非情動性の各群の平均と群間の比較 高群 低群 中群 高群 N=25 N=92 N=58 F値 N=81 赤 平均値 N=55 11.49 10.89 11.1 3.17 3.42 2.74 解放活動性 標準偏差 赤 平均値 12.99 13.09 13.33 快適性 標準偏差 2.67 2.77 2.18 ピンク 平均値 14.96 15.75 14.64 3.98 3.2 2.85 解放活動性 標準偏差 ピンク 平均値 10.49 9.96 10.38 快適性 標準偏差 3.73 3.04 3.27 緑 平均値 15.37 15.33 16.05 3.98 3.57 4.15 解放活動性 標準偏差 緑 平均値 10.51 11.2 10.59 快適性 標準偏差 3.28 2.91 3.6 青 平均値 17.38 15.98 15.95 4.24 3.98 4.5 解放活動性 標準偏差 青 平均値 10.36 10.6 10.44 快適性 標準偏差 3.15 3.49 2.79 茶 平均値 23.64 23.13 23.72 3.21 3.1 3.11 解放活動性 標準偏差 茶 平均値 7.89 7.58 8.54 快適性 標準偏差 3.27 3.24 2.99 黄 平均値 10.16 10.05 10.69 2.97 3.31 2.96 解放活動性 標準偏差 F値 N=39 黄 平均値 13.44 13.64 12.44 快適性 標準偏差 3.02 2.9 3.09 0.627 赤 平均値 11.04 11.17 11.36 3.16 3.1 3.29 解放活動性 標準偏差 0.233 1.308 赤 平均値 13.12 13.35 12.69 快適性 標準偏差 1.96 2.51 2.92 ピンク 平均値 15.52 15.36 14.62 3.18 3.47 3.75 解放活動性 標準偏差 0.406 0.489 ピンク 平均値 9.48 10.45 10.43 快適性 標準偏差 2.86 3.48 3.53 緑 平均値 16.92 14.92 15.83 4.13 3.49 解放活動性 標準偏差 0.806 2.443+ 0.095 0.559 平均値 9.64 10.91 10.95 快適性 標準偏差 3.56 2.96 3.48 青 平均値 16.6 16.72 16.48 5.06 4.01 4.35 青 平均値 9.76 10.8 10.19 快適性 標準偏差 3.41 3.17 3.06 茶 平均値 23.56 23.72 23.12 3.82 3 3.08 解放活動性 標準偏差 1.037 0.547 茶 平均値 7.28 8.21 7.79 快適性 標準偏差 3.09 3.08 3.44 黄 平均値 9.6 10.41 10.26 3.49 2.89 3.17 解放活動性 標準偏差 2.05 **p<.01 *p<.05 +p<.10 黄 平均値 13.32 13.32 13.21 快適性 標準偏差 3.08 2.95 3.16 **p<.01 *p<.05 +p<.10 22 1.152 0.951 0.846 2.955+ 4.23 中<低 緑 解放活動性 標準偏差 0.108 1.707 0.054 1.366 0.642 0.911 0.687 0.025 表3.5 遊戯性現実性の各群の平均と群間の比較 低群 中群 高群 N=21 N=99 N=55 F値 赤 平均値 11.71 11.46 10.58 3.52 3.21 2.86 解放活動性 標準偏差 赤 平均値 12.62 13.25 13 快適性 標準偏差 2.69 2.46 2.8 ピンク 平均値 14.38 15.21 15.29 2.99 3.49 3.8 10.57 10.26 10.27 21 99 55 標準偏差 3.75 3.23 3.66 平均値 15.81 15.86 14.76 4.37 3.48 4.33 解放活動性 標準偏差 ピンク 平均値 快適性 度数 緑 解放活動性 標準偏差 緑 平均値 12.14 10.66 10.36 快適性 標準偏差 2.56 3.19 3.46 青 平均値 16.81 17.3 15.33 4.25 4.07 解放活動性 標準偏差 平均値 11.62 10.45 10 快適性 標準偏差 3.06 3.31 2.89 茶 平均値 24.52 23.24 23.56 2.42 3.39 2.89 茶 平均値 8.62 8.13 7.33 快適性 標準偏差 3.28 3.03 3.42 黄 平均値 9.71 10.59 9.84 2.28 3.28 2.9 平均値 12.9 13.36 13.27 標準偏差 3.52 2.82 3.22 解放活動性 標準偏差 0.572 0.555 0.073 1.486 2.412 3.962* 4.37 高<中 青 解放活動性 標準偏差 1.69 2.002 1.461 1.67 1.418 0.198 黄 **p<.01 *p<.05 +p<.10 23 4、性格特性のイメージ比較 4-1 クラスターで独立変数を特定 「3、各性格因子のイメージ比較」の分析では色に対するイメージとビッグ・ファイブ 性格因子ひとつひとつの関連を見たが、ここでは、色に対するイメージとビッグ・ファイ ブの関連を個人レベルで検討する。 ビッグ・ファイブ各項目得点を変量とし、グループ内平均連結法によるクラスター分析 を行い、距離係数.20 で回答者を3つのクラスターに分類した(図 4.1-1) 。ビッグ・ファイ ブ項目得点の各クラスターの平均値を見ると、第一クラスター(60 名)は、 「統制性」得点 が全体の平均より高く、 「情動性」の得点は全体の平均より低い(「非情動性」得点が高い) 群である。第二クラスター(48 名)は、全体的に平均に近い値ではあるが、 「外向性」得点 が全体の平均より高く、「遊戯性」得点は全体の平均より低い( 「現実性」得点が高い)群 である。第三クラスター(67 名)は、「統制性」得点が全体の平均より低く(「自然性」得 点が高い)、 「遊戯性」得点が全体の平均より高い群である。(図 4.1-2) 25 20 15 10 0 第1クラスター 第2クラスター 第3クラスター 図 4.1-1 クラスター分析のデンドログラム 60 55 50 得 点 45 統制非情動 外向現実 自然情動 平均 40 35 因子 図 4.1-2 各クラスターのビッグ・ファイブ因子得点の平均 24 遊戯性現実性 情動性非情動性 統制性自然性 愛着性分離性 外向性内向性 30 4-2 各クラスターと色の因子の関連 各クラスター間の色の因子ごとの平均値を一元配置分散分析で比較した(表 4-2) 。Tukey 法の多重比較の結果、青の「快適性」因子において統制性非情動性クラスターの得点が外 向性現実性クラスターより有意に低い得点であった。 表4-2 各色因子の各群の平均と群間の比較 統制性非情動性 外向性現実性 自然性情動性 N=60 赤 平均値 11.19 11.49 2.89 3.46 3.19 13.17 13.00 13.10 2.12 2.79 2.85 15.38 15.23 14.85 3.13 3.71 3.75 10.27 10.08 10.49 3.20 3.71 3.42 15.98 15.31 15.22 3.99 3.44 4.09 10.60 11.52 10.31 3.25 3.08 3.29 16.22 17.15 16.61 4.11 4.25 4.41 10.03 11.54 10.04 2.96 3.33 3.10 23.80 23.35 23.33 2.90 3.15 3.37 平均値 7.68 8.38 7.85 標準偏差 2.95 3.39 3.29 10.60 9.85 10.21 3.01 3.13 3.09 12.82 13.33 13.66 2.87 3.33 2.90 平均値 快適性 標準偏差 ピンク 平均値 解放活動性 標準偏差 ピンク 平均値 快適性 標準偏差 緑 平均値 解放活動性 標準偏差 緑 快適性 青 平均値 標準偏差 平均値 解放活動性 標準偏差 青 快適性 茶 平均値 標準偏差 平均値 解放活動性 標準偏差 茶 快適性 黄 平均値 解放活動性 標準偏差 黄 快適性 平均値 標準偏差 **p<.01 *p<.05 +p<.10 25 F値 N=67 10.93 解放活動性 標準偏差 赤 N=48 0.496 0.055 0.381 0.204 0.687 2.056 0.633 4.042* 統<外 0.421 0.660 0.793 1.238 4-3 各クラスターの服の色に対するイメージ 色の因子だけではなく、色に対してどのようなイメージを持っているのかをより具体的 に見るために、服の色に対するイメージの各項目について、クラスターごとに比較した(図 4.3-1∼4.3-6)。 緑と青において、6 項目で外向性現実性クラスターが他の2つのクラスターよりも高い 得点になっている。緑: 「好きな―嫌いな(2.63) 」、 「親しみやすい―親しみににくい(2.83)」 、 「品のある―品のない(3.17)」、 「気が晴れる―気が沈む(2.79) 」、「元気が出る―疲れる (2.56)」 、「くつろぐ―くつろげない(2.90) 」の6項目。青:「好きな―嫌いな(2.56)」 、 「親しみやすい―親しみににくい(2.92)」 、 「品のある―品のない(2.98)」 、 「気が晴れる― 気が沈む(2.83) 」、 「元気が出る―疲れる(2.94)」、「くつろぐ―くつろげない(3.08) 」の 6項目。 それに対し、自然性情動性クラスターは緑において7項目で他の2つのクラスターより も低い得点になっている。「好きな―嫌いな(2.42)」、「親しみやすい―親しみににくい (2.52)」 、「品のある―品のない(2.78)」、 「気が晴れる―気が沈む(2.37)」、「元気が出る ―疲れる(2.24) 」、 「個性的な―ありふれた(2.21)」 、 「くつろぐ―くつろげない(2.60) 」 の7項目。また青において5項目で他の2つのクラスターよりも低い得点になっている。 「好きな―嫌いな(2.25) 」 、 「親しみやすい―親しみににくい(2.49)」、 「元気が出る―疲れ る(2.58)」 、 「活発な―しとやかな(2.88)」 、「個性的な―ありふれた(2.73) 」の5項目。 26 得点 1.00 2.00 3.00 4.00 得点 5.00 1.00 好 き な× 嫌 い な 好きな×嫌いな 親 しみ や す い × 親 しみ に くい 親 しみ や す い × 親 しみ に くい 品のある×品のない 品 の あ る× 品 の な い 若 々 しい × 大 人 っ ぽ い 若 々 しい × 大 人 っ ぽ い 気が 晴れる×気 が沈む 気が晴 れる×気が沈 む 2.00 3.00 4.00 5.00 元気 が出る× 疲れる 元 気が出る×疲れ る 活 発 な × しとや か な 活 発 な× しとや か な 派 手 な× 地 味 な くつ ろ ぐ × くつ ろ げ ない くつ ろ ぐ× くつ ろ げ な い 図 4.3-1 各 ク ラ ス ター の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (赤 ) 1.00 2 .0 0 得点 3 .0 0 統制非情動 個性的な×ありふれた 外向現実 自然情動 統制非情動 個 性 的 な× あ り ふ れ た 外向現実 自然情動 派 手 な× 地 味 な 図 4.3-2 各 ク ラ ス ター の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (ピ ン ク ) 4 .0 0 得点 5 .0 0 1.00 好 きな×嫌いな 好 きな×嫌いな 親 し み や す い × 親 しみ に く い 親 し み や す い × 親 しみ に く い 品 の あ る× 品 の な い 品 の あ る× 品 の な い 若 々 し い× 大 人 っぽ い 若 々 し い× 大 人 っ ぽ い 2.00 3.00 4.00 5.00 気が晴 れる×気が 沈む 気が晴れる× 気が沈む 元 気 が出 る × 疲 れ る 元 気 が出 る × 疲 れ る 活 発 な × しと や か な 活 発 な × しと や か な 派手な×地味な 派手な×地味な 統制非情動 外向現実 自然情動 個 性的な ×ありふ れた 統制非情動 くつ ろ ぐ× くつ ろ げ な い 外向現実 自然情動 個 性的な ×ありふ れた くつ ろ ぐ× くつ ろ げ な い 図 4.3-3 各 ク ラ ス タ ー の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (緑 ) 図 4.3-4 各 ク ラ ス タ ー の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (青 ) 得点 得点 1.00 2.00 3.00 4.00 1.00 5.00 好 きな×嫌いな 好 きな×嫌いな 親 し み や す い × 親 しみ に く い 親 し み や す い × 親 しみ に く い 2.00 3.00 4.00 5.00 品 の あ る× 品 の な い 品 の あ る× 品 の な い 若 々 し い× 大 人 っ ぽ い 若 々 し い× 大 人 っぽ い 気が晴 れる×気が 沈む 気が晴れる× 気が沈む 元 気 が出 る × 疲 れ る 元 気 が出 る × 疲 れ る 活 発 な × しと や か な 活 発 な × しと や か な 派手な×地味な 派手な×地味な 図 4.3-5 各 ク ラ ス タ ー の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (茶 ) 図 4.3-6 各 ク ラ ス タ ー の 色 に 対 す る イ メ ー ジ (黄 ) 27 統制非情動 くつ ろ ぐ× くつ ろ げ な い 外向現実 個 性的な ×ありふ れた 自然情動 統制非情動 くつ ろ ぐ× くつ ろ げ な い 外向現実 自然情動 個 性的な ×ありふ れた 4-4 情動性高群の外向性と内向性の服の色に対するイメージ 仮説を検討するために、回答者の中から情動性高群を抜き出し、その回答者を外向性・ 内向性の 2 群にわけ、服の色に対するイメージを比較した(図 4.4-1∼4.4-6) 赤において、情動性外向性群のほうが5項目において、情動性内向性群より低い得点に なっている。 「好きな―嫌いな(2.14) 」、「親しみやすい―親しみににくい(3.00)」、 「若々 しい―大人っぽい(2.43) 」 、 「元気が出る―疲れる(2.10)」 、「派手な―地味な(1.33) 」の 5項目。 ピンクにおいて、情動性外向性群のほうが 6 項目において、情動性内向性群より低い得 点になっている。 「好きな―嫌いな(2.10)」、 「親しみやすい―親しみににくい(2.24) 」、 「品 のある―品のない(2.43) 」 、 「気が晴れる―気が沈む(2.14) 」、 「元気が出る―疲れる(2.29) 」、 「くつろぐ―くつろげない(2.19) 」の6項目。 緑において、情動性内向性群のほうが7項目において、情動性外向性群より低い得点に なっている。 「好きな―嫌いな(2.54) 」、「品のある―品のない(2.81)」 、「若々しい―大人 っぽい(2.62) 」、 「気が晴れる―気が沈む(2.46)」、「元気が出る―疲れる(2.38)」、 「活発 な―しとやかな(2.84) 」、 「個性的な―ありふれた(2.24)」の7項目。 青において、情動性外向性群のほうが7項目において、情動性内向性群より低い得点に なっている。 「好きな―嫌いな(2.24) 」、「親しみやすい―親しみににくい(2.52)」、 「品の ある―品のない(2.48) 」 、 「若々しい―大人っぽい(2.67)」 、 「気が晴れる―気が沈む(2.33) 」、 「派手な―地味な(2.57) 」「くつろぐ―くつろげない(2.81) 」の7項目。 茶において、情動性外向性群のほうが全ての項目において、情動性内向性群より低い得 点になっている。 「好きな―嫌いな(1.48)」、 「親しみやすい―親しみににくい(1.62) 」、 「品 のある―品のない(1.67) 」 、 「若々しい―大人っぽい(4.10) 」、 「気が晴れる―気が沈む(3.29) 」、 「元気が出る―疲れる(3.24) 」 、 「活発な―しとやかな(3.95)」 、 「派手な―地味な(4.10) 」 「個性的な―ありふれた(3.48) 」、 「くつろぐ―くつろげない(1.86)」の 10 項目。 黄において、情動性外向性群のほうが5項目において、情動性内向性群より低い得点に なっている。 「好きな-嫌いな(2.52)」、 「親しみやすい-親しみにくい(2.57) 」、「活発な-し とやかな(1.38)」 、 「個性的な-ありふれた(1.86)」、 「くつろぐ-くつろげない(3.62)」の 5 項目。 「気が晴れる-気が沈む(1.90) 」、 「元気が出る-疲れる(1.81)」は同点だった。 28 1 2 赤得点 3 4 5 1 好きな-嫌いな 好きな-嫌いな 親しみやすい-親しみにくい 親しみやすい-親しみにくい 品のある-品の無い 品のある-品の無い 若々しい-大人っぽい 若々しい-大人っぽい 気が晴れる-気が沈む 気が晴れる-気が沈む 元気が出る-疲れる 元気が出る-疲れる 活発な-しとやかな 活発な-しとやかな 4 5 個性的な-ありふれた くつろぐ-くつろげない くつろぐ-くつろげない 図4.4-1 情動外向性と情動内向性の比較(赤) 2 緑得点 3 4 図4.4-2 情動外向性と情動内向性の比較(ピンク) 5 1 好きな-嫌いな 好きな-嫌いな 親しみやすい-親しみにくい 親しみやすい-親しみにくい 品のある-品の無い 品のある-品の無い 若々しい-大人っぽい 若々しい-大人っぽい 気が晴れる-気が沈む 気が晴れる-気が沈む 元気が出る-疲れる 元気が出る-疲れる 活発な-しとやかな 活発な-しとやかな 派手な-地味な 派手な-地味な 個性的な-ありふれた 個性的な-ありふれた 茶得点 3 4 4 5 図4.4-4 情動外向性と情動内向性の比較(青) 1 5 好きな-嫌いな 好きな-嫌いな 親しみやすい-親しみにくい 親しみやすい-親しみにくい 品のある-品の無い 品のある-品の無い 若々しい-大人っぽい 若々しい-大人っぽい 気が晴れる-気が沈む 気が晴れる-気が沈む 元気が出る-疲れる 元気が出る-疲れる 活発な-しとやかな 活発な-しとやかな 派手な-地味な 派手な-地味な 個性的な-ありふれた 個性的な-ありふれた 2 黄得点 3 4 くつろぐ-くつろげない 図4.4-5 情動外向性と情動内向性の比較(茶) 図4.4-6 情動外向性と情動内向性の比較(黄) 29 5 情外 情内 情外 情内 くつろぐ-くつろげない 青項目 3 くつろぐ-くつろげない 図4.4-3 情動外向性と情動内向性の比較(緑) 2 2 情外 情内 情外 情内 くつろぐ-くつろげない 情外 情内 情外 情内 個性的な-ありふれた 1 ピンク得点 3 派手な-地味な 派手な-地味な 1 2 【考察】 ●全体的な色のイメージ 服の色のイメージを調べたところ、赤は派手で活発で元気が出る色。ピンクは若々しく て気が晴れる色。緑は中庸だが少し個性的な色。青は、6色の中で2番目に好かれる色。 茶はしとやかで大人っぽく、くつろげる、親しみやすい色。黄は派手で活発な、気が晴れ て元気が出る若々しい色である、というのが回答者全体のイメージであった。 これらの結果は、加藤雪枝ら(2004)注 31 の研究の、赤、黄、緑は「好きな」 「快適な」 「親しみやすい」「落ち着いた」 「くつろぐ」の値が低く、 「活動的な」「派手な」の値が高 いという結果を支持するものである。やはり、色に対してのイメージはあまり変わるもの ではなく、国や地域によって少し異なるところもあるが、ある文化の中では一定のイメー ジがあるということが言える。 ● FFPQ 各性格因子と色の比較 ・外向性―内向性 外向性の高い人は、内向性の高い人よりもピンクに対して好意的なイメージを持ってい る、そして、外向性が高い人は外向性がやや高い人に比べ、茶色について好意的なイメー ジを持っていることがわかった。 仮説①の「外向性の高い人は白や暖色系を好む」という点に関しては、外向性の高い人 は、ピンクと茶色に対して好意的なイメージを持っているので、仮説が正しいと考えられ る。しかし、赤については有意な差が出ていない。そして、仮説②「内向性の高い人は黒 や寒色系を好む」という点に関しては、有意な差は見られず、仮説とは違う結果になった。 これは、色見本(服の画像)の青が高彩度だったのが原因だと思われる。松田ら(2004) 注 32 の「内向型で不安定型の E 型はv(vivid)トーンや高彩度を嫌い、外向的で不安定型 の B 型は高彩度トーンを好む傾向がある」という結果から、青が高彩度だったために、寒 色であるにも関わらず内向性の高い人に好まれなかったのだと思われる。 ・愛着性―分離性 愛着性の高い人は、愛着性がやや高い人よりも赤に対してやや活動的で解放的なイメー ジを持ち、黄色に対して好意的なイメージを持っている。また、愛着性の高い人は分離性 の高い人に比べ、ピンクに対して好意的なイメージを持っている。分離性の高い人は、愛 着性の高い人に比べ、赤に対して好意的なイメージを持っている。ここでは、同じ暖色な のに赤、ピンク、黄色に対して、イメージの違いがあるのは、それぞれの色に明度や彩度 などの差があるためではないだろうか。ピンクの若々しく気が晴れるイメージというのは、 幼くてかわいらしくやわらかいというイメージにも繋がるだろう。愛着性の高い人は他人 と協調し愛情を持ってもらいたいという感情から、色のイメージがきつい赤よりもやわら かいピンクに対して好意的なイメージを持つのではないかと考えられる。 30 ・統制性―自然性 先行研究において、統制性については何も触れられていなかったが、本研究においても 統制性の差では色に対するイメージの差は出なかった。このことにより、統制性の特性は 色にもつ印象にほとんど影響を与えない可能性が示唆された。したがって、合理性や秩序 について重視するかしないかという性格特性はあまり色について関わりがないのではない かと考えられる。 ・情動性―非情動性 情動性があまり高くない人は情動性の低い人よりも、緑に対してやや解放的で活動的な イメージを持っている。この結果は、松田ら(2004)注 33 の平均型はブルーやグリーンを好 む、という結果と、押山(1997)注 34 の安定積極型はパープル系やグリーン系は被服の色と してあまり選ばない、という結果と似ている。 安定型を情動性の低い人に、平均型を情 動性があまり高くない人に置き換えると、情動性があまり高くない人はブルーやグリーン を好み、情動性の低い人はパープル系やグリーン系は被服の色としてあまり選ばない、と なる。 ・遊戯性―現実性 遊戯性が高い人は遊戯性がやや高い人に比べて、青に対して解放的で活動的なイメージ を持っている。遊戯性については先行研究では触れられてはいないが、青の解放的で活動 的なイメージが、日常的な現実経験の枠内におさまりきらず、感覚、感情、イメージ、思 考、活動などがあふれ出てくる感覚に似ているからなのではないだろうか。 ●各クラスターと各色の因子の関連 統制性非情動性クラスターは、外向性現実性クラスターより青に対して好意的なイメー ジを持っていることがわかった。 図 4.1-2「各クラスターのビッグ・ファイブ因子得点の平均」を見てみると、外向性現実 性グループよりも統制性非情動性クラスターの外向性−内向性の得点のほうが低いことが わかる。そして、情動性−非情動性においても、外向性現実性クラスターよりも統制性非 情動性クラスターの得点のほうが低いことがわかる。この2つのクラスターの外向性−内 向性因子と情動性―非情動性因子のみを見てみると、外向性現実性クラスターは外向的で 情動的であり、統制性非情動クラスターは内向的で非情動的であると言える。つまり、YG 性格検査法の B 型「不安定積極型」と C 型「安定消極型」のタイプであるとも言える(表 5) 。 押山(1997)注 35 の研究で、B 型の不安定積極型は青系を好まないという結果が出ている ので、この2つのクラスターにおいて統制性非情動性クラスターのほうが青に対して好意 的なイメージを持っているという結果は考えられる。(C 型は青系を好む、パープル系レッ ド系イエロー系の幅広い暖色を好む、青と紫系を好む、などいろいろな説が出ているが、 共通しているのが紫系であるので、赤系と青系の中間ということでどちらに対しても好意 31 的なのではないかと考える。) 表 5 YG 性格検査の分類 型 情緒安 定性 性向 特徴・傾向 A型 平均 平均 真ん中よりのプロフィールで、すべての尺度において平均的で、取り立てて特徴のあ る性格特徴を示してはおらず、ほどほどにバランスが取れているタイプ。 B型 不安定 外向 右寄りのプロフィールで、情緒不安定、社会的不適応、活動的、外交的であり、性格 のバランスの悪さが行動として現れやすく、そのために対人関係上のトラブルが生じ る場合がある。細かいことを気にしたり落ち込みやすい反面、活動的・行動的でもあ り、学校や職場でトラブルメーカーになりやすいタイプといわれる。 C型 安定 内向 左寄りのプロフィールで、情緒的に安定し、社会によく適応できるが、消極的で内向 的なタイプ。人ともトラブルを起こさず、控えめで慎重に行動する傾向がある。 外向 右下がりのプロフィールで、情緒的に安定し社会によく適応できる上に、活動的・積極 的というタイプ。対人関係にも優れており、学校や職場でリーダーの役割をこなす人 が多いともいわれる。問題は少なく、B型とは逆に性格のよい面が外に出やすい、好 ましい性格とされる。ただし、自分をよく見せようとする傾向がある人の場合にも現れ やすい。 内向 左下がりのプロフィールで、情緒的に不安定で社会にも適応しにくい。内向的で消極 的なタイプ。D型とは正反対の特徴を持っている。ものごとに対して受身的で時に無 気力的なこともある。目立ったトラブルは起こさないが、心の悩みを自ら抱えやすいタ イプである。 D型 E型 安定 不安定 ●クラスターと色の各項目との関連 緑と青において、6 項目で外向性現実性クラスターが他の2つのクラスターよりも高い得 点になっている。これは、3つのクラスターのうちで一番外向性の高い外向性現実性クラ スターが他のクラスターより緑と青を嫌うということである。これは、押山(1997)注 36 の、不安定積極型・安定積極型(つまりどちらも外向型)はグリーン系やブルー系を嫌う 傾向が見られるという結果を支持するものである。 それに対し、自然性情動性クラスターは緑において7項目、青において5項目で他の2 つのクラスターよりも低い得点になっている。これは、情動性が高く、外向性が低い(内 向性が高い)という特徴を持っている自然性情動性クラスターが緑と青を他の2つクラス ターより好むということであり、松田ら(2004)注 37 の平均型と内向的で不安定型がブルー グリーン系を多く好むという結果を支持するものである。 ●情動性外向性群と情動性内向性群の比較 赤(5 項目)、ピンク(6 項目) 、茶(10 項目) 、黄(5 項目)において、情動性外向性群 のほうが、情動性内向性群より低い得点になった。これは、伊藤(1976)注 38 の外向性は白 や暖色に対して積極的で好意的であるという結果を支持するものであり、また赤やピンク 32 において押山(1997)注 39 の、不安定積極型は、パープリッシュピンクやピンクなどの赤系 統嗜好を示すという結果を支持するものになっている。 また、緑において、情動性内向性群のほうが7項目において、情動性外向性群より低い 得点になっている点も伊藤(1976)注 40 の内向性は黒や寒色に対して好意的であるという結 果と、押山(1997)注 41 の不安定積極型の人はパープル系とグリーン系は被服の色としては あまり選ばないという結果を支持するものになっている。 しかし、同じ寒色である青において、情動性外向性群のほうが7項目において、情動性 内向性群より低い得点になっている点については伊藤(1976)注 42 の結果とそぐわない。こ れは、色見本(画像)の服の色が青というより水色に近く、彩度も明度も高く派手な印象 だったためであると思われる。松田ら(2004)注 43 によると、内向的で不安定型の E 型は v(vivid:さえた、鮮やかな)トーンや高彩度を嫌い、g(grayish:灰みの)トーンやd (dull:鈍い、くすんだ)トーンといった中∼低彩度の濁色を好む傾向がある。また外向的 で不安定型の B 型は高彩度トーンを好む傾向がある。つまり、情動性外向性群は高彩度の 色を好み、情動性内向性群は高彩度を嫌うということから、青について、寒色ではあるが 高彩度だったために、このような結果になったのだろう。 全体的に見ても、どの色に対しても情動性外向性群はあまり嫌悪感を示しておらず、逆 に情動性内向性群もどの色に対してもあまり好意的ではない。それは、質問紙で回答者に 配った服の画像はほとんどがvトーンであったため、vトーンを好む外向的な人は全体的 に服の色に対して好意的なイメージを持ち、逆にvトーンを嫌う内向的な人は全体的に服 の色に対して嫌悪的なイメージを持ったのではないかと考えられる。 33 <第四章>結論 先行研究により以下のことが示された。 A 型(平均型) 白嗜好が高い。色相では一定の傾向が表れていないがブルーグリーン 系、p トーンを好み、ビッドパープル、v トーンを嫌う。 B 型(不安定積極型) パープリッシュピンク、ピンクなどの赤系統の暖色、黒、vト ーンを好み、パープル系やグリーン系、ブルー系を嫌う。 C 型(安定消極型) 白、黒、パープル系、レッド系、イエロー系の広い範囲に暖色、 ブルー系とパープル系、lt トーン、ltg トーンを好み、ビビッドパープル、レッド系、イエ ロー系、dp トーン、v トーン、g トーンを嫌う。 D 型(安定積極型) 白、レッド系、v トーンを好み、パープル系とグリーン系、ブルー 系を嫌う。 E 型(不安定消極型) ブルー系の寒色とレッド系の暖色の両方に高い選択率を示すが、 ブルー系、オレンジ系、d トーン、ltg トーンを好み、グリーン系やパープル系、レッド系、 v トーン、dp トーンを嫌う。 そして、先行研究の結果から、FFPQ において、①外向性の高い人は白や暖色系を好む、 ②内向性の高い人は黒や寒色系を好む、③情動性が高く外向性の高い人はレッド系の色を 好み、パープル系グリーン系の色は好まない、④情動性が高く内向性が高い人は、ブルー 系を好み、レッド系やグリーン系を好まない、という仮説を立てた。 以上の仮説を検証するため、本研究では、服の色に対するイメージと性格に関連がある かを調べるため、質問紙を作成し配布・回収、分析を行った。 本研究によると、 「①外向性の高い人は白や暖色系を好む」という仮説は、ピンクや黄色、 茶色などの暖色を外向性の高い人が好むという結果により証明された。しかし、赤につい ては内向性の高い人のほうが好む結果となり、仮説を完全には証明できなかった。つまり、 外向性の高い人は白や暖色を好む傾向にあるが、明度や彩度によっては異なるということ がわかった。 「②内向性の高い人は黒や寒色系を好む」という仮説は、緑を好むという結果により証 明されたが、青がビビッドトーンであったため好まれなかったことから、寒色という色相 だけではなく彩度や明度も考える必要がある。つまり、内向性の高い人は黒や、明度や彩 度の低い寒色系を好む、ということがわかった。 「③情動性が高く外向性の高い人はレッド系の色を好み、パープル系グリーン系の色は 好まない」という仮説は、ピンクや茶色などのレッド系を好み、緑を好まないという結果 から証明された。しかし、これについても赤を内向性の高い人のほうが好む結果となり、 仮説を完全には証明できなかった。つまり、情動性が高く外向性の高い人はグリーン系を 好まないということがわかった。 「④情動性が高く内向性が高い人は、ブルー系を好み、レッド系やグリーン系を好まな 34 い」という仮説は、ピンクや茶色などのレッド系を好まないことは証明されたが、緑を好 み、青をあまり好まないということから、証明されなかった。つまり、これも情動性が高 く内向性が高い人は、彩度・明度のあまり高くないブルー系を好み、ピンクや茶色などの レッド系、グリーン系を好まない、ということがわかった。 仮説を証明する結果と相反する結果が出たが、先行研究や仮説と相反する結果が出たの は、YG 性格検査と FFPQ の違いや、被験者や調査期間の違い、また色見本の明度や彩度 などの色の違いによるものであると考えられる。 また、本研究の結果から、以下のことが言える。 外向性の高い人は白や暖色系を好むという結果から、常に強い刺激を求め、活動的で活 発であり、大胆で冒険好きで、他者に対して積極的・支配的で、リーダーシップをとる外 向的な人は、明るく鮮やかな色を好み、ピンクや黄色などの暖色を好む。 内向性の高い人は黒や、明度や彩度の低い寒色系を好むという結果から、あまり活動的 でなく、外見上はおっとりしていて、刺激を求めず、物静かな生活を好み対人的に控えめ で、消極的で内向的な人は、明るく鮮やかな色をあまり好まず、鈍くくすんだ色を好み、 緑を好む。 愛着性の高い人は分離性の高い人に比べ、ピンクに対して好意的なイメージを持ってい るという結果から、自他の境界をなくして、他者と一体化しようとし、他者への愛情や信 頼、共感や友好、協調を大切にし、また、人に追従して、集団の中に埋没してしまう愛着 性の高い人は、赤やピンク、黄色などの暖色を好む。 情動性があまり高くない人は情動性の低い人よりも、緑に対してやや解放的で活動的な イメージを持っているという結果から、心身の危機やストレスに無頓着で、あまり動じる ことがなく、平然としてられ、のんびりと気楽で情緒が安定している情動性の低い人は、 平均的な人より緑を好まない。 遊戯性が高い人は遊戯性がやや高い人に比べて、青に対して解放的で活動的なイメージ を持っているという結果から、新しいもの、変わったもの、複雑なもの、わけのわからぬ もの、喧騒などに好奇心をかきたてられやすい遊戯的な人は、比較的青を好む。 赤(5 項目)、ピンク(6 項目) 、茶(10 項目) 、黄(5 項目)において、情動性外向性群 のほうが、情動性内向性群より低い得点になったという結果から、情動性が高く外向性の 高い人は、若々しい、個性的、などの理由でピンクや黄色、茶色などの暖色を好む。 また、緑(7項目)において、情動性内向性群のほうが、情動性外向性群より低い得点 になっているという結果から、情動性が高く内向性の高い人は、気が晴れる、元気が出る などの理由で緑を好む。 以上のことから、性格特性の違いにより被服の色に対するイメージに違いが出ることが わかった。そして、少し違う部分もあるが、先行研究で明らかになっている結果と同じよ うな結果になった。 35 第二節 今後の課題 今回は 200 人程度しか質問紙を配れないということで、質問項目をあまり多くならない ようにするために、FFPQ の 150 項目の中から 75 項目に絞ったが、それによってビッグ・ ファイブの要素に偏りができてしまったかもしれない。FFPQ の 150 項目ではなくて、主 要 5 因子性格検査やビッグ・ファイブ尺度の短縮版を使うなどして、自分で項目を減らし たり増やしたりしなくてもそのまま使える尺度を使ったほうが信頼性としては高かっただ ろう。 また色においても、色見本の色も女性の服でよく使われているような色を 8 色選び、そ の 8 色の中からまた 6 色に絞ったが、その選定のやり方が主観的なものだったので、因子 分析などをして、しっかりとした選定をすれば、違う結果が出たと考えられる。 また、色が 6 色ということで有彩色に限定してしまったため、無彩色との比較ができな かった。本研究では、ほとんどの色をビビッドトーンにしてしまったが、松田ら(2004)注 48 のようにトーン別にも調べられたらもっと有意義な調査になったのではないだろうか。 同 じ色相であっても、彩度や明度などによってかなり印象が違ってくるものなので、色相だ けではなく、明度や彩度も見たら各因子でもっと結果が出たと考えられる。 36 おわりに やっと終わりました。 「おわりに」への道のりは長かった・・・でもすごくあっという間 の期間でもありました。卒論で何を書こう、と迷っていた期間がまるでつい先日のことの ようです。最初は友人関係についてとか、いじめについてとか、あとは一番興味のあった 精神疾患などについて書こうと思っていたのですが、友達や院生とお話したり、先行研究 を調べたりしているうちに、カラーコーディネーター検定のことを思い出し、色彩につい て調べてみたいと思うようになりました。わたしはアパレルに就職するので、何かそこで 役に立つような卒論を書きたいと思ったのも、服の色のイメージにした理由のひとつでし た。 実際調査をしてみて、仮説が全て証明されなかったのは残念だったけれど、少しでも傾 向を見られたのは嬉しかったです。質問紙を作ることがこんなに難しいものだと思っても いませんでした。きちんと問題意識と目的を持って仮説を立てておかなくては質問紙を作 れないのだと感じました。また、仮説を立てそれを証明する分析をするためには、その分 析の仕方も見越して質問項目や質問形式などを考えておかなくてはいけないのだと感じま した。質問紙の作り方が甘かったがために分析でやり方がまったくわからず院生の方々も 悩むほどのやっかいなものになってしまいました。自分が調べたいことの結果を出すとい うことは本当に難しいですね。 それにしても・・・大学にこんなに長い時間いたのはすごく久しぶりでした。1、2年 の頃は授業があったので毎日朝から夕方まで学校にいましたが、3、4年は授業が少なく なって(特に 4 年はゼミのみだったので)学校にいる時間が極端に減っていました。しか し、卒論を書き始めると SPSS を使わなくては分析ができなかったり、図書館や心理学研 究室に行って先行研究や参考資料を探したり、学食などで質問紙を配り歩いたり、学校に いかなくてはできないことが多かったです。しかし、分析が終わっても学校に行っていた 理由としては、家では集中して卒論を書けないということでした。そして、何より心理の クラスの友達と会えることがとても楽しみでした。一人ひとり卒論の内容は違うけれども、 一緒に頑張っている感じがして、精神的にかなりプラスになりました。そして、進みの早 い友達を見て、わたしも頑張らなきゃ、とやる気をもらえました。 もうすぐ卒業だと思うと寂しいですが、残り少ない学生生活を楽しみたいと思います。 37 謝辞 本論文の作成にあたり、多くの方々にご協力をいただきました。 2 年間、温かくご指導してくださった横湯先生、また横湯ゼミでお世話になった大学院生 の皆様、また共に学び励ましあった同じ心理学コースの皆様に感謝の意を表したいと思い ます。 特に、質問紙を作る上でご指導していただいた半澤さん、分析を行う上でご指導してい ただいた木村さん、鈴木さん、本論文作成において終始ご指導をしていただいた西中さん、 大変お忙しいにもかかわらず丁寧にご指導いただき本当に感謝の限りです。先輩方の助け なしではこの論文を書き上げることはできませんでした。本当にありがとうございました。 そして、本研究の趣旨を理解し快く協力して頂いた回答者の方々に心から感謝しており ます。 平成 19 年 12 月 18 日 38 引用文献 1 野村 1996 『色彩幸福論―愛と好運を呼ぶ色の法則』 ブックマン社 順一 2 松田博子ら 2004 『色の好みとパーソナリティについての研究』日本色彩学会誌 Vol.28 3 近江源太郎 1997 『配色好悪によるパーソナリティ・テストの試作(4)嗜好配色構成 と Big Five・CAS 性格検査との関係』日本色彩学会誌 Vol.21, pp. 32-33 4 注 2 と同じく 2003 『性格心理学への招待―自分を知り他者を理解するために―』 サイ 5 詫摩武俊ら エンス社 加藤雪枝ら 2004 『被服の色彩が着用者に及ぼす心理的・生理的影響―SD法、脳波、 6 心電による解析―』日本家政学会誌 Vol.55, No.7(20040715) pp. 531-539 2002 『大学生の色彩嗜好』 7 松田博子ら 8 日本色彩学会誌 pp. 100-101 Allport,G.W. 1937 詫摩武俊ら(訳)1982 『パーソナリティ』 新曜社 9 柏木惠子 1980 『人格・発達 心理学の展開』 北樹出版 10 H.C.Warren 1934 Dictionary of Psychology 11 Kretschimer.E 1955 Korperbau und Charakter 12 大野木裕明 2005 『EQS(情動知能指数)と FFPQ(5因子性格検査)間の相関的研 究』福井大学教育地域科学部紀要Ⅳ 2001 『EQS マニュアル』 13 内山喜久雄ら 14 村上宣寛・村上千恵子 15 下中順子ら 実務教育出版 1999 『主要 5 因子性格検査の手引き』 学芸図書 1999 『NEO-PI-R,NEO-FFI 共通マニュアル』 東京心理 16Costa&McCrae 1985/1992 『The Neo Personality Inventory manual』Psychological Assessment Resources. 17 FFPQ 研究会 1998 『FFPQ(5 因子性格検査)マニュアル』 18 大野木裕明 2004 『主要 5 因子性格検査3種間の相関的資料』 1998 『5 因子性格検査の理論と実際』 19、 20 辻平治郎 21 押山八重子 北大路書房 パーソナリティ研究 北大路書房 1997 『大学生の色彩嗜好と性格特性との関連性』 ノートルダム女子大学研 究紀要 (通号 27) pp. 85∼93 22、 32、 33、 37、 41、 43、 48 注 7 と同じく 23 近江源太郎ら 2003 『色彩の好悪選択とYG性格特徴』日本色彩学会誌 Vol.27, pp. 96-97 24 注 3 に同じく 25 伊藤法瑞 1976 『性格特性との関連における色彩印象の分析』愛知学院大学文学部紀 要 Vol.6 pp. 1-9 26、 28、 44、 46 注 19 と同じく 27、 29、 30、 31、 35、 36、 45、 47 注 6 と同じく 34、 39 注 21 と同じく 38、 40、 42 注 25 と同じく 39 参考文献 深井克彦 1991 『色彩象徴性格検査の検討-1-その妥当性について四国学院大学論集』pp. p129∼176 星野命 1985 『性格は変えられるか―新しい自己の発見と創造 』有斐閣 堀田裕弘 1998 『単色刺激における色彩感情値の推定と解析』 映像情報メディア学会 誌 vol.52 no.4 pp542-553 依田新 1968 『性格心理学』 金子書房 伊藤久美子 2001 『服装における色彩調和に関する研究―色彩感情から見た配色―』 日 本色彩学誌 vol.25 no.3 pp183-192 松岡武 1995 『色彩とパーソナリティ―色でさぐるイメージの世界―』 金子書房 諸井克英 2001 『被服イメージ判断におよぼす被服志向性の影響』 人文論集 : 静岡大 学人文学部人文学科研究報告 Vol.51, No.2 pp. A1-A31 村上宣寛・村上千恵子 1999 『性格は五次元だった[性格心理学入門] 』 培風館 長島貞夫 1983 『性格心理学ハンドブック』 岡田努 金子書房 2002 『現代大学生の「ふれあい恐怖的心性」と友人関係の関連についての考察』 性格心理学研究 第二号 pp69-84 近江源太郎ら 1999 『カラー・ピラミッド性格検査法の方法論に関する検討(1)∼(4)』 日 本色彩学会誌 Vol.23, pp. 58-59 力丸テル子 1997 『現代の女子学生の色彩・形態の選択に関する一考察』和洋女子大学 紀要. Vol.37pp. 255-273 坂上ちえ子 2006 『女子短大生における被服行動の判断基準とその背景要因 : 被服購入 場面と被服着用場面での意識・行動調査結果から』 鹿児島県立短期大学紀要 Vol.57(1222) pp. 45-68 田中良久編 1973 『心理学研究法』東京大学出版会 戸川行男ら 1969 『性格の理論―性格心理学講座』 辻 啓子 1995 金子書房 『女子短大生の色彩嗜好と被服の関係』 東海学園大学紀要 Vol.30 pp. 19-30 和田さゆり 1996 『性格特性用語を用いた Big Five 尺度の作成』 心理学研究 渡邉康人 2000 『嗜好色調査’88∼’99』 日本色彩学会誌 vol24 pp120-121 40
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