セキュリティの セキュリティの窓 ィの窓 21 セキュリティコミュニケータ 粕谷 周史 『自動車が空飛ぶ絨毯に』 自動車が空飛ぶ絨毯に』 第40回東京モーターショーの見学者は142万人で前回の151万人を6%ほど下回 わり、モータリゼーションの陰りと囁かれている。小生は平日に出かけたが東南アジア系 の来訪者が多く活況に見えた。フランクフルト・デトロイト・ジュネーブ・パリ・東京と 世界の五大モーターショーも見せるだけの娯楽のショーから「環境と安全」を提言する場 に大きく変貌している。 自動車のセキュリティと言えば「盗難防止装置(バーグラーアラーム) 」が挙げられ、世 界中の自動車損害保険会社が3秒に1台盗まれる車輌の保険金支払いで悩みを持っていた。 1985年ごろ英国フォード車がキーに電子チップを組み込んで複製ができない「イモビ ライザー」の搭載を開始し、保険料率の割引制度まで備え、世界に普及させたが、日本は 遅れて2002年にやっと制度化され た。 モータリゼーションも移動する居住 空間から安全性を高めることがより重 要な位置づけとなり、事故を未然に防 ぐ「アクティブ・セーフティ」と被害 を軽減させる「パッシブ・セーフティ」 の両方が積極的に開発されて夫々が採 用されていた。 アクティブ・セーフティの第一歩は 「アンチロックブレーキシステム(ABS) 」で、鉄道で使われていたメカ式の物を197 8年にボッシュ社が電子制御式として売り出している。続いて「トラクションコントロー ル(TCS)」が普及し、最近は横滑り防止(ESC)へと展開している。 何とエアーバッグ(SRS)は1968年日本人・小堀保三郎氏による世紀の大発明だ ったが、当時は奇抜過ぎて、普及を見届けることなく貧乏して亡くなっている。日本での 実用化は17年後の1985年で、ホンダ社のレジェンド車が最初だった。今では側面保 護やオートバイ用や歩行者保護用などのエアーバッグまで誕生している。 普及著しい「カーナビ」はドライバーへの地図情報を越えて、さらに多くの情報をサポ ートしている。ボッシュ社の次世代自動車の安全技術は従来単独で機能させていたアクテ ィブ・セーフティとパッシブ・セーフティの両システムにカーナビまでをネットワークで 統合し、事故を回避させる究極のセキュリティ構想を発表していた。 モーターショーの注目「ベンツF700」は、自動車の左右ヘッドライト付近に路面の 凸凹を検知するセンサーを組み込み、その情報を素早くダンパーコントロールに伝へ、凸 凹を吸収させ自動車を空飛ぶ絨毯の様に滑らかに走らせる。ビデオで走行を見たが革新の 技術に見えた。 ECOが叫ばれている今日、ベンツ社の「ブルーテック」はガソリンエンジンに比べて、 ジーゼルエンジンが唯一排出量の多い窒素酸化物を選択式触媒還元法で80%も削減に成 功している。これからの電動ハイブリッド駆動車は「マイルドハイブリッド方式」と呼ば れ、クリーンな排気と低燃費とパワーを備えている。 セキュリティ面でも指紋照合や静脈照合など装備し、自動車業界は熾烈な競争を演じて いた。
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