鹿野マネージャーの海外ビジネスコラム

「海外ビジネスコラム(第 12 回)」
(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター
鹿野健・海外販路開拓支援マネージャー
鹿野マネージャーの海外ビジネスコラム
「第 12 回 タイの生活事情と風物詩」
筆者は2007年から2009年にかけてタイに滞在して、工場の立ち上げ
業務にいそしんでいました。今後タイに駐在されるかもしれない方々のご参考
になればと思い本稿を書き始めました。
1) 日本人の多い居住地
①チョンブリ県シラチャ(Sri Racha と書きます)
バンコクの南東部に位置し、バンコクからは車で1時間半ほどの距離です。
従来単身赴任の日本人が圧倒的に多かったのですが、2009年4月にバ
ンコクに次いでタイで二番目の日本人学校が開校し、家族連れの日本人も増
えてきています。
外国人用のサービスアパートもたくさんあります。サービスアパートとい
うのは、ホテル住まいと同様で掃除やベッドメーキングをしてくれ、更に部
屋にはミニキッチンもついています。
近隣にはゴルフ場もあり、日本食レストランも種々ありまして、全く退屈
しません。皆さんはここからチョンブリ、ラヨーン等にある工業団地に通勤
されています。
②バンコク市内トンロー地区
スクンビット地区ソイ(小通り)55、別名トンロー通りと呼ばれる通り
に面した高級居住地であり、サービスアパートも多くあり、日本での生活と
同じパターンで生活できます。
家族連れの駐在員と単身の駐在員が混在していますが、何故かそれぞれの
行く日本食レストランは色分けされており、互いの私生活を侵食しないとい
う暗黙のルールができているようです。
レストランは世界中の料理店が軒を並べ、日本食はラーメン店から高級割
烹まであり、「日本人村」にも近く、設備の整った病院もあります。
筆者は海外7カ国で生活しましたが、最後に生活したトンローは最も暮ら
しやすい場所でした。
2) ソンクラーン(水掛け祭り)
タイの旧正月は4月13日から15日までですが、この間は無礼講で誰彼
を問わず他人に水を掛けることができます。水を掛けられてもクレームはで
きません。特に外国人が狙われやすく、筆者はこの時期に二回タイにいたこ
とがありますが、何度も氷入りの水をバケツごと頭から浴びせられて衣服が
びしょぬれになるなど、ひどい目に合いました。
「海外ビジネスコラム(第 12 回)」
(財)富山県新世紀産業機構 環日本海経済交流センター
鹿野健・海外販路開拓支援マネージャー
この水掛け祭りの由来は、次の耕作期に十分な雨が降る様にとの願いを表
わすためであると言われています。ただ面白いのは、一旦水掛けの洗礼を受
けると顔に白い粉を塗られ「水掛けの刑を受けた人」であるとの証明を得る
ことが出来ることです。白い粉はすぐに消えてしまいますが、それでも武士
の情けということでしょうか。
3) 洪水
タイでは9、10月が雨季であり、猛烈な雨が降ります。道路は水であふ
れ、通常10分で着く場所に1-2時間かけてやっとたどり着くという有様
です。歩けば良いではないかと思われますが、余りに雨の勢いが強く傘も役
に立たないためじっと車の中で待つしかありません。この時期の特に夕方の
会食などのアポイントがある場合は要注意です。最悪車を降りて、BTS、
MRTと呼ばれる電車で近場まで行くのが「バンコク通」の解決策です(こ
れも電車の駅までたどり着ければの話ですが)。筆者の会社があった工業団
地でも洪水に襲われ、友人の経営する工場に行くのにモーターボートを使っ
てたどり着く、という嘘みたいな経験もしました。ですから、工場の床面は
敷地よりも40~50cm 或いはそれ以上高くしておくのが安全です。
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