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糸島市学術研究都市推進計画書
平成23年3月
糸 島 市
目次
第Ⅰ章 序論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
1 糸島市学術研究都市推進計画策定の目的
(1)九州大学の伊都キャンパスへの移転
(2)九州大学の伊都キャンパス移転に伴う周辺部の動向
(3)糸島市の誕生
(4)九州大学と糸島市の連携協力協定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
年表
2
九州大学学研都市づくりの歩み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
2 計画策定のコンセプト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
(1)基本的な考え
(2)過去の計画との整合
(3)推進計画の骨格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
(4)推進計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
第Ⅱ章 現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10
1 糸島市の現状と課題
(1) 糸島市の人口と都市基盤施設整備
(2) 産業構造と財源基盤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
(3) 九州大学との連携・交流の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 糸島地域の動き・ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
13
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18
1 基本コンセプトと基本目標
(1)基本コンセプト
(2)基本目標
① 産学官連携による産業の活性化や新産業の創出(産業づくり)
② 知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘(地域づくり)
③ 学生・教職員等と糸島市民との交流の促進(人づくり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
④ 快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備・情報基盤等の整備(都市づくり)
(3)施策のフローと施策の体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
20
2 土地利用構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
(1)九州大学連携地域の土地利用
(2)分散型地域核「ほたる」の展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22
(3)教職員等大学関係者の住宅を提供するための宅地開発計画
(4)伊都キャンパスへのアクセス道路の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
(5)JR波多江駅周辺の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24
第Ⅳ章 基本計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
1 産学官連携による産業の活性化や新産業の創出(産業づくり)
(1)農林水産業、商工業、観光業等の既存産業の活性化
(2)九州大学や糸島リサーチパークの研究施設を活かした関連研究施設や新産業の立地促進・・・・・
30
(3)地域資源等を活用した産業や成長分野の立地促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
31
2 知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘(地域づくり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
32
(1)地域課題・行政課題の解決と地域資源の発掘
(2)地域資源を活かした循環型社会の構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
3 学生、教職員等と糸島市民との交流の促進(人づくり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
34
(1)九州大学を活用した「いつでも、どこでも、だれもが」学べる生涯学習の環境整備
(2)留学生との交流による国際感覚の醸成と交流促進
(3)学生と市民との交流による相互の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
35
(4)教育機関との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
36
(5)関係者相互の交流を通じた円滑な交流の促進
4 快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備・情報通信基盤等の整備(都市づくり)・・・・・
38
(1)九州大学の学生、教職員等の定住促進
(2)道路交通網の整備と波多江駅及び駅周辺の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
39
(3)九州大学連携地域及び工業・流通地域の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
40
(4)伊都キャンパスへのバス路線等の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
(5)情報通信基盤等の整備
糸島市学術研究都市推進計画の体系図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第Ⅴ章 推進計画の推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43
44
1 推進体制の整備
(1)九州大学と糸島市との連携協力推進協議会
(2)連携協力推進協議会の部門別会議
(3)九州大学糸島市交流促進会議(仮称)
(4)国及び福岡県、福岡市等の自治体との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
(5)九州大学学術研究都市推進協議会との連携
(6)「九大・糸島会」の機能拡大
(7)九州大学連携調整会議
(8)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
2 組織関係図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47
参考資料
九州大学学術研究都市関連の主な都市基盤整備図
第Ⅰ章 序論
第Ⅰ章
1
序論
糸島市学術研究都市推進計画策定の目的
「糸島市学術研究都市推進計画」は、以下の項目を背景に、九州大学が有する知的資源や活力を糸
島市の豊富な地域資源や文化と有機的に結び付け、既存産業の高度化や新産業の創出、地域課題の解
決等、地域社会の振興に寄不させるとともに、学生・教職員と糸島市民の交流の促進を図るため、そ
の基本方針について示すものです。
(1)九州大学の伊都キャンパスへの移転
九州大学伊都キャンパスは、平成3年10月に糸島地域への移転が決定し、平成17年10月に第1
期開校を迎えました。当初計画より早いスピードで移転が進み、平成22年6月には、学生・教職
員数は約10,800人に達しています。
移転完了予定の平成31年度には、学生・教職員等は約18,600人になり、
「知」の一大拠点が形
成されます。
このことにより、人・物・情報等あらゆる面で糸島市に大きな影響が及びます。
(2)九州大学の伊都キャンパス移転に伴う周辺部の動向
平成10年5月に九州大学、福岡市、前原市、二丈町、志摩町、福岡県及び地元経済界の産官学
による「九州大学学術研究都市推進協議会」が設置され、平成13年6月に、九州大学を核とした
周辺のまちづくりの基本となる「九州大学学術研究都市構想」を策定しました。
この構想に基づき、各自治体は、まちづくり、交通インフラ、コミュニティバスの運行、研究所
の立地、企業誘致活動等の事業を展開しています。
糸島地域では、平成14年から九州大学伊都キャンパスへの重要なアクセス道路である「中央ル
ート」の整備、企業や研究所の受け皿として、「前原インターチェンジ南産業団地」
、「九州大学南
口泊研究団地」
、
「松隈工業団地」等の整備を行うとともに、九州大学伊都キャンパスに隣接する地
域で「泊カツラギ地区地区計画」によるまちづくりを推進しています。
また、福岡県は平成21年度に「糸島リサーチパーク」の整備を進め、平成22年4月には、「水
素エネルギー製品研究試験センター」を開所しました。さらに、県は、コンピューター上で設計し
たLSI(大規模集積回路)を試作、研究する「三次元半導体研究センター」と開発した先端半導
体の評価や分析を行う「社会システム実証センター」を平成22年度中に完成する予定です。
今後、九州大学の研究と密接に関連した新たな産業集積を図るため、これらのインフラや施設の
計画的な整備に加え、より有機的な連携や有効活用に関する検討が必要になります。
(3)糸島市の誕生
平成22年1月1日に、前原市、二丈町、志摩町が合併し、人口約10万人、面積約216K㎡の糸
島市が誕生しました。
合併協議において、市民との約束である「新市基本計画」の重点プロジェクトの1つに「九州大
1
第Ⅰ章 序論
学を生かした地域づくり」を掲げており、その実現に向けた具体的な計画が必要となります。
(4)九州大学と糸島市の連携協力協定
九州大学伊都キャンパスの開校を契機に、平成18年6月に九州大学と前原市、二丈町、志摩町
の間で連携協力協定が締結されました。この協定に基づき、各市町で連携事業を進めてきました
が、糸島1市2町が合併したことから、平成22年5月に九州大学と糸島市において改めて「国立
大学法人九州大学と糸島市との連携協力に関する協定」を締結しました。
前回の協定では、九州大学が糸島地域を一方的に支援する内容であったことに対し、今回は、糸
島市を九州大学の実証実験フィールドとすることや、学生や留学生との交流を通じた支援等、相互
連携を行う内容となっています。
また、連携・協力の円滑な推進と、達成状況の確認、実践報告会の開催、情報の共有化等を相互
に確認し、事業評価を行う「連携協力推進協議会」を設置しています。
[図表1]
移転スケジュール
移転期間
移転学部等
ステージ毎の移転・学生教職
員数
移転・学生教職員数の累計
第1ステージ
(H17~19)
第2ステージ
(H20~23)
工学系Ⅰ・Ⅱ
理系図書館Ⅰ
移転期間15年間
全学教育
比較社会文化、言語文化他
理系図書館Ⅱ
第3ステージ
(H24~31)
理学系(H26)
情報基盤センター(H27)
中央図書館(H29)
文系(H29~30)
農学系(H31)
その他(H31)
[約5,200人]
移転期間15年間
[約5,600人]
[約7,800人]
約5,200人
約10,800人
約18,600人
用地取得H25完了予定
移転期間15年間
【用語解説】
■フィールド;学術等の専門分野。領域。
2
第Ⅰ章 序論
3
第Ⅰ章 序論
2
計画策定のコンセプト
(1) 基本的な考え
この推進計画は、これまでに策定された「九州大学学術研究都市構想」、「糸島地域学術研究
都市推進計画」
、
「九州大学との連携強化によるまちづくりプラン」の趣旨を尊重した計画とし
ます。
また、糸島市のまちづくりの方向性を示す「新市基本計画」及び「長期総合計画」に基づき、
3つの重点プロジェクトのひとつに位置付けられた「九州大学を生かした地域づくりプロジェ
クト」を積極的に推進するための計画とします。
さらに、平成22年5月に締結した「国立大学法人九州大学と糸島市との連携協力に関する協
定書」の趣旨を尊重し、九州大学が有する知的資源や活力と、糸島市の豊富な地域資源や文化
を有機的に結び付け、産業の高度化や新産業の創出、地域課題の解決等、地域社会の振興に寄
不する計画とします。
(2)過去の計画との整合
① 九州大学の伊都キャンパス移転を契機に、平成13年6月に「知の創造空間」をめざす新たな
学術研究都市の基本方向を示した「九州大学学術研究都市構想」との整合を図りながら、現状に
合致した内容とします。
■九州大学学術研究都市構想の体系図
(出典;九州大学学術研究都市構想)
【用語解説】
■コンセプト;創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。
4
第Ⅰ章 序論
② 前原市が平成17年2月に「自立するまち 前原」の創造をメインテーマに掲げて策定した「九
州大学との連携強化によるまちづくりプラン」、さらに、平成18年に1市2町と福岡県とで策定
した「糸島地域学術研究都市推進計画」の時点修正と強化発展を重点に置いた内容とします
■糸島地域学術研究都市推進計画が目指す「
“地域循環”学術研究都市」の考え方
(出典;糸島地域学術研究都市推進計画)
■地域・大学・産業・行政をつなぐ6つの“地域循環”テーマ
(出典;糸島地域学術研究都市推進計画)
5
第Ⅰ章 序論
■九州大学との連携強化によるまちづくりプラン(旧前原市にて策定)
快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備
自
立
す
る
ま
ち
前
原
の
創
造
○九州大学との連携強化のための道路交通網の整備
○九州大学サポートゾーンおよび産業創出ゾーンの整備
○人口増加に対応する市街地整備
○交通アクセスの充実とJR 波多江駅および駅周辺の整備
産学官連携による産業の活性化や新産業の創出
○九州大学の持つ専門知識を活用した産業の活性化や新産業創出
○地域資源や地理的環境を活かした産業の活性化
生涯学習・国際交流の推進、地域との連携や交流
○生涯学習の推進
○留学生との多様な国際交流の実施
○教育機関との共同研究や人材派遣システムの構築
○地域や行政との連携・交流によるまちづくり
(出典;九州大学との連携強化によるまちづくりプラン)
③ 平成20年11月に策定された「新市基本計画」の重点プロジェクトの1つである「九州大学を生
かした地域づくり」に沿った内容とします。
■新市基本計画における重点プロジェクト
(出典;新市基本計画)
④ 平成22年5月に九州大学と締結した「国立大学法人九州大学と糸島市との連携協力に関する
協定書」の相互連携の趣旨を尊重した内容とします。
■連携協力協定に掲げる九州大学と市が連携協力していく事項
*九州大学と糸島市が有する資源の相互活用
*九州大学と糸島市民との交流の促進
*伊都キャンパス周辺地域の環境整備とまちづくり
(出典;国立大学法人九州大学と糸島市との連携協力に関する協定書)
6
第Ⅰ章 序論
(3)推進計画の骨格
計画の骨格は、前述した「糸島市学術研究都市推進計画の策定目的」及び「推進計画の全体像の
基本的な考え」に基づいて、以下の4項目とします。
①
産学官連携による産業の活性化や新産業の創出
九州大学の知的財産や研究開発能力を活用し、糸島市の地域資源を活かした産業の振
興や、新技術、新産業の創出を推進します。
②
知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘
市民の生活や福祉の向上、市の魅力向上に資するため、健康、福祉、教育、生涯学習、
環境等広範囲の分野における課題解決と地域資源の掘り起こしを目的に、九州大学の知
的資源を活用するとともに、九州大学への実証実験の機会やフィールドの提供を通じ、
相互連携を推進します。
③
学生・教職員等と市民との交流の促進
市民の国際感覚の醸成、地域や人々の活力の向上等に資するため、九州大学の学生、
留学生、教職員と市民の交流を積極的に推進します。
④
快適な生活空間を創造する都市基盤施設・情報基盤等の整備
快適な生活空間・研究空間の創造をめざし、道路交通網や情報基盤等の都市基盤施設
の整備、住宅地や研究・産業団地の整備等に努めます。
7
第Ⅰ章 序論
図表3] 各種計画との相関図
新市基本計画
糸島地域学術研
究都市推進計画
九州大学学術
研究都市構想
糸島市長期総合計画
糸島市の個別計画
実施計画
九州大学との連携強
化によるまちづくりプラン
糸島市学術研究都市推進計画
事業実施
糸島市学術研究都市の構築
①産学官連携による産業の活性化や新産業の創出
②知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘
③学生・教職員等と市民との交流の促進
④快適な生活空間を創造する都市基盤施設 ・情報基盤等の整備
8
国立大学法人九
州大学と糸島市
との連携協力に
関する協定
第Ⅰ章 序論
(4)推進計画の期間
計画の期間は、平成32年度を目標年次とし、平成23年度から10年間とします。
なお、糸島市長期総合計画及び個別計画との整合性を図るため、本計画策定後5年以内に見直し
を行います。
[図表4]大学移転時期と目標年次
2005年
(平成17年)
2008年
(平成20年)
2010年
(平成22年)
2011年
(平成23年)
2012年
(平成24年)
2019年
(平成31年)
第1期(工学系)
九州大学新キャン
パス移転事業
第2期(基盤整備)
第3期(理学系、文系、全学共通、農学系)
糸島市長期総合
計画
計画期間 平成23年度~平成32年度(10年間)
糸島市学術研究
都市推進計画
計画期間 平成23年度~平成32年度(10年間)
9
2020年
(平成32年)
第Ⅱ章 現状と課題
第Ⅱ章
現状と課題
1 糸島市の現状と課題
糸島1市2町の合併協議において作成された「新市基本計画」、旧前原市で策定された「九州大
学との連携強化によるまちづくりプラン」
、1市2町と福岡県とで策定した「糸島地域学術研究都市
推進計画」
、推進計画の「計画の骨格」の4項目等から、糸島市の現状と課題について整理します。
(1) 糸島市の人口と都市基盤施設整備
糸島市の人口は、昭和55年から平成12年までの20年間に年平均約1,440人増加しているのに
対し、平成12年から平成17年までの5年間は、年平均約590人の増加と急激に鈍化しています。
また、年齢階層別の構成が示すとおり、糸島でも確実に尐子高齢化が進んでいます。【図表5】
糸島市長期総合計画では、本市の平成 32 年の目標人口を 102,000 人と設定します。
これは、人口問題研究所の最新推計による平成 32 年の推計人口 99,542 人に、九州大学の関係
者 2,000 人と各種政策による増加人口 458 人を加えた数値となっています。
都市基盤施設の整備では、都市計画道路の整備率は28.1%(平成19年度)と県の平均の54%
(政令市含む。)と比べて低い水準にとどまっており、特に国道202号については、平日混雑度
が1.54と交通渋滞が慢性化している状況です。【図表6】
【図表5】これまでの人口の伸びと年齢階層別構成
【用語解説】
■人口問題研究所の最新推計;平成20年12月に発表された最新の人口推計方法。新市基本計画で採用した「小地域簡易将来人口推計
システム」よりも実態に近い値となっている。このため、長期総合計画の将来目標人口の設定には、この最新の推計値を利用して
おり、その結果、新市基本計画で設定したH32年103,518人よりも約1,500人少ない目標人口となっている。
10
第Ⅱ章 現状と課題
【図表6】主要道路交通量
路線名
一般国道
調査地点
202号
池田
202号バイパス
主要地方道 大野城二丈線
一般県道
船越前原線
自動車交通量(平日12時間交通量;台)
平成17年度
平成9年度 平成11年度 平成17年度
平日混雑度
16,681
16,237
16,140
1.54
東
10,350
9,749
12,446
0.36
高祖
11,984
8,169
8,250
0.97
加布羅
6,725
7,651
7,808
0.77
(資料;平成17年度交通センサス)
※平日混雑度=平日12時間乗用車換算交通量÷平日12時間乗用車換算交通容量
(2) 産業構造と財源基盤
糸島市の産業構造の特徴は、第一次産業の比率が高いことにあり、福岡都市圏内で比較しても突
出しています。【図表7】
昼夜間人口比率でみると、昭和50年の0.9から平成17年には0.79にまで低下し、急激なベッ
ドタウン化が進展しています。【図表8】
また、福岡都市圏の他市との財政状況を比較すると、糸島市は、人口一人当たりの市民所徔や自
主財源比率が低い状況にあり、財政力を向上させるためには、第一次産業を中心とした既存産業の
収益向上と企業の集積が必要です。【図表9】
【図表7】
産業別就業人口(平成12年と平成17年) 糸島市
筑紫野市
古賀市
宗像市
12年度
17年度
12年度
17年度
12年度
17年度
12年度
17年度
第1次産業
4,961 (10.9%)
4,802 (10.3%)
732 (1.8%)
714 (1.6%)
726 (2.8%)
727 (2.8%)
2,120 (5.3%)
1,983 (4.8%)
第2次産業
9,870 (21.6%)
9,019 (19.3%)
8,194 (19.8%)
8,013 (18.6%)
8,464 (32.7%)
7,025 (26.8%)
8,894 (22.0%)
8,074 (19.8%)
単位;人
第3次産業
30.595 (67.1%)
32,596 (69.6%)
32,408 (78.4%)
34,449 (79.8%)
16,680 (64.5%)
18,429 (70.4%)
29,367 (72.7%)
30,821 (75.4%)
資料;総務省統計局「国勢調査報告」
11
第Ⅱ章 現状と課題
【図表8】
昼夜間人口比率の変化
単位;人、%
平成7年
従業地
常住地
人口
人口
(昼間人口)
昼夜間
比較
常住地
人口
平成12年
従業地
人口
(昼間人口)
昼夜間
比較
常住地
人口
平成17年
従業地
人口
(昼間人口)
昼夜間
比較
糸島市
88,653
69,077
0.78
94,926
74,034
0.78
97,974
77,307
0.79
筑紫地域
370,260
305,731
0.83
398,051
331,283
0.83
412,780
344,473
0.83
糟屋地域
232,713
211,516
0.91
250,272
228,675
0.91
261,212
240,431
0.92
宗像地域
140,997
110,057
0.78
147,384
116,650
0.79
149,825
120,380
0.80
※筑紫地域・・・筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町 資料;統計庁統計局「国勢調査報告」
糟屋地域・・・古賀市、宇美町、篠栗町、志免町、須恵町、新宮町、久山町、粕屋町
宗像地域・・・宗像市、福津市
【図表9】
他市との概況比較
比較項目
糸島市
筑紫野市
古賀市
宗像市
①市内総生産(億円)
2,027
4,876
2,025
2,088
②市民所得(億円)
2,483
3,065
1,642
2,540
・人口1 人当たり(千円)
2,519
3,106
2,884
2,681
91.8
113.2
105.1
97.7
③製造品出荷額(百万円)
38,547
378,384
208,581
35,915
④卸・小売業販売額(百万円)
97,749
349,560
89,824
118,170
42.9
52.8
49.5
38.7
・対県平均(%)
⑤自主財源比率(%)
資料;福岡県市町村要覧平成22年版
(3) 九州大学との連携・交流の活性化
九州大学と合併前の1市2町の連携事業は、平成21年度に92事業に達しています。
特に、農業分野、教育分野、留学生との交流等が盛んです。しかし、今後、九州大学が我が国の
基幹総合大学であることを活かし、比較的連携が尐なかった福祉、医療、文化分野等の連携強化も
必要となります。
そのため、平成22年度から、九州大学の研究者が行う研究に対する助成制度や、九州大学の留
学生や学生と市民の交流を促進する補助制度を市で創設しました。
また、学生や留学生の定住化を促進するためには、市民と学生や留学生が継続的な連携・交流を
深め、お互いの信頼関係を築くことが重要です。
糸島にゆかりのある九州大学の教職員と市職員で構成する「九大・糸島会」では、市民と九州大
学とが共に学び、交流することを目的に「地域資源再発見塾」を平成14年度から開催しています。
さらに、平成18年度からは、福岡県との共同により、九州大学の若い先生による対話型の講演
会「いとしまサイエンスキャラバン」を開催しており、市民に科学的な知識や好奇心を不え、市民
12
第Ⅱ章 現状と課題
から高く評価されています。
サイエンスキャラバンについては、講師と市民が自由な意見交換ができることから、リピーター
も多く、市民との身近な交流にも寄不しています。
今後とも、市民に身近なテーマを選定し、継続して開催することが行政としての課題です
市民レベルの連携としては、糸島市内で栽培・収穫された採れたての野菜や手作り弁当を伊都キ
ャンパス内で販売されるなど、市民と大学の学生・教職員等の交流も進んでいます。
【図表10】
(平成19年9月14日のいとしまサイエンスキャラバンの様子)
(4) 糸島地域の動き・ニーズ
九州大学との連携に関する関心を探るため、次の計画書等の策定時において、市民・団体等から
いただいたニーズを分野別に付記します。
○前原市中心市街地活性化事業
○糸島まるごと農学校
○伊都キャンパスの生活状況等に関するアンケート
○前原市コミュニティバス(九大線)に関するアンケート
○糸島地域学術研究都市推進計画
【用語解説】
■サイエンスキャラバン;科学について、宣伝等のため各地をまわる一団。
13
第Ⅱ章 現状と課題
【図表11】市民ニーズ・九州大学の学生ニーズ
(平成18年から平成22年のニーズ)
■ 交通・道路
① 学園通線西回りルート(北新地新田線、学園通線)の位置づけ、東回りルートとのつながり、
幅員、伊都キャンパス西門の問題等がある。
② 西九州自動車道は前原と唐津では整備が進んでいるが、その間にある二丈地区の整備が未定。
③ 昭和バスの撤退表明等、今後の地域バスネットワークが減尐。
④ 筑前前原駅と波多江駅間の新駅の可能性。
⑤ 前原地域から周船寺周辺の国道 202 号が慢性的に渋滞している。
⑥ 学研都市駅間のバスは遠回り気味。時間がかかる。最短距離だとメリットがある。
前原駅側は主に唐津方面からの人には便利である。
⑦ 九州大学の南門を早く通行できるようにしてほしい。
⑧ コミュニティバスを増便してほしい。
⑨ コミュニティバスで西鉄バスのようなエコルカードがあればありがたい。また筑肥線と共有
できるカードがあればさらによい。
■ 農
業
① 糸島の農業は、水稲を主体として、施設園芸、露地野菜、花き、果樹、畜産等を組み合わせ
た都市近郊型農業を展開している。
② イチゴ・みかんの出荷の6割は京都。青果は、京都・福岡・広島・東京。国内での需要が高
く供給量・担い手が丌足。
③ 新規就農は年5人~10人。近年は、農業以外からの参入者が多い。
④ 直売所には福岡都市圏住民が多い。糸島の直売所の魅力は、魚と野菜の安全性。消費者は農
薬・輸入品に敏感。
⑤ 安全性の管理や残留農薬等の検査にはコストがかかるが、PRポイントにもなる。
⑥ 農家も有機肥料等の研究や講習に熱心。
⑦ 平成21年度に実施した耕作放棄地調査の結果、市内には約500haの耕作放棄地がある。
⑧ グリーンツーリズムは都市住民との交流がメイン。地元には農泊を受け入れる余裕がない。
⑨ 市内13箇所に市民農園があり都市住民の利用が盛んである。
⑩ 農力開発推進機構が九州大学の先生を招いたセミナー等を開催。
⑪ JA糸島が直売所「伊都菜彩」をオープンし、平成21年度来場者数は125万人を超えた。
⑫ 鳥獣による農作物の被害が深刻である。
⑬ 産学官連携により糸島農業の課題解決や開発研究を実施していくため、「糸島農業産学官連
携推進協議会(アグリコラボいとしま)」を設置。
⑭ 糸島市の農業生産額は県内第3位であり、米・花き生産額は県内第2位、畜産に関しては県
内第1位の生産額を誇っており、全体生産額の3分の1を占めている。
【用語解説】
■農泊;農家に宿泊し農業体験をすること。
14
第Ⅱ章 現状と課題
■
漁
業
①
磯枯れ等、磯場の水質管理の問題が起きている。県の水産海洋技術センターには相談に行く
ことがあるが、人員が尐ない。九州大学の研究者がどのような研究をしているのかが分からな
いため、相談することはない。
②
寺山地区ヨットハーバー、岐志地区の志摩海洋センター等の施設が存在するので、学生・教
職員等の海洋系レジャー・リゾートニーズに対応できる。
③
九州大学の研修等に寺山地区の企業研修施設が活用できる。
④
水産物の研究(漁業の安全性の実証研究、養殖等)、沿岸の魚介類資源の維持、品質を損な
わない輸送方法、生牡蠣の食あたりを防ぐ方法等の漁業振興のプロジェクトを九州大学とタイ
アップでできないか。
⑤
福吉地区にある中間育苗施設を活用した共同研究の推進。
⑥
地域の海産資源の活用(あかもく、魚の加工)を考えたい。
⑦
漁業、海洋関係の研究・企業誘致(海水・波の利用、風力発電等)を行いたい。
■
企
①
地元では、大学と連携している地場企業がほとんど無い。上部団体においても地場企業がど
業
ういう技術等を持っているか、把握があまりされていない。
②
実用化研究等を大学の特定研究者を中心に進めたが、事業スピードが合わなかったため、実
現していない。
③
食品関係の研究所や工場立地の問い合わせはある。環境負荷の尐ない企業の立地が望ましい。
④
企業誘致には優遇措置も大事だが、地元との協調、融和が重要である。
⑤
24時間操業の工場等は、既存集落に近い場所での立地は企業側が敬遠する。
⑥
糸島での流通施設の立地の問い合わせはあるが、唐津方面のマーケットが小さい。
■
商業・サービス
①
九州大学に相談できる人がいない(知り合えない)。地元にも相談窓口や実際にアクション
を起こす人がいない。
②
ビジネスチャンス発掘のために、大学や学生が困っていること等の情報がほしい。
③
地元団体のシーズ・ニーズの把握がされていない。
④
糸島市の玄関口となる筑前前原駅周辺の中心市街地機能の整備、深江・波多江駅周辺の都市
機能整備が必要。
⑤
焼酎工場+物産レストランの問い合わせがある等、福岡都市圏の観光レクリエーションゾー
ンとして糸島地域をターゲットとみる企業がある。
15
第Ⅱ章 現状と課題
⑥ 中心市街地での九州電力等の空きビル、未利用空間を活用することができる。
⑦ 大学周辺に飲食店が尐なく、特に卒業論文の作成のピーク時(1~2月)は大学に泊まるこ
とも多く、食事や風呂等に困っている。
⑧ 糸島ならではのアルバイト(農業、漁業)情報が欲しい。
⑨ 糸島のお店等が載った地図がほしい。
⑩ 糸島市で行われている行事(公開講座、フリーマーケット、親子参加できるもの等)を掲示
したりして教えて欲しい。
■ レジャー・観光
① 糸島の環境の良さ等の魅力発信がまだ十分ではない。
② 糸島地域を観光として回るための公共交通ネットワークが丌在である。
③ 未利用、低利用の企業等の保養施設の利用促進のため、大学へ紹介してはどうか。
④ 旧二丈観光協会では、毎年テーマを変えて観光バスツアー(80人程度)を開催。約半数はリ
ピーターで、利用者のデータベースもある。JR九州ウォーキングには都市部から300人を超
える参加者が集まる。
■ 地域活動
① 地元団体の活動内容等、地域活動の全体像の把握が必要である。
② 地域活動の把握ができている団体。
a 赤米づくりや夜神楽を行う地域づくりグループ。
b 糸島の歴史・民話・生物等の説明・ガイドを行う活動グループ。
c 自然農や農を通じた環境問題に取り組むグループ。
d 地域推進協議会、地域づくり推進協議会、前原北部まちづくり推進協議会等の取り組み。
③ 竹林拡大等の里山管理の問題。単調な活動ではボランティアスタッフが集まらない。
④ ボランティアをしたい60~70歳の人は多い。
■ 研究・教育
① 学生の遊び場等、若い人が集まる場所がまだ形成されていない。地域でのアルバイトの場、
情報がない。
② 卙士課程修了後に任期付きの職に就いている研究者(ポスドク)の就職の場がない。
③ 大学と地域全体との連携が今後は必要。
④ 西日本短期大学緑地環境学科の二丈キャンパスには学生の実習用庭園があり、九州唯一の造
園検定を行っている。
⑤ 旧二丈町の小中学校の空き教室・体育館を地域、サークルに開放している。
⑥ 留学生の語学研修の場の問題。
⑦ 前原地域に韓国やスリランカ等の生徒が通う日本語学校が存在。
16
第Ⅱ章 現状と課題
■ 住
宅
① 民家の空家バンクの登録を行っている。
② 福吉方面のマンションは退職後に福岡都市圏から移住してくるケースが目立つ。
③ 福岡都市圏住民の田舎暮らしの問い合わせや、移住地探しをしている人はかなり存在する。
(隠居型の田舎暮らしと都市近郊の通勤型のニーズの混在)
④ 田園居住型ほたるの事業実現のためには、事業主体、集落住民の関心度、事業規模等の問題
がある。
⑤ 大学生の居住に関しては、単身居住だけでなく、家族持ちの留学生の居住等、多様な受け皿
が求められる。
⑥ 前原東土地区画整理事業の進捗状況の問題がある。
⑦ 波多江駅周辺で、学生住宅の設計コンペを九大生自身が行っている。
⑧ 学生への家賃、光熱費等の生活費を安く(補助)し、他の地区に比べ、割安感を前面に出し
て学生を誘致する等の対策を講じる。
17
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
第Ⅲ章
学術研究都市づくりの将来ビジョン
1 基本コンセプトと基本目標
糸島市長期総合計画の将来像「人も元気~みんなに優しい住みよいまち~」、「まちも元気~自
然を大切にした美しいまち~」、「新鮮都市~みんなでつくる自立したまち~」をめざし、次の基
本コンセプトと4つの基本目標を柱として、学術研究都市の実現に向けて取り組みを進めます。
(1)基本コンセプト
糸島市が持つ豊かな自然環境や文化・歴史等の地域資源と九州大学が持つ世界的な知識を様々な
場面で融合・連携させ、多くの九州大学関係者と市民との積極的な交流を行うことで、「人も元気
まちも元気 新鮮都市 いとしま」を実現します。
そのために、推進計画の骨格である「①産学官連携による産業の活性化や新産業の創出」、「②
知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘」、
「③学生・教職員等と糸島市民との交流の促進」、
「④快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備・情報基盤等の整備」の視点から本プランを推進
していきます。
(2)基本目標
① 産学官連携による産業の活性化や新産業の創出(産業づくり)
a
九州大学の知的資源と市内外の企業や団体との連携により、市の農林水産業、商工業、観光業等
の既存産業の活性化を図ります。
特に、市の基幹産業である農林水産業の六次産業化を積極的に進めます。
b
九州大学の知的資源や研究シーズと、福岡県が立地を進めている「水素エネルギー製品研究試験
センター」やコンピューター上で設計したLSI(大規模集積回路)を試作、研究する「三次元半
導体研究センター」と開発した先端半導体の評価や分析を行う「社会システム実証センター」を活
かし、これらと関連する企業や研究所の誘致を促進します。
c
糸島市は福岡都市圏に属し、九州大学に近接するという地理的メリットを活かしながら、人及び
地域資源を活用し、新産業の企業立地を促進します。
② 知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘(地域づくり)
a
市民が安心して健康に暮らすためには、地域や行政が抱える防災、医療、福祉分野等の課題を払
拭しなければなりません。このため、九州大学の研究者に、市内を実証実験のフィールドとした研
究に対して助成金を提供する等、九州大学に課題解決につながる研究を積極的に行ってもらえるよ
う働きかけます。
【用語解説】
■六次産業;農業や水産業等の第一次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を表す。
18
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
b
市民の郷土意識の醸成には、魅力向上に資する地域資源の再発見等、住んでいる地域に対する誇
りを持たせることも重要な要素です。
このため、九州大学の知的資源や学生等の行動力を活用し、地域資源の掘り起こしを進めます。
c 地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雤による森林の被害、野生生物の減尐、土壌劣化、水質汚染等、
地球規模の環境破壊が深刻になっています。また、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの開発が
求められています。
このため、九州大学の持つ専門的知識を活かし、独自の環境資源や風土を活用した循環型社会の
構築、再生可能エネルギーの研究等、市の特性に即した研究を推進します。
③学生・教職員等と糸島市民との交流の促進(人づくり)
a 九州大学は国内有数の基幹総合大学であり、あらゆる分野の研究や教育を行っています。
このため、連携協力協定の趣旨や伊都キャンパスとの近接性を活かし、「いつでも、どこでも、
だれでも」学べる生涯学習の環境を整備し、市民の生きがいの向上を図ります。
b 九州大学では、現在約 2,000 人の留学生が学んでいます。
このため、留学生と市民との交流を通じ、国際感覚の醸成と交流の促進を図ります。
c
九州大学の学生等に、各地で行われている各種イベントに参加してもらい、地域の活性化と交流
の促進を図ります。
d
九州大学と教育機関とのネットワークを活かし、情報交換や人的交流を図り、市の教育力向上を
図ります。
e 九州大学と市の相互の人的な交流を通じ、円滑な交流の促進を図ります。
④ 快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備・情報基盤等の整備(都市づくり)
a
九州大学と糸島市の間で、人・物・情報をスムーズに運び、さらに、市内の交通混雑を解消する
ため、九州大学へのアクセス道路である中央ルートや学園通線西回りルートの整備を促進します。
また、九州大学に最も近接している JR 波多江駅の周辺整備を推進します。
b
企業や研究所の立地を促進するため、既に整備した研究団地等への企業、研究所の立地促進に加
え、各種上位計画で位置づけられた九州大学連携地域を計画的に整備します。
c
九州大学の学生、教職員等に加え、九州大学に関連する研究所、企業立地に伴う研究者や従業員
の居住の受け皿として、九州大学隣接部の泊地区の開発と前原東地区の土地区画整理事業を促進し
ます。
d 現在、市と九州大学を結ぶバス路線は、JR 筑前前原駅や波多江駅からルートが開設されており、
朝夕を中心に糸島市内から九州大学への通学・通勤に使用されています。
今後、糸島市への学生・教職員等の居住を促進することから、増便等について検討します。
【用語解説】
■再生可能エネルギー;新エネルギーは自然エネルギーとリサイクル・エネルギーを含み、再生可能エネルギーは新エネルギーに大規模な水力
発電、海洋エネルギーを含む。
19
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
(3)施策のフローと施策の体系
【図表12】
●糸島市の将来像
人も元気 まちも元気 新鮮都市 いとしま
●目指す都市イメージ
みんなに優しい住みよいまち
自然を大切にした美しいまち
みんなでつくる自立したまち
●まちづくりの基本理念
人と自然と文化を生かした協働のまちづくり
●重点プロジェクト
●推進計画
産業づくり
地域づくり
人づくり
20
都市づくり
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
2 土地利用構想
学術研究都市づくりを推進するために、新市基本計画の地域別整備方針に基づく計画的な土地利
用を次のとおり整備を進めます。
(1)九州大学連携地域の土地利用
新市基本計画では、伊都キャンパス隣接部と前原インターチェンジ附近及び国道202号バイパス
沿道の武・松国地区を「九州大学連携地域」に位置付けています。
九州大学連携地域は学術研究都市構想の実現を図るために必要な地域で、最先端技術産業やベン
チャー企業が育つよう研究施設や企業等の用地、産業基盤の整備を進めます。
また、伊都キャンパスへの移転が完了する平成31年度には、約18,600人の学生・教職員、その
他の関係者が移転してきます。このため、市内に定住してもらうことを目的とした快適な住宅環境
や生活基盤や道路等の交通基盤の整備を進めます。
①伊都キャンパスに隣接する泊カツラギ地区と松隈、馬場地区
この地域は、研究開発施設や九州大学に関連したサービス等の大学関連機能を積極的に誘致する
とともに、学生・教職員等を対象とした住宅地整備を誘導します。
泊カツラギ地区は、伊都キャンパスに最も近接している地区です。
その地の利を活かしつつ、自然環境に配慮しながら、地域との連携により、以下の示す施設の立
地や土地利用を促進します。
すでに、平成15年5月には、地元住民による「前原北部まちづくり推進協議会」が発足し、九州
大学関連のまちづくりについて調査・研究を進めており、市も地域と協力しながら地区の将来像を
描き、まちづくりの取組みを進めています。
・学生用住宅
・生活利便施設、娯楽施設
・九州大学と連携した研究施設
・九州大学の知的財産に惹かれ、産学連携を進めたい企業
・学生と市民との交流を目的とした交流を促進する公園等
松隈地区は、伊都キャンパスの西側に位置する地区で、民間事業者による産業団地の整備が行わ
れています。既に立地している事業者もあり、今後とも「糸島市地区計画の区域内における建築物
の制限に関する条例」を尊重し、「糸島市企業等立地促進条例」で定められた業種を踏まえて、企
業の誘致を進めます。 また、隣接する馬場地区についても「まちづくり計画」が策定されており、
分散型地域核“ほたる”としての整備の可能性の検討と事業実施の方策を検討します。
②西九州自動車道前原インターチェンジ附近
福岡都市高速道路と直結し、4車線化が完了した西九州自動車道の前原インターチェンジ附近は、
21
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
福岡市方面への交通利便性が高く、比較的広大でまとまった土地が残っています。また、将来的に
学園通線西回りルートが順次整備されると伊都キャンパスと直結されることになり、更に利便性が
向上します。
この地域には、旧前原市土地開発公社が整備し、即売した「前原インターチェンジ南産業団地」
があります。また、隣接地には、福岡県が整備を進めている「糸島リサーチパーク」があり、その
中に、民間企業が開発する水素関連製品を検証試験できる日本で最初の研究施設「水素エネルギー
製品研究試験センター」が平成22年4月に完成しました。
さらに、県は、コンピューター上で設計したLSI(大規模集積回路)を試作、研究する「三次
元半導体研究センター」と開発した先端半導体の評価や分析を行う「社会システム実証センター」
を平成22年度中に完成させる予定です。
③国道202号バイパス沿道の武・松国地区
武・松国地区は、西九州自動車道の沿線に位置し、その利便性の高さから、各種企業の立地需要
が高まっており、九州大学の知的資源を活用した新たな産業の創出に結びつくような企業誘致を推
進します。
(2)分散型地域核「ほたる」の展開
九州大学学術研究都市構想は、教職員や学生の住宅、研究施設や企業等の立地について、大規模
な開発を行うのではなく、自然豊かな糸島地域の環境を極力保全し調和させた比較的小規模な開発
を分散して行うこととしています。
この分散して立地を図る機能は、点在するイメージから、通称「ほたる」と名づけられており、
九州大学の周辺で展開される多種多様な活動の受け皿となるもので、今後、研究系、居住系、工業
系、レクリエーション系の立地を推進します。
この学術研究都市構想実現へ向け、糸島市の豊かな自然や歴史の特性を最大限活用し、新たな大
学文化と田園風景を調和させて、市内に多くの「ほたる」の整備を推進します。
(3)教職員等大学関係者の住宅を提供するための宅地開発計画
九州大学の移転に伴い、糸島市内に多くの人、企業、研究施設、商業施設等の立地が考えられま
す。
糸島市にとっても、様々な分野で活躍する人が新たに居住することで、定住人口の増加及び人的
資源の蓄積が期待でき、地域活性化につながるチャンスと考えられます。そのためにも、居住の受
け皿となる宅地の開発が必要となります。
①前原東土地区画整理事業
前原東地区は、九州大学と糸島リサーチパークの中間に位置し、中央ルートや波多江インター(仮
称)の整備が完了すると、九州大学や研究機関等との交通利便性が今まで以上に高まることが期待
される地域です。
この前原東土地区画整理事業では、周辺の田園風景と調和した敷地にゆとりのある住宅を配置し、
JR筑肥線に建設する新駅を中心としたまちづくりを進めます。
22
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
②泊カツラギ地区の地区計画
地区計画に沿った民間事業者の開発・建築により、住居機能や研究機能、生活利便施設等を誘導し、
大学の門前町の熟成を徔ることを目的とした開発を促進します。
③学生向けの低料金の賃貸住宅の提供
物件所有者や丌動産業者の協力を徔て、市内の空き家・空きマンションを複数の学生で利用する
「ハウスシェアリング」など既存物件の利活用を促進し、安価な賃貸物件の提供を促進します。
(4)伊都キャンパスへのアクセス道路の整備
伊都キャンパスは糸島半島の中央部に立地しています。しかし、この場所は都市基盤整備がまだ
十分に整っていない地域であり、伊都キャンパスまでの交通アクセス確保は重要な課題となります。
そこで市では、以下に示す2つのアクセス道路を整備し、市内と伊都キャンパスとの間で人・物・
情報がスムーズに移動できるよう努めます。
また、交通の利便性、交通アクセスの充実、機能的な生活空間等の整備を行うことで、糸島市の
市街地に九州大学の学生が集い、活気にあふれた街が形成できるように推進します。
①波多江泊線(中央ルート)
中央ルートは、国道202号バイパスの波多江地区を起点に、国道202号、県道津和崎潤線、県道
福岡志摩線と交差し、伊都キャンパスまでを結ぶ南北の骨格軸です。平成17年10月に都市決定し
ており、現在、福岡県と協力しながら国道202号から県道津和崎潤線までの区間について整備を進
めています。
また、市ではこれに先駆け、中央ルートの一部となる市道大塚新開池線の整備を平成14年から行
い、平成19年度に整備が完了しています。
②多久北新地線、北新地新田線、学園通線(学園通線西回りルート)
学園通線西回りルートは、前原インターチェンジを起点に、国道202号、県道福岡志摩前原線と
交差し、伊都キャンパスまでを結ぶ骨格道路です。平成17年10月に前原インターチェンジから志
摩初まで都市計画決定しており、多久北新地線(前原インターチェンジから県道福岡志摩前原線ま
での区間)については平成19年度に整備が完了しています。
今後は、未整備区間である北新地新田線・学園通線(県道福岡志摩前原線から志摩初までの区間)
の整備と、ルートが確定していない志摩初から伊都キャンパスまでの都市計画決定を、福岡県と協
力しながら進めていきます。
【用語解説】
■ハウスシェアリング;同じ家で親戚または友人と共同生活をすること。
23
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
(5)JR波多江駅周辺の整備
伊都キャンパスへの移転が完了する平成31年度には、約18,600人の学生、教職員、その他の関
係者が移転する予定です。この多くはJR筑肥線を利用した後、バス、バイク、自転車を利用した
通勤・通学をすることが想定されます。
伊都キャンパスに最も近い波多江駅は、周辺に建ち並ぶ大型マンションに住む市民を中心に、福
岡市方面へ通勤・通学するために利用され、1日の乗降客数が5,000人を超える特定旅客施設とな
っています。
新市基本計画の地域別整備方針では、波多江駅周辺地区は伊都キャンパスへのアクセス拠点とし
て、交通ネットワーク機能の強化とゆとりある住環境の整備が掲げられており、波多江駅が九州大
学に最も近い駅であることから、九州大学の学生が駅周辺に集まり、活性化することが期待される
ため、駅前広場、駐輪場等の駅周辺の整備が必要になります。
しかし現在、北側駅前広場は充分な広さがなく、駐輪場も満杯状態にあり、また南側は駅前広場
がなく、徒歩及び自転車でしか乗り入れができません。
このようなことから、公共交通機関との円滑な乗り換えが可能な交通結節点機能の拡充を検討し
ます。
また、学生が波多江駅周辺地区に暮らしやすい環境整備をするため、民間活力による開発を誘導
します。
【用語解説】
■特定旅客施設;1日当たりの平均利用客数が5,000人以上の旅客施設(駅、バスターミナル等)
■交通結節点;鉄道駅、バスターミナル、自由通路や階段、駅前広場やバス交通広場等
24
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
【図表13】
JR筑肥線波多江駅周辺
波多江駅
25
鹿家駅 二
姫島
26
丈
浜
玉
吉井 IC
福吉駅
白木峠
十坊山
▲
道
路
202
浮嶽
▲
▲
立石山
土地利用構想図
大入駅
▲女岳
二丈岳▲
深江 IC
(二丈 IC)
筑前深江駅
一
貴
山
川
202
▲
可也山
彦山
▲
羽金山
▲
川
付
川
武・松国地区
202
長
野
川
前原 IC
長野峠
西
九
州
自
波多江駅
202
動
車
道
▲
雷山
雷
山
川
瑞
梅
寺
川
井原山
▲
川
原
川
(新駅)
(波多江 IC)
前原東土地区画整理
泊カツラギ地区
松隈・馬場地区
九州大学
伊都キャンパス
筑前前原駅
雷山川
美咲が丘駅
初
加布里駅
一貴山駅
火山
▲
宮地岳
▲
天ヶ岳
▲
▲
高祖山
日向峠
糸島峠
河 川
鉄 道
学園通線(西回りルート)
中央ルート
広域基幹林道(計画)
広域基幹林道
県 道
主要地方道
国 道
自動車専用道路
住宅地域
工業・流通地域
商業地域
九州大学連携地域
都市拠点地域
都市的整備ゾーン
凡 例
第Ⅲ章 学術研究都市づくりの将来ビジョン
第Ⅳ章 基本計画
第Ⅳ章 基本計画
1 産学官連携による産業の活性化や新産業の創出(産業づくり)
九州大学は、我が国の基幹総合大学として、質の高い高等教育と研究活動を誇る「世界的な知の拠
点」であり、優秀な研究者をはじめ、無限の可能性を秘めた学生や留学生たちが世界各国から集まり、
世界レベルの研究と人材を有しています。そのため、各研究分野の最先端の技術、知識が開発・蓄積
され、市への波及効果は計り知れないものがあります。
このようなことから、市の基幹産業である農林水産業をはじめ、商業、工業等あらゆる分野におい
て九州大学と連携し、技術や新商品の開発、あるいは新産業や新規ビジネスの創出を図ることができ
るよう、官の役割として大学と企業・市民をつなぐ仕掛けづくりや支援体制の整備を行います。
また、糸島リサーチパークでは、福岡県が主体となり九州大学の研究との関連が深い施設である「水
素エネルギー製品研究試験センター」を平成22年4月に開所しており、さらに県は、コンピュータ
ー上で設計したLSI(大規模集積回路)を試作・研究する「三次元半導体研究センター」と、開発
した先端半導体の評価や分析を行う「社会システム実証センター」を平成22年度中に整備する予定
です。
これらの施設や九州大学が世界水準の研究機能を有するナノテクノロジーや自動車産業等の分野
に関連する研究所の立地と、それらを核とした関連企業の連鎖的な立地やベンチャー企業の育成を促
進します。
(1)農林水産業、商工業、観光業等の既存産業の活性化
①農業の活性化
九州大学の農学部等と連携し、市の基幹産業の一つである農業の振興を図ります。まずは、自然
環境の保全と資源循環型農業により、安心・安全な売れる農作物をつくる新しい農業経営のスタイ
ルの確立を目指します。また、農作物の付加価値を高めるための食品製造・加工業の立地や、農業
振興に欠かせない担い手の育成を行います。
すでに合併前から、ネットワーク型農学校「糸島まるごとキャンパス」において、九州大学の教
員や地域の農業者を講師に招き、市民に就農や野菜づくりの座学を交えた学びの場を提供してきま
した。
さらに、九州大学では、平成19年度から3年間、文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プロ
グラム(現代GP)に取り組み、糸島市の農・食・環境を教材とした大学教育を展開しました。平
成22年3月には、これらの取り組みから派生し、九州大学農学研究院、市内農業者とJA糸島、
福岡県福岡普及指導センター、糸島市で構成する「糸島農業産学官連携推進協議会(通称:アグリ
コラボいとしま)が結成されています。
この協議会では、次の活動方針が示されています。
【用語解説】
■ナノテクノロジー;科学技術。科学的知識を各個別領域における実際的目的のために工学的に応用する方法論。
27
第Ⅳ章 基本計画
○糸島地域の農業の創造と活性化をテーマにしたワークショップの開催
○課題対応型研究や先進的技術創生研究の提案、実施、協力
○地域ニーズ、研究成果等のデータベースの構築と活用
それ以外でも、農家が持つ悩みの解決方法を助言する「農業のお悩みドーンと受け止めます」、
地中熱を利用した省エネの実証実験「地中熱プロジェクト」、伊都キャンパスで糸島産の野菜を販
売する「九州大学における旪の農産物販売」等、多くの連携事業が実施されてきました。
今後、これらの実績も踏まえ、糸島市の農業振興に資するため、次のような事業を推進します。
<事業例>
a 「アグリコラボいとしま」の 機能充実
b 糸島産の農産物を活用した付加価値のある糸島ブランドの特産品の開発事業
c 生産の効率化、省力化、省エネ、情報化等新たな農業生産システムの開発と促進
d エコフィード等農産物や食品加工残渣の飼料や肥料化を促進し、循環型農業の開発と推進
e 糸島産の原材料やエネルギー等の地域資源を最大限に活かした、六次産業化の促進
f 生産者(農家)と九州大学の関係者を相互に紹介・斡旋する体制の整備
②林業・水産業の活性化
市の面積約216k㎡のうち、森林が占める割合(森林率)は、福岡県と同数値の45%で、約98k
㎡をとなっています。
森林は木材資源の供給とともに、水資源かん養、降雤による浸水の防止、良好な景観の形成、地
球温暖化防止、海洋生命・水産資源の保全、レクリエーションの場の提供等、多面的な機能を有
しています。しかし、従業者の高齢化等による担い手丌足や木材価格の低迷により、森林管理の
遅れから、放置森林、竹林の侵食等、森林の荒廃も進行しています。
そのため、九州大学と連携し、森林の活性化の基礎となる現況把握とデータ分析を早急に実施す
るとともに、森林組合・市民とも協力し、森林保全、森林資源の活用等の事業実施を推進します。
また、水産業も担い手丌足、水産資源の減尐や魚価の低迷、消費者の魚離れ等漁業環境が悪化し
ており、漁業者においては、「つくり育てる漁業」や「資源管理、漁場環境整備」等の努力が行
われています。
担い手の確保や食育の普及促進に欠かせない、糸島産品のブランド化を進めるとともに、現在福
津市に立地している「九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所」の市への誘致を積極
的に進め、JF糸島とも連携した「つくり育てる漁業」を推進します。
【用語解説】
■エコフィード; 人間や自然との調和(ecology)、節約(economy)等を意味するエコ(eco)と、家畜用飼料を意味するフィード(feed)を合わせた造語
で、食品循環資源利用飼料を指す。
28
第Ⅳ章 基本計画
<事業例>
(林業)
a 森林の資源及び利用現状把握、課題分析等森林の多面的機能を調査
b 森林の保全活用について、九州大学と連携して、保全活用計画の策定
c 森林資源の有効利用(木材、木材のバイオマス等への利用)促進
d 竹林の拡大、侵入防止対策や竹林・竹材の有効活用
e 市民参加の森づくりやレクリエーションの促進
f 海岸防風林の役割を果たすための調査研究
(水産業)
a 糸島産水産物のブランド化事業の促進
b 九州大学と糸島漁協とが連携し、養殖方法の改善や品種の改良
c「九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所」の糸島市への誘致
③商工業の活性化
市の商業は、駐車場も備えたコンビニエンスストアの立地、郊外型大型店の進出等に加え、福岡
市への消費流出により、既存商店街の空洞化が進行しています。
今後策定する商工業振興計画との整合を図りながら、九州大学と連携し、糸島産の特産品の開発
やブランド化を図る農商工連携事業により、商工業の活性化を図ります。
また、市の工業は、中小零細事業者と大手関連会社が多く、企業経営は景気低迷の影響により非
常に厳しい状況です。このような中で、九州大学との連携による新たな商品開発への期待も高まっ
ています。今後、既存企業の振興とともに、農商工連携や福岡市近郊都市の優位性を活かし、食品
製造業等、各種製造業の立地を促進します。
<事業例>
a 地域資源を活用した糸島ブランドの特産品開発と農商工連携事業の促進
b 糸島産を原材料とした、地域資源を利用する食料品製造業等、農商工連携による新たな企業
の立地の促進
c 福岡市近郊都市の有利性を活かし、卸売・小売業・飲食店、サービス業の立地の促進
d 事業者、大学、地元住民、留学生等が気軽に集い、情報交換や発信ができる交流サロンの設
置
e 空き店舗、空き事務所の活用(起業家のためのインキュベートオフィス等)
f 九州大学に新たな製品開発や品質改善を容易に相談できるシステムの構築
g 九州大学の持つ最先端研究技術を利用し、試作品等をつくることが可能な施設の立地
【用語解説】
■バイオマス;バイオには生物、マスには固まり、物質という意味。エネルギーとして使用される動植物のことを総称。
■インキュベート;直訳すると孵化器の意味で、起業に関する支援を行う者(事業者)をいう。
29
第Ⅳ章 基本計画
④観光産業の活性化
九州大学には、大学と企業との共同研究や、学会等で日本国内をはじめ海外からも多くの人が集
まります。また、国内各地から学生や世界約80カ国からの留学生が集まっています。
これらの人々に糸島市の豊かな自然、新鮮な食材、古代伊都国の歴史的価値等を広くアピールし、
観光産業の振興を図ります。また、九州大学を観光資源のひとつと捉え、活用を図ります。
<事業例>
a 九州大学への糸島市の観光情報の提供
b 九州大学の学生による糸島市の観光情報の収集と発信
c 外国語による観光情報の提供(パンフレット、表示板、サイン等)
d 九州大学のキャンパスと糸島市の観光地を巡るツアーの開催
e 学会等の開催の招致
f 九州大学の留学生による観光ガイドの協力(外国人に対して)
g ホテル等の宿泊施設の誘致
(2)九州大学や糸島リサーチパークの研究施設を活かした関連研究施設や新産業の立地促進
九州大学の国立大学法人化により、財源確保のため企業との共同研究・受託研究、社会貢献事業
に積極的に取り組んでおり、企業側も大学と連携し、大学の研究成果及び研究シーズの活用を考え
る企業が増加しています。
糸島リサーチパークでは、次世代の再生可能エネルギーや福岡県の新たな産業政策の柱として、
九州大学が世界をリードする水素エネルギー関連の研究試験施設である「水素エネルギー製品研究
試験センター」(HyTReC)が平成 22 年 4 月に開所しています。この施設は、水素ガス環境下で使
用する「バルブ」や「センサ」等の水素関連製品耐久性能試験、圧力サイクル試験や共同研究を通
し、中小・ベンチャー企業の水素エネルギー新産業への参入を支援し、福岡水素戦略(Hy-Life プ
ロジェクト)に掲げる「水素エネルギー新産業の育成・集積」を推進することを目的として設立さ
れました。
また、
「水素エネルギー製品研究試験センター」に近接する南風台・美咲が丘団地では、約 150
世帯に家庭用燃料電池システム(エネファーム)を設置し、水素エネルギーを利用した世界最大の
モデル都市「福岡水素タウン」として、平成 20 年度から実証実験が行われています。
さらに、平成 22 年度中には、「三次元半導体研究センター」と「社会システム実証センター」の
2つの半導体関連の研究所が整備される予定であり、この研究施設の完成により、すでに整備され
ている「福岡システム LSI 総合開発センター」(福岡市早良区百道浜)で設計開発されたものを、実際
の半導体として実装・試作し、さらに実証実験・評価を行うことが可能になります。
このようなことから、九州大学や上記研究施設との連携を視野に入れた研究施設や関連企業の立
地が期待できます。
これらの研究施設の立地や社会実証実験の取り組みを活かし、九州大学、福岡県、OPACK等
と連携しながら、研究施設については、九州大学南口泊研究団地や、平成24年1月に分譲が開
【用語解説】
■エネファーム;一般家庭に設置する自家発電・給湯設備でガス・灯油などから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電するシステム。
30
第Ⅳ章 基本計画
始される糸島リサーチパークに誘致し、工場については、交通利便性や九州大学等の知的資源を
活かし、前原インターチェンジに隣接した前原インターチェンジ北地区産業団地(仮称)
、西九州
自動車道沿線の前原西部地区産業団地(仮称)、武工業団地や九州大学西側の松隈工業団地等を中
心に企業の集積を図ります。
(3)地域資源等を活用した産業や成長分野の立地促進
九州大学付近では、九州大学学術研究都市構想に基づき、水素エネルギーや半導体に加え、ナノ
テクノロジーや自動車の4分野に関する産学官連携施設や研究試験施設等の立地が進められてお
り、九州大学や糸島リサーチパークに立地している研究施設との連携を視野に入れた関連企業の立
地が期待できます。
政府の新成長戦略では、日本の強みを活かす成長分野として、グリーン・イノベーションによる
環境・エネルギー分野を位置付け、2020年までの目標を、『50兆円超の環境関連新規市場』、
『140万人の環境分野の新規雇用』、『日本の民間ベースの技術を活かした世界の温室効果ガス
削減量を13億トン以上とすること(日本全体の総排出量に相当)』としています。
このようなことから、今後、企業の当該分野への設備投資の可能性は大きく、関連企業の立地が
期待できます。
また、本市は第一次産業が盛んなことから食料基地として期待が高いため、この地域資源を活用
した農商工連携や、九州大学との産学連携を強化することにより、糸島の農林水産物を活用した食
品加工業の立地が期待できます。
これらの成長分野や食品産業等については、交通利便性の高い前原インターチェンジ北地区産業
団地(仮称)
、西九州自動車道沿線の前原西部地区産業団地(仮称)、武工業団地や伊都キャンパス
西側の松隈工業団地等を中心に企業の集積を図ります。
<事業例>
a 企業、研究施設等のニーズに応じたオーダーメイド方式による移転先の土地整備
b 固定資産税の課税免除や新規雇用に対する奨励措置の継続と新規優遇制度の検討
c 農商工連携の推進のための協議会の立上げ
d 大学関係者、OPACKと共に研究施設や関連企業への訪問
e 福岡県、OPACKと共同による、企業を対象とした現地視察会の開催
【用語解説】
■イノベーション;新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成等によって、経済発展や景気循
環がもたらされるとする概念。
31
第Ⅳ章 基本計画
2 知的資源を活用した課題解決と地域資源の発掘(地域づくり)
本市は豊かな自然環境や文化・歴史等の多くの地域資源を有しています。
一方、健康、医療、福祉、防災、環境問題等の地域課題や行政課題を抱えています。また、糸島市
の魅力向上や地域活性化のため、市民の郷土意識や知的好奇心の醸成、新たな観光資源等、埋もれて
いる地域資源の発掘等も求められています。
このような中、平成 22 年 5 月に九州大学と糸島市は、連携協力協定を締結しました。この協定
では、「九州大学が有する知的資源や活力と、糸島市の自然豊かな地域資源や文化を有機的に結び付
け、産業の高度化や新産業の創出、地域課題の解決、教育研究活動及び診療活動の進展等、地域社会
の振興に寄不する。」との目的が規定され、この目的達成のため以下の連携協力事項を掲げています。
① 九州大学と糸島市が有する資源の相互活用
② 九州大学と糸島市民との交流の促進
③ 伊都キャンパス周辺地域の環境整備とまちづくり
この協定の趣旨に沿い、糸島市の地域課題や行政課題、地域資源の発掘等について、九州大学の持
つ専門的知識を最大限に活用するとともに、糸島地域を実証実験のフィールドとした研究の促進を図
ります。
(1)地域課題・行政課題の解決と地域資源の発掘
九州大学と本市は地域課題や行政課題の解決や地域資源の掘り起こしに向けて、現在でも多くの
連携と交流が行われています。今後さらに、市内を実証実験のフィールドとした研究の費用を助成
する「糸島市九州大学連携研究助成金制度」や、九州大学の学生、留学生と市民が交流に係る経費
を補助する「糸島市九州大学連携交流補助金制度」の拡充を図る等、連携と交流を促進します。
<事業例>
(研究助成事業)
a 健康、医療、福祉、防災等、市民の身近な課題に対する研究
b 農林水産業、商工業、観光業の課題の研究や六次産業化の研究
c 地域の農林水産物に付加価値を持たせた新たな地域資源の研究
d 糸島市独自の環境問題の研究や再生可能エネルギーの研究
e 各産業における地域資源の掘り起こしに関する研究
f 伝統芸能、文化的遺産等の歴史、保存、継承に関する研究
g 大学の研究と連携し、軽運動を通じて高齢者等の体力づくり・転倒防止等の研究
(連携交流事業補助)
a 市の指定する交流事業(ウェルカムワールド事業、次世代育成支援事業)、その他交流事業
32
第Ⅳ章 基本計画
(2)地域資源を活かした循環型社会の構築
市の大きな魅力の一つは、森林、田園、海等の豊かな自然環境を有していることです。循環型社
会を実現するには、糸島市の市域の約 45%を占める森林資源、農業生産における廃棄物、風力等
の再生可能エネルギーの活用等、地域資源の活用が丌可欠です。
九州大学では、木材や竹のチップ化による燃料化、農業生産における廃棄物の飼料化や肥料化、
バイオマスによる発電、風力発電を効率的に行う「風レンズ」等の研究や実証実験が行われてお
り、これらを利用した循環型社会の構築を図ります。
また、温室効果ガスの排出量が尐ない太陽光、水力、地熱等の再生可能エネルギー等の活用につ
いて、効率的で効果的な成果を徔るため、九州大学と市が組織的な連携を行い研究を進めること
を検討します。
<事業例>
a 森林資源の木材等を利用した再生可能エネルギーの研究
b 農業生産における廃棄物の有効活用の研究
c 風力、波浪、太陽光、地熱等に関する基礎研究の実施
d 温室効果ガスの排出量を抑えた低炭素社会へ向けた研究
e 九州大学と糸島市の組織対応型連携による研究の実施
【用語解説】
■循環型社会;有限である資源を効率的に利用し再生産を行って、持続可能な形で循環、利用していく社会のこと。
■低炭素社会;二酸化炭素の排出が少ない社会のこと。
33
第Ⅳ章 基本計画
3 学生、教職員等と糸島市民との交流の促進(人づくり)
平成 17 年 10 月の伊都キャンパスの開校以降、市民と九州大学の学生・教職員等との交流は年々
盛んになっています。
市の学術研究都市の実現には、市民、行政と九州大学がより良い信頼関係を築くことが基礎になり
ます。このためには、留学生を含む学生・教職員等と市民との交流を通じ、相互理解を深めることが
丌可欠であり、今後とも一層の交流の推進を図ります。
(1)九州大学を活用した「いつでも、どこでも、だれもが」学べる生涯学習の環境整備
九州大学は地域に開かれた大学づくりを目指しており、平成22年度には28項目の公開講座を
実施され、市の生涯学習の進展に寄不しています。
一方、糸島にゆかりのある九州大学の教職員と市職員で構成する「九大・糸島会」では、九州大
学と市との連携・交流を促進するため、平成14年度から地域資源を再発見する体験型の講座を開
催しています。
また、平成18年度から、九州大学の若い先生による対話型の講演会「いとしまサイエンスキャ
ラバン」を開催しており、市民の高い評価を受けています。今後とも、市民により身近なテーマを
選定し、継続的な開催を進めます。
今後も、今まで以上に内容の充実を図るとともに、市民がより「いつでも、どこでも、だれもが」
参加しやすい環境づくりに努めます。
<事業例>
a 「地域資源再発見塾」、「サイエンスキャラバン」の継続
b 公開講座のメニュー等に関する市民アンケート等を実施し、市民ニーズを反映
c 講演・講座内容の充実
d 公開講座の年間計画書の作成
(2)留学生との交流による国際感覚の醸成と交流促進
現在、九州大学では、アジアを中心に世界各国・地域から約2,000人の留学生が学んでいます
が、国の方針により、平成32年度には、約3,900人まで留学生の受け入れ枠を拡大する予定です。
既に、九州大学の留学生とは、市民まつりや各種イベント、公民館での料理教室、小中学生との
交流等が行われ、市民の国際感覚の醸成に寄不しています。
しかし、その大半が一過性の交流のため、留学生と地元との密な交流に発展しないことが課題と
なっています。
今後、経済のグローバル化や国際交流の進展、留学生の市内への居住の増加等により、市民の国
際感覚の醸成や異文化に対する理解の向上が求められます。
そのため、留学生とより親密な交流を図り、将来的には糸島市や地域と留学生の母国との交流発
展まで視野に入れた「九州大学連携交流事業補助」を平成22年度から実施しています。
今後も、そのメニューの一つである地域が留学生を親善大使に任命し、母国(地域)と継続して
34
第Ⅳ章 基本計画
交流するウェルカムワールド事業の推進と拡大を進めます。また、糸島市国際交流協会との連携・
協力による留学生と市民の一層の交流促進を図ります。
<事業例>
a ウェルカムワールド事業の推進
b 各種行事等への留学生の招待と交流
c 留学生のための分かりやすい行政情報、生活情報等の提供
d 留学生の相談窓口の設置
e 留学生向け住居の市内への立地促進
f 留学生の活動する施設の立地(留学生会館等)
g 留学生のホストファミリーの確保
h 糸島市国際交流協会のPRを行い、留学生の入会促進
I
ボランティアとして糸島市国際交流協会のイベントや文化交流事業に参画
j
姉妹都市、友好都市交流事業での活動促進
k 留学生との積極的な交流による第2の敀郷づくりの推進
(3)学生と市民との交流による相互の活性化
現在、
糸島市内には九州大学の学生が約 700 人居住していると推計されています。この学生は、
勉学、クラブ活動、アルバイト等に追われ、地域や市民との交流は非常に尐ない状況です。
一方、地域からの呼びかけに応じ、夏祭りや伝統行事の鯉攻め等への参加によって地域の人々へ
若さと活力を不え、参加した学生も貴重な体験に感動する等、学生と市民との交流も徐々に進んで
います。
また、九州大学の学生と本市及び福岡市西区の市民が共同で開催している「伊都祭」には、市内
からも多くの市民が参画し、九州大学の学生を身近に感じるとともに、交流も進んでいます。
学生と市民との交流は、地域に活力をもたらすとともに、次世代を担う若者にとっては、伝統行
事等を通じ貴重な体験をする機会にもなり、市民、学生相互に大きなメリットがあることから、相
互に情報提供を行い、一層の交流促進を図ります。
【用語解説】
■ホストファミリー;ホームステイの留学生を受け入れ、世話をする家族。
35
第Ⅳ章 基本計画
<事業例>
a 糸島市九州大学連携交流事業補助金の拡充
b 「伊都祭」への支援の強化
c 地域・学生相互の情報提供システムの構築
d 地域からの学生への依頼体制の確立
(4)教育機関との連携
旧志摩町では、九州大学教育学部と教育委員会との間で、平成17年4月に連携・協力協定を締
結し、これに基づき、各種の連携事業が実施されてきました。また、旧前原市では、九州大学教職
員による小中学校での授業や九州大学の学生が学習支援を行う「伊都塾」等を行っており、小中学
生の学力向上を図ってきました。
平成22年11月には、九州大学教育学部と糸島市教育委員会が連携・協力に関する覚書を改めて
締結したことから、今後、教育分野における連携・協力をより一層推進していきます。
<事業例>
a 九州大学教育学部と糸島市教育委員会による連携・協力に関する覚書に基づく事業の推進
b 市内の各小中学校へ専門的な知識や技能をもった学生や留学生をゲストティーチャーとし
て招聘
c 伊都キャンパスにおける各小中学校の総合学習や体験学習の開催
d 大学の研究室と市内各小中学校との教育研究及び実践に関する情報交換
(5)関係者相互の交流を通じた円滑な交流の促進
九州大学の学生・教職員等と市民との交流促進を図るため、九州大学の地域連携担当部局(社会
連携課)と市の九州大学担当部局(学研都市推進課)を窓口として、市民への情報提供と交流を促
進します。
また、効果的な交流を促進するために、学生・教職員、市民、行政等がお互いに交流に対する意
見、要望を出し合い、実践するための評価・検証を行う「九州大学糸島市交流促進会議(仮称)」
を設置します。
【用語解説】
■ゲストティーチャー;授業で、外部から招く講師。
36
第Ⅳ章 基本計画
<事業例>
a 情報の一元化の促進
b 糸島市九州大学連携交流事業補助金の拡充
c 九州大学との文化・スポーツ・イベント交流の参加推進
d 九州大学糸島市交流促進会議(仮称)の設置
e 九州大学と糸島市の情報交換、人的交流の推進
37
第Ⅳ章 基本計画
4 快適な生活空間を創造する都市基盤施設整備・情報通信基盤等の整備(都市づくり)
九州大学の伊都キャンパスへの移転完了予定は、平成 31 年度末が予定されており、学生・教職員
約 18,600 人が集う巨大なキャンパスが誕生します。
これを、市の活性化や経済効果へと波及させるためには、九州大学の学生・教職員等の本市への新
たな定住化が大きな課題になります。
定住化促進の受け皿としては、九州大学に隣接した泊地区やJR筑肥線沿線の前原東土地区画整理
事業(仮称)での新規住宅用地の確保に努めます。
また、学生・教職員等の定住化には、公共交通機関であるバスの既存路線の増便や新規路線の拡充、
JR筑肥線の新駅との接続を含む、交通システムの充実が丌可欠です。
アクセス道路の整備では、中央ルート、学園通線西回りルートや波多江インターチェンジ(仮称)
の設置促進等により、広域的な道路網を形成し、西九州自動車道及び国道 202 号へのアクセス強化
を行い、併せて市街地道路の慢性的な渋滞の解消を図ります。
九州大学と関連が深い研究所の立地については、交通利便性が優れている国道 202 号バイパス周
辺で計画されている産業団地への企業等の立地を促進することで、糸島市の活性化と発展に大きく寄
不することが期待されます。
また、定住化を促進する上で、情報通信基盤等の整備も、情報化社会では必要丌可欠なものです。
情報通信におけるサービス享受の地域間格差を解消し、光ケーブルの整備による大容量(電子会議、
CADデータの通信等)の高速通信を可能にすることは、九州大学関連の研究機関等の立地を促進す
る場合の優位性が高まることから、整備に向けた促進を図ります。
(1)九州大学の学生・教職員等の定住化促進
九州大学を活かしたまちづくりには、学生・教職員等に加え、九州大学に関連する研究所や企業
等の関係者の市内への居住が重要な課題です。
福岡市西区では、伊都土地区画整理事業や田尻土地区画整理事業等の大規模な宅地開発が進んで
おり、九州大学の学生・教職員の多くが居住している状況です。
このような状況において、本市では、低家賃やハウスシェアリング等、新たな居住スタイルの模
索により福岡市との差別化を図り、学生の定住化を促進する必要があります。
また、教職員等の市内への定住化の促進に向けて、住環境や交通利便性に優れた計画的な住宅地
を確保するため、前原東土地区画整理事業(仮称)とJR筑肥線の筑前前原駅と波多江駅間に「新
駅」の設置を促進します。
【用語解説】
■土地区画整理事業:住宅や公共施設の整備を目的とし、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業。
■CAD;コンピュータ支援設計とも呼ばれ、コンピュータを用いて設計をすること。
38
第Ⅳ章 基本計画
<事業例>
a 伊都キャンパスに情報コーナーを設置し、九州大学の学生と九大関係者へ情報提供
b 本市への新入生の居住化を促進するため、新入生応援フェア開催
c 九州大学のホームページに本市のホームページをリンクさせ、糸島市のPRと転入の促進
d 民間事業者による市内の空きアパート等のリノベーションによる学生や留学生の居住の促進
e 官民協力による留学生用住宅の確保と生活支援(構造改革特区等を活用した公営住宅への入
居特例措置、生活情報の他言語による発信等)
f学生や留学生が複数で共同利用できる低料金のハウスシェアリングの促進
g 住環境や環境対策を重視した前原東土地区画整理事業(仮称)の促進
h JR筑肥線の筑前前原駅と波多江駅間に「新駅」の建設促進
i泊地区の地区計画制度等の活用によるコンビニエンスストア等の生活利便施設の立地誘導と
賑わいのある学生街の形成
(2)道路交通網の整備と波多江駅及び駅周辺の整備
①主要幹線道路等(中央ルート、学園通線西回りルート)の整備促進
中央ルートは、国道202号バイパスの波多江地区を起点に、国道202号、県道津和崎潤線、県
道福岡志摩線と交差し、伊都キャンパスまでを結ぶ南北の骨格軸です。現在、整備が進められてい
る県道津和崎潤線から国道202号までの早期完了と、国道202号から国道202号バイパスまでの
早期整備を促進します。
また、学園通線西廻りルートは、前原インターチェンジを起点に、国道202号、県道福岡志摩
前原線と交差し、伊都キャンパスまでを結ぶ骨格道路です。すでに都市計画決定されている県道福
岡志摩前原線から志摩初までの早期整備と、ルートが確定していない志摩初から伊都キャンパスま
での区間の都市計画決定を促進します。
さらに、県道福岡志摩前原線と北新地新田線(学園通線西回りルート)の交差点から新田地区の
県道津和崎潤線までの市道新田久保田線の早期整備を促進します。
このように、九州大学学術研究都市構想で示された道路交通網の完成をめざすことにより、九州
大学と市との連携強化を図ります。
②波多江インターチェンジ(仮称)の設置促進
前原インターチェンジは、市街地の南西部に位置し、福岡市方面から西九州自動車道を経由し
た九州大学へのアクセスと糸島市の市街地から福岡市方面へのアクセスが弱いため、中央ルートと
直結する波多江地区に新たなインターチェンジを設置することについて、国(国土交通省)や福岡
県等の関係機関に設置の要望活動を促進します。
【用語解説】
■リノベーション;刷新。改善。修理。修復。
39
第Ⅳ章 基本計画
③JR波多江駅及び駅周辺整備事業
伊都キャンパスに最も近いJR波多江駅の交通結節点機能の拡充と通勤通学者の利便性の向上を
図るとともに、商業施設等の集積を誘導し、民間活力による学生や教職員等の定住化を促進します。
<事業例>
a 中央ルートの整備促進
b 学園通線西回りルートの整備促進
c 市道新田久保田線の整備推進
d 交通結節点としての波多江駅周辺の整備促進
(3)九州大学連携地域及び工業・流通地域の整備
①前原北部まちづくり事業【九州大学連携地域】
九州大学の移転は平成3年に決定し、前原北部地域では、平成6年度に、この地域の計画的な開
発を実現するため「九州大学周辺地域土地利用転換計画」の策定を行っています。これを契機に、
平成9年度には市民が、この地域のまちづくりを推進する「九州大学移転対策協議会」を発足し、
まちづくりの調査・検討が進められ、更に、平成15年にこの委員会を「前原北部まちづくり推進
協議会」に発展改組されています。
このような中で、開発に丌可欠な農業振興地域の農用地除外の法的手続きや、平成 18 年度には
先行的に九州大学の門前町として泊カツラギ地区の地区計画の都市計画決定を行いました。
その結果、レクリエーション施設や学生向けアパート等の建設が進み、また、平成 20 年度には、
九州大学南口泊研究団地を土地開発公社が整備し、研究所等の誘致を進めています。
今後、さらなる大学門前町としての機能集積を図るためには、九州大学へ南門の早期開設を働き
かけるとともに、中央ルートや下水道等のインフラ整備を推進し、生活利便施設等の立地誘導を行
い、まちづくりを推進していきます。
また、泊カツラギ地区南側の泊大塚地区では、開発手法を土地区画整理事業とした場合の減歩率
が高い等の問題から、事業化の目途は立っていません。今後、事業化を実現するためには、地元地
権者や代表者で構成されている「前原北部まちづくり推進協議会」との連携協力を継続する必要が
あり、企業誘致や景気回復の状況を踏まえながら、段階的、かつ周囲の自然と調和した計画的なま
ちづくりを目指します。
【用語解説】
■減歩率;減歩とは、土地区画整理事業において公共施設の用地や保留地を捻出するために地権者から同じ割合で供出させる土地を意味
し、事業の前に所有していた土地に対する整理後の土地の減り分の割合を減歩率という。
40
第Ⅳ章 基本計画
<事業例>
a 九州大学南門(糸島門)の早期開設の実現に向けた要望活動の強化
b 学生や大学関係者が居住する地区と関連研究施設等を誘致する開発地区を設けた土地整備
c 居住地区では、自然との共生をコンセプトに資源循環型社会のモデル地域の設置
d 大塚溜池を親水公園として整備し、九州大学の学生と周辺住民とが交流する場の提供
e 大塚溜池と伊都キャンパスとの間の地区を、賑わいのある大学の門前町として整備
②前原インターチェンジ周辺及び国道 202 号バイパス沿線の整備【九州大学連携地域、工業・流
通地域】
平成 13 年度に福岡都市高速道路1号線と西九州自動車道が直結し、市から福岡市の中心部のみ
ならず九州全域へのアクセスが向上しました。平成 23 年3月には、福岡市の外環状線となる福岡
都市高速道路5号線が完成し、さらなるアクセスの向上が図られます。
このような交通利便性を活かし、平成 19 年度に、土地開発公社が前原インターチェンジ南産業
団地を整備し、既に7区画の土地が完売し、内5社が操業を開始しています。
また、福岡県が造成工事を進めている糸島リサーチパークの1期工事が平成 24 年1月に完成予
定であり、既に平成 22 年4月に「水素エネルギー製品研究試験センター」が開所し、「三次元半
導体研究センター」と「社会システム実証センター」が、現在建設中で平成 22 年度中に完成予定
です。今後も、福岡県やOPACK等と連携し、関連した研究施設や企業の誘致を促進します。
さらに、前原インターチェンジ北側や国道 202 号バイパス沿線については、製造業や流通産業
等を誘致しオーダーメイドによる新たな団地開発や民間開発の促進を図ります。
③伊都キャンパス西側の整備(松隈、馬場、桜井地区)【九州大学連携地域、工業・流通地域】
伊都キャンパスに隣接しているこの地域は、中央ルート、学園通線西回りルートの整備が完了す
ると、西九州自動車道からのアクセスが向上します。
この地理的特性を活かし、すでに民間開発により松隈工業団地が整備されており、市も製造業や
研究所、九州大学の関連施設等の誘致を行っています。
また、近隣の地区でも民間開発が検討されており、今後、市としても開発についての法的手続き
等を検討し、新たな産業の創出・集積を図ります。
<事業例>
a 九州大学と連携した国公設研究機関や民間研究施設
b 西九州自動車道や国道202号バイパスの交通利便性を活かした、製造業、流通産業等を誘致
するための用地整備
c 九州大学と共同研究に期待する企業を誘致するための用地整備
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第Ⅳ章 基本計画
(4)伊都キャンパスへのバス路線等の確保
平成20年3月に廃止された泊線を引き継ぎ、平成20年4月から九大線として伊都キャンパスま
でのコミュニティバスの運行が開始されており、その後、乗降客の増加と増便の要望を受けて平成
22年4月には、1日42便まで増便されています。
また、平成22年10月1日には、九州大学との連携により、コミュニティバスにICカードを導
入し、九州大学の学生は100円で通学することが可能となり、経済性と利便性が図られました。
しかし、学生のアンケート調査結果等から朝夕の増便と新たな路線開設が要望される等、市への
学生・教職員等の定住化を促進するためにも、一層の増便と路線の拡充が求められています。
今後、伊都キャンパスへの通学、通勤等を主な目的としたカーシェアリング等の交通システムの
導入についても検討を行います。
<事業例>
a 九大線の増便と路線の拡充
b 九大線コミュニティバスの民間事業者による路線バス化の調査・検討
c カーシェアリング等の新たな交通システムの導入に関する調査・検討
(5)情報通信基盤等の整備
情報通信技術の飛躍的な発達は、社会・経済構造や人々の日常行動まで大きく変え、生活を豊か
なものにするとともに、インターネット環境は生活スタイルに欠かせない存在です。しかし、ホー
ムページを利用した情報の発信等、その基盤となるインターネット環境においては、市内における
光サービス享受の地域間格差が存在しています。
これからの情報化社会において、九州大学の研究機関、企業等の誘致を推進するためには、次世
代ブロードバンド環境である光ファイバーケーブルによるサービスの拡大に取り組む必要があり
ます。
<事業例>
a 光ファイバーケーブルによる通信エリアの拡大の促進
b 光通信網の整備促進に向けた要望活動
【用語解説】
■IC カード:集積回路(IC チップ)を組み込んだカード。キャッシュカードやクレジットカード等に利用され、磁気カードと比べると大容量の情報を
記録でき、偽造されにくい。最近では非接触でデータを読み書きできる。
■カーシェアリング;登録した複数の会員が自動車を共同利用するシステム、有料サービスのこと。
■ブロードバンド;高速・大容量通信のこと。ADSL・CATV・光ファイバー(FTTH)等。
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第Ⅳ章 基本計画
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第Ⅴ章 推進計画の推進体制
第Ⅴ章 推進計画の推進体制
1 推進体制の整備
(1)九州大学と糸島市との連携協力推進協議会
平成22年5月に九州大学と市が締結した「国立大学法人九州大学と糸島市との連携協力に関す
る協定」に基づいて設置された「九州大学と糸島市との連携協力推進協議会」を積極的に活用し、
協定の円滑な推進により、推進計画の実現を図ります。
■連携協力協定に掲げた連携協力事項
・九州大学と糸島市が有する資源の相互活用
・九州大学と糸島市民との交流の促進
・伊都キャンパス周辺地域の環境整備とまちづくり
(2)連携協力推進協議会の部門別会議
現在の九州大学との連携事業は、それぞれの部署で個別に連携が行われ、大学内でどのような連
携事業が行われているのか把握が難しく、事業の重複の解消や方向性の統一等、調整が必要となっ
ています。
そこで、九州大学の学部・学科や市の部課が、それぞれの枠を超えた効率的で専門性の高い連携
協力を継続的かつ一元的に行っていくため、連携協力推進協議会の下部組織として「専門部会(仮
称)
」を設置します。
(3)九州大学糸島市交流促進会議(仮称)
九州大学の移転のインパクトを最大限に活用するためには、人的な交流が重要となります。
九州大学と市民、事業者、行政がお互いに信頼できる関係を築くことで、新たな発見や発想が生
まれ、それが地域の活性化にもつながります。
そこで、学生・教職員、市民、行政等がお互いに交流に対する意見、要望を出し合い、実践する
ための評価・検証を行う「九州大学糸島市交流促進会議(仮称)」を設置し、発展的で継続性のあ
る交流に取り組みます。
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第Ⅴ章 推進計画の推進体制
(4)国及び福岡県、福岡市等の自治体との連携
九州大学の移転インパクトは極めて大きく、特にアクセス道路の整備が必要であり、中央ルート、
学園通線西回りルート、波多江インターチェンジ(仮称)の設置等の都市基盤施設整備事業につ
いて、国、福岡県、九州大学の理解と支援が丌可欠です。また、新産業の創出やベンチャー企業
の立地には、高い専門性が必要となります。
このようなことから、国や九州大学をはじめ、研究所の設置や企業誘致に大きな実績を有する福
岡県との連携を更に緊密にし、学術研究都市づくりをより一層促進します。
さらに、伊都キャンパスは、福岡市と本市の両市に立地しており、行政分野はもちろん、九州大
学と地域が開催している「伊都祭」等、市域の枠を超えた交流が行われています。
今後も、伊都キャンパスが両市に立地している認識のもと、福岡市と今まで以上に連携協力を行
うことで、更なる九州大学と地域の発展を図ります。
(5)九州大学学術研究都市推進協議会との連携
九州大学学術研究都市推進協議会は、九州大学の移転を契機に新たな学術研究都市の実現を目指
し、九州大学、国、福岡県、佐賀県、福岡市、旧1市2町、唐津市、経済界等により、平成10年
5月に設立され、平成13年6月には、九州大学学術研究都市の方向性を示した「九州大学学術研
究都市構想」を策定しています。
この構想の実現を図るため、平成16年10月には九州大学、福岡県、福岡市、旧1市2町、地元
経済界を中心にOPACKが設立され、九州大学周辺の「まちづくり」及び研究所や企業などの誘
致を行っています。
この推進計画は、中央ルート、学園通線西回りルート等の都市基盤整備や研究所、企業誘致等、
九州大学学術研究都市構想が基本となっており、今後とも九州大学学術研究都市推進協議会及びO
PACKとの連携を図ります。
(6)「九大・糸島会」の機能拡大
平成14年2月に九州大学の糸島地域への移転を契機に、九州大学と糸島地域との連携・交流を
通じ糸島地域の更なる発展を目的として、糸島にゆかりのある九州大学の教職員と旧1市2町の職
員で「九大・糸島会」が設置されました。
これまでにも、地域資源を再発見する体験型講演会や、大学と市民が交流を深めるバスツアー、
広報紙への活動記事の掲載による会のPR、会員相互の交流を行う交流会などの事業を実施し、九
州大学と本市との連携・交流に大きく寄不しています。
今後も、新たにホームページを開設する等、事業の強化とPRの推進を図り、特色ある連携・交
流を推進します。
(7)九州大学連携調整会議
本市における九州大学学術研究都市のまちづくりを推進するため、平成22年4月に、都市計画
課、企業立地課、学研都市推進課により、情報収集、情報の共有及び意見調整を行う「九州大学連
携調整会議」を庁内に設置しています。
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第Ⅴ章 推進計画の推進体制
今後とも、必要に応じて庁内他課の協力を徔ながら庁内の意見集約と、学術研究都市の実現に向
けて迅速な対応を行うため、この調整会議を毎月1回開催します。
■九州大学連携調整会議の主な協議事項
①
九州大学の移転状況に関すること。
②
九州大学移転に関するインフラ整備に関すること。
③
OPACKに関すること。
④
九州大学関連の企業、研究機関の誘致状況に関すること。
⑤
九州大学移転に伴う市街化区域における開発行為に関すること。
⑥
都市計画法の地区計画に伴う、まちづくりに関すること。
(8)その他
①九州大学と糸島市の連携・交流事業の実績の把握
連携・交流事業について、適切な評価、継続、発展に資するため、実施状況の把握、課題の抽出、
評価等を行うため、進捗状況を把握する中間集計と事業実績及び次年度計画を把握する年度集計を
行います。
②市民へのニーズ調査
九州大学に対する連携、研究、交流等の市民ニーズについては、市民満足度調査、市民アンケー
ト調査、市政モニターによる広聴制度を活用し、広く市民からご意見をいただき、九州大学との連
携交流事業に反映させます。
③市民への情報提供
九州大学と本市の連携・交流事業の具体的な事業の計画や実績については、広報「いとしま」や
ホームページへの掲載や講演会等において、市民への情報提供を行います。
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第Ⅴ章 推進計画の推進体制
2 組織関係図
経済界
福岡県
九州大学学術研究都市推進協議会
福岡市
OPACK
県道整備
水素関連
半導体関連
リサーチパーク
国立大学法人九州大学と糸島市
との連携協力に関する協定
糸島市
九州大学と糸島市との連携協力
九州大学
推進協議会
九州大学
九州大学連
連携調整
携調整会議
会議
連携協力推進協議会の部門別会議
九大・糸島会
九州大学糸島市交流促進会議(仮称)
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糸島市民
第Ⅴ章 推進計画の推進体制
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