トヨタ生産方式と 物流・サプライチェーン

SCMと IT経営・実践研究会、 2007/1/27
トヨタ生産方式と
物流・サプライチェーン
黒岩 惠 (Satoshi Kuroiwa)
([email protected])
名古屋工業大学客員教授
(トヨタ社友)
(注) 2006年5月27日開催の特別講演が、PDF掲載の最初の部分の説明で
終了のため、アンコール講演として実施。スライドはほとんど同じです
今日のトピックス
1.製造業の課題とトヨタの経営スタンス
・国の情報化施策 (電子タグ、国際電子商取引)
・自動車産業の構造変化
・トヨタのDNA、トヨタウェイとトヨタ生産方式(TPS)
2.トヨタ生産方式(TPS)の本質
3.TPSにおけるサプライチェーンの強化
・TPSとITの融合
・車の開発、生産、物流、販売までのIT活用
4.TPSから展開された物流/サプライチェーン
・ グローバルサプライチェーンにおけるTPSの展開
・ TPSからトヨタ物流システム(TLS)へ
5.ソフト開発におけるTPSがUSから日本に
6. まとめ
日本の高度情報化施策は95年から
製造業の経営課題 ・ ゼロサム時代の到来 ・ グローバル化
・ 産業構造のソフト化
「産業高度情報化プログラム」
・電子商取引実証事業(95年)
・ CALSプロジェクト(10業種)
・自動車 ・鉄鋼 ・航空 ・電子機器など
・ 企業・消費者間ECプロジェクト
2000年4月新発足
電子商取引推進協議会
(ECOM)
(会長: 張トヨタ社長)
2005年6月
www.ecom.jp
次世代電子商取引推進協議会
IT戦略会議(2000年)
1.超高速ネットインフラ(村井)
2.電子商取引ルール(宮内)
3.電子政府の実現(岸)
4.人材育成(張)
e-Japan戦略(2001)
e-Japan戦略Ⅱ(2003)
ITインフラからITの利活用へ
IT新改革戦略(2006)
ITの構造改革力の追求
経済産業省のトレーサビリティ実証実験
平成15年
目的
業界
プロジェクト
平成16年
平成17年
商品トレーサビリティ SCMにおける電子
における電子タグの タグの利活用
利活用(各種電子タグ) (UHF帯中心)
電子タグ利活用による
産業構造改革、行革、
新産業創出、産業間・
国際連携の推進
①家電業界
②アパレル業界
③出版業界
④食品流通業界
①電子・機械
②医薬品
③自衛隊国際平和
協力活動の補給
④自律動作型サービス
ロボット
⑤メディアコンテンツ複合
店舗
⑥未来型店舗サービス
⑦ASEANリターナブル
コンテナ
⑧日中間サプライチェーン
①建設機械・産業
車両・農業機械
②書籍関連
③家電製品・電子
機器
④医薬品
⑤百貨店・アパレル
⑥物流業界
⑦レコード・DVD・
CD業界
輸出入・港湾手続きのワンストップ化
経緯
・総合物流施策大綱 (1997年4月4日閣議決定)
物流分野の電子商取引を推進していくため、・・・・国及び地方公共団体が
輸出入、出入港等の行政手続において率先して情報化によるペーパーレ
ス化及びワンストップサービスの実現に取組む。
・1999年、港湾EDIシステムの試行運用開始
・2003年度、シングルウィンドウ・システムの稼働
・2004年6月、経団連「輸出入・港湾諸手続の効率化に関する提言」
各省庁毎の重複する資料の一元化、廃止等、一層の簡素化を図り、
EDI化、ペーパーレス化に移行すべきである。真のワンストップサービスを
実現すべきである。
(1)輸出入・港湾諸手続の簡素化 (シングルウィンドウ、FAL条約批准)
(2)総ての申請書類の電子化 (UN/EDIFACT, ebXML、電子タグ)
(3)情報の共有化
(4)セキュリティの確保と物流の効率化を両立する方策 (C-TPAT)
(5)官民協働体制の構築
(6)国際的な動向への対応
21世紀は情報化を軸に変革が進む
・ニコライ・コンドラチェフ「長期波動論」
・ジョゼフ・シューペンター「景気循環論」
・アルビン・トフラー「第三の波」
1980年超LSI開発
ISDN構想登場
1908年T型フォード開発
1939年ジェット機初飛行
(1946-1996?)
1882年エジソンの発電所
運転開始
1930年リバプール−マンチェスタ
鉄道開通
情報ネットワーク
(1896-1945)
陸海空ネットワーク
(1849-1895)
電力ネットワーク
(1789-1848)
鉄道ネットワーク
運河ネットワーク
情報ネットワークをベースにした
イノベーションの展開
(出典)斎藤精一郎(情報エコノミーの衝撃)など
自動車産業の組織構造、業界構造の変化
・オープン化、グローバル化、スピード化
1. 技術開発競争(地球環境対応)
2. メガコンペティション(部品のモジュール化などコスト低減)
3.バリューチェーンの変化(川下領域への事業展開)
4. 壁(時間・空間、組織、企業、業界、国境)の無い時代
自動車のモジュール化
IT業界の構造変化
垂直構造
(1950~1985)
全製品をカバー
全製品をカバー
IBM DEC
水平構造
(現在)
CPU: Intelほか
OS: Windowsほか
AP: SAPほか
N/W: Ciscoほか
周辺: Canon ほか
PC: Dellほか
・画期的なコスト削減
・生産ラインの効率改善
・日本はモジュール化とシステム化へ
Cock-pit
Roof
Rear
Front-end
Chassis
MCC Smart
Seat
Door
製造業における日米間経営手法の導入
・日本的経営を学び90年代後半復活した米ビッグスリーも今や瀕死状態
・ GMの2005年度赤字:9900億円。トヨタが今期中に世界NO.1?
日本
QC
SQC
TQC
トヨタ生産方式
JIT
かんばん
系列
労使協調
戦後復興期
米国
Kaizen チームワーク
1980年代
(日本的経営)
TQM
経営品質
JMS
MAST
現在
(経営品質重視
のマネジメント)
マルコム・ボールドリッジ
リエンジニアリング
国家品質賞
行動科学
科学的管理法
BSC
情報戦略論
経営戦略論
TOC
SQC
CMM
シックスシグマ゙
マーケティング
ABC/ABM
21世紀の企業競争力優位は ?
フォード方式からの脱皮は全ての業界に共通
19世紀
クラフトマン生産
20世紀
前半
マス(大量)生産
20世紀
後半
リーン生産
(職人の手工業)
直接費
間接費
(フォード方式)
直接費
間接費
(トヨタ方式)
21世紀の製造業は?
・コラボレーション環境によるバーチャルエンタープライズ ?
・人と組織の知的資産の創造と再生産
・人(改善力)とIT(技術とツール)のシナジー
グローバル競争におけるトヨタの対応
2001年張社長講演より
1.環境技術の克服
・車の排ガス低減と燃費の向上(プロダクト)
・循環型(リサイクル)生産システム(プロセス)
2.グローバル競争での勝ち残り
<原価低減活動>
(1) プロダクト(車両,部品)
・プラットフォームの共有化
・部品のモジュール化
・部品の共通化 ・部品点数の削減
(2) プロセス(開発、生産準備、生産、販売)
・自前主義 (まずはやってみる)
・ムダの排除
・設計から販売まですべてを巻込む
・IT(情報技術)を駆使する
・部品サプライヤーと一体になる
原価低減活動の徹底
(1)プロダクト
・原価企画による原価
のつくり込み
・CCC21 (購入品)活動
−2002より3年間で
購入品原価低減30%
(2)プロセス
・TQM/TPM/TPS
による原価低減
・BT2 (内製品)活動
−2002より3年間で
内製品原価低減30%
VI活動
(2005年より)
トヨタの物づくりの原点
1.進取の精神
・研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。(豊田綱領)
2.現地現物主義
・まずやってみよ。失敗を恐れるな。(豊田佐吉)
・油で汚れた手を日に三度洗わないものは技術屋にあらず。(豊田喜一郎)
3.全員参加
・「良い品、良い考」 (創意工夫への会社スローガン)
4.ものづくりは人づくり
・ものづくりは人とノウハウの蓄積でなされる。人を作らねば仕事も
始らない。(豊田英二)
トヨタウェイ、トヨタ生産方式
・人を最大の経営資源としたトヨタ
独自の物づくりの思想・システム
現地現物、見える化、共有化による
問題の顕在化・早期解決
豊田佐吉翁
豊田喜一郎
トヨタの経営、企業活動の指針
豊田綱領
基本理念
トヨタイズムの原点
トヨタの憲法
2010年に向けて
2010年
トヨタが目指す
グローバルビジョン 企業像
中長期
経営計画
2010年グローバル
ビジョン実現に
向けた計画
会社方針
中長期経営計画
達成のための
課題、目標等
トヨタウェイ2001
トヨタに働く者の
行動原則
トヨタウェイの具体的展開
「トヨタ生産方式」
ビジョンの共有 “Toyota Way 2001”
・「トヨタの基本理念」の行動指針として2001年に策定
・「人を最大の経営リソース」とするTPS(トヨタ生産方式)
をベースとして策定
トヨタウェイとして
暗黙知として存在
真のグローバル
グローバルトヨタで
するトヨタ独自の
企業への脱皮
見える化、情報共有化
思想・価値観・手法
<2本の柱>
Continuous Improvement
知恵と改善
Respect
for People
人間性尊重
<5つのキーワード>
Challenge
Kaizen
Genchi Genbutsu
(現地現物)
Respect
Teamwork
2010年グローバルビジョン
21世紀初頭に期待する社会の姿とトヨタが目指す企業像の明確化
Innovation
into the
Future
基本的
考え方
パラダイム
チェンジ
グローバルトヨタで全員が共有化
① Kind
to the Earth
② Comfort
of Life
③ Excitement
for the World
④ Respect for
all People
①自らが社会
を牽引
②豊かな社会
の実現
③企業の発展
と社員の
夢達成
①技術開発
商品開発
②マネジメント
③収益構造
ハーバードビジネス誌によるトヨタのDNA
“Decoding the DNA of the Toyota Production System”
by S. Spear and H.K.Bowen Sep.&Oct. 1999
トヨタ生産システムの根底にある暗黙知は4つのルールで
捉えられる。これらのルールが製品やサービスのための
全ての活動、手順や関係性において工程設計、作業、改善
のガイドとなっている。
ルール1:
ルール2:
ルール3:
ルール4:
How People Work
How People Connect
How the Production Line Is Constructed
How to Improve
現場のマネージャーは監督者や作業者に直接に上記のルール
を教えずに作業現場で、ルール(仕事の仕方、仕事のつなぎ、
不具合ゼロ、改善)を自らで教えたり、学ぶやり方を教える。
トヨタのDNAとは何か
1.お客様第一主義
・ 自動車の製造・販売を通じて 利益を受ける順序は
「一にユーザ、二にディーラ、三にメーカ」
・ モノづくりの現場では、お客様=後工程。
日本以外の国では、不良品を後工程に回すことを何とも思わない。
2.現地現物
・ 創業者 豊田喜一郎の言葉
「1日に3回以上、油で汚れた手を洗わない技術者は、技術者に非ず。」
3.生産・技術現場とヘッドオフィスが隣接
・ 三河の良さは質実剛健な風土。
・ 生産現場から離れ、東京に本社を置いたメーカは、ほとんどダメ
4.人材育成に注力
5.変革のエネルギー
・ 奥田語録
「変えないことは悪いことだ」
「変革に反対する者は、せめて横で黙っていてくれ」
「打倒!トヨタ」、大企業病のトヨタをやっつけない限り、次世代のトヨタはない
6.危機意識の強さ
トヨタ生産システム(TPS)が目指すゴール
TPSは「お客様第一」を理念とし、以下の2本の柱で成る
・ジャスト・イン・タイム (JIT = Just-In-Time )
・自働化 (Autonomy,自律した自動化)
ゴール
改善(Kaizen)無ければ革新(Innovation)無し
常にあるべき姿(To Be)を目指し「改善」し続ける
人間集団を創り上げること
実世界
Dealers 抽象化
モデル
オーケストラ
N/W Head office
Unit plant
Supplier
Assembly
plant
具体化 TPS= 調和型自律分散システム
(ホロン,フラクタルと類似、システム
は全体と個の調和で成立つ)
原価主義より原価低減
TPSの基本的考え方:利益を上げるには、②原価を下げる
トヨタの原価企画(原価の創り込み)と原価低減活動の原点
①売価を上げる
②原価を下げる
需要 > 生産
需要 < 生産
原価主義:
原価低減:
売価 = 原価 + 利益
利益 = 売価 − 原価
利益
売価
利益
売価
原価
原価に一定の利益を乗せて
売価を決定
原価
売価は買い手が決める
利益確保のために原価を低減
原価(コスト)とは何か
製品を設計、製造、販売し、代金を回収までに要した総コスト
<原価低減活動>
原価企画: 新商品開発段階で原価のつくり込み(CCC21、BT2、VI活動)
原価維持・改善: 量産段階 (TPM/TPSによる原価低減)
総原価
開発費
設計費
製造費
販売費
製造原価
材料費, 購入部品費, 労務費、
設備費、用役費、経費 など
仕入先
素形材
購入品
外注費
自動車の例 (原価/Kg)
素材費(平均):120円
エンジン:
900円
自動車:
1500円
自社
製造
(手配−加工−検査−出荷)
開発
設計
生産
管理
営業
購買
お客様
総務
経理
トヨタの財務体質と原価管理体制
パブリカの1000ドルカー(1959年企画)におけるVE,VAと
TQC,TPSに始まり、トヨタの原価管理体制確立
<財務体質の良さの原点(1960年代初;石田退三)>
自分の城は自分で守れ
1.借金は、いずれ恐ろしい敵になると心得よ。
2.金が残ったら、できるだけ設備に回して機械能率の向上を図れ。
3.常に最悪の事態を想定して金を使え。
4.会社の規模が大きくなればなるほど、経費は切りつめよ。
<原価管理体制>
(1)原価企画
<縦軸> 車両別原価企画(目標利益確保のための「原価をつくり込む」活動)
<横軸> 設備投資企画
(2)原価維持・低減活動
TQC(TQM) TPS、TPM,QC活動による原価維持と原価低減のための改善活動
トヨタ生産方式を理解する前に
1.トヨタ生産方式(TPS)のゴールは「常にあるべき姿を目指し、
改善し続ける人間集団を創り上げる」とした人的能力の向上。
2.TPSは「お客様第一」を理念とし、「ジャストインタイム」と
「自働化」の2本の柱で成立つ。
3.ジャストインタイム(JIT)という言葉はTPSの和製英語。JITから
USでSCM、TPSからリーン (Lean)生産というコンセプト
が生まれた。(80年代にUSに進出したトヨタからTPSを学ぶ)
4.TPSの本質は、「お客様の引きに応じた流れを作る」ために
徹底した「ムダの排除」にある。
5.TPSの考え方は、トヨタウェイという経営哲学として、生産から
開発、販売分野にも展開され、他の業種業態でも改善活動、
ビジネス革新の手法として展開されている
トヨタシステム・・・TPSとToyota Way
顧客満足CS 、顧客感動CD
顧客価値CV (Customer Value )
QCDE( Quality, Cost, Delivery , Environment) の追求
Just-In-Time
必要な物を
必要な量を
必要な時に
人とチームワーク
People & Teamwork
・工程の流れ化
・タクトタイム
・後工程引取り
・小ロット化
改善活動
無駄の排除
・現地現物
・真因の追究
・7つの無駄
・問題解決
自働化
( Autonomy)
工程内での
品質の造り込み
(問題の顕在化)
・省人化
・自立化/自律化
平準化 (Leveled Production)、標準作業
目で見る管理(Visual Management):情報共有
従業員満足,ES (Employee Satisfaction)
労使信頼、企業風土、 トヨタのDNA
徹底したムダの排除
ムダの定義
「原価を高める生産の諸要素」、
「付加価値を高めないもの全て」
① ムダ
なくすことができる作業上の不必要な動作
<7つのムダ(無駄)>
1)造りすぎのムダ (最悪なムダ)
2)手待ちのムダ
3)運搬のムダ
4)加工そのもののムダ
5)在庫のムダ
6)動作のムダ
7)不良品、手直しのムダ
(例) 待ち時間、材料の並べ直し
② 付加価値はないが必要な作業
今の条件下では付加価値はないが、
やらなければ ならない動作
(例)組付けのため、部品を持ってくる作業
正味作業
ムダ
作業者の
動作
③ 付加価値のある正味作業
作業により、付加価値を与える動作。加工作業や 付加価値はないが、
組立作業により、モノの形状や質を変える作業
必要な作業
リードタイムの短縮
リードタイムとは
・最初の工程から最後の工程までのモノの通過時間
・生産のリードタイム=加工(組立)時間+運搬時間+滞留時間
・ビジネス全般では、「受注から納品まで、代金回収までの時間」
加工(組立)時間
素形材
素材加工
(鋳造、鍛造)
機械加工
(旋削、研削)
お客様へ
(次工程)
組付け、組立
付加価値を
付けた時間
運搬時間、手待ち、在庫の滞留時間
リードタイム=原価
リードタイム短縮は原価低減と同じ
ジャスト・イン・タイムの追求
「あるべき姿の追求」が TPS改善の基本
一般的な改善の考え方
TPSの考え方
与えられた条件
あるべき姿( 結果)
結果
新たな与条件
(最善を尽くす)
(自分、職場を変え、会社を変える。)
シングル段取、多能工化
などは、あるべき姿の追求
あるべき姿向かい取り組む険しい道。
改善を通して職場体質は強化。 現場力、
改善力、人間力の育成
例1 ある機械の故障率 : 10 パーセント
故障時用の在庫を増やし、
ライン全体の能率を向上。
[対応] 単なる痛み止め。
故障を顕在化させるために在庫を減らし、
職場をあげて真因を追求し対策
(何故何故を5回)
ライン全体の能率を向上。
トヨタ生産方式(TPS)を構成する全体像
お客様第一
(QCDの追求)
部品
仕入先
鍛造
鋳造
焼結
お客様の引きに応じた工程の流れ化
<自動車生産システム>
熱処理
機械加工
ユニット組付
車両組立工場プラスチック成形
プレス
ジャストインタイム
情報の流れ
モノの流れ
ボデー組付
塗装
物流
販売店
艤装組立
1.工程の流れ化
2.小ロット生産
3.タクトタイム生産
4.後工程引取りと店
かんばん方式
物:同期化
人:多能工化
設備:工程順レイアウト
標準作業3点セット
自働化
①品質は工程で造り込む
②省人化
・5S ・5R ・安全
・真因の追究、ムダ取り
①異常で止まる
②異常がわかる
③人の仕事と機械の仕事の分離
・TQM ・SQC・TPM ・QC活動
物づくりトヨタの基本理念、トヨタのDNA
TPS実現の手順
A社の事例 ステップ1:注文を受けた分だけつくる
(後補充生産在庫ゼロへの挑戦)
ステップ2:平準化生産(生産計画、部品調達)
ステップ3:異常管理(異常の「見える化」)
トップのビジョン
と意識改革
作業改善
・トップの「やり抜く」強い意志と・現場の実行力
・意識改革と5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)
・徹底的なムダの排除
・流れ生産 ・・・多工程持ち、一個流しの挑戦
・平準化 ・・・・段取時間短縮
・標準作業 ・・・自働化、目で見る管理
先ずは仕組改善、設備(ITも含む)導入は最後に
設備改善
(ITの導入)
<設備導入の大罪>
・設備は金がかかる
・ムダの固定化、仕組みの悪さの隠蔽
・やり直しが困難
・顧客指向でなく物づくり指向へ
TPS導入における成功の条件
(1)改善はニーズにもとづくこと
(2)理想の徹底的追求を行う
“やれる事をやる”だけでなく、“やるべきこと”への挑戦をする。
(3)現地・現物主義 に徹する
現場で人・物・設備・作業方法等を自分の目で判断し、改善すること。
(4)「5回の何故」による真因の追究を行う
(5)先ずは行動(実践)すること
改善し、その結果をフォローすることにより、新たな発想、思想が生まれる。
(6)改善は巧遅よりも拙速を尊ぶ
時間をかけて道具よりも、機能を満足するモノを即時に作り、トライする。
(7)設備改善よりも作業改善を徹底する
(8)安全と品質を必ず優先する
トヨタ生産方式(TPS)の進化と深化
TPSの理念「お客様第一」は全てのビジネス活動に共通
・ジャストインタイム(リードタイム短縮)
二本の柱 ・自働化(自律/自立)
トヨタ経営方式
(トヨタシステム/トヨタウェイ)
変化しつづける経営、全体最適、
グローバルコラボレーション
伝統的
トヨタ生産方式
70年代で確立
人の作業と「しくみ」で勝つ
経営戦略
・変化する組織
・学習する組織
トヨタ改善方式
(トヨタ式イノベーション)
人、組織の知の共有、
改善とイノベーション
部門戦略
現場戦略
・トヨタのTQM
=TDS/TPS/TMS
の三位一体化
トヨタ生産方式
人の作業、機械化(IT化)
と「しくみ」で勝つ
生産現場戦略
・お客様第一
ジャストインヤイム
と自働化
サプライチェーン改善・改革の進め方
IT化の前に生産・物流の仕組み(顧客視点の流れ)の改善
経営戦略
調査
分析・整理
現状の姿
IT化戦略
・何のための
誰のためのIT化か
IT化企画
・目標とIT化リソース
工程改善
以下の視点で問題点整理と改善
現場管理は異常の管理
(標準作業のレベルアップと標準の
阻害要因排除と工程改善
モノ
・自社の市場価値
(コアコンピタンス)
・顧客と事業環境変化
・事業ビジョン策定
ITシステム開発
評価・改善
情報
人
設備
あるべき姿
TPSと情報システム(IT)の融合
伝統的TPS(人間情報処理システム)はITで進化
<80年代前半>
本社
生産工場
<現在>
IS
IS
TPS
IS
TPS
TPS=トヨタ生産方式、 IS=情報システム
人中心の日本的管理
-プロセス指向
-改善
-協働
-オープン
-フレキシブル
技術(IT)中心の欧米的管理
人とITの融合、
良いとこ取り
の経営へ
-技術指向
-イノベーション
-創造
-クローズ
-固定化(マニュアル化)
車両組立工場の情報化(生産・物流)
・欧米のCIM(IT化)に対してトヨタはHIM(人主体のTPS)
・80年代後半からTPS(人間情報システム)をITで強化
80年度後半
組立工場のIT化
プレス工程
ブロードバンド
・自律分散型ALC
・ブロードバンド
・RFID
90年度後半
かんばん方式のIT化
・e-かんばん
ボディー溶接工程
塗装工程
RFID
組立工程
RFID
エンジン工場の情報システム化
80年代中頃まで、生産工場はTPS、本社のみIS。80年代後半に
コンピュータ統合TPSへ。その後、さらに進化。
エンジン生産工場(実行系)
他
内製工場
鋳造 ライン
加工 ライン
受入
(3受入)
パーツメーカ
e-Kanban
(2002年)
部品調達
エンジン部品
かんばん増減表
かんばん
枚数計算
本社(計画系)
部品選択 品質確認
エンジン
部品表
エンジン
部品表作成
車両
部品表
組付 ライン
車両工場
生産指示 実績管理
ボディーメーカ
エンジン
エンジン
生産計画 生産実績
エンジン生産
計画立案 生産指示評価
物流センター
80年代中頃にIT化
車両
生産計画
生産現場のIT化
トヨタの車両組立工場における生産現場のITシステム
(1)組立工程情報管理
・ALC
・部品順建指示システム
・可動管理システム
・車両進捗管理システム
・QA(品質保証)ネットワーク
管理システム、
・能率管理システム
(2)ライン支援
・トルク管理システム
・技術情報システム
(図面と技術標準DB)
・総合車両技術管理システム
(設計変更などによる製造工程、
作業の変更に対処)
・工程編成支援システム
(3)設備管理
・ポカヨケ装置
・保全可動モニタ
・工程アンドン
・組立ネットワークシステム
(4)物流管理
・部品呼出システム
・部品搬入システム
・棚番地管理システム
・発着管理システム
・納入場所指示システム
(5)電子かんばん(TOPPS)
(6)労務管理、その他
勤怠、出張管理、改善提案など
トヨタの車づくりにおける物と情報の流れ
<生産工程>
物の流れ
情報の流れ
Assembly Line Control (ALC)
プレス
溶接
塗装
販売店
組立
車両組立工場
鋳造
鍛造
機械加工
組立
部品メーカ
生産指示かんばん
部品引き取り
かんばん
工程
工程
工程
部品発注・生産指示の基本
工程
工程
指示
センター集中型
工程
指示
工程
<MRP方式(PUSH)>
指示
情報システム
工程
指示
監視
物の流れ
情報の流れ
<かんばん方式(PULL)>
工程
指示
情報システム
受注予測によるPUSH、かんばん(実需)によるPULL
PULL(安定性)&PUSH(即応性)の指示方式
納入量(内示、確定)
内示情報
・後補充
確定情報 ・着工引き
・順序引き
月、週、日、時間
かんばん情報の電送
・人間系中心の「かんばん方式」は情報技術で変革する
・九州、北海道でのトライ(90年代初)評価後,東海地区に
TOPPS(e-Kanban)というシステム名で展開
TMK
KN岩手
TOPPS =Toyota Parts Procurement System
パーツ
メーカ
かんばん
振出装置
かんばん
電送かんばん
トヨタ自動車
北海道
T/M生産
パーツ
メーカ
かんばん
上郷集荷センター
(KCC)
電送かんばん
かんばん
トヨタ
ユニット工場
かんばん
電送かんばん
本社地区
車両工場
TMH
トヨタ自動車
九州
完成車生産
関東自動車
岩手
完成車生産
伝統的かんばん方式と e-Kanbanの模式図
伝統的かんばん方式
納入指示
かんばん枚数、
発注タイミング決定
±⊿Pc
外れかんばん
±⊿Pc
生産計画
かんばん枚数計算
部品展開
Pi= Po±⊿Pc
Po
実績
Pi
車両オーダ
外れかんばん
Pv
生産計画
かんばん枚数計算
部品展開
Pi= Pv±⊿Pc
お客様
Po
車両オーダ
販売店
かんばん枚数、
発注タイミング決定
部品仕入先
Po
実績
お客様
納入指示
販売店
組立ライン
部品仕入先
Pi
組立ライン
(生産実績による外れかんばん)
TOPPS Ⅱ (e-Kanban)
組立ラインの深度と進度を反映
した確定オーダの部品展開
かんばん方式による部品物流分野の改革
部品の受発注業務の効率化と
スルーな部品物流(物流は物留では無い)を目指して
①かんばんEDI (Electronic Data Interchange) TOPPSで実現
②仕入先から車両工場へのトラック便(ルートと荷量、荷捌)
③部品受入場から組立ライン側
④部品工場(仕入先)の平準化集荷と平準化生産
部品の流れ
情報(かんばん)の流れ
部品、ユニット工場
部品組立
ライン
部品
置場
かんばん
部品受入
出荷場
④
車両組立工場
①②
③
部品
置場
車両組立
ライン
トヨタのIT化によるビジネス改革とSCM
経営戦略と一体化した、全体最適なIT活用による業務改革
①開発∼生準(生産準備)∼調達のデジタル化 広義のSCM
②サプライチェーンの強化・可視化
③顧客視点のマーケティング・バリューチェーン
④グローバルリアルタイムマネジメント
経営戦略
④グローバルリアルタイムマネジメント
システム
開発
生準
システム
調達
システム
生産
システム
物流
サプライチェーンの全体最適
③顧客視点の
マーケティング/バリューチェーン
システム
販売
システム
アフターセールス
情報システム
システム
②サプライチェーンの
強化・見える化
業務
①開発∼生準∼調達の
デジタル化
新車開発と生産・販売の業務フロー
全てのビジネスプロセスでQCD (Quality, Cost, Delivery)の追求
トヨタの全社的TQMとIT利活用:
1. TPSの強み(改善・改革)を新車開発、販売・マーケティングへ展開
2. 経営戦略と一体化したIT
マーケティング:お客様接点の向上
何が必要か
開発・設計
商品企画
お客様
何を開発するか
生産準備
セールス
生産計画
どうやって売るか
どうだったか
うまく売れたか
どうやって造るか
V-comm
CASE
調達(試作)
うまくできたか
試作
WARP
新車開発:リードタイム短縮
調達
物流
うまく造れたか
ALC
e-Kanban
生産
生産・販売:お客様までのジャストインタイム
IT活用によるトータルリードタイム短縮
・リードタイム短縮はコスト低減と同じ
(1)商品開発期間短縮
(2)生産、物流、販売の連携によるリードタイム短縮
・情報の共有化、見える化、オープン化
商品開発
生産準備
開発リードタイム 生準リードタイム
二次
一次
生産ライン
販売店
(卸)
営業所
(小売)
情報のリードタイム
調達のリードタイム
生産リードタイム
物流・販売リードタイム
トータルリードタイム
お客様
IT活用によるサプライチェーンの改革
・売れる車の開発 (リードタイム短縮)
・中間在庫の削減 (部品在庫、販売店の在庫車)
・お客様までのジャストインタイム
(1)受注∼納車までのリードタイム短縮
と納車日の遵守
・受注車納期:14日
・販売店の在庫車縮小(BTOへ)
(2)お客様情報の商品企画への活用
生産計画、需給計画
e-KanbanなどのITシステム
の改善と改革
商品要望
台数予測・売れ筋
オーダ
デリバリー
開発
生産
準備
生産
(調達)
輸送
市場/経済/顧客情報加工
在庫
販売店
お客様
ICT化によるオーダーデリバリー改革
・プロダクトアウト
・マーケットイン
・納車までのリードタイム短縮
カスタマーイン ・お客様へ納期保証
柔軟な生産対応
・かんばんの電子化他
調達
完成車順序遵守
生産
・受注情報の工場展開他
平準化(月→旬→日→個)
配送日の遵守
輸送
・輸送の事前計画化他
販売店
販売・生産計画
計画業務の早期化
新鮮な市場情報に基づく素早い計画
納車日の遵守
・新車点検の改善他
お客様
お客様のオーダによるPULL
トヨタ生産方式から展開したGazoo
・Gazooの展開はトヨタ生産・物流方式の改善活動から展開
・車からECサイト、車ビジネスのバリューチェーンにおける
トヨタのポータルサイトヘ
Gazooはリアルからバーチャルへ
旅
音楽
旅行
付 自動車部品
金
金融
Celica and...
…
食 グルメ
部品メーカ
Amazonはバーチャルからリアルへ
聴
書籍など 読
娯楽
遊
UVIS
(中古車画像情報選択)
ファッション衣
ボデーメーカ
過去のジャストインタイム
改善活動の範囲
デーラ
Gazooグループの
改善活動分野
・新車情報
・中古車情報
・車検・点検情報
・板金・修理情報
・保険情報
・査定価格情報
・GAZOO CLUB
Forum & Chat
リアル&バーチャルによる販売とマーケティング
リアルの店舗・営業スタッフによる対面主体の販売と、
バーチャルのインターネットによる情報提供を併用した
ハイブリッドマーケティング
お客様
情報収集
リアル
カタログ
販売店 へ
商談・注文・納車
実車展示
営業スタッフ
アフターサービス
バーチャル
営業スタッフ
サービススタッフ
お客様の行動傾向
バーチャル
一覧比較
ショールーム オンライン契約 整備業者
GAZOO
GAZOO
自動車街
G-タワー
代行業者
各代理店との
電話相談
代替
営業スタッフ
下取価格
検索
GAZOO
自動車街
インターネット時代の新しいビジネスモデル
ビジネスモデルで競合他社との差別化
注文対応形態
在庫販売STS
Ship to Stock
新車
開発
原材料
加工
部品
調達
最終
組立
▼
デルモデル
最終製品
自動車業界
のBTO販売
▼
リードタイム
半製品
▼
価格
半製品
納期
受注設計生産ETO
Engineer to order
リードタイム
▼
受注加工組立BTO
Build to Order
受注生産MTO
Make to Order
リードタイム
商品要望への対応
▼
受注組立ATO
Assemble to Order
受注仕様組立CTO
Configure to Order
▼
短い 難しい 安い
最終製品
見込生産MTS
Make to Stock
流通
在庫
出荷
輸送
▼=ストックポイント
価値観
への対応
リードタイム
部品
▼
リードタイム
在庫なし (長納期部品のみ)
リードタイム
長い 容易 高い
情報ネットワークによる仕入先連携
JNX対応システム
Web利用するシステム
・仕入先ネット ・WARP
・技術標準(TS)
・生産技術標準(TMS)
・工事通知書システム
・連結経理 など200種以上
EDI系蓄積交換システム
・部品内示データ
・補給部品かんばん
・資材かんばん(MAPS) 約1500種類
CAD系蓄積交換システム
・CADデータ(図面、設計関連情報含む)
JNX (Japanese automotive Network eXchange);2000年稼動、TP数:約2000社
IPSec
JNX
TP
IPSec
TP
CSP
TP: TP Trading Partner
CSP:
Certified Service Provider
CSP
JNXC:
JNX Center
CEP:
Certified Exchange Point
CA:
Certification Authority
IPSec:
IP Security
VPN:
Virtual Private Network
IPSec
VPN
CA
JNXC
CEP
JNXC
KNX
KNX
(韓国)
(韓国)
CSP
TP
Air Lock
IPSec
ANX
ANX
((U.S.)
U.S.)
自動車部品のネット調達
・ ビッグ3はCovisintにより部品調達。さらに生産・物流、製品
開発までを計画 。ITバブル崩壊でトーンダウンも将来の方向
Covisint: Eマーケットプレイスから協働設計、さらに
バーチャル・エンタープライズへの展開へ
売り手
売り手
Eマーケット
プレース
売り手
買い手
買い手
買い手
設備メーカ
お客様
デーラ
マーケティング、製品開発、
生産、物流、販売を含めた
コラボレーション(協創)環境
部品メーカ
OEM
資材メーカ
(GM,フォード、DC,日産・ルノー他が参加、トヨタ、ホンダは独自)
トヨタのネットによるWARP( 品番 ・品目 ・仕入先 ・地域 ・車種の
全世界共有DBを持つ)は、全世界共通部品調達システムで、新車
開発の企画段階から世界最適部品調達による原価企画・低減
新車開発のリードタイム短縮
・開発リードタイム: 36ヶ月(80年代)
現在15ヶ月以下
・組織改革、CE/SE、関連主体のコラボレーションとITの利活用
過去
商品企画
製品開発
評価・検討
実物による評価
生産
量産設計
商品企画
L/O
生産
製品開発
評価・検討
生産準備
シリーズ開発
設計/生産準備のフロントローディング
新車開発のリードタイム短縮=コスト低減
投入工数
試作
生産準備
実物
図面
現在
L/O(量産開始)
量産設計
試作
変革後
・性能向上
・成形性
・設備
従来
早期検討
設変作業
3次元モデル
早期織込
期間
CE/SE(=Concurrent/Simultaneous Engineering)
「大部屋」活動と ITによる情報共有
「大部屋」とデジタルエンジニアリングによるビジネスパートナとの
コラボレーション。 新車開発、原価低減、TPS改善などを支援
設計/加工・組立のノウハウDB、デジタルシミュレーション、テレビ会議システムで構成
適用例
設計
・製品設計(車両、部品・ユニット)とコラボレーション
・デジタルアセンブリ(作業性、干渉・品質、建付見栄え)
・工場建設、工程計画、設備計画、人と設備の協調
生産準備
CAD/CAM/CAE
/部品表/原価
人
しくみ
部品メーカ
など関連
IT
海外
調達
トヨタの国内・海外生産とグローバル戦略
● 現在の生産台数は、国内:海外は1:1 、2010年には 1千万台?
● 海外生産の増加は’90⇒’00年、約2倍。今後全世界に拡大計画
部品輸出
現地組立
(∼85年)
完成車輸出
(∼75年)
先進国展開
(∼00年)
グローバル展開
(00年∼)
(万台)
700
525万台
(2000年)
新工場
海外生産 1 展開
600
500
400
1/2
300
輸 出
200
100
2
国内生産
国内販売
’55
’60
’65
’70
’75
’80
’85
’90
’95
’00
’05
’10
1/2
300
万台
以上
トヨタのグローバル生産拠点
:生産拠点
:生産台数
<2005年>
64万台
379万台
154万台
103万台
全世界生産台数
736万台/2005年
12万台
24ケ国 生産会社42社
14万台
(約170ケ国で販売)
グローバルビジネスへのICT活用
グローバル展開の課題
・人材の流動化
・人材の育成
・日本側の膨大な支援工数
・暗黙知から明示知
・自立化/自律化
・現地(人)化
経営人材確保・育成としくみの確立
工場マネジメント改革(ソフト)
生産ラインの質の改革(ハード)
立地の違い: 電話、メール、WEB
経験の違い: マニュアル化
言語の違い: 通訳、脱言語化
ICTの積極的活用
・デジタルエンジニアリンク ゙(固有技術・技能 + コンピュータ技術)
・情報ネットワーク(テレビ会議、メール、画像伝送)によるコラボレーション
① 脱言語(色、絵、数字)
② ビデオ化(繰り返し見る)
③ 疑似体験(アニメーション)
④ ノウハウ手順書
⑤ 脱言語DB化(簡単検索) ⑥ リアルタイムモニタ(現場の共有)
グローバル・サプライチェーンへの対応
サプライチェーンの質的変化にもトヨタ生産方式(TPS) の基本の遵守
リードタイム・在庫の画期的削減
チェーンの短縮化、スリム化
① 細い物流を太い物流 ② 低頻度から小ロット多頻度、満載
サプライチェーンの整流化
付加価値,種類はできるだけ後工程で作りこむ
供給拠点の多極化:複雑化
世界市場への供給拠点は日本1極
米州
欧州
米州
欧州
日本
日本
アフリカ
豪亜
中近東
アフリカ
商品
新Project のサプライチェーン
欧州
日本 ベネズエラ
ベトナム
アルゼンチン
アルゼンチン
南アフリカ シンガポール
フィリピン
インドネシア
マレーシア
インド タイ
豪亜・中近東
生産部品
主要5生産拠点
商流の中心拠点
IMVプロジェクト
グローバル商品戦略
IMVPはトヨタのグローバル戦略の第一歩
輸出拠点の海外化
日本
12万台
1999年 A車のグローバル生産体制
約25万台
6万台
2万台
インド タイ
2万台
インドネシア
1万台
アルゼンチン
① 日本が完成車輸出拠点
② アセアン域内各国少量生産
2万台
南アフリカ
2004年 A車のグローバル生産体制
約50万台(計画時点)
・タイを完成車輸出拠点化
・タイをASEAN地区の
R&Dセンターへ
4万台
タイ
21万台
4万台
インド
7万台
8万台 ブラジル
アルゼンチン
6万台
南アフリカ
インドネシア
その他
TPSからトヨタ物流方式(TLS)へ
・トヨタ生産方式(TPS)と基本は同じ
・物流は生産と消費を結ぶ重要な工程
・物流は物留では無い
(1)迅速化
お客様のオーダを生産につなげ、すばやく対応
(2)平準化
安定した物流で、リソース(人、設備、資材)の効率化
(3)小ロット化、多頻度輸送、高積載率
平準化のもとに迅速な流れを作る手段
(4)効率化・合理化
現地現物主義、目で見る管理、作業の標準化
物流の3要素 ・ 情報の頻度 ・ 輸送の頻度 ・輸送のロットサイズ
ICT(情報システム)と TPS(人間系)のシナジー
ビジネスプロセスの全体最適
・顧客満足(CS)最大、サプライチェーン全体のコスト最小
・企業や組織の壁を超えたWin-Win、トータルリードタイム短縮
・組織、企業、情報システムのすべてに変革必要
<過去> 個々のプロセスの評価尺度による部分最適
調達
・納期遵守率
・納入リードタイム
生産
・稼働率 ・可動率
・歩留まり・在庫
・品質 ・直行率
・生産リードタイム
・生産変動対応
流通
・顧客満足度(CS)
・市場占拠率
・製品在庫
・納期遵守
・納期回答
<現在> ロジスティクス/プロセス・フローの全体最適
供給者
調達
生産
全体最適
キャッシュ・フロー
流通
消費者
ジャストインタイム物流の取組み
グローバル化で長く細くなるサプライチェーン
① 太い物流に
② 小ロット多頻度かつ満載に
③ 徹底的なリードタイムの短縮
人・物・コスト・物流をミニマム化:
人・物・コスト・物流をミニマム化: 地球環境や交通渋滞
地球環境や交通渋滞 にもやさしい
にもやさしい
満載でジャストインタイム 実現
<方式1>
a社 b社 c社
a社 b社 c社
<方式2>
<方式3>
a社 b社
a社
中継
工場
工場
工
場
A
工
場
B
工
場
C
工場
c社
トヨタのロジスティック概要
生産物流(国内/海外生産用部品)と商品物流(完成車と補給部品)に大別
生産管理部
揚
港
港
コンテナ詰め
通い箱詰 め
梱包
受入
工場
(輸入車)
出
海外生産用部品
海外
生産工場
補給部品
お客様
海外
部品営業
共販店
部品営業
出荷
包装
出庫
保管
検収
物の流れ
情報の流れ
受入
仕入先
お 客 様
お客様
海外代理店
販売店
積
出荷地
完成車
国内営業
海外営業
完成車輸送計画システム
<ネットワーク輸送計画の最適化問題>
車の受注
販売店到着日、お客様納車日
生産
計画
車両工場
出荷地
生産
中継地
完成車輸送
キャリアカーの輸送ダイヤ作成
評価指標
・納期遵守率 100%
・輸送効率 従来通り
・計画時間
10分
LP解法モデル
・エリア定義、走行パターンの
大括りでマトリックス簡素化
販売店
販売
お
客
様
計画対象規模
完成車:
40,000台
キャリアカー:
2000台
車両工場:
20ヶ所
中継地:24ヶ所
販売店:300ヶ所
輸送制約条件
(1)完成車の制約
・納期/出門制限 ・廃車予定時刻
(2)キャリアカー制約条件
・使用可能時間 ・積み合わせ
・営業免許 ・認可ルート
(3)輸送先制約
・搬入可能時間帯 ・キャリアカーサイズ
・同時搬入キャリアカー台数
(4)物流ルートに関する制約
ICT化の目指すべき方向
「見える化」情報共有によるグローバルサプライチェーンの構築
・海外事業体を含めた経営体質の強化
・新車開発のリードタイム短縮
・お客様までのジャストインタイム
・お客様視点のマーケティング・バリューチェーン
経営管理
商品開発
欧州
グローバル経営情報
アメリカ
販売
日本
部品
物流
豪亜
車輌
生産準備
生産
TPS視点の物流・サプライチェーンの見直し
1.お客様は誰か
・それぞれの職場で「ビジョンやミッション」を共有
・ビジネス(工場)のあるべき姿は「お客様の引きに応じた
仕事(生産対象物)の流れ」の構築
2.仕事の棚卸
・その仕事が本当に必要か?
・人に仕事を付けていないか?(必要な仕事に人を配置)
・仕事(作業)の原単位(標準作業)が改善の第一歩
3.ジャストインタイム
・目的は「リードタイム短縮」。徹底的なムダの排除
4.自働化 (=自律化)
・動くことと働く事(価値を付ける仕事)とは違う
・現場の管理は「異常管理」。品質は自工程で100%確保
5.「見える化」「見せる化」の徹底
・ 「見える化」は管理の道具(手段)ではなく、改善の道具
USがトヨタから学んだ NUMMI
・USの製造業は「フォード方式」から「リーン方式」へ
• 1982 – GMがカリフォルニア州フリーモントの工場を閉鎖
– 生産性は最低、欠勤率は最悪
• 1984 –NUMMI (Toyota & GM)として再開
– GM閉鎖でレイオフされた労働者(多能工化として)で再開
– ホワイトカラーの役割は,指示ではなく支援
– 訓練された小さなチームで自律的運営(設計、現場作業)
– 作業者の判断によるラインストップ(問題点の顕在化と改善)
• 1985
– 生産性と品質は2倍に.GM全工場を抜く.
– ドラッグとアルコール中毒がなくなり、無断欠勤がなくなる
全米一ローテク工場のNUMMIが生産性は全米一と米Fortune誌が報道
ハイテク(ロボット、自動化)よりも人間性尊重、人間力が生産性の決め手
ソフト開発のTPSが USから日本へ
USソフト業界は、Lean/Agile 生産方式、すなわち日本のTPS
に学び、日本のソフト開発、ソフト業界にTPSが逆輸入
USのLean/Agile ソフトウェア開発方法論
‐ eXtreme Programming (XP) [Beck]
‐ Crystal methodologies [Cobum]
‐ Feature-Driven Development (FDD) [Palmer]
‐ Scrum [Schwaber]
‐ Lean Software Development [Poppendieck]
XPにおける「12 のプラクティス」
The Planning Game
Small Releases
Metaphor
Simple Design
Testing
Refactoring
Pair Programming
Collective Ownership
Continuous Integration
40-Hour Week
On-Site Customer
Coding Standards
なぜ日本の「ソフトづくり」は弱いのか
1.日本の国民性、文化、経営風土がITに向いてない?
・高コンテキスト文化(暗黙知)
2.急速な技術革新
・ムーア、ギルダー、メカトーフの法則 (20数年で1万倍進化)
3.ユーザ企業のITマネジメント力の低さ
・ユーザ企業情報部門のステータスの低さ
・現業(真のユーザ)とベンダを巻き込んだコラボレーション力
4.ベンダの勉強不足
・ソフト開発力アップへのインセンティーブ働かず
・明るい職場づくり、組織力向上へのマネジメント力不足
5.「足る」を知る
・人月稼業で金が入る
・国内マーケット大きく、QCD (Quality, Cost, Delivery)向上不足
どうしたらソフトづくりは強くなれるか
1.こまめなPDCAのマネジメントサイクル(「ものづくり」に学ぶ)
・マネジメントは,管理/統制ではなく、改善への支援
・明るい職場づくり
2.「見える化」、「見せる化」の徹底
・「見える化」による関係者の支援、改善/改革、向上心
・ソフトづくりの仕事=作業(設計、ソフト作成)+改善
3.システムづくりは顧客との共同作業 (トヨタの大部屋活動)
・ユーザ、ベンダともコミュニケーションとコラボレーション力のUP
・変更を是認したシステム要件
4.ユーザ、ベンダともQCD向上への職場風土づくり
・ユーザのレベルが高くなければベンダは育たない
・人月稼業からの脱皮
5.ソフトウェアアーキテクチャの重視
・フレームワーク(車台)とクラスライブラリ(部品)のソフト資産化
ソフト開発における「見える化」
「見える化」は管理ではなく、改善のための道具
・全体システムの「見える化」
・顧客の要求、機能優先度の「見える化」
・各作業工程、進捗の「見える化」
・ムダ、正味作業、必要作業の分類の「見える化」
・手戻り、バグなど品質問題の「見える化」
・スキルマップ(多能工化)の「見える化」
・改善提案と優秀提案の「見える化」
To Do
・毎日朝一番、週末の
立ちミーティング
・改善活動サークル、
発表と表彰
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ものづくり現場の「見える化」
・「見える化」による、問題点の顕在化、対策をし易くする。
・全ての関係者が問題点や対策状況を共有化し、
仕事のベクトルが合う、全員参加を可能とする
「見える化」は、管理の道具でなく、改善するための「活動ボード」
品質ボード
ポカヨケ工程一覧表
上位方針 ・・・・部
課
係
見直し、確認
の頻度
1/Y
GLの巡回品質監査
品質スキル評価表
加工ライン不良発生状況
1/Y
基盤別不良状況
BP-1210不良状況
組付ライン不良発生状況
標準作業票
①工程の状況が見える
②仕事や品質の正常・異常
がわかる
③最新のデータがわかる
④対策された状況がわかる
⑤標準化されている
⑥全員が内容を把握している
加工ライン問題点対策計画表
②
① ⑤
③
④
1/M
生産・物流システム設計の「見える化」
システム全体像の情報共有(全体の俯瞰、鳥瞰)
関係者からの知恵の創出、各人の役割、責任、自律化
従
来
TLSCの活用 システム・プロセスの見える化
工程管理
基本構造図
システムブロック図
SC
L
T
工程図
システム範囲
システムの狙い
・・・・・・・・
W
吊上げ
正常
タグ交換
はねだし
電
着
床裏
ブース
シーラ
建 付
シーラ
マグカードを読ませる
建付
車両到着を知る
車両到着を知る
工程制御図
担当者
コンピュータ
機能図
コンベアを
停止させる
書込OK?
NG
OK
続行
マグカード入力を促す
IDタグに
車両情報を書込む
車両番号認識
車両番号検索
車両情報一時保管
管理者・ユーザ
管理者・ユーザを交えた検討
に理解難
• 生産・物流分野のIT化
企画・検討
TLSC=Total Link System Chart
IDタグ用に車両仕様編集
• 同左
• 業務プロセス分析・スリム化
300枚以上
TPSのソフト開発プロセスへのアプローチ
1.明るい職場風土づくり
・改善・改革へのトップのコミットメントとリーダシップ
・現場の改善(5S、コーディング作法、ムダ排除、明るい職場)
2.人に仕事を割り当てず、仕事に仕事を割り当てる
3.ウォータフォール(Ford方式)からTPS方式へ
・ソフト開発作業の大部屋化、コンカレント化
・ソフト開発作業の流れ化、工程のロット流しから1個流し
・計画(PUSH)は目安、実需(確かな仕様)によるPULLで作成
・遅れ進み、品質問題、価値作業(コーディング)の「見える化」
・多能工、完結工程、U字ライン、セル生産 (働く人の満足感)
4.フレームワークやモジュールとしてソフト部品の資産化
・フレームワーク(車台など共通部分)とクラスライブラリ(部品)
・共通フレームワークは、オープンソースなどで進化
ソフト開発もライン方式からセル方式へ
セル生産方式
一人ないし数人の作業者がひとつの製品を作り上げる自己完結性
の高い生産方式 (人間性尊重と生産性の両立が成功の鍵)
4人作業
3人作業
U字ライン
作業者
ラ
イ
ン
5人分業の
セル×2セル
10人分業の
ライン
2人分業の
セル×5セル
1人完結
セル×10セル
セル化
ソフト開発もフォード方式からトヨタ方式へ
ユーザ
発注者
ITベンダ1
ユーザ
設計のコラボレーション
ITベンダ2
ITベンダ2
ITベンダ3
ITベンダ3
ITベンダ3
ユーザは、やりたい事が不明確
知的製作作業のコラボレーション
仕事の流れ
A
・開発工程のコンカレント化
・ロット生産から1個流し
AB CD E
A:仕様設計
・お客様引き(実需)に応じた製作、納品
B:ソフト設計
AB C D E
C:コーディング ・こまめなPDCAサイクル
・仕事の平準化、リズム感
AB C D E D:テスト
E:実装
・在庫、滞留を無くす(リードタイム短縮)
B
C
ABCDE
D
E
チームワークは日本の強み
1.情報(方針、販売、生産、品質)の共有化と共通認識
1)見える化
2)チームによる改善
・QCサークル発表会などによる知識の交換 ・知識、技能の伝承
・個人(チーム)、組織力UPのためのベクトル合わせ
2.なんでも話せる職場づくり (コミュニケーションのよい職場)
・あいさつ ・朝のミーティング ・休憩所での雑談 ・インフォーマル活動
3.自分の行動は自分で責任を持つ
組織(チーム)力
組織(チーム)力
組織(個人)目標
個人目標
の最大化
組織(個人)目標
個人(チーム)と組織のベクトル合わせ
個人目標
成長する人、学習する組織
・「人は育つ、育てる」、自ら学ぼうとする「気づき」と職場環境
・人材教育の一環としての職場ローテーションと多能工化
成長
仕事C
仕事B
成長するために、
新しい「経験」と「知識」、
支援する制度、職場の
風土が必要
成長がストップし、「仕事」でなく「作業」
仕事A
年数
仕事=作業+α(創造、改善・成長意欲など向上心)
仕事が作業だけなら、機械化(IT化)による自動化で対応可
人と組織細胞の活性化
・組織、個人の意欲と活力を高める職場形成、組織設計
・個人の気(やる気、元気、活気)を高める仕組みづくり
人はいかなる時に仕事に意欲、満足を感じるか?
1.自 律 (Autonomy)
2.責 任 (Responsibility)
3.達 成 (Achievement)
4.適 性 (Opportunity)
5.仕事そのもの(the work itself) 6.向 上 (Advancement)
7.評 価 (Recognition)
出典:IMS調査報告書
Harmonious Growth:
トヨタの1997年策定した
グローバルビジョン2005
お客様重視 の理念
調和ある成長
Harmonious Growth
絶えざる改善
全員参加
問題意識
の共有化
コミュニケーション
仲間意識
の醸成
改善意識
の高揚