科学 ︱﹃未来のイヴ﹄をめぐって きしょうかいれい と、実証主義、 ﹁科学﹂の大英雄エディソンの 二人が織り成す奇峭瑰麗な物語である。アル ゼンチンの作家ボルヘスは、﹁﹃未来のイヴ﹄ は、文学史上に現れたサイエンス ・フィクシ いうのか。 ︱︱それに、考える? 結局、 ろで何になるのか。 ︱︱何の権利があると だ! 何たる勝利! ⋮⋮事実、考えたとこ もうそんなことを考えてみる暇さえないの らの勝利はもはや枚挙に遑がない。ホサナ! ﹁大願成就! ︱︱﹃自然﹄に対するわれ に実際的に処理させるのに役立つ、﹁時は金 それは、何事をも、 ﹁平気﹂で何の感動もなし かじめ悲しみを薄めておく予防器具である。 れたり絶望したりすることのないよう、あら は、肉親の突然の死に出会っても、悲嘆にく 引用した短編小説における﹁ 科学的分析機﹂ 明し、そうした時代精神を痛罵した。冒頭に が﹁理想の女性﹂︵人造人間︶に凝集した ﹁形 エディソン、二人のそれぞれの異質の﹁夢﹂ でも空疎な科学小説ではない。エワルド卿と る。しかし、 ﹃未来のイヴ﹄は、如何なる意味 ラジオが現在の機能そのままに詳述されてい れる遥か以前に、既にカラートーキー映画や には、人造人間、また映画やラジオが発明さ 対する諷刺である。 ﹂と言う。確かにこの小説 根岸隆尾︵校 長︶ それは何を意味するのか。みんなただの言葉 也﹂の時代に相応しい文明の利器であった。 而上学的芸術作品﹂である。 ョンの最初の一例であり、同時にまた科学に じゃないか! ⋮⋮急いで発見しよう! 発 リラダンはこう記す。﹁芸術も今やその影響を 青年貴族エワルド卿の恋人アリシャは、 ﹁頭 俗な実証主義、近代の物質文明、科学的進歩 高貴な魂を持った詩人リラダンにとって、卑 と信じ、至高、至善、至美なるものを求める れながらの夢想家、 ﹁夢想こそ唯一の実在だ﹂ のような痛烈な諷刺の矢を放っている。生ま 主義に酔い痴れ、功利主義にはしる俗物にこ リラダン︵一八三八︱八九︶は、低俗な科学 一九世紀のフランスの作家ヴィリエ・ド・ 一八七五年︶ ︵リラダン﹁断末魔の吐息の 科学的分析機﹂ う難問に、リラダンが己の生を賭けて ﹁科学﹂ 年︶は、 ︽科学は人間の魂を救い得るか︾とい リラダンの名作 ﹃未来のイヴ﹄︵ 一 八 八 六 ち主ではなかった。 ひとり善しとする偏狭固陋な卑屈な精神の持 学﹂を、ただ徒らに否定し、己の理想主義を しかし、人類の英知と想像力の結晶である﹁科 科学の卑俗な功利性を批判したリラダンは、 外には理解されなくなるであろう。 ﹂と。 の葬送行進曲は、もはやダンス音楽として以 こ十年もたてば、⋮ベートーベンやショパン 言﹂にすぎなかった。ルーブル美術館で﹃勝 どはすべて何の役にも立たぬ ﹁お星さまの寝 ては、愚劣低賤でないもの、真の芸術作品な 人格に打ちのめされたのである。彼女にとっ のことしか眼中にない﹂卑俗そのものである 全く﹁無脈絡﹂で、 ﹁愚痴の種といえば、財産 まもなくエワルド卿は、彼女の魂が外見とは 神々しい程の美しさに魂を奪われた。しかし、 無欠﹂な、崇高な美に輝く女性であった 。.エ ワルドは、偶然に出会った瞬間から、彼女の しヴィナス﹄そっくり﹂の容姿を持つ﹁完全 から足の先に至るまで︱︱﹃泡沫より生まれ アンドレイード 明しよう! 忘れよう! 探し出そう! や 受けんとしている。この機械のおかげで、こ 史観は、彼の﹁夢﹂を封殺する忌まわしい現 と対質した凄絶な実験小説であった。強烈な 利のヴィナス﹄を前にしたとき、彼女は言っ うたかた り直そう! そして︱︱次にかかろう!﹂ 実であった。 ﹁理想﹂に生きる英国の名門貴族エワルド卿 ころう リラダンは、作品の中で、数々の機械を発 −2− 一方、かつてエワルド卿に、道端に捨てら 故に、彼女と別れ、自殺しようと決意する。 な?﹂と祈願しつつも、それは適わぬ﹁夢﹂ の肉体からこの魂を取り除いてくれたら 凡庸暗愚な魂に絶望したエワルドは、﹁誰かこ な魂が宿らねばならぬ。アリシャの余りにも 完璧な肉体には、それに相応しい至純清浄 だって成功しますわね?﹂ お金がかけてあるのだとすれば、︱︱あたし ほうが上品よ。﹂ ﹁だけど、あの石像に沢山の あたしには両腕があるわ。それに、あたしの た。 ﹁まあ! あたしそっくりね!﹂﹁だけど、 ⋮見せてやれるのだぞ。 ﹂と、内心密かに豪語 己達のまえではどんな正体をしているかを⋮ せよ、己達は、もう⋮⋮ ﹁生命﹂なるものが どうか一つ試してみるかな! ⋮⋮いずれに 対し、エディソンは、﹁引張りだせないものか のような沈黙を秘めた ﹁生命﹂というものに 間を造ることであった。神が創造した深い謎 が神にも擬せる存在者となり、新たな擬似人 になる存在﹂を創造することであった。自ら に対する我々の関係を我々に対して持つよう そのエディソンが抱いた﹁黄金夢﹂は、 ﹁神 ない。冷徹非情な実証主義者である。 エディソンは無論現実離れした夢想家では ﹃科学﹄は、⋮⋮恋の病からも人間を癒せる 独りになったエディソンは、 ﹁これで初めて、 過ごそうと決意したのである。 付き、人造人間アダリイと故郷英国の古城で 確実に、生きているあの女の方が幻だ﹂と気 た﹂ことを自覚し、 ﹁二人の女を較べて見ると、 じさせるような力を断じて持っていなかっ し方感じた優しい荘厳な情熱の瞬間を彼に感 形の原型である件の女性︵アリシャ︶は、今 ﹁結局の所、彼の傍に坐っている神秘的な人 し、憤怒と呪詛の中にも、やがてエワルドは、 ぎなかったことを突きつけられたのだ。しか ドの愛した実体は空虚であり、己の幻想に過 ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ な遥かに清浄な印象を与え得る魂﹂を持って リシャの魂よりも﹁遥かに美しい遥かに高貴 の人工のアリシャを造り、しかも、現実のア の反映﹂︱︱を正確に﹁再現﹂したもう一人 などの個性や、要するに、紛れもないあの女 ⋮歩きつき、顔つき、地上に映る影、その姿 や、声の音色や、胴体の嫋かさや、眼の光や、 属性のすべて﹂︱︱﹁挙措の優雅さや、香り る。即ち、エディソンは、アリシャの﹁外的 を叶え、彼の﹁生命﹂を救おうとするのであ 通りの女性になったのだ。 ﹂と叫んだ。すると 愛の力で、あなたの美しさと同じような理想 んてことを考えてしまったとは、⋮あなたは、 は馬鹿だったのか、⋮電気で人間が作れるな 動に襲われ、無限の歓喜に包まれ、 ﹁あゝ!俺 ワルドは、生まれて初めての清らかな快い感 がちに吐く息、憂愁な眼差し、優しさに、エ る。しかし、いつものアリシャと違い、黙し 庭園を歩きながら別れ話を持ちかけようとす 寸分の疑念も抱かずアリシャだと思い込み、 をエワルド卿に引き合わせた。エワルドは、 しているように思われる。 るのだろうか。 ﹃未来のイヴ﹄は、何かを暗示 とに、いったいどんな ﹁黄金夢﹂を夢見てい を駆使し、人類に幸せを齎すという名目のも る。生科学者は、遺伝子操作やクローン技術 二一世紀は﹁生命科学﹂の時代だと言われ った。 黙然として万古蒼茫の星座を仰ぎみるのであ ワルドからの電報を手にしたエディソンは、 ある。﹁タダコノ幻ノ喪ニフクサム﹂というエ アダリイは空しく海底に沈んでしまったので しかし、帰郷の途次、不慮の船火事によって、 ・・・・・ ら罵られたように感じた﹂のである。エワル れた犬ころ同然に死ぬところを救われたこと していたのである。 ということを証明した!﹂と思うのだった。 ・ のあるエディソンは、人類の英知と科学の精 約束の日、エディソンは人造人間アダリイ いるという幻覚を起こさせる人造人間アダリ その時、女は、﹁妾はアダリイです。﹂と答え くだん 髄を尽くして、エワルド卿の恋愛の﹁理想﹂ イ︵古代ペルシャ語で、 ﹁理想﹂を意味すると たのである。瞬間エワルドは、正に﹁地獄か しなや いう︶を造ろうというのである。 −3− ノーベル賞の取り方 影を見て、お腹の出てきたことを知らされる が丸いということがあり驚かされる。自分の の影に入ることだと知っていて、その影の縁 があげている証拠の中には、月食は月が地球 村竜治/東海大学出版会/★︶に書かれてい のことを中心に、 ﹃改訂版 ・流れの科学﹄︵木 人ガリレオである。このあたりのことは、② にもからんでいるのが、一七世紀のイタリア ガリレオの平和利用 る。 先にある。球形説については、 ﹃地球ってほん ようなものだ。ただし、その影は三八万km ” 特 集 明 発 見 発 ・ “ │ じつは、人生を狂わせる本 │ 理科・地学 伊藤照雄 わたり誤ったかたちで縛ることとなる。そし かの考え方は、その後の人類を、二千年にも いる。球形説は良かったのだが、他のいくつ ガリレオは当時、望遠鏡というものが作ら っといい双眼鏡があればわかることである。 も、いまなら、一番安い天体望遠鏡か、ちょ 星の衛星とか金星の満ち欠けである。いずれ は、月のクレーターや土星の環、あるいは木 ガリレオはまさに天才の名にふさわしい業 とにまあるいの?﹄ ︵板倉聖宣/仮説社︶が子 て、そのアリストテレスの体系を打ち破る所 れたという話を聞いて、自分でも組み立てた 供向けながらおもしろい。 いは、二十年後にまたこの特集があった時、 から、ルネッサンス期の科学革命が始まり、 のだという。望遠鏡を発明したのはオランダ 績をのこしているが、中には、君や私がその 君の本を紹介することである。しかし、その 近代科学が幕を開けるのである。 の眼鏡師だといわれるが、はっきりしない。 アリストテレスは、ふつう哲学者といわれ 次回は君の本を ためには、十年ぐらいは変人に見られること ① 地球は宇宙の中心である。 それは、当時、望遠鏡というものが最新技術 時代に生きていたら、ガリレオの代わりに名 も、覚悟してもらう必要があるかもしれない。 ② 自然界に真空は存在しない。 を生かした軍事機密だったからである。敵の るが、当時哲学者と自然科学者の区別はなく、 なお、★印のついている本は、七月に出さ ③ 力が働かなければ運動は止まってしまう。 発明・発見をテーマに私の興味のおもむく れた、﹃夏休みに読んでおきたい本のリスト﹄ というのが、アリストテレスの三大アキレス 動きを知るのに望遠鏡があるのとないのとで を残せたのでないかという発見もある。それ 人類最初の大発見は、紀元前四世紀のギリ 腱︵弱点︶といわれる。 は大違いである。いまならさしずめスパイ衛 彼は自然についてもいろいろなことをいって シア人が、自分たちの立っている大地が球だ これらの間違いは、いずれも中高の理科で 星というところか。 ところを書いてみたい。そこにある密かな願 ということを知ったことだと思う。この球形 習うことである。これら三点の打破のいずれ アリストテレスを越えて で紹介されていた本です。 説をまとめたのはアリストテレスである。彼 −4− !? 5上﹄︵光村出版︶にも﹃大陸は動く﹄ ︵大竹 る。このことは、小学5年生の教科書、 ﹃国語 十世紀に入ってからでもある。大陸移動であ 君や私でも発見できたと思えることは、二 である。 ている。こういったことは発明にはつきもの 発見をもたらしたり、生活を便利にしたりし その後の、それらの平和利用は、いろいろな ュータだって、最初は軍事目的で作られた。 用だ。ロケット だってレーダーだってコンピ はなく星に向けた点である。いわゆる平和利 ガリレオの偉いところは、望遠鏡を敵にで 均/NHKブックス︶がある。もう古くなっ NHKブックス︶と﹃ 続・地球の科学﹄竹内 いては、 ﹃地球の科学﹄ ︵竹内均、上田誠也/ 大陸移動説とプレート・テクトニクスにつ たのである。 が、その地球が回っていることは認めなかっ と認めた古代ギリシア人は大したものである するものがあるのかもしれない。大地が丸い 化論をなかなか受け入れなかった所にも共通 ようである。変化を嫌うということでは、進 するということをなかなか受け入れられない っている大地や地球が、動いたり変化したり うちには認められなかった。人は、自分の乗 動説を認められなかったように、生きている ウェゲナーの大陸移動説は、ガリレオが地 ア新書/★︶がわかりやすくおもしろい。そ と海││地学入門﹄︵深尾良夫/岩波ジュニ の間の進展については、 ﹃地震・プレート・陸 ﹃地球の科学﹄と﹃生命と地球 の共進化﹄ 次なる科学革命を起こしてほしいものである。 じていたが、少し羨望である。どうせなら、 る。学生のころから彼にはかなわないなと感 実は、この本の筆者は私の大学の同級生であ の本は、新聞の書評でも評価をされているが、 この分野の進展を生き生きと描いている。こ 論じ、世界中のフィールドでの調査をふくめ、 が、地球と生命の進化を同じテーブルの上で ブックス︶では、惑星科学から出発した著者 ﹃生命と地球の共進化﹄ ︵川上紳一/NHK 今新たな進展を見せている。 科学革命﹁プレート・テクトニクス﹂の始ま すればピースは数個だが、それが二十世紀の で、次に絵合わせである。ジグソーパズルと 純なパズル合わせである。最初は、形合わせ 偉大な発見であるが、やっていることは単 を持った。 らの分布がつながることから大陸移動に確信 布を描いてみた。大西洋を閉じた場合、それ いろな文献をもとに、両岸の地質や化石の分 いることに気づいたことである。彼は、いろ イツ人ウェゲナーが、大西洋両岸の形が似て 命は一段落していたのである。しかし、この れてしまったなという感じがあった。科学革 の卵になるころには、おいしいところはやら てしまったのである。ところが、私が研究者 地球科学がおもしろいと思い、その道に入っ ダメ∼オウムに行かずに⋮?﹄として書いた。 マとした﹃PTA会報﹄に﹃天文学者はダメ このことは、3学期末に出る﹁夢﹂をテー 生を狂わせた本である。 になるかもしれない。実はこの2冊は私の人 どこにおもしろさがあるかという点では参考 てしまったが、研究がどのように進められ、 の脳がキレているのである。 といってよい。君や私がキレる時は、君や私 ることや作るものはすべて脳に根ざしている ちくま学芸文庫︶という本もあるが、人のや スリー/★︶である。 ﹃唯脳論﹄ ︵養老孟司/ S.ラマチャンドラン&サンドラ ・ブレーク されそうな本がある。﹃脳の中の幽霊﹄ ︵V. 今わたしが、高校生だったら、人生を狂わ 課題︶ともなる。 るので、地学の参考書 ︵あるいは赤点者への の段階が、現在の教科書に取り入れられてい めざせウェゲナー 政和︶としてのっている話で、始まりは、ド りだったのである。ただし、そのピースの大 分野は、最新の生物学と結びつくことにより ラマチャンドランの脳はおもしろい きさは、一万km以上にもおよぶ。 −5− つまり神とかを信じる心が、脳の側頭葉とい い本だと思う。私にとっては、超越的な存在、 ついても教えてくれる。その気にさせる危な れる。そして、研究の進め方やその醍醐味に 快に語られるとともに、今後の展望も述べら もとに脳のメカニズムから意識の謎までが明 ﹃脳の中の幽霊﹄では、著者自身の研究を だという気がする。 人文・社会科学を含め、科学の最大のテーマ ヒトをヒトたらしめているその脳の研究は、 進化の七大事件の最後は人類の登場である。 ことであるとしているが、生物学の分野でも、 大事件の最後は人類が地球環境を変え始めた ﹃生命と地球の共進化﹄では、地球史の七 ランドクルーザー﹂と化したのである。 ﹁この 現代新書︶の表現を借りれば、 ﹁強力で巨大な ﹃﹁複雑系﹂とは何か﹄ ︵吉永良正/講談社 のとなった。 て﹁物理帝国主義﹂と呼ばれるほど強力なも 展開を見せた物理学は、量子力学も手に入れ その矢先、アインシュタインによって思わぬ 説明するのではないかと思われ時期があった。 設者﹂ニュートンの体系が、自然のすべてを 学の父﹂ガリレオを継承した ﹁近代科学の建 近代科学の中心は物理学であった。﹁近代科 的成果はこれからだと思う。 進展の結果少し前にブームを迎えたが、本格 えたくれた。八五年頃の話である。その後の る。この分野へつながる話は最初川上君が教 れない。 理﹄を読んだ後の方がイメージが湧くかもし 読みがいもあるが、﹃自己組織化と進化の論 ない。後者は、ワクワクさせられ、なかなか がある。前者の方がとっつきやすいかもしれ 才達﹄︵M.M.ワールドロップ/新潮文庫︶ │科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天 前述の﹃﹁複雑系﹂とは何か﹄と﹃ 複 雑 系 │ いいかもしれない。一般向け解説書としては、 複雑系﹄ ︵今野紀雄/ナツメ社︶から読むのが いきなり読むには少し重いので、﹃図解雑学・ 月報一五号﹂でも紹介されている。この本は の法則﹄ ︵日経新聞社︶が九九年度の﹁図書館 己組織化と進化の論理││宇宙を貫く複雑系 それから、ガール・フレンド ︵元ボーイ・フ いは息子︶と喧嘩する前に一読をお勧めする。 ロングセラーになっている。お母さん︵ある い女﹄︵A&P.ピーズ/主婦の友社/★︶が ことがある。 ﹃話を聞かない男、地図が読めな いも脳に根ざしているとわかってきたという 脳についての最近の成果には、男と女の違 ころが今でも危ない。 ていることを別の側面から攻めていたりもす の分野には人工知能の研究もあり、脳のやっ の世界を取り上げているのである。また、こ ーク、あるいは予測のつきがたい経済や政治 ぎる現象である生命の発生や遺伝子ネットワ れまでの手法では扱うことが難しい、複雑過 たのである。 ﹂しかし、複雑系の科学では、こ はあらかじめ造られた道しか走っていなかっ はアクセルを踏み続けたが、実はこのクルマ クルマで行けない所はないように思え、人々 人にあこがれる。君も、何か本を書いたら送 ある。でも、ふつの人である私は、そんな変 うに生きているうちには認められないことも いるかもしれない。しかも、ウェゲナーのよ いから、日常生活ではまわりに迷惑をかけて 一心不乱に考えていないとできることではな してしまう人はある意味では変人だと思う。 いろいろと書いてきたが、発明とか発見を きみは変人になれるか う部分に根ざしているのではないかというと レンド︶とつき合う際にも参考になります。 ってください。 ・・・ ここまででほぼ書き上げたつもりになって 今からでも、少し狂いたいなという気がし ーパースターの一人であるカウフマンの﹃自 複雑系の科学の本としては、この分野のス る。 ル化学賞受賞のニュースが伝えられた。 いたら、白川秀樹・筑波大名誉教授のノーベ カウフマンは複雑系 てしまう分野としては、 ﹁複雑系の科学﹂があ −6− 私の考えも述べたい。 たので、長くなってしまうが、少し引用して 談が掲載された。非常に共感できる内容だっ 生理学・医学賞受賞者の利根川進との電話対 は、ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈と 受賞のニュースが流れた翌日の読売新聞に れをめざすということにもなろうが、出会い いい大学に多いとすれば、とりあえずは、そ センスが良くていい研究をしている人は、 手っとり早いということである。 た研究者の近くにいられるようにすることが、 ることである。研究者をめざすには、すぐれ 人の近くにいて、その人のやることをよく観 センスを磨く一つの方法は、センスのいい 学者の研究と、家庭生活を描いた明るい話を 表題からは、ノーベル賞を受賞した女性科 中村友子訳 ・中村桂子監訳 工作舎 シャロン・バーチェ・マグレイン著 ﹃お母さんノーベル賞をもらう﹄ る。体は張らなくてもいいけど冒険をしてみ ││ すぐれた研究者は、個性が強い。これ を保証されるわけではない。様々な本を読ん 想像される。そのような側面もないではない を大切にすることである。ただし、センスを はどうはぐくまれるのか。 だり、インターネット上に増えてきたいろい が、以下のような冒頭の書き出しで、女性科 ませんか。 利根川 個性が強いというより、身勝手で ろな研究室のホームページを見たりして、こ 学者が置かれてきた境遇に引き込まれてゆく 磨くということが、実は一番難しい。 あるともいえるが ・・・ 。 白川 その点では私 は失格です。あくが強 の人ならという人を探してみてはどうか。と だろう。 ノーベル賞もねらってね いと言われたこともない。ただ、自分の専門 はいっても、大学をどこにするかということ ことは、江崎氏も言っているが、新しさを追 氏はそれを見事に生かしたのである。重要な とは大変だったかもしれない。しかし、白川 を尊ぶ日本で、失敗への驚きを大切にするこ から始まったという。計画どおりにいくこと た研究は、失敗した実験の結果に驚いたこと るわけではない。白川氏がノーベル賞を取っ 私も、わざわざ変人になることを勧めてい 分に個性的だと思う。││ 断をすることが必要。この点で白川さんは十 江崎 良い研究をするには、自分の価値判 たと言える。 の冒険と体を張った冒険の両方をしたのであ 探す探検に行ったまま帰らぬ人となった。知 考えたグリーンランドに、大陸移動の証拠を 最後は、北米とヨーロッパに挟まれていたと 時間記録をつくったりした冒険家でもあった。 ウェゲナーのもう一つの顔は、気球の滞空 は自分の判断を信じた。 判を受けたわけである。しかし、ウェゲナー のは勇気が要ったと思うし、実際に大変な批 だったのである。専門外のことについて言う 大陸移動説のウェゲナーは、元々気象学者 ない。 に、あまりこだわらなくてもいいのかもしれ 0世紀の輝かしい科学技術の発 それはまさに2 者に与えられるもっとも権威ある賞である。 賞 物(理学賞・化学賞 ・生理学︱医学賞 は)、 一九〇一年から始まった科学上の最初の発見 賞を受賞して話題になったが、ノーベル科学 昨年、日本の白川英樹博士がノーベル化学 でまとめたものである。 4人の女 はノーベル賞級の研究 ・発見をした1 性科学者の﹁伝記﹂を ﹁女性﹂という切り口 この本は、ノーベル賞を受賞した、あるい るのに、女性はまだ9人だ。 以上の男性科学者がノーベル賞をもらってい なぜこんなに少ないのだろう。300人 “ −7− 理科 ・物理 及部 治人 分野に関しては、負けず嫌いで努力はしてき 求するセンスを磨いた上で、自分の価値判断 ” 態だったのだ﹂ アメリカでも一九五〇年代後半までこんな状 年も、無給でボランティア同然でやらされた。 いなければならなかった。大学の仕事を何十 講義を聴くにも、こそこそ椅子の影に隠れて ﹁地下の研究室や屋根裏に閉じこめられ、 た人たちの姿が浮かび上がる。 遠ざけられるという環境の中で、苦闘してき をしたくても、 ﹁女性﹂というだけで研究から この本を読むと、つい最近まで科学の研究 いのか? かったのか?科学の研究は女性に向いていな なぜ女性が少ないのか?女性研究者が少な 展を跡づけ、支えてきた賞である。 やむなく父親に家庭教師をつけてもらい、勉 する高等学校への入学を許可されなかった。 そもそも彼女が4 1歳のころ 一(八九二年 、 ) オーストリアで は女子 は大学受験用の教育を ノーベル化学賞を独り占めにされてしまった。 共同研究者であった男性オットー ・ハーンに 核の分裂を示す実験を主導し、解明しながら、 オーストリアのリーゼ・マイトナーは原子 彼女を救うべく働きかけたのである。 ノーベル賞委員会の友人が、苦境にあった である。 ノーベル賞受賞の知らせが入り、救われたの し、その時苦境にあったキュリーに二度目の キュリーは絶望し、自殺まで考えた。しか ッシングにあっているかもしれないが!? Aの結晶のX線写真を撮りながら、その写真 らせん構造解明に決定的役割を果したDN おとしめられた人である。 重らせん﹂でからかいの対象になっているロ を受賞したジェームズ ・ワトソンの著書﹁二 DNAのらせん構造を発見してノーベル賞 の業績を認めていたのだが。 た。ハーンは彼女の良き理解者であり、彼女 ーンの業績となるか、二人の共同研究とされ 女が研究で優れた業績を上げてもほとんどハ この条件はしばらくして解除されたが、彼 らないという条件で許可されたのだ。 工作室だけで、男性のいる他の場所に立ち入 への女性の立ち入りを許さず、やっと地下の フランス政府は、ソルボンヌ大学の教授を辞 人 ポ(ーランド人 で)あったことによる人種的 偏見も加わって、大衆的非難にさらされた。 キャンダルとしてかき立てられ、彼女が外国 ュヴァンとつきあったことで、マスコミにス 人であった妻を持つ物理学者ポール・ランジ を拒否された。夫のピエールの死後、その友 関わらず、フランス科学アカデミーへの入会 学的業績をあげ、ノーベル賞を受賞したにも ル賞受賞者マリー・キュリーは、輝かしい科 ーンと共同研究をすることになる。しかし、 究していたドイツの若い科学者オットー・ハ 彼女はそこで、ラザフォードと放射能を研 ーを歓迎していなかった。 が、プランクは最初女子学生であるマイトナ 学賞受賞者のマックス ・プランクに師事した のベルリン大学に移り、有名なノーベル物理 一九〇七年当時、世界の科学の中心ドイツ 九〇一年であった。 大学に入学できたのは、それから九年後の一 内の大学を女性に開放したばかりのウィーン 強したのである。しかし、オーストリアが国 に、 ﹁みんな肩肘張っているっていう風じゃな 桂子、友子母娘が巻末で語り合っているよう しかし、訳者で、生命科学者でもある中村 めに情熱を捧げたのである。 究の魅力にとりつかれ未知の世界の探求のた 小なりこのような状況にありながら、科学研 ここに登場する女性科学者たちは、大なり ンにより若くして世を去った。 彼女は、それにもめげず研究を続けたが、ガ として世間に宣伝されてしまったのである。 そればかりでなく、分からず屋の女性科学者 ソン・クリックにその発見をとられたのだ。 が彼女の許可なくワトソンの手に渡り、ワト ザリンド・フランクリンもその業績を不当に 女性で最初の、しかも二度にわたるノーベ めてポーランドへ帰るよう働きかけてきた。 彼が所属した研究所の所長は、自分の研究所 現在の日本でも、 ﹁女性ノーベル賞受賞者 ” の”不倫 ﹂ということでワイドショーのバ “ −8− 麻布の生徒諸君に是非読んでほしい書である。 界で、女性に対する偏見がないとはいえない 少しおかしいかもしれないが、男ばかりの世 男である私がこのような本を紹介するのも るが︰︰︰。 ともあって、すこしひいきのしすぎの面もあ るかもしれない。著者が女性であるというこ うした魅力ある人物像にほっとする側面もあ この本に描かれている女性科学者たちのこ けるところがない︰︰﹂ 然としていて、それを差別と受け止めていじ 力的だし。周囲の偏見やいじめがあっても平 いところも印象的よ。どの人もお洒落で、魅 飛び散らない安全ガラスの発明などなど、数 発見、テフロン樹脂の発明、割れても破片が 見、ベンゼンの構造式の決定、ペニシリンの 発見は、たとえば万有引力の発見、X線の発 セレンディピティーによってなされた発明 ・ 的に生産するきっかけとなった。このような、 成に成功した。これはインジゴを安価に工業 その生成物からインジゴという青色染料の合 媒の役割を果たして予想外の反応が起こり、 ところが、このときこぼれた水銀がうまく触 反応容器の中で水銀温度計を割ってしまった。 る化学反応の実験を行っているとき、誤って 例えば、十九世紀の終わりにザッハーがあ ピティーという。 想外の発見をする才能﹂のことをセレンディ 普通そんなヘマはしないものであるが、その 倍入れてしまった、というのが真相らしい。 が mmol ︵ミリモル、つまり千分の一モル︶と なっていたのを、ミリを見落としたために千 しれないが、実は加えるべき触媒の量の単位 考えていたのか、と驚いた人が多かったかも つも間違えるはずがない、その留学生は何を 思った。 ﹁一〇〇〇倍﹂というと、普通桁を三 〇倍加えたのだという。私は ﹁やっぱり﹂と 反応を促進させる触媒の量を間違えて一〇〇 留学生が全く別の目的の実験を行うときに、 ら隅まで目を通した。すると、研究室にいた 点に最大の興味を持って、新聞の記事の隅か にどんないきさつで発見されたのか﹂という このニュースを聞いたときに、私は﹁最初 たり﹂となったものである。 は光沢をもった膜ができた。それを見て、 ﹁こ を少し変えて反応を行ってみたところ、今度 かったのが白川氏の偉いところである。条件 結果、それまでの同じような実験でできてい ところで、昨年、筑波大学の白川名誉教授 の物質は金属に似た性質、例えば電気を通す えあげればきりがない。最近の大ヒット商品 が日本人として二人目のノーベル化学賞を受 かもしれない﹂と考え、そこから新たな実験 た粉末状のものとは似ても似つかぬ、黒い膜 ” セレンディピティー “ この二百年ほど、世界中で我々の生活を便 賞した、というニュースが話題になった。そ を進めていったそうである。この膜そのもの 状の物質ができたそうである。 利にするさまざまな発明・発見がなされてき の功績は﹁電気を通すプラスチックの研究﹂ にバイアグラという薬があるが、あれだって たが、そのうちのかなりの数は、思いがけな だという。軽くて自由に成型できるプラスチ まったく別の目的で試作されたはずが、効果 いことが偶然起こったことがいきさつになっ は電気を通さなかったが、反応させる物質を ている。特に、ある研究の過程で行った実験 ックの導電体が作れたことによって、小型電 変え、さらに得られた物質に少量の添加物を ここで﹁失敗した﹂といって終わりにしな に失敗したことが、まったく別の新しい発見 池や表示装置など、いろいろな製品への応用 加える︵ドーピングという。なお、何をどれ が小さく、その副作用が転じて、結果﹁大当 のきっかけになる、というケースはしばしば が可能になったそうである。 理科・化学 内田 啓 あるのである。このような﹁偶然に幸運な予 −9− である︶ことによって、電気を通すプラスチ くらい加えれば良いか調べるのも大変な作業 思いがけない発明 ・発見のドラマ︱﹄︵安藤喬 R・M・ロバーツ著﹃セレンディピティー︱ 手してから、世界でもっとも権威ある雑誌と ンフィクションの物語である。彼が研究に着 立した日本の若き研究者、若山照彦博士のノ 感が強い。同じ方法で何度追試しても成功し ばあたるという方法で偶然に誕生したという 考えである。ドリーは、いってみれば数打て う人もいるかもしれない。しかしそれは素人 ーの二番煎じの研究なんて意味がない﹂と思 いわれている﹁ nature ﹂にその功績が発表さ れるまでのサクセスストーリーである。 ﹁ドリ 志訳、化学同人︶ REAL CLONEリアル・クローン﹄ 理科・生物 平川恵美 若山三千彦著 小学館 ﹃ ックを作るのに成功したのである。 それでは、われわれはどうすれば﹁セレン ディピティー﹂に巡り合えるのだろうか。も ちろん、偶然というか幸運の要素が大きいの は確かである。しかし、その偶然をものにす るためには、 ﹁現象をよく観察し、それを何と か理解しようとする好奇心﹂が必要であり、 ﹁その研究分野について十分勉強しておくこ のおかげで世界中のどの研究室でもクローン 作り出す方法が確立されている。つまり若山 なかったし、論文が発表された後もドリーは なかった話がこれから先どんどん現実化され を誕生させることができるようなったのだ。 にせものではないかという反論が多くだされ ていく、という大きな恐怖感 ︵ほんの少し希 サクセスストーリーとはいえ、その成功ま 1997年早春、クローン羊ドリーの誕生 とである。﹂ 望があったかもしれないが︶を、多くの人々 でにはさまざまな苦労があった。試行錯誤と というニュースが世界中に衝撃を与えた。こ さて、君たちの化学などの実験で、予期し が感じたためだろう。SF小説で描かれてい 失敗、外国人研究者との功績をめぐる対立、 と﹂が求められるだろう。そして、その前提 た結果が得られなかった、という経験はない るクローン技術は、結果的に悲劇を招いてい 世界が注目する研究ゆえに成功した事実をな があってセレンディピティーがもたらされる だろうか。おそらく一、二回は経験している、 るものが多い。ニュースを聞いたとき一般の かなか認めてもらえないという現実、そして、 ていた︵一年ほど後にやっとドリーが本当の という人が多いだろう。そのとき、失敗した 人々は、悲劇を招くような研究をなぜするの 特許をめぐる企業とのトラブル。その一つ一 のことは皆さんの記憶にもきっと残っている 反応の溶液を理由も考えずにすぐに廃液入れ だろう?という疑問を感じたに違いない。そ つに翻弄されながらも大好きな研究に打ち込 であろう。アルバート ・セントジョルジはこ に捨ててしまう人が少なくないが、これは非 の答えは新聞や雑誌の記事からは充分には伝 クローンであるという証明がなされた︶ 。それ 常にもったいないことで、実は﹁失敗した﹂ わってこなかった。この本はそのような疑問 と思う。なぜ、あれほど大きなニュースにな ときこそがチャンスなのである。なぜ失敗し んで栄誉を手にした純粋な一研究者の姿はす う述べている。 ﹁発見とは、誰もが見ているこ たかをじっくり考えることが、化学の力をつ に答えてくれる一冊といえるだろう。 がすがしい。 に対し、若山の研究では、確実にクローンを けることになり、さらにはセレンディピティ この﹃リアル ・クローン﹄という本は、ド この本の作者は若山照彦博士の兄、若山三 ったのか?それは、SFの世界でしかありえ ーを得るチャンスをつかむことにつながるか リー誕生の翌年、マウスのクローン技術を確 とを見て、誰も考えなかったことを考えるこ らである。 −10− 解説してくれている。現在、過剰な報道によ め、難しい専門的な説明を大変わかりやすく また、彼は高校で理科の教師をしていたた 考になる内容だと思う。 研究者を目指す人にとってきっと興味深く参 ソード、研究者の日常生活などは、これから た弟の研究者としての素質、少年時代のエピ 情をもって描いている。兄という視点からみ を時には客観的に、また時には兄としての愛 千彦である。そのため、偉大な発見をした弟 のような意味で言うと、 ﹁第三世界﹂の女性は る構造についても久しく指摘されている。そ ズム﹂という︶ 。また男性が女性を支配してい ︵このような思考的枠組みを ﹁オリエンタリ し込めて、それだけで理解しようとしてきた 会を、﹁野蛮﹂とか﹁専制﹂という枠組みに押 女性たちである。近代以降、西洋は非西洋社 本であった。この本の主題は、 ﹁第三世界﹂の 本である。しかしなかなか考えさせてくれた タイトルの面白さに、つい手に取ってみた 餓や内戦でしかアフリカを理解できない。そ がないことだ。従ってどうしても生徒は、飢 するのは、飢餓や内戦以外のテーマのビデオ しているが、アフリカなどを扱うときに閉口 数年前より中学で﹁世界﹂と言う科目を担当 さなどが取り上げられることが多い。小生は、 アでは、とりわけ人々の﹁悲惨﹂さや﹁野蛮﹂ 確かに、﹁第三世界﹂を伝える様々なメディ 得ないかを考察しないからだと言うのである。 地域全体の中で、その行為がなぜ続かざるを それだけを特に取り上げて述べていて、その 無自覚であるし、そのような ﹁野蛮な行為﹂ 対して、先にあげた西洋女性の語りでは、問 二重の意味で従属的である。この二重の従属 題を混迷させたり、解きにくくさせることは 性をこの本はテーマとしている。 界﹂の女性を扱った本にこそ、大きな問題が あっても、解決にいたらせることは決してな りクローン技術について誤った受け取り方を 潜んでいるという点にある。例えば、西洋の い。このようにわれわれがついつい﹁第三世 している人が大変多い。この本は、クローン 女性たちが、 ﹁インドの女性は、夫の死後に殉 界﹂に﹁野蛮﹂を発見してしまう、もしくは れらは確かに、アフリカの中での一現象では 死するという野蛮な習慣にさらされている。 ﹁野蛮﹂しか発見しようとしない構造が、フ 勿論、上記のような意識から﹁第三世界﹂ すなわち家父長制支配の犠牲者だ。 ﹂と告発し ェミニズムにおいては隠蔽されてしまう傾向 について誤解している人に公平な立場から正 たとする。確かに、そのことは正鵠を射てい があると筆者は批判しているのだ。そしてそ あるかもしれないが、全現象では決してない。 見があると思うが、このような本を読むこと るかもしれない。しかしそのことだけを述べ のようなついつい発見されてしまいがちな﹁第 の女性について扱った本は、たくさんある。 で、まず正しい理解を持ってもらえればと思 ても、何ら問題解決にはならないと著者は言 三世界﹂の女性の﹁野蛮﹂さを、彼女の﹁正 しい知識を与えてくれる一冊であると思う。 う。少しまじめくさくなってしまったが、本 う。というのも、その西洋の語り手の女性は、 このような﹁第三世界﹂の語られ方の問題に 自体は、ドラマチックでとても面白く、一気 女性であれば誰でも連帯できると無前提に思 しい﹂名前︵レッテル︶だと思い込むことを この本が一味違うのは、そのような﹁第三世 に読んでしまうくらいの魅力がある。ぜひぜ い込み、西洋が ﹁第三世界﹂に行った植民地 厳しく戒めている。 クローン技術の是非をめぐってさまざまな意 ひ多くの人の手にとってもらいたい。 支配とその影響が、そのような﹁野蛮な行為﹂ このような主題を、この本は様々な事例を 社会科 鳥越 泰彦 岡真理著 青土社 ﹃ 彼女の﹁正しい﹂名前とは何か﹄ を維持させているかもしれないということに −11− 次第に様々な事例の中で筆者の論理が展開さ で、初めは筆者の意図はわかりにくかったが、 会いを書いた文章から本書は始まっているの 自省している。そのパレスティナ女性との出 ﹁正しい﹂名前を与えようとしていたことを ティナ女性との出会いの中で、まさに彼女に 使って説明する。そして筆者自身が、パレス ながらも、彼女に﹁正しい﹂名前を求めない 題視している。相互理解を目指して対話をし ている。また無知の状態が長く続くことも問 うに振舞うことこそ最も危険な行為だと述べ いのに、わずかな名前で彼女を知ったかのよ 言っているわけではない。むしろ何も知らな 女と語ることをやめよということをこの本は る線と決定されたのである。その理由は、イ この時、本初子午線はグリニッジ天文台を通 ントンに二五カ国の代表を集めて行われた。 国子午線会議︵万国地図会議︶であり、ワシ あった。これを統一したのが一八八四年の万 各国が独自に本初子午線を決めていた歴史が ていた本初子午線を後にパリに変えるなど、 ランスも一七世紀にカナリア諸島に設けられ れている。ちなみにフランスはこれに不満で、 ーターの発明に最も貢献した事による、とさ 早くから子午線観測を行っており、クロノメ に加え、科学的な面からみても、イギリスが ギリスが世界の海を制覇していたという事情 という長くて困難な道にしか、解決はない。 社会科 佐藤 俊彦 ﹁発明・発見﹂と地理 れ、 ﹁正しい﹂名前の問題点が明らかにされて いく。 今回のテーマにしたがって言えば︵やや強 引に引き付けて言えば︶ 、 ﹁第三世界﹂を発見 することは大事である︵やはりどう考えても、 私たちは欧米に比べてこの地域を知らなさ過 すなわち日本で教師と暮らしている中でも、 いうと甚だ心許無い。さらに日常において、 るいは自分の語り方に自覚的であったか、と ように彼女たちを語ろうとしていたのか、あ いわけではない。しかしそのチャンスにどの ないが、彼女たちのことを語るチャンスはな ﹁第三世界﹂の女性と触れ合う機会は滅多に 振り返ってわが身のことを考える。私は、 見しないとすれば、反省しなくてはならない。 本初子午線︵経度0度︶はメルカトル世界 器の発明の話が欠かせないのである。 台なのですか、と聞かれた時には、この計時 ぜロンドンなのですか、なぜグリニッジ天文 したGMTと時差の話題が必ず登場する。な ッジ天文台を通る本初子午線やそれを基準に った。地理の授業では、ロンドンの旧グリニ ︵航海用クロノメータ ーの原型︶ の発明であ が真っ先に思い出した事は、航海用の計時器 ブックフェアの今年度のテーマを聞いて私 島の航海で精度の高い測定法を発明したもの らに一七一四年には、イギリスと西インド諸 度の高い時計が不可欠であった。このためさ たが、経度については持ち運びのできる精密 も緯度は北極星の観測などで容易に測定でき 度測定のための天体観測をはじめた。そもそ 六七五年グリニッジに王立天文台を設け、経 の測定が必要であることを早くから訴え、一 イギリスは遠洋航海を行う上で精密な経度 である。 統を持つフランスのプライドを感じさせる話 今でも国内図についてはパリを本初子午線と 彼女に﹁正しい﹂名前を発見しようと躍起に 図や一六世紀から一七世紀までのイギリスの に二万ポンドの懸賞金まで設けた。これに挑 ぎる︶。しかしそれをどう発見するかは、非常 なってはいなかったか。最低 ﹁正しい﹂名前 世界図においては、アゾレス諸島に設けられ んだのがジョン ・ハリソンであり、以下その するなど、メートル法に知られる測地学の伝 は無前提的にあるものと思っていなかったか。 ていた。後にイギリスはロンドンに変え、フ に問題である。 ﹁野蛮﹂という枠組みでしか発 ﹁正しい﹂名前が、 もしないとしても、彼 −12− である。当然フランスのメートル法について ナミックな冒険心を感じることができる一冊 ードをはじめ、何よりこの時代の人々のダイ グという理由や、ノットという単位のエピソ 社刊︶を読むことを薦めたい。航海日誌をロ フォード著 ﹃地図を作った人々﹄︵河出書房新 発明については、ジョン・ノーブル・ウィル ながらもここに紹介させてもらおうと思う。 お世話になっていた。ついては多少こじつけ エクスカーションは定評があり、私自身よく ぶりに関わっているかがわかる。市川先生の する内容で、自然環境の違いがいかに暮らし な風土性あふれる地方の暮らしを再﹁発見﹂ 旅﹄ ︵古今書院刊︶である。日常に埋没しがち ないか。 んな世界に遊んで見るのも気持ちよいのでは 提供してくれる。商業主義とかけはなれたこ 生活に追われている者にとって新鮮な視点を 出す筆者のものの見方がユニークで、日々の ことの効用、路上観察に芸術やわびさびを見 赤瀬川源平 ¨裸眼立体視における力を抜く ﹃﹁ふと⋮﹂の芸術工学﹄ あると説く筆者は、昨今の﹁清潔、無菌の日 く、 ﹁人間+回虫+菌類﹂が本来の人間の姿で 藤田紘一郎 ¨人間は単独で人間なのではな 大についてまでも、伝記を読むような躍動感 赤瀬川源平、藤田紘一郎、 も詳しく、世界図の歴史から見た世界観の拡 をもちながら読むことができる。発明という 本﹂に警鐘を鳴らす。皮膚の下をうごめく回 花粉症の増加と回虫の減少は無関係ではない 気味な話に驚かされるが、アトピー、喘息、 虫の話、サナダムシを腸の中に飼う話など不 柳田理科雄他著 工作舎 数学科 西原 明 技術革新が次々と新たな知的発見を生むとい うその関係性は、IT時代の現代も羅針盤の 昔も変わらないようだ。 あわせて地理的な﹁発見﹂という事につい の情勢まで報告されている。 ランが来た﹄ ︵朝日文庫︶は、現在の第三世界 た観点に気付かせてくれる本多勝一著﹃マゼ ﹁探検者﹂の視点に注目が集まった。そうし 国際先住民年の時には、先住民の側から見た 大陸﹂発見から五〇〇年を経た一九九三年、 刊︶を紹介しておく。また、コロンブスの﹁新 著﹃ヨーロッパ人の描いた世界﹄︵ 岩 波 書 店 る﹁発見﹂についての絵画を集めた多木浩二 文化史﹄ ︵八坂書房刊︶と、ヨーロッパ人によ ンの専門家ではない人達による、発想法、ひ 養うための科目﹂のなかで行われた、デザイ のさまざまな局面で柔軟に対応する思考力を や彫刻などはまったく登場しない。 ﹁デザイン なおしたものである。﹁芸術﹂とあるが、絵画 学院で行われた独立した講義を出版用に書き 8つの章はそれぞれ神戸芸術工科大学の大 る。 ちによると﹁ふと⋮﹂の結果が紹介されてい 身の回りや世界を観察、分析している著者た る。この本には、ちょっと変わった発想から の紹介。それは﹁サイエンスアート﹂とも﹁美 界中を周って集めた不思議に動く幾何学立体 心とした講義録。筆者のオリジナル作品や世 C.シュワーヴェ ¨言葉ではなく写真を中 し﹁ジャバ﹂とは?そして最強の怪獣は誰? だわりの結果﹁ふと﹂見出した強さのものさ べきか、エネルギーか力か馬力か?筆者のこ を試みる。しかし、強さは何によって比べる ルトラマンから怪獣まで、彼らの強さの比較 された各種データを用いて、鉄腕アトム、ウ ヒーローや怪獣についてのまじめな話。公表 柳田理科雄 ¨ウルトラマンなどに登場する との氏の説はなるほどと思わせる。 ﹁発見﹂というタイトルについて自宅の書 らめき、視点の変換、道くさ、遊び心、⋮な と科学の手品﹂とも﹁幾何学おもちゃ﹂とも ふと何かを思いつき、発見をすることがあ 棚を眺めていたところ、次のようなものもあ どを主題にした話がいろいろ紹介されている。 ては、歴史地図が豊富な海野一隆著﹃地図の ったので紹介する。市川健夫著﹃風土発見の −13− ーウィンのミミズの研究﹂などいろいろな話 る場所﹂。 ﹁ロボットコンテストの起源﹂ 、 ﹁ダ 他にも﹁マンガのふと﹂ 、 ﹁ホームレスの眠 ンスピレーションを誘発する力があると説く。 呼べる。筆者は、これらがそれを扱う人にイ クロの隙間に埋め込む﹂というような閃きは ﹁モーターの部品をバラバラにして歯車のミ 努力と工夫をドラマチックに描き出している。 また、それに関わった幾人もの個人の情熱と い立ちから始めて、順々に解き明かしている。 可能になったのか。その謎を諏訪精工舎の生 ジャコメッティをご存知ですか? さて、この本の前半は、1970年代から い出す。 レードの指標になっていたことを懐かしく思 ルビーが使われ、その宝石の個数が精度とグ 方式のものであった。歯車の軸受けに小さな 元力を歯車で回転運動に変換し、針を動かす か自動巻きかの別はあっても、ゼンマイの復 ﹁電卓戦争の軌跡︱シャープとカシオ﹂ ﹁セイコー・クオーツの世界﹂ ﹃匠の時代﹄︵講談社文庫︶第2巻 ﹁匠の時代﹂は講談社文庫では2 1巻まで出 ているが、第7巻までが製品開発、それ以降 ある。 らサイズの電卓で挽回する様は感動的ですら 難辛苦の末、ついにカシオミニという手のひ 廃業の危機まで追い詰められたカシオが、艱 と思うが、中でも、シャープによって一時は 低価格化の競争の激しさは容易に想像できる 5㎏、値段は当時のお金で、 5 0 電卓の重さは2 万円を超えていたという。その後の軽量化、 電卓第一号は完成した。しかし、そのときの かなかった1960年代の半ば、シャープの な大型コンピュータ以外は機械式の計算機し 語である。ビルの大きな一室を占領するよう 後半は、電子式卓上計算機=電卓の開発物 ハーモニーであることがよくわかる。 すのは、個人の努力とそれを生かす組織との その後このことを調べることもなく時が過 ンドグラスに見ほれたのとえらい違いだ。 前年チューリッヒのフラウミュンスター︵聖 れにしても? 絵画を描くとこんなものかなと思ったが、そ の丸っこい立方体様の作品も作っていたので、 作品と共通する所が全くない。若い頃に太目 どんな作品なのかと思った。前に立つと彼の 刻で話題を呼んでいたことを懐しく想い出し、 の一人、スイスのアルベルト ・ジャコメッテ い頃好きだった現代イタリア彫刻家群の一方 ッティのステンドグラス⋮﹂とあるので、若 スイス︵ダイヤモンド社︶︱には﹁ジャコメ ンドグラスを見に行った。︱地球の歩き方 ・ も前!︶クールで聖マルティン教会に、ステ 一九九六年、スイス東南部の古都︵五千年 芸術科 柳井 浩 急速にゼンマイ式に取って代わったクオーツ は企業戦略にテーマを移しているようである。 もちろん大事であるにしても、発明を産み出 題が詰まっている。 ︵水晶発振式︶腕時計の開発物語である。ク ぎ、翌夏、念願のセガンティーニ美術館︵サ 私が学生の頃 ︵0 3年位前︶までは、腕時計 と言えばネジ巻き式のものであった。手巻き る時に画集の横のジャコメッティ のちらしを 母聖堂︶のシャガール の巨大なタテ長のステ ィ︵以下A・G︶が細身の芯だけのような彫 ・・・・ オーツ腕時計は世界に先駆けて、諏訪精工舎 第2巻だけでなくサブタイトルを参考に興味 ンモリッツ︶で三部作その他の作品を見、出 ・・ ・ で完成された。当時の先進国のスイスではな あるものを選んで読むことを奨めたい。 数学科 滝口 正晴 く、また、精工舎や第二精工舎でもなく、い わば孫会社である諏訪精工舎で、何故それが −14− ンクトガレンの美術館でセガンティニの画集 スイス人の宝物のように思える。現に私もザ が、スイスの各地の美術館には作品があり、 子だったのだ。G・Gは殆ど知られていない これで疑問が解けた。A・GはG・Gの息 語の説明に添えられた図版は全て油絵! G︶一八六八︱一九三三とある。拡げると独 くG︵ジョバンニ︶ ・ジャコメッティ︵以下G・ ェイの出る0 1分前まで描いた。そして例のち らしを取り出して見ると表にはA ・Gではな ったので荷造りを連れ合いに任せ、ロープウ 望台で六枚続きの写生に熱中し、なお未完だ 一枚取った。ベルニナのディアボレッツァ展 彼の初期の油絵は父親のG・Gと区別できな 館に行くとA・Gの大コレクションがあった。 だった。チューリッヒの宿に荷を置き、美術 ティーニの下塗りがコゲ茶系だった事が収穫 に加筆した遺作?が見られた事、あのセガン に魅せられたのとセガンティーニの未完の作 カタログを見る間もなく駅に戻ったがG・G を描いたのとは異る、色彩的な絵を楽しめた。 セガンティーニのアルプスの冷気と光、生活 時間しかなかったがビデオ、カメラで記録し、 G・Gを見に行くと二時までの昼休み!小一 さて再度夫婦でクールに下車して特別展 別の機会に⋮。 かれたりしてることだが何が起きるか? 又 館で求めました。 Dieter Schwarz 印刷も編集も素晴しい本です。ベルンの美術 本を一冊、一九九六 ・チューリッヒ 界の印象派も探しませんか?⋮二〇〇一年。 が紹介されていたので、スイスに限らず、世 でフランス印象派と併せ、アメリカの印象派 ︵絵画に限らないけど︶ 。最近、伊勢丹美術館 ともあれ、スイスの絵画を発見しませんか? ”発見 する 本を “ イス人と親密になれることを発見した。 入れない⋮﹂と書かれたりすることもあるス い思いを話すと、本では﹁金は入れるが人は 経験でもこの二人の話、各地を見に歩いて熱 ら﹁心配無用⋮﹂なんて言ってる。その他の と電話にとびついて話をし、ニコニコしなが でこの画家達の話をし、好きなもんでという が六枚以上撮るには許可がいるという。そこ で撮影をしていたら、坐ってる五十代の女性 ミュージアムでは写真を撮っていいというの 階に二室二十点近く、更にウィーン、ミュン の最後の部屋に一点、近くの近代美術館の二 い。セガンティーニはミラノ のブレラ美術館 ルプスのパノラマ画をぜひ探し発見して下さ れるスイス印象派の画家達、そして場所柄ア 興︶ 、ホドラー等といるが、スイス各地で見ら 曲を作っているので双方比べてみるのも一 の島という絵にラフマニノフが同名の管弦楽 イス公使の小川和也さん談︶、ベックリン︵死 近くに美術館ができるそうだ。︱OBで在ス スイスの画家はクレー︵数年後にベルンの んの書籍を前にして、かえって戸惑ってしま ところが、僕たちの多くはそうしたたくさ 蓄えている。 書が次々と書架に並んで、古今東西の名著を 麻布の図書館も、 ︵うれしいことに︶新着図 があふれかえっている。 ているか知らないが、とにかく膨大な量の本 今現在、月にどれくらいの書籍が出版され すことに似ている、と思う。 良い本を探すことは、金か何かの鉱脈を探 国語科 松田 隆 また写生をしていると短い時間だと余り気 ヒェン等他の国にもあるようだ。日本には近 うものらしい。 いったいどれから読めばいい ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ を求め、G・G讃をしたら、その絵葉書を二 い。 にならないが、少し長かったり、何日も写生 代美術館に寄託されたのが一点ある。 −15− 独語3冊各七千円 Giovanni Giacometti 枚くれたり、ウィンタートゥールのクンスト していると違うことが起きる。これは本で書 ” げて、立ちながら調べている人もある。 の本を書棚から取り卸して、胸一杯に広 職員閲覧室へ行く人である。中には必要 出口へ来て左へ折れて行くものがある。 書庫の中から、厚い本を二三冊抱えて、 ある様に思われる。立って見ていると、 と奥には、書物がいくらでも備え付けて 口しか見えない。こっちの正面から覗く 生徒は少なくないようで、 ﹁何か面白い本はな っては、別に判然とした考えがない﹂という ﹁読んでみたい﹂けれど、﹁何を読むかに至 た﹂りして、返してしまう。 ﹁借り損なった﹂り﹁難しすぎて読めなかっ を八九冊﹂借りて﹁たまには少し読んで﹂も、 ﹁仕舞に肩が痛く﹂なってしまうし、﹁毎日本 ら新しい本の名が出てくる﹂目録を見ていて とき﹁読んでみたい﹂と思ったのも、荘重な ” 図書館の雰囲気に触発された、単なる 憧 れ ” “ めく かもしれない。だから、 ﹁いくら捲っても後か も気付﹂いていない単純な青年なので、この 生生活の裏面に横たわる思想界の活動には毫 ジをめくること自体が、宝探しに似た、読書 まいがちだが、良書を求めて様々な本のペー 生きる僕たちは、様々な誘惑に惑わされてし 子という女性に ﹁囚われて﹂しまう。日常を 脈には出会えなかったようで、代わりに美禰 三四郎は結局、彼を虜にするような本の鉱 るのがいいのだろう。 書籍の山をさまよい歩き、あちこち掘ってみ 本当は、鉱脈を見つけるまで、自分の足で 読まなければ、鉱脈は見つからない。 マとか︱︱に当たるまでは、 ﹁借り損なっ﹂て 鉱脈︱︱好きな作家とか、関心の持てるテー ごう 三四郎は羨ましくなった。奥まで行って いですか﹂と聞かれることがたびたびある。 の楽しみの一つのような気がする。 のだろう⋮⋮ と。 二階へ上って、それから三階へ上がって、 あるいは﹁本屋に行っても、本がありすぎて、 広く、長く、天井が高く、左右に窓の たくさんある建物であった。書庫は入り みたい。けれども何を読むかに至っては、 ずに、紙の臭を嗅ぎながら、 ︱ ︱読んで 実は、僕自身もそういう戸惑いを感じたこ ようなことも聞く。 どれを読めばいいのか迷ってしまう﹂という のぞ 別に判然とした考えがない。読んでみな ともあれば、いろんな人に﹁何か面白い本は おろ ければ分からないが、何かあの奥にたく ないですか﹂と尋ねることの多い人なので、 に収められていたかは分からないが、﹁西洋の に入学した頃、どのくらいの書籍がその書庫 三四郎が熊本の高等学校を卒業し東京帝大 ﹁面白くない本は読みたくない﹂のは当た ているようにも思える。 い本だけに巡り会いたい﹂という打算も働い 欲望は正直なものだろうが、その背後には﹁良 少なくない。かといって、それを嫌がって、 全く興味の持てない本を読んでしまうことは 本郷より高い所で、生きたものを近付け さんありそうに思う。 この手の質問をする生徒の気持ちは良くわか におい ︵夏目漱石﹁三四郎﹂ ︶ 歴史に表れた三百年の活動を四十年で繰り返 り前だから、そういう気持ちになることは否 る。おそらく、良い本に巡り会いたいという し﹂ている﹁明治の思想﹂の活動 の一面を見 定できないが、自分にとって ﹁面白い本﹂の ・ ・・ て、三四郎はこう考える。ただ、この男は﹁学 −16− “ 井戸の中で思い切り元気に育っていることが 力になっていることは間違いない。 いろいろなところで、ふいに、﹁藤田さん は麻布のご出身ですか。﹂と言われることが ある。相手が麻布学園出身の方であることも あるが、たいていは、そうでない方で、その ﹁麻布の生意気な学生はまだ健在ですか。﹂ ェアーでの講演にお誘いいただいた機会に、 いた。今回、麻布学園図書館部主催ブックフ まぶしいばかりの自信と野望と純粋を持って している少年時代のまっさかりだから、皆、 た。自分の周りを世界が回っていると勘違い 麻布の日々、﹁すごい奴ら﹂がたくさんい るとは信じがたい思いだ。 六年間の四倍以上の月日が卒業以来過ぎてい がそんなに昔のようには感じられない。あの として心に刻まれており、私には当時のこと た六年間の日々は、鮮烈で確固とした思い出 井の頭線、都営バスと乗り継いで麻布に通っ 四半世紀の歴史が私に流れたが、小田急線、 ある。一九七五年に麻布高校を卒業してから 君から見れば、私は君たちの親と同じ世代で になっている。この文章を読んでいる学生諸 気がついてみると、私の長男が中学一年生 園の卒業生達は、だからといって、社会で不 飛び出ていく。生意気で世間知らずの麻布学 かし、井戸の中で育った蛙は、いずれ大海に ﹁井の中の蛙、大海を知らず﹂という。し すことはむずかしい。 るのに適していたのかを、ここで分析して示 どこがどのように大きな夢を持つ若者を育て メカニズムに依っているようで、麻布学園の に育てるのが得意である。これは、不思議な うな教育はしておらず、少年を志の高い若者 は、その点、身の丈を自分で測ってしまうよ け背が伸びるのである。麻布学園という学校 測ってはいけない。背伸びをすれば、それだ たがって変わりうるのだから、先に身の丈を を追う。人間の大きさは、持っている夢にし れを知らず、あきらめず、元気に、大きな夢 重である。この勘違いをしている少年はおそ 分の周りを世界が回っているという錯覚は貴 測り、夢を限ってしまうことに較べれば、自 の脳内機構の研究に大きな貢献をし続けてい す寓話を一つ、君達に紹介しよう。視覚認識 さ﹂を持つことが成功の秘訣であることを示 ﹁自信と明るさ﹂に﹁あきらめない粘り強 い。 さ﹂のない人間が社会で活躍できるはずもな てそんなことはないはずであるし、 ﹁粘り強 ージも持っている人が多いようである。決し とをこつこつやる人ではない。 ﹂というイメ の裏返しとして、 ﹁粘り強く、どんくさいこ こともある。その一方で、これらのイメージ 持っている﹂という好ましいイメージである ージであることもあるし、 ﹁自信と明るさを ている場合も当たっていない場合も多いイメ かぬけている﹂という上っ面で、かつ当たっ である。それは、 ﹁都会的である﹂とか﹁ あ いは、共通のイメージを期待している︶よう の出身者には、共通のイメージがある ︵ある くことにしている。いずれにせよ、麻布学園 とも、それらしいと思ったのですか。﹂と聞 特別寄稿 生意気であきらめない蛙たち 5 年卒 ブックフェアー講演者 藤田一郎・7 ︵大阪大学大学院基礎工学研究科教授︶ と尋ねたところ、 ﹁まだいっぱいいます。﹂と 適応を起こすことはなく、それどころか、社 る 時は、﹁僕が麻布出身だと意外ですか、それ の返事をいただき、心からうれしく思う。 会のさまざまな側面で大きく活躍している。 博士︵ハンガリー出身、米国 Bela Julesz 少年時代から自分の人間としての身の丈を −17− ’ ・演題………認知の脳科学―21世紀を迎えて― ・講師………藤田一郎氏(大阪大学大学院基礎工学研究科および医学部教授) 藤田氏は、昭和50年卒の本学園 OB で、現在、大阪大学大学院基 礎工学研究科の認知脳科学研究室で大脳皮質視覚連合野とその関連 領域の機能と構造(脳の視覚認識のしくみ)に関する最先端の研究 している方です。氏は、8年前に英科学誌「ネーチャー」の表紙を 飾る大発見をしました。また、最近も定説を覆す国際的な大発見も 発表しています。 ・会場………麻布学園・小視聴覚教室 *当日は、現在注目を集める研究分野である脳科学に関する最先端のお話をお聞き することができると思います。生徒諸君だけでなく、ご家族の方々もぜひご来聴 ください。 *藤田先生の認知脳科学研究室のホームページには、高校生・受験生のためのコー ナーもありますので、ぜひ覗いてみてください。 ・ URL:http://www2.bpe.es.osaka-u.ac.jp/Fujita-labo/web/index-e.htm −18− 在住︶が少年時代に彼のお父さんから聞いた ・日時………2001年1月27日(土) 、午後1時∼3時 話だそうだ。 ﹁ミルクを入れた壷に蛙が転落してし まった。その蛙は、どんなにがんばって も壷の壁をよじのぼることができなかっ たので、絶望して、泳ぐのをやめてしま い、そのままおぼれて死んでしまった。 次の日、別の蛙が同じ壷に落ちた。この 蛙も同様にどうしても壷の壁をよじ登る ことはできなかったが、彼は自分が助か ると信じて、ミルクの中をバシャバシャ と泳ぎつづけた。延々と泳ぎ続けている うちに、かきまわされたミルクはバター となり、この蛙は助かったとさ。﹂ 図書館ブックフェアー「発明・発見」講演会 「発明・発見」の本 「発明・発見」というテーマに関する本をリストアップしてみようと思うが、考えてみると、それ は無謀なことなのかもしれない。本として著されるものには大 なり小なりの「発明・発見」が含まれ ていると考えることができるからである。新しい著作は、それなりの新しい「発明・発見」があるか らこそ書かれる意味があるはずである。まあ、実際には、焼き直しということも多いし、他人の「発 明・発見」の解説ということも多いから、新しい著作=新しい 「発明・発見」ということにもならな いわけだが、焼き直しにしろ解説にしろ、ともかくそれが「発明・発見」について書かれているとは 言えよう。 このことは、自然科学に限ったことではない。社会科学や人文科学 (こういった分類はもはや古く なったとも言われているが)においても同様であろう。たとえば、文学について考えても、文学が社 会や人間についての新しい見方、とらえ方を提示しているならば、そこにも「発明・発見」があるわ けである。そして、文学を論ずる言葉はその「発明・発見」について語るものであろうし、それ自身 が社会や人間についての「発見・発明」ともなろう。もちろん、芸術やスポーツの領域においてもさ まざまな「発明・発見」が積み重ねられ、それについて語られてきているわけである。 こう考えてみれば、 「発明・発見」とは、人間の営為を特徴をづける言葉の一つだとも言えよう。 そして、すべての本が「発明・発見」の本だということにもなる。 これもまた、無謀な結論とも言えるので、最も単純に、「発明」もしくは「発見 」という言葉を題 名にもつ本を図書館の中から選び出してみることにした。「ハツメイ」と入力して単語一致で検索す ると27件がヒットし、「ハッケン」では147件となった。だが、計174件のすべてが「発明・ ・・ 発見」の本というわけではない。その中には、同じ本が複数冊あったり、なんと「南総里見八犬伝」 などというびっくりするような「ハッケン」も含まれていたりするからである。下に示したのは、1 74件の中から「発明・発見」の本とは言えないものを除いたリストである。ちなみに、国立国会図 書館のホームページ(www.ndl.go.jp)の Web-OPAC の検索で、「発明」と入力すると543件、「発見」 と入力すると2839件のヒットがあった。 余談だが、図書館のカウンターの検索機(OPAC)はマウスのクリックによる「読みがな」での 検索であるために、とんでもない「ハッケン」違いということも起きるのであって、これは図書館の 検索機の宿命と諦めてもらうしかない。キーボードを出せば、漢字を含めた検索もできるようにもな るが、現状においてすら検索機が頻繁にいたずらされているので、とても実現不可能である。改めて、 検索機へのいたずらやめてもらいたいと訴えるとともに、不便な点もあるが、現状での上手な検索を 願いたい。というのも、検索を簡単に諦めてしまう場合を見受けるからである。 「前方一致」と 「単 語一致」とを使い分けたり、別のキーワードを考えて検索してみたりして、ありがたい検索機 (OP AC)を大いに活用させてほしい。 さて、下記のリストからも、 「発明・発見」の本は決して自然科学の専売でないことがわかるだろ う。では、そもそも「発明」、「発見」とはどのようなことなのであろうか。「発明 ・発見」とひとま とめにされるわけだが、一体 「発明」と「発見」はどう違うのだろうか。「発明」を「今までなかっ た物事を新しく作り出すこと」、 「発見」を「今まで知られていなかった物事を見つけ出すこと」と簡 −19− 単に定義しただけでは、どうもうまくいかない。たとえば、理論や原理は「発明」なのか、「発見」 なのか。なかなか難しい。誰かうまく定義づけられたら、ぜひ 「図書館月報」に投稿してほしい。 (図書館・鳥居) 「発明・発見」図書リスト(請求記号順) ★以下のリストの中からピックアップした本を、2階の特設コーナー (カウンター前の書架)に配 架してあります。 ・発明−魅力あふれる発明の物語/リリーフシステムズ/同朋舎出版/ 030-V-27 ・わが映画発見の旅/土本典昭/ちくまぶっくす/080-Ch-Ts-16 ・思索の旅・発見の旅/中野孝次/岩波同時代ライブラリー/ 080-Do-230 ・政治の発見/高畠通敏/岩波同時代ライブラリー/ 080-Do-308 ・世界教養全集 4 生活の発見/阿部次郎/平凡社/080-Se-4 ・原子の発見/田中実/ちくま少年図書館/081-Ch-43 ・発明戦争 エジソン vs ベル/木村哲人/ちくまプリマーブックス/ 081-Ch-80 ・歴史を動かした発明/平田寛/岩波ジュニア新書/081-I-J-064 ・ユーモアの発見/長新太/岩波ジュニア新書/081-I-J-081 ・電気を発見した7人/渡辺勇/岩波ジュニア新書/ 081-I-J-184 ・おどろきの発見/松田道弘/岩波ジュニア新書/081-I-J-330 ・色彩の発見/小町谷朝生/NHKブックス/081-N-Ko ・梅原猛著作集 3 美と宗教の発見/梅原猛/集英社/121.8-U-03 ・梅原猛著作集 18 精神の発見/梅原猛/集英社/121.8-U-18 ・無意識の発見 上・下/木村敏/弘文堂/146-E-1,2 ・歴史と民族の発見(正・続)/石母田正/東京大学出版会/ 201-I ・東洋の発見/岩村忍/講談社学術文庫/204-I ・「野蛮」の発見/岡倉登志/講談社現代新書/204-O ・(岩波講座)世界の歴史 12 遭遇と発見/樺山紘一/岩波書店/209-I-12 ・古代文明の謎と発見/毎日新聞社/209-Se-12 ・人間と文明の発見シリーズ/みすず書房/209.2-N-01∼08 ・「岩宿」の発見/相沢忠洋/講談社/210.02-A ・石母田正著作集 14 歴史と民族の発見/石母田正/岩波書店/210.08-I-14 *NHK 歴史発見 1-15/NHK 歴史発見取材班/角川書店/210.08-Re-01∼15 ・超古代王朝の発見/鈴木貞一/秋田書店/210.3-Su ・南蛮人の日本発見/松田毅一/中央公論社/210.48-Ma ・中東イスラム世界 2 日本人の中東発見/杉田英明/東京大学出版会/226.8-Ch-02 ・コンゴ河−その発見、探検、開発の物語/Peter Forbath/草思社/ 249-Ta ・大発見−未知に挑んだ人間の歴史/Daniel Joseph Boorstin/集英社/280-B ・エジソン発明会社の没落/橋本毅彦/岩波新書/289.3-M −20− ・スウェン・ヘディン探検記 3 楼蘭の発見とチベット行/白水社/290.9-H-3 ・歴史の発見/木村尚三郎/中央公論社/304-Ki ・わが家の発見/朝日新聞社/367.3-Ya ・<子供>の発見/小川真一/みすず書房/371-M ・知能の再発見/品川不二郎/日本経済新聞社/371.4-Sh ・旅の民俗と歴史 3 旅の発見/宮本常一/八坂書房/382-Ta-3 *シリーズ食文化の発見「世界編」 ・キャッサバ文化と粉粥餅文化/宮本常一/柴田書店/383.8-Mi-2 ・粉食文化と肉食文化/宮本常一/柴田書店/383.8-Mi-3 ・粒食文化と芋飯文化/宮本常一/柴田書店/383.8-N ・(岩波講座)文化人類学 第1巻 新たな人間の発見/青木保/岩波書店/389-Bu-01 ・現代人類学の射程 文化の「発見」/吉田憲司/岩波書店/ 389-Ge-Yo ・実録!天才発明家/鶴岡雄二/アスキー/402-B ・なぜ地球が動くと考えたのか−大発見3/鈴木主税/集英社文庫/402-B ・発明ものがたり/宮原誠一/法政大学出版局/402-L ・セレンディピティー 思いがけない発見・発明のドラマ/Royston M.Roberts/化学同人/402-R ・図説大発明の歴史/白井尚之/小学館/402-S ・核分裂を発見した人/平野卿子/晶文社/402.8-K ・アイザック・アシモフの科学と発見の年表/アイザック・アシモフ/丸善/ 403-A ・科学的発見とはなにか/ユ・ヴェ・ホダコフ/東京図書/404-H ・知覚と発見 上・下/野家啓一/紀伊国屋書店/404-H-1,2 ・水のふしぎ発見/平澤猛男/山海堂/404-Hi ・科学の運−発見と逸機の科学史/田中靖夫/工作舎/404-K ・空気の発見/三宅泰雄/角川書店/407-Mi ・発明入門(ブルーバックス)/川口寅之輔/講談社/408-B-020 ・「力」の発見(ブルーバックス)/都筑卓司/講談社/408-B-215 ・人体・ふしぎ発見(ブルーバックス)/高田明和/講談社/408-B-844 ・花・ふしぎ発見(ブルーバックス)/鈴木正彦/講談社/408-B-1026 *発明発見物語全集/国土社 ・コロンブスから人工衛星まで/板倉聖宣/408-H-02 ・デモクリトスから素粒子まで/板倉聖宣/408-H-03 ・らしん盤からテレビジョンまで/板倉聖宣/408-H-04 ・時計からオートメーションまで/板倉聖宣/408-H-05 ・くるまから宇宙旅行まで/岩城正夫/408-H-06 ・酸素ガスからナイロンまで/大沼正則/408-H-07 ・鉄からプラスチックまで/大沼正則/408-H-08 ・生物の発明発見物語/408-H-09 −21− ・おまじないから病気のない世界へ/道家達将/408-H-10 ・創造的発見と偶然/新関暢一/東京化学同人/408-Ka-17 ・素粒子の発見/楊振寧/みすず書房/408-M-3 ・発明物語(ソビエトの少年科学)/ア・イヴィチ/誠文堂新光社/408-So-1 ・ワイドVビジュアル 機械と発明/本間三郎/ノトス/408-W ・ヒトの発見/尾本恵市/読売新聞社/408-Yo-14 ・帰納と類比−数学における発見はいかになされるか/G.Polya/丸善/410.1-Sh ・数学 100 の発見/数学セミナー編集部/日本評論社/410.2-Su ・数学における発明の心理/Jaques Hadamard/みすず書房/410.4-A ・学問の発見/広中平祐/佼成出版社/410.4-Hi ・発見的推論/G.Polya/丸善/410.4-P-2 ・零の発見/吉田洋一/岩波新書/410.4-Yo ・数学的発見の論理/佐々木力/415.7-L ・元素発見の歴史 1-3/Mary Elvira Weeks/朝倉書店/430.2-W-1∼3 ・化学元素発見のみち/阪上正信/内田老鶴圃/431-T ・宇宙の発見/ジェームズ・コーネル/丸善/440-C ・ビッグバンの発見/佐藤文隆/NHK出版/440.4-Sa ・わが銀河の発見/日下実男/立風書房/440.4-W ・宇宙の発見/斉田博/地人書館/441-A ・地球−発見と観察/竹内均/法政大学出版局/450.7-H ・地球発見ブックス(6 冊所蔵)/米国地理学協会/岩波書店/450.8-Ch ・恐竜の発見/小畠郁生/早川書房/457-C ・世界動物発見史/小原秀雄/平凡社/482-W ・発明のはなし/豊沢豊雄/技報堂出版/504-To ・発明、発見、創造/藤岡由夫/河出書房新社/507-Mo ・ 2000 年間で最大の発明は何か/John Brockman/草思社/507.1-B ・あっ、発明しちゃった!/西尾操子/アスキー/507.1-F ・発明の20世紀/北山桂/アスペクト/507.1-Ki ・タイタニック発見/中野恵津子/文芸春秋/556-B ・世紀の発見新安沖海底の秘宝/三杉隆敏/六興出版/751.3-Mi ・逆転の発見/井上博/ネコ・パブリッシング/795.8-I ・三人称の発見まで/野口武彦/筑摩書房/910.25-No ・自己発見としての人生/山崎正和/TBSブリタニカ/910.4-Ya ・自己発見/湯川秀樹/毎日新聞社/914.6-Ge-Yu ・ことばの発見/渡部昇一/中央公論社/914.6-Wa ・少年小説大系 別巻1 ハツメイハッチャン/三一書房/918.6-Sh-別 1 ・紙の上の月−発見と冒険の中国文学/北島/JICC出版局/923-Ki −22− ・孤独の発明/柴田元幸/新潮社/933-O ・発見、また発見!/福島正実/ハヤカワ文庫/934-A-6 ・だれがコロンブスを発見したか/永井淳/文芸春秋/937-B-1 ・<おとな>の発見/小川真一/みすず書房/944-M ︿図書館より﹀ ◆ す で に0 1月 の﹁ 図 書 館 月 報 ﹂ で お 知 ら せ し た よ う に 、 今年度のブックフェアーのテーマは ﹁発明 ・ 発 見 ﹂ で す 。 人 類 の 歴 史 は﹁ 発 明 ・ 発 見 ﹂ の 歴 史 だ と 言 っ て も よ い で し ょ う 。 小 さ い 頃 か ら 、 さ ま ざ ま な ﹁発明・ 発 見 ﹂ の 物 語に魅せられてきた生徒諸君も多いのではないでしょう か。そして、 ﹁いつか、俺だって⋮﹂と心ひそかに思って いるのではありませんか。将来、生徒諸君がどのような ﹁発明・発見﹂するのかと期待しています。その﹁発 明・ 発見﹂が人々の生活に幸福をもたらすものであるように。 ◆昨年にも増して多くの教員の方々から執筆の協力を得 ることができました。しかも、バラエティーに富んだ内 容にもなりました。改めて、感謝いたします。どうもあ りがとうございました。 ◆ブックフェアーの講演をしていただく藤田一郎氏から は、生徒諸君へのメッセージをいただくこともできまし た。お忙しいなか、本当にありがとうございました。先 輩からの温かく、励まされるメッセージではありません か。講演会を楽しみに待ちたいと思います。 ◆ 生 徒 諸 君 の 投 稿 歓 迎 !﹁ 図 書 館 だ よ り﹂ は 生 徒 か ら の 投稿も待っています。来年度のブックフェアーのテーマ は未定ですが、ブックフェアーに限らず図書および図書 館、さらには音楽や映画に関するものの投稿も歓迎しま す。﹃ 論 集 ﹄ よ り も 気 楽 に ど う ぞ 。 ﹁図書館月報﹂への投 稿もよろしく。 −23−
© Copyright 2024 Paperzz