福祉にタッチ 福祉にタッチ - 社会福祉法人 新発田市社会福祉協議会

福祉教育ガイドブック
福祉にタッチ
〜 みんなで“つたえる・つながる・ひろがる” 〜
うめおばあちゃん
やすべえおじいちゃん
じょうたろうおとうさん
あやめおかあさん
うーさん
れんくん
さくらちゃん
社会福祉法人 新発田市社会福祉協議会
CONTENTS
目次
◯はじめに
1
◯「障がいのある人もない人も共に生きる社会をめざして」
2
◯福祉教育ガイドブック「福祉にタッチ」について
3
◯障がいを理解しよう
❶ 身体障がいの理解のために
・運動機能障がいの理解のために
・視覚障がいの理解のために
・聴覚障がいの理解のために
❷ 知的障がいの理解のために
❸ 精神障がいの理解のために
❹ 発達障がいの理解のために
❺ さまざまな障がいの理解のために
◯社会福祉協議会が取り組む福祉教育
4
8
12
16
20
24
27
30
障がい者の定義
障がい者とは、「障害者基本法」において、身体障がい、知的障がい、精神
障がい(発達障害を含む)その他心身の機能の障がいがあるものであって、障
がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を
受ける状態にあるものと定められています。
※注 「障害」の表記について
現在『障害』の他、『障がい』『障碍』『しょうがい』等、表記について様々な見解がありますが、
本冊子では法律名、団体名等を除き、原則「障がい」と表記します。
※このガイドブックに記載されている主な相談機関・支援団体等の詳細については社会福祉協議会にお問い合わせください。
TEL 0254 − 23 − 1000 FAX 0254 − 26 − 3300 E-mail [email protected]
はじめに
2006 年 12 月に国連で採択され、誕生した障害者権利条約において、障がいの
ある方の権利を保障し、※1アクセシビリティ―、身体の自由、家族、教育、労働等
さまざまな分野において保護・促進する規定が設けられています。
よく耳にする「福祉」とは、自分のことだけでなく、周りの人も大切に思い、一
人ひとりそれぞれの人の考え方、生き方を尊重し、「ともに生きる力」を培うこと
が重要と考えます。
年少者も高齢者も、障がいのある人もない人も、国籍や言葉の異なる人も、すべ
ての人々がこの社会で誇りをもって、人と人との支え合いの中で心豊かに生活を送
ることができるようになることが福祉教育の目指すものです。
しかし、「どうしたらいいのか…」「注意すべきところはどこなのか…」など、具
体的にコミュニケーションを図り、支え合う方法等がわからず、実際の行動に移せ
ていない場合も少なくないのではないでしょうか。
この冊子は、障がいのある人と出会ったときに自然と“はじめの一歩”を踏み出
すために必要な、知識や情報を紹介しています。より ※2インクルーシブな教育に
向けた、学校等の総合学習や生徒や学生向けの福祉体験の資料として、また、地域
住民が福祉を学ぶためのガイドブックなど幅広い年齢層の学びの指針として、活用
していただき、この冊子をきっかけに地域住民が福祉への関わりが増えることを期
待します。
新発田市社会福祉協議会では、地域の福祉課題に密着しながら、すべての地域住
民が一人ひとり社会資源として「思いやりを行動へ」と移せるように、この冊子を
活用した福祉教育の実践に努め、誰もが自然な気持ちで支え合う地域づくりを考え
ていきたいと思います。
※ 1 アクセシビリティー…年齢や身体障がいの有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、 利用できること。
※ 2 インクルーシブ教育…障がいの有無によらず、誰もが地域の学校で学べる教育。
社会福祉法人 新発田市社会福祉協議会
新発田市ボランティアセンター ―1―
障がいのある人もない人も共に生きる社会をめざして
この新発田市で暮らす、市民の皆さま一人ひとりが、それぞれ尊厳あるかけがえ
のない大切な存在です。そして、障がいのあるなしにかかわらず、どのような状況
にあっても、等しく人間らしい豊かな生活を営む権利を持った一人の人間として、
新発田という身近な地域社会を構成する価値ある大切な人であることに変わりはあ
りません。
障がいのある人もない人も、一市民として普通であたりまえのこと、たとえば地
域の幼稚園・保育所や学校に通う、就職して働く、地域の行事や趣味活動に参加す
る、恋をし愛する人と一緒に生活をする、出産し子育てをする、バスや電車に乗っ
て行きたいときに行きたいところへ出かける、自分を活かせる場面がある、投票所
や自宅で選挙をし政治に参加するなど、一生のライフサイクルにおけるさまざまな
ことを、自分の意思で選び決め、自分らしい生活、人生を営むことができるという
ことがとても大切です。
近年、国においては、「障害者の権利に関する条約」の批准と具現化に向けて、
障害者基本法の改正、障害者虐待防止法や障害者差別解消法などが制定されていま
す。そこでは「障がいのある人の地域での自立した普通の暮らし」や「障がいのあ
る人もない人もともに生きる社会」の実現に向けて、障がいのとらえ方や支援のあ
り方、※1合理的な配慮、※2社会的障壁の除去についてなど、一つひとつ具体的に
示されつつあります。
さまざまな障がいの状態について理解しあうこととあわせて、このような障がい
のある人を取りまく社会環境の進展についても、市民共通の理解に広げていくこと
は、障がいのあるなしにかかわらず、一人ひとりが大切にされる地域社会をつくる
ことにつながっていくと期待されています。
福祉教育ガイドブック「福祉にタッチ~みんなで“つたえる・つながる・ひろがる”
~」は、新発田市社会福祉協議会と、障がいのある本人・家族、支援をしている団
体等の方々が、忌憚なく意見を出し合いながら一体となって作成されました。まさ
に時機を得た取り組みであると思います。
新発田という身近な地域で暮らす一人ひとりが、お互いの思いや願い、考えを大
切に認めあい、それぞれの可能性を最大限に発揮し成長していくことができるよう
に、そして障がいのある人もない人もともに生きる社会の実現をめざして、このガ
イドブックがさまざまな場面で活用されることを願っています。
「福祉にタッチ~みんなで“つたえる・つながる・ひろがる”~」監修担当 新潟県立大学人間生活学部教授 島崎敬子
※1 合理的な配慮:障がいのあるひとが障がいのない人と同様に人権を行使し、または機会や待遇を享受する
ために必要な、現状の変更や調整を行うことの意味です。具体例としては、車いすを使用
する人に合わせて机の高さを調整する、知的障がいのある人に合わせて言葉で説明するだ
けでなく、わかりやすい文字・絵図を用いて説明することなどがあります。
※2 社 会 的 障 壁:障害者基本法第 2 条(定義)では、「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上
で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう」と定
められています。
―2―
【福祉教育ガイドブック「福祉にタッチ」について】
ポイント1
当事者の方々や支援する団体等の皆様と一緒に作成しました!
さまざまな障がいの理解や心のこもったコミュニ
ケーションのポイント及びサポートの方法などにつ
いて、当事者の方や支援する団体の皆さんと話し合
いの上まとめました。
ご協力いただいた団体(順不同)
新発田市身体障害者団体連合会・NPO 法人作業所あゆみ・
たんぽぽの会・NPO 法人自立生活センター新発田・新発田
市盲人福祉協会・新発田音声パソコンフィンゲル・日赤点訳
奉仕団新発田まどかグループ・音声訳むぎの会・新発田市ろ
うあ協会・新発田手話サークル・手話サークル木の芽の会・要約筆記サークル四季・NPO 法人はとの会・NPO
法人新発田市手をつなぐ育成会・NPO 法人しば草会・地域活動支援センターフリースペースみのり・下越自閉症
親の会・新潟いなほの会キューブ・スプラウトの会・新発田市社会福祉課・新発田市教育委員会学校教育課
ポイント2
サポートの仕方はあくまでも一例です。一人ひとりの話をよく聞きましょう。
障がいの種類はさまざまであり、ここで掲載している情報は、全ての方にあてはまるわけで
はありません。また、障がいの程度や対応の方法も人によってさまざまです。時には、いろい
ろな対応をしなければならない場合もあると思いますが、まずは話をよく聞いて行動すること
が大切です。
ポイント3
ふだんのくらしをしあわせに!
障がいのある人もない人も、さまざまな違いを認め合い、一人ひとりの考え方、生き方を尊
重することが大切です。地域にはいろいろな人が暮らしています。地域で暮らすみんなが幸せ
に暮らせるように取り組むことが「ふ・く・し」です。
この冊子に登場する新発田市社会福祉協議会イメージキャラクターほのぼの福祉一家をご紹介いたします。
うーさん
あやめ
さくらちゃん おかあさん
れんくん
※聴覚に障がいがあります
―3―
じょうたろう
おとうさん
うめ
やすべえ
おばあちゃん おじいちゃん
障がいを理解しよう
運動機能障がいの理解のために
病気やケガなどにより、上肢・下肢・体幹の機能の一部または全体
に障がいがあるために、立つ・座る・歩く・食事・着替え・物の持ち
運び・字を書くなどの日常生活上の動作が困難になります。
車イスやステッキなどを使用している方が多くいますが、外出は階
段をはじめ道路の傾斜、横断歩道の段差などバリアがたくさんあり、
しかも路上の放置自転車や自動車で道がふさがれているなど、予想外
の事態にでくわすことも珍しいことではありません。
障がいのある方が困っている様子であれば気軽に声をかけてみま
しょう。
コミュニケーションを図る時の「5 つの心構え」
①声をかけてからサポートする
②何を必要としているか、よく聞く
声をかけずに、車イスを押すなどの
サポートを行うと、驚いたり、不安や
不愉快に感じる場合があります。まず
は、
「何かお手伝いしましょうか?」な
どの声掛けをしたり、相手の意向を確
認してからサポートをしてください。
次は右に曲がります
車イスの人と同じ目線で、どのようなサ
ポートが必要なのかよく聞いてください。
また、介助者が同行されていた場合は、介
助者はサポートの立場ですので、本人に声を
掛けましょう。決定するのは本人だというこ
とを忘れないでください。
③あせらず、無理はしない
どなたか
手伝って下さい
サポートには、複数の人の支援が必要
な場合があります。無理なサポートは、
危険が伴い、自分自身のケガにつながる
場合があります。
もし、1人では無理な場合は、あせら
ず周囲に協力を求め、安全・安心な方法
でサポートを行ってください。
④ペースに合わせ、待つことも大切
本人のペースを尊重し、相手の表情、し
ぐさをよく観察し、サポートを行いましょ
う。時には、見守ることも必要です。サポー
トは、あくまで本人の自立的な生活を手
助けすることにあります。そのため、何
から何まで手を貸さずに、自立意欲を大
切に、時には見守ることも大切なことです。
⑤話す時はゆっくりと
障がいによって、発音に関わる器官のマヒ
や失語症などにより、言葉が聞き取りにくい
など、コミュニケーションをとることが難し
い方がいます。相手の話していることが分か
りにくい場合は、内容を確認しながら聞きま
しょう。また、話しかける時は、ゆっくりと
話したり、ジェスチャーなど活用するのも一
つの方法です。
―4―
障がいを理解しよう
車イスを使用している方への配慮のポイント
段差の場合
・ 昇るとき
昇る手順は「持ち上げます」と声をかけます。
①ティッピングレバー(後車輪の内側の棒)を踏みます。
②同時にハンドグリップ(持ち手)を押し下げて前輪キャ
スターを上げます。
③後車輪だけでバランスを保ちながら段差に近づきます。
④前輪キャスターを段に乗せてから後輪を押し上げます。
・ 降りるとき
降りる手順は、後ろ向きになり「降ろします」と声をか
けます。上がる時と逆の要領で、車イスの背を身体で支え
ながら衝撃を与えないようにそっと降ろします。
ティッピングレバー
階段の場合
①ブレーキは必ず完全にかけてください。
②持ち上げる時は、呼吸を合わせて車イスを持ち上げ、一歩一歩
確認しながらゆっくりと進んでください。
③常に声掛けをしながら移動してください。
ステッキを使用している方への配慮のポイント
階段の場合
ステッキを使用している方が階段を昇る時は、斜め後ろからサポー
トしてください。降りる時は本人の一段下の斜め前に立ち、横向
きに降りてください。
困った様子の時
ステッキや両方に松葉杖を使用している方が、階段の昇り降りや
荷物を持つなど、困った様子だった場合は「お手伝いしましょう
か」と声を掛け、どのようなお手伝いが必要なのかよく聞いてから、
サポートをすることが大切です。
ポイント
ステッキを使用している方には、なるべくステッキの
反対側でサポートをしてください。
―5―
障がいを理解しよう
〜 私たちに 立つ、座る、歩く、など動作が困難な方がいます。
体の機能障がいによって、立っている、座るといった同じ姿勢を保つことや立ち上がる、歩く、段差の昇り降りなどの日常
の生活が困難な方がいます。そのため、移動の補助として「ステッキ」「車イス」「装具」などを使用している方もいます。
また、お金や切符など細かい物をつかんだり、字を書いたりと細かな動作が困難な方がいます。障がいによって、片手のみ
で作業を行わなければならない方もいます。
こんな時は、声を掛けてからお手伝いしましょう。
〇急な坂道や横断歩道の出入り口などの
段差のある時
〇上の物や床や地面の物をとる時
上の棚の物を
取りましょうか
押しましょうか
〇手動のドアの開け閉めの時
〇階段などの昇り降りの時
エレベーターやスロープへ案内してください
ドアを
開けましょうか
〇切符を買うなど
細かいスイッチを押す時
☆ご本人や介助者の荷物を持ったり、通りやすいように場所をあけることも大切です。
☆電車やバスなどにステッキや装具、車イスの方が乗られる場合は、手すりが持てる立ち上がりやすい端
の席やスペースに余裕がある場所を利用できるようにしましょう。
―6―
障がいを理解しよう
できること 〜
会話をすることが困難な方がいます。
発音に関わる器官のマヒや失語症などにより、言葉が聞き取りにくいなど、コミュニケーションをとることが難しい方がいます。
相手のペースでコミュニケーションをお願いします。
〇速い話し方や複雑な内容は理解しにくい
場合があります
〇言葉が出にくくなる場合があります
××××××××××××××××
××××××××××××××××
××××××××××××××××
××××××××××××××〜
エ〜
アノ〜
ウ〜
ゆっくり
どうぞ
話は理解できる
のに、言葉がしゃ
べれない
ペラ
ペラ
☆お互いの表情がわかる位置で、十分に間をとりながら会話ができるように配慮しましょう。
マナーとモラルの向上が大切です!
障がいのある方が、いつでも必要な時に必要な場所を利用できるように、身体障がい者用駐車場や
多目的トイレなどがあります。一人ひとりのマナーとモラルの向上が必要です。
身体障がい者用駐車場
私はこっち
多目的トイレ
駐輪場所(歩道など)
譲り合い(公共交通機関など)
私はここ
障がいの方のための国際シンボルマークは、
障がいのある方が利用できる建物、施設であ
ることを明確に表すための世界共通のマーク
です。
※すべての障がいの方が対象
四葉のクローバーマーク(身体障がい者標
識)は危険防止のため , やむを得ない場合
を除き、進行している当該車両への幅寄せ、
割込みをした場合は道路交通法違反とな
り、反則金や行政処分となります。
主な相談機関
◆新潟県障害者社会参加推進センター
◆新発田市役所(社会福祉課)
◆緑風園相談室
◆障がい者就業生活支援センター アシスト
主な支援団体
◆新発田市身体障害者団体連合会 ◆NPO法人作業所あゆみ
◆たんぽぽの会(変形性股関節症友の会) ◆NPO法人自立生活センター新発田
◆若麦会(脳卒中後遺症者の会)
―7―
障がいを理解しよう
視覚障がいの理解のために
◇視覚障がいとは、見ることが不自由または不可能になっている状態のことです。
「全盲」と「弱視」とに大きく分けられています。
「全盲」の人は見ることによっての情報を得ることが出来ません。
「弱視」の人は残っている視力を補ってくれる用具を用いたりして、情報を得ることができます。
◇弱視の人にはさまざまな見え方が有ります。
ただし、見える範囲が狭い、光を眩しく感じる、暗い所は見えないなどといった個人差がいろいろです。
また、色の区別がつかない見え方もあります。
◇生まれたときから見えない人と、病気や事故などで見えなくなっていく人がいます。
視覚障がいのある人の場合、聞く・触る・匂いをかぐ事などの感覚から情報を得ていきます。
外出は盲導犬や白杖を使って単独歩行をする人とガイドヘルパーと一緒に歩く人がいます。
視覚障がいのある人たちは、頭の中に地図を描いて歩いています。盲導犬にも盲導犬使用者(ユーザー)
が指示を出して歩いています。ただ、弱視の人たちの中には白杖を使わないで歩く人もいるので一見
して視覚障がい者とわからない事もあります。
◇視覚障がいのある人たちの読み書きのために「点字」があります。でも、目が不自由な人がみんな点
字で読み書きが出来るわけではありません。入力した文字を読み上げてくれるソフトを使った「音声
パソコン」などを用いて読み書きをする人が増えてきました。
声をかけてください!
視覚障がいのある人は、困っていてもまわりの様子がわからないために援助を求めにくいことがあり
ます。戸惑っている姿を見かけたら「何かお手伝いしましょうか」などと、声をかけてください。どう
すればいいのかは視覚障がいのある人に聞きましょう。声をかけてもらうことで安心して外出すること
ができます。
盲導犬
街の中で仕事中の盲導犬を見かけた時は、
盲導犬に声をかけたり、触ったりしないで温
かく見守ってください。
仕事中です!
歩行補助の設備として黄色い誘導ブロック
が設置されています。その上に自転車などを
置かないようにしましょう。
―8―
障がいを理解しよう
視覚障がいのある人への接しかた
1.あいさつ 自分の方から名前を伝えてあいさつをしましょう。
よく会う人でも名前を言ってもらうと人違いせずにすみます。いきな
り話し始められると誰だかわからず困ります。名乗ってから話すよう
にしましょう。
2.声のかけ方
街で視覚障がいのある人を見かけたときは、軽く肩をたたき声をか
けて下さい。「何かお困りですか…」「何かお手伝いしましょうか…」
と声をかけてもらうことで援助を必要としていれば「……をお願いし
ます」など依頼されます。また、「ここはどのあたりですか」など今
いる場所を知りたいこともあります。
3. 一緒に歩く
サポートする人が前に立って、肩か肘をつかまってもらって歩きます。視覚障がいのある人は、サポートする
人のからだの動きを感じ取りながら歩きます。
肘の上に軽くつかまってもらいます
狭い場所では腕を後ろにまわします
4.気をつけること
視覚障がいのある人の身体を後ろから押さないでください。腕や白杖をつかんで引っぱらないでください。見
えない人は直接自分の手や白杖で安全が確認できないと不安に感じます。まず、どのように誘導すればよいか聞
いてください。誘導の受け方は人によって違います。「あっち」「こっち」ではなく「右」「左」「前」「後ろ」と
言葉で伝えてください。時計の文字を使って「1時の方向」「9時の方向」などという言い方もあります。
後ろから押さないでください
引っぱることはしないでください
―9―
障がいを理解しよう
具体的なサポートのしかた
1.横断歩道・交差点で
横断歩道や交差点では渡るタイミングの判断が難しい
です。音響信号機のついていない横断歩道ではとても不
安です。信号機が青に変わった時に「青になりましたよ」
「ご一緒しましょうか」などと声をかけましょう。
青ですよ
2.人の集まる場所で
市役所・病院など人が多くいても「受付」などの場所
がわからないことがあります。サポートをする時は何を
して欲しいのかを聞いてください。駅などの自動券売機
の操作は分かりにくいです。行き先や料金を確認して伝
えましょう。
3.駅のホームで
駅のホームは不安で最も危険な場所の一つです。
「ホー
ムまでご一緒しましょうか」など声をかけてください。
ホームでは転落事故の危険性があります。電車とホーム
との隙間や段差にも気をつけて声をかけましょう。
4.トイレで
どうやって
流すのかしら?
異性の場合は、近くにいる同性の方にサポートをお願
いしましょう。トイレの中では便器の種類・位置・向き・
水の流し方、トイレットペーパーや鍵の位置などを説明
します。後で使用する人のために汚れなどへの配慮も大
切な事です。
5.いろいろな場所で
「危ない」という言葉だけでは伝わりません。「自転車
がたくさんあります」「前に車が停まってます」など具
体的にまわりの様子を言葉で説明してください。状況が
わからないと動くことが出来ません。危険な場面では説
明だけではなく、安全な場所へすぐに誘導してください。
知っていますか
1.誘導用ブロック 駅や横断歩道などで良く見かける誘導用ブロックは視
覚障がいのある人がより安全に外を歩くことができるよ
うに考案されたものです。
ブロックは線の形で移動の方向を示す線状ブロック
(誘導用)と点状ブロック(警告用)の2種類です。
― 10 ―
線状ブロック 点状ブロック
障がいを理解しよう
2.白杖
視覚障がいのある人が歩く時に、障害物がないかどうかを、路面にふれ
たりして確認するための白い杖が「白杖」です。障害物や段差・歩道の切
れ目など歩行に必要な情報を白杖で確認します。目の不自由な人が道を歩
く時は白杖か、盲導犬を連れていることが、法律で認められています。また、
ドライバーや他の歩行者・警察などへの注意を促す役目もします。
3.盲導犬
盲導犬育成施設で訓練を受けた犬が「盲導犬」です。
盲導犬は、視覚障がいがある人の自立生活の大きな支えです。盲導犬は
視覚障がいのある人の歩行を助ける大切なパートナーです。
盲導犬ユーザー(使用者)は、ハーネス(胴輪)をにぎって盲導犬に指
示を出し目的地まで移動します。盲導犬は色がわかりません。信号機のそ
ばで見かけたら「青ですよ」「渡れますよ」など声をかけましょう
4.点字
指先の感覚で読むことができる目の不自由な人のための文字が「点字」
です。縦3点横2点の6つの凸点の組み合わせで文字体系されています。
各点の組み合わせによってできる63種類を基本に構成されています。
5.音声訳
文章で表されたものを、様々な符号を含めて音声によって作られた物を
「音声訳」と言います。聞き手に理解しやすく、聞きやすく音声訳をした
録音図書として目の不自由な人に届けられています。
6.拡大写本
文字を読むのが難しい人に、最も読みやすい文字の大きさで書き写した
ものが「拡大写本」です。弱視のため見えにくい方も多く、見え方も様々
です。その人の見え方に合った個別の対応がされています。
7.ガイドヘルパー
障がいのある人の外出を介助してくれる人が「ガイドヘルパー」です。
障がいのある人の自立と社会参加のお手伝いをします。買い物・旅行に行
くなどの活動のサポートをします。
知っていますか?ほじょ犬マーク
視覚障がい者の安全やバリ
アフリーに考慮された建
物、設備、機器などに付け
られているマークです。
ほじょ犬(身体障がい者補助犬)とは、盲導犬の他、肢体不
自由の方の日常生活をサポートする介助犬、聴覚障がいの方
に必要な音を知らせる聴導犬の総称です。公共施設・交通機
関はもちろん、民間施設へのほじょ犬同伴の啓発マークです。
主な相談機関
◆新潟県視覚障害者福祉協会
主な支援団体
◆新発田市盲人福祉協会 ◆新発田市音声パソコンフィンゲル
◆日赤点訳奉仕団新発田まどかグループ ◆音声訳むぎの会
◆拡大写本「結の会」 ◆新潟県点字図書館
◆NPO法人障害者自立支援センターオアシス
◆新発田市社会福祉協議会(ガイドヘルプサービス・福祉有償運送)
― 11 ―
障がいを理解しよう
聴覚障がいの理解のために
聴覚障がいというのは、聞こえない、聞こえにくいというもので、聞こえる社会においては、日本語
によるコミュニケーションや情報の獲得、あらゆる場面での音による判断に困難が生じます。この障が
いは外見での判断が難しく、気づいてもらえないことが多くあります。特に聴覚障がい者の中で、乳幼
児期以前から聞こえない人は日本語の獲得が困難で、日本語とは全く異なる「手話」が自分のことばに
なっています。
聞こえの程度や声を出して話せる状態、ことばの違いなど人によって様々なので、支援も様々になり
ますが、共通しているのは、音の代わりとなる見て分かるコミュニケーション方法や、光や振動を使う
方法の支援が必要になります。
◆ろう者
乳幼児期以前から聞こえなく、手話という日本語とは異なる言語を母語にしている人です。
周りの人は、母語が日本語ではないとは思ってもいないので、書けば通じると誤解されます。
話したり聞いたりするのが難しく、書きことばが苦手な人が多く、聞こえる人との会話は手話
通訳を希望する人が多くいます。
◆難聴者・中途失聴者
聞こえにくい人や、病気や事故、高齢などのため大きくなってから聞こえなくなった人で、
日本語を母語にしている人です。話せる人が多いため聞こえているとか補聴器を付けているか
ら聞こえていると誤解されやすい。補聴器を付けていても不確実なことがあり、筆談などが必
要になります。
コミュニケ−ションの方法
聴覚障がい者とのコミュニケーションで共通していて大事なことは、見て分かる方法にすることです。
・目の前にある物を指差す ・動作で示す ・絵や図を書いて示すなどです。
これに加えて、次の方法があります。
①筆談
難聴者や中途失聴者にはもっとも手軽で、紙と筆記用具さえあれば、いつでもどこでもやりとりが
できます。
・文章は短く、文字は読みやすく
・YES、NO をはっきりとし、わかりやすく
・よみにくい漢字にはふりがなをつける
②手話
ろう者は、目でものごとを理解し、映像で記憶します。手話は目で見て分かる言語で、日本語と全
く異なります。ろう者が聞こえる人とコミュニケーションし、情報を得る場合にはふさわしい方法で
す。
※上記の他に読話という口の動きで言葉を理解する方法もありますが、難しく、不確実です。
― 12 ―
障がいを理解しよう
知ってほしいこと
外見で判断できないため
障がいに気づいてもらえません
他の障害に比べ、外見からはわかりにくい障害です。
困っていることに気づかれないことがあります。
音に反応しない人がいたら、その人は聴覚に障が
いがある人かもしれないと思って対応しましょう。
放送や呼びかけに
気づかないことがあります
呼び出しがわからず、不在だと思われる時があり
ます。店内放送や駅の構内放送、災害時の緊急放
送などにも気づかず、適切な行動がとれないこと
があります。
次は◯◯駅、◯◯駅です
サイフ
落しましたよー!
見ることでコミュニケーションをするので
音による状況判断ができません
屋外では後ろから近づく車に気づかなかったり、
クラクションを鳴らされても聞こえない為、しば
しば危険な目にあいます。
自分にあったコミュニケーション方法で
生活しています
聴覚障がいを持つ方は、手話や筆談などその方な
りのコミュニケーション方法で生活しています。
★視覚障がいとも聴覚障がいとも異なる障がい★
◆盲ろう者
見えなくて聞こえないという盲ろうの障がいがあります。暗くて聞こえないという状況の中に一人で
いると感じています。そのために起こる3つの困難があります。
①情報の取得・・・自分の周りには誰がいて、何が起きているのかなどわかりません。
②コミュニケーション・・・人とおしゃべりをすることなどができません。
③移動・・・自由に外出することができません。
支援には、①や②の場合は触って伝える触手話や指先で叩いて表現する指点字などのいろいろな方法
があり、③の移動介助も必要です。
お問合せ先 新潟県盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業事務局 TEL & FAX 025-381-1480
― 13 ―
障がいを理解しよう
手話で挨拶をしてみましょう♪
ポイント
表現する時は表情や口の動きも大切に
おはようございます
こんにちは
こんばんは
よろしく お願いします
ありがとう
すみません(ごめんなさい)
ご苦労様
番外編
― 14 ―
アイ ラブ ユー
障がいを理解しよう
手話奉仕員・要約筆記奉仕員派遣制度
聴覚障がいのある方が、会議や講演会に参加する場合、また病院やさまざまな相談など相手と
コミュニケーションができるように手話通訳や要約筆記者の派遣を無料で利用することができま
す。(※事前の申請が必要です。詳しくはお問合せください)
手話奉仕員
要約筆記奉仕員
要約筆記とは?
聴覚に障がいのある方のために、
その場で話されている内容を即
時に要約して文字にすることで
す。ノートなどの筆記具を使う
ノートテイク、OHP や OHC、
パソコンを利用して、講義や談
話などの内容をスクリーンに写
し出す方法などがあります。
お問合せ
新発田市役所(社会福祉課) Tel 0254-22-3101 Fax 0254-22-0920
新発田市社会福祉協議会
Tel 0254-23-1000 Fax 0254-26-3300
耳マークは、聴覚に障がいのある方である
ことをあらわすマークです。
耳の聞こえない方や聞こえにくい方という
ことは外見からはわかりにくいため、スムー
ズに筆談などに応じてもらうことを目的とし
ています。
この標識は、聴覚に障がいのある方が運
転していることを周りに示し、安全運転を
促すものです。
このマークは、耳の形をモチーフとして
蝶にも見えるようにデザインされたもので
す。
主な相談機関
◆新潟県聴覚障害者情報センター ◆新潟県中途失聴・難聴者協会 ◆新発田市社会福祉協議会 ◆障がい者就業生活支援センター アシスト
◆新潟県聴覚障害者協会
◆新発田市役所(社会福祉課)
◆緑風園相談室
主な支援団体
◆新発田市ろうあ協会 ◆手話サークル 木の芽の会
◆新発田手話サークル ◆NPO法人はとの会
◆要約筆記サークル 四季
― 15 ―
障がいを理解しよう
知的障がいの理解のために
〜あなたに出来ること〜
知的障がいとはなんでしょう。知的障がいのある人とはどんな人なのでしょう。
たとえば、言葉を使ったり記憶したり抽象的な事を考えたりすることが苦手で、ほかの人より時間が
かかったり出来なかったりします。
また、仕事の手順をすぐに覚えたり、人とのやり取りに機敏に対応したりするのが難しいことがあり
ます。
でも、知的障がいだからまったくできないと言うわけではありません。一人ひとりに違いがあります。
外見から見えないのでわかりにくいのですが、同じ目線で話しかけましょう。一人ひとりの特徴が見え
てくると思います。
コミュニケーションのために
知的障がいがあるからと言って、コミュニケーションがとれないという訳ではありません。
一人の仲間として普通に声をかけてください。ただ、次のようなことに気をつけましょう。
①言葉と一緒に身振りや絵などを使う
言葉の理解が遅れていることがあります。そのため、
話しかけられても、何を言われているのか理解できな
いことがあります。そんなときに、身振りや絵・写真
などを見せながら、声をかけると伝わることがあります。
②答えやすい聞き方にする
自分で答えを探し出さないといけない質問、例えば
「どうする?」
「どう思う?」は、答えが思いつきにく
い場合があります。答えを二者択一のように選ぶ形に
しましょう。
今日のお昼は
ラーメンとカレー
どっちにする?
じゃ、カレーで!
③困っているかどうかを見る
知的障がいがあっても、一人で出来ることはたくさ
んあります。外見の様子だけでは本当に困っているの
か判断もむずかしいですが、もし困っていたら必要な
手助けをしましょう。
何かお困りですか?
受付を探しています
④はっきり伝える
あいまいな言い方や表現は伝わりにくいことがあり
ます。やめてほしい時は、「やめて」とはっきり伝えま
しょう。あいまいにして逃げるといった行為は、意味
がわからないので、逆に追いかけて来る場合もあります。
― 16 ―
このケーキは
A さんの分なので
ダメです。
ケーキをもう1個
食べてもいいかな?
障がいを理解しよう
⑤ゆったりとした気持ちで接する
その年齢なら本来わかっているべきルールが、身に
ついていない事があります。どんなことでも許したり
我慢する必要はないのですが、責めないでください。
注意してもすぐに直らないかもしれませんが、根気よ
く接することが大切です。
特別な人ではありません
知的障がいのある人の特徴として、複雑な事柄の理
解や判断、こみいった文章や会話を理解することや、
おつりのやりとりのような日常生活の中での計算など
が苦手なこととしてあげられます。
一見しては障がいがわかりにくく、少し話をしただ
けでは障がいがあることを感じさせない人もいます。
しかし、未経験の出来事や急な変化への対応が困難と
いう人が多く、自分のおかれている状況や抽象的な表
現を理解することが苦手だったりします。
特徴の現れ方には個人差が大きく、支援の仕方は一
人ひとり異なります。そのことを、まず理解しましょう。
「何もわからない・
自分では何もできない」は誤りです
知的障がいのある人の中には、周囲の状況に関係な
く自分の関心などにこだわって夢中になってしまう人
がいます。例えば、電車で「車内アナウンス」をまね
したり、大きな声で独り言を言い続けたりすることも
あります。
しかし、そのような行動から知的障がいのある人を
不思議に思い、さらに「何もわからない」「自分では何
もできない」と決めつけることは大きな誤りです。
また、障がいの重い軽いに関わらず、うれしいとか
悲しいという気持ちは障がいのない人と変わりありま
せん。周囲の人の気持ちや環境の変化は敏感に感じ取っ
ていますが、それを言葉で表現することが、難しかっ
たりできなかったりするのです。
― 17 ―
障がいを理解しよう
大切なのは「偏見」のバリアを取り除くこと
知的障がいのある人に接するときに必要なのは、こ
わがったり、じろじろ見たり、無視しないことです。
線路の上を歩いているといった危険な行動をとって
いる時や、予定外の出来事にぶつかって本人が困って
いる時に、関心を向けてサポートしましょう。
ほめることも大切です
小さい子供たちにとって、「ほめる」事はとても大切な
ことだという事は皆さん知っていますね。
知的障がいのある人も同じです。知的障がいのある人は、
私たちより少し苦手なことが多いのです。だからちょっと
した事でもほめられるととてもうれしくなります。
「これくらい普通」ではなく、「こんな事もできるんだ」
とほめる所を見つけましょう。
障がいがあっても社会に参加しています
学校を卒業した知的障がいのある人の多くは、会社や地域の福祉施設・作業所などで、障がいのない
人たちと同じように働いています。
知的障がいがある人が働くにはちょっとした工夫が必要です。
たとえばいろいろな人が指示を出すと、障がいのある人が混乱するので、指示を出す担当者を一人に
決めるなどです。
また、計算が苦手な人には、計算をしなくても済むような工夫や、作業の手順を順番に掲示しておく
など、雇う側のちょっとした思いやりが必要です。
知的障がいのある人が一般就労をする場合、初めは支援センターから派遣されるジョブコーチに付い
てもらうことが望まれます。ジョブコーチが間に入ることで、企業の担当者は障がいのある人の特徴を
知り適切な指示ができるようになり、障がいのある人は支援を受けながら仕事に慣れていくので、次第
に仕事ができるようになります。
障がいのある人でも一生懸命働いています。喫茶店で働いている人や街で作品を販売している人を見
かけたら、みんなでやさしく見守りましょう。
障がいのある人もない人もみんな幸せに暮らせる街を作りましょう。
― 18 ―
障がいを理解しよう
福祉施設で働く
ボランティア活動する
喫茶店で働く
厨房で働く
イベントや祭りに参加する
ジョブコーチによる支援
商店で働く
ジョブコーチとは障がいのある人が一人で
働けるように支援する職員です
あなたに出来ること
知的障がいのある人も、一般の人と変わりなく感情があります。優しく接してもらえばうれしく、ば
かにされれば悲しくなります。一般の人と同じように、いろいろな性格の人がいるので、身近に障がい
のある人がいたら、一人の人間として、その人のことを知って、その人が笑顔になるようなことを考え
ましょう。
主な相談機関
◆新発田市役所(社会福祉課)
◆緑風園相談室
◆障がい者就業生活支援センター アシスト
主な支援団体
◆NPO法人新発田市手をつなぐ育成会
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障がいを理解しよう
精神障がいの理解のために どんな困難を抱える人々ですか
精神の疾患のため、日常生活や社会生活がしづらくなる困難を抱えています。病状が深刻になると、
判断能力や行動のコントロールが著しく低下することがあります。精神疾患の中で代表的なものは「統
合失調症」と「うつ病」です。ライフステージの変化に伴い、誰にでも起こり得ます。適切な治療を受け、
ストレスが軽減されれば十分に回復可能です。
精神機能の障がいとは
意識、記憶、知覚、思考、感情、意欲、自我意識などの機能があり、それらが障害されると精神症状
として現れます。疾患により、症状や経過に違いがあります。
主な精神症状(SOS サイン)
興味・関心の減退
何 に 対 し て も、 関 心 が 薄 れ、
いつもつまらなそうにして遊
びにも関心がない。楽しめない。
気力・意欲の減退
「やる気が出ない」という状態。
気分の障がい
思考力・集中力低下
どうにも悲しくてたまらない。
何とも言えず寂しい。イライラ、
落ち着きがない状態。感情の変
化が乏しく、いつも無表情。
頭が空っぽになったように何も
考えが浮かんでこない。
食欲の変化
睡眠障害
好物を食べても美味しいと感じ
ない。体重が減った。
寝つきが悪く、眠りが浅い。夜
中や早朝に目が覚める。
からだの重さ
熱があるなど原因がないにも
関わらず常に体が重い・だるい。
― 20 ―
障がいを理解しよう
心のこもったコミュニケーションのために
〜 私たちにできること 〜
○精神障がいへの偏見を持たない
◇病気のことをもっと理解しましょう。
・障がいの種類も程度も様々であり、一律ではありません。外見で分か
るものだけが、障がいではなく、外見でわからないために、理解され
ずに苦しんでいる人がいます。
・他の人と同じようにできないのは、努力が不足しているからではあり
ません。
◇子供に話しかけるような言い方はやめましょう。
○プライバシーに配慮しましょう
◇病気や家庭事情などのプライバシーに関わることや個人的な
ことをしつこく聞くのはやめましょう。
◇精神障がいを打ち明けることは勇気が必要であり、打ち明け
られても勝手に他の人に言わないよう配慮しましょう。
○自然体で接しましょう
◇特別扱いではなく、さりげなく接しましょう。
【傾聴のポイント】 ・いい表情で聞く
・聞き上手になる
・あいづちを打つ
・うなずく
○家族会や自助組織、支援団体、施設等に関わりを持ちましょう
◇ボランティアとして、活動の応援をしましょう。また、施設の運営や新しい施設の設立に
も理解と応援をしましょう。
○就労や社会参加の機会の平等が望まれています
◇医療だけでなく、福祉や就労・教育・権利擁護等の総合的な支援がなされれば、就労等の
社会参加につながります。
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障がいを理解しよう
代表的な精神疾患
※症状には個人差があります。
統合失調症
【症状】例えば聞こえないはずの声などが聞こえてくる「幻聴」や無いものが見える「幻覚」と
いう症状があります。
本人はそれらに反応し、周りの人からはひとりでぶつぶつ言っているように映ります。
【特徴】○現実的な判断や目標が立てにくい
○他人に頼めない、断れない
○集中力や忍耐力の低下 ○常に緊張し、くつろぐことが苦手
○神経が繊細でストレスに弱い
○疲れやすく調子のムラが目立つ
○孤立しがち、ひきこもりがち
うつ病
【症状】心の疲労が蓄積し、休息・睡眠リズムが乱れ、疲れているのに休めない状態です。
体にも様々な不調が現れますが、新しい薬の登場もあり、確実に治る病気になっています。
【特徴】○興味や喜びの喪失 ○急激な食欲の増減 ○集中力・決断力の低下
○気力の減退 ○体の動きが鈍い ◯口数が減る ◯焦燥感
パニック障がい
【症状】直接的な誘因がないときに不意に強い不安に襲われ、胸痛、動悸、めまい、手足のしび
れなど、突然始まって 10 分以内にピークに達するようなことが繰り返し起こり「また起
こるのではないか」という常に大きな不安を抱えています。
【特徴】○息が切れる、詰まる、吸えない、苦しい ○呼吸ができない
○吐きそうになる ○頭がふらふらする ○体がガクガク動き出す
― 22 ―
障がいを理解しよう
社会不安障がい
【症状】他人からの評価を気にするあまり、人前に出ることや人の付き合いに過度に緊張と不安
を感じ、困難と恐怖を覚え、疎外感が強い。
【特徴】○人に見られてると思うと緊張して食べられなくなる。
○人に見られていると思うと手が震える。
○自分の表情や容姿など、人から見られていると思うと顔が赤くなる。
摂食障がい
強迫性障がい
【症状】不安による症状が食事の取り方にあ
【症状】自分の意に反して、不安あるいは不
らわれたもの。人間関係などの心理
快な考えが浮かんできて、抑えよう
的なトラブルとの関わりが原因。
としても抑えられない。あるいはそ
のような考えを打ち消そうとしても、
無意味な行為を繰り返す。
【特徴】○過食、拒食
異常なほど食べてしまったり、逆
に食事を拒否し続けてしまう。
【特徴】○汚染行為(どこを触ってもバイ菌
だらけで手が汚くて、帰宅後に手
の皮がむけるほど、長時間、手を
その他の精神疾患
洗い続けてしまうようなこと)
アルコール・薬物依存症、認知症など。
精神疾患は、早期発見、早期治療がとても大切です。
お気軽に相談先に連絡してください。
主な相談機関
主な支援団体
○新潟県精神保健福祉センター
○新発田保健所
○新発田市役所(社会福祉課・健康推進課)
○こころの相談支援 ウイング
【家族会】◇NPO法人しば草会
◇有田病院家族会
◇地域活動支援センター フリースペースみのり
― 23 ―
障がいを理解しよう
発達障がいの理解のために 発達障がいってなんだろう?
「発達障がい」は身近にあるけれども、社会の中で十分に知られていない障がいでした。
また、「発達障がい」のある人は、特性に応じた支援を受けることができれば十分に力を発揮できる
可能性がありますが、従来はその支援体制が十分でありませんでした。
このような背景を踏まえ、発達障がいについて社会全体で理解して支援を行っていくために、平成
17 年 4 月に「発達障害者支援法」が施行されました。
発達障がいってどんな障害?
『「自閉症、アスペルガ―症候群その他の広汎性発達障がい」「学習障がい」「注意欠陥多動性障がいそ
の他これに類する脳機能障がい」であってその症状が通常低年齢において発現するもの』と定義されて
います。
それぞれの障がいの特性
●言葉の発達の遅れ
●コミュニケーションの障がい
●対人関係・社会性の障がい
●パターン化した行動、こだわり
知的な遅れを伴う
こともあります
自閉症
注意欠陥多動性障がい(AD/HD)
●不注意
●多動・多弁
●衝動的に行動する
広汎性発達障がい
アスペルガー症候群
学習障がい(LD)
●「読む」、
「書く」、
「計算する」
等の能力が、全体的な知的発達
に比べて極端に苦手
●基本的に、言葉の発達の遅れはない
●コミュニケーションの障がい
●対人関係・社会性の障がい
●パターン化した行動、興味・関心のかたより
●不器用 ( 言語発達に比べて )
― 24 ―
障がいを理解しよう
さまざまな発達障がいのタイプの一例
自 閉 症
【特徴の主なもの】
危険がわからない
オウム返し
●対人関係の困難さ
●コミュニケーションの困難さ
お名前は?
言葉をうまく使えなかったり、
特異な言葉の使い方、例えば
「オウム返し」をしたりします。
オナマエハ?
●行動・動作の特徴
手をひらひらさせたり、上半身をゆすったりするような動作を
繰り返すこともあります。
●活動や興味の範囲が狭い
●変化に対する不安や抵抗
●想像力が弱い
●アンバランスな感覚
●アンバランスな能力
友達と遊べない
【心のこもったコミュニケーションのために】
自閉症の人達は、性格的に極めて純粋で、要求や感情をありのままに表す人達です。付き合っ
てみると楽しい人達でもあるのです。しかし、時にはこだわりや癖が、おかしく見えることがあ
るかもしれません。でも、それは「理由がある」とご理解ください。
自閉症の人が望むのは「自閉症でも OK」という心のバリアフリーです。
自閉症の人は、その特性から正しい理解と適切なサポートが必要です。
自閉症の人が暮らしやすい社会は、どんな人でも暮らしやすい、豊かな社会です。
アスペルガー症候群
【特徴の主なもの】
●自閉症的な特徴
●人づきあいが苦手
●コミュニケ―ションが苦手
●想像したり、空想したりすることが苦手
●姿勢のくずれ、多動や不器用
【心のこもったコミュニケーションのために】
●正しい理解が必要。
他の発達障がいと間違われがちですが対応策
はそれぞれ異なるのできちんと現状を把握する
ことが大切です。
●わかりやすい対応をする。
想像力を働かせることや、耳で聞く言葉や会話
を理解することが苦手なので、何をするのか、わ
かるような視覚的なアプローチが重要です。
― 25 ―
障がいを理解しよう
注意欠陥多動性障がい AD/HD
【特徴の主なもの】
年齢や発達に不釣り合いな不注意さや衝動性、
多動性を特徴とする発達障がいで、日常生活や
学習に支障をきたす状態をいいます。
「不注意が目立つタイプ」
「多動性・衝動性が目立つタイプ」
「混合タイプ」
の 3 つに分けられます。
AD/HD は生まれつきの脳の発達の偏りが関 【心のこもったコミュニケーションのために】
係していると考えられており、育て方やしつけ
●特性を理解しないままに、ただしつけを厳し
によっておこるものではありません。
くしても、症状を改善することはできません。
学習障がい LD
【特徴の主なもの】
【心のこもったコミュニケーションのために】
学習障がいには脳の発達特性が関係しています。
知能に大きな問題がなく、目も見え、
本人の努力が足りないせいではありません。
耳も聞こえているのに、
「聞く」、
「話す」、
●診断を確実に
「読む」、
「書く」、
「計算する」、
「推論する」
●学習法を工夫~ときには道具を使って~
のいずれか 1 つ以上がうまくできない
●学校の先生の協力を得る
状態をいいます。
●好きなこと、得意なことをみつける 主な相談機関
○新潟県発達障害者支援センター「RISE(ライズ)」 主な支援団体
○新潟いなほの会~発達障害児者親の会~
~発達障害を持つ人達が地域の中で自立した生活ができるように様々な関係機関等と
のネットワークを構築しよう ○下越自閉症親の会
○スプラウトの会
― 26 ―
障がいを理解しよう
さまざまな障がいの理解のために
高次脳機能障がいの理解のために
脳卒中などの病気や交通事故などで脳の一部が傷を受けると、その損傷部位により特定の症状が出ま
す。身体のまひや視聴覚の障がいとは別に、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障が
いが起きた状態を、高次脳機能障がいと言います。
心のこもったコミュニケーションのために
○これまでの生活を尊重する。
○不安や混乱の状態にあることを理解する。
・感情のコントロールがきかないことがあります。 思いがけない病気や事故による障がいのため、
ご本人や家族にとって以前との違いを理解し受け
・新しいことを覚えにくい
止めるのに時間がかかります。
○イライラしたら気分転換を促す
・脳の損傷があると、疲れやすくなります。
・疲れていることに気づかずにイライラすること
があります。
主な相談機関
○ゆっくり、わかりやすく、シンプルに対応する。
・思考のスピードが遅くなります。
・優先順位を決められず、計画的に物事を進める
のが苦手になります。
高次脳機能障害相談支援センター
内部障がいの理解のために
内部障害とは…体の内部に障がいを持つ方のこと、外見からはわからないためにまわりの人に理解して
もらいにくい障がいです。
内部障がいの種類
・心臓機能障がい
・腎臓機能障がい
・呼吸器機能障がい
・肝臓機能障がい ・膀胱・直腸機能障がい
・小腸機能障がい
・免疫機能障がい(HIV)
主な相談機関
内部障がいに関するマーク
【オストメイトマーク】
人工肛門・人工膀胱を造設
している人(オストメイト)
のための設備があることを
示しています。
【ハートプラスマーク】
身体内部(心臓、呼吸機能、
じん臓、膀胱・直腸、小腸、
免疫機能)に障がいがある
人を表しています。
新発田市役所(社会福祉課)
難病の理解のために
難病とは…
治療がむずかしく、慢性の経過をたどる疾病で、原因が解明されていない疾病を難病と呼んでいます。た
だし、適切な治療や自己管理を続ければ、普通に生活ができる状態になっている疾患が多くなっています。
そのために、現在、「病気をもちながら働く(働き続ける)」ことが大きな課題になっているのです。平成
25 年 4 月から「障害者総合支援法」が施行され、障がい者の範囲に「難病」が加わり、身体障がい者手帳
の所有の有無にかかわらず、障がい福祉サービスなどを利用できるようになりました。現在、障がい福祉サー
ビスなどの対象となる難病は 130 疾病です。
主な相談機関
新潟県難病相談支援センター
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社会福祉協議会が取り組む福祉教育
社会福祉協議会が取り組む福祉教育には、「子どもの心の豊かな成長」と「地域福祉の推進を図る」
という2つの目的があります。
生徒や学生に対しては『ふくし出前講座』として、疑似体験や福祉講話、障がいのある方との交流会
などを実施いたします。また、地域の方々に対しては、障がいのある方や高齢の方々への理解を深める
ために、社協と共にさまざまな地域課題に目を向けていただき福祉について考えるきっかけの場を提供
いたします。
福祉教育は体験学習のスタイルを大切にします。体験学習のプロセス(出会いとコミュニケーション)
を通して、自ら課題を見つけ、学び、考え、判断できる力を育てていきます。
ふくし出前講座(メニューの例)
☆車イス体験
☆手話体験
☆アイマスク体験(ブラインドウォーク)
☆点字体験
☆高齢者疑似体験
☆福祉講話
車イスに乗っている人が、
どのような不便さや不安を
感じられているかを具体的
に体験し、車イスを利用し
ている人に対する適切なサ
ポートを学びます。
2人1組で、ガイドする
側とガイドされる側(アイ
マスク着用)を交互に体験
し、講師である視覚に障が
いのある方と交流を通して、
適切なサポートを学びます。
体験装具(ゴーグル・重
り・ サ ポ ー タ ー) を 装 着
して、日常生活の動作を疑
似体験することにより、加
齢による身体の変化を知り、
気持ちやサポート方法を学
び、高齢の方とのコミュニ
ケーションの取り方を体験
的に学ぶことができます。
挨拶や自己紹介などの簡
単な手話体験し、手話の役
割や成り立ちを学び、講師
である聴覚に障がいのある
方と交流を通して、手話の
表現方法を習得します。
点字の仕組みや歴史を学
び、小型点字器を使って実
際に点字を書く体験をしま
す。
・福祉について(ボランティアって?福祉とは? など)
職員から福祉学習の導入としての全体的な講話
・障がいについて(身体・視覚・聴覚・精神・発達など)
障がいのある方や支援団体からの講話
・高齢の方に関わる福祉について(認知症・施設など)
職員から高齢についての講話、認知症サポーター講座
・ユニバーサルデザインについて
支援団体から住みやすいまちづくりの講話
◇疑似体験や手話・点字学習などは技術習得が目的ではありません。当事者のサポートのあり方を考え
たり、コミュニケーションを実際に図り、人間関係の構築を学ぶことが重要です。その上で、それぞ
れの違いを認め、お互いを理解・尊重する気持ちを育て、ひいては、いじめのない社会に向けての人
権教育等にもつながっていくことを期待しています。
― 28 ―
夏休みを活用した学生のための福祉体験事業 ~倶楽部ふくし事業~
☆ SUMMER 倶楽部ふくし
中・高・大学生を対象と
した福祉体験講座
☆ふれあいワークキャンプ
小・中学生を対象とした
一泊二日の福祉体験講座
ボランティアセンターをご利用ください!
ボランティアしたいけど
どうしたらいいのかな?
どんなボランティア
活動があるのかな?
ボランティアセンターではこんなことをしています。
情報の提供
コーディネート&サポート
どんなボランティアがいいかわからない時、ボ
ランティア活動はしているけれど困りごとがあ
るなど、なんでもコーディネーターに相談して
ください。興味やライフスタイルにあった活動
を一緒に考えましょう。
ボランティアセンターでは、さまざまなボラン
ティア情報を皆さんに提供しています。興味の
ある活動や関心のある活動など一緒に探してみ
ませんか?きっと新たな一歩がスタートできる
はずです。
講座・講習会
ボランティア活動保険の手続き
災害ボランティア講座や学生向け体験型講座、
手話や傾聴ボランティア講座などいろいろなボ
ランティアに関する講座・講習会を定期的に開
催しています。皆さんの積極的な参加をお待ち
しています!
ボランティア活動中の不慮の事故に備えてボラ
ンティア活動保険に加入すると安心です。「傷
害保険」「賠償責任保険」の 2 つの補償をセッ
トにした保険です。ご相談をお待ちしておりま
す。
ボランティア Room ほのぼの
ボランティア活動中の方々や関心のある方が気軽に集い、交流できるスペースを用意しています。
また、ボランティア
募集、団体紹介など
ボランティア・福祉
情報を用意しており
ます。
― 29 ―
福祉教育ガイドブック
福祉にタッチ
〜 みんなで“つたえる・つながる・ひろがる” 〜
社会福祉法人 新発田市社会福祉協議会 / 新発田市ボランティアセンター
http://www.shibata-shakyo.or.jp/
〒 957-0054 新潟県新発田市本町 4-16-83
TEL 0254-23-1000 FAX 0254-26-3300
E-mail [email protected]