ダイキン フッ素樹脂_2012.indd

G F P−1d
DAIKIN
FLUOROPLASTICS
,
TM
TM
TM
TM
TM
TM
TM
TM
−目次−
第Ⅰ編 フッ素樹脂……………………………… 1
§1.フッ素樹脂の種類……………………… 1
§2.フッ素樹脂製品と品種………………… 2
2−1ポリフロンPTFE…………………… 2
2−2ネオフロンPFA……………………… 4
2−3ネオフロンFEP……………………… 4
2−4ネオフロンETFE…………………… 5
2−5ネオフロンPVDF…………………… 5
2−6ネオフロンPCTFE… ……………… 5
2−7ルブロン…………………………… 6
§3.フッ素樹脂の性質……………………… 7
3−1熱的性質…………………………… 7
3−2摩擦・磨耗特製…………………… 8
3−3非粘着性…………………………… 9
3−4電気的性質………………………… 9
3−5耐薬品性…………………………… 10
3−6ガス透過性………………………… 11
3−7光の透過性………………………… 11
§4.フッ素樹脂のおもな成形加工法……… 12
§5.フッ素樹脂の取扱い、
機械・接着加工・金型設計…………… 17
§6.フッ素樹脂の性質比較表……………… 18
§7.フッ素樹脂のおもな用途……………… 19
第Ⅱ編 フッ素ゴム<ダイエル>……………… 20
§1.ダイエルの特長………………………… 20
§2.ダイエルの品種………………………… 21
§3.ダイエルの加工………………………… 22
§4.ダイエルの用途………………………… 23
§5.ダイエルの取扱い……………………… 24
フッ素樹脂の種類
第Ⅰ編 フッ素樹脂
§1.フッ素樹脂の種類
フッ素樹脂は、各種プラスチック中でも特に卓越した諸
性質をもっています。たとえば耐熱・耐低温性、耐薬品性、
電気絶縁性、高周波特性などが非常に優れ、しかも特異な
非粘着性と低摩擦特性を兼ね備えています。
商 品 名
ポリフロンTMPTFE
略称:PTFE
ポリテトラフルオロ
エチレン:四フッ化
エチレン樹脂
構 造 式
F F F F F F
C C C C C C
F F F F F F
ニューポリフロンTMPTFE
ルブロンTM
低分子量四フッ化
エチレン樹脂
品 種
フッ素樹脂は、その優れた特性によって、化学工業、電
気・電子工業、機械工業はもとより、宇宙開発や航空機産
業から家庭用品に至るまで広い分野で活用されています。
成 形
材 料
モールディングパウダー
フィラー入りモールディングパウダー
ファインパウダー
ディスパージョン
エナメル
タフコートエナメル
ペースト
○
○
○
モールディングパウダー
○
塗装コー
ティング
材料
○
○
○
含 浸
材 料
○
内 部
添 加
材 料
その他
○
○
お も な 用 途
パッキン・ガスケット・チューブ
機械的強度が要求される用途
配管シールテープ(生テープ)
・電線・チューブ
機械的強度が要求される用途
非粘着すべりコーティング、ガラス布などへの含浸
機械・家庭用品への非粘着すべりコーティング
耐磨耗性・非粘着すべりコーティング
シール捕助材・マスキング材
濾過材・隔膜・軸受
動的シール材、各種ベローズ、ダイヤフラム
角槽、耐食ライニング
F F F F
C C C C
パウダー
ディスパージョン
○
○
○
潤滑剤・極圧添加剤・離型剤
樹脂添加
F F F F
ネオフロンTMPFA
略称:PFA
テトラフルオロエ
チレン〜パーフル
オロアルキルビニ
ルエーテル共重合
体:パーフルオロ
アルコキシ樹脂
F F F F F F
C C C C C C
F F O F F F
ペレット
粉体塗料
ディスパージョン
フィルム
○
ペレット
ディスパージョン
粉体塗料
フィルム
○
ペレット
フィルム
粉体塗料
○
ペレット
○
モールディングパウダー
ペレット
フィルム
○
○
○
○
○
半導体治具・電線・フィルム・チューブ
耐食ライニング
絶縁被膜・非粘着コーティング
電線・耐食・非粘着シート・ライニング
○
チューブ・フィルム・電線
絶縁被膜・非粘着コーティング
耐食ライニング・非粘着コーティング
電線・耐食・非粘着シート・ライニング
Rf
ネオフロンTMFEP
略称:FEP
テトラフルオロエ
チレン〜ヘキサフ
ルオロプロピレン
共重合体:四フッ
化エチレン〜六
フッ化プロピレン
共重合樹脂
F F F F F F
C C C C C C
F FC F3 F F F
○
○
○
ネオフロンTMETFE
略称:ETFE
テトラフルオロエ
チレン〜エチレン
共重合体:四フッ
化エチレン〜エチ
レン共重合樹脂
ネオフロンTMPVDF
略称:PVdF
ポリビニリデン
フルオライド:
フッ化ビニリデン
樹脂
ネオフロンTMPCTFE
略称:PCTFE
ポリクロロトリフ
ルオロエチレン:
三フッ化塩化エチ
レン樹脂
HHF F
C C C C
○
○
電線・耐食ライニング・チューブ
耐食・防汚・離型・フィルム
耐食ライニング
HHF F
FHFHFH
C C C C C C
パイプ・バルブ・ポンプ・電線・チューブ
フィルム・シートライニング
FHFHFH
F F F F F F
C C C C C C
○
パッキン・ガスケット配管材料
防湿・光透過フィルム
F CI F CI F CI
フッ素樹脂製品と品種
§2.フッ素樹脂製品と品種
2−1 ポリフロンTMPTFE
フッ素樹脂のなかでも最も需要が多く、代表的なものが
ポリフロン PTFE です。ポリフロン PTFE はポリエチレ
ンの水素原子を全部フッ素原子で置換した化学構造で、分
子量が 200 万から 1,000 万と非常に長い鎖状高分子です。
フッ素樹脂はすべての同系のプラスチックに比べて、耐
熱性や耐薬品性が優れていますが、これはフッ素原子の
もっている強い化学結合力によるものです。分子のなかに
フッ素原子が多く含まれているほどその性質が向上しま
す。このことからポリフロン PTFE がフッ素樹脂の中で
も最も優れた性質をもっていることがわかります。
ポリフロン PTFE は熱可塑性樹脂の分類にはいります
が、溶融粘度が異常に高いので、普通のプラスチックに適
用されている加工法では成形できません。樹脂の粉末を一
度圧縮してからこれを融点以上に加熱して粉末同志を融着
させる方法を基本として種々の成形法が開発されていま
す。
ポリフロン PTFE には成形加工法に応じた品種、成形
品に要求される特性に適した品種が豊富にそろっていま
す。
モールディングパウダー
ファインパウダー
ポリフロンPTFEの成形品の性質は粉末の形状によって
大きく左右されます。粉末が柔らかくて小さいほど圧縮が
容易で、しかも、ち密なボイドの少ない成形品が得られま
す。
しかし反面、粉末流動性がそこなわれる難点がでてきま
す。圧縮成形用には比較的柔らかい品種を、自動圧縮成形
や押出成形には多少堅くても粉末流動性の良い品種をそろ
えています。なお、電気絶縁テープのように特にち密な組
織が必要な成形品には粒度の細かい品種があります。
溶剤との親和性のよい粉末で、ソルベントナフサやホワ
イトオイルなどを加えてペースト状にすると冷間流動性が
生じます。いわゆるペースト押出成形を行うもので、薄肉
のチューブや細い丸棒、電線被覆などに用います。また生
テープもこのパウダーからつくります。
フィラー入りモールディングパウダー
ポリフロン PTFE の耐摩耗性、圧縮強さ、硬度、耐コー
ルドフロー性などといった機械的性質を向上させるために
充てん材(フィラー)を配合したものです。フィラーとし
て、ガラス繊維、カーボン繊維、グラファイト、ブロンズ、
二硫化モリブデン、カーボン、エコノール※などを種々の
割合で混合してあります。使用目的に応じて使いわけてく
ださい。
※住友化学㈱製造販売、芳香族ポリエステル樹脂
ディスパージョン
ポリフロンPTFEの微粒子の水性懸濁液です。乳化重合
によって得られた分散液を一定濃度に濃縮して、非イオン
活性剤によって安定化したものです。カーボン繊維や焼結
合金に含浸したり、ガラス布に含浸して焼成しラミネート
をつくります。
フッ素樹脂製品と品種
エナメル
ペースト
ポリフロン PTFE エナメルは、ポリフロン PTFE ディ
スパージョンをベースとした水性系焼付け塗料で、下塗り
用プライマーと中塗り、上塗り用トップコートの2及び3
コートにて構成されます。
得られた塗膜は、ポリフロン PTFE の特徴を損なうこと
なく、非粘着性、耐熱性、低摩擦係数を有し、各種家電、厨
房機器及び工業用途などの表面改質に幅広く使用頂けます。
ご希望の色調をお選びください。
ポリフロン PTFE の微粒子に増稠剤を添加してペース
ト状にしたものです。シール剤に使いますが、展延性がよ
いのでコーティングにも使えます。
タフコートエナメル
ポリフロン PTFE タフコートエナメルは、フッ素樹脂
に特殊なバインダー樹脂を配合した1コートタイプの溶剤
系焼付け塗料です。
1コートで充分な膜厚が得られ、得られた塗膜は硬度、
耐磨耗性などの機械的強度に優れ、非粘着性、低摩擦係
数などのフッ素樹脂としての優れた特徴を備えています。
各種用途に応じた品種をお選びください。
ポリフロンPTFEの品種・成形法・用途
品 種
お も な 品 番
M-12, M-18
M-391S
M-392
モールディングパウダー
M-393
M-111, M-112
M-139
フィラー入り
モールディングパウダー
ファインパウダー
ディスパージョン
エナメル
タフコートエナメル
ペースト
MG-1040F
MG-1431F
MG-7040F
MG-7060F
MG-2030, MG-2030F
MG-6030, MG-6030F
F-104
F-201, F-205
F-302
D-210C
EK-1900系(下塗り)
EK-3700系(中・上塗り)
TC-7100系
TC-7400系
TC-7800系
P-9003
成形・加工法
圧縮成形
圧縮成形、自動・半自動圧
縮成形・アイソスタティッ
ク成形
圧縮成形、自動・半自動圧縮
成形・アイソスタティック成
形・ラム押出成形
圧縮成形、自動・半自動圧
縮成形・ラム押出成形
お も な 用 途
絶縁テープ・パッキン・ガスケット
片押シート等成形圧力が懸念される場合にも
適す。
特に狭い隙間への充填性がよいので薄いス
リーブの成形やアイソスタティック成形に最
適。
成形品高さを要求される用途に適する。
特に圧縮クリープ特性、耐屈曲性に優れた成
形品が得られる。二次加工性にも優れる。無
機充填材や顔料との混合も容易。
圧縮・自動圧縮成形・アイ 特にクリープ特性、二次加工法に優れた成形
ソスタティック成形
品が得られる。
ガスケット
スライディングパッド・ピストンリング
圧縮成形
圧縮成形
各種軸受
圧縮成形
ペースト押出成形
圧延加工
ペースト押出成形
含浸
コーティング
スプレー塗装
カーテンフロー塗装
スプレー塗装
充填・塗布
太物チューブ、未焼成テープ
細物チューブ、電線被覆
中〜太物チューブ
ガラスクロス編みパッキンなどへの含浸
非粘着コーティング(家庭・厨房器用)
家電、厨房機器
各種工業用途
潤滑、摺動用途
耐食、摺動用途
耐熱、非粘着用途
シール捕助剤
フッ素樹脂製品と品種
2−2 ネオフロンTMPFA
ネオフロン PFA は、テトラフルオロエチレンとパーフ
ルオロアルキルビニルエーテルの共重合体で、炭素原子と
フッ素原子より成る主鎖にパーフルオロアルコキシ基が結
合した分子構造をしています。
ネオフロン PFA は極低温から高温まで広い温度範囲で
ポリフロン PTFE と殆ど同じ優れた性能を示します。し
かも透明性が良く、ネオフロン FEP と比べて高温での機
械的強度に優れ一般の熱可塑性樹脂と同じ成形方法をとる
ことができます。
ペレット
粉体塗料
射出・押出・ブロー・圧縮成形に使用されます。
ネオフロンPFAの微粉末で、溶融流動性がよいのでピン
ホールのない厚膜のライニング塗膜が得られます。加工法
としては静電塗装や回転成形塗装法に適用し主に耐食用途
に使用されます。
2−3 ネオフロンTMFEP
ネオフロン FEP はポリフロン PTFE に溶融流動性を与
えたもので、ポリフロン PTFE と同様、分子はすべてフッ
素原子で取り囲まれており、分子鎖のところどころに三
フッ化メチル基(CF3)がはいっています。耐薬品性、電
気的性質、機械的強度などはポリフロン PTFE によく似
ていますが、耐熱性が約 60℃下がります。
ペレット
粉体塗料
押出成形、圧縮成形およびトランスファー成形に使用さ
れます。
ネオフロン FEP の微粉末で、溶融流動性がよいのでピ
ンホールのない厚膜のライニング塗膜が得られます。加工
法としては静電塗装や回転成形塗装法に適用し主に耐食用
途に使用されます。
ディスパージョン
ネオフロン FEP の微粉末の懸濁液で、水性と有機溶剤
系の3種類があります。溶融時の流動性がよいため、連続
したピンホールのない被膜が得られます。
フィルム
ネ オ フ ロ ン FEP よ り つ く ら れ た 高 性 能 フ ィ ル ム で、
260 〜 280℃で熱溶融し、ヒートシール、ラミネートお
よび深絞りが可能であるなど優れた加工性を持っています
ので、電気、化学をはじめとした一般産業用およびエネル
ギー産業、情報産業などの分野で使用されています。
フッ素樹脂製品と品種
2−4 ネオフロンTMETFE
ネオフロン ETFE は、テトラフルオロエチレンとエチ
レ ン の 共 重 合 体 で す。 ポ リ フ ロ ン PTFE や ネ オ フ ロ ン
FEP に比べ極めて容易な成形加工性と優れた機械的性質
を持ち、電気的・化学的性質にも優れたフッ素樹脂です。
とくに機械的強靭さと化学的・熱的・電気的特性を要求さ
れるところで使われます。
ペレット
粉体塗料
成形加工性が良く、射出・押出・ブロー成形などができ
ます。
ネオフロン ETFE の微粉末で、溶融流動性がよいので
ピンホールのない厚膜のライニング塗膜が得られます。加
工法としては静電塗装や回転成形塗装法に適用し主に耐食
用途に使用されます。
2−5 ネオフロンTMPVDF
ネオフロン PVDF は、CF2 と CH2 が交互に結合した直
鎖状構造を持つフッ化ビニリデン重合体です。
ネオフロン PVDF は、フッ素樹脂特有の諸性質を有す
るだけでなく、優れた機械的性質と、他のフッ素樹脂にな
い特異な誘電特性(圧電性 ・ 焦電性)・ 耐放射線性を持っ
ています。
成形加工性が良く、一般の熱可塑性樹脂と同様の溶融成
形ができ、二次加工法にも優れています。
ペレット
ネオフロン PVDF は、容易な成形加工性のため、押出・
射出・ブロー成形など一般の熱可塑樹脂と同様の成形加工
ができます。とくに機械的強度と耐食性、あるいは電気特
性の要求されるところに使用されます。
2−6 ネオフロンTMPCTFE
ネオフロン PCTFE は、ポリ塩化ビニル(CH2-CHCl)
n の水素原子をすべてフッ素原子で置換した構造の重合体
です。ポリフロン PTFE の構造単位のなかに塩素原子が
ひとつはいった形になります。この塩素原子によって流動
性と透明性が出てきます。ポリフロン PTFE やネオフロ
ン PFA、FEP、ETFE より耐熱性、耐薬品性は若干劣り
ますが、機械的性質は優れています。
モールディングパウダー・ペレット
圧縮成形用粉末です。押出成形用として、カサ比重を高
めたものとペレットとがあります。
フッ素樹脂製品と品種
各ネオフロンの品種と主な用途
種 類
品 種
ペ レ ッ ト
ネオフロン
PFA
お も な 品 番
AP-201, 202, 210, 230,
210AS, 230AS
AP-201SH, 211SH
215SH, 231SH
ACX-31, 34(薄塗りタイプ)
粉 体 塗 料 AC-5600, 5539
AC-5820
フ ィ ル ム AF0012〜2400
NP-101, 102
NP-20
ペ レ ッ ト
NP-30, 120
NP-40
NC-1500
ネオフロン 粉 体 塗 料 NC-1539N
FEP
NC-1810
ND-110
ディスパージョ
ン
ND-2R, 4R
おもな成形加工方法
電線・フィルム・チューブ・耐食ライニ
射出・押出・トランスファー ング
成形
(半導体用高純度フッ素樹脂)
半導体治具、配管継手、チューブ
静電塗装
回転成形
押出成形
射出・押出・ブロー成形
押出・ブロー成形
押出・トランスファー成形
静電塗装
回転成形
含浸・焼き付け塗装
EP-506, 526, 610
EP-546, 620
ネオフロン
フ ィ ル ム EF-0012, 0100
ETFE
EC-6510, 6520
粉 体 塗 料
EC-6820
ネオフロン
ペ レ ッ ト VP-825
PVDF
モールディング
M-300系
ネオフロン パウダー・ペレット M-400系
PCTFE
フ ィ ル ム DF-0015C1〜0075C1
IH炊飯釜、OAロール
耐食ライニング
容器・耐食ライニング
電線・絶縁シート・耐食ライニング
高速被覆電線
電線被覆・チューブ
厚肉被覆電線・保護ジャケット
ライニング、パイプ
耐食ライニング(クリヤー)
耐食ライニング(厚塗り)
耐食ライニング
ガラスクロスへの含浸
焼き付け塗装・キャストフィ 耐食ライニング、キャスティングフィル
ルム加工
ム非粘着加工用
離型用フィルム・電線・絶縁シート・エレク
トレット・耐食ライニング・防汚内外装材
フ ィ ル ム NF-0012〜2400
ペ レ ッ ト
お も な 用 途
射出・押出成形
射出・押出・ブロー成形
静電塗装
回転成形
射出成形
押出成形
圧縮・押出成形
電線・耐食ライニング・チューブ
自動車用ウインドモール
半導体ダクト、耐食ライニング
耐食ライニング
ナット・継手
パイプ・チューブ・モノフィラメント
パッキン・ガスケット・液面計・配管材
料・フィルム
防湿フィルム
2−7 ルブロンTM
低分子量四フッ化エチレン樹脂で、白色の微粉末です。
乾性潤滑剤として工業用から家庭用品まで広く使われ、ま
商品番号
L-5,L-5F
L-2
LDW-410
性 質
白色微粉末
白色超微粉末
水性懸濁液
た離型剤としても使用されています。
用途および特徴
乾性潤滑剤、プラスチック、ゴム、塗料、インクな
どへの潤滑・離型用配合剤、極圧添加剤など
塗料、インクなどへの潤滑用配合材
フッ素樹脂の性質
§3.フッ素樹脂の性質
フッ素樹脂の優れた諸性質は、フッ素原子のもつ強い結
合エネルギーによるものですから、炭素の主鎖のまわり
がすべてフッ素原子に取り囲まれているポリフロン PTFE
が最高の諸特性を備えていることは当然です。ネオフロン
PFA、FEP、ETFE は側鎖等の影響で熱間流動性を示し、
融点がポリフロン PTFE より若干低くなりますが、その
他の性質はほとんど変わりません。ネオフロン PCTFE は
フッ素原子3個に対し塩素原子が1個ずつはいっていま
す。したがって耐熱性、耐薬品性、電気的特性はポリフロ
ンより劣りますが、他の熱可塑性樹脂よりはるかに優れて
います。また、機械的強度も優れその他のネオフロンと同
様にポリフロン PTFE にない透明性を有しています。
3−1 熱的性質
フッ素樹脂は難燃性で、図に示すようにいずれも優れた
耐熱性を有しています。とくにポリフロン PTFE とネオ
フロン PFA は常用 260℃、短時間では 300℃まで使用で
きます。ネオフロン FEP はこれより約 60℃低くなります。
ネオフロン PCTFE は最高 120℃までは使用できますが、
それ以上の温度で長時間さらされますと結晶化によるぜい
化が起こりますので、ライニング製品では注意が必要です。
連続最高使用温度
難 燃 性
ポリフロンPTFE※
ネオフロンPFA※
ネオフロンFEP※
ネオフロンETFE※
ネオフロンPVDF
ネオフロンPCTFE※
限界酸素指数(Vol.%)
95<
95<
95<
31 43 95 UL94 Flam. Class.
94V-0
94V-0
94V-0
94V-0
94V-0
94V-0
燃焼熱 J/g
7,700
15,600
18,370
※UL認定グレード:ポリフロンPTFE F-201,F-205,F-203,M-12,M-111,M-112.
(ファイルNO E52460)ネオフロンPFA AP-210,AP-230.
ネオフロンFEP NP-20,NP-21,NP-22,NP-100,NP-101,NP-120,NP-30,NP-40.
ネオフロンETFE EP-521,EP-522,EP-541,ネオフロンPCTFE M-300H,M-300P,M-400H.
フッ素樹脂の性質
3−2 摩擦・磨耗特性
フッ素樹脂の中で、とくにポリフロン PTFE はすべて
の個体に比べて最も低い摩擦係数を示し、特異な自己潤滑
性をもっています。ただしポリフロン PTFE 単独では摩
耗が大きく、また耐コールドフロー性もよくないので、
種々
のフィラーを配合して耐摩耗性、耐荷重性を向上した品種
が開発されています。
フッ素樹脂の性質
3−3 非粘着性
フッ素樹脂には特異な非粘着性があり、どんな粘着性の
物質も粘着することはありません。ポリフロン PTFE お
よびネオフロン FEP は特にこの性質が強く、特別な処理
をしないかぎりたとえ粘着性の物質で接着しても容易に離
れます。
各種プラスチックおよび金属の表面特性
水の表面張力= 72.7mN/m(20℃)
ポ リ フ ロ ン PTFE
ネ オ フ ロ ン PFA
ネ オ フ ロ ン FEP
ネ オ フ ロ ン ETFE
ネ オ フ ロ ン PVDF
ネ オ フ ロ ン PCTFE
シ リ コ ー ン 樹 脂
パ
ラ
フ
ィ
ン
ポ
リ
エ
チ
レ
ン
ナ
イ
ロ
ン
フ ェ ノ ー ル 樹 脂
銅 ( 電 解 研 磨 )
ア ル ミ ニ ウ ム( 電 解 研 磨 )
水に対する接触角
(度)
110
115
114
96
82
84
90 〜 110
105 〜 106
88
77
60
9.6
4.6
臨界表面張力※
(mN/m)
18.5
17.8
17.8
22.1
25
31
—
—
31
46
—
—
—
接着エネルギー
(mN/m)
43.1
42.0
42.0
61.4
—
—
47.8 〜 72.7
52.7 〜 53.8
75.2
97.7
109.0
144.2
145.0
※臨界表面張力:固体に対して接触角が0°となるような架空液体の表面張力。
1mN/m = 1dyne/cm
3−4 電気的性質
フッ素樹脂は電気絶縁性が良好で、高周波特性も優れて
います。特にポリフロン PTFE は広い周波数領域にわたっ
て誘電率および誘電正接が一定で、しかもすべての絶縁物
中で最小です。
フッ素樹脂の性質
3−5 耐薬品性
フッ素樹脂は、いずれも化学薬品に対して優れた抵
抗 性 を 示 し ま す。 ポ リ フ ロ ン PTFE お よ び ネ オ フ ロ ン
FEP,PFA は、フッ素ガス(元素フッ素)、三フッ化塩素、
溶触アルカリ金属を除くすべての化学薬品に対して安定
で、あらゆる酸、アルカリ、酸化剤、有機溶剤にも侵され
ません。ネオフロン ETFE も、ほとんどの薬品に侵され
ません。またネオフロン PCTFE も無機の酸、アルカリお
よびほとんどの有機溶剤に対して完全な耐食性を示します
が、高温ではアンモニア、塩素ガスに若干侵され、ある種
の高ハロゲン化物やハロゲンを含む芳香族化合物には高温
で膨潤します。
フッ素樹脂の薬品吸着性
吸着曲線の形からみた実用性
A以下
ネオフロンFEP・PFA クロロホルムを除く全
ポ リ フ ロ ン P T F E 薬品
A〜B
硫酸、塩酸、
カ性ソーダ
ネ オ フ ロ ン P V D F 塩酸
トルエンとクロロホル
ムを除く全薬品
E
硫酸、塩酸、
カ性ソーダ
10
C
T
F
E
X,Y
クロロホルム
アンモニア水、アセトン、
硝酸、クロロホルム
トルエン、ジエチルアミン
クロロホルム
左記以外の薬品
ネ オ フ ロ ン E T F E
ネオフロンPCTFE
B〜C
トルエン
クロロホルム
アセトン、トルエン、
ジエチルアミン
硫酸、アンモニア水、
クロロホルム
フッ素樹脂の性質
3−6 ガス透過性
3−7 光の透過性
11
フッ素樹脂のおもな成形加工法
§4.フッ素樹脂のおもな成形加工法
4−1 圧縮成形
12
フッ素樹脂のおもな成形加工法
4−2 押出成形
13
フッ素樹脂のおもな成形加工法
4−3 ペースト押出成形と圧延加工
14
フッ素樹脂のおもな成形加工法
4−4 射出成形
4−5 塗装
15
フッ素樹脂のおもな成形加工法
ネオフロンPFA・FEP・ETFE 粉体塗料
● 原料:ネオフロンPFA・FEP・ETFE 粉体塗料
16
フッ素樹脂の取扱い、機械・接着加工、金型設計
§5.フッ素樹脂の取扱い、機械・接着加工、金型設計
取扱い
●フッ素樹脂が付着した煙草の喫煙により分解ガスを吸
入する恐れがありますので、取扱い場所及び作業所は
禁煙とすると共に煙草を持ち込まないようにして下さ
い。
●取扱い後は衣服等に付着した塵等を払い落し、顔や手
を良く洗い製品が煙草に付着しないように注意して下
さい。
●樹 脂の焼成中あるいは樹脂温度が高温(PTFE・PFA
= 260℃、FEP = 205℃、ETFE = 150℃、PCTFE
= 120℃)になる場所では換気を良くすると共に局
所排気装置を設置してください。燃焼した時に生じる
ヒュームを吸入すると、流感に似た症状のポリマー
ヒューム熱を生じる恐れがあります。
●焼成時などに樹脂温度が高温(PTFE・PFA = 380℃、
FEP = 360℃、ETFE = 310℃、PCTFE = 265℃)
以上にならないように管理を行ってください。高温に
なると熱分解が多くなり、フッ化水素等が生成する可
能性が高くなります。高温になる恐れがある時は、換
気を良くすると共に高所排気装置を設置して下さい。
●取扱い時には保護メガネ(場合によってはゴーグル)
を使用して下さい。
●廃棄する場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
に従って処理を行い、焼却は絶対にしないで下さい。
●ご使用前には製品安全データシート(MSDS)を必ず
お読み下さい。
機械加工
フッ素樹脂、とくにポリフロン PTFE は成形が比較的
むずかしいので、寸法精度を要する場合や製品の形状が複
雑な場合、または1〜2個の模型がほしい場合には、成形
品素材を機械加工することによってつくります。またポリ
フロン PTFE の焼成フィルム、テープのような簡単な製
品も丸棒より切削してつくっています。
フッ素樹脂はいずれも機械加工がしやすく、旋盤やボー
ル盤などの標準的な切削技術がすべて適用でき、必要な形
状の製品を容易につくることができます。ただし、フッ素
樹脂は熱伝導率が低いので、機械加工のさいに過度の発生
熱や局部的な熱はその部分の膨脹の原因になりますので注
意することが必要であり、適当な切削速度、工具の選定が
必要です。
接着加工
フッ素樹脂は、ポリエチレンと同様にそのままの状態で
は接着剤によって他の物質に接着することは困難ですが、
その表面を化学的処理をすることによって接着できるよう
になります。通常その処理は、金属ナトリウムと液体アン
モニア、またはナフタリン液との混合液によって窒素気流
中で処理する方法が用いられています。現在市販されてい
るポリフロン PTFE の接着処理テープやフィルムはこの
方法によって造られています。接着加工を行う場合には使
用条件によって最適な接着剤を選定することが必要です。
一般にエポキシ系やシリコーン系の接着剤がよく使われま
す。
フッ素樹脂相互の接着では薄いシート、フィルム、テー
プを接着するさいには加熱した熱板で加圧圧着する方法が
用いられます。
ネオフロン FEP,ETFE は 260 〜 280℃で熱溶融します
ので、ヒートシール、溶接、熱接着加工などが容易です。
金型設計
ポリフロン PTFE は、初期形状またはそれに近い金型
キャビティに入れ常温で圧縮成形して一定の形状とする成
形法が多くとられますが、この予備成形の金型は充てんし
た粉末に圧力が均一にかかるように設計する必要がありま
す。すなわち、加圧方向(垂直方向)には圧力はかかりま
すが、粉末は圧縮されても圧力に直角の方向には流動しま
せんから、加圧方向にのみ粉末がスムーズに流動するよう
に設計しなければなりません。底のある容器のようなもの、
フランジのついた形状のものは各部に均一な圧力が働くよ
うに注意してください。
ポリフロン PTFE の圧縮成形において金型中で焼成す
る場合や、ラム押出成形、各ネオフロンの成形などは成形
温度が高く、成形温度でわずかですが分解して腐食性のガ
スを発生します。また、さびによる製品の汚染を防ぐため、
金型はすべてステンレスにするか、硬鋼に硬質クロムメッ
キをしてください。
17
フッ素樹脂の性質比較表
§6.フッ素樹脂の性質比較表
ポリフロン
PTFE
ネオフロン
PFA
ネオフロン
FEP
ネオフロン
ETFE
ネオフロン
PVDF
ネオフロン
PCTFE
2.13〜2.22
2.12〜2.17
2.12〜2.17
1.70〜1.86
1.76〜1.78
2.10〜2.14
%
<0.00
<0.01
<0.01
<0.1
0.04
<0.00
cm/cm
0.02〜0.05
0.03〜0.06
0.03〜0.06
0.02〜0.03
0.014
0.015〜0.020
度
110
115
114
96
82
84
W/m・K
℃/cm
0.25
—
0.24
0.13
0.20〜0.22
1/℃
10×10−5
点
℃
325〜331
質 溶 融 粘 度
P
連続最高使用温度
℃
260
260
200
150
150
120
性 質
物
理
比
吸
水
ASTM試験法
重
D792
率
D570
測定条件
24h 1/3″t
単 位
的
性
質
成 形 収 縮
接
触
角
熱 伝 導 率
熱
的
性
機
械
線 膨 張 係 数
融
対水
C177
D696
23〜60℃
0.25
12×10
(8.3〜10.5)×10
(5〜9)×10−5
(+20〜+100℃) (−50〜+100℃)
−5
295〜310
103〜104
1010〜1012
(340〜380℃) (380℃)
−5
250〜275
220〜262
4.2×10−5 (4.5〜7.0)×10−5
172〜178
211〜216
4×103〜104
103〜104 2×102〜104
106(230℃)
(380℃) (300〜330℃) (210〜170℃)
引 張 り 強 さ
D638
23℃
MPa
20〜50
19〜56
19〜22
30〜60
39〜59
30〜60
伸
び
D638
23℃
%
200〜600
250〜610
250〜330
300〜650
300〜450
30〜330
圧 縮 強 さ
D695
1%変形,25℃
MPa
5〜6
5〜6
5〜6
11
13〜14
9〜12
引張り弾性率
D638
23℃
MPa
392
451
343
490〜784
曲 げ 弾 性 率
D790
23℃
MPa
490〜588
647〜686
539〜637
衝 撃 強 さ
D256
23℃ 1zod
J/m
160
破壊せず
破壊せず
破壊せず
1104
133〜144
D50〜D65
D60〜D70
D55
D70〜D80
D75〜D85
D75〜D85
784〜1,960 1,029〜2,058
882〜1,372 1,372〜1,764 1,274〜1,764
的
性
質
硬
さ
Durometer
変
形
D621
100℃,
7MPa,24h
%
5.0
0.4
5.0
5.4
2.4
2.6
変
形
D621
25℃
14MPa,24h
%
7.0
2.7
3.0
2.3
0.7
0.2
対磨き鋼
0.02
0.05
0.05
0.06
0.4
0.08
静 摩 擦 係 数
比 誘 電 率
D150
103Hz
2.1
2.1
2.1
2.6
7.72
2.3〜2.7
比 誘 電 率
D150
106Hz
2.1
2.1
2.1
2.6
6.43
2.3〜2.5
誘 電 正 接
D150
103Hz
<1×10−5
1×10−5
6×10−5
8×10−4
1.9×10−2
(2.3〜2.7)×10−2
誘 電 正 接
D150
106Hz
2×10−5
3×10−4
5×10−4
5×10−3
0.159
1×10−2
質 絶縁破壊の強さ
D149
短時間3.2mm
MV/m
19
20
20〜24
16
10
20〜24
体積固有抵抗
D257
Ωcm
>1018 >1018
>1018
>1016
2×1014
>1016
耐 薬 品 性
優秀
優秀
優秀
優秀
優
優秀
耐
候
性
優秀
優秀
優秀
優秀
優秀
優秀
難
燃
性
>95
>95
>95
31
43
>95
電
気
的
性
18
D2863
限界酸素指数
Vol.%
フッ素樹脂のおもな用途
§7.フッ素樹脂のおもな用途
耐食性を利用した用途 非粘着性を利用した用途 潤滑性を利用した用途 電気特性を利用した用途
ポリフロンTM
PTFE
ネオフロンTM
PFA
ネオフロンTM
FEP
○配管材料(化学関係など)
ガ ス ケ ット 、パ ッ キ ン
グ、バルブ、シート、ポ
ン プ 、吸 込 管 、チ ュ ー
ブ・ホース、パイプライ
ニング、生テープ・シー
ル材(多孔体)
○シートライニング
(反応容器、タンク類)
○耐食容器—半導体用
○多孔膜—フィルター
○繊 維 — 濾 過 布 、フェル
ト、縫糸
○厨房器具
フ ラ イ パ ン 、ホ ット プ
レート、炊飯器、餅つき
器
○食品工業
練 りロ ー ル 、圧 延 ロ ー
ル、コンベアホッパー
○冷凍食品製造装置—コン
ベア—ベルトなど
○成形金型離型
発砲スチロール金型、合
板・化粧板製造用離型板
○製紙繊維機械
サイジングロール、アイ
ロン
○複写機—乾燥ロール
○バックフィルター
○スポーツウェア、テント
その他の用途
○ポリフロンTFE含浸ガラ
○電線
スクロス—テント
機器配線用、ラッピング
用、耐熱・耐寒用
○ケーブル
フラットケーブル、リボ
ンケーブル、高周波用同
軸ケーブルなど
○電気絶縁体(フィルム)
モ
ー タ ー 用 、ト ラ ン ス
バックアップリング、
用、コンデンサー用
スリッパーシール 、 ○電子機器部品
リップ型シール、オイ
絶縁テープ、収縮チュー
ルシールなど
ブ 、プ リ ント 基 板 、ソ
○スライディングパッド
ケット・コイルボビン、
コネクター、遮断器部品
高層建築、橋梁、パイプ
ライン
○その他
○ガ イド レ ー ル 、す べ り 電磁波レンズ、硝子、面
レールなど自動充てん装
状・管状発熱体
置、食品加工機械
○その他
カ セ ット シ ート 、精 密
機械、クラッチ板、カメ
ラ・時計の摺動部品、自
動車部品
○すべり軸受
紡織機械、食品加工機、
包装機、エレベーター、
染色機械、撹拌機、ガソ
リン計量器、建設機械、
乾燥機ファン
○ピストンリング
油圧用シール
○容器・器具
○離型用フィルム
ウエハーバスケット、化
学・医薬実験用器具
○配管材料
フレキシブルチューブ、
ベ ロ ー 、熱 交 換 機 用
チューブ、膨張継手、索
導管
○ライニング
バルブ・パイプ・継手・
ポンプ・タンク
○シートライニング
○モノフィラメント
ス ク リ ー ン 、 フ ィ ル
ター、デミスター
○電線、ケーブル
○PTFEの接着剤
機器配線用電線
耐熱電線
同軸ケーブルのジャケッ
ト
フラットケーブル
○電子・電気部品
コネクター、ソケット
○配管材料
チューブ・熱交換機
パイプ(ライニング)
バルブ(ライニング)
ポンプ(ライニング)
○シートライニング
○半導体製造治具
○理化学機器
○フィラメント
スクリーン・デミスター
○電線・ケーブル
工業用耐熱ケーブル
電子機器配線
航空機用配線
超高電圧ケーブル
○電子・電気部品
ソケット、コネクター、
タ ー ミ ナ ル 、コ ン デ ン
サー
○絶縁チューブ
収縮チューブ
○エレクトレット・マイク
ロフォン
○コーティング
(合板用・エポキシ用)
○離型用フィルム
○ロールカバー(収縮フィ
ルム)
○自 動 車 用 索 導 管( す べ
り)
○高温接着剤
(PTFE、金属など)
○通信配線用電線・プレナ
ムケーブル
(難燃性)
ネオフロンTM
ETFE
○容器・器具
○離型用フィルム
ウエハーバスケット、化
学・医療実験器具、コイ
ル ボ ビ ン タワ ー パ ッキ
ン、薬品用バルブ、ポン
プインペラー
○配管材料
フレキシブルチューブ、ベ
ロー、膨張継手、熱交換器
用チューブ
○ライニング
バルブ・パイプ・継手・
ポンプ・タンク
○フィラメント
ス ク リ ー ン 、 フ ィ ル
ター、デミスター
○鋼板・建材ラミネート用
○電線、ケーブル
機器配線用電線
フィルム
耐熱電線
○ソ ー ラ ー コレ ク タ ー カ
フラットケーブル
バー材
同軸ケーブルのジャケッ (耐候性の利用)
ト
○電子・電気部品
コネクター、ソケット
○プリント基板
コンデンサー用フィルム
ネオフロンTM
PVDF
○配管材料
熱収縮チューブ・熱交換
器
パイプ
バルブ(ライニング)
ポンプ(ライニング)
○容器・器具
タワーパッキン
ポンプケーシング
インペラー・カップリン
グ
半導体用洗浄槽
○洗浄槽ライニング
○フィラメント
スクリーン・フィルター
デミスター
○自動車・ブレーキチュー
ブ保護被覆
○電子、電気部品
コ ン デ ン サ ー・ス ピ ー
カー
ヘッドホン・マイクロホン
探触子・圧力計
キ ー ボ ード・触 覚 セ ン
サー
レザーパワーメータ
○建材ラミネート用フィル
ム
○耐候性フィルム
○機器配線用電線
(絶縁性・カットスルー
性)
○耐熱電線
(耐熱性)
○耐候性塗料
屋根、側壁、ドア、
シャッター、石油タ
ンク、野外配送管、
厨房器具、鋼製家具
○ボビン、ターミナル
○防湿フィルム
ネオフロンTM
PCTFE
○パイプ、液面計
○パッキン、ガスケット
○ポンプ
(理化学・医療・半導体
用)
○バルブ・継手
(理化学・医療・半導体
用)
○理化学器具
○極低温機器用シール
19
ダイエルの特長
第Ⅱ編 フッ素ゴム <ダイエル>
ダイエルは、一般にフッ素ゴムと呼ばれているフッ素系
の弾性体です。− 30℃〜+ 250℃にわたる広い温度範囲
で使用でき、油、溶剤、酸、アルカリ、オゾンなどに対す
る抵抗性も優れているため、他の弾性体では使用できな
かったような荷酷な条件下で利用されています。成形用だ
けでなく、取扱いの容易な塗装用水性タイプのラテックス
もあります。
§1.ダイエルの特長
●耐薬品性が優れている。
硫酸、塩酸をはじめとする無機酸やアルカリに対して強
い抵抗性を示します。とくに G-801,G-901 などの品種は
スチームや鉱酸に対して優れた耐性を示します。
●耐候・耐オゾン性が極めて良好です。
オゾン、光などの環境に対しても、ダイエルは市販され
ているゴムの中で最高の抵抗性を示します。
●自己消火性です。
ダイエルは自己消火性のゴムです。
●耐熱性が優れている。
空気中であれば、230℃でも長時間の使用に耐え、短時
間であれば 300℃まで使用可能です。
●圧縮永久ひずみが小さい。
品種によって耐圧縮永久ひずみ性が異なりますが、ポリ
オール加硫タイプ(G-701 など)は、圧縮永久ひずみが
非常に小さい品種です。
●耐油性が非常に良い。
耐熱性とともに、優れた耐油性があります。他の耐熱性
ゴムであるシリコーンゴム、アクリルゴムとくらべてもダ
イエルの耐油性は最高レベルにあります。
●気体透過率が小さい。
気体透過性に対して高い抵抗性をもっており、10 − 6 〜
10 − 9 Torr といった高真空を必要とする諸装置でバルブ類
のシール材などとして広く使用されています。
●耐溶剤性が優れている。
各種の溶剤に対しても強い抵抗性を示します。とくに芳
香族、脂肪族、ハロゲンを含む溶剤に対して優れた抵抗性
があります。
●食品衛生法を満足する。
G-801,G-901 などは、食品衛生法に基づく規格試験(厚
生省告示第 370 号)に適合します。
主な合成ゴムと特性
加 硫 ゴ ム の 物 理 的 ・ 化 学 的 性 質 お よ び 耐 性
耐 熱 性 耐 油 性 耐酸 ・
電気絶縁性
耐スチーム性
(最高使用温度) 耐 溶 剤 性 耐アルカリ性
体 積固有 抵 抗
ダ イ エ ル
◎
(フッ素ゴム)(300℃)
耐候性
耐放射
(耐オゾン性) 線性
耐ガス
透過性
耐寒性
反発
弾性
耐摩
耗性
酸◎〜○
アルカリ△
◎〜○
1012 〜 1014
◎
◎
△〜○
◎
△
△
○
○
○
1013 〜 1016
×〜△
◎〜○
△〜◎
△
◎
◎
×〜△
△
△〜○
△
108 〜 1010
×〜△
○
×〜○
○
△
△
○
×〜△
○
○
1012 〜 1015
×
○
×
○
○
○
○
◎
シリコーンゴム
◎
極性◎
(280℃) 非極性×
アクリルゴム
○
(150℃)
エチレンプロ
○
ピレンゴム
(150℃)
耐炎性
ニトリルゴ ム
△
(130℃)
○
△〜○
○
102 〜 1010
×〜△
×
△〜○
○
△
○
◎
ブチルゴム
○
(150℃)
×〜△
○
○
1016 〜 1018
×
○
×
◎
○
△
○
◎優れている。 ○良好。 △あまり良くない。 ×良くない。
20
ダイエルの品種
§2.ダイエルの品種
状
雑
形
出
縮
複
法
着
工
接
加
カ レ ン ダ ー
ML1+10
100℃
奨
トランスファー
射出
比重
推
押
(mass %)
圧
フッ素濃度
加硫系
商品番号
ムーニー粘度
:中心値
特 長
G-101
66
1.76
—
G-211
69
1.84
約 70
G-501
68
1.84
約 100
G-701
66
1.81
約 55
○
G-702
66
1.81
約 54
○
G-704
66
1.81
約 45
○
G-751
66
1.81
約 52
G-752
66
1.81
約 50
G-755
66
1.81
約 45
G-7211
66
1.81
約 40
G-7801
66
1.81
約 91
G-555
69
1.87
約 43
G-558
69
1.87
約 45
G-551
69
1.87
約 80
G-671
66
1.80
約 60
○
G-603
71
1.90
約 54
○
G-621
71
1.90
約 88
○
●耐アルコール・燃料油・溶剤性優秀
●ロール加工性良好
●離型性良好
G-801
66
1.81
約 66
○
●低温性良好
●食品関連用途に適す
G-952
69
1.84
約 80
○
●耐熱性・耐スチーム性良好
●耐アルコール性と低温性のバランスが良好
G-901
71
1.90
約 97
○
●耐アルコール・耐溶剤性良好
●食品関連用途に適す
G-902
71
1.90
約 50
G-912
71
1.90
LT-302*1
(64)*1
[ サーモ
プラスチック ]
T-530・T-550
—
ポリアミン
加硫
—
液状ゴム
●フッ素ゴムの加工性改良・低硬度化用助剤
○
●押出性良好 (★ G-501 の低粘度品)
○
●動的用途に適す
○
●静的用途に適す
○
○
●押出性良好
●流れ性良好
○
ポリオール加硫(加硫剤・加硫促進剤プレミックス)
○
○
○
○
○
○
●機械的性質良好
●動的用途に適す
○
●接着性・加工性良好
○
●接着性・加工性良好
●機械的性質良好
●押出性優秀
●ロール混練性・分出性良好
●伸びが大きい
○
●流れ性良好
●圧縮永久ひずみ性良好
○
●圧縮永久ひずみ性良好
○
○
○
○
○
○
●耐アルコール性と低温性のバランスが良い
●押出性良好
○
○
●低燃料油透過、押出性良好
●動的用途に適す
●耐アルコール性と低温性のバランスが良い
●低温度良好
○
●耐アルコール・耐溶剤性良好
●押出性優
○
パーオキサイド加硫
○
○
約 76
○
△
△
1.79
約 65
○
1.89
—
放射線
○
○
●耐アルコール・耐溶剤性良好
●押出性良好 (★ G-901 の加工性改良)
△
○
熱可塑性
●耐アルコール・溶剤性・耐熱性優秀
●圧縮永久ひずみが小さい
●低温特性が非常に優れる
●低温から高温時に圧縮永久ひずみが小さい
●溶出物が少ない
●透明性・耐薬品性良好
注)*1)酸素原子を含む為、通常のフッ素ゴムよりも低くなります。溶剤に対する膨潤度は2元系フッ素ゴム(フッ素濃度:66%)なみです。
21
ダイエルの加工
§3.ダイエルの加工
ダイエルは、普通のゴム加工装置を用いて作業ができま
す。水冷を充分きかせたロールに生ゴムを巻きつけたのち
すぐ配合を始めます。配合は受酸剤、充てん剤、加硫剤の
順に加えるのが望ましく、配合剤の分散の良否は加硫ゴム
の性質に大きく影響をおよぼしますので、混合後数時間な
いし一夜室温で熟成したのち仕上げ練りするとよい結果が
22
得られます。
加硫は、通常プレス加硫を 150 〜 180℃で5〜 30 分、
オーブン加硫を 180 〜 260℃で約8〜 48 時間行います
が、肉厚の製品では発砲を防ぐためにオーブン加硫を段階
的に行う必要があります。
ダイエルの用途
§4.ダイエルの用途
汚
染
性
食 品 安 全 性
非
性
○
耐気体透過性
耗
○
摩
ト
ス
耐
○
性
○
候
機
耐
○
性
ク
ク
○
水
レ
ニ
舶
性
エ
ロ
空
○
品
航
○
(耐燃料性)
○
船
車
性
動
耐
薬
剤
性
性
自
耐スチーム性
耐
油
溶
耐
熱
耐
耐
利用される
主な特性
分 野
キャブレターのフランジガスケット
バルブステムシール、ダイアフラム、
燃料ホース、排気ガス再燃焼装置
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○
用 途 例
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船尾管シール、バタフライバルブ
ドレンホース、防火壁シール
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ドライエッチング装置
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理 化 学 機 器
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燃料電池・石油貯蔵タンク、熱交換
器・ソーラコレクター
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○
○
電解槽・保護具・耐酸ホース
○
化
学
工
業
○
機
械
関
連
○
金 属・ 鉱 業
○
○
情
報
関
連
○
○
○
公
害
防
止
○
○
○
食
品
○
○
家
庭
○
○
電
機
林
水
産
土
木
建
築
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○
○
○
圧力調節弁、ベーンポンプ、ドライ
クリーニング装置、電磁切替弁、ア
キュームレータ
○
スクイーズロール
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○
○
○
スネークポンプ、ガスホルダー
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プレート式熱交換器・自動販売機
○
コーヒーメーカー、ポットジャー
トランスの安全弁
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乾式複写機
○
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○
薬栓
乾燥機(スポンジゴム)・F2 ガス用
ポンプ
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(耐オゾン性)
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農
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○
○
医 薬・ 医 療
エ ネ ル ギ ー
○
○
薬剤散布スプレー
ソーラコレクター
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ダイエルの取扱い
§5.ダイエルの取扱い
(1)ダイエルの加工時の注意
① 混練り
ダイエルは他の汎用ゴムと同様な充填剤及び混練設
備の使用が可能ですが、冷却が必要です。金属粉末や
10%以上でのアミン化合物の使用は避けてください。
金属粉末例えばアルミニウム、マグネシウム、真鍮粉末
や 10%以上のアミン化合物の使用下ではフッ素ゴムと
混練すると、
混練時の温度上昇やシェアーによって、フッ
素ゴムと急激に反応し、混練設備のみならず、作業者に
対しても甚大な損傷を与える事が考えられます。
② 加硫
ダイエルの加硫時や高温での使用時には、フッ化水素
や酸フルオライドを含む微量の有毒なガスが発生しま
す。(パーオキサイド加硫の場合、ゴム成分から発生す
るフッ化水素や酸フルオライド及び有機過酸化物との反
応から発生するアセトン、メタノール、アセトアルデヒ
ド、ヨウ化メチル、一酸化炭素などがあります。)
これらのごく微量の発生ガスは、一般にゴム製造現場に
設置されている給排気設備によって、作業雰囲気下より
排除されるものと考えます。
大量にフッ素ゴムを取扱うユーザー等にあっては、そ
の発生ガス(特に HF など)の量によっては、労働安全
衛生法(特定化学物質)、大気汚染防止法の規制を受け
る事があります。
(2)ダイエルの取扱い上の注意
ダイエルの加硫時や加硫ゴムの高温での使用時には、少
量のガスを発生し、人体に有害や作用をおよぼすことがあ
りますので、室内の換気を十分に行うことが必要です。な
お、有毒ガスが発生しますので、スクラップを処分する場
合には燃やしてはいけません。廃棄する場合は産業廃棄物
処理業者に契約して委託してください。
製品が付着したタバコの喫煙により、有毒ガスを吸入す
24
るおそれがありますので作業場は禁煙とし、作業のあとは
顔や手を洗うなどして、製品がタバコに付着しないよう注
意してください。
また配合剤として、アルミ粉末のような金属微粒子を使
用した配合物は、高温で激しく分解することがありますの
で、配合剤として金属微粒子を使用しないでください。
MEMO
MEMO
当社は、フッ素化学製品を製造する国内工場で環境マネジメントに関する国際規格ISO 14001*1の認証と、
品質マネジメントシステムに関するISO9001*2の認証を取得しています。
*1.ISO 14001とは、ISO(国際標準化機構)が判定した、環境保全活動に適用される規格です。当社は、
国際的に認定された認定機関によって、環境に配慮した活動、製品及びサービスの提供を行っている
ことが認められました。
*2.ISO9001とは、ISOが制定している品質マネジメントシステムに適用される規格です。当事業部は国
際的に認定された認証機関によって、顧客要求事項および適用される規格要求事項を満たした製品を
一貫して提供する能力を持つことを認証されました。
●当資料に記載した商品は、一般産業用途向けに供給しているものであり、特に医療用途に適するように設計、
製造しておらず、医療用途への適性や安全性についての試験を行っておりません。したがいまして、医療用
途の原料としての適性や安全性につきまして何ら保証できかねますので、医療用途へのご使用についてはお
客様自らの試験、医療専門家の見解や当局の法的規制等に基づき、お客様にご判断いただかなければなりま
せん。また、当該用途に使用される場合、弊社が提示する条件・内容の契約に合意いただける場合にのみ、
本商品を提供させていただきます。
●当資料に記載したデータは実測値の一例であり、また、記載の用途例は本商品の当該用途への適用結果を保
証するものではありません。
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古紙配合率100%再生紙を使用しています。
化.Feb. 2012 GFP −1d(001)MB