株式学習ゲームを活用した持続可能な開発のための教育 兵庫県立神戸商業高等学校 Ⅰ 神 田 貴 司 はじめに 現在、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済成長と人口増加に伴い、地球 上では、気候変動・生物多様性の喪失・資源の枯渇・貧困の拡大などが進んで いる。 2002 年 の 国 連 総 会 に お い て 、2005 年 か ら の 10 年 間 を「 国 連 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 ( 以 下 「 国 連 E S D 」 と い う ) の 10 年 」 と 決 議 さ れ 、 国 連 E S D の 10 年 の 提 唱 国 で あ る 日 本 で も 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 ( 以 下 「 E S D」という)が推進されてきた。持続可能な開発のためには、私たち一人ひと り が 環 境 問 題 や 開 発 問 題 な ど の 理 解 を 深 め 、日 常 生 活 や 経 済 活 動 の 場 に お い て 、 自分自身の行動を変革する必要がある。 し か し 、 国 連 E S D の 10 年 に お い て 、 そ の 成 果 が 十 分 に 得 ら れ て い な い の が 現 状 で あ る 。持 続 可 能 な 社 会 の 実 現 の た め に 、2015 年 以 降 も 更 な る E S D の 推進が必要である。 そこで、ESDのさらなる推進に株式学習ゲームが有用であるかを考えてい きたい。 Ⅱ ESD 1 ESDとは ESDは、 「 Education for Sustainable Development」の 略 で 、日 本 語 訳 は 、 「持続可能な開発のための教育」である。国連「環境と開発に関する世界委員 会 」 の 報 告 書 で あ る 『 我 ら 共 通 の 未 来 (Our Common Future)』( 1987 年 ) に よ れ ば 、持 続 可 能 な 開 発 と は 、 「将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損な うことなく、今日の世代のニーズを満たすこと」と定義されている。 ESDとは、地球に存在する人間を含めた命ある生物が、遠い未来までその 営みを続けていくために、様々な課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが 自分にできることを考え、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続 可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動である。つまり、ESDと は 、「 持 続 可 能 な 社 会 の 担 い 手 を 育 む 教 育 」 で あ る 。 1 2 国 連 E S D の 10 年 の 日 本 の 取 組 ( 1 ) 国 連 E S D の 10 年 2002 年 に 行 わ れ た 持 続 可 能 な 開 発 に 関 す る 首 脳 会 議( ヨ ハ ネ ス ブ ル グ・サ ミ ッ ト ) に お い て 、 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 鍵 が 「 教 育 」 と 考 え た 日 本 は 、2005 年 ~ 2014 年 の 10 年 間 を 「 国 連 E S D の 10 年 」 と す る こ と を 提 唱 し た 。 国 連 E S D の 10 年 が 国 連 総 会 で 満 場 一 致 で 決 議 さ れ た こ と を 受 け 、 日 本 政 府が国内の実施計画を策定し、学校教育現場や社会教育現場などでESDが進 められた。 (2)日本国内の実施計画 2006 年 に 国 連 E S D の 10 年 の 実 施 計 画 が 策 定 さ れ た 。 こ の 計 画 に お い て 、 ESDの目標が「すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、また、持続可能 な開発のために求められる原則、価値観及び行動が、あらゆる教育や学びの場 に取り込まれ、環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるよ うな行動の変革をもたらすことであり、その結果として持続可能な社会への変 革を実現すること」とされた。 (3)学校教育における取組 2008 年 に 改 正 教 育 基 本 法 に 基 づ き 、教 育 施 策 の 基 本 的 な 方 針 等 を 定 め る 教 育 振興基本計画の重要な理念の一つとしてESDを位置づけるとともに、5 年間 に 取 り 組 む べ き 施 策 と し て 、 E S D の 推 進 を 盛 り 込 ん だ 。 2013 年 に は 、 第 2 期の教育振興基本計画に、より明確にESDの推進を位置づけた。 2008 年 に は 、 小 学 校 と 中 学 校 の 学 習 指 導 要 領 に 、 2009 年 に 高 等 学 校 の 学 習 指導要領に持続可能な社会の構築の視点が盛り込まれた。 これらのことにより、学校現場においてESDが進められた。総合的な学習 の時間を活用した取組など持続可能な社会の担い手を育む教育が行われるよう になった。 (4)ESDで重視する力 2006年 に 行 わ れ た 関 係 省 庁 連 絡 会 議 で の「 わ が 国 に お け る『 国 連 E S D の 10 年 』実 施 計 画 」で は 、育 み た い 力 と し て 、「 問 題 や 現 象 の 背 景 の 理 解 ,多 面 的 か つ総合的なものの見方を重視して体系的な思考力を育むこと」や「批判力を重 視して代替案の思考力を育むこと」、「データや情報を分析する能力、コミュ 2 ニケーション能力の向上を重視すること」を挙げ、さらに「人間の尊重、多様 性の尊重、非排他性,機会均等,環境の尊重といった持続可能な開発に関する 価値観を培うこと」も重要としている。 (5)ESDでの学び方・教え方 E S D で の 学 び 方 ・ 教 え 方 と し て , 「 わ が 国 に お け る 『 国 連 E S D の 10年 』 実施計画」は「関心・理解・態度・問題解決能力の育成を通じて具体的な行動 を促すこと」や「体験・体感・探究・実践を重視する参加型アプローチとする こ と 」、「 活 動 の 場 で 学 習 者 の 自 発 的 な 行 動 を 引 き 出 す こ と 」を 重 視 し て い る 。 4 2015 年 以 降 の 日 本 の E S D ( 1 ) 国 連 E S D 10 年 の 成 果 国 連 E S D の 10 年 に お い て 、 日 本 で は 、 様 々 な 場 面 で E S D が 推 進 さ れ た が、教育や学習のレベルあるいは一定範囲の生産者や消費者の行動変化、一部 の地域社会での変革に留まっている。国全体が将来にわたり持続可能な低酸素 で 自 然 と 共 生 し た 循 環 型 の 経 済 社 会 シ ス テ ム へ と 変 革 す る た め に 2015 年 以 降 もESDを強力に推進する必要がある。 (2)学校現場において 教育振興計画や学習指導要領に基づき、学校教育現場においてESDが推進 さ れ た が 、質 お よ び 量 に お い て 不 十 分 で あ る 。2015 年 以 降 も E S D の 質 の 向 上 を図るとともに、その活動を拡大する必要がある。 現行の学習指導要領では、持続可能な社会の構築の視点が盛り込まれたが、 ESDとのつながりが明確化にされていない点があり検討しなければならない。 また、ESDを実践する学校において、児童生徒の創造力や物事を多面的・ 総合的に考える力、論理的に討論する力の向上といった成果が見られるが、そ の効果を更に高めるための工夫が求められている。 Ⅲ ESDと株式学習ゲーム 1 責任ある投資原則 国 連 が 2006 年 に「 責 任 あ る 投 資 原 則( Principle for Responsible Investment 以 下 「 P R I 」 と い う )」 を 提 唱 し 、 機 関 投 資 家 の 資 金 運 用 に お い て 、「 環 境 、 社会、コーポレート・ガバナンス」の評価を投資の意思決定に取り組むことを 3 要請した。これは、すべての投資に適用される原則として提唱された。 国連のPRIには、表1の 6 つの原則 1 がある。 ① 第 1 原 則 ( Inte gratio n) 私 た ち は 投 資 の 分 析 と そ の 意 思 決 定 の プ ロ セ ス に ESG( 環 境 、 社 会 、 コ ー ポ レ ート・ガバナンス)の課題を組み込みます。 ② 第 2 原 則 ( Active o wne rship) 私 た ち は 、 活 動 的 な ( 株 式 ) 所 有 者 に な り 、( 株 式 ) 所 有 方 針 と ( 株 式 の ) 所 有 慣 習 に ESG 問 題 を 組 み 込 み ま す 。 ③ 第 3 原 則 ( Se eking Disclosure ) 私 た ち は 企 業 対 象 の 主 体 に 対 し て ESG の 課 題 に つ い て 適 切 な 開 示 を 求 め ま す 。 ④ 第 4 原 則 ( Promo ting P R I / R I ) 私たちは資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように 働きかけを行います。 ⑤ 第 5 原 則 ( Collaboration) 私たちは本原則を実行する際の効果が高めるために、協働します。 ⑥ 第 6 原 則 ( Reporting) 私たちは、本原則の実行に関する活動状況と進捗状況に関して報告します。 表1:国連PRIの 6 つの原則 2 PRIと「より良い社会」 PRIの推進は、 「 よ り 良 い 社 会 」の 実 現 に つ な が る 。で は 、 「より良い社会」 と は 、ど ん な 社 会 で あ ろ う か 。 『 責 任 あ る 投 資 の た め の 企 業 評 価 基 準 』に よ る と 、 「より良い社会 2」とは、表2のような社会である。 〇すべての人の尊厳が認められる。 〇人権が保障されている。 〇自由で民主的なルールが守られている。 〇差別がなく、公正な労働環境が整っている。 〇多様な生き方や働き方が認められている。 〇人々が他者に対する思いやりを持っている。 〇生態系・生物多様性が守られている。 〇有限な地球環境を前提とした経済システムが構築されている。 〇経済の量的な成長ではなく、質的な発展を目指している。 〇安全と安心への配慮がなされている。 〇地域の文化や固有の価値観が尊重される。 〇グローバル経済の中で途上国が搾取されることがない。 〇 こ れ ら の こ と が 、自 国 だ け で な く 地 球 規 模 で 、ま た 現 在 だ け で な く 将 来 世 代 も 視 野 に 入れて考えられている。 〇社会をこれらの実現へと常に方向づけられていく社会的なメカニズムが内包されて いる。 表2:責任ある投資のための企業評価基準による「より良い社会」 1 NP O 法 人 社 会 的 背 金 投 資 フ ォ ー ラ ム 著 ( 2 0 1 0 年 ) 『 日 本 S RI 年 報 2 0 0 9』 ( N PO 法 人 社 会 的 責 任 投 資 フ ォ ー ラ ム 事 務 局 ) 24 頁 、 参 照 。 2 責 任 投 資 評 価 基 準 委 員 会 著 ( 2 0 0 6 年 )『 責 任 あ る 投 資 の た め の 企 業 評 価 基 準 』( NPO 法 人 社 会 的 責任投資フォーラム)6 頁、参照。 4 3 より良い社会と持続可能な社会 より良い社会の実現は、持続可能な社会の実現につながる。持続可能な社会 は、人間の尊重、機会の均等、多様性の尊重、非排他性、環境の重視した社会 である。より良い社会と持続可能な社会は相通ずるものがある。 4 PRIと株式学習ゲーム ESDでの学び方・教え方に3つのことが重視されている。 まず、1つ目の「関心・理解・態度・問題解決能力の育成を通じて具体的な 行動を促すこと」である。株式学習ゲームは、ゲームを通じて擬似的な投資活 動という具体的な行動を促すことができる。 次に「体験・体感・探究・実践を重視する参加型アプローチとすること」で あるが、株式学習ゲームは、擬似的な体験を通じて行う参加型の内容である。 最後に「活動の場で学習者の自発的な行動を引き出すこと」であるが、株式 学習ゲームは、ゲームを通じて自分で考え行動する力を養うとともに、意思決 定の力を育むことのできるものである。 以上により、株式学習ゲームは、ESDの学び方・教え方にふさわしいもの であり、より良い社会の実現を目指すPRIの推進に有用なものであると考え られる。 Ⅴ 授業実践 株式学習ゲームを活用して実際に取り組んだ「より良い社会を築くために」 をここでは、紹介する。 1 目的・ねらい ① PRIの考え方を知るとともに、持続可能な社会の実現のために必要な投 資行動を理解する。 ② 株式学習ゲームに取り組むことで、責任ある投資活動の体験をするととも に、ESDで重視される力を育む。 2 学習目標 学習目標は、以下の3点である。 ① 持続可能な社会を実現するための視点を持った投資活動が必要なことを学 ばせる。 5 ② グループでの話し合い、自分の意見の発表などを通じて、コミュニケーシ ョン能力を高めるとともに、相手の意見に対して自分の意見との相違をしっ かりと伝える力を養う。 ③ 様々な情報の中から、自己の目的に適合する情報やデータを選択し、分析 する能力を養う。 3 授業展開 授業は、商業科目である「国際ビジネス」で行い、授業を受講した生徒は本 校 会 計 科 3 年 生 18 人 で あ る 。 「 よ り 良 い 社 会 を 築 く た め に 」は 、授 業 時 間 数 17 時間である。 「 国 際 ビ ジ ネ ス 」で は 、 「 わ が 国 企 業 経 営 」の 中 で「 企 業 の 社 会 的 責 任 」の 授 業内容があり、この内容を発展させる形で授業を行った。 ( 1 )「 株 式 学 習 ゲ ー ム 」 を 知 ろ う ( 1 時 間 ) 株式学習ゲームの内容を知るとともに、株式学習ゲームの参加に向けての事 前学習を行う。実際の授業では、ガイドブックやガイダンスビデオなど使って 説明を行った。 (2)PRIを知ろう(2時間) 国連が提唱したPRIの内容を知るとともに、 「 よ り 良 い 社 会 」の 実 現 の た め に P R I を 実 践 す る 投 資 家 が 必 要 な こ と を 理 解 さ せ る 。実 際 の 授 業 で は 、2006 年に国連が提唱したPRIの 6 原則や責任ある投資のための企業評価基準によ る「 よ り 良 い 社 会 」の 14 項 目 に つ い て プ リ ン ト を 使 っ て 理 解 さ せ た 。ま た 、 「よ り良い社会」とは、どんな社会であるかを各個人に考えさせた。 ( 3 )「 よ り 良 い 社 会 」 と は 、 ど ん な 社 会 ? ( 2 時 間 ) そ れ ぞ れ が 考 え た「 よ り 良 い 社 会 」を 3 人 一 組 の グ ル ー プ に な っ て 話 を さ せ 、 各班の意見をまとめさせるとともに、それぞれの意見を発表させた。 各 班 が 考 え た 「 よ り 良 い 社 会 」 の 一 例 を 挙 げ る と 、「 環 境 に や さ し い 社 会 」、 「 弱 者 に 対 し て 優 し い 社 会 」、「 男 女 平 等 に 働 け る 社 会 」、「 人 と 自 然 が 共 存 し あ う社会」などである。 ( 4 )「 投 資 し た い 会 社 」 を 決 め よ う ( 4 時 間 ) 3 人一組6班に分かれ、投資したい会社を決めた。投資したい会社を決める 際 に 、「 ガ ッ ツ リ 稼 ご う ( 利 益 重 視 の 投 資 )」 と 「 社 会 の た め に 活 躍 し て い る 会 6 社 を 応 援 し よ う( よ り 良 い 社 会 の 実 現 の た め の 投 資 )」の 二 つ の パ タ ー ン を 同 時 に体験させるために、各班二つのパターンの投資したい会社を決めさせた。投 資をする会社を決めるにあたっては、 『 中 学 生・高 校 生 の た め の 株 式 学 習 ゲ ー ム ガ イ ド ブ ッ ク 』や『 売 買 対 象 企 業 一 覧 』を 利 用 す る と と も に 、 『私たちの応援し たい会社ワークブック』を活用した。 また、自分の意見を述べる根拠についてインターンネットなどを利用して、 自己の目的に適合する情報やデータの選択および分析できるように配慮すると ともに、各班の意見をまとめさせるなどコミュニケーション能力が高まるよう に支援を行った。 ( 5 )「 投 資 し た い 会 社 」 を 発 表 す る 準 備 を し よ う ( 2 時 間 ) 各 班 が 決 め た 投 資 し た い 会 社 を パ ワ ー ポ イ ン ト 使 っ て 、発 表 の 準 備 を さ せ た 。 二つのパターンの投資したい会社とその理由を必ず発表内容に盛り込むことを 指導した。また、話し合いをしながら、どのように発表を行えば効果的である かを考えさせながらの準備を行わせた。 ( 6 )「 投 資 し た い 会 社 」 を 発 表 し よ う ( 1 時 間 ) 二つのパターンの投資したい会社をそれぞれ発表させた。人前でしゃべるの が苦手な生徒がいたが、全員の生徒が話をするように配慮した。表3が各班の 発表内容である。 ( 7 )「 投 資 し た い 会 社 」 に 投 資 し よ う ( 1 時 間 ) 株式学習ゲームのホームページにアクセスするとともに、ログインをさせ、 各 班 が 発 表 し た 投 資 し た い 会 社 に 投 資 を さ せ た 。簡 単 な 入 力 ミ ス 等 が あ っ た が 、 『中学生・高校生のための株式学習ゲームガイドブック』を見ながら、生徒た ちは、しっかりと作業をすることができた。 (8)投資したい会社がどのようになったかを確認しよう(1時間) 各班が投資した会社がどのような結果になっているかを確認させた。投資し た い 会 社 に 投 資 を さ せ て か ら 、夏 休 み を 挟 ん で 約 3 ヶ 月 そ の ま ま に し て お い た 。 班ごとに株式学習ゲームのホームページにアクセスさせ、 「 ガ ッ ツ リ 稼 ご う 」と 「社会のために活躍している会社を応援しよう」の二つのパターンがどのよう になったかを確認させた。表4が上位5位の結果である。 ま た 、図 1 の ワ ー ク シ ー ト を 使 っ て 、振 り 返 り を さ せ 、 「 利 益 重 視 の 投 資 」と 7 「より良い社会の実現のための投資」の違いを確認させるともに、気づいたこ とを記入させた。表5は生徒が気づいたことの一例である。 班名 ガッツ稼ごう 応援したい会社 会社名 HIS 選んだ理由 近年外国人観光客が増加傾 向 に あ り 、経 済 が 安 定 し て き て い ま す 。ま た 、現 在 W 杯 が 行われておりブラジルに行 く日本人が増えています。 B バンダイナ ムコ C カルビー 班員の一人の弟が妖怪ウォ ソフトバン ッチというゲームが ク 学校で流行しているといい、 とても売れていて 売り切れ続出で売り上げが 上がっているのではないか と思い調べたところ上がっ ていたのでこの企業にした。 他の大手お菓子会社と比較 花王 したときに売上高当期純利 益率が高かったため。 長 期 休 み は 、お 菓 子 を 買 う 機 会が増えるため D 明治ホール ディングス 売上高が年々増加している か ら 。ま た 、営 業 利 益 率 が 2 . 3 % と 高 く 、有 名 な 商 品 が 多 いから。 人気商品の数が多いから。 幅広い年代に人気があるか ら。 E HIS F キリンホー ルディング ス 今から長期の休みなどが増 NTTドコ え 、旅 行 し よ う と 考 え る 人 た モ ちが沢山いると思ったから。 旅行のツアーなども豊富に なり、 目に留まりやすくなる イオン これからの暑い季節に向け て 、自 動 販 売 機 の ジ ュ ー ス の 売れ行きが伸びるため。 プ ロ 野 球 、W 杯 な ど の ス ポ ー ツ観戦などで二十歳以上の 人がビールなどのお酒を購 入 す る 機 会 が 増 え 、売 り 上 げ が伸びるため。 A 会社名 トヨタ自動 車 トヨタ自動 車 選んだ理由 2 0 11 年 3 月 に 発 生 し た 東 日 本大震災で大手企業の義援 金や物資支援などに注目を 集 め 、環 境 保 全 や 文 化 事 業 に 参加している。 社会貢献支出額とその対経 常 利 益 比 率( 社 会 貢 献 支 出 比 率 )の ラ ン キ ン グ 上 位 に 入 っ て い た た め 、こ の 企 業 を 選 ん だ。 私たちがこの企業を選んだ 理 由 は よ く CM で 見 る 企 業 で も あ る し 、社 会 貢 献 運 動 に 取 り 組 ん だ り 、様 々 な 事 業 で も 展 開 し て い て 興 味 、関 心 を 持ったのでこの企業を選び ました。 子供からお年寄りまで使い やすい商品を売り出してい た り 、た く さ ん の 社 会 貢 献 事 業( 環 境 ・ コ ミ ュ ニ テ ィ ・ メ セ ナ 支 援 )に 挑 戦 し て い る か ら。 ユニバーサルデザインを採 用 し て お り 、人 に や さ し い も のづくりをしているから 環境教育を国内だけでなく、 海外でも行っているから。 交通安全プログラムを展開 しているから。 人材教育をグローバルに応 援しているから。 芸術文化支援活動を展開し ているから。 動植物の生態系を保護して いるから。 被 災 地 支 援 活 動 、啓 発 ・ 教 育 支 援 活 動 、国 際 貢 献 活 動 、ボ ランティア活動の推進、芸 術・文化・スポーツ活動、 M CF の 活 動 な ど を 行 っ て い るため。 幸せの黄色いレシートなど の 社 会 貢 献 活 動 や 、2 0 1 1 年に起こった東日本大震災 の復興へのさまざまな取り 組みを行っているから!! 表3:生徒が発表した投資したい会社とその理由 8 順位 班名 資産合計(円) 1位 A(応援したい会社) 11,8 18 ,17 6 2位 D(応援したい会社) 11,0 22 ,44 6 3位 C(ガッツリ稼ごう) 10,9 80 ,73 1 4位 F(応援したい会社) 10,6 31 ,19 7 5位 D(ガッツリ稼ごう) 10,4 52 ,49 1 表4:上位 5 位の株式学習ゲームの結果 ・ 社 会 の た め に 活 動 し て い る 会 社 の 方 が 、以 外 と 株 の 値 も 上 が っ て い る の で は な い か と 感じた。 ・売上高当期純利益率が高いところは安定していると分かった。 ・社会に貢献している会社は、いい会社だと改めて分かりました。 ・ ど こ の 会 社 の 株 を 買 う の か 、会 社 の 社 会 貢 献 な ど し っ か り 調 べ て お く 必 要 が あ る と 思 いました。社会のために活躍している会社の方が金額が高かったです。 ・株式はきっちりと手持ち金額を考えて買おうと思いました。 ・選 ぶ 会 社 が ど の よ う な こ と に 力 を 入 れ て い る か を し っ か り 調 べ て 選 ぶ こ と が 大 切 だ と 思いました。社会的に活躍している会社は利益も多い傾向があった。 ・ 社 会 貢 献 を し て い る 会 社 の 方 が 上 位 に 多 く あ っ た の で 、そ う い っ た 会 社 が い い 結 果 が 出ていた。 ・他 の チ ー ム を 見 る と 、応 援 の 方 が 株 が 利 益 が 出 て い る の で 、社 会 に 貢 献 し て い る 企 業 の評価が高いことが分かった。 ・ 応 援 し た 方 が ガ ッ ツ リ 稼 ぐ よ り も 上 で あ っ た の で 、ガ ッ ツ リ と 稼 ご う と 思 っ た ら 、ダ メなのかなあと思いました。 表5:生徒が気づいたことの一例 ( 9 )「 株 式 学 習 ゲ ー ム 」 を 通 じ て 学 ん だ こ と を 振 り 返 ろ う ( 3 時 間 ) 「より良い社会を築くために」という学習活動を通じて、学んだこと等を感 想文の形でまとめさせた。普段書く機会が少ないせいか、悪戦苦闘している生 徒もいたが、自分の感想をまとめることで、一連の学習活動を振り返ることが できた。 作成させた感想文は、 「 株 式 学 習 ゲ ー ム に 関 す る 生 徒 の 感 想 文 」に 応 募 す る こ とで、生徒にとって外部の人が見ることを意識することができ、普段使ってい る言葉遣いを考えさせる機会にもなった。 9 あなたの投資した会社は? ( 名前( Ⅰ ガッツリ稼ぐための会社 <選んだ会社> <選んだ理由> <現在の金額は?> Ⅱ 社会のために活躍している会社 <選んだ会社> <選んだ理由> <現在の金額は?> Ⅲ 思った結果が出ましたか? Ⅳ 結果を受けて、分かったことなどを書こう! 図1:ワークシート 10 )班 ) Ⅵ おわりに ESDの目指すところは、持続可能な社会づくりの担い手を育てることであ る。国連が提唱したPRIの推進は、より良い社会、つまり持続可能な社会の 実現に貢献している。 ESDの成果を得ることができる教材やプログラムは、たくさん開発されて い る が 、 国 連 E S D の 10 年 に お い て 、 あ る 程 度 の 成 果 は 出 て い る も の の 、 十 分ではない。 株式学習ゲームはPRIの推進に寄与するものであり、積極的な活用が望ま れる。ESDの成果を十分に出すために、株式学習ゲームが様々な学校で利用 されることを願っている。 参考文献 飯 吉 厚 夫 ・ 稲 崎 一 郎 ・ 福 井 弘 道 編 著 ( 2014 年 )『 持 続 可 能 な 社 会 を め ざ し て 』( 平 凡 社 ) 神 田 貴 司 著 ( 2012 年 )『 株 式 学 習 ゲ ー ム を 活 用 し た 投 資 家 教 育 』 国 立 教 育 政 策 研 究 所 教 育 課 程 研 究 セ ン タ ー 基 礎 研 究 部 著 ( 2012 年 )『 学 校 に お け る 持 続 可 能 な 発 展 の た め の 教 育 ( E S D ) に 関 す る 研 究 ( 最 終 報 告 書 )』( 国 立 教 育 政 策 研 究 所 ) 「 国 連 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 の 10 年 」 関 係 省 庁 連 絡 会 議 著 ( 2014 年 )『 国 連 持 続 可 能 な 開 発 の た め の 教 育 の 10 年 ( 2005 年 ~ 2014 年 ) ジ ャ パ ン レ ポ ー ト 』 NPO 法 人 社 会 的 背 金 投 資 フ ォ ー ラ ム 著 ( 2010 年 )『 日 本 S R I 年 報 2009』( NPO 法 人 社 会的責任投資フォーラム事務局) 責 任 投 資 評 価 基 準 委 員 会 著 ( 2006 年 )『 責 任 あ る 投 資 の た め の 企 業 評 価 基 準 』( NPO 法 人 社会的責任投資フォーラム) 山 田 美 香 ・ 原 田 信 之 ・ 上 田 敏 文 ・ 古 賀 弘 之 著 ( 2014 年 )『 E S D と 次 世 代 育 成 の 教 育 論 』 (風媒社) 11
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