第 5 章 世界銀行の成人教育への取り組み- BEROISYA プロジェクトを

第5章
世界銀行の成人教育への取り組み-BEROISYA プロジェクトを中心に浅野直子
主要課題文献:
World Bank. 2001. “BELOISYA:Basic Education and Livelihood Opportunities for Illiterate and
Semiliterate Young Adults (Especially Young Women in Countries With Low Rates of Primary
School Enrollment), Discussion Paper.” World Bank.
http://www1.worldbank.org/education/adultoutreach/Doc/beloisya.pdf
1.はじめに
本稿の目的は、BELOISYA を中心とした、成人教育についての研究活動の検討・考察を
通じ、世界銀行の成人教育への取り組みの潮流を考察する事である。
始めに、世界銀行の成人教育分野における取り組みの変遷を概観し、現在の世界銀行の
中での成人教育の占める位置を確認する。次に世界銀行サハラ以南地域局主導による
BELOISYA の研究活動について、その分析の視点を示し、抽出された問題点について明ら
かにする。更にその結果を踏まえどのように BELOISYA がプロジェクトを形成しようとし
ているのかについて検証し、最後に得られた見解をもとに成人教育分野が今後世界銀行の
中でどのように取り組まれてゆくのか今後の展望について検討する。
2.世界銀行と成人教育分野の関わりの変遷
「成人教育」という分野はその対象も内容も非常に多岐にわたるものである。世界銀行
はこの分野をどのように捉え、そして捉えてきたのであろうか。これまでの世界銀行と成
人教育分野の関わりの推移をまず概観してみることとする。
世界銀行の教育分野への初貸付が 1963 年チュニジアの職業訓練であったことからも分
かるように、教育分野としての貸付が始まった 1960 年代はマンパワー開発を主眼においた
普通中等教育、中等・高等教育における職業技術教育に重点が置かれていた。この時点で
対象は形態も正規教育の範囲内であり年齢層も内容も限定されたものであったと言える。
教育に期待されていたことは人材養成を通じた経済発展であった。しかし、1970 年代後半
には、育成された過剰労働力の失業問題等これまでの方針の見直しを迫られる事となる。
未解決のままの「貧困」という問題に対し従来の経済成長重視の傾向からベーシックヒュ
ーマンニーズ(BHN)や貧困軽減という方向へ、国際的に開発の概念自体が大きく転換し
たのである。それを受けて職業訓練のみの教育形態は次第にその外部効率性が疑問視され、
代わって基礎教育へのアクセスとその質的改善がより効果的とみなされるようになる。初
等教育や、正規の教育を受けることの出来ない無就学者や中途退学者へのノンフォーマル
教育等対象者の窓口も開かれていく。このような変化は 1990 年世界銀行が中心となって行
われた「万人のための世界教育会議」(WCEFA, World Conference on Education for All, ジョ
ムティエン会議)で明確に示されることになる。即ち従来の高等教育・職業訓練という戦
略から「基礎教育」(basic education)中心への戦略転回である。そしてその対象も青年や
成人を含むものとされた。ここに現在のような、青年・成人への教育といった意味での「成
人教育」の端緒を見る事が出来る。それでは、このジョムティエン会議で提案された、青
年・成人をも対象にするという「基礎教育」は一体どのようなものを指すのであろうか。
この「基礎教育」について斎藤[2001]は以下のように『万人のための教育世界宣言』
から説明している。
「基礎教育」とは「基礎的な学習のニーズ」
(basic education needs)1 を
満たすための教育であり、この教育を受ける機会は全ての子ども、青年、成人に提供され
ねばならない。そしてジョムティエン会議において、
「従来もっぱら子どもを対象にした初
等学校教育を中心にイメージされていた基礎教育の概念を拡大し」、
「より包括的、かつ柔
軟な『より広いビジョン』
(expanded vision)で基礎教育を理解することを提案した」とあ
る。(斎藤[2001]303 頁)
世界銀行 Web サイトの Adult Outreach Education においても成人教育は“Literacy and
Non Formal Education for Adults and Youth”
(成人と青年のための識字・ノンフォーマル教育)
とタイトルされており「原則 15 歳以上の若者ならびに成人に対する公教育以外の場におけ
る教育と訓練」とその枠組みを定めている。ここにはジョムティエン会議で提案された「よ
り広いビジョン」での基礎教育がそのまま反映されていると言える。更に教育を「貧困と
戦うための道具」として位置付け成人への基礎教育と貧困削減の間に重要な関連性を見出
している。しかし、現在世界銀行の戦略の中心は初等教育、女子教育にあることは 90 年代
以降急激に伸びた初等教育、女子教育への融資額をみても明らかである。一方成人・青年
基礎教育は決して戦略の主流とは言えない状況にある。
「貧困と戦う道具」とされながらも
成人(青年)基礎教育が Web サイトで掲げられるほど振興している印象が伝わってこない。
その理由として考えられるものは大まかに次の2点である。
一つには、この分野「成人と青年のための識字・ノンフォーマル教育」がその対象、内
容、ニーズ全てが非常に多様で多岐にわたることが挙げられるだろう。この複雑さはこの
分野の大きな特徴であり懸案であると言える。もう一つには多様であるがゆえに、費用面
もさることながら、効果的にプロジェクトを立案・実施そして成功させるための知識・人
材・情報・経験を欠くことではないだろうか。
「情報・経験の不足」、成人のための基礎教育の抱えるこのような重大な問題に対しこの
状況を改善しようとする取り組みも一方で始まっている。それが世界銀行サハラ以南地域
局イニシアティヴの下開始した BELOISYA プロジェクトである。以下にこのプロジェクト
の活動を紹介し、これを通じて世界銀行の今後の成人基礎教育への取り組みに関しその課
題や展望について考察を試みる。
3. BELOISYA について
(1)BELOISYA とは何か
BELOISYA(Basic Education and Livelihood Opportunities for Illiterate and Semiliterate Young
Adults)は、1990 年代からの、世界中の成人教育関連文書や評価を発掘・調査することに
より、成人識字教育の機能についての新しい国際的証拠を検証する取り組みである。同活
動により世界銀行は成人基礎教育に関し再検討するための最初の基礎的知識ベースを得る
事になった。
(2)BELOISYA 活動概略
1997 年に、世界銀行サハラ以南地域局のイニシアティヴの下、特に女子の初等教育就学
率の低い 4 カ国(ブルキナファソ・チャド・ガンビア・モザンビーク)が、成人教育プロ
グラムに関する様々な問題解決に関し合意した。
当初の原則は以下の7つである。
① 対象は若年成人層の非識字者または準識字者(semiliterate)である。
② 多くの国で女性非識字者数が顕著である。彼女たちに特に焦点を当てる。
③ 「若年成人層」と言う用語は、状況に柔軟に対応するものである。
④ 取り組みは 1997 年においても成人女性識字率が 35%を下回る、つまり問題が
最も深刻な国から始める。
⑤ 取り組みの中心は基礎教育と、貧困解決のために収入を改善すること両方に
置く。
⑥ 最初は、4 カ国にのみ最貧国(一人当たり収入と言う観点から)からの招聘を
受け取る事とする。
⑦ 世界銀行はその姿勢として、いかなる事前のプロポーザルを持たない:各国
と協働し、第一に経験から学び、そこから適切なプロポーザルを構築する。
これらを反映するものとして、この取り組みは BELOISYA(Basic Education and Livelihood
Opportunities for Illiterate and Semiliterate Young Adults)と命名された。
1998 年 3 月、ILI アフリカ地域識字フォーラム(the ILI Africa Regional Literacy Forum in
Dakar , Senegal )において 4 カ国からの代表チームが、第一段階として世界中のこの分野
の近年の経験を査定することが決定された。得られた結果を将来におけるより効果的な立
案の基礎とするためである。
ノルウェー政府からの信託資金補助を受け、チームは共通の枠組み 2 を用いて 32 のプログ
ラムを査定した。そして第二段階としてチャドのヌジャメナにおいて成果を発表し合い、
成人教育プログラムに新しい提言をなす為にワークショップ(The N’djamena Workshop)
を開いた。そこでは 1998 年 4 月~12 月にかけてBELOISYAの 4 チームが 27 プロジェクト
3
を分析した結果と、6 ヶ国(カボヴェルデ・エチオピア・ニジェール・セネガル・タンザ
ニア・ウガンダ)からのレポートの分析結果を用いて参加者が様々な角度から協議した。
同ワークショップで行われた協議について総括したものがこのBELOISYA:Basic Education
and Livelihood Opportunities for Illiterate and Semiliterate Young Adults (Especially Young
Women in Countries With Low Rates of Primary School Enrollment), World Bank Discussion
Paper February 2001 である。この他にもBELOISYAの取り組みの延長上に現在までいくつか
のレポートがすでに出版されている。Engaging
with Adults(Jon Lauglo, 2001)やIncluding
the 900 million+(John Oxenham and Aya Aoki, 2001)等である。
(3)BELOISYA の意義
Lauglo[2001]では、基礎教育が人間の権利であり、平等と言う観点から非識字者や準識字
者の学習ニーズが最優先であるという人権的なアプローチをその基礎に置きつつ世界銀行
が全般的な戦略として重点を置いているのは貧困の軽減(poverty reduction)であることを
示している。この点において、基礎教育は貧困を再生産する環境から人々抜け出す為の鍵
となる技術として位置付けられている。
Oxenham、et al.[2002]ではその根拠として以下の三点を示している。
① エンパワメント効果・・・学習者が自信を深め、生活を改善するための社会的リ
ソースを得ることが出来る。
②
識字と計数の効果・・この二つのスキルはインフォーマル経済においてその取引
に際し明らかに優位性を持つものである。それ故に人々の起業のためには特に重
要である。
③
生活維持能力の向上・・・新しい職業的技術・知識を学ぶ事により、より生産的
な農業や畜産に貢献することができる。
更に、教育が上記のような利点を達成するために最も重要な事は受益者自身のニーズ、
関心に応える事の出来るプログラム形成である。そのために不可欠となる情報の収集、経
験の蓄積、活用が BELOISYA の主目的である。BELOISYA では、フィールド調査や需要の
査定、受益者そして人々を取り巻く環境への観察等を通して、受益者のニーズそして関心
について検証してくことそして得られた情報を役立てる事を何度も強調している。そして
従来までの成人教育プログラムに対する批判(出席率の低さ、有効性が疑わしい等)を受
け止めつつも、更なる改善をそのプログラムに求め、新しい成人基礎教育プログラム“the
new generation of ABE program”を検証、その経験を蓄積し続けていく必要があることを訴
えている。
4. プロジェクト分析の視点
ここでは、BELOISYAを中心とした各研究活動がどのようにこれまでの経験を分析して
いるのか、その分析の視点として主要なもの6点 4 について示す。即ち(1)主導者(2)
学習者(3)教員(4)教育手法(5)内容(6)費用である。各項目について現時点で
抽出されている問題点を考察する。
(1)主導者 5 とそのキャパシティビルディング
従来は、政府主導の大規模なプログラムが主流であったが現在は宗教組織、NGO、等
によるものも多数あるが、全体の 56%にあたる 15 プロジェクトが政府主導のものである。
BELOISYA ではこの結果を EFA には欠かせないコンディションであると評価しつつも、
41%(11 プロジェクト)が NGO 等である事に言及し、NGO 等も今や主要なアクターであ
る事を確認している。政府がその主なスポンサーである場合にも地域コミュニティや村落
グループがプログラムの所有権を持ち、支給される予算の管理をするケースも多くなって
きている。アフリカにおけるこの地方分権化の動きは 1998 年のチャドで行われたワークシ
ョップでも今後の課題として議論された。地方分権化の進展に伴い、アフリカ諸国ではノ
ンフォーマル教育の普及に NGO が主要な役割を果たしてきた。エチオピアのような国が、
地方分権化を嫌い、ノンフォーマル教育を政府の管理化で行おうとする傾向があるのに対
して、セネガルのような国では積極的に NGO 他団体の役割を認め、協力していく姿勢を
とっている。しかし、NGO は組織的な能力を欠く事が多く、その方面でのサポートが求め
られている。BELOISYA では、従来型大規模キャンペーンの失敗の多くは、このような構
造的なサポートの不足によるものであったとし、多くの成人教育プログラムの弱点を「政
府機関や NGO の実行段階における制度的能力」と分析している。そしてプログラムの立
案者やマネージャー、教員、といった「成人教育プロバイダー」を専門化することを提案
している。その際、女性が更に他の女性たちを導いて政策や企画にも関わっていけるよう
にするというような、「女性のエンパワメント」に特に努力すべきであると注記している。
プロジェクト実行に関する技術的補助が必要な場合、BELOISYA は以下のような2つの
方法を提案している。
① 協議やアドバイスの提供・・・プログラムの企画、実施、査定等に関して協議を
行ったりアドバイスをしたりする、というものである。
② NGO の運営ネットワークの補強と調和・・・よりよい協調とコミュニケーション
のために経営・管理、企画等の分野で NGO の実行者を訓練する、というものであ
る。
NGO との協力にあたり政府に求められる役割は、成人教育プログラムに対して明確な基本
理念を示すことと、政府の財政援助の下にその企画・立案をする全てのコミュニティグル
ープが従うべき、プログラムにおける一般化された規範を示す事であると述べられている。
一方で、この「地方分権化」と「協力」が共に、自動的にプログラムの成功を保証する
ものではないとしてその考慮すべき点を挙げている。第一に「地方分権」は必要な諸条件
がそろって初めて機能するものであり、NGO は政府からであれその他機関からであれその
強いサポートを受けなければ上手く機能させるのが難しいということ。第二に「地方分権」
が政府の責任逃れ(財政等の援助に関し)に利用されることもあるからである。第三に「協
力」に関して、
「協力」が行われる前に政府と NGO 等の有志団体間そして有志団体間同士
でも多くの場合過去からの敵対関係が、まず乗り越えるべき壁として存在するということ
である。NGO 等との協力を打ち出しているセネガルもこの必要性を認めている。
(2)学習者について 6
学習者については大まかにわけて以下の3点(対象、動機付け、達成)について検討され
ている。
①対象
第一の基準となるのはその「年齢」である。一般に成人基礎教育において年齢の上限は
特に設けられていない。Lauglo[2001:30]でも「熱意ある者をその年齢を理由に除外する必
要は全く無い」と述べているが、成人基礎教育は基本的に「成人」の為のものであり、初
等学校に行くべき学習者を対象にしたものでは無い。従って対象者は「初等教育を受ける
機会を逃してしまった成人層」となる。その前提を踏まえた上で、各プロジェクトの対象
グループは以下に示すような多様なものとなっていることを確認している。
•
女性(学齢期の児童を持つ母親や、若年成人層含む)
•
文化的、言語的マイノリティ
•
教育へのアクセスを持たない貧困層の人々
中でも、アフリカ地域では、重点的に取り組むはずの女性の教育への参画が目標とは程遠
いレベルであるとされ厳しい現実を示している。そしてより多くの女性が女子教育進行の
為の「専門家」として育成されるべきで、女性の参画のない成人教育プログラムは、成功
と見なされないと強く訴えている。
②動機付け
BELOISYA では学習者の動機付けを成功の鍵とし、この動機付けについても各プロジェ
クトについて分析を行っている。そして 70%にあたる 19 のプログラムがこの動機付けの
為に何らかの取り組みをしている、とした上でその取り組みを「Pull」、
「Push」「
, Cleared the
Path」の3つに分類している。
•
Pull(10 のプロジェクト)
:クレジットや収入創出活動等人々を惹きつける活動を
行う手法。
•
Cleared the Path(5 のプロジェクト):授業に参加しやすい環境を提供する手法。
(無
料のテキスト配布、居住地の近くに学校をつくる、授業に参加した分の家事時間
の相殺のために無料の食事を用意する例もある。)
•
Push(4 のプロジェクト)
:公共キャンペーンのように、人々に基礎的な技術を持
たないことが不利であるということを認識させる手法。
③達成度の測定
学習者が何を得たか、という点について 27 のプログラム全てが即時の結果については扱
、、、
っていたが、そのうち 14 は実質的達成度については報告していない。その他 13 のプロジ
ェクトについてもそれぞれ異なる手法で評価(インタビュー、テスト、質問、自己申告等)
していたため比較対照が困難である。
学習者の達成度という点について Lauglo[2001:29]では「重要なことは期間中に到達した
レベルではなく、そのレベルが実生活において改善の為の基盤として機能しうるかどうか
である」と結論付け、結果の測定について実際面を検討することの重要性を指摘している。
そして、何を持って「識字者」とするのかという問題がある。識字者間にはそのレベル
に勿論程度の差というものがある。そのレベルの標準化が求められているが一方で標準の
押し付けや支配といった問題も懸念されている。「識字者」の基準の標準化は BELOISYA
が今後も検討を重ねて行かなくてはならない問題として挙げられている。
(3)教員について 7
BELOISYAは教員を最も重要なアクターとして位置付けており 8 、その質の確保の為教員
については様々な角度から記述がある。ここではそれを①教師の選出②教師の訓練③教師
の管理という3点から見てみる事とする。
①教員の選出
教員を選別する為の最良の基準として「過去に実績がある人」が挙げられている。実績
とはつまり、きちんと授業をしに来ていたかどうか、ということである。その他の基準と
しては学習者を成人として扱うかどうか、そして教育アプローチに従うかどうか、等があ
る。その採用に関しては学習者から、もしくは現地から選出するのが最良であるとの見解
が共通である。そしてその選出過程に学習予定者等にも関わってもらうことで教員へのコ
ミュニティからの監督を得ることが出来るとしている。
15 プロジェクトが教員の採用を現地から行ったとしているが、その選出の過程に関して
は明らかではない。しかし、21 プロジェクトの教員に関する共通点として次の事が明らか
となった。第一に教員となる殆どの人が、進んでその労力を提供するという点。第二にそ
の労力の提供に関してはボランティアでなく何らかの報酬、埋め合わせが必要である、と
言う点である。そして BEROISYA ではその報酬について長期的に提供されることが重要で
あるとしている。この点については(6)の費用のところで詳しく触れる。
②教員の訓練
トレーニングは大抵プログラムの初期段階で行う。その後は出来るだけ一日単位の訓練
等を行いフォローする。トレーニングの中心は成人教育理論と教授される予定の内容の修
練であり、一般的なトレーニングは識字教育、特にマテリアルデザインに沿った教育アプ
ローチに焦点をあてると良いとされている。そのような教育アプローチの一つがパウロ・
フレイレの“キーワードアプローチ”である。多くの教材がこのアプローチを採用してい
る。これは識字に要求される、①文字を使って語句を作ること②その語句を使って意味の
あるコミュニケーションを成立させること、という2つのスキルを修得することを目指す
ものである。しかし、この②のスキルがアフリカの多くの教員(フォーマル・ノンフォー
マル共)には理解されていないと述べられている。このスキルのためのエクササイズはい
たって簡単なものであり、その際にはつづり方や構造ではなく「意味」がもっとも重要で
あるとされている。
4.の(1)主導者の箇所でも触れた通り、BELOISYA では、多くの成人教育プログラ
ムの弱点を「政府機関や NGO の、実行段階における制度的能力」と分析し、そしてプロ
グラムの立案者やマネージャー、教員、といった「成人教育プロバイダー」を専門化する
ことを提案している。その際、女性が更に他の女性たちを導いて政策や企画にも関わって
いけるようにするというような、
「女性のエンパワメント」に特に努力すべきであると注記
している。そして「成人教育プロバイダー」の主たる教員、特に女性教師の育成は女子教
育の振興の為にも必要不可欠な事項でありそのための創意工夫が求められる。
③教員管理
多くの監督システムが、教室で行われるプロセスに関する指標を欠いている、と指摘し
教員管理の為のポイントとして次の3点を挙げている。即ち、ⅰ.教室にくるかどうか、
ⅱ.生徒を成人として扱うかどうか、ⅲ.教員として望ましい行動をとっているかどうか。
である。
教員に関する一般的な問題点としては次のようなものが挙げられている。
•
教師のレベル・・教師に求められる教育レベル自体が最低限のものであるため、
プログラム内容が求めるレベルと教師自体のレベルとにギャップが生じるという
ものである。
•
経験不足・・訓練されていない(つまり成人教育に必要な知識を殆ど持たない)
若い修了者を起用するというもの。特に若い教員が、年上の学習者たちに教授す
る場合等には、そのアプローチ等に熟練したスキルと知識が必要とされる。
•
女性教師の不足・・人々は教員の性別について敏感であり(特にイスラム圏等)、
女性教師の需要は大きい。しかし、女性が受ける事のできる教育が無い、もしくは
あっても非常に低いレベルであるため、女性教師の育成が急務である。
カリキュラム内容の質と教育プロセスの質が学習者の達成率・卒業率に大きな影響をもつ
ことから教員とそれに関する様々な問題は BELOISYA にとって主要な懸案である。
(4)教育手法について 9
実際にどのように授業をすすめてゆくのか、という教育手法の問題に関しては次のよう
に述べられている。授業が「成人」を対象とすることからも、児童と同じ手法では自尊心
のある成人には馴染みにくい。Lauglo[2001:40]では成人教育に最低限必要なものとして「成
熟した人間に値する尊敬」を挙げ、一方的に教授するだけではなく教員と生徒間の相互性
の必要性を指摘している。そして、その教育手法については、参加型アプローチ
(participatory approach)に対しその有効性について合意がある。
BELOISYA では、成人教育ではその教授法に一方的な教授のみではない相互性を必要と
していることから、教室で行われるプロセスの管理のためにも教員と参加者が話し合って、
、、、、、、、、
自分たちの授業がどうあるべきかを把握する事が重要であるとしている。そのためのアド
バイスとして以下の6点を挙げている。
① 学習者一人一人に既習の内容から、その読み書き・数学の問題を解いてもらい、これ
まで何が教えられてきたのかを再考する。
② 教員からの質問に応じた、学習者によるディスカッションを通じてその日の授業を披
露する。
③ これまで扱った全ての教材を使っての反復練習
④ グループ単位または個人単位で読み書き・計数をテストする。
⑤ 質疑応答をする
⑥ その日扱った教材に焦点を充てながらその日に学んだ事を要約する。そして学習者に、
次回の授業までに既習内容で何かしてくるように課題を求める。
しかし、Lauglo[2001:40]では大規模プログラムの際にどの程度このアプローチを行う事
が出来るのかと言う点と、教員自身 2 週間程度の訓練しか受けないため、結局、教育法は
教員自身の人生経験に依拠することになる点を挙げている。ここにおいて、教育手法とそ
の有効性を規定するものは結局教員自身が必要とされる技術と動機をもちあわせているか
どうかである、という事が指摘されている。
(5)取り扱う内容について 10
基礎教育が核として含むものは読み書き、そして計数である。BELOISYAでは、成人教
育の学習者は大抵の場合貧困層であるため、対象者にあった生活向上技術を組み合わせる
ことを重視している。対象集団が異なれば、人々が既習の技術、未習の技術、欲している
ものそうでないもの等選択肢は非常に多岐にわたる。例えば政治参加のための教育や女性
のための市場でのスキル等は大きな効果をあげているプロジェクトがあり、BELOISYAで
は「成人基礎教育では識字等の基礎技術を超えて目的を達成できる」という見解を示して
いる 11 。
そしてもう一つ、プロジェクトの内容面に関してどのようにして識字教育修了者のレベ
ルを保ち、また活用させていくかと言う問題が挙げられていた。識字後(post-literacy 12 )
のケアである。
識字を身につけた人々がより広い地域的コミュニティや国際的コミュニティに統合され
ていく手段として、また成人教育活動の持続性という観点からもポストリテラシープログ
ラムへの取り組みは極めて重大であるとされている。読み書き等の能力を維持する為に、
継続的な訓練が必要である事は長く認識されてきた事である。しかし新規識字者にとって、
彼らの識字レベルに適応しかつ内容的に役に立つ読書素材が不足している事が多い。それ
故に新規識字者(特に女性)が読み方のスキルを補強し有益な情報を獲得するためにも、
定期的に質の高いポストリテラシー教材をその土地の言語で用意することが緊急の課題と
して求められている。その製作の際、これらの読書素材の内容として、新規識字者の女性
や若者にとって有益で重要なもの、
(例えば健康、市民教育、収入創出活動、少女への公教
育の重要性)について焦点をあてるべきことが述べられている。加えて、ポストリテラシ
ーの段階では多様なチャンネル(ラジオ等)が必要性であること、そしてそれ故に
BELOISYA 参加国・参加団体が経験を共有し合い、多様なアプローチを構築していくこと
を呼びかけている。
(6)費用について 13
一人あたり費用については、重要な問題であるにも係わらず 27 プロジェクト中 8 が全く
言及せず、10 が単に言及にとどまり、9 が分析を試みているという結果であった。その内
訳は以下のようである。
•
就学者一人当たり・・・US$1,246.00~US$12.00
•
修了者一人当たり(5 プロジェクトによる)・・・US$984.00~US$35.00
•
好成績卒業者一人当たり(4 プロジェクトによる)・・・US$984.00~US$61.00
(US$984.00 という数字には“developing cost”が含まれており、もしこのコストを除けば
卒業者一人当たり平均 US$60-80 という推測がなされている。)
これらの数字から、成人基礎教育プログラムには必ずしも一般的に考えられているような
過大な費用を要するわけではないと分析している。この主張をより説得力のあるものとす
るためにコストに関する情報を収集することは BELOISYA の課題であるが、Oxenham、et
al.[2002:39]ではコスト分析の視点として以下のものを参考として挙げている。
•
学習者:学習教材、光熱費、場所、
•
生活技術教員(既に必要とされる技術を修得していることを前提)
:報酬、交通費、
教材、訓練
•
基礎教育教員・その他必要とされるトピックの教員:報酬、交通費、教材、初期
訓練、学習・記録教材、追加訓練
•
トレーナー・技術的サポーター(コミュニティベース、専門員共に含む):報酬、
訓練(初期、追加共)交通費、最低限の家計の糧
•
行政的インフラストラクチャーのサポート(生産、貯蔵、分配、支払い等)
•
モニタリングのためのインフラストラクチャーのサポート(加えて学習、達成、
実施の質の確保も含む)
その他、費用に関する視点として、次の二点が成人教育プログラムが直面する問題
のひとつであるとされている。即ち①教員の無料奉仕の限界②良質な NFE を提供するため
のコスト、である。
①に関して、教員の無料奉仕の持続には限界があるというのは教員自身も貧困層の人間
である事が多いためである。プログラムでは教員の獲得並びに教員の質確保が不可欠であ
る故にこの問題はBELOISYAにおいて重要視されている。教員に対する何らかの形での報
酬は教員の確保と動機付けの問題を改善する唯一の方法であり、プログラムの持続性を左
右すると述べられている。しかし、どのようにして教員への貢献に報いるかについて明確
なコンセンサスは無い 14 。
②に関して、良質な教育提供にはやはりコストがかかる。その費用供出に際してコミュ
ニティの自主的かつ積極的な参加は望ましいが、プロジェクトはコミュニティだけでは持
続できるものでは到底無いので政府やその他機関からの強力なサポートが必要である 15 。
コミュニティの参加は代替的な財政問題解決のための万能薬ではないことが明らかになっ
てきている。ブルキナファソ等の例ではコミュニティは初期の段階において積極的な投資
をすることが出来るが、持続の為の努力を払うことが難しい、と指摘している 16 。
以上、6つの主要な項目を通して BELOISYA での各プロジェクトへの分析視点とそこか
ら明らかになった問題点等を見てきた。
分析の視点の特徴として、まず、プロジェクトを主導者や学習者、教員等プロジェクト
に関わるおよそ全ての点について包括的に分析しようとしている点が挙げられる。実際
BELOISYA で扱われている項目は非常に多岐にわたっていた。今回紹介したのはその中で
も頻繁に議論されていたものである。その分、その一つ一つの項目について記述が浅薄で
あったり記述が少なかったりと分析が尽くされていないと感じられる部分もあった。例え
ばプロジェクトの形成に重要な費用面での情報が殆ど集まっていないと言う点等である。
それらの原因の多くは、各プロジェクトの統計手法、実施手法の違い等により一概に比較
できない部分もあるからだと思われる。
(例えば達成度の測定等はインタビューやテスト等
様々な方法でその達成度が測られている。)しかし、それら分析の対象となったプログラム
はノンフォーマル教育・インフォーマル教育等の形態をとるものが殆どであり、それぞれ
の地域で異なった手法で行われてきたものである。その経験を収集しまとめあげていると
いう努力は大変に重要でありまた意義深いものであると思われる。そして世界銀行はこの
活動によって成人教育プログラムの為の最初のデータベースを得ているのである。成人・
若者のための充実した教育サポートへ向けて重大な第一歩であることは間違いないであろ
う。
また、抽出された問題点は従来の成人教育プログラムに向けられているもの(教員の質、
達成度測定の難しさ、費用面の不明瞭等)を裏付ける形となった。分析の対象となったプ
ログラムは 27 プロジェクト+6 ヶ国(カボヴェルデ・エチオピア・ニジェール・セネガル・
タンザニア・ウガンダ)からのレポートと比較的少数であり、しかも地域もアフリカと限
定されているため、データとしては限られたものであると言える。しかし BELOISYA とい
う国際的なプロジェクトで集められたデータでも同様の事がしっかりと確認された、とい
う事実は重要である。これは今後の成人教育プログラム形成にあたり、関係各方面にとっ
て貴重なデータとなるだろうと思われるからである。
次に、これらの結果を踏まえ、BELOISYA プロジェクトが今後のプログラムの企画に際
しどのように取り組もうとしているのか考察することとする。
5.プログラム形成のために
確かに「成人教育の立案に関しては明確なレシピは無い」 17 のであろう。しかし質の高
い成人教育プログラムを安定してかつ継続的に提供するためには、あるべき成人教育の姿
を模索し続けなければならない。この節では3で検討した分析の視点とその問題点抽出を
踏まえ、BELOISYAを中心として、今後世界銀行においてどのように成人教育プログラム
が形成されようとしているのか、検討する。
BELOISYA 第六章“Thoughts on Designing and Implementing BELOISYA”において今後の
プログラム形成の為の検討点として次の8点が挙げられている。
① 成人教育提供の多様性
② 対象者
③ 地方への視点
④ NGO との協力
⑤ キャパシティビルディング
⑥ 分野、セクターを超えた相乗効果
⑦ 監視と評価体系の確立
⑧ 成人教育経験・情報活用ネットワークの設立
この8点から、3でも見てきたような従来の成人教育分野が抱えてきた問題点を積極的に
改善しようとする意向を伺う事が出来る。
特に①成人教育提供者の多様性とは、従来のような大規模キャンペーンアプローチへの
疑問である。大規模キャンペーンにおける出席率・卒業率の低さを挙げ、こういったキャ
ンペーンでは経済的・時間的諸所の事情から参加できない人々の急増を強く意識している
のである。②③④でも、対象者とその環境に密着したプログラムを企画していこうとする
姿勢が伺える。教育を最も必要としている人々は貧困にあえぐ人々であり、そういった人々
が定期的にきっちりと授業に参加する事は非常に難しい。この点からも正規教育以外のノ
ンフォーマル教育等の柔軟な教育形態が成人教育分野には求められているのである。と同
時に重要であるのは正規教育とノンフォーマル教育の間の格差を狭めて、正規教育外の
人々が正規教育システムに移行する事ができるような道をつくることである。この事は非
常に困難な課題である、しかし、このような道が可能になればノンフォーマル教育への参
加動機に価値が生まれ、就学率が低い国々にとっては、初等教育、基礎教育へのアクセス
を増やす事に繋がるのである。公教育とノンフォーマル教育を近づけていこうとする取り
組みについて唯一の懸案は、ノンフォーマル教育の利点(多様性・柔軟性等)が失われて
はならないと言う事である。それ故に公教育システムのレベル並びに学年とノンフォーマ
ル教育のレベル、学年の対応を考える際には文化的文脈のなかで、注意深い研究と慎重な
考察が必要であろう。こういった意味でも⑧のような国家間、セクター間を超えた経験共
有のネットワークの構築は不可欠であると思われる。
こういった BELOISYA の取り組みはその後どのように広がっていったのであろうか。
BELOISYA 以後その中心人物であった Jon Lauglo と John Oxenham 等がそれぞれ成人教育
に関するレポートを発表している。Engaging
with Adults[2001]、Skills and Literacy Training
for Better Livelihoods[2002]である。その中では、BELOISYA
の原則を踏襲しつつも、それ
ぞれの視点を展開している。特に Oxenham、et al.[2002]では BELOISYA の「成人基礎教育
では識字等の基礎技術を超えて目的を達成できる」という点に更に踏み込んでこの生活向
上技術と言う事に焦点をあてて、基礎教育と生活維持能力向上技術(livelihood skill)の融
合について2つのアプローチから検証している。
• 生活維持能力向上技術指向のプログラムをより豊かなものにするために基礎技術
を取り入れるという、スキルに焦点のあるアプローチ
• 基礎教育指向のプログラムをより豊かなものにするために技術取得を取り入れる
という基礎教育に焦点のあるアプローチ
そして、得られた結果として、
• プログラム進行の順序として技術取得そして基礎教育へとつづくパターンのプロ
グラムの有効性
• その技術にクレジット等経済的指向のものがあるとより、成功しやすい
という事を挙げ、継続的に成人教育の分野に於いて技術取得と基礎教育のコンビネーショ
ンを研究していく必要があることを述べている等新たな研究の展開が見られていて興味深
い。こういった様々な研究の蓄積が今後成人教育プログラムの方向性を決定する重要なデ
ータベースとなっていくのであろう。
6.終わりに
以上、BELOISYA を中心とした成人教育に対する国際的な取り組みの潮流を概観してき
た。成人教育プログラム自体がその対象・内容・実施に多様性を要求するものである為、
文書で扱われている項目は多岐にわたるものであった。そしてその一つ一つが非常に簡潔
にまとめられており明確であった半面、教育アプローチ等はもう少し丁寧な議論を尽くす
必要があるのではないかと思われる部分もあった。一方で BELOISYA プロジェクトに参加
している団体国々はまさに成人教育に取り組みその困難と向き合う当事者であるため、多
岐にわたる項目それ自体に現実的な温度を感じることが出来た。BELOISYA 並びに関係各
国・団体の、成人教育の必要性認識と期待の高まりである。だが国際的な潮流としてこの
分野は BELOISYA の中でも述べられている通り「辺境的」位置にあると言わざるを得ない。
「万人のための教育」、この崇高な目標に向けて、世界銀行は勿論世界中が一致団結して
その達成のために取り組んでいる。しかし皮肉なことにその「教育」を求めている、貧し
く社会の辺境に追いやられている人々がこの「辺境的」分野をこそ、強く求めているので
ある。この現実をどのように受け止めるべきであろうか。大変に困難な事であるがこれま
で多くの人々が地道な努力を積み重ねてきたように一つ一つの経験を生かし、蓄積してい
く事なのであろう。
ここにおいて感じられてくるのは EFA 実現のために、特に女性を中心として教育を受け
る機会の得られなかった若者、成人への教育というのは非常に重要であり、また、国家レ
ベルそして地域レベルの発展の要となる分野であると私は考えている。その更なる発展の
ために、成人教育の効率性ということはもちろん、その質を高めていくような研究・調査
活動がこれからも継続的に行われていく事を切に期待するものである。
<注記>
1
「 人間が生存し、自らの能力を十分に伸ばし、尊厳を持って生活し、働き、開発に全面的に参加し、際
活の質を高め、知識に基づいて判断し、学習を続けるのに必要な不可欠の学習手段(識字、音声による表
現、算数能力、問題解決能力等)や基礎的な学習内容(知識、技能、価値観、態度等)の双方からなるも
の」(斎藤[2001]303 頁。)
2
この「共通の枠組み」については特に指標等は記されていない。
3
27 プロジェクトは次の国々から集められたものである。ブルキナファソ(8)、カンボジア、カメルーン、
エクアドル、エル・サルバドル、ガンビア、インド、インドネシア(3)、ケニア、ナイジェリア、イギリ
ス(イングランド/ウェールズ)、セネガル(5)タンザニア、マラウィ。
4
分析に用いられた「共通の枠組み」の詳細が明らかでないため、BELOISYAのレポート中で多く取り上
げられている 6 項目を主要な分析視点としてあげると共に、特に成人教育分野に特徴的だと思われる視点
(教育手法等)を取り上げて紹介している。
5
この節はBELOISYA[2001:12、22]他をその中心的な下敷きにして書かれている。以後、各節に付けら
れた脚注が示すのは、その節をまとめるにあたり依拠した文書名とその頁数である。
6
BELOISYA[2001:14]、Lauglo[2001:26]他
7
BELOISYA[2001:49~52]他
8
BELOISYA[2001:17]
9
BELOISYA[2001:18、24]他
10
BELOISYA[2001:15]、Lauglo[2001:37]、Oxenham、et al.[2002:chapter1,5,6]他
11
BELOISYA[2001:16]、Lauglo[2001:37]、等。
12
BELOISYA[2001:31、37、52]他
13
BELOISYA[2001:19]、Lauglo[2001:25]、Oxenham、et al.[2002:39]他
14
Oxenham、et al.[2002:38]
15
BELOISYA[2001:32]
BELOISYA[2001:40]
17
Lauglo[2001:ⅳ]
16
<参考文献>
World Bank. 2001. “BELOISYA:Basic Education and Livelihood Opportunities for Illiterate and Semiliterate
Young Adults (Especially Young Women in Countries With Low Rates of Primary School Enrollment),
Discussion Paper.” World Bank.
http://www1.worldbank.org/education/adultoutreach/Doc/beloisya.pdf