招待会議 2010 小討論会議題:国際 大妻多摩高等学校生徒会執行部 副会長 武智 真紀 平成 22 年 7 月 19 日(月)に第 42 回招待会議が慶應義塾大学日吉キャンパスにて行わ れました。大妻多摩高校からは 3 名が参加しました。 1. 開会式 招待会議の歴史をまとめたビデオを見ました。招待会議は 1958 年にはじめて開催された伝統ある会議だそうです。前回の開催が 2006 年と 4 年ぶりでした。実行委員長、各議題に議長の挨拶があ り小討論会に移りました。 2. 小討論会 議題:国際 議長:聖光学院高校 2 年 メンバー:青山学院高等部 2 名、大妻多摩高校 1 名、慶応義塾高校 3 名、慶 応義塾志木高校 1 名、 慶応義塾女子高校 1 名、聖光学院高校 2 名(議 長含む)、筑波大学附属高校 2 名、横浜女学院高校 1 名 *日本は国際連合の常任理事国になるべきか? 常任理事国になり国際的な地位を高めることで、唯一の被爆国として平和の大切 さを訴えることができる、という意見の一方で、常任理事国になって平和の大切 さを訴えてもアメリカの核に傘に守られている状況では説得力がないとい う意見もありました。また国際連合とはそもそも第二次世界大戦のもとで誕生し たものであり、軍事的な背景があるため常任理事会の構成国にも問題があり、変 えていくべきだという声も上がりました。 *日米同盟は維持すべきか? アメリカに依存していることは問題だが同盟を維持すべきだ、という意見がほと んどでした。日米同盟のない世界は想像できないというのが本音ではないでしょ うか。 *憲法九条は改正すべきか? アメリカに頼らずにすむように自衛力を高めるのなら憲法九条を改正して自衛隊 の活動範囲を広げるべきだという声と全世界の平和を目指すのなら改正すべきで はない、改正するのには国民のかなりの抵抗にあうだろうという声が上がりまし た。 *日本では政府による NGO や NPO に対する金銭的な支援が少ないが、今後さらに 支援していくべきか? NGO・NPO の利点は小回りが利くこと、自衛隊よりも地域の声を反映できるこ とであるが身体の安全には問題があるということで、利点や欠点に対する認識は 一致しました。今後どのようにしていくかは自衛隊との合同支援というユニーク な意見もありましたが、どうにか身体の安全を確保する方法を見つけ出し、 NGO・NPO の支援に重点を置いていくべきだという意見がほとんどでした。 *国家間の格差があるが国家という枠組みは必要か? 国家の枠組みを壊すと戦争が起こってしまうためむやみに壊してはいけない、た とえ全世界をひとつの統一国家にまとめられたとしても必ず指導者が現れて国家 ができる、愛国心や伝統がなくなってしまう、という意見が出ました。国家の枠 組みはやはり必要なのでしょう。 *日本は国際社会にどのように貢献していくべきか? 技術を提供すべきだ、日本は人は出さずに金しか出さないと批判されるのなら金 銭的援助をしていく意味はあるのか、という意見が出ました。また支援した国に 抜かされることもあるが、それをいとわずに援助できるのかという声もありまし た。私は幸せは誰かが与えるものではなく自分で探すものだと思うので、幸せを つかむきっかけを与えるような支援をすべきだと考えます。 *もし自分が総理大臣や外務大臣になったらどこの国と友好関係を深めたいか? インド(3 名) 2040 年には中国の人口を抜くとされていて、IT や数学にも強く、 かつての日本とも似ているから。また中国とのように歴史問題に関 する国家間の対立がないから。中国には中華思想があるがインドに はないし、中国よりも英語の普及率が高いから。 ドイツ(3 名) 加工産業で成長してきたことなど日本との共通点があるから。考え 方が似ているから。技術のレベルが同じくらいだから。 中国(2 名) 同じアジアの国だから。人口も多く面積も広いから。 アメリカ 特別な関係を維持すれば世界的に優位な地位にいられるから。 オーストラリア 日本とは対照的な国で双方で補うことができるから。 スウェーデン 社会福祉制度など参考になるから。 1 国とだけ特別な関係を結ぶよりは共同体と関係を強めたほうが良いのではない かという意見もありました。 3. 報告会 各議題の議長が討論の内容を報告しました。 4. 講演 日本語学者で杏林大学教授の金田一秀穂先生のお話を聞きました。 *言葉は考え方や感じ方を縛る道具になる。たとえば刺身と死んだ魚の生の肉は同 じものをさすが違うもののように感じる。つまり人間は言葉を食べているのだ。 刺身という言葉がない人にはそれは死んだ魚の生の肉としか思えない。 *なぜ「ばか言え!」 「うそつけ!」 「今何時だと思っているんだ!」というのか? 明々白々な時に使う。ひとつの言葉でも状況によっては違う意味を持つ=語用論 *天皇のような位の高い人には要請・依頼をしてはいけない。丁寧な依頼には強制 力が生じてしまう。たとえば天皇の隣で寿司を食べていて天皇の前には醤油があ るが自分の前にはない場合、天皇には依頼できないので「醤油…」と小さく言う しかない。 *若者文化、若者言葉は世間から批判されることが多い。それは若者が大人と子ど もの境界部分に属するから。話し相手が仲間なら仲間言葉でよいがそうでないと きはその人にもわかる言葉を使わなければならない。大切なのは自分を表現でき る言葉、自分の言葉で話すこと。 *言葉は人を区別し、排除するための道具にもなる。人と人とが仲良くなればそれ はすばらしい言葉である。言葉はあくまでも道具であってそれに使われてはいけ ない。 *デジタルははっきりした世界で言葉やネットが代表的なものだ。一方アナログは あいまいな世界で気持ちや絵文字、音楽がその代表だ。ネットで絵文字を使うこ とではっきりとしたデジタル世界にあいまいさを表現できる。「今どこにいるの」 と「今どこにいるの??」とでは感じ方が異なる。 *国語辞典ははじめが「愛」 、真ん中が「世界」 、最後が「腕力」。一番一生懸命に書 くのは「愛」 。 「時」や「間」を説明するのは難しい。 *この世界に名前のないものはない。なぜなら人間はすぐにそれに名前をつけてし まうからだ。未知のものに出会っても一瞬にして名づけてしまう。 *外国人に日本語を教えるときはその言語同士の共通点を探して教える。 *自信がないのは当たり前。 *今生きているのは運。 *「うそは大声で言えば、みんなが信じる」(by ヒトラー)というように「みんなが …」というのはうそであることが多い。うそと本当を見分けて自分で考えること が大切である。 *地球温暖化が騒がれているが本当に問題なのだろうか。他人の意見をそのまま言 っているだけで自分では考えていない。私(金田一先生)は地球温暖化してもよいと 思う。温暖化に反対するのは今のままが良いと思っているだけで、明確な反対理 由を聞いたことがない。 5. 大討論会 疑問点を質問しました。 *地球温暖化しても良いというのは冗談ではなく本気か? 本気。ただ反対するだけでなくまず初めに自分で考えてほしい。 *世界統一言語を作ろうという動きがあるが、どう思うか? そんな必要はない。人造言語はある程度のレベルになるまでは広まらないだろう。 *まったく未知のものには名前がないのではないか? 瞬時に名前をつけてしまうためどんなものにでも名前がある。言葉に縛られるの は避けられない。 *年をとると説教くさくなるのはどうしてか? 説教をするのは楽しいから。同じような悩みを持つ人にアドバイスすれば、その 悩みを解決する手助けになるかもしれないと思うから。 6. 閉会式 招待会議実行委員長から挨拶と子ども国会の宣伝がありました。 *感想* 小討論会では歴史や現在の国際情勢を知らないと議論するのは難しかっ たです。同じ高校生とは思えないほど知識が豊富な人もいてよい刺激にな りました。自分の知識量が少ないことが良くわかったので、ニュースを見 たり新聞を読んだりし、知識をつけて自分の意見をしっかり持てるように したいです。 講演では金田一先生のお話を聞くことができとても良かったです。普段 私たちが当たり前に使っている言葉にも不思議がいっぱい。言葉がなかっ た時代に人間がどのように生活していたのかということに興味を持ちまし た。 またこのように議論する機会があればぜひ参加したいと思いました。
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