双生児 - アテネ・フランセ文化センター

双生児
Alone 2007(95 分)
監督:パークプーム・ウォンプーム、バンジョン・ピサンタナクーン
出演:マーシャ・ワタナパーニット、ウィッタヤー・ワルクライパイサーン
若い母親が、娘のためにミシンで幼児服を作っている。それは胴が連
結した二人分の服だ。傍らで赤ん坊が泣いている。
時代が移り、韓国の豪華なマンションの一室。ソウル駐在中のウィー
とその妻ピムは、幸福な日々を送っている。ピムの誕生パーティーが開
かれ、友人たちが彼女の祝福に駆けつける。
友人の一人がピムの運命をトランプで占い、「あなたは過去に誰かとの約束を破ったのではないか」と謎めいた言葉を告げ
る。パーティーの後、ピムの母親が倒れたとバンコクの病院から電話がある。ピムは複雑な表情で窓の外の雪を眺める。彼
女は浴室でガウンをはだけて、腹部の傷跡を見つめる。
夫婦はバンコクに戻って母親を見舞い、その後、海辺のピムの邸宅に帰る。姉妹のプロイと幼年時代を過ごした、ピムに
は懐かしい家だ。二人で連弾したピアノ。二人のバレリーナの人形が回転しながら踊るオルゴール。アルバムを開き、子ど
もの頃の写真を見ていくピム。プロイはいつしか眼鏡をかけるようになった。ピムは追想に耽り、二人で浜辺を駆け回り、
永遠を意味する∞の記号を砂浜に書いた日を思い返す。
ピムとウィーが邸宅で暮らすようになると、怪奇現象が起こり始める。洗面所の鏡に、∞の記号が浮かび上がる。眠りにつ
けないピムが枕を抱いて目を閉じると、枕にプロイの顔が現れる。白いシャツに零したコーヒーを拭き取ろうとすると、腹
部から血が滲み出てくる。吠える飼犬を不審に思って様子を見に行くと、姿見にプロイの像が写り、ピムは階段から転落し
てしまう。病院に運ばれたピムは洗面所の鏡に再びプロイの姿を見て、
我を忘れて点滴スタンドで鏡を叩き割る。ピムは駆けつけたウィーにプ
ロイの幽霊のことを打ち明ける。彼はピムに医者に診てもらうことを勧
める。
数日後、ウィーはかつて親しくしていた先輩の医者を邸宅に招いて、
ピムに紹介する。彼が精神科医だと分かると、ピムは自分を異常だと思っ
ているのかと腹を立て、家の外に飛び出すが、急発進させた車で誤って
飼犬を轢き殺してしまう。失意のピムは精神科医の診察を受ける。ここ
からピムの回想という形を借りて、さらにウィーの回想も交えて、姉妹
とウィーのこれまでの来歴が語られる。
ピムとプロイは仲の良い姉妹だった。あるとき、彼女たちは病院で車
椅子のウィーと知り合いになる。絵を描くことが好きなウィーは二人をモデルにする。ウィーは二人を平等に扱っていたが、
やがて彼の心は、内気なプロイよりも活発なピムの方に惹かれていく。ウィーの退院の日、体のつながったプロイが動こう
としないので、ピムは彼を見送ることができなかった。それでピムは分離手術を望むようになるが、プロイはそれに同意し
ない。ウィーは病院の職員に自分が描いた絵を預ける。その絵には長椅子に一人で座るピムが描かれていた。プロイはそれ
をピムの手から奪って、破り捨てる。その夜、プロイは大量の錠剤で自殺を図る。見かねた母親はついに二人の分離手術の
同意書にサインをする。
ピムは、過去の写真や服を燃やして、プロイの記憶から逃れようとするが、洋服ダンスの中に吊るされたプロイの亡霊に
動転して、雨の中を裸足で外に飛び出す。慌てて車を発進させるが、ガラス張りの温室に突っ込んでしまい、プロイの幽霊
に追いつめられて意識を失う。駆けつけたウィーは彼女を病院に連れて行くが、同じ病院に入院している義母(ピムの母)
から姉妹に関する新たな事実を告げられる。
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ウィーは墓地を訪れて、墓石にピムの名前を見つける。ピムは実はプ
ロイだったのだ。
ウィーが帰宅する。ピムを演じていたプロイが、母の死を彼に告げる。
だが、本当は、プロイが口封じのために殺したのだった。怪しむウィー
に逆上して、プロイはピムを殺した過去を白状し、自分を愛してほしい
とウィーに訴える。ウィーに拒絶されたプロイは、彼をガラス瓶で殴っ
て気絶させる。プロイはウィーを椅子に縛り付けて、家に火を放つ。隙
を見てプロイの拘束から逃れたウィーは脱出に成功する。一方、倒れた
家具に閉じ込められたプロイは、ピムの亡霊に覆い被さられて身動きが
とれない。二人の姉妹は、
幼い頃を共に過ごした邸宅で炎に包まれてゆく。
アテネ・フランセ文化センター 2013. 6. 20