文書管理の重要性 - 株式会社日立システムズ

文書管理の重要性 ∼電子自治体における文書管理∼
AD214-01
自治体向け情報提供誌
LGWAN対応、インターネットによる行政サービスの開始
電子化、官民接点のオンライン化、行政情報のインター
など、電子自治体実現のためには、内部業務システムの
ネット公開・利用促進、地方公共団体の取り組み支援など
整備が不可欠です。
を推進し、電子情報を紙情報と同等に扱う行政(電子政
官報によると、2003年4月1 日現在、自治体におけるネッ
府)を実現すること」としています。
トワークシステムの整備状況は図1のとおりです。文書管
しかし、その実現には、共通基盤(霞ヶ関 WAN、LGWA
理システムは、内部業務システムの共通基盤として行政事
N、住基ネットなど)や住民サービス基盤(電子窓口、電子
務の効率化に有効とされているにもかかわらず、その導入
調達など)といった、電子データを扱う仕組みの整備が必
は全国自治体の約24%が整備しているにすぎません。
要となります。そして、それら仕組みの根底となる、文書管
今回は、この文書管理システムの導入の必要性と実現
理システムの導入は、優先的な対応が望まれます。
上の留意点などについて考えます。
∼文書管理業務の課題∼
文書管理システム導入の必要性
●規定にもとづいた文書管理の徹底
●紙文書と電子文書の統合管理
●インターネットによる行政サービスへの対応
●電子文書の原本性確保
●セキュリティの確保
●LGWANへの対応
1.文書管理事務の現状
庁内には紙・電子を問わずさまざまな、そして膨大な文
書が存在します。
今後の行政事務の複雑化・多様化に伴い、文書量は増
文書管理システム導入のメリット
と留意点
加し、整理・管理・廃棄などの文書管理事務は、ますます
複雑かつ時間を要する作業となります。また紙文書につい
ては十分な保管場所を確保する必要があります。
1.メリット
2.電子政府の実現
文書管理業務に電算システムを取り入れると、文書の
『e- Japan戦略』では、「平成15 年度までに行政内部の
ライフサイクル全般の管理、業務間でやり取りされている
図1 ネットワークシステムの整備状況
都道府県
(%) 96
100
94
77 77
市町村
全国
100
96
91
83 83
80
70
65 66
53
60
40
23 24
29 30
24 25
19 19
20
0
ファイル
共有
プリンタ
共有
電子
メール
文書管理
システム
現 状
文書管理
システム
情報公開
の推進
情報検索
システム
電子自治体構築に向けた推進計画
2002/10/17 総務省 「
地方自治情報管理概要(
地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果)
」
より
-1-
e-ADWORLD News
News AD214
AD214--01
文書の一元管理が可能となり、事務作業の効率化や質的向
紙文書と電子文書の取り扱い・
上を図ることができます。そして、それによりできた余力時間
管理方法
を、より付加価値の高い住民サービス提供のために有効活
用できるようになります。
紙の利便性などから文書の完全な電子化は困難であり、
実際には紙文書と電子文書が共存することなります。よっ
て、文書管理システムで、紙文書と電子文書の両方を管
∼文書管理システム導入による業務効率向上∼
理するために、それぞれの特性を理解し、運用ルールを
●文書管理規定に基づいた文書管理の徹底
●文書作成時間の短縮と文書品質の向上
●持ち回り(決裁・供覧)の迅速化
●文書事務(行政業務)の簡素化と職員負担の軽減
明確にしておかなければなりません。(表1)
紙文書では、物理的な文書を整理するための仕組みが
必要です。事務所内の書庫・倉庫管理および保管文書の
廃棄処理といった年次処理以外にも、以下のような点を考
また、LGWANへの対応にともない、自治体間や官公庁と
慮しておく必要があります。
のデータ交換が実施できるようになり、事務の迅速化を図る
①年度末に分類整理のための棚卸を行わずに済むよう
ことが可能となります。情報公開対応についても、電子文書
に、分類設定したフォルダを事前に用意し、文書が発
の原本性確保により、行政文書の真正性を保証する必要が
生する都度該当個所に綴じ込むようにする。
ありますが、管理している文書の必要な項目を公開用のサ
②分類設定したフォルダは、年度当初にラベルを出力、
ーバに複写することで、迅速な公開が可能となり、行政機関
貼付し準備する。
の説明責務を果たすことができます。
電子文書においては、このような物理的な文書の整理と、
持ち回りの手間が不要です。但し、紙文書と同様の柔軟
な決裁処理をシステムで対応する必要があります。
2.留意点
文書管理システムの導入にあたっては、いくつか注意しな
∼電子決裁時に必要な柔軟な処理機能∼
ければならない点があります。
(1)文書分類の作成(コード化)
●部内の関係課長に同時に決裁文書を送付する
●部外の課長、部長に同時に決裁文書を送付する
●課長補佐不在時に、係長が課長補佐を飛ばして承認
処理をおこなう(飛び決裁)
●飛び決裁された課長補佐は、後で内容を確認する(後閲)
●課長補佐不在時に、課長が承認されていない決裁文書を
承認する(引上げ)
①“部課”、“業務”、“日付”などを基準にして文書分類を
作成します。この文書分類の作成次第で整理や検索の
しやすさなどが変わってきます。
②過去の文書を検索できなくなるため、一度確定した文書
分類は基本的に変更しない。
(2)様式の統一
決裁文書の様式が色々あると、文書管理システムの導入
に困難をきたします。 また公印の管理など決裁に関わる
電子文書に資料を添付する場合は、紙文書の添付資料
業務の整理が必要です。
にかわり、添付ファイルとして電子データを添付します。但
(3)導入システム
し、この場合、ファイル形式や容量といった点について考
特定の利用環境(OSのバージョンなど)に依存しないシス
慮する必要があります。(表2)
テムが良いと考えられます。
(4)インフラの整備
全職員に対して、PCが配付されていること、ネットワークが
整備されていることが前提となります。
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文書管理の重要性 ∼電子自治体における文書管理∼
表1 紙文書と電子文書の取り扱い・
管理方法
項目
紙文書
電子文書
●フォルダに保管
保管 課ごとに文書分類別にフォルダに綴じ込み整理する。
保存期間により、整理、廃棄の処理が必要。
●文書データとして蓄積
このとき、既に文書分類別に整理されている。
(紙文書をスキャニングし、電子文書とした場合も同様。)
回覧 ●起案書に必要な書類を添え、回覧・決裁を実施
・ 柔軟な取り扱いが可能であるが、回覧に時間がかかる。
決裁
●起案・収受に電子文書を添付し、回覧・決裁を実施
電子決裁時の機能として、紙決裁と同様の柔軟な取り扱い
機能が必要。
添付資料は添付ファイルとして一緒に回覧できる必要あり。
●古い文書を箱詰めし、書庫、倉庫に整理
古い文書を綴じたフォルダを箱詰し、保存年限をもとに、
整理 保管場所を決定。保管場所を示す番号に従い、所定の場
所に保管。
●バックアップの実施
ディスク容量オーバーやコンピュータの故障に備え、定期的に
バックアップを実施する。
添付ファイルも含めるとデータ量が大量になるため、バック
アップの単位を検討する必要がある。
(1回/日、1回/週、1回/月 e
t
c…)
●不要な文書を廃棄
●不要な文書の削除
保存年限で廃棄文書の対象を選出し、廃棄。
保存年限で廃棄文書の対象を選出し、文書削除方法の決定
廃棄しない場合は事前に保存年限を変更するなどで対応。 にて実施。廃棄する場合の処理として、次のような点を検討
廃棄
する必要がある。
(1) 文書を物理的に削除するか、削除せずに参照不可と
するか。
(2)物理的に削除する場合、バックアップを取得するか否か。
表2 添付ファイル使用時の考慮点 目的
ディスク容量
の制限
項 目
内 容
保存先ディスク容量の検討
ディスク容量は保存年限(1年、3年、7年、永年など)を考慮して算出。
運用で添付できるファイルを制限
(1)ファイルの種類で制限。(例えば、図面データは添付しない)
(2)用紙のサイズで制限。(例えば、A0サイズは添付しない)
システムで添付できるファイルを制限
(1)添付ファイルの容量をチェックし、ある容量以下のファイルのみ
添付。
(2)運用とシステムの両面からチェック・制限する。
他システムと 添付ファイルによる、他システムとの決裁
の連携
情報の連携
添付ファイルを活用したデータ連携
文書の決裁時に関連する各システムの処理をすることで、決裁情報の
連携を図る。
添付ファイルを文書管理システムで管理し、他システムとデータ連携を
図る。
(1)添付ファイルの容量が通常の場合 決裁文書などに添付されているファイルをそのまま他システムで
取り込み、利用する。
(2)添付ファイルの容量が大きい場合
文書管理システム提供のAPI
を組み込むことで、他システムでも
文書管理システム内の添付データを照会できるため、他システム内
には添付ファイルを取り込まずにデータを利用。
(3)添付ファイルの容量が非常に大きい場合
文書管理システム内に取り込むことも困難な容量の添付ファイルの
場合は、文書管理システム提供のAPI
を組み込むことと、共有サー
バを持つことで、データの連携を図る。
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文書管理システム導入にあたって
しかし、文書管理システムはあくまで“手段”に過
ぎません。導入にあたっては、事前に現状を把握し、
自治体は、情報公開制度における開示請求に対して、 文書管理規定を策定するなど、十分な計画を立て環境
説明責任を負っています。そのため、文書管理の不備
を整備する必要があります。そして、実際にシステム
から情報が開示できない場合、“情報隠し”と誤解さ
を利用する職員一人ひとりの意識改革が必要であるこ
れる危険性があります。近年は行政訴訟にまで発展す
とは言うまでもありません。
るケースも増えており、文書管理をこれまで以上に厳
格に行う必要性が高まっています。
日立情報の文書管理ソリューション
日立情報では現行業務の調査・分析といった基本計画策定から、システムの構築・運用管理、操作研修まで
トータルなソリューションを提供します。
★ 基本計画策定支援サービス
現行業務の調査・分析・改善提案、
各種規定の見直し、他システムの連
携・将来プランの検討、システム要求
仕様の策定など、電子行政を実現す
るための骨子なる基本計画の策定を
支援します。
★ システム構築支援サービス
基本計画に基づき、ハードウェアなど
の選定、データベース設計、開発など、
システム構築に関わる作業を行います。
総合文書管理システム
市町村
情報公開システム
都道府県
日立情報の
文書管理ソリューション
文書交換
LGWAN
★ 運用管理支援サービス
システムの運用管理、障害対応・復旧・
分析、年度切替、システムのアップグレー
ド作業、ヘルプデスク対応など、導入後
の安定稼働に関わる作業を行います。
霞ヶ関WAN
原本性保証システム
★ 操作研修サービス
研修計画の策定、マニュアル作成、研
修実施など、お客様がシステムを利用・
運用するための研修計画策定・実施を
行います。
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2003.10.16発行