医用液晶モニタのMTF測定 石巻市立病院 放射線部 ○佐々木 喬 浅野 茂夫 (Sasaki Takashi) (Asano Shigeru) 【目的】 放射線画像のディジタル化が進み、フィルムによる診断からモニタによる診断が普及してきている。モニ タの性能評価や品質管理が今後の検討課題である。今回我々は、医用液晶モニタの解像度の評価を目 的とし、MTFの測定を行ったので報告する。 【使用機器】 3Mモノクロ液晶モニタ : G31(ナナオ) 2Mカラー液晶モニタ : RX210(ナナオ) 一眼レフレックスディジタルカメラ : α sweet DIGITAL (コニカミノルタ) レンズ : AF DT18-70 (コニカミノルタ) 輝度計 : LS-110 (ミノルタ) 3Mモノクロ液晶モニタG31のマトリックス数は1536×2048であり、ピクセルサイズは0.207mmである。 2Mカラー液晶モニタRX210のマトリックス数は1200×1600であり、ピクセルサイズは0.27mmである。 【方法】 自作したテストパターンを液晶モニタに表示した。自作したテストパターンは、幅1ピクセルのラインパタ ーンである。テストパターンの1ピクセルをモニタの1ピクセルに1:1に対応するように表示を行った。またモ ニタのキャリブレーションは、GSDFである。次に、一眼レフレックスディジタルカメラでテストパターンの撮影 を行った。そして得られたディジタル画像から自作ソフトにより解析を行いMTFを求めた。画像データは、 JPEG画像等では画像処理が行われているために撮像素子からの生データであるRAW形式のデータで解 析を行った。 画素値 【結果】 40000 液晶モニタの輝度値とディジタルカメラの 35000 画素値との関係をFig.1に示す。画素値と輝 30000 度値の関係が直線関係にあることから、今 25000 回のMTFの測定はディジタルカメラの画素 20000 15000 値から解析を行った。 10000 Fig.2は、2Mカラー液晶モニタにおける 5000 水平方向と垂直方向のMTFである。水平 0 方向のMTFが垂直方向より高くなった。水 0 100 200 300 400 500 平方向と垂直方向のMTFに違いがあるた 2 輝度値 (cd/mm ) め、以後のMTFは水平方向のMTFで検討 Fig.1 液晶モニタの輝度値とディジタルカメラの画素値 した。 Fig.3は、2Mカラー液晶モニタ3台におけるMTFである。3台のMTFは一致した。同一機種のMTFは一致 し、個体差は見られなかった。 Fig.4は、3Mモノクロ液晶モニタと2Mカラー液晶モニタのMTFである。3Mモノクロ液晶モニタがMTFが高 くなった。Fig.5に3Mモノクロ液晶モニタとモダリティ(CR、CT)とのMTFの比較を示す。液晶モニタのMTF は、モダリティより高くなった。 MODULATION TRANSFER FACTOR MODULATION TRANSFER FACTOR 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 水平方向(RX210) 垂直方向(RX210) 0.1 0 0 0.5 1 1.5 2 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 RX210_1 0.2 RX210_2 0.1 RX210_3 0 0 SPATIAL FREQUENCY (cycles/mm) MODULATION TRANSFER FACTOR MODULATION TRANSFER FACTOR 1 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 3Mモニター (G31) 0.1 2Mモニター(RX210) 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 SPATIAL FREQUENCY (cycles/mm) Fig.4 3M モノクロ液晶モニタと 2M カラー液晶モニタの MTF 1.5 2 Fig.3 液晶モニタ 3 台の MTF (2M カラー液晶モニタ) 0.9 0.2 1 SPATIAL FREQUENCY (cycles/mm) Fig.2 水平方向と垂直方向の MTF (2M カラー液晶モニタ) 0.3 0.5 3 1 LCD CR CT 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 SPATIAL FREQUENCY (cycles/mm) Fig.5 3M モノクロ液晶モニタと モダリティ(CR、CT)との MTF 【まとめ】 今回のMTF測定は、モニタの画素構造すなわち発光部分の構造に従った輝度分布の特性から解析し ている。従ってモニタの画素の構造やサイズによりMTFが変化したと思われる。モニタの水平方向と垂直方 向ではMTFが異なったが、これは画素の実際の発光構造が縦長の形状なために垂直方向のMTFが劣っ たと思われる。2Mモニタと3Mモニタではピクセルサイズが異なり、ピクセルサイズが小さい3Mモニタが優れ たと思われる。同一機種のモニタのMTFが一致したことから、液晶モニタの解像度のばらつきは少ないと思 われる。最後にCRとCTとの比較を行ったが、液晶モニタのMTFは高く、これらモダリティより解像度が優れ ることが確認できた。市販の一眼レフレックスディジタルカメラを用い、特別な装置を必要とせずにモニタの MTFの測定が行え、モニタの特性の把握に有用であった。
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