第8号(2007年1月発行)

特定非営利活動法人
ディジタルシネマ・コンソーシアム
N E W S L E T T E R V o l .8
ニューズレター
2007年
1月
第8号
報告
第19回東京国際映画祭 digital T!FF
デジタルシネマ調査団
デジタルシネマ仕様書(日本語版)の
無償配布を開始 (ニュース紹介欄参照)
編集・発行/ディジタルシネマ・コンソーシアム事務局
NPO Digital Cinema Consortium of Japan (DCCJ)
〒239-0847 横須賀市光の丘8-3 316号室
TEL:046-839-2455、FAX:046-839-2454
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema
理事長挨拶
特定非営利活動法人
ディジタルシネマ・コンソーシアム
理事長 青山友紀
ディジタルシネマ・コンソーシアム会員の皆様、新年お
めでとうございます。本年もDCCJの活動に参加いただ
き、当NPOの活動に多大なご支援をいただくようよろし
くお願い申し上げます。
さて、皆様ご存知のようにデジタルシネマはDCI規格
の制定をバックにビジネス化に向けてその展開を早め
ております。昨年4月にDCCJを中心としてNAB2006
参加とハリウッド訪問の調査団を派遣いたしましたが、
そのとき出席したDigital Cinema Summit ではKeynote
Speaker として講演したNATO (National Association
of Theatre Owners:劇場所有者協会) 会長のFithian
氏が映画館側としても映画のデジタル化に積極的に取
り組む、と表明したことはハリウッドにおけるデジタル化
の流れが確実なものであることを印象づけました。当調
査団はハリウッドにおいて、Digital Intermediate (デジ
タルシネマのポスプロ) ビジネスの大手であるE-Filmを
訪問いたしましたが、ハリウッドスタジオからの発注が
大幅に拡大しているということでありました。日本におい
てはワーナーブラザーズ、東宝、NTTグループが共同
で実施している4K Pure Cinema のトライアルがハリー
ポッターやダヴィンチ・コードなどの人気映画を4K上映
し、多くの観客を集めており、ハリウッドの他の映画スタ
ジオの作品も加わり、映画館数も増えて実施期間も延
長されるなど、順調に推移しております。
昨年はデジタルシネマに加えて映画以外のエンターテ
インメントコンテンツである“ODS(Other Digital Stuff)”
が注目されました。すなわち、コンサート、オペラ、ミュー
ジカル、演劇、ゲーム、スポーツ、などをテレビ映像では
なく、映画品質で映画館やホールでライブ上映あるいは
オンディマンド上映するビジネスです。DCCJはNTTコミュ
ニケーションズよりODSに関する現状調査に関する発
注を受けて詳細な報告書を作成・納入いたしました。昨
年10月に行われた第19回東京国際映画祭では前年
スタートしたdigital TIFFが昨年も第2回digital TIFFとし
て正式プログラムに採択され、デジタルシネマ実験推進
協議会(DCTF)がそのプログラムを企画・運営し、DC
CJも協力いたしました。DCTFが企画したプログラムは
デジタルシネマは映画祭のイベントとして取り上げるが、
それに加えて各種のODSを取り上げることにいたしま
した。その詳細は本ニューズレターで紹介されておりま
すが、ハイライトは発売直前のSCE社プレイステーショ
ン3を4台、慶應大学DMC、京阪奈、横須賀、秋葉原
の4箇所に設置し、そこで各ゲームプレイヤーがバンダ
イナムコゲームス社のリッジレーサーというカーレース
ゲームソフトを使用してカーレースのゲームを行い、各
プレイヤーの運転する車の2K映像をJGN2ネットワー
クで慶應大学DMCに送付して4画面の2K映像を4K映
像に合成し、そのカーレース映像を六本木ヒルズの映
画館に転送して4Kプロジェクタでするという世界初の
挑戦的なイベントを成功させました。カーレースの精細な
映像を大スクリーンで上映することで迫力あるコンテンツ
が得られ、新しいODSの形態として注目されるものと考
えます。digital TIFFではさらに室内楽コンサート、松竹が
実施しているシネマ歌舞伎、をクリップ上映いたしました。
DCCJが関連する国外の活動としては、10月にサンフラ
ンシスコのルーカスフィルムのシアターでAES(米国音響
学会)主催のイベントが行われ、そこで慶應DMCから太
平洋を越えて4KコンテンツをIP転送・上映し、さらに12
月にはサンディエゴのUCS(University of California,
San Diego) においてCine Grid Workshop が開催され、
そこでも慶應DMCからJGN2を含む高速回線によって4
KコンテンツのIP転送・上映が行なわれました。Cine Grid
プロジェクトは米・欧・日の機関が参加し、デジタルシネマ、
ODS、さらにスーパーコンピュータ処理映像、遠隔講義
など様々な超高精細映像をブロードバンドネットワークを
利用して制作・編集・配信・上映するシステムを研究開発
することを目的とする研究コミューニティであり、DCCJも
これに参加していきたいと思います。
大晦日には注目されるODSのイベントが行われました。
シネマ歌舞伎を興行している松竹がニューヨークのメトロ
ポリタンオペラの年末公演のHD映像をネットワークで日
本に転送し、日本語字幕を付加して歌舞伎座で上映する
というイベントであり、私も鑑賞してきました。オペラはモー
ツアルトの魔笛でありましたが、大変素晴らしい舞台制作
と歌舞伎座というコンサートホールとは異なる音響環境
の中で十分鑑賞に足る音楽品質でありました。映像はH
Dなので、スクリーンの大きさが不足しておりましたが、今
後これを4K映像で撮影し、大スクリーンで上映すれば十
分オペラ公演を鑑賞することができ、数千円(当日の入
場料は4000円)のチケットで発売すれば多くの入場者
を確保できるのではないかという感触を持ちました。
このように、デジタルシネマ、ODSはビジネスとしてテイ
クオフする途上にきております。また、日本の大学や機関
で4Kプロジェクタを設置し、4K映像を上映できる環境が
増加しつつあります。しかしながら、今後の重要な課題は、
利用できる4K映像コンテンツがほとんどないという問題
であり、4Kプロジェクタを設置した機関はその問題に直
面しております。したがって、DCCJもこれまでの4K映像
技術開発中心の活動から、徐々に4Kコンテンツの蓄積
を推進する活動にシフトしていく必要があると思います。
これにつきましては今後会員の皆
様と議論しながら具体策を検討し
ていきたいと考えております。
会員の皆様のご協力をよろしくお
願い申し上げます。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
第19回東京国際映画祭 ditital T!FF 開催
DCI規格の決定以来、俄然活況を呈してきたデジタルシネマ・ビジネスをさらに牽引するため、
2006年10月の第19回東京国際映画祭で第2回「digital T!FF」が開催されました。
「digital T!FF」公式パンフレットより
角川歴彦・第19回東京国際映画祭 チェアマンの
コメント
映画ファン
映画ファンを
ファンを増やし、
やし、映画産業に
映画産業に繁栄
をもたらすデジタルシネマ
をもたらすデジタルシネマ
現在、IT革命の中、世界の映画産業でも、デジタ
ル化の流れが加速していまう。その潮流は、撮影・
編集など制作の現場から、劇場における上映の
分野にまで及び、デジタルシネマとして注目され
ています。
東京国際映画祭では、2004年以来、このデジタ
ルシネマと呼ばれる次世代の上映方式がもたら
す新しい可能性に着目して、デジタルシネマ上映
会を開催してまいりました。昨年2005年は「digital
T!FF」として、業界の皆様向けのシンポジウムに
加え、劇場において一般を対象とした4Kデジタル
シネマ上映を行い、皆様にデジタルシネマの驚異
的な表現力をご体験いただきました。これにより、
業界はもとより多くの映画ファンに大きな反響を
呼ぶことができました。
今年は、日本や世界各国で実用の段階に入った
デジタルシネマを普及していくため、東京国際映
画祭の重要なポジションを担う「digital T!FF」とし
て継続開催し、デジタル産業界と製作・配給・上
映を行う映画業界が一体となって、内容もより充
実したシンポジウム、上映会を行います。これに
より、デジタル環境下での著作権の管理にも配慮
しつつ、デジタルシネマによってますます映画ファ
ンを増やし、映画産業に繁栄をもたらすことを目
指します。
シンポジウム
「デジタルシネマの
デジタルシネマの新ビジネスを
ビジネスを展望する
展望する」
する」
日時:2006年10月23日(月)10時半~13時半
会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン2
○オープニング挨拶:
青山友紀・DCTF会長/DCCJ理事長
○来賓挨拶:勝野龍平・総務省大臣官房審議官
○プレゼンテーション
1.デジタルシネマの新ビジネスを展望する
(青山友紀・DCTF会長/DCCJ理事長)
2.デジタルシネマ製作のビジネスモデル
~「待合室」の製作現場から~
(小田原雅文・(株)レイ 専務取締役)
3.デジタルシネマにおけるセキュリティ対策
(白川千洋・NTT未来ねっと研究所
主幹研究員)
4.シネマ歌舞伎について
(土田真樹・松竹(株)演劇事業部
シネマ歌舞伎 プロジェクトプロデューサー)
5.2006 FIFAワールドカップ パブリックビューイング
~Powered by SKY PerfecTV!の事例紹介~
(吉沢雅治・(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
放送本部 放送営業部長)
6.4Kストリーミング
(藤井竜也・ NTT未来ねっと研究所
主幹研究員、
太田直久・慶應DMC機構 教授)
7.オンライン レーシングゲーム
(寺本秀雄・(株)バンダイナムコゲームス
第4制作ユニット アソシエイトプロデューサー)
4Kデジタルシネマ
デジタルシネマ上映
デジタルシネマ上映
2006年10月21日
animecs T!FF X digitalT!FF共同オープニング作品
『パプリカ』 (今敏監督)
4Kストリーミング
弦楽アンサンブルの演奏上映の様子(三田)
2006年10月23日
日本映画・ある視点
『待合室 Notebook of Life』 (板倉真琴監督)
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
第19回東京国際映画祭 ditital T!FF
電経新聞 2006年10月30日掲載 e随想 許可を得て転載
六本木ヒルズ映画館でカーレースゲームを上映!
デジタルシネマ実験推進協議会会長/DCCJ理事長 青山友紀
10月21日より恒例の東京国際映画祭(TIFF)が
華やかに開催された。昨年よりdigital TIFFと称
するデジタルシネマのイベントが映画祭公式プロ
グラムに採択されたが、本年も昨年と同様にデジ
タルシネマ実験推進協議会が企画運営して第2
回が開催された。
今回は「デジタルシネマの新ビジネスを展望す
る」というテーマでシンポジウムを開催し、また日
本の新作デジタルシネマ「待合室」のフル上映を
行った。
世界のデジタルシネマ映画館数は、05年に前
年の335から1年間で849と2.5倍増加した。まだ
まだ微々たる数であるが、その伸びは急速であり、
デジタルシネマ上映がブレイク寸前にまで来てい
ることがわかる。このペースでデジタルシネマ映
画館が増加していくには、既存の映画館がフィル
ム上映システムを撤去しデジタル上映システムを
設備投資して、それが回収できるビジネスモデル
が必要である。従来、映画館経営者はデジタル
シネマの興行収入でそれが可能か懐疑的であり、
映画制作・配給側がデジタルシネマに積極的で
あったのに対して映画館側は大変消極的であっ
た。
しかしながら、本年5月29日のe随想で書いたよ
うに全米映画館主組合の会長が映画以外のミュー
ジカル、コンサート、演劇、ゲーム、スポーツなど
のデジタルエンターテインメントをODSと名付け、
映画館側がそれらのODSの上映により収益を拡
大する可能性を視野に入れていることが明らか
である。
そこで、今回のシンポジウムではデジタルシネ
マはもちろん、それ以外のODSビジネスの可能性
も探るプログラムを企画した。ODSとしては、歌舞
伎、コンサート、ワールドカップサッカーのパブリッ
ク・ビューイング、そしてネットワークゲームを取り
上げ、それらのビジネス化に挑戦している事業者
に現在の状況と今後の課題を語ってもらい、さら
にその映像をショートクリップで上映する挑戦的
なイベントを実現した。
本年11月発売予定のSCE社のプレイステーショ
ン3(PS3)を用い、その上に開発途上にあるバン
ダイナムコゲームス社のリッジレーサーというカー
レースゲームを搭載し、それを秋葉原、京阪奈、
横須賀、慶應大の4箇所に設置してJGN2ネットワー
クテストベッドで接続し、その4台のゲーム機を操
作する4人のプレイヤーがそれぞれレース車を運
転する。各自動車が疾走する4枚のHD映像をIP
ネットワークで慶応大に集めて1枚の4K映像に合
成し、それを六本木ヒルズの映画館の大スクリー
ンに上映する。疾走するレース車、道路、周囲の
景色は2KのCGで制作されており、大変鮮明で写
実的で極めて細部まで描き込まれている。自動
車が動きだし、カーブや坂を疾走すると観客は大
スクリーンの映像に没入して車酔いを感じるほど
である。レースの爆音も迫力があり、4台のレース
車が抜きつ抜かれつすると、大変エキサイティン
グである。
通常の対戦ゲームはテレビやパソコン画面上
で行うものであるが、このような大スクリーンに上
映すると新しいエンターテインメントのように感じ
られる。このようなカーレースゲームの上映がビ
ジネスとして成立するかどうかはまだ未知数であ
るが、従来のプレイヤー自身が楽しむのに加え
て、観客もスクリーン上で繰り広げられる迫力あ
る映像を楽しむ形態は新しいものであり、デジタ
ルシネマ実験推進協議会が先駆的に挑戦したと
いうことである。このイベントは発売前のゲーム
機上に開発途上のゲームを搭載し、それを複数
台ブロードバンドネットワークに接続して、映像を
転送・合成し4Kプロジェクタで大スクリーンに上映
するという、すべてが未知で成功するか否か保障
の限りでない挑戦であったが、それを実現した
SCE、バンダイナムコ、NTT、慶応大の関係者が
夜も寝ないで実現したものであり、彼らの熱意と
頑張りに敬意を表するものである。
その中でもネットワークゲームの上映は世界初
の試みであり、大変注目を集めた。そのイベント
の構成は次の通りである。 Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
4Kデジタルシネマ
デジタルシネマ品質
デジタルシネマ品質の
品質の超高精細映像を
超高精細映像を広域多地点ライブ
広域多地点ライブ配信
ライブ配信する
配信する実験
する実験に
実験に成功
-第19回東京国際映画祭
回東京国際映画祭で
回東京国際映画祭で次世代映像コンテンツ
次世代映像コンテンツの
コンテンツの製作・
製作・流通支援技術を
流通支援技術を実証-
実証-
日本電信電話株式会社(以下NTT)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)は、超高速多地点ストリー
ム配信および伝送技術を開発し、ギガビットIPネットワーク上で、4Kデジタルシネマ品質(800万画素)の超高精細
映像ストリーム(以下4K映像ストリーム)を10分岐して日本各地に同時配信する、多地点ライブ中継伝送実験に成
功しました。
これは、大容量IPネットワークを介して4K映像を複数拠点間でリアルタイム共有する、次世代型映像コンテンツ制
作・流通環境の持つポテンシャルを、世界に先駆けて実証するものです。学術・教育・医療・文化・娯楽など幅広い
分野での活用に向けて、本日、第19回東京国際映画祭の「第2回digital TIFF シンポジウム」(六本木ヒルズ)にお
いて実証実験を行い、デジタルシネマ実験推進協議会(以下DCTF)、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統
合研究機構(以下慶應DMC機構)、株式会社バンダイナムコゲームス(以下BNG)の協力を得て、弦楽アンサンブル
演奏やレーシングゲームのオンライン対戦など多様な4K映像の多地点配信を実演しました。
本件は、総務省の委託研究「次世代型映像コンテンツ制作・流通支援技術の研究開発」の一環として行われたも
のです。(報道発表資料 http://www.ntt.com/release/2006NEWS/0010/1023.html)
実験内容
(1) 4Kカメラで撮影したコンサート映像の配信
慶應DMC機構の工房(スタジオ)から、4Kデジタル
動画カメラで撮影したライブ講演映像や、同カメラ
で事前収録した弦楽アンサンブル演奏の4K映像お
よび5.1チャネル音響信号を、マルチキャスト配信し
ました。ステージ全体を固定カメラで捉えるだけの
シンプルな映像ながら、800万画素という超高精細
性により、各地の巨大スクリーンには演奏者の弓
使いや表情がリアルに再現されます。これにより、
クローズアップなどのカメラワークが不要なだけで
なく、むしろ、そのことが臨場感を増し、大容量IPネッ
トワークを介して遠隔多地点間でコンサートホール
空間を共有できることを実証しました。
(2) 遠隔4拠点でオンライン対戦するレーシングゲー
ムの高精細映像をリアルタイムで合成した4K映像
の多地点配信
レーシングゲーム「リッジレーサー7」(BNG製作)に
遠隔4地点(三田、秋葉原、横須賀、京都)からオン
ライン参加する家庭用ゲーム機「プレイステーショ
ン 3」の画面を、IPネットワーク経由で三田に集め
て4K映像をリアルタイム合成し、それを10地点にラ
イブ配信する実験を行いました。各地の「プレイス
テーション 3」が出力するハイビジョン映像(200万
画素)はMPEG2コーデックを介して三田に集められ、
4画面を1画面にリアルタイム合成した4Kデジタル
シネマ品質(800万画素)のライブ映像として、各地
にライブ配信されます。こうして、遠隔地から対戦ゲー
ムに参加する4名だけでなく、大容量IPネットワーク
を介して複数拠点で多数の観客が「ゲーム観戦」す
る新しい形態を実証しました。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
映画・映像関連ニュースご紹介
■慶應DMC機構
機構に
慶應
機構に教育機関世界最高水準の
教育機関世界最高水準のデジタルシネマの
デジタルシネマの上映・
上映・評価設備完成
南カリフォルニア大学(USC)とデジタルシネマ技術とその応用に関して共同研究を進めている慶應義塾大
学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC機構)は、2006年6月1日に記者会見を行い、三田キャ
ンパス東館6階と7階に新たな4K映像の上映機器を設置し、300インチの大画面でのデジタル映像評価が
可能になったと発表した。西別館地下スタジオに加えて、デジタルシネマ技術の研究、USCとの共同評価実
験、教育コンテンツ上映としての利用とともに、さまざまな高品質映像を用いたイベントにも利用する予定。
会見ではDMC機構・小野定康教授が4K規格のプロジェクターや300インチスクリーンなど新しく設置し
たデジタルシネマ機器について説明した。新しい設備を利用して、昨年度DMC機構が撮影した講演記録映
像、オリンパス株式会社や米国撮影監督協会(ASC)らが制作した評価映像の上映が行われた。
http://www.dmc.keio.ac.jp/topics/060601digitalcinema.html
■アナログ・
ビデオ圧縮技術
)がDCI
アナログ・デバイセズの
デバイセズのJPEG2000ビデオ
ビデオ圧縮技術を
圧縮技術を、米ドレミ・
ドレミ・ラボ(
ラボ(DOREMI LABS)
シネマ・
シネマ・マスター制作
マスター制作ステーション
制作ステーションと
ステーションと再生サーバ
再生サーバに
サーバに採用
2006年6月27日、アナログ・デバイセズ社は、同社のJPEG2000ビデオ圧縮チップ「ADV202」が、プロフェッ
ショナル・ビデオおよびオーディオ市場向けビデオ・ディスク・レコーダとビデオ・サーバの開発、製造におけ
るリーディング企業である、米ドレミ・ラボ社(Doremi Labs, Inc.)のデジタル・シネマ向けムービー・マスター
制作システムと再生サーバに採用されたことを発表した。
デジタル・シネマは、撮影後の編集から放映まで、映画業界を抜本的に変える革新的な技術である。ドレミ・
ラボ社は、最先端のマスター制作システムと再生サーバにより、デジタル・シネマ技術を牽引している。ドレ
ミ・ラボ社のDCP-2000デジタル・シネマ・サーバおよびDMS-2000デジタル・マスター制作ステーションは、
DCI-JPEG2000画質規格に適合するために必要となる最高スループット・レート250Mbpsでデジタル・シネマ
をエンコード、およびする。これは市販の機器としては初めて。ドレミ・ラボ社のDCP-2000デジタル・シネマ・
サーバは、現在、米国の500以上の映画館に設置され、今夏公開されたばかりの「ダ・ヴィンチ・コード」、「ア
イスエイジ2」、「カーズ」などDCIムービーを上演している。さらに、サーバの設置数は、毎月数百台規模で
増え続けている。http://www.analog.com/jp/press/
■TIの
のDLP Cinemaにて
にてスタジオジブリ
にてスタジオジブリ最新作
スタジオジブリ最新作「
最新作「ゲド戦記
ゲド戦記」
戦記」をデジタル上映
デジタル上映
2006年7月19日、日本テキサス・インスツルメンツは、スタジオジブリ最新作「ゲド戦記(原作:アーシュラ・
K・ル=グウィン、宮崎吾郎監督、スタジオジブリ制作、東宝株式会社配給)が同社のDLP CinemaTMに対応
し、全国16館の映画館でDLP CinemaTMによってデジタル上映されると発表した。
http://www.tij.co.jp/news/sc/2006/scj_06_057.htm
■「4K Pure Cinema」
」の参加メンバー
参加メンバー拡大
メンバー拡大
Warner Bros. Entertainment Inc.、ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社、Sony Pictures
Entertainment Inc.、株式会社ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント、東宝株式会社、株式会社ワーナー・
マイカル、日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社の9社は、世界
初のネットワーク配信デジタルシネマ共同トライアル「4K Pure Cinema」に取り組んでいるが、 2006年7月4
日、新たにParamount Pictures Corporationが本トライアルに参加することが決定したと発表した。
また当初の予定では、2005年10月22日から2006年8月31日までの予定で本トライアルを実施していたが、
多数の映画会社が各々配給するデジタルシネマの互換性を検証するため、実施期間を2006年12月31日
まで延長し、トライアル劇場の追加等、次世代の映画上映方式であるデジタルシネマの普及に向けて、更に
充実を図っている。http://www.ntt.co.jp/news/news06/0607/060704a.html
「4K Pure Cinema」今年度の上映作品は下記のとおり。
2006年4月 「V フォー・ヴェンデッタ」(ジェイムズ・マクティーグ監督)
2006年5月 「ダ・ヴィンチ・コード」(ロン・ハワード監督)
2006年6月 「ポセイドン」(ウォルフガング・ペーターゼン監督)
2006年7月 「M:i:III」 (J.J. エイブラムス監督)
2006年10月 「ワールド・トレード・センター」(オリバー・ストーン監督)
2006年12月 「007/カジノ・ロワイヤル」(マーティン・キャンベル監督)
「シャーロットのおくりもの」(ゲイリー・ウィニック監督)
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
■IMAGICA 邦画作品として
仕様準拠の
邦画作品として初
として初めてDCI仕様準拠
めて
仕様準拠のデジタルシネマ・
デジタルシネマ・マスタリングを
マスタリングを実現
2006年7月28日、株式会社IMAGICAは、スタジオジブリの劇場映画最新作「ゲド戦記」において、邦画作
品として初めて、DCI仕様に準拠したマスタリングから劇場配給用パッケージングまでのワークフローを実現
したことを発表した。DCI(Digital Cinema Initiatives)は、デジタルシネマの映写及び配給に関する規格を
検討するため、 2002年に米国大手スタジオ7社が共同で設立した組織で、2005年7月には画質・セキュリ
ティ・互換性・信頼性などを考慮した最終的な技術仕様を発表した。現在、 SMPTEにおいて、その仕様に基
づいたデジタルシネマの規格化が進められており、今後の業界標準になると目されている。
今回の「ゲド戦記」でIMAGICAは、スタジオジブリで製作されたデジタル原版であるDSM(Digital Source
Master)を、自社開発したカラーマネジメントシステム「GaletteTM」を用いて、 DCI仕様で定めるXYZの色空
間へ変換し、2K(2048×1080)デジタル上映用の原版となるDCDM(Digital Cinema Distribution Master)
を完成させた。そこから、劇場配給用のDCP(Digital Cinema Package)を作成するため、最新のJPEG2000
コーデックを使用した圧縮と相互運用性の高いファイルフォーマットのMXF(Material Exchange Format)に
よる画像・音声データのパッケージングを行い、さらに、非常に堅牢なAES128bit-CBC方式の暗号化を施し
たという。また、劇場で使用される上映用再生機(映像サーバ)の個体を識別し、上映期間等を制御する「暗
号鍵」の機能を持つデータファイルとしてKDM(Key Delivery Message)を生成し、その配布を管理すること
で、更なるセキュリティの強化を図った。http://www.imagica.co.jp/release/2006072801.html
■コダック社
コダック社とナショナル・
ナショナル・シネメディア社
シネメディア社 デジタルシネマ用
デジタルシネマ用ソフトウエアを
ソフトウエアを共同開発
イーストマン・コダック社とナショナル・シネメディア社は米国時間2006年8月16日、次世代のデジタルシネ
マ シアター マネジメント ソフトウエア(TMS)を共同開発することで合意したと発表した。このTMSは、他社製
の既存の上映機器、管理システム、デジタルシネマ システムを統合できるように設計される。
この新しいソフトウエアにより、チケット発券システム内の上映スケジュールを利用して上映を自動で開始さ
せるなど、興行主はデジタルシネマのビジネスと運営の全般を統合することが可能になるという。このソフト
ウエアはコダック社が全世界の興行主に対してコダック ブランドで提供する。TMSのベータテストは2006年
10月から12月に複数のサイトで行われる。
http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/news/0806/210806.shtml
■DCCJ デジタルシネマ仕様書
デジタルシネマ仕様書(
仕様書(日本語版)
日本語版)の無償配布を
無償配布を開始
次世代の映画上映方式であるデジタルシネマの普及促進に関する事業を行うディジタルシネマ・コンソーシ
アムは、米国の大手映画会社6社が組織するDigital Cinema Initiatives (DCI)より「Digital Cinema System
Specification(デジタルシネマシステム仕様)」の翻訳業務を請け負い、2006年8月30日より日本語版の無償
配布を開始した。
ディジタルシネマ・コンソーシアムは、従来と比べて約4倍の800万画素クラス(4,096×2,160画素)映像を
再現できる超高精細映像技術(4Kディジタルシネマ)のデモを日本、米国、欧州で行い、国内外の様々な組
織・会社・キーパーソン達と積極的な連携を取って活動を続けている。その成果がDCIより高く評価され、DCI
が2005年7月に発表し、現在国際標準化の手続きが進められている「Digital Cinema System Specification」
の翻訳業務請負契約に至った。日本語版(PDF形式)は希望者へ無償で配布する。
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
■DCI デジタルプロジェクターと
デジタルプロジェクターと劇場設備の
劇場設備の準拠性検査工程を
準拠性検査工程を発表
Digital Cinema Initiatives (DCI) は米国時間2006年9月6日、映画館主、設備供給業者、およびデジタ
ルシネマの展開を進める団体向けにデジタルシネマの準拠性検査工程を発表した。DCIは2006年2月に
Fraunhofer Institute for Integrated Circuits IIS(フラウンホーファーIIS)と契約し、DCI仕様への準拠性
について総合的に設備を検査する一連の標準方法の作成を進めている。この検査要領の作成は2006年
11月に完了予定で、その後、DCIが関係者全員に検査要領書を無償で提供する予定だ。必要な準拠性の
詳細などについては、DCIを構成する各映画会社が個別に単独で決定することになっている。
http://www.dcimovies.com/press/
■全米劇場所有者協会 全米劇場所有者協会 単一の
単一のデジタルシネマ認証基準
デジタルシネマ認証基準を
認証基準を求める
全米劇場所有者協会(NATO)は前述のDCIの報道発表を受けて、2006年9月8日、映画会社ごとに異な
るデジタルシネマの認証基準ではなく、単一の基準を求める緊急声明を発表。デジタルシネマ設備を認証
するための国際機関の設立を呼びかけている。http://www.natoonline.org/Digital.htm
■「4K」
」映像システム
超える制作環境
映像システムが
システムが拡大 拡大 フルHD超
フル
える制作環境が
制作環境が現出
IBC2006(2006年9月8日~12日 於アムステルダム)のキーワードの1つとなったのは、フルHD
(1920×1080ピクセル)の2倍の解像度となる「4K」。「HD」はもはやIBCでは当たり前の展示になり、欧州
の放送事情とは関係なく加速する映像関連デバイス、技術進化が4Kの各種機器として現出した。カメラか
ら記録装置、ディスプレーまで、一連の制作機器が登場し、HDの最上位フォーマット1080/60pを超える
高画質化のうねりをIBC参加者に印象付けた。
米レッドデジタルシネマカメラ(Red Digital Cinema Camera)社は8日、現在開発中の低価格の4K解像
度デジタルシネマ用カメラ「RED ONE」で撮影した映像を、IBC会場で初公開した。色調整などが終わって
いないとの注釈付きの映像であったが、目に見える瑕疵は無く、良好な裸特性を示していた。「RED ONE」
は、スーパー35ミリメートルサイズの12メガピクセルのCMOS撮像素子を備えており、4520×2540ピクセ
ルの解像度を持つ。価格は1万7500ドル。レンズは300ミリ(f2・8)が4995ドル、18ミリ-85ミリズームが1万
ドルと発表された。(詳細は映像新聞9月18日号、1面 http://www.eizoshimbun.com/)
■G・
・ルーカス監督
ルーカス監督 監督 母校への
母校への寄付
への寄付に
寄付に映画作りへの
映画作りへの情熱復活
りへの情熱復活の
情熱復活の願い
ロイター通信によると、2006年10月5日、ジョージ・ルーカス監督は母校の南カリフォルニア大学(USC)
への寄付を通じて映画作りへの情熱の復活を願っている、と述べた。ルーカス監督は前月、同大学への
寄付としては最高額の1億7500万ドル(約206億円)を贈った。寄付金は1929年に創設された全米最古の
映画学校、スクール・オブ・シネマティック・アーツの再建にあてられる。ルーカス監督は10月4日、同学校
の着工式の後で、ロイターに対し「学問の世界では、映画の地位はあまり高くない。一般教養の一部のよ
うなものにすぎない」とコメント。さらに「映画学部があるすべての大学にシグナルを送りたかった」としたう
えで、「これは法学部やジャーナリズム、建築学部などと同じ。われわれの社会の大事な一部であり、真剣
に取り組まれなければならない。これが人々の注意を引くことを願っている」と語った。
http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFRJAPAN-231168/index.html
■海賊版DVD販売露天商
販売露天商 海賊版
販売露天商 壊滅に
壊滅に向け大掛かりな
大掛かりな摘発
かりな摘発(
摘発(大阪・
大阪・日本橋筋)
日本橋筋)
日本国際映画著作権協会(JIMCA)の発表によると、大阪府警生活安全特別捜査隊と19警察署は2006
年9月20日、大阪・日本橋の電気店街「日本橋筋商店街」(通称・でんでんタウン)路上において違法な営
業を続けていた海賊版露店商の一斉摘発を実施し、販売目的で所持していた「ダ・ヴィンチ・コード」、「パ
イレーツ・オブ・カリビアン~デッドマンズ・チェスト」など人気映画の海賊版や音楽、ビジネスソフトなどの海
賊版等あわせて約5,000点を押収し、大阪市の無職男性(39歳)ら27人を著作権法違反の疑いで検挙し
た。捜索は、でんでんタウンの露店のほか、海賊版を製造していた密造工場や倉庫、近くのコインパーキ
ングに駐車されていた車や関係者らの自宅など複数の場所で行われ、複製機器なども多数が押収された。
日本橋筋商店街においては、2004年夏頃から映画海賊版を販売する海賊版露店商が多数出没してお
り、大阪府警察本部や浪速警察署などでは、過去3度の大掛かりな一斉摘発や日常的な排除パトロール
を実施していた。海賊版DVDの路上販売に対しては、今後、取り締まりなど一層の対策が強化される見込
みとのこと。 http://www.jimca.co.jp/info/cic.html
米国では2006年12月4日、試写会場でカムコーダーを使って映画を録画し、海賊版の製造・販売を繰り
返していた「プリンス・オブ・パイレーツ」ことJohnny Ray Gasca被告に7年の禁固刑が言い渡された。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
■慶應DMC機構
機構、
慶應
機構、世界初4K映像
世界初 映像と
映像と多チャンネルオーディオの
チャンネルオーディオの同期・
同期・再生実験に
再生実験に成功
慶應DMC機構は、2006年10月9日午前(米国時間8日午後)、共同研究を行っているカリフォルニア大学
サンディエゴ校(UCSD)Calit2 、および南カリフォルニア大学(USC)などと協力して、DMCスタジオを含む日
米の複数地点からの4K映像と多チャンネル(8チャンネル及び24チャンネル)オーディオ信号をサンフランシ
スコのLetterman Digital Arts Center, Premier Theater (以下Lucas Film Theater) まで伝送し、同期・再
生する実験に参画し、成功した。4K映像と高品質デジタルオーディオを遠隔で制作、編集し、楽しむことを可
能とする技術であり、全米音響学会(AES)の技術者、Lucas Film関係者の高い評価を得た。
実験1としてコンピュータグラフィックによる4K映像と音響用の標準タイムコード(SMPTE Time code)を
Lucas Film Theaterに伝送し、Lucas Film TheaterではCalit2で同期して生成された24チャンネルオーディ
オをミックスして同期再生した。これは遠隔での編集技術に利用できる。また、実験2として慶應義塾大学の
学生オーケストラであるワグネルソサイエティの演奏をリアルタイムミキシングして再生し、大画面による遠
隔音楽演奏の楽しみ方の可能性を示した。聴衆は全米音響学会(AES)の技術者など約300名で、4K映像
の臨場感と多チャンネルオーディオの効果が絶賛され、今後の4K映像の応用の開拓に先鞭をつけた。
http://www.dmc.keio.ac.jp/topics/061010lykeion.html
■米Sony、
、4K SXRDプロジェクタ
プロジェクタ「
」を発表。
プロジェクタ「SRX-R220」
発表。
2006年10月24日、米Sonyは、4K SXRDプロジェクタの新モデル「SRX-R220」を発表。2007年初旬より米
国で発売予定で、日本での発売は未定。解像度4,096×2,160ドットの885万画素「4K SXRD(Silicon X-tal
Reflective Display)」パネルを採用するデジタルシネマ向けのプロジェクタ。輝度は18,000ANSIルーメンで、
従来製品(SRX-R110/10,000ANSIルーメン)から、大幅に向上。SMPTE準拠の14ft-Lを幅20メートルのス
クリーン(ゲイン1.8)で実現し、「55フィート(約16.76m)以上のスクリーンで、4Kや2Kでの映像投影が可能
となる」としている。レンズユニットは従来製品と共用可能。オートズーム/フォーカスを装備。ランプは4kW
出力を1灯内蔵。また、発売済みのSRX-R110/SRX-105に暗号化モジュールを内蔵したデジタルシネマ向
けシステムも2006年12月より北米発売。こちらも日本での発売は未定。プロジェクタ内にFIPS 140-2規格
に準拠した暗号化モジュールや、メディアブロック「LMT-100」、RAIDストレージユニットなどを内蔵した「トー
タル・デジタルシネマ上映システム」となる。これらの4K対応製品群を「CineAlta 4K」のブランドで展開する。
http://news.sel.sony.com/en/press_room/b2b/broadcast_production/release/25974.html
■ソニー、「
」シリーズから
」を発売
ソニー、「CineAlta」
、「
シリーズから最上位
から最上位モデル
最上位モデルの
モデルのデジタルシネマカメラ「
デジタルシネマカメラ「F23」
2006年11月15日、ソニーは映画フィルムと同様の毎秒24フレームでのHD1080/24P映像制作に対応す
るCineAltaシリーズの最上位モデルとして、デジタルシネマカメラ『F23』を2007年5月に発売する予定であ
ることを発表した。希望小売価格はオープン。
『F23』は、デジタル映像制作における独自の最新技術と長年のノウハウを結集し、フィルムカメラでの撮
影スタイルを追求したデザイン・操作性、映画やCM制作に求められる色再現性やスピードエフェクトなど
の映像効果、そしてデジタルならではの効率的な制作ワークフローを実現したデジタルシネマカメラである。
報道発表によると、全長をコンパクトに抑えた筐体に、HDの最上位フォーマットとして高く評価されている
HDCAM-SRのポータブルレコーダー『SRW-1』を組み合わせることで、「小型化と高い機動性」、「映画・CM
制作におけるフィルムカメラでの運用スタイルに迫るオペレーション、そしてフィルムカメラ用アクセサリーと
の高い互換性の確保」、「ビジュアルエフェクト処理やデジタルインターメディエイトに適した忠実な映像再
現を可能にする“HD RGB 4:4:4”記録および高画質なスロー映像を可能にする“HD 1080/60P”記録」、「フィ
ルムカメラと同様の早回し・遅回し撮影などのスピードエフェクトをHDフル解像度にて実現した“SR Motion”
機能の搭載」を実現した。http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200611/06-1115/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
デジタルシネマ調査団 実施報告
DCCJ理事長 青山友紀
1.はじめに
毎年ラスベガスで行われるNAB(National
Association of Broadcasters)はその名称が示すよ
うに世界最大の放送機器展示会であったが、最近で
は放送に限らず、デジタルメディアの総合展示会に
発展している。特にNAB開催の直前の土日には
Digital Cinema Summit が開催され、デジタルシネ
マのキーパースンが集まる機会になっている。そこ
で、Digital Cinema SummitとNAB2006の視察、お
よびハリウッドにおけるデジタルシネマ関連機関の
訪問を中心とする機会を設定することはDCCJ会員
にとっても役にたつのではないかと考え、DCCJが調
査団を企画することとなった。
表2 調査団 スケジュール
2006年
4月21日 出国(ラスベガスへ)
4月22日 NABデジタルシネマサミット
4月23日 NABデジタルシネマサミット
4月24日 NAB2006展示会視察
4月25日 NAB2006展示会視察
ロサンゼルスへ移動
4月26日 パラマウントスタジオ見学
4月27日 南カリフォルニア大学訪問
EFILM社訪問
4月28日 帰国の途へ
4月29日 帰国
2.調査団の
調査団の構成と
構成とスケジュール
調査団の構成メンバを表1に示す。これ以外に調
査団にはスケジュールの関係で参加しなかったが、
現地での訪問などに数名のDCCJ会員が参加した。
調査団のスケジュールを表2に示す。ハリウッドの訪
問機関との交渉にはPacific Interface 社の支援をう
け、ツアーの詳細はB.I.Net社、近畿日本ツーリスト
に依頼した。
表1:調査団 参加者リスト
<団長>青山(DCCJ理事長)
金木氏(日本シネアーツ社)
斎藤氏(オリンパス)
鈴木氏2名(レスパスビジョン)
藤井氏(アーティスティックワークス)
藤井氏(三菱電機)
三宅氏(NTT未来ねっと研究所)
山田(DCCJ事務局)
3.Digital Cinema Summit2006 の概要
4月22日、23日の両日、ラスベガスコンベンショ
ンセンタで開催された。昨年と同様土日にもかかわ
らず広い会場が超満員の盛況であった。今回のサ
ミットの特徴は、デジタルシネマはすでにビジネスの
段階に入っており、その観点からプロジェクタ、デジ
タルカメラ、ポストプロダクション、カラーマネジメント
について講演やパネル討論が行われた。従来デジ
タルシネマのビジネス面において慎重であった、
NATO (National Association of Theatre Owners)
のPresidentであるJohn FithianがKeynote Speakerとして登場し、映画館の興行側もデジタル
シネマに全面的に取り組むことを宣言したことは注
目される。映画以外のショウビジネスコンテンツ、た
とえばミュージカル、演劇、コンサート、スポーツな
どの映像をODS(Other Digital Stuff)と名づけたの
は自分である、と紹介していたのは注目される。映
画館経営者もビジネスの対象として映画以外のコン
テンツを視野に入れていることがわかる。
今回のデジタルシネマサミットの新技術のトピック
は3D Digital Cinema である。タイタニックの監督で
あるJames Cameron 監督が3D 映画の将来を熱
心に講演した。さらに3種類の眼鏡を用いて、それ
ぞれ3D映画の短時間上映のデモが行われた。3D
映画が今後どの程度ビジネスとして成功するかは
まだまだ未知数であるが、デジタル3Dシネマと使い
捨てタイプのパッシブ型眼鏡の組み合わせによる
上映が有望であることが述べられていた。
次ページへつづく
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
デジタルシネマ調査団 実施報告
4.NAB2006の
の概要
NAB2006の展示規模は極めて大きく、約1400の
企業が展示を行い、130カ国から10万人規模の参
加者が見込まれるNABは、デジタルメディアに関す
る総合展であり、全体を見て回る時間を持つことは
不可能に近い。今回の展示はデジタルHD放送に関
する各種の機器やシステムの展示が中心であった。
ホームシアター向けの大画面LCDやPDPテレビの展
示も多く、パナソニックが103インチの世界最大サイ
ズのプラズマディスプレイの展示を行っていた。また、
NHKが8Kのスーパーハイビジョンのデモを行い、注
目されていた。
もう一つの話題はIPTVである。インターネットによ
る放送コンテンツの配信、ライブコンサートやスポー
ツ映像配信に関するビジネスには放送業界、通信
業界、機器ベンダー業界の注目があつまっており、
本年3月にはロンドンでIPTV World Forum という
IPTVに的を絞ったイベントが開催されたり、ITU-Tに
おいては標準化をねらってIPTV Focus Groupが4月
に設立されている。NAB2006でもIPTV World という
会議が初めて開催された。これにはハリウッドの視
察のために出席できなかったが、活発な議論が行わ
れたようである。
写真上(左より)Weinberg・USC教授、青山
DCCJ理事長、Swartz・ETC@USCエグゼクティ
ブディレクター(当時)/写真下・EFILM社にて
5.ハリウッドでの
ハリウッドでの調査概要
での調査概要
NAB2006の視察後、ハリウッドを訪問し、南カリフォ
ルニア大学(USC) のRobert Zemeckis Center、
Paramount Studio、およびデジタルポスプロのEFilm を視察した。Zemeckis Centerでは米国におけ
る映画・放送の最も進んだ教育現場をWeinbergセ
ンター長の案内で見学した。また、その場には今回
は訪問することはできなかったが、同大学のもうひ
とつの施設であるETC(Entertainment Technology
Center) のディレクターであるSwartz氏(NAB
Digital Cinema SummitのCo-Chair) にも面会する
ことができた。Paramount Studioの視察は一般の
見学コースではあったが、特別にテレビショーの撮
影が行われている現場を視察することができた。さ
らにHerr氏の紹介で実現したポスプロのE-Filmでは、
日本のポスプロ全体をあわせたスキャナー、フィル
ムプリンター総数をはるかに上回る台数が稼動して
いる現場を視察することができ、さらに同社社長も
参加して調査団メンバの質問に答えてくれた。ハリ
ウッドでのこれらの視察は他の視察団では到底実
現できない貴重な体験であり、ハリウッドに人脈の
あるDCCJが企画した調査団ならではの有益な機会
を提供することができた。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第8号(2007年1月)
第4回通常総会開催報告
2006年5月26日午後4時より慶應義塾大学DMC機構内の会議スペースにて、通常総会を開催いたしま
した。総会の次第ならびに決議事項を下記のとおりご報告いたします。
1、開会のあいさつ
2、資格(定数)確認: 出席者数 個人正会員数48名(当時)のうち35名 (内 委任状提出者数 19名)
3、議長、議事録署名人選出
4、議題
第一号議案 平成17年度収支決算書および
事業報告について
(関連報告) 平成17年度監査報告
第二号議案 平成18年度事業計画案について
第三号議案 平成18年度収支予算案について
第四号議案 役員任期途中の退任に伴う新役員選任について
第五号議案 その他報告事項
デジタルシネマ調査団実施報告
アカデミック組織部会の設立について
5、閉会のあいさつ
各議案について、議長(青山友紀理事長)より説明し、採決の結果、出席者全員の賛成をもって承認されました。役
員については、一身上の都合で任期途中で退任された河内正夫理事の後任として、NTT未来ねっと研究所の萩本和
男所長が新たに理事に選任されました。また、現在実施中の実証実験「4K Pure Cinema」の状況について藤井哲郎
氏(NTT未来ねっと研究所)にご説明いただきました。
◆◇◆ ◆◇◆ 今年度の
今年度の活動内容(
活動内容(予定含む
予定含む) ◆◇◆
①ディジタルシネマに
ディジタルシネマに関する技術
する技術の
技術の現状及び
現状及び将来像の
将来像の調査研究・
調査研究・技術開発支援・
技術開発支援・
普及活動
ニュースレターの発行(年2回予定)/ホームページ更新 (随時)
DCI仕様書を日本語に翻訳し、わが国のディジタルシネマ関係者に貢献する。
4Kディジタルシネマの画像品質評価
会員企業、デジタルシネマ実験推進協議会(DCTF)、慶應義塾大学DMC、総務省受託研究プロ
ジェクトなどと連携し、ディジタルシネマの配信・上映・セキュリティの実験およびディジタルシネマ
技術評価を支援する。
ディジタルシネマ調査団の企画協力(4月21日~29日)
シンポジウム及びセミナー等の開催また(は)協力/後援
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 (7月15日~23日 スキップシティ主催行事 後援)
第2回digital T!FF シンポジウム (10月23日 日本映像国際振興主催行事 協力)
DCCJセミナー主催
二子玉川再開発事業に参画し、ディジタルシネマ開発センター構想に向けた調査研究を実施する。
(アカデミック組織部会の設立など)
②ディジタルシネマの
ディジタルシネマの標準化規格の
標準化規格の確立と
確立と教育素材の
教育素材の構築のための
構築のための国際協力
のための国際協力
特にEDCF(European Digital Cinema Forum)、南カリフォルニア大学のETC及びSchool of Cinema- Television、イタリア国立映画学校、米国映画アカデミー、等との連携を計り、ディジタルシネマの国際的な
普及・促進、品質評価、教育素材の構築を進める。また、Cine-Gridに関する国際的共同研究に参画する。
今後とも皆様からのご支援ご指導のほど宜しくお願いいたします。(事務局)
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NPOディジタルシネマ
ディジタルシネマ・
ディジタルシネマ・コンソーシアム コンソーシアム 組織概要
役員一覧
理 事 長
副理事長
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
監 事
青山 友紀 (慶応義塾大学 教授)
小野 定康 (慶応義塾大学 教授)
小野田 勝洋 (元 財団法人C&C振興財団 顧問)
金子 満 (東京工科大学 教授)
川又 政征 (東北大学 教授)
齋藤 邦昭 (オリンパス株式会社 IS事業プロジェクト プロジェクトリーダー)
齊藤 隆弘 (神奈川大学 教授)
中村 行宏 (京都大学 教授)
村上 篤道 (三菱電機株式会社 役員技監)
山内 寛紀 (立命館大学 教授)
山本 孝一 (株式会社ナックイメージテクノロジー 営業本部長)
太田 直久 (慶應義塾大学 教授)
中村 昌志 (株式会社IMAGICA 企画開発担当部長)
萩本 和男 (NTT未来ねっと研究所 所長)
小口 喜美夫 (成蹊大学 教授)
アドバイザリー会員一覧
一木裕佳 (ナムコ 会長付特命担当)、小林正明 (松下電器産業 パナソニックAVCネットワーク社 技監)、品田雄吉 (多摩美術大学 教授)、辻井重男 (中央大学 教授)、徳田英幸 (慶応義塾大学
教授)、内藤整 (KDDI研究所)、山口南海夫(日本ビクター 専務取締役)、Laurin Herr (パシフィッ
ク・インターフェース社 社長)
個人正会員一覧 (上記役員を除く)
安芸淳一郎、浅井光太郎、伊藤正也、石丸勝洋、上山功ニ、要幸男、河内正夫、木村美砂、小松道
也、佐藤一彦、佐藤健一、白川千洋、高橋勝、辻川和伸、戸村義男、飛地茂、豊谷慎吾、中山秀一、
根本直樹、枅川正也、広瀬雅幸、藤井哲郎、宮永博史、 森川博之、守倉正博、安田靖彦、山下泰司、
山根康邦、山本洋一、吉田育弘 (敬称略 50音順)
法人会員一覧
アストロデザイン株式会社、池上通信機株式会社、株式会社IMAGICA、株式会社オプトウェー
ブ研究所、オリンパス株式会社、株式会社計測技術研究所、株式会社スキップシティ、ソニー
株式会社、大日本印刷株式会社、株式会社テクノハウス、株式会社ナックイメージテクノロ
ジー、株式会社日本シネアーツ社、日本電信電話株式会社、日本ビクター株式会社、東日本
電信電話株式会社、株式会社ピクセラ、株式会社フライトシステムコンサルティング、三菱電
機株式会社、レスパスビジョン株式会社 (50音順) (2007年1月現在)
◆◇◆ ◆◇◆ 入会のご
入会のご案内
のご案内 案内 ◆◇◆
(会員の種類) ■法人会員(年会費、1口10万円より) ■個人正会員(年会費、5,000円)
(ご入会方法) 指定の申込書にご記入の上、FAXまたは郵便でお申込みください。
申込書は当法人ホームページからダウンロードできます。
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema/
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Digital Cinema
Consortium of Japan