列挙学校、2011年9月28∼30日, 神奈川県 数え上げの対象 最大サイズ

列挙学校、2011 年 9 月 28∼30 日, 神奈川県
集合を粉砕する二分割の集まりはいくつあるか
戸田貴久, Ivo Vigan
(a)
1
2
1
2
1
2
4
3
4
3
4
3
粉砕している
(b)
粉砕していない
(c)
粉砕している
数え上げの対象
S を集合とする(要素な何でもかまわない)。
1. S の分割で高々2 個の成分からなるものを2分割という。
2. S の要素 a と b が2分割 P によってカットされるとは、a と
b が P の異なる成分にそれぞれ属するときをいう。
3. S の2分割の集まり P が S に対する分離族とは、どの 2 個
の要素も P に属する2分割によってカットされていると
きをいう。
4. S に対する分離族 P が極小とは、P の真部分族がどれも S
に対する分離族でないときをいう。
最大サイズで極小な分離族と全域木との関係
S が n 要素集合のとき、S の分離族の最大サイズは n − 1 である。
{{1},{2,3,4,5}}
1
1
2
5
2
5
{{2},{1,3,4,5}}
{{1,2,5},{3,4}}
3
3
4
4
{{1,2,3,5},{4}}
上図のように、最大サイズの極小分離族から、S を頂点集合とする木を構成できる。逆も同様。Cayley’s formula によれ
n−2
n−2
ば、Kn における全域木は n
個なので、n 要素集合に対する最大サイズの極小分離族は n
個ある。
サイズ k のものの数え上げ
命題 2
S を n (≥ 2) 要素集合とする。τi は S に対するサイズ i の分
n−1
離族の個数を表す。このとき任意の k (1 ≤ k ≤ 2
)に
対して次が成り立つ:
X
k
k
k
k
i!
τi = (2 − 1)(2 − 2) · · · (2 − n + 1)
i
簡単のため、S = {1, . . . , n} とする。2分割 P のベクトル
表現 b(P ) は、サイズ n のベクトルで i 成分が次で与えられる
ものと定める。
bi(P ) =
1≤i≤k
1 P が 1 と i をカットするとき
0 そうでないとき
no
l
ここで、 i は k 要素を i 個のブロックに分割する方法の総
数、すなわち第 2 種スターリング数を表す。
定理
S を n (≥ 2) 要素集合とする。S に対するサイズ k の分離族
の個数 τn,k は次で与えられる:
すると、2分割の m 組 (P1, . . . , Pm) は n × m 行列とみなせ
る。2分割の m 組で表される n × m 行列は、1行目がすべ
て 0、それ以外は 0 か 1 になっている。
k
X
観察 1
「粉砕している」という分割に関する性質は、
「どの2行
も異なる」という行列に関する性質に対応している。
i
k 2 −1
k−i
(−1)
.
i
n−1
(n − 1)!
τn,k =
k!
i=1
h i
k
ここで、 i は k 要素の置換のうち i 個の巡回置換からなる
ものの総数、すなわち符号なし第 1 種スターリング数を表
す。