従業員とともに - 日立化成株式会社

いきいきと、安全で健康的に働ける職場をつくる
従業員とともに
人権の尊重
P16 CSR 取り組み方針④⑦
企業が持続的に発展していくためには、従業員一人ひとりの人権と人格を尊重し、個性と創造性を最大限発揮できる企業
風土の形成が不可欠です。
この認識のもと、日立化成グループは、国内では人権の尊重を啓発する研修活動に力を入れており、2008 年度も管理職
や新入社員を対象に研修を実施しました。
また、海外でも ILO※の中核的労働基準である「結社の自由と団体交渉権の保障」「強制労働の禁止」「児童労働の廃絶」
「雇用および職業における差別の排除」に準拠した所在地域の法令の遵守に努めています。
※ ILO(International Labor Organization:国際労働機関):各国の政府に労働条件の改善や社会福祉の向上を勧告・指導している国連の機関
多様な人材の活躍推進
P16 CSR 取り組み方針⑦
日立化成グループは、「企業ビジョン」のなかで掲げている「時代に先駆けた新たな価値の創造」を世界各地で実践するた
め、事業のグローバル化を進めています。グローバルに事業を展開する企業グループとして、従業員の国籍・性別に関わり
なく、従業員一人ひとりの多様な価値観を認めることで、各自が能力を最大限に発揮し、さらに相乗効果を生む多文化組織の
構築を目指しています。
●人材多様性への理解の促進
日立化成グループは、ダイバシティに対する理解の一層の促進と、多様な人材が能力を最大限に発揮できる企業風土の
整備を目指して、2008 年度からダイバシティに関する e ラーニングを開始しました。グループ会社を含めた従業員の 88%が受
講しました。2009 年度も引き続き、新入社員などを対象に開講し、ダイバシティへの理解促進を図ります。
また、日立化成では、社内最大のマイノリティである女性従業員を対象にしたメンタリングプログラムも始めました。このプ
ログラムは、身近にロールモデルがいなかったり、コミュニケーションをとる範囲が所属部署内になりがちな女性従業員に、直
属の上司から受ける OJT※とは別にメンター(指導役)となる執行役や管理職と交流する機会を提供することで、長期的で自
立したキャリア開発を支援するものです。また、執行役や管理職に多様な従業員がいることを理解させ、コミュニケーション能
力を向上させる狙いもあります。2009 年度も第 2 期プログラムが 4 月からスタートし、新たに 24 組がプログラムに取り組んで
います。
※ OJT(On the Job Training):職場で業務を経験しながら受ける教育
●人材多様性のグローバル展開
日立化成グループは、グローバルな視点でビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するためには、従業員の国籍・性
別に関わりなく、多様な考え方やバックグラウンドを有する優秀な人材の採用・育成が重要であると考えています。
こうした考え方のもと、グループを横断した人材発掘や海外現地マネージャー層向けの教育体系の整備、国内の従業員に
対する異文化理解の促進を目的とした教育の実施などに積極的に取り組んでいます。
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日立化成グループ 社会的責任報告書 2009
●ワークライフバランスへの配慮
日立化成グループは、仕事と家庭の両立を目指す従業員を支援するため、さまざまな制度を整備しています。
例えば、育児休職は小学校 1 年終了時までの通算 3 年間取得可能とし、また育児休職から復帰後の短時間勤務は、小学
校卒業まで取得可能としています。このほか、育児や介護、配偶者の転勤を理由に退職した元従業員を再雇用する制度や、
育児・介護のための在宅勤務制度、深夜労働の免除や時間外労働を制限する制度も整えています。
これら制度の整備や定期的な見直しとともに、その内容をイントラネットなどでわかりやすく紹介し、制度の利用促進に努め
ています。
●障がい者雇用の促進
障がい者雇用率推移(単独)
日立化成グループは、働く意欲のある障がい者に社会参
加の機会を積極的に提供するため、障がいを持つ従業員の
職域拡大や施設の改善を進めています。
2008 年度の障がい者雇用率は、単独 2.18%、国内連結
2.01%となり、いずれも法定雇用率(1.8%)を上回っています。し
かし、グループ会社のなかには法定雇用率を下回っている
会社もあるため、情報共有を図りながらグループ全体での雇
用促進に取り組んでいます。
日立化成の従業員が「2008 北京パラリンピック競技大会」で 4 位入賞
日立化成人事総務室の従業員である加藤有希が「2008 北京パラリンピ
ック競技大会」の陸上女子 100m、200mに出場しました。パラリンピックへの
出場は、2004 年のアテネ大会に続き 2 回目で、そのアテネ大会では 100m
で銅メダルを獲得しました。
9 月 13 日、16 日に北京の「鳥の巣」会場で行われた競技では、200m で 5
位、100m で 4 位といずれも入賞を果たしました。特に、100m では雷雨とい
100m 決勝での勇姿(左端)
う最悪のコンディションのなかで自己ベストを更新し、3 位となった選手とは
わずか 100 分の 2 秒という僅差でのゴールでした。
当社は、これからも多様な従業員の活躍を積極的に応援していきます。
茨城県の「子育て応援企業表彰」で優秀賞を受賞
日立化成山崎事業所と日立化成テクノサービス(株)は、2009 年 1 月、茨
城県が主催する「子育て応援企業表彰」において「仕事と子育て両立支援
部門」の優秀賞を受賞しました。この賞は、育児・介護休業法の規定を上回
る育児休業制度を導入するなど、先進的な取り組みを行なっている企業を
表彰するものです。
山崎事業所と日立化成テクノサービス(株)は、2008 年 4 月に日立化成グ
ループ全体で進めている仕事と育児の両立支援の一環として、山崎事業
茨城県知事から表彰される
所の近隣に企業内保育施設「さくらひろば」を開設しました。このほかにも、
日立化成グループでは育児休職、短時間勤務、在宅勤務、従業員への子育て支援手当の支給など、さまざまな制度の
整備を進めています。今回、こうした一連の取り組みが評価され、同賞を受賞しました。
当社グループは、今回の受賞を励みに、多様な人材がいきいきと活躍できる環境の整備に一層注力していきます。
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日立化成グループ 社会的責任報告書 2009
従業員の能力向上とキャリア支援
P16 CSR 取り組み方針⑦
日立化成は、従業員の能力・スキルの向上と自己啓発を支援するため、OJT を従業員教育の軸に据えるとともに、OJT で
不足する部分の補完教育として各種の研修プログラムを用意しています。
研修プログラムは、階層・職能ごとに受講すべき研修を教育体系のなかで明確に定めており、従業員が自発的に選択でき
る研修も多数用意しています。
従業員意識調査の実施
P16 CSR 取り組み方針⑦
日立化成では、2006 年の第 1 回に続き、2008 年 7 月に「第 2 回従業員意識調査」を全従業員約 4,300 名を対象に実施し
ました。主に会社生活の満足度や負担感などについて調査した結果、強み・弱みや今後の課題などが浮き彫りになりました。
今後も 2 年に 1 回、同様の調査を行ない、より働きがいのある職場環境や風土づくりに反映していきます。
ハラスメントの防止
P16 CSR 取り組み方針⑦
日立化成グループは、「日立化成グループ CSR ガイドブック」などを活用し、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント
の防止に向けた啓発活動を展開しています(P21 参照)。また、管理職層に対しては、研修などでもハラスメントの防止につい
て指導しています。
さらに、各事業所に「セクハラ相談員」「苦情処理委員会」を設け、万一ハラスメントが発生した場合には迅速かつ適切な対
応がとれる体制を整えているほか、相談・通報は「日立化成グループほっとライン」でも受け付けています(P21 参照)。
労働安全衛生の推進
P16 CSR 取り組み方針⑦
●労働安全衛生への取り組み
日立化成グループは、安全で働きやすい職場を実現するため、労働災害の防止と従業員の健康維持・増進に積極的に取
り組んでいます。
国内では、労働安全衛生法をはじめとする各種法令と「就業規則」に基づき、産業医・衛生管理者・労使双方の委員で構成
する「安全衛生委員会」を事業所ごとに設け、従業員の労働安全衛生の確保と心身の健康維持に向けた諸施策を実施してい
ます。
また、こうした労働災害防止のための施策をより実効性のあるものとするため、OHSAS18001 ※の認証取得と定着を進め、
2009 年 5 月までに日立化成の全事業所において認証を取得しました。今後はグループ会社にこのシステムの思想を採り入
れた労働安全衛生の取り組みの定着と浸透を図るとともに、必要に応じて認証取得を促していきます。
これからも当社グループは、OHSAS18001 に基づく労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント、ヒヤリ・ハット
や危険予知訓練などを組み合わせ、事故・災害のリスク低減に取り組んでいきます。
※ OHSAS18001:労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格
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日立化成グループ 社会的責任報告書 2009
●OHSAS18001 認証の運用
日立化成では、OHSAS18001 によって従業員や他のステ
ークホルダーの業務上の労働安全衛生に関するリスクを組
織的かつ適切に分析・管理し、労働安全衛生マネジメントシ
ステムを継続的に改善することで、労働災害発生の可能性
やそれに伴う経営リスクの低減を図っています。
今後もすべての従業員が安全で安心して働ける職場環境
づくりに努めていきます。
OHASAS18001 の認証取得審査
休業災害発生件数推移
度数率推移
強度率推移
●安全監査の実施
日立化成グループは、国内では事業所ごとに「環境安全監査」を年 1 回実施しています。監査する事業所の規模に合わ
せ、他事業所のメンバーで構成する監査チームを編成し、書類審査と現場監査によって安全管理体制の有効性を確認すると
ともに、必要に応じて改善を指導しています。
また海外では、東南アジアブロックと中国ブロックに分け、「環境安全相互監査」を年 1 回実施し、労働安全衛生の維持・向
上に努めています。
●労働安全衛生教育の推進
日立化成グループは、「安全衛生管理教育」を定期的に実施しています。階層別のプログラムとしており、「基礎コース」「監
督者コース」「管理者コース」の 3 つのコースを設けています。
この安全衛生管理教育では、過去の事故事例を参考に機械・装置ごとのチェックポイントを解説した「職場安全監査の着眼
点」をテキストとして活用しています。英語版・中国語版も作成し、海外グループ会社の教育にも活用しています。
また、毎年 7 月には、管理者・監督者を主な対象とする「全社環境安全発表会」を開催し、環境・安全衛生の推進に関する
情報共有を図っています。
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日立化成グループ 社会的責任報告書 2009
●防災訓練の実施
日立化成グループは、防災管理体制や防災施設の見直しと、防災意識の向上を目的に、各事業所で「総合防災訓練」を毎
年 5 月と 11 月の年 2 回実施しています。
また、不慮の事故・災害の初期防護のため、「自衛消防隊」を組織しており、緊急時に迅速に対応できるよう、訓練を定期
的に実施しています。
●健康管理と心の健康づくり(メンタルヘルスケア)
日立化成グループでは、全従業員を対象に健康診断を年 1 回以上実施しています。生活習慣病予防には特に力を入れて
おり、健康保険組合と連携し、特定健診とその結果に基づく特定保健指導を実施しています。また、人間ドック、脳ドック、主
婦健診などの各種健診の受診を促し、従業員の健康管理に努めています。
このほか、心の健康づくりについては日立化成の本社に心理カウンセラーの資格を持つメンタルヘルス対策の専任者を配
置しているほか、全従業員が利用できる相談窓口を開設するなど、さまざまな対策を推進しています。さらに各事業所では、
従業員に心身両面の健康づくりの大切さへの認識を高め、従業員自ら健康づくりに取り組めるよう、産業医による面接指導
やメンタルヘルス講演会などを定期的・継続的に実施しています。
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日立化成グループ 社会的責任報告書 2009
Close-up
「心の健康づくり」への取り組み
セルフケアとラインケアの両面から「心の健康づくり」を推進し、
すべての従業員が心豊かに安心して働ける
職場環境づくりに取り組んでいます。
メンタルヘルス不調者の増加が大きな社会問題となっているなか、日立化成でも事業を支える従業員の心身の健康保持・増
進を図ることは経営における最重要課題の一つであると認識しています。ストレス性疾病の予防や休業件数の低減だけでは
なく、すべての従業員が明るく、楽しく、快適 に働ける職場環境を整備するという前向きな視点で総合的な対策を推進してい
ます。
心の健康づくりへの総合的なアプローチを開始
日立化成では、カウンセラーを置いて個別相談を受け付けたり、外部講師による研修会を開催したりするなど、従来から各
事業所でメンタルヘルスケアを実施してきました。そうした事業所ごとの施策のレベルをさらに引き上げ、どの事業所の従業
員も均質なメンタルヘルスケアを受けられるよう、2008 年度、CSR 室に心理カウンセラーの資格を持つ専任担当者を配置し、
当社のメンタルヘルスに関する事業所の対策状況や不調者の実態などの調査結果をもとに、全社レベルの総合的なアプロ
ーチを始めました。
また、従業員の心身の健康保持・増進に関わる関係部門の責任者による「心の健康づくり推進委員会」を発足させ、さまざ
まな施策の検討・立案を通じて各事業所が効果的なメンタルヘルスケアを展開できるようサポートしています。
心の健康づくりの支援体制と施策
健康相談窓口の設置
「職場の人間関係」「仕事の質や量」「職場環境の変化」「キャリアやモチベーションの課題」など、多くのストレス要因のなかで
不安や悩みを抱えている人が増加しています。日立化成では、各事業所で個別に整備してきた相談体制や、健康保険組合
が外部委託している健康相談窓口に加え、2009 年 2 月から全社をカバーする相談窓口を本社内に開設しました。社内カウン
セラーが電話やメール、専用携帯電話などで相談を受けています。利用者からは「会社の事情がわかっているカウンセラー
に聞いてもらってよかった」などの感想も寄せられています。
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セルフケア支援研修の実施
効果的な心の健康づくりの推進には、従業員に「メンタルヘルスケアの基本」と「セルフケアやラインケアの方法」などを理解
してもらうことが重要です。そこで、2008 年度下半期には本社、山崎、五井、五所宮などの事業所で約 200 名を対象にメンタ
ルヘルス研修を実施しました。今後も各事業所で研修会を計画的に開催し、情報提供やサポートに努めていきます。
五所宮事業所でのメンタルヘルス研修
セルフチェックシート
従業員のニーズに応える「心の健康づくり」を計画的・継続的に実施
日立化成では、2008 年度の下半期を準備期間、2009 年度を全社を挙げて心の健康づくりのための総合的な対策を本
格的にスタートする初年度と位置づけ、さまざまな体制整備を進めてきました。
今後もすべての従業員が心身の健康を保持・増進できるよう、気軽に利用できる相談窓口の運営や、わかりやすく実
践しやすいメンタルヘルスケアの教育研修などを計画的・継続的に行っていきます。
心の健康づくり全社総合対策実施計画
実践の
現場から
スタッフ 6 名が連携して、茨城県下館地区で働く従業員の心身の健康づくりをサポートしています。
下館地区では、私たち 6 名のスタッフが、この地区で働い
ている従業員の健康増進を心身両面から支援しています。
保健師とカウンセラーが連携して問題や悩みを持つ従業員
と心理的な交流を深めることで、従業員自身が問題や悩み
を解決できるようサポートしています。
カウンセリングルーム(イメージ)
また、各職場でメンタルヘルスケアを実践してもらうため
に、2008 年度は管理・監督者向けの「ラインケア研修」を実
施しました。引き続き 2009 年度は、従業員自身がストレス
に気づき対処できるよう、それに必要な知識や方法を伝え
る「セルフケア研修」を計画的に行っています。
下館地区で心身の健康づくりに
取り組んでいるスタッフ
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