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今治市野間馬保存管理計画

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今治市野間馬保存管理計画
平 成 2 1年 3 月
今治市
目次
第1章
計画の目的
1
背景
……………………………………………………
1
2
目的
……………………………………………………
1
3
対象
……………………………………………………
1
第2章
施設の概要
1
今治市の概要
2
今治市野間馬ハイランドの概要
第3章
3
……………………
5
……………………………………………
11
…………………………………………
13
………………………………………
17
野間馬の概要
1
沿革と特徴
2
野間馬の状況
第4章
…………………………………………
計画
1
保存管理の課題
2
課題の対応方針の前提条件
3
課題の対応方針
4
野間馬の譲渡又は貸付に関する考え方
…………………………
19
………………………………………
20
……………
26
第1章
計画の目的
1
背景
野 間 馬 は 、藩 政 時 代 か ら 私 た ち の 先 祖 が 長 い 歴 史 の 過 程 の 中 で 今 治 市 の 自
然と風土の中で育て上げてきた日本在来の未改良小型馬です。
昭 和 53( 1978)年 に 松 山 市 の 長 岡 悟 氏 か ら 4 頭 の 野 間 馬 が 今 治 市 に 寄 贈 さ
れ 、野 間 馬 保 存 会 を は じ め と す る 地 域 団 体 等 の 協 力 に よ り 平 成 20( 2008)年
に は 85 頭 と な り 今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド の 目 標 保 存 頭 数 は ほ ぼ 確 保 さ れ て
います。
昭 和 60( 1985) 年 10 月 、 社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 よ り 全 国 で 8 番 目 の 日 本
在 来 馬 と し て 認 定 さ れ 、又 、昭 和 63( 1988)年 4 月 、今 治 市 の 指 定 文 化 財( 天
然記念物)に指定されました。
2
目的
今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド に お い て 日 本 在 来 馬 と し て 認 定 さ れ た「 ふ る さ と
の 宝 」で あ る 野 間 馬 の 保 存 育 成 に 取 り 組 み 、第 二 次 整 備 段 階 で 目 標 と し た 保
存頭数の確保がほぼ目標どおり達成されました。
今 後「 ふ る さ と の 宝 」で あ る 野 間 馬 を 確 実 に 次 代 に 継 承 す る た め 、将 来 顕
在 化 が 予 測 さ れ る「 保 存 す べ き 野 間 馬 の 基 準 策 定 」、
「 繁 殖 グ ル ー プ の 拡 充 」、
「 感 染 病 等 に よ る 絶 滅 の 回 避 の た め の 飼 育 場 所 の 確 保 」、
「野間馬の放出に係
る ル ー ル の 整 備 」等 の 課 題 解 決 へ の 取 組 を 推 進 し 、野 間 馬 を 適 切 に 保 存 管 理
するための指針として本計画を策定するものです。
さ ら に 、「 ふ る さ と の 宝 」 で あ る 野 間 馬 を 貴 重 な 財 産 と し て 次 代 に 引 き 継
ぐ 環 境 を 整 え る こ と は 、動 物 愛 護 と 情 操 教 育 の 涵 養 、地 域 の 生 活 文 化 へ の 関
心 な ど 、次 代 を 担 う 子 ど も 達 の 健 全 な 育 成 に 対 し て 高 い 効 果 が 期 待 で き る 野
間 馬 と の ふ れ あ い の 機 会 を 確 保 す る も の で あ り 、野 間 馬 の 存 在 に 誇 り を 感 じ
る こ と に よ り 、市 民 に 貴 重 な 財 産 と し て 理 解 さ れ 、引 き 継 ぐ こ と が 大 き な 使
命 と 考 え 、野 間 馬 の 保 存 育 成 の 必 要 性 が 市 民 に 理 解 さ れ る よ う 保 存 管 理 の 方
針及び方法について明らかにすることを目的とします。
3
対象
本 計 画 は 、今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド で 飼 養 さ れ て い る 野 間 馬 を 対 象 と し ま
す。
1
第2章
施設の概要
1
今治市の概要
(1)位置・地勢
今 治 市 は 、愛 媛 県 の 北 東 部 に 位 置 し 、瀬 戸 内 海 の ほ ぼ 中 央 部 に 突 出 し た
高 縄 半 島 の 東 半 分 を 占 め る 陸 地 部 と 、芸 予 諸 島 の 南 半 分 の 島 し ょ 部 か ら な
り 、緑 豊 か な 山 間 地 域 を 背 景 に 、中 心 市 街 地 の 位 置 す る 平 野 部 か ら 世 界 有
数の多島美を誇る青い海原まで、変化に富んだ地勢となっています。
(2)市の沿革
今 治 地 方 は 、古 墳 時 代 の 多 く の 遺 跡 や 、七 世 紀 に は 伊 予 国 府 が 置 か れ て
いたことが示すように、古くから政治、経済、文化の中心地でした。
中 世 に は 村 上 氏 な ど の 水 軍 が 台 頭 し 、戦 国 の 動 向 に 大 き な 影 響 を 与 え ま
し た 。 慶 長 5 ( 1600) 年 、 藤 堂 高 虎 が 20 万 3 千 石 の 領 主 と し て こ の 地 に
入 り 、今 張 を 今 治 と 改 め 今 治 城 と 城 下 町 を 築 い て 都 市 と し て の 原 型 を つ く
り ま し た 。そ の 後 、松 平( 久 松 )氏 の 所 領( 今 治 藩 と 一 部 が 松 山 藩 )と な
り、明治2年の版籍奉還まで治めました。
明 治 22( 1889)年 、市 町 村 制 の 施 行 に よ り 陸 地 部 の 中 心 が 今 治 町 と な り 、
大 正 9( 1920)年 、日 吉 村 と 合 併 し て 今 治 市 が 誕 生 し ま し た 。そ の 直 後 よ
り港湾の整備を進め、四国初の開港場となりました。
昭 和 に 入 っ て か ら 、周 辺 町 村 と の 合 併 、編 入 を 経 て 、昭 和 37( 1962)年
に は 人 口 が 10 万 人 を 超 え ま し た 。 こ の 間 、 太 平 洋 戦 争 で の 戦 災 に 遭 い な
が ら も 港 を 中 心 と し た 商 業 都 市 と し て 、ま た 、タ オ ル 、縫 製 、造 船 な ど が
基 幹 産 業 と し て め ざ ま し い 発 展 を と げ ま し た 。そ し て 平 成 11( 1999)年 に
は 瀬 戸 内 し ま な み 海 道( 西 瀬 戸 自 動 車 道 )が 開 通 し 、中 四 国 の 交 流 、流 通
3
の拠点となりました。
平 成 17( 2005)年 1 月 、越 智 郡 11 か 町 村 と の 合 併 に よ り 、人 口 18 万 人
と な り 、松 山 市 に 次 ぐ 県 下 第 2 の 都 市 に 生 ま れ 変 わ り ま し た 。瀬 戸 内 海 の
風 光 明 媚 な 景 観 と 、大 山 祇 神 社 や 伊 予 水 軍 城 址 な ど の 歴 史 遺 産 を 誇 る 観 光
都市として、また大型船の生産実績が国内の4分の1を占めるなど、造
船・海運都市としても将来が期待されています。
(3)今治の産業
今 治 市 は 、そ の 海 域 に お い て 中 世 に は 村 上 水 軍 が 活 躍 し た こ と で 有 名 で
す が 、瀬 戸 内 の 海 上 交 通 の 要 衝 と し て 古 く か ら 海 運 業 が 発 達 し 、海 と と も
に 発 展 が も た ら さ れ て き ま し た 。80 年 余 り の 歴 史 を 持 つ 今 治 港 は 、平 成 8
( 1996)年 に は 四 国 初 の コ ン テ ナ 用 ガ ン ト リ ー ク レ ー ン が 設 置 さ れ 、国 内
外 の 物 流 の 拠 点 と な っ て い ま す 。海 運 業 の 繁 栄 に よ り 、各 種 船 舶 を 建 造 す
る 造 船 業 も 盛 ん で す 。 市 内 に 約 20 の 造 船 所 を 有 し 、 そ れ に 伴 う 関 連 会 社
と と も に 日 本 で も 有 数 の 造 船 団 地 を 形 成 し て お り 、輸 送 用 機 械 工 業 出 荷 額
は 約 1,200 億 円 に の ぼ り ま す 。
ま た 、繊 維 産 業 も 盛 ん で 、特 に タ オ ル の 生 産 は 、全 国 生 産 高 の 約 6 割 の
シェアを誇ります。全国的な競争力をもつ食品、電気、石油などの企業、
大島石の石材加工、伝統産業として桜井漆器や菊間瓦があります。
そ の ほ か 、穏 や か な 気 候 に 緑 豊 か な 山 と 美 し い 瀬 戸 内 海 と い う 自 然 環 境
を 生 か し て 柑 橘 類 、木 材 な ど の 農 林 業 や 、天 然 、養 殖 と も に 漁 業 も 盛 ん に
行われています。
4
2
今治市野間馬ハイランドの概要
今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド は 、 今 治 市 の 中 心 か ら 北 西 約 5 ㎞ 離 れ た 国 道 196
号 線 沿 い の 丘 陵 地 に 整 備 さ れ ま し た 。昭 和 53( 1978)年 に 整 備 さ れ た 野 間 馬
放 牧 場 ( 1,815 ㎡ ) を 前 身 と し て 、 野 間 馬 の 有 効 活 用 と 飼 育 環 境 の 改 善 整 備
を 推 進 す る た め に 平 成 元( 1989)年 に 開 園( 1.45ha)し ま し た 。そ の 後 、飼
育頭数の増加や利用者の増加に伴う拡張整備の要望や次代を担う子供たち
の 自 然 体 験・学 習 施 設 の 必 要 性 へ 対 応 す る た め に 平 成 9( 1997)年 に リ ニ ュ
ー ア ル オ ー プ ン ( 5.63ha) し ま し た 。
図 2 -1
施設全体平面図
5
図 2 -2
第1放牧場平面図
図 2 -3
第1厩舎平面図
6
図 2 -4
第2放牧場平面図
図 2 -5
第2厩舎平面図
7
図 2 -6
第3放牧場平面図
図 2 -7
第3厩舎平面図
8
表 2 -1
施設概要
施設名
構造
敷地面積
(㎡)
第1放牧場
放牧場
1,030.00
4,020.00
第2放牧場
第3放牧場
厩舎棟
小動物ふれあい
広場
まきば館
催し場
にこにこ広場
延床面積
(㎡)
1,150.00
1,840.00
第1厩舎
鉄骨造2階建
第2厩舎
鉄骨造2階建
第3厩舎
小動物舎
小鳥舎
1階
2階
PH
ログハウス
テント
テントハウス
芝生広場
鉄骨造2階建
鉄骨造平屋建
鉄骨造平屋建
鉄骨造2階建
木造平屋建
鉄骨造平屋建
ちびっこ広場
駐車場
駐輪場
乗馬広場
みどりの広場
便所棟
いこいの広場
わんぱく広場
野鳥の森
園路等
植栽
337.40
808.53
524.20
415.47
172.20
591.00
797.00
6,565.00
30.50
990.00
647.50
40.00
487.00
2,140.00
5,600.00
9,830.00
22,704.21
合計
56,362.61
9
375.25
243.11
31.82
23.38
316.51
212.78
6.76
15.00
150.00
493.20
542.00
355.90
789.60
535.00
43.00
87.00
44.26
88.53
134.76
第3章
野間馬の概要
1
沿革と特徴
野 間 馬 の 起 源 は 、 寛 永 12 年 ( 1635 年 ) に 伊 勢 国 桑 名 か ら 松 山 城 に 転 封 に
な っ た 藩 主 久 松 定 行 公 が 、ご 舎 弟 の 今 治 城 主 定 房 公 に 命 じ て 、今 治 港 の 北 4
㎞ の 来 島 海 峡 に 浮 か ぶ 馬 島 に 軍 馬 の 放 牧 場 を 作 ら せ 、多 く の 馬 を 放 牧 さ せ た
ことから始まるとされています。
こ の 放 牧 は 、飼 料 不 足 と 疾 病 の 発 生 の た め 、多 く の 馬 が 死 亡 し 失 敗 に 終 わ
り ま し た 。そ こ で 藩 は 、松 山 領 内 の 野 間 郷( 現 在 の 今 治 市 乃 万 地 区 )一 帯 の
農家に馬の飼育を委託して繁殖させることとしました。
当 時 の 馬 は 体 高 4 尺( 約 121 ㎝ )を 定 尺 と し て 、こ の 定 尺 よ り 大 き い 馬 は
藩 公 か ら 飼 育 費 の ほ か に 報 奨 金 を 与 え る こ と で 増 産 を 進 め る 一 方 、こ の 定 尺
より小さい馬は飼育費を支払わない代わりに農家に無償で払い下げられま
した。
現在の野間馬はこの定尺以下同士の交配からできあがったものといわれ
て お り 、「 野 間 駒 」「 野 間 子 」「 野 間 馬 」 と 呼 ば れ 日 本 在 来 馬 の 中 で は 一 番 小
型の馬です。
四 国 地 方 に は 土 佐 駒 ( 高 知 県 )、 越 智 駒 ( 愛 媛 県 ) な ど の 在 来 馬 が 飼 育 さ
れてきたが、野間馬はその一種といわれています。
農 家 は 、 こ の 小 型 馬 が 粗 食 で 頑 健 、 蹄 鉄 も は め ず に 70kg の 重 い 荷 物 を 乗
せ る こ と が 出 来 る こ と か ら 増 殖 が 盛 ん に 進 め ら れ 、江 戸 時 代 に は 300 頭 ほ ど
飼育され馬産地として大変栄えたといわれています。
主 に 瀬 戸 内 海 の 島 々 や 久 万 地 方 な ど に 広 く 買 い 取 ら れ 、農 耕 や 小 道 、山 道
での荷物の運搬に使われ、なくてはならない輸送の手段でした。
特 に 島 し ょ 部 の 急 傾 斜 地 や 細 道 で の 駄 載 用 と し て 、小 型 馬 が 重 宝 さ れ た こ
ともあって小型馬同士の交配が進み、より一層の小型化になりました。
し か し な が ら 、明 治 以 降 の 種 牡 馬 検 査 法 の 制 定 や 馬 政 局 の 設 置 な ど に よ り
産馬改良が一層強化され、野間馬のような小型の土産馬の繁殖は禁止され、
次 第 に 減 少 の 一 途 を た ど り ま し た 。し か し 、農 家 に あ っ て は 野 間 馬 の 強 健 な
体 質 や 荷 物 運 搬 の 優 れ た 能 力 な ど を 忘 れ ら れ ず 、大 島( 現 在 の 今 治 市 吉 海 地
区 及 び 宮 窪 地 区 )な ど 島 し ょ 部 の 人 目 の つ か な い と こ ろ で わ ず か に 飼 育 さ れ
ていました。
さらに第2次世界大戦後の輸送手段の発達や農業の機械化などにより産
業上の価値が薄まり、野間馬の頭数は激減していきました。
頭 数 が 激 減 し 絶 滅 の 恐 れ が あ っ た 野 間 馬 を 保 護 し よ う と い う 試 み が 、ま ず
愛媛県立道後動物園(現在の愛媛県立とべ動物園の前身)で始まりました。
越 智 郡 大 島 ( 現 在 の 今 治 市 吉 海 地 区 ) よ り 昭 和 30 年 ( 1955 年 ) 2 月 に 雄 1
頭 を 、 ま た 昭 和 36 年 ( 1961 年 ) 9 月 に 雌 1 頭 の 計 2 頭 が 動 物 園 に 導 入 さ れ
4頭の仔馬が誕生し内2頭が動物園で飼育されていました。
ま た 、松 山 市 の 長 岡 悟 氏 は 、愛 媛 県 の 在 来 馬 で あ る 野 間 馬 の 頭 数 が 少 な く
な っ た こ と を 憂 い て 、 昭 和 34 年 以 来 愛 媛 県 周 桑 郡 や 今 治 市 と そ の 周 辺 の 島
11
し ょ 部 な ど の 農 家 を 回 り 、当 時 ま だ わ ず か に 残 っ て い た 野 間 馬 を 引 き 取 り 飼
育していました。
「 野 間 馬 は 故 郷 の 広 い 山 野 で 育 て る の が 一 番 よ い 」と い う 想 い か ら 長 岡 氏
か ら 昭 和 53 年( 1978 年 )6 月 30 日 に 今 治 市 へ 4 頭 の 野 間 馬 が 寄 贈 さ れ ま し
た。
同 年 に 野 間 馬 保 存 会 を 設 立 す る と と も に 、乃 万 農 業 協 同 組 合 に 事 務 局 を 設
置 し 、関 係 機 関 、団 体 及 び 有 志 が 集 い 、地 域 ぐ る み で 生 き た 文 化 遺 産 で あ る
野 間 馬 を「 ふ る さ と の 宝 」と し て 大 切 に 保 存 増 殖 に 取 り 組 む こ と と な り ま し
た 。ま た 飼 育 は 、今 治 市 野 間 の 新 開 豊・美 代 香 夫 妻 が 永 年 に わ た っ て 牛 を 飼
育 し た 経 験 を 生 か し て 、同 氏 所 有 の 山 に 囲 ま れ た 約 18a の 傾 斜 地 を「 野 間 馬
放 牧 場 」と し て 飼 養 管 理 を 引 き 受 け ま し た 。新 開 氏 は 不 順 で あ っ た 生 産 状 況
を み て 穀 類 を 控 え 、良 質 な 粗 飼 料 と 放 牧 を 取 り 入 れ る こ と で 、昭 和 54 年( 1979
年 ) 以 降 順 調 な 生 産 が 続 き 、 昭 和 58 年 ( 1983 年 ) に は 待 望 の 雄 の 仔 馬 が 2
頭 誕 生 し ま し た 。こ れ は 新 開 氏 の 老 練 で し か も 丹 精 込 め た 飼 養 管 理 に あ る と
いっても過言ではありません。
昭 和 60 年( 1985 年 )10 月 に は 社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 よ り 全 国 で 8 番 目 の
日 本 在 来 馬 と し て 認 定 さ れ 、 又 、 昭 和 63 年 ( 1988 年 ) 4 月 に 今 治 市 の 指 定
文化財(天然記念物)に指定されました。
12
2
野間馬の状況
(1)野間馬の飼養頭数
野間馬の飼養頭数は、次のとおりです。
表 3 -1 野 間 馬 飼 養 頭 数
雄
去勢雄
雌
合計
37 頭
9頭
38 頭
84 頭
( 平 成 20 年 10 月 現 在 )
(2)日本在来馬としての野間馬
ア 認定に至る経緯
昭 和 5 9(1984)年 社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 に よ る 「 野 間 馬 に 関 す る 学 術
調査」が実施される。
昭 和 6 0(1985)年
社団法人日本馬事協会より全国で8番目、四国では
唯一の日本在来馬として認定される。
平 成 3 (1991)年
血統管理を推進するために飼養馬全頭に耳票を装着
し、分離飼育を始める。
平 成 4 (1992)年
血統管理を推進するために鹿児島大学より全面的な
協 力 を 得 て 飼 養 馬 全 頭 の DNA 鑑 定 を 実 施 し 親 子 識 別
に取り組む。
平 成 1 3(2001)年
社団法人日本馬事協会より全国で4番目に種馬登録
の対象として認定される。
平 成 1 4(2002)年
血統管理システムの運用を開始する。
イ 認定概要
(ア)認定年月
昭 和 60( 1985) 年 10 月
※日本在来馬の種類
日 本 在 来 馬 と し て は 、 北 海 道 和 種 馬 ( 北 海 道 )、 木 曽 馬 ( 長 野 県 )、 対 州
馬( 長 崎 県 )、御 崎 馬( 宮 崎 県 )、ト カ ラ 馬( 鹿 児 島 県 )、宮 古 馬( 沖 縄 県 )、
与那国馬(沖縄県)及び野間馬の8馬種が認定されています。
ウ 種馬登録規程
(ア)認定年月
平 成 13( 2001) 年 4 月 1 日
13
表 3 -2
区分
社団法人日本馬事協会種馬登録規程野間馬体型標準
野間馬
♂
体
高 90 ㎝ ∼ 120 ㎝
♀
♂
胸 囲 率 110% ∼ 120%
♀
♂
管 囲 率 10.5% ∼ 13.0%
♀
毛
色
鹿毛、栗毛、芦毛、青毛とする。鰻線を有するものも
あるが、白徴は、頭部、肢部ともない
外貌資質
小 格 、中 駆 は や や 長 く 、た て が み 等 長 毛 は 豊 か で 長 い 。
肢 蹄 堅 牢 、体 質 強 健 、持 久 力 に 富 み 温 順 な 性 質 で あ る 。
頭 頸 部
頭はやや大きく、額広く、鼻梁直。
眼は黒く豊円で、耳は短直で締まり良い。
頸は薄く短い。
前
駆
き甲は短く高い。
体幅に乏しく、肩は俊立しているものが多い。
中
駆
背は短く、腰への移行が滑らかで力がある。
後
駆
体幅薄く、編笠尻。
急傾斜地の昇降に順応した曲飛、X状肢勢を呈するも
のが多い。
歩
様
歩様確実、短節であるが力あり。
14
(イ)現況
表 3 -3 野 間 馬 登 録 状 況 ( 現 飼 養 馬 )
項目
雄
雌
合計
血統登録・補助血統登録
28
10
38
繁殖登録・補助繁殖登録
9
21
30
合計
37
31
68
( 平 成 20 年 10 月 現 在 )
(2)今治市指定文化財としての野間馬
ア 指定に至る経緯
昭 和 6 0(1985)年 社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 よ り 日 本 在 来 馬 と し て 認 定 さ
れたのを受け、学術上価値の高いものとして、今治
市指定文化財の指定申請の検討を始める。
昭 和 6 2(1987)年
野間馬保存会より今治市教育委員会に対し今治市指
定文化財(天然記念物)の指定を申請する。
昭 和 6 3(1988)年
今治市教育委員会より今治市指定文化財(天然記念
物)に指定される。
イ 指定概要
(ア)名称
日本在来馬野間馬
(イ)指定年月日
昭 和 63( 1988) 年 4 月 6 日 付 け
今 文 第 72 号
(ウ)所在の場所
今治市野間大谷乙1番地1
※野間馬の特徴
今治市指定文化財(天然記念物)としての野間馬の特徴としては「日本
在 来 の 未 改 良 小 型 の 馬 で 体 高 115 ㎝ ∼ 125 ㎝ 、 体 長 130 ㎝ ∼ 137 ㎝ 、 胸 囲
145 ㎝ ∼ 150 ㎝ 、管 囲 14 ㎝ ∼ 15 ㎝ 内 外 で 、胴 長 で 斜 尻 、四 肢 細 く 、関 節 は
太くて締まり、蹄は緻密、ちびにくいのが特徴で蹄鉄の必要がない。性質
は 精 か ん で 粗 管 理 に 耐 え 、 持 久 力 に 優 れ て い る 。」 と 紹 介 さ れ て い ま す 。
15
第4章
計画
1
保存管理の課題
(1)保存すべき野間馬の基準策定
社団法人日本馬事協会種馬登録規定事務細則において野間馬体型標準
は 規 定 さ れ て お り 、体 型 標 準 に 適 合 し て い る 野 間 馬 に つ い て は 血 統 登 録 及
び 繁 殖 登 録 を 行 う 環 境 が 整 っ て い ま す 。集 団 の 中 で 近 交 係 数 及 び 血 縁 係 数
が 優 れ て い る 馬 を 繁 殖 登 録 馬 と し て 登 録 し 、世 代 交 代 を 進 め な が ら 、優 良
な 種 の 保 存 に 努 め な け れ ば な り ま せ ん 。優 良 な 種 の 保 存 と い う 観 点 か ら す
る と 血 統 登 録 馬 及 び 繁 殖 登 録 馬 に 限 定 し て 保 存 し 、そ れ 以 外 の 馬 に つ い て
は 整 理 方 法 の 検 討 が 必 要 で す 。そ の 点 で も「 保 存 す べ き 野 間 馬 」の 明 確 な
基準作りが求められます。
(2)繁殖グループの拡充
現 在 の 飼 養 頭 数 が 84 頭 と い う こ と で 種 の 保 存 を 図 る た め の 増 殖 と い う
目標に対しては、一定の成果は挙げられたと考えられます。
今 後 は 、優 良 な 種 の 保 存 と い う 観 点 か ら 近 交 係 数 及 び 野 間 馬 体 型 標 準 を
最重要項目とした繁殖計画の策定が必要となってきます。
近 交 係 数 の 上 昇 の 抑 制 を 図 る た め の 方 策 の 一 つ と し て 、繁 殖 集 団 の 拡 充
が あ り ま す 。し か し 、繁 殖 集 団 の 拡 充 を 行 え ば 、当 然 と し て 生 産 頭 数 が 増
加 し 、施 設 適 正 飼 養 頭 数 と の バ ラ ン ス 調 整 が 必 要 と な っ て き ま す 。そ の バ
ラ ン ス 調 整 を 図 る た め に は 、保 存 育 成 及 び 利 活 用 の 選 定 基 準 を 確 立 し 、選
定基準外となった野間馬を野間馬ハイランド外に放出することも考えな
け れ ば な り ま せ ん 。ま た 、繁 殖 馬 房 の 絶 対 数 が 不 足 し た 場 合 は 繁 殖 用 馬 房
の新規整備の検討が必要となってきます。
(3)市指定文化財としての野間馬の整理方法
野 間 馬 は 、市 指 定 文 化 財 と し て 指 定 さ れ て い ま す が 、指 定 文 化 財 と し て
の 取 り 扱 い の 整 理 と し て は 、学 術 上 価 値 の 高 い 動 物 と し て 市 指 定 文 化 財 に
指 定 さ れ て い る「 日 本 在 来 馬 野 間 馬 」と は 在 来 馬 と い う 観 点 か ら も「 繁 殖
登録馬としての野間馬」を指しているということとします。
た だ し 、非 繁 殖 登 録 馬 に「 価 値 が な い 」と い う こ と で は な く 、指 定 文 化
財としての「野間馬」でないだけです。
(4)感染病等による絶滅の回避のための飼育場所の確保
現 在 の 飼 養 状 況 で 家 畜 伝 染 病 が 発 生 し た 場 合 、法 律 等 で 発 生 し た 所 在 地
か ら の 移 動 の 制 限 、家 畜 伝 染 病 の ま ん 延 を 防 止 す る た め 発 生 し た 所 在 地 で
飼 養 し て い る 野 間 馬 の 処 分 等 も 想 定 さ れ 、絶 滅 の 危 機 に 瀕 す る 恐 れ が あ り
ま す 。そ の よ う な 危 機 的 状 況 を 回 避 す る た め に は 、副 次 集 団 を 形 成 し 、必
要な放牧場の設置を含めた野間馬ハイランド以外での飼養場所の確保が
必 要 で す 。現 在 、野 間 馬 ハ イ ラ ン ド 以 外 に お い て 、繁 殖 グ ル ー プ の 形 成 に
17
必要な個体を育成している場所としては、愛媛県立とべ動物園のみです。
し か し 、放 牧 場 等 を 設 置 す る た め に は 、放 牧 場 予 定 地 の 選 定 、周 辺 同 意
及 び 処 理 水 の 放 流 同 意 、施 設 整 備 費 用 の 予 算 の 財 源 確 保 と い っ た 解 消 す べ
き課題が多くあります。
(5)野間馬の放出に係るルールの整備
放 牧 場 等 の 確 保 が 困 難 で あ っ て も 、飼 養 場 所 の 分 散 化 を 促 進 し 感 染 病 等
に よ る 絶 滅 危 機 の 回 避 を 図 る た め の 方 策 が 必 要 で す が 、そ の 一 つ と し て 貸
出 又 は 譲 渡 の 制 度 化 が 考 え ら れ ま す 。現 在 で も 貸 出 又 は 譲 渡 を 希 望 す る 問
い 合 わ せ が あ る 中 で 、円 滑 な 事 務 処 理 を 行 う た め 、要 綱 等 を 策 定 す る 必 要
が あ り ま す 。希 望 目 的 が 公 共 性 及 び 公 益 性 の 高 い も の と 認 め ら れ る 貸 出 又
は 譲 渡 の 対 象 者 に つ い て は 、要 綱 等 の ル ー ル に 則 っ た 事 務 手 続 き を す る こ
と で 積 極 的 に 貸 出 又 は 譲 渡 を 行 い 、擬 似 的 に 副 次 集 団 を 形 成 す る こ と が 可
能 と な り ま す 。な お 、外 部 へ 放 出 す る 場 合 は 、他 の 馬 種 と の 交 雑 の 可 能 性
があるので外部での繁殖の取扱は、十分に注意が必要となります。
18
2
課題の対応方針の前提条件
今治市野間馬ハイランド外における野間馬の繁殖の考え方
今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド 外 で の 野 間 馬 の 繁 殖 は 、下 記 の 理 由 か ら 原 則 禁
止とします。
○野間馬が野間馬として存在するために生産地にこだわることが重要で
あること。
○ 社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 種 馬 登 録 規 程 事 務 細 則 第 2 の( 1 )の ウ で「 日
本 在 来 馬 は 、そ れ ぞ れ の 原 産 地 で 生 産 さ れ た も の で あ っ て 、血 統 上 3 代
前 ま で の 間 又 は 原 産 地 で 過 去 15 年 間 に わ た り 、 他 の 品 種 が 混 血 し て い
な く 、か つ 、品 種 判 定 委 員 会 に お い て 外 貌 体 型 上 品 種 の 特 性 を そ な え て
い る と 認 め ら れ た も の 限 り 、当 該 品 種 と す る 。」と 規 定 さ れ て い る こ と 。
○今治地方の先祖たちが長い歴史の過程の中で今治地方の自然と風土の
中で育て上げてきたのが野間馬であり、広く市民に愛される野間馬を
「 ふ る さ と の 宝 」と し て 、次 代 に 引 き 継 ぐ 貴 重 な 財 産 と し て 、今 治 市 と
し て も 保 存 育 成 に 努 め る 必 要 が あ る た め 、今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド を 整
備し、保存育成にかかる経費を負担している経緯があること。
19
3
課題の対応方針
(1)保存すべき野間馬の基準策定
ア 保存育成対象馬の選定基準
○ ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク の 対 象 と な る 馬 は 、社 団 法 人 日 本 馬 事 協
会 種 馬 登 録 規 程 に 基 づ く 繁 殖 登 録 馬 ( 繁 殖 終 了 馬 は 除 く 。) 及 び 繁
殖登録候補馬とします。
※繁殖終了馬
…血統、高齢又は事故等のため今後ブリーディング・ストックに復帰す
る可能性のない繁殖登録馬
○ ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク の 種 別 は 、繁 殖 対 象 馬 、繁 殖 候 補 対 象 馬
及び繁殖育成馬候補対象馬とします。
※繁殖対象馬
…繁殖集団を構成する馬
※繁殖候補対象馬
…次の繁殖集団を構成する馬
※繁殖育成馬候補対象馬
…次の繁殖候補集団を構成するために繁殖登録を申請する予定の馬
○ ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク の 選 抜 基 準 は 、繁 殖 登 録 馬( 繁 殖 終 了 馬
は 除 く 。) 及 び 繁 殖 登 録 候 補 馬 の 中 か ら 、 橋 口 勉 名 誉 教 授 を は じ め
とする鹿児島大学の指導のもと、優良な種の保存という観点から、
最 重 要 課 題 で あ る 近 交 退 化 を 予 防 す る と と も に 血 縁 係 数 、毛 色 、調
教適正、繁殖能力及び健康等を考慮した選抜基準とします。
イ
利活用対象馬の選定基準
○ 利 活 用 対 象 馬 の 対 象 と な る 馬 は 、原 則 と し て ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト
ッ ク に 属 さ な い 馬 で 、乗 馬 や 乗 馬 療 育 な ど 今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド
の管理運営で利活用している馬とします。
○ コ マ ー シ ャ ル・ス ト ッ ク の 種 別 は 、利 活 用 対 象 馬 及 び 譲 渡 対 象 馬 と
します。
○ 利 活 用 対 象 馬 の 選 抜 基 準 は 、原 則 と し て ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク
に属さないこととします。
ウ
調整対象馬の選定基準
○調整対象馬は譲渡対象馬とします。
20
○ 譲 渡 対 象 馬 の 対 象 と な る 馬 は 、繁 殖 終 了 馬 、近 親 交 配 系 統 馬 及 び 非
血統登録馬とします。
○ 譲 渡 対 象 馬 の 種 別 は 、繁 殖 終 了 馬 、近 親 交 配 系 統 馬 及 び 非 血 統 登 録
馬とします。
※繁殖終了馬
…血統、高齢又は事故等のため今後ブリーディング・ストックに復帰す
る可能性のない繁殖登録馬
※近親交配系統馬
…両親が同じ繁殖登録馬が既に存在するので、近親交配を避けるために
繁殖登録を行う必要がない血統登録馬
※非血統登録馬
…血統登録の要件を満たしていない馬
○ 譲 渡 対 象 馬 の 選 抜 基 準 は 、繁 殖 終 了 馬 、近 親 交 配 系 統 馬 及 び 非 血 統
登録馬に該当することとします。
(2)繁殖グループの拡充
ア 野間馬体型標準を最重要項目とした繁殖計画
○ 繁 殖 計 画 に つ い て は 、橋 口 勉 名 誉 教 授 を は じ め と す る 鹿 児 島 大 学 の
指 導 の も と 、社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 種 馬 登 録 規 定 事 務 細 則 で 規 定 す
る 野 間 馬 体 型 標 準 に 適 合 し 、近 交 係 数 、血 縁 係 数 、毛 色 、調 教 適 正 、
繁殖能力及び健康等を高次元でバランスが取れた野間馬を増殖す
る こ と を 目 標 と し た 繁 殖 計 画 を 策 定 し 、近 交 退 化 を 予 防 す る こ と を
最 重 要 課 題 と し て 、ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク の 選 抜 に よ る 優 良 な
種の保存を行うこととします。
○ 鹿 児 島 大 学 と の 野 間 馬 の 保 存 育 成 に 関 す る 共 同 研 究 に つ い て は 、市
及び今治市野間馬ハイランド指定管理者と密接に連携しながら継
続して実施することとします。
○ 血 統 管 理 シ ス テ ム を 活 用 し 、個 体 毎 に 血 統 登 録 や 繁 殖 登 録 な ど に 準
ず る 戸 籍 簿( 馬 名 、生 年 月 日 、性 別 、毛 色 、産 地 、血 統 、血 縁 係 数 、
近 交 係 数 、体 尺 測 定 値 、体 重 測 定 値 、生 産 者 な ど )の 整 理 を 行 う こ
ととします。
イ
繁殖グループの拡充
○ 橋 口 勉 名 誉 教 授 を は じ め と す る 鹿 児 島 大 学 の 指 導 の も と 、社 団 法 人
日本馬事協会種馬登録規定事務細則で規定する野間馬体型標準に
適 合 し 、近 交 係 数 、血 縁 係 数 、毛 色 、調 教 適 正 、繁 殖 能 力 及 び 健 康
21
等を高次元でバランスが取れた野間馬を増殖することを目標とし
た繁殖計画に基づく繁殖を実施することします。
○ 繁 殖 グ ル ー プ 数 増 加 に 伴 い 、施 設 改 修 が 必 要 と な っ た 場 合 に つ い て
は、実施を検討することとします。
○ 生 産 頭 数 増 加 に 伴 う 飼 養 施 設 の 環 境 悪 化 に つ い て は 、譲 渡 対 象 馬 を
野間馬ハイランド以外の飼養可能施設に譲与、無償貸付等を行い、
野間馬ハイランドの適正飼養頭数に調整することで対処すること
とします。
○野間馬における遺伝的変異性の把握及び野間馬の繁殖生理に関す
る 研 究 に つ い て は 、鹿 児 島 大 学 と 今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド の 指 定 管
理者で共同研究を継続して行うこととします。
(3)市指定文化財としての野間馬の整理方法
ア 市指定文化財の指定範囲
○ 市 指 定 文 化 財 で あ る「 日 本 在 来 馬 野 間 馬 」と 指 定 さ れ て い る 野 間 馬
の 範 囲 に つ い て は 、「 日 本 在 来 馬 」 と い う 観 点 及 び 学 術 上 価 値 の 高
い も の と い う 観 点 か ら 、社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 種 馬 登 録 規 程 に 基 づ
いた繁殖登録馬とします。
○ 繁 殖 登 録 馬 以 外 の 野 間 馬 は 、今 治 市 文 化 財 保 護 条 例 の 適 用 外 と 整 理
することとします。
○ 譲 渡 対 象 馬 の う ち 繁 殖 登 録 馬 を 外 部 へ 放 出 す る 場 合 は 、市 指 定 文 化
財として今治市文化財保護条例に基づく必要な手続きを行います。
○ 市 が 所 有 権 を 有 す る 繁 殖 登 録 馬 に つ い て は 、市 の 区 域 外 に 所 在 す る
場合でも指定を解除しないこととします。
※今治市文化財保護条例
(解除)
第5条
教育委員会は、市指定文化財が市の区域内に所在しなくなったと
き又はその価値を失ったときその他特別の事由があるときは、その指定
を解除することができる。
○ 今 治 市 指 定 文 化 財 と し て の 特 徴 の 紹 介 に つ い て は 、野 間 馬 の 社 団 法
人日本馬事協会種馬登録規程体型標準に統一することとします。
22
表 4 -1
市指定文化財と日本在来馬体型標準の相違
区分
体
市指定文化財
115∼ 125cm
90∼ 120cm
胸 囲 率
145∼ 150cm( 胸 囲 )
110∼ 120%
管 囲 率
14∼ 15cm( 管 囲 )
10.5∼ 13.0%
毛
高
野間馬の体型標準
鹿毛、栗毛、芦毛、青毛とす
る。鰻線を有するものもある
が、白徴は、頭部、肢部とも
ない。
色
外貌資質
胴長で斜尻、四肢細く、関節
は太くて締り、蹄は緻密、ち
びにくいのが特長で蹄鉄の必
要がない。性質は精かんで粗
管理に耐え、持久力に優れて
いる。
小格、中駆はやや長く、たて
がみ等長毛は豊かで長い。肢
蹄堅牢、体質強健、持久力に
富み温順な性質である。
頭 頚 部
頭はやや大きく、額広く、鼻
梁直。目は黒く豊円で、耳は
短直で締まり良い。頚は薄く
短い。
前
駆
き甲は短く高い。
体幅に乏しく、肩は俊立して
いるものが多い。
中
駆
背は短く、腰への移行が滑ら
かで力がある。
後
駆
体幅薄く、編笠尻。
急傾斜地の昇降に順応した曲
飛、X状肢勢を呈するものが
多い。
歩
様
歩様確実、短節であるが力あ
り。
※ 市 指 定 文 化 財 に つ い て は 、指 定 文 化 財 指 定 申 請 書 の「 形 状 」の 欄 に 記 載 さ
れていたもの。
※ 日 本 在 来 馬 の 体 型 標 準 に つ い て は 、社 団 法 人 日 本 馬 事 協 会 種 馬 登 録 規 程 事
務細則別表第2に記載されているもの。
23
(4)感染病等による絶滅の回避のための飼育場所の確保
ア 副次集団の形成
○副次集団の対象馬は、ブリーディング・ストックとします。
○ 副 次 集 団 施 設 の 整 備 は 行 い ま せ ん 。( 今 治 市 関 連 事 業 で 有 効 と 考 え
ら れ る 事 業 は 別 途 検 討 し ま す 。)
○副次集団については、調査研究を継続して行うこととします。
○市が、副次集団が飼養可能と判断することができる施設に対して、
飼 養 条 件 等 を 含 め た 副 次 集 団 の 管 理 に つ い て 依 頼・協 議 を 行 う こ と
を検討します。
○ 副 次 集 団 に つ い て 、今 治 市 野 間 馬 ハ イ ラ ン ド 外 で の 繁 殖 は 原 則 と し
て行わないこととします。
(5)野間馬の放出に係るルールの整備
ア 譲渡又は貸付に関する制度化
○ 野 間 馬 の 譲 渡 又 は 貸 付 を 制 度 化 し ま す 。 (必 要 に 応 じ て 要 綱 、 要 領
等を制定します。)
○ 譲 渡 又 は 貸 付 の 審 議 は 、学 識 経 験 者 等 で 構 成 さ れ る 審 査 機 関 を 改 め
て設置し、その審査機関において行うこととします。
○ 野 間 馬 の 譲 渡 又 は 貸 付 の 基 準 は 、「 今 治 市 財 産 の 交 換 、 譲 与 、 無 償
貸付等に関する条例」に準じて決定します。
○ ブ リ ー デ ィ ン グ・ス ト ッ ク に つ い て は 、副 次 集 団 の 形 成 が 必 要 な 場
合にのみ無償貸付(即時返還条件付帯)を行うこととします。
○ 野 間 馬 の 飼 養 状 況 に つ い て 、1 年 間 に 1 回 以 上 の 定 期 報 告 を 求 め る
こととします。
○ 審 議 結 果 に つ い て は 、市 公 式 ホ ー ム ペ ー ジ に て 公 表 す る よ う 努 め ま
す。
○今治市野間馬ハイランド外での繁殖は原則として行わないことと
します。
○ 他 の 馬 種 と の 交 雑 は 厳 禁 と し ま す 。 (罰 則 規 定 を 設 け ま す 。 )
24
表 4 -2
課題の対応方針一覧表
ブリーディング・
ストック
項目
保存育成対象馬
対象となる馬 社団法人日本馬事
協会種馬登録規程
第5条による繁殖
登録馬(繁殖終了
馬 は 除 く 。)及 び 繁
殖登録候補馬
コマーシャル・
ストック
利活用対象馬
譲渡対象馬
原則としてブリー ブリーディング・
ディング・ストッ ストックに属さ
クに属さない馬
な い 馬 で 、繁 殖 終
で 、 乗 馬 や 乗 馬 療 了 馬 、近 親 交 配 系
育など今治市野間 統馬及び非血統
馬ハイランドの管 登録馬
理運営で利活用し
ている馬
種別
○繁殖対象馬
○繁殖候補対象馬
○繁殖育成馬候補
対象馬
○利活用対象馬
○繁殖終了馬
○近親交配系統
馬
○非血統登録馬
選抜基準
社団法人日本馬事
協会種馬登録規程
第 12 条 に 規 定 す
る体型標準、血統
及び毛色に基づき
選抜する繁殖集団
に属すること。
原則としてブリー
ディング・ストッ
クに属さないこ
と。
繁 殖 終 了 馬 、近 親
交配系統馬又は
非血統登録馬に
該当すること。
市指定文化財
としての指定
範囲
指定範囲内
原則として指定範
囲外(※繁殖登録
馬については指定
範 囲 内 。)
原則として指定
範 囲 外( ※ 繁 殖 登
録馬については
指 定 範 囲 内 。)
副次集団の形
成
対象内(※繁殖終
了 馬 は 除 く 。)
対象外
対象外
外部への放出
の対象
原則として放出し 放出しない。
ない。
(※副次集団を形
成する場合のみ、
例外的に無償貸付
す る こ と と す る 。)
25
放出する。
4
野間馬の譲渡又は貸付に関する考え方
今治市野間馬ハイランドにおける適切な飼養環境及び終生飼養の確保並
びに周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないような適切な管理を可能
と す る と と も に 、飼 養 場 所 の 分 散 化 を 促 進 し 感 染 病 等 に よ る 絶 滅 の 回 避 を 図
る た め 、保 存 育 成 対 象 馬( 例 外 的 に 副 次 集 団 の 形 成 時 の み )並 び に 保 存 育 成
対象馬及び利活用対象馬に属さない馬を譲渡対象馬として今治市野間馬ハ
イランドの外部に譲渡又は貸付する方針となりました。
野 間 馬 は 、日 本 在 来 馬 と し て 認 定 さ れ る と と も に 今 治 市 指 定 文 化 財 に 指 定
さ れ た「 ふ る さ と の 宝 」で あ り 、次 世 代 へ と 適 切 に 保 存 し 伝 達 し て い か な け
れ ば な ら な い 貴 重 な 財 産 で あ る た め 、そ の 飼 養 及 び 管 理 に 関 し て は 適 切 に 行
われることが求められます。
そ の た め 、野 間 馬 の 譲 渡 又 は 貸 付 に 際 し て は 、譲 渡 希 望 者 又 は 貸 付 希 望 者
の 野 間 馬 の 飼 養 及 び 保 管 に お け る 目 的 、資 格 、能 力 等 の 条 件 を 審 査 す る 必 要
が あ る た め 、野 間 馬 の 飼 養 及 び 保 管 に 関 す る 基 準 を 定 め な け れ ば な り ま せ ん 。
(1)飼養環境の基準
国 は 、人 と 動 物 が 共 生 し た よ り よ い 社 会 を め ざ し て 、動 物 の 愛 護 及 び 管
理 に 関 す る 法 律( 昭 和 48 年 法 律 第 105 号 。以 下「 法 」と い う 。)を 定 め て
お り 、法 第 5 条 に 基 づ き 、動 物 の 愛 護 及 び 管 理 に 関 す る 政 策 を 総 合 的 に 推
進 す る た め の 基 本 的 な 指 針 ( 平 成 18 年 10 月 31 日 環 境 省 告 示 第 140 号 )
を 定 め て い ま す 。そ の 中 で 動 物 の 愛 護 及 び 管 理 に 関 す る 施 策 の 対 象 と な る
動物は、家庭動物、展示動物、実験動物及び産業動物等とされています。
ま た 、法 第 7 条 に 基 づ き 、
「 家 庭 動 物 等 の 飼 養 及 び 保 管 に 関 す る 基 準( 平
成 19 年 11 月 12 日 環 境 省 告 示 第 104 号 )」、
「展示動物の飼養及び保管に関
す る 基 準( 平 成 16 年 4 月 30 日 環 境 省 告 示 第 33 号 )」、
「実験動物の飼養及
び 保 管 並 び に 苦 痛 の 軽 減 に 関 す る 基 準( 平 成 18 年 4 月 28 日 環 境 省 告 示 第
88 号 )」 及 び 「 産 業 動 物 の 飼 養 及 び 保 管 に 関 す る 基 準 ( 昭 和 62 年 10 月 9
日 総 理 府 告 示 第 22 号 )」 の 4 種 類 の 基 準 を 定 め て い ま す 。
以 上 の こ と か ら 野 間 馬 の 飼 養 及 び 保 管 に 関 す る 基 準 は 、動 物 の 愛 護 及 び
保護に関する基準を準用することとします。
※動物の愛護及び管理に関する法律
(基本指針)
第5条
環境大臣は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進す
る た め の 基 本 的 な 指 針( 以 下「 基 本 指 針 」と い う 。)を 定 め な け れ ば な ら
ない。
(動物の所有者又は占有者の責務等)
第7条
4
略
環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関
しよるべき基準を定めることができる。
26
(2)譲渡又は貸付に関する基準
ア 譲渡又は貸付の目的
野 間 馬 の 譲 渡 又 は 貸 付 の 目 的 は 、動 物 の 愛 護 及 び 保 護 に 関 す る 基 準 を
準用するため、種の保存、教育、展示、産業及び科学とします。
(ア)種の保存
種の保存の用に供することを目的とする場合とします。
(イ)教育等
情 操 の 涵 養 、生 態 観 察 そ の 他 教 育 又 は 福 祉 の 用 に 供 す る こ と を 目 的
とする場合とします。
(ウ)展示
展 示 及 び 触 れ 合 い の 用 に 供 す る こ と を 目 的 と す る 場 合 と し ま す 。た
だ し 、 動 物 取 扱 業 ( 動 物 の 愛 護 及 び 管 理 に 関 す る 法 律 第 10 条 に 規 定
す る 展 示( 動 物 と の 触 れ 合 い の 機 会 の 提 供 を 含 む 。))の 登 録 業 者 の 方
でなければなりません。
※動物の愛護及び管理に関する法律
(動物取扱業の登録)
第 1 0条
動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に
係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定め
る用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この
節 及 び 次 節 に お い て 同 じ 。)の 取 扱 業( 動 物 の 販 売( そ の 取 次 ぎ 又 は 代 理
を 含 む 。 次 項 に お い て 同 じ 。)、 保 管 、 貸 出 し 、 訓 練 、 展 示 ( 動 物 と の 触
れ 合 い の 機 会 の 提 供 を 含 む 。次 項 に お い て 同 じ 。)そ の 他 政 令 で 定 め る 取
扱 い を 業 と し て 行 う こ と を い う 。以 下「 動 物 取 扱 業 」と い う 。)を 営 も う
とする者は、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県
知 事( 地 方 自 治 法 ( 昭 和 22 年 法 律 第 67 号 )第 252 条 の 19 第 1 項 の 指
定 都 市( 以 下「 指 定 都 市 」と い う 。)に あ つ て は 、そ の 長 と す る 。以 下 こ
の 節 、 第 25 条 第 1 項 及 び 第 2 項 並 び に 第 4 節 に お い て 同 じ 。) の 登 録 を
受けなければならない。
(エ)産業
畜産等の利用に供することを目的とする場合とします。
(オ)科学
畜 産 に 関 す る 飼 養 管 理 の 教 育 、試 験 研 究 そ の 他 の 科 学 上 の 利 用 に 供
することを目的とする場合とします。
27
イ
施設
施設の種別は、公的施設及び民間施設とします。
(ア)公的施設
公的法人が設置・所有している施設。
(イ)民間施設
公的施設以外の施設。
ウ
申請者
申 請 者 の 種 別 は 、公 的 法 人 、非 営 利 法 人 、営 利 法 人 及 び 個 人 等 と し ま
す。
(ア)公的法人
国、公法人、独立行政法人等及び認可法人等
(イ)非営利法人
公益法人、学校法人、社会福祉法人及び特定非営利活動法人等
(ウ)営利法人
会社法に基づく会社等
(エ)個人等
個人及び任意団体
(3)譲渡又は貸付に関する条件
ア 条件の付帯
譲 渡 又 は 貸 付 を 行 う 場 合 に は 、野 間 馬 の 保 存 管 理 に 必 要 と 思 わ れ る
条件を付帯することとします。
イ
有償の場合の価額
有 償 譲 渡 又 は 有 償 貸 付 の 場 合 の 譲 渡 額 又 は 貸 付 額 に つ い て は 、譲 渡 又
は 貸 付 す る 野 間 馬 の 性 別 、年 齢 、馴 致 度 、社 会 状 況 等 を 考 慮 す る 必 要 が
あ る た め 、該 当 す る 案 件 ご と に 個 別 に 審 査 機 関 に お い て 検 討 す る こ と と
します。
28
資
料
今治市野間馬保存管理委員会委員名簿
(五十音順、敬称略)
おおざわ
大澤
おおざわ
大澤
お
ち
お
ち
越智
越智
か わ べ
河邊
かん
菅
たん
丹
なかはし
かつゆき
勝幸
し ん ご
信午
かおる
馨
はるひこ
晴彦
こうたろう
弘太郎
ただのり
忠則
ゆきひろ
幸大
はるひこ
中橋
治彦
な が の
みのる
はしぐち
つとむ
長野
委員長 橋 口
み は し
副委員長 三 橋
わたなべ
渡邊
實
勉
え い じ
英二
まさかつ
政勝
今治市野間馬ハイランド園長
野間部落総代
神宮部落総代
今治育成園施設長
鹿児島大学
フロンティアサイエンス研究推進センター助教
今治市教育委員会文化振興課課長
愛媛県東予家畜保健衛生所今治支所所長
今治市立乃万小学校校長
公募委員
鹿児島大学名誉教授
愛媛県立とべ動物園園長
今治市産業振興部部長
i
今治市野間馬保存管理委員会経過
回数
時期
内容
第1回
平 成 2 0年
8 月 2 7日
○委員長及び副委員長の互選
○野間馬保存管理計画策定の考え方及び進め方
○提言書の提言内容確認
○今後のスケジュール確認
第2回
平 成 2 0年
1 1月 5 日
○課題の対応方針の検討
第3回
平 成 2 0年
1 2月 1 6日
○野間馬の譲渡又は貸付に関する考え方
○今治市野間馬保存管理計画(案)の検討
∼
平 成 2 0年
1 2月 2 6日
○パブリック・コメント(意見募集)の実施
平 成 2 1年
1 月 2 6日
第4回
平 成 2 1年
2 月 2 5日
○今治市野間馬保存管理計画(案)の決定
○答申方法の検討
平 成 2 1年
2 月 2 5日
○市長へ答申
ii
今治市野間馬保存管理計画
平 成 2 1年 3 月
初版発行
発 行
今治市
今治市別宮町一丁目4番地1
〒 794-8511 電 話 0898( 32) 5200
編 集
産業振興部観光課
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