専攻科特別研究論文公開発表会

制 御 工 学 専 攻
〈電子制御工学コース〉
AR 技術を用いた情操教育ツールの実現
桑名 修平
Realization of the cultivation of aesthetic sensitivity tool with AR technology
Shuhei KUWANA
Abstract
Use of multimedia content s is increasing with the spread of PC and mobile phones. Then the technology called the augmented reality
attracts attention in recent years. The augmented reality has been developed in the various fields. In this study, we put a focus in the
development of augmented reality to the field of the cultivation of aesthetic sensitivity. The augmented reality origin ally expands the
sight information. However, in this study, we thought that we added stimulation to the hearing to it. Therefore we developed pseudo
piano which likened a marker to a keyboard using ARToolKit. ARToolKit is program library to help with the impl ementation of the
augmented reality application. This tool determines the state of the marker and performs an audio output. As a result of experiment,
we were able to show that this tool seems to have good influence in the cultivation of aesthetic sensitivit y.
Key words: Augmented Reality, ARToolKit, cultivation of aesthetic sensitivity
1. 序論
1.1 背景
近年,旧来の文字情報だけの通信ではなく,Skype 等を利
用したビデオチャットや,USTREAM 等を利用した動画の
LIVE 配信といったマルチメディアコンテンツの利用が PC,
携帯電話等の普及に伴い増加している.また,暮らしの中で
ネットワーク接続が前提となる場面が増加している.そのた
め,PC や携帯電話に触れない日は無いとさえ言える状況であ
り,現実世界とモニター越しの仮想世界がより近いものとし
て認識され始めている.その流れの 1 つに,現実世界とコン
ピュータが作り出した仮想世界とを融合する技術として拡張
現実感(以下,AR)と呼ばれている技術がある.この技術の
研究が近年より活発に行われている.この AR という技術を
用いることで,情報提供や,作業支援,技術提供等を目的と
した新しいインターフェースを構築することが可能である.
この技術は現在では企業の広告や,各地方でのイベント等に
も利用されており,様々な場所で AR に触れることができる
ようになった.また,最近ではスマートフォンやタブレット
PC,ゲーム機器等にも搭載されており,どこでも,気軽に扱
うことができる.これらの要因から,AR の認知度は上昇傾
向にあり,これからも様々な分野への展開が期待されるとい
える.
1.2 目的
日常生活が情報化しているのと同様に,教育現場において
も,情報化が進められている.そこで本研究では,幼児が対
象となる情操教育という分野に着目した.
現在,幼児向けの教育ツールのとして,拡張現実技術を用
いた昔話等がある.これらは,視覚的に楽しむことができる
ツールである.そこで,本研究ではこれらとは別のアプロー
チとして,AR を用いて楽器を作成し,目だけでなく耳でも
楽しむことができるツールを作成することを目的とする.
図1
図2
鍵盤マーカ
3DCG モデル表示用マーカ
2.2 システムの流れ
本システムのフローチャートを図 3 に示す.
鍵盤マーカを USB カメラで撮影し,撮影したマーカの状態
を判定して音を鳴らす.マーカが隠れている場合は,その隠
されたマーカに描かれた音を鳴らし,マーカが隠れていない
場合は,音を鳴らさない.また,どの音が鳴っているかを可
視化するために,マーカ上に 3DCG の音符をオーバーレイ表
示し,鳴っている音の音符を赤く,鳴っていない音の音符は
青く表示する.さらに,図 2 のマーカには 3DCG モデルをオ
ーバーレイ表示し,その 3DCG モデルが鳴らした音毎に違う
モーションを行うようプログラムしている.
2. システム構成
2.1 準備
用意するものは,鍵盤に見立てたマーカ群(図 1,以下鍵
盤マーカ),および,3DCG モデルを表示するためのマーカ(図
2)と,USB カメラである.このツールの対象は,幼児なの
で鍵盤の数はあまり必要ではないと考え,図 1 に示すとおり
「ドレミファソラシド」の 8 つとした.
図3
フローチャート
2.3 マルチマーカ
ARToolKit はマーカを 3DCG モデルの表示の指標として用
いる.しかし,本研究ではこのマーカを鍵盤,つまり 1 つの
コマンドとして使用する.本システムでは,マーカを隠すと
音が鳴るように設計する必要がある.しかし,ARToolKit で
は,通常,マーカが隠れてしまうと 3DCG モデルを表示する
ことができなくなる.そこで,この問題に対処するために,
複数のマーカを 1 個のマーカとして扱う,マルチマーカとい
う手法を用いる.あらかじめ,マーカ間の相対的位置関係を
記述した設定ファイルを準備し,その設定ファイルをロード
すればこの手法を利用できる.このマルチマーカを利用する
ことで,最低 1 つのマーカが正常に検出できれば,位置関係
が既知であるため隠れたマーカの位置を算出し,3DCG モデ
ルを表示することが可能となる.このマルチマーカは,マー
カが隠れているか否かという情報を保持する.そこで,マー
カの状態を判断し,その情報を基に条件分岐することで,マ
ーカ群を鍵盤として扱うことが可能となる.
3. 実験
3.1 実験概要
本実験では,被験者に実際に本システムに触れてもらい,
その印象をアンケートする.本システムはそばに大人がいる
前提で作成しているため,被験者は幼児でなく,本システム
を理解し操作できる人を対象に 21 名の方にアンケートを実
施した.
アンケートの質問項目は表 1 の 4 項目の通りである.
これら 4 項目に対し,
「そうだと思う」
「少しそう思う」
「あま
り思わない」
「思わない」の 4 段階で回答をしてもらう形式を
とった.
また,比較実験として,本システムとの比較のため「3DCG
モデルなし」
「音の色分けなし」「無機質な立体の表示」の 3
つのバージョンを用意する.これらを選んだ理由は,「3DCG
モデルなし」については,3DCG モデルの有無,
「音の色分け
なし」については,色分けによる扱いやすさ,
「無機質な立体
の表示」については,モデルの形状,の 3 つの条件のうち被
験者がどれを重視するかを調査するためである.被験者には
情操教育により効果がある,扱いやすい,等の観点から総合
的に判断し 4 つを順位付けしてもらった.
3.2 実験結果
アンケート結果を表 1 に示し,比較実験結果を表 2 に示す.
ここで,1 位を 4 点,2 位を 3 点,3 位を 2 点,4 位を 1 点と
し,被験者から得られた各バージョンの評価を数値化した.
被験者からの意見としては,
「モデルが出て音も出るという,
視覚的にも聴覚的にも楽しいところが子供が興味をもちやす
いと思った」という狙い通りの評価が得られたものがあった.
しかし,
「鳴る音とモデルの関連付けがあればより情操教育に
効果があると思う」,「幼児にとってはこのツールは少々扱い
づらいと思う」という意見も得られた.
質問項目
子供が
興味を持つか?
子供が
楽しめるか?
表 1 アンケート結果
そうだ 少しそ
あまり思
と思う う思う
わない
思わ
ない
15
6
0
0
14
7
0
0
扱いやすいか?
4
10
7
0
情操教育に
効果があるか?
10
10
1
0
表 2
比較実験結果
バージョン
平均値
本システ
ムとの差
3DCG モデルなし
1.48
-2.42
音の色分けなし
2.19
-1.71
無機質な立体の表示
2.43
-1.47
本システム
3.90
0
3.3 評価および考察
表 1 より,AR ピアノは被験者から高い評価が得られた.
子供が興味を持ち,楽しめ,情操教育に効果があるだろう情
操教育ツールが作成できた.ただし,扱いやすさの面では少々
問題がある結果となった.これは,鍵盤マーカの間隔が狭い
点と,実際にはマーカを隠すのではなく,カメラに写ったマ
ーカが隠れるように操作する必要がある点が幼児にとって難
しいことが原因だと考えられる.
表 2 を見て明らかなように,本システムは他のどのバージ
ョンよりもより良い評価が得られた.ここで,本システムと
3DCG モデルなしの平均値の差が最も大きいことから,被験
者は 3DCG モデルがより重要な要素であると感じたことがわ
かる.この結果から 3DCG モデルの表示は本システムには欠
かせないものだと認識した.また,
「音の色分けなし」と「無
機質な立体の表示」の平均値には明確な差がないため,被験
者は音の色分けとモデルの形状の 2 つに関しては,同程度の
要素だと感じられたのだといえる.しかし,
「本システム」と
の間には明確な差が見て取れるため,どちらもシステムに組
み込む価値はある.
4. 結論
4.1 まとめ
ARToolKit において,マーカは主に 3DCG 等を表示するた
めの指標として使用されてきた.しかし,本研究では,USB
カメラの他に,マーカが印刷された紙さえあれば,マーカを
鍵盤の代わりとして使用することで,AR で簡単な楽器を作
成できることが示せた.そして,AR の,仮想と現実の融合
という特徴を活かすことで,情操教育に効果的であろうツー
ルが作成可能であることが示せた.
4.2 今後の課題
本システムでは,音とモーションとの間に関連性が無い.
一音毎に意味付けのないモーションが宛てがわれているだけ
である.これでは,情操教育としてあまり適切ではない.そ
こで,人型のモデルが踊るのではなく,ドレミの歌にあるよ
うに,「ド」の音が鳴るとドーナツが,
「レ」の音が鳴るとレ
モンが表示される,といった具合に改良すれば,見た目も良
く,音楽教材としても活用できるのではないかと考える.
また,本システムでは,音を鳴らした際 3DCG モデルは指
定されたモーション通り動く.しかし,指定した音を鳴らす
と 3DCG モデルが徐々に喜び,失敗すれば 3DCG モデルが
徐々に悲しむ,というようなゲーム性を本システムに取り入
れれば,幼児もより楽しめ,情操教育ツールに近づくと思わ
れる.
参考文献
1)橋本直: “ARToolKit 拡張現実感プログラミング入門”, アス
キー・メディアワークス, (2008)
2)谷尻豊寿: “ARToolKit プログラミングテクニック”, カット
システム, (2008)
環境変化に対する制御系補償を付加した群ロボット制御
佐々木 雄平
Multi-robots control with adaptive compensation to changes of environment
Yuhei SASAKI
Abstract
Recently, the necessity of dangerous work has increased in many fields because of the expansion of human activities. In these
cases, it is usually effective to use some robots. When a dynamics of environment has changed, control performance changes and
the cooperative work between two or more robots is interfered. Therefore, it is desired supporting system to compensate
degradation of control performance.
So we propose a multi-robots control system with the compensating system to improve the control performance without having to
re-adjust the PI parameters by the operator. In this system, the speed of a right-and-left wheel of a robot is controlled by PI. Then,
when the characteristics of environment has changed the compensating system control system adjusts the desired variable of wheel
speed to maintain control performance by fuzzy reasoning.
Key words: Multi-robots, Environmental change, Fuzzy reasoning, Master-slave, PI Control
1.緒 言
近 年 、人 間 の活 動 範 囲 の拡 大 によって、人 間 が作 業 を行
制御系
補償部
うには危 険 を伴 う場 所 での作 業 が発 生 してきている。通 常 こ
+
れ らの場 所 には 複 数 ロ ボ ットの 作 業 が効 率 的 で あ る。環 境
特 性 が変 化 した場 合 制 御 性 能 が変 化 してしまい、複 数 のロ
ボットが行 う作 業 に支 障 をきたすことも考 えられる。そこで環
境 特 性 が変 化 し制 御 性 能 が劣 化 した場 合 にも劣 化 を補 い、
それまでと同 様 の制 御 が行 えるようにする補 償 機 能 を有 した
ロボット群 の制 御 系 が望 まれる。
オペレータ
指令入力
目標速度
目標速度
+ +
生成部
-
ロボット1位置
+
目標速度
目標速度
+ +
生成部
-
ロボット2速度
PI調節器
車輪動特性
ロボット2位置
目標位置
画
面
表
示
制御系
補償部
本 研 究 では、PI パラメータをオペレータが再 度 調 整 するこ
+
となく制 御 系 の制 御 性 能 が改 善 し、うまく制 御 を行 うことがで
目標速度
目標速度
+ +
生成部
-
きるように制 御 系 を補 償 するシステムを各 ロボットの制 御 系 に
付 加 した。これは左 右 車 輪 の速 度 を制 御 する際 に、ファジィ
ロボット3速度
PI調節器
車輪動特性
ロボット3位置
スレーブロボット
推 論 によって修 正 目 標 量 を与 え制 御 量 の動 きを調 整 し、制
図 1 遠隔操作系
御 系 の改 善 を行 うものである。
2.遠 隔 操 作 系 の構 成
車輪動特性
制御系
補償部
マスターロ
ボット
目標位置
決定部
ロボット1速度
PI調節器
3.制 御 系 の補 償
遠 隔 操 作 系 の環 境 特 性 の変 化 の問 題 の対 策 と して、PI
本 研 究 で使 用 する遠 隔 操 作 系 は図 1 のように構 成 される
調 節 器 を補 償 する制 御 補 償 システムを制 御 系 に付 加 した。
マスタースレーブ系 である。作 業 環 境 側 のスレーブロボットの
本 研 究 で は 補 助 目 標 値 を フ ァジィ推 論 によ り導 出 さ せ、補
群 に環 境 特 性 の変 化 が発 生 するものとする。ロボット群 は 3
助 目 標 値 を用 いて PI 調 節 器 の操 作 量 を修 正 させる方 法 に
体 でのロボット群 としており、オペレータが操 作 するマスター
て行 った。
ロボットより導 出 した目 標 位 置 に向 け、自 律 して動 作 する群
ロボットとして構 成 している。
この補 償 システムの考 え方 において、出 力 値 に影 響 を与
えるデータは、最 終 目 標 値 と現 在 の値 との偏 差 と偏 差 の変
まず、オペレータがジョイスティックを用 いて操 作 力 信 号 を
化 量 で あ る。これを入 力 と してフ ァジィ推 論 を行 い 、補 助 目
入 力 し、動 作 指 令 がマスターロボットに送 られ、マスターロボ
標 値 を操 作 する。目 標 値 との偏 差 と偏 差 の変 化 量 に応 じて
ットが動 作 する。このロボットの位 置 を目 標 位 置 としてスレー
補 助 目 標 値 を変 化 させ、PI 調 節 器 の修 正 量 ⊿ u(k)を変 化
ブロボット 1 は制 御 される。スレーブロボット 2、スレーブロボッ
させるといった調 整 ルールである。この操 作 により最 終 目 標
ト 3 の目 標 点 はスレーブロボット 1 の位 置 をもとに目 標 点 に
値 へ近 づけている。補 助 目 標 値 HV は、最 終 的 な目 標 値 へ
向 かうようにスレーブロボット 2、3 が自 律 して動 作 を行 う。
すばやく収 束 するように、目 標 値 を TV、目 標 値 の修 正 量 ⊿
本 研 究 で用 いているロボットは二 輪 駆 動 とし、PI 調 節 器 には
V として、(1)式 で求 められる。
あらかじめ調 整 した固 定 の PI パラメータを設 定 している。環
HV = TV + ⊿V
(1)
境 特 性 が変 化 し、制 御 量 の動 きが悪 くなった場 合 は、制 御
目 標 値 の修 正 量 ⊿V は、スレーブロボットの最 終 目 標 速 度
系 補 償 部 が補 助 目 標 値 を与 えて目 標 値 を調 整 することによ
と現 在 速 度 との偏 差 EV と、その偏 差 の変 化 量 EA としファ
り、制 御 量 の動 きの修 正 を行 う。
ジィ推 論 で決 定 した。ファジィルールは(2)式 のように与 える。
If EV is Vn and EA is An then ⊿V is Qn
(2)
ここの Vn(n=1~5)と An(n=1~5)はファジィ集 合 であり、Vn
は目 標 速 度 と現 在 速 度 との偏 差 で、An は速 度 偏 差 の変 化
量 を示 す。ともにロボットの最 大 移 動 速 度 で正 規 化 したもの
をそれぞれ与 えている。Qn は目 標 速 度 の修 正 量 であり、シ
ングルトンで与 える。
測
定
値
目標値
図 7 マスターロボット
図 8 スレーブロボット
3 体 の群 ロボット同 士 が重 なりあったりすることがなくなり、
補助目標値
補償出力値
スレーブロボット 1 がマスターロボットの動 きに近 く改 善 され、
急 な方 向 変 更 時 の角 の部 分 にも追 従 できることの確 認 がで
補償なし出力値
きた。
図 9、10 はロボット間 の距 離 を示 す距 離 偏 差 である。
補償開始
時間
図 2 PI 調 節 器 の補 償
4.シミュレーション
本 研 究 の有 効 性 を検 証 するために、VisualBasic を用 い
てコンピュータ上 に遠 隔 操 作 系 を構 築 し、シミュレーションに
よる実 験 を行 った。ここでは、オペレータはジョイスティックを
用 いて操 作 力 を与 え、作 業 現 場 側 のロボット群 の移 動 操 作
を行 う。ある時 点 でシステムの環 境 が変 化 する場 合 を想 定 し
図 9 距 離 偏 差 (x 軸 )
図 10 距 離 偏 差 (y 軸 )
環 境 変 化 後 の x 軸 方 向 、y 軸 方 向 にロボット間 距 離 の偏
た。
差 が大 幅 に少 なくなり、ロボットの群 の隊 形 制 御 の改 善 が行
4.1 制 御 系 補 償 前
えていることが確 認 できた。環 境 変 化 が生 じると生 成 速 度 に
制 御 系 補 償 前 のロボットの動 作 の様 子 を図 3、4 に示 す。
なお、四 角 の枠 で囲 まれた領 域 で環 境 を変 化 させている。
変 化 が生 じるが、ファジィ制 御 を用 いた補 助 目 標 値 による制
御 系 補 償 は、目 標 速 度 との偏 差 を無 くすように制 御 され、速
度 を変 更 し移 動 量 に環 境 変 化 前 後 での変 化 が少 ない形 に
なった。
5.結 言
本 研 究 では遠 隔 操 作 系 において、作 業 環 境 側 のロボット
図 3 マスターロボット
図 4 スレーブロボット
環 境 変 化 が生 じると、ロボット同 士 が重 なりあい群 として隊
形 の制 御 が行 えなくなっている。マスターロボットとスレーブロ
ボット 1 の動 きに誤 差 が生 じ、急 な方 向 変 更 に対 する追 従 が
行 えていないことが確 認 できる。
図 5、6 はロボット群 の隊 形 保 持 を示 す距 離 偏 差 の推 移 で
ある。一 定 の距 離 偏 差 であれば間 隔 を保 持 していることがい
える。
群 の環 境 特 性 の変 化 によって制 御 性 能 の劣 化 が生 じた場
合 での、制 御 系 の補 償 システムを組 み込 んだ群 ロボット操 作
系 を構 築 した。途 中 、ロボットの動 特 性 である環 境 変 数 が変
化 し、あらかじめ設 定 した PI 調 節 器 だけでは制 御 性 能 が悪
化 し、ロボット群 の隊 形 が保 持 できなくなる場 合 を想 定 した。
これらの環 境 特 性 の変 化 に対 応 するために、制 御 系 の動 作
を補 償 するシステムを付 加 した。ロボットの出 力 値 からファジ
ィ推 論 によって適 した PI 調 節 器 の補 助 目 標 値 を導 くことで、
制 御 系 の制 御 性 能 を改 善 し隊 形 の保 持 を続 けることを可 能
とした。
参考文献
(1) 松 山 : 自 動 制 御 の お は な し 、 日 本 規 格 協 会 、 42/45 、
107/112(1999)
(2)添 田 :計 算 機 による操 作 補 助 を付 加 したマスタースレー
ブ制 御 の一 改 善 、日 本 機 械 学 会 論 文 集 C 編 61/584、
図 5 距 離 偏 差 (x 軸 )
図 6 距 離 偏 差 (y 軸 )
x 軸 y 軸 のグラフから環 境 変 化 に対 し距 離 偏 差 が大 きくな
1522/1529(1995)
(3)M.Soeda:Human-computer cooperative mobile robot
り、ロボット群 として隊 形 を保 持 できていないことが確 認 でき
control with learning functions、IEEE TENCON Analog
る。環 境 変 化 が生 じると生 成 速 度 に変 化 が表 れ、移 動 量 に
and Digital Techniques in Electrical Engineering
変 化 がもたらされる。
D-518,Paper ID 1256、(2004)
4.2 制 御 系 補 償 時
本 研 究 で提 案 した PI 調 節 器 を補 償 する制 御 系 補 償 シス
テムによるロボットの動 作 の様 子 を図 7、8 に示 す。
ファジィ推論を用いたキーストロークダイナミクスによる生体認証
寺光
孝太
Keystroke Dynamics Verification Using fuzzy reasoning
Kota TERAMITSU
Abstract
The login-password authentication is the most usual mechanism used to grant access because it is low-cost, besides its familiarity to a lot of users.
However, this authentication is fragile when there is a careless user and/or a weak password. Therefore I suggest a new method . The keystroke
dynamics of a computer user’s login string provide a characteristic pattern that can be used for identity verification. In particular, a frequently used
string like a login name is typed with a characteristic rhythmic pattern as it becomes overlearned or “automated.” Reasoning that the psychomotor
program behind this pattern is akin to the program that underlies handwriting, it has been suggested that the typing of a login name may be used as a
signature to verify a user’s identity. This paper reports how our application of typing style analysis to very short strings (passwords) using fuzzy
reasoning has given insights into typing style identification through keystroke dynamics.
Key words:keystroke, biometrics
1.はじめに
現在コンピュータのセキュリティにおいて最も使用されて
いるのがパスワードによる本人確認である。しかし、パスワ
ードはその単純さゆえに偽造者の攻撃に弱い。
その欠点を補い、より高度なセキュリティを保持するため
に生体認証というものが存在する。この認証方法には忘却や
紛失が無く偽造が難しいという長所がある[1]。本稿では本人
のキーボードのキーをタッチするタイミングであるキースト
ロークダイナミクスが個人によって違うという事を利用した
生体認証について研究する。また、その際ファジィ推論を用
いることにより認証率の向上を図る。
元々計測しておいたキーストロークダイナミクスの比較に
移る。入力した文字列のキーストロークダイナミクスが条
件を満たさなければ認証失敗。満たせば認証成功となり、
認証成功となった場合は最古データを削除した後、新しい
データを挿入することでテンプレートを更新する。
3.測定時間
本研究では Fig.2 に示す三つの時間を測定する。
ここで文字の数を n 個とし、入力文字列を ⋯ ⋯ としており、i 文字目のプレス時間を
( )、リリース時間
を( )とする。
i番目の文字
2.システム構成
2. システム構成
本研究ではキーストロークダイナミクスを用いて個人認
証を行う。システムは大まかに登録プロセスと認証プロセ
スに分類できる。Fig.1 にシステム構成を示す。
プレス
i+1番目の文字
リリース
プレス
リリース
UD時間
DD時間
開始
文字入力
時間計測
DU時間
NO
テンプレート作成
YES or 1 回目
Td(si )
文字列照 合
Tu(si )
Fig.2
認証
テンプレート更新
システム
時間照合
YES
文字列照合
NO
NO
開始
文字入力
Fig.1
Tu(si+1 )
測定時間
登録
データ
ベース
YES
Td(si+1 )
時間計測
システム構成
本システムではまず、本人のキーストロークダイナミク
スを登録し、ユーザー登録を行う。この作業を登録プロセ
スと呼ぶ。登録プロセスではまず登録したい文字列を入力
する。この文字列を入力する作業は数回行う。1 回目に入
力したときはそのまま文字列及び入力した文字列のキース
トロークダイナミクスがテンプレートに保存される。2 回
目以降は文字列を入力すると保存された文字列と比較され、
同じ文字列であればキーストロークダイナミクスがテンプ
レートに保存される。データが所定の回数分揃ったならば、
ユーザーのボタン操作により平均及び標準偏差を計算し、
文字列と共にデータベース内に保存する。
データベースが作成されたシステムに認証を求めるユー
ザーが現れた場合、そのユーザーが本人かどうか判断する
ためのプロセスを認証プロセスと呼ぶ。認証プロセスでも
登録プロセスと同様に、まず認証を求めるユーザーが文字
列を入力する。もし入力した文字列とデータベースの文字
列が異なった場合は認証失敗となり、同じだった場合は
4.認証
認証を行う際、ユーザーが文字列を入力すると、キース
トロークダイナミクスが計測される。その値を 1 つずつ条
件と照らし合わせ、条件を満たしていた場合、その 1 文字
は本人だと識別される。この作業を測定時間の数だけ繰り
返すことによって文字列全体における認証確率を求め、そ
の確率が 7 割以上となった場合、この文字列を入力したユ
ーザーは本人だと認証される。
4.1.閾値
認証に使用する条件は閾値によって決定される。本研究
では時間を 3 つ使用している為、閾値を 3 つ用意し、それ
ぞれの閾値を , , とした。入力された文字と閾値の
条件式を以下に示す。
( ) − < ∙ N
(1)
( ) − < ∙ N
(2)
( ) − < ∙ N
(3)
なお、 は認証のために入力された文字列の文字目で
あり、 = 1,2, … , "として"は入力文字列の文字数とする。
DD 時間及び UD 時間は測定できる数が文字数より 1 つ少
ないため、i-1 番目までを条件にあてはめる。ここで N は
定数であり、この値を変えることによって閾値を変更する。
4.2.認証確率
認証確率とは、その文字列が本人かどうかを示す確率で
ある。今回はこの認証確率を求めるために認証ポイントと
いうものを設置した。認証ポイントは、計測されたキース
トロークダイナミクスが閾値による条件を満たす度に値が
増す。この認証ポイントは最大で文字数と同じ値となり、
これを用いて認証確率を表すと以下の式となる。
#
#=
(4)
"
なお、#は認証確率を表し、"は全体の文字数。#は認証ポ
イントを表している。
4.3.ファジィ推論
4.2.節において認証確率を求める際に使用する認証ポイ
ントの増加度合いを決定した。しかしこれだけでは入力し
た文字列のキーストロークダイナミクスがそれぞれの条件
となっている閾値を満たせば、それがどの程度で満たして
いても同じ認証ポイントで反映されてしまう。そのため閾
値の代わりに曖昧さを加味したファジィ推論を利用するこ
とによって、得られたデータがどの程度で条件を満たすの
かを見極め、それに合わせた認証ポイントの増加度合い設
定を行うことについて考える。
式(6)、式(7)、式(8)で定義される閾値に対する割合を前
件部($
、$
、$
)とし、認証ポイントの増加度合い
#を後件部に持つファジィ推論を利用して認証ポイント
を算出する。ここで$
、$
、$
は以下の式のように定
義した。
( ) − $
=
(5)
( ) − (6)
$
=
( ) − (7)
$
=
また、∆#を求めるためのファジィ推論の If-then 形式のル
ールを次のように設定した。
R: If $
is A and $
is B and $
is C then ∆# is D
なお、本研究では前件部に Z 型関数、S 型関数、三角関
数を用いてメンバーシップ関数を与えており、後件部はシ
ングルトンをメンバーシップ関数に与えている。
5.数値実験
ファジィ推論の有効性を証明するために日常的にキーボ
ードを使用しているボランティア 9 人を募集して実験を行
い 、 本 人 が 認 証 に 失 敗 し て し ま う 確 率 False Rejection
Rate(FRR) 、 他 人 の 認 証 を 許 可 し て し ま う 確 率 False
Acceptance Rate(FAR)を算出した。結果を Table.1に示す。
閾値 1.6 での実験結果
全時間使用
全時間使用
ファジィ推論:
ファジィ推論:
DU 時間のみ
無し
有り
FRR
FAR
FRR
FAR
FRR
FAR
3.3%
96.7% 50.0%
0.0%
33.3%
0.0%
16.7% 13.3% 20.0%
0.0%
13.3%
0.0%
13.3% 16.7% 10.0%
3.3%
10.0%
0.0%
20.0% 16.7%
6.7%
0.0%
6.7%
0.0%
6.7%
16.7% 10.0%
0.0%
6.7%
0.0%
30.0%
3.3%
45.0%
0.0%
30.0%
0.0%
6.7%
46.7% 13.3%
0.0%
6.7%
0.0%
Table.1
A
B
C
E
F
G
H
今回の数値実験では、本人の認証拒否をすることよりも
他人の認証を許可してしまう方が、情報が漏洩する可能性
という点からシステム的に問題であると判断し、FAR 値を
極力 0.0%になるように閾値を決定した。まず、DU 時間の
みを用いた認証をみると、FAR 値が全体で最も高く、他人
からの認証を受け入れやすいということが見て取れる。そ
れぞれの全時間を用いた認証では一部のユーザーを除いて
FAR 値が 0.0%となっていることがわかる。このことから、
DU 時間のみの認証よりも 3 種類の時間を使用した認証の
方がシステムとして優れていることがわかる。次に全時間
を使用し、ファジィ推論を使用しなかった場合と使用した
場合について比較する。全てのユーザーにおいて FRR 値は
ファジィ推論を使用した認証のほうが概ね低いとわかる。
この結果よりファジィ推論によって認証率が向上している
ことがわかる。今回は FAR 値を 0.0%にするために閾値を
小さめに設定したことが原因となり全体的に FRR 値が高
くなってしまっていることも見て取れる。閾値を変更した
場合についてのユーザーG についての結果を Table.2 に示
す。
DU 時間のみ
FRR
30.0%
10.0%
0.0%
20.0%
10.0%
5.0%
5.0%
1.65
1.75
1.85
1.95
20.5
21.5
23.5
FAR
3.3%
15.0%
24.0%
15.0%
15.0%
25.0%
60.0%
Table.2
全時間使用
ファジィ推論:
無し
FRR
FAR
45.0%
0.0%
39.0%
0.3%
20.0%
0.3%
15.0%
0.6%
15.0%
0.3%
10.0%
0.0%
5.0%
0.6%
全時間使用
ファジィ推論:
有り
FRR
FAR
30.0%
0.0%
21.0%
0.3%
15.0%
0.3%
10.0%
0.3%
10.0%
0.3%
10.0%
0.0%
5.0%
0.6%
この結果から、閾値を変更しても DU 時間のみでは信用に
値せず、ファジィ推論有りの場合では FAR が無しの場合よ
りも小さい為、ファジィ推論が有効であるとわかる。
6.おわりに
本研究ではファジィ推論を用いたキーストロークダイ
ナミクスによる生体認証システムを構築し、そのシステム
により同じ文字列でも他人が入力したものと本人が入力し
たものとを識別する事ができた。特に他人が入力した文字
列は高確率で識別できている。しかし、全体的な FRR 値が
高くなってしまっていることも見て取れる。これは結果と
考察でも記述した通り、FAR 値を減らすために閾値を厳し
く設定したことに加えて、慣れによる癖の偏りをなくすた
めにパスワードとしてランダムな文字列を使用しているこ
とだと考えられる。これは閾値を若干大きくするか、日常
的に使用しているパスワードを用いることによって解決で
きると考えられる。しかし、本研究の場合では指先に怪我
をしてしまうだけでも認証率に大きく関わると予想される。
これらの問題を解決するために条件を甘くすることは肝心
なセキュリティを甘くすることに繋がるため、根本的な問
題の解決とはならない。このような二律背反の問題を解決
するためには段階的な認証を行う OS の構築などを併合し
て考える必要がある。
このような欠点はあるもののキーストロークダイナミク
スを用いた認証システムは実現の手軽さからみて実用性は
高いと考えられる。
参考文献
[1]
R. Gaines, W. Lisowski, S. Press, and N. Z. Shapiro,
“Authentication by keystroke timing: some preliminary
results,” Technical report, Rand Report, 1980
環境変化への適応機能を付加したモデル介在型遠隔操作システム
中野 翔平
Model-based master-slave arm control with adaptive function to changes of environment
Shohei NAKANO
Abstract
The robot technology makes considerable advances in recent years. It is effective to use "master-slave robot system" that
replaces people with robots in dangerous place or potentially-deadly place. However, operator becomes confused in his
operation if communication between master robot and slave robot has time delay.
So, in this paper, we take up “Model-based master-slave control system” to improve the problem of system
communication delay. In this system, a slave model with the same characteristic as a slave robot is placed near the
operator so that the operator can operate slave robot, without feeling communication delay by operating to the slave
robot model. In addition, to improve a problem of change of working slave robot characteristics, we proposed to add an
adaptive system to estimate slave robot's parameters sequentially by a system identification method.
Key word: Master-slave robot, System identification
1. 緒 言
近年、ロボットは海洋・宇宙・医療・災害現場など
の 様 々 な 場 面 で 多 種 多 様 に 活 躍 し て い る 。そ の 中 で も 、
人間が直接作業するには困難な場所や、危険を伴う環
境において、人間に代わって作業するロボットの開発
が進んでいる。このようなロボットの制御方式の一つ
と し て 、オ ペ レ ー タ が 操 作 す る マ ス タ ロ ボ ッ ト に よ り 、
作業ロボットを制御するという、マスタ・スレーブ制
御方式がある。マスタ・スレーブ制御では、スレーブ
ロボットが遠隔になれば、それに伴ってマスタ・スレ
ーブ間に通信遅延が発生してしまう。通信遅延が生じ
ると、人間の操作とロボットの動作に誤差が生じ、オ
ペレータの思惑通りの制御ができない可能性がある。
また、ロボットの作業環境は路面状況や気候などによ
って変化し、環境の変化がロボットに思わぬ誤動作を
させてしまうことがある。
そこで本研究では、通信遅延の問題改善としてモデ
ル介在型マスタ・スレーブ制御系を採り上げる。スレ
ーブロボットと同じ特性を持つスレーブモデルをオペ
レータの近くに置き、スレーブモデルを見て操作する
ことで、オペレータは通信遅延を感じることなく操作
可能となる。この場合、スレーブロボットの作業環境
や特性の変化が生じるとはじめに設定した制御条件が
くずれるため制御性能が悪化する問題がある。環境変
化への対応機能として、システム同定法により逐次的
にスレーブロボットのパラメータを推定し、スレーブ
モ デ ル を 更 新 す る シ ス テ ム を 提 案 し た 。本 研 究 では、モ
デル介 在 型 マスタ・スレーブ制 御 システムにおいて、コンピュ
ータ上 でのシミュレーションを 行 い、通 信 遅 延 に対 するモデ
ル介 在 の有 効 性 の検 証 、スレーブロボットの作 業 環 境 の変
化 に対 する操 作 性 の改 善 の評 価 を行 った。
2. 研 究 概 要
2.1 シ ス テ ム
Fig.1 に本研究のシステム構成を示す。マスタロボット、
スレーブロボット、スレーブモデルを用意し、システム同
定によってスレーブロボットの特性を逐次推定する。推定
結果からスレーブモデルがスレーブロボットと同じ特性を
持つようにモデル更新を行う。
+
-
スレーブロボット
~
~
システム同定
~
~
オペレータ
スレーブモデル
マスタロボット
指令作成部
+
-
Fig.1 システム構図
2.2 動特性推定
2.2.1 マスタ・スレーブロボット系
本研究で使用するマスタロボット、スレーブロボッ
ト の 特 性 を (1)式 、 Fig.2 に 示 す 。
x
D
M
u
K
Fig.2 ロ ボ ッ ト の 概 要
Mẍ = u − Dẋ − Kx
(1)
2.2.2 マ ス タ ・ ス レ ー ブ 制 御
マスタロボットの操作量は、操作端によるオペレー
タの操作により与えられる操作力としている。また、
スレーブロボットにおいては、目標をマスタロボット
の動きとし、スレーブロボットが目標に追従するよう
に 操 作 量 u(t)を 決 定 し た 。 操 作 量 の 決 定 に は フ ァ ジ ィ
推論を用いており、前件部としてマスタロボットとス
レ ー ブ ロ ボ ッ ト の 位 置 偏 差 rn お よ び 現 在 の ス レ ー ブ ロ
ボ ッ ト の 速 度 vn、後 件 部 と し て 操 作 量 の 変 化 量 ∆v を 与
え た 。∆v を 得 る た め の フ ァ ジ ィ 推 論 の if-then 形 式 の ル
ールを次のように設定した。
R k : If rn is A and vn is B then ∆v is C
(2)
(2)式 の フ ァ ジ ィ ル ー ル に 則 っ て 、 ス レ ー ブ ロ ボ ッ ト
の操作量を決定した。代数積を用いて前件部二つの一
致度の決定および、前件部と後件部の統合を行った。
そ し て 加 重 平 均 に よ り 最 終 的 な 出 力 ∆v を 算 出 し た 。
2.2.2 シ ス テ ム 同 定
通信遅延問題の改善としてモデル介在型マスタ・ス
レーブ制御方式をシステムに取り入れたが、スレーブ
ロボットの作業環境に変化が生じた場合、スレーブロ
ボットの特性が変化する。このとき、スレーブモデル
の特性はスレーブロボットの特性とは異なるものとな
り、操作性の低下につながってしまう。そこで、スレ
ーブロボットの入出力データからパラメータを推定す
ることでモデルを更新するシステム同定法を導入した。
入力データとして 2 時点前までの操作量、出力デー
タとして 2 時点前までのスレーブロボットの動きを観
測 す る 。(1)式 の 運 動 方 程 式 を パ ル ス 伝 達 関 数 に 変 換 し 、
(3)式 の パ ル ス 伝 達 関 数 の パ ラ メ ー タ α 1 、α 2 、β 1 、β
2を推定するパラメータとする。
G(z) =
β1 z + β2
𝑧 2 + 𝛼1 𝑧 + 𝛼2
Fig.3 のパラメータが変動しているところはスレーブロボ
ットの作業環境が変化したときである。変動後しばらくし
て値が一定値に収束しているので、環境変化時のパラメー
タ推定ができていることがわかる。
3.2 モデル更新による制御結果
モデル更新無しの場合とシステム同定によるモデル更新
を行った場合のマスタロボット、スレーブモデル、スレー
ブロボットの軌道を Fig.4 に示す。なお、シミュレーション
画面の左がマスタロボット、中央がスレーブモデル、右が
スレーブロボットの軌道となっており、右画面のグレーゾ
ーンで作業環境が変化するものとする。
(3)
(a) モデル更新無し
観測した入出力データをもとにパラメータ推定を行
う。推定には指数重みつき最小二乗法を用いる。推定
で得られた値からモデル更新を行う。
3. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
3.1 パラメータ推定
今 回 の実 験 ではスレーブロボットの作 業 環 境 の変 化 を想
定 し、変 化 前 の環 境 パラメータを M=1、D=1.6、K=1、変 化
後 を M=1、D=2、K=1 としてスレーブ系 の動 特 性 の推 定 を行
った。環 境 変 化 前 後 のパルス伝 達 関 数 を(4)式 および(5)式
に示 す。
G(z) =
G(z) =
0.0923𝑧 − 0.0778
𝑧 2 − 1.8407𝑧 + 0.8528
(4)
0.01837z + 0.01696
𝑧 2 − 1.716𝑧 + 0.7866
(5)
パラメータ値
(3)式と(4)式、(5)式を比べると、各パラメータは、
変化前 α 1 =-1.8407,α 2 =0.8528,β 1 =0.0923,β
2 =-0.0778
変化後 α 1 =-1.716,α 2 =0.7866,β 1 =0.01837,β
2 =0.01696
となっている。Fig.5 にシステム同定によるパラメータ推定
結果を示す。
2
1.5
1
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
-2
-2.5
-3
(b) モデル更新有り
Fig.4 マスタとスレーブの軌道
Fig.4 からわかるように、モデル更新を行った場合の方が、
モデル更新無しの場合に比べ、位置偏差が小さくなってい
る。したがって、環境変化に対応できているといえる。
α1
β1
α2
β2
4.
1)
0
5
10
時間[s]
15
20
2)
3)
Fig.3
パラメータ推定結果
結言
本 研 究 では、コンピュータ上 にシミュレーション画 面 を用 意
し、ジョイスティックによる操 作 でマスタロボットを動 かし、通 信
遅 延 やスレーブロ ボット の作 業 環 境 の変 化 によ る操 作 性 の
低 下 の改 善 としてモデル更 新 機 能 を付 加 したモデル介 在 型
マスタ ・ スレーブ制 御 システムを 構 築 し、環 境 変 化 によ る操
作 性 低 下 改 善 への有 効 性 を検 証 した。
システム同 定 法 により、パラメータ推 定 を行 う実 験 を行 った
結 果 、各 パラメータは伝 達 関 数 の変 化 に応 じて目 標 のパラメ
ータに収 束 しており、パラメータ推 定 がなされていることがわ
かった。スレーブモデル の更 新 によ る環 境 変 化 への対 応 の
実 験 では、モデル更 新 有 りの場 合 とモデル更 新 無 しの場 合
を比 較 すると、モデル更 新 有 りの場 合 の方 がマスタロボットと
スレーブロボットの位 置 偏 差 が小 さく、モデル更 新 は環 境 変
化 による操 作 性 の改 善 に有 効 であることがわかった。
参考文献
酒 井 幸 市:「 VB で 学 ぶ コ ン ピ ュ ー タ 応 用 」、コ ロ ナ
社 1999 年 p73-p106
中 溝 高 好 、田 村 捷 利 、山 根 裕 造 、申 鉄 龍:「 デ ィ
ジ タ ル 制 御 の 講 義 と 演 習 」、日 新 出 版 1997 年 p41-p43
中 溝 高 好 :「信 号 解 析 とシステム同 定 」、コロナ社 、
1988 年 p127-p148
選炭ジグの圧力制御
Pressure control of Coal preparation JIG
野川 翔伍
Syogo Nogawa
Abstract
Coal preparation JIG is sorting equipment which uses the difference of the specific gravity of samples. Control of the coal preparation JIG is
greatly influenced with noise. Furthermore, the skillful operator is performing control of coal preparation JIG based on intuition and
experience. Therefore, in order to improve the performance of the coal preparation JIG, it is necessary to apply an automatic control. In this
study, first, using a flow meter, we measured the pressures of the model equipment of coal preparation JIG. It confirmed that measured
pressures of the model equipment have influence of noise. Next, the unknown transfer function was estimated by a step response of the
equipment. Then, two types of control method, the proportional and integral (PI) control and the Generalization Minimum Variance (GMV)
control were carried out. Using numerical simulations on a personal computer, both control method were compared. Controlled variables of
both control methods oscillate around the desired value. However, it found that the variance in case of GMV control is much smaller than
incase of PI control.
Key words: Wet sorting equipment, Generalization Minimum Variance Control, the pressure of water
1.はじめに
る.この際に発生する波の変動を水圧として圧力計で測定
選炭ジグとは,脈流を利用して,選別物質である製品とな
る石炭と不純物の比重の違いを利用して,選別物質を分離さ
せる装置である.しかし,この選別装置の制御は,制御量に
加わるノイズの影響が大きく,現状では,熟練オペレータが
勘と経験をもとに行っている.そのため,自動化による選別
効率の向上が望まれている.
本研究では,選炭ジグのモデル実験装置で圧力測定を行
する.その圧力は,入出力回路で電圧 1~5[V]に変換され,
圧力センサーからの出力電圧として PC へ送られる.
3.圧力測定と伝達関数
図 2 に,図 1 の実験装置に電圧 1.1V のステップ応答を加
えた際のステップ応答の波形を示す.
い,その結果から装置の伝達関数を求める.さらに従来の
る一般化最小分散制御でシミュレーションを行い,両者を
比較、検討をする.
2.湿式分級装置の圧力測定
図 1 に,本研究で圧力を測定するために用いた実験装置
を示す.
1.2
出力電圧Vout(V)
PI 制御とノイズの影響を小さくするのに有効とされてい
目標値
近似線
1.1
1.0
20
0
制御量 y(t) [V]
脈流値設定
操作量 u(t) [V]
Vin
圧力により
波を起こす
水
60
80
時間 t(s)
図2
出力電圧
入力電圧
PC(Linux)
A/D変換器 Vout
D/A変換器
インバータ
サンプル周期 2s
1~5[V]
fout
出力周波数
40
圧力センサーからの出力電圧の変動
図 2 より,出力電圧が 1.1V 付近で収束しているしが,ノイ
ズがあることが分かる.本研究では,図 1 のインバータへ
の設定電圧 Vin から圧力センサーの出力電圧 Vout までの伝
達関数を求めて、一般化最小分散制御の検討をする.なお,
入出力回路
式(1)に圧力センサーの出力電圧 V のバイアスを除去した
0~100(kPa)
圧力センサ
水槽
ポンプ
伝達関数を示す
G( z )  0.088
図1
圧力測定の実験装置
0.064
(1)
z  0.936
4.一般化最小分散制御の適応
実験装置の信号の流れは,PC でインバータを動かす入力
電圧を 0~5[V]の間で設定し,D/A 変換でデジタル信号をア
ナログ信号へと変換し,インバータを動かす入力電圧をイ
ンバータへと送る.インバータでは、送られてきた入力電
圧 0~5[V]を周波数に変換し,その周波数をポンプへと送
る.ポンプでは,その周波数により水槽に脈流を発生させ
図 3 に,制御対象のモデルを G( z ) 
0.064 としてモ
1  0.936 z 1
デルにノイズが加わった際のステップ応答のシミュレー
ション結果を示す.ノイズには,図 2 から求めた伝達関
数と実際の値の差を求め,その差をノイズとして利用し
た.また,白色雑音を有色雑音にするための有色フィル
タ有色フィルタ C ( z 1 ) は , C ( z 1 )  1  z 1 とした .
制御のほうが分散を抑えられていることがわかった.
0.2
0.2
ステップ応答+ノイズ
0.15
PI制御
制御量y(t)
0.15
制御量y(t)
0.1
ステップ応答
0.05
0.1
0.05
λ =0.54での一般化最小分散制御
0
0
-0.05
0
50
100
150
200
-0.05
0
時間t(s)
図3
50
制御対象のステップ応答
100
200
150
時間t(s)
図5
PI 制御と一般化最小分散制御の制御量
本研究では,このノイズの影響を軽減するために,制御
モデルに一般化最小分散制御を行う.
図 6 に図 5 の場合の操作量を比較したものを示す.
一般化最小分散制御では、
式(2)の一般化出力を評価規範
0.5
の最小化に基づいて制御系を設計する.
φ(t  km )  y(t  km ) λu(t )  r0ω(t ) (2)
は無駄時間,λは操作量を考慮する割合を表している.
本研究では,制御パラメータλ=0.54 の際に制御量 y(t)
の標準偏差を小さくすることができた.図 4 にその結果を
λ =0.54での一般化最小分散制御
0.3
0.2
0.1
0
示す.
操作量の上限
0.27V
-0.1
0.2
PI制御
-0.2
ステップ出力+ノイズ
0.15
制御量y(t)
操作量u(t)
なお,y(t)は制御量,u(t)は操作量,ω(t)は目標値, k m
0.4
0
50
100
150
200
時間t(s)
0.1
図6
0.05
λ =0.54での一般化最小分散制御
0
PI 制御と一般化最小分散制御の操作量
本研究で用いた実験装置では操作量の電圧が-1.03~
0.27V しか入れることができない.図 6 より,PI 制御は,
操作量の電圧が上限を超えているため実装ができないこと
-0.05
0
50
100
150
200
時間t(s)
図4
制御対象の出力応答の比較
標準偏差は,制御系を設計しない際は 0.032 で,λ=0.54
とした一般化最小分散制御の場合は,0.0217 となり,ノイ
ズの影響を約 30%おさえることができた.
が分かった.これに対して一般化最小分散制御は上限より
小さくなったおり,選炭ジグのノイズの影響を削減するた
めには,一般化最小分散制御が有効であることが分かった.
6.今後の課題
本研究で用いた伝達関数は,ステップ応答を用いて伝
達関数を推定したが,より正確なモデルを得るために M
系列信号を用いたシステム同定を検討する.
5.一般化最小分散制御と PI 制御との比較
図 5 に,λ=0.54 の一般化最小分散制御と PI 制御を行っ
た際の制御量の比較を示す. なお,PI 制御のパラメータ
は,CHR 法で求めた.図 5 の標準偏差を求めると,PI 制御
は,0.01530
一般化最小分散制御は,0.02198 となり,PI
また,本研究は,パソコン上の数値シミュレーション
を行ったが,実際の実験装置での実験を行い,一般化最
小分散制御の有効性について検討する.
操作支援を付加した大まかなコマンドによるロボット操作系
濱田 真毅
Operating system of a robot rough operation commands
Masaki HAMADA
Abstract
The robot technology has developed greatly. A lot of robots are taking an active part for the work which requests accuracy and the
work in a difficult place such as disaster scenes, and repetitive work. On the other hand, a lot of robots that take care of the senior
citizen and the handicapped person are developed. For the operation of such a robot it is necessary to assist human operation . In these
operation, the operator's will should be taken seriously and sometimes computer should help the operator.
Then, in the paper, the computer-aided system that can operate the wheelcha ir robot by a rough and easy command is described,
where the function of the sensor is limited in this system. The content of support is to avoid an obstacle and work by simple operation
instructions. Moreover, one of the targets of this study is to install the system in the actual mobile robot and to evaluate the efficiency
of the system.
Key words: Computer aided system, Fuzzy reasoning, easy command
1. は じ め に
近年、高齢者や障害者の生活支援を行うロボットも
多く開発されている。このようなロボットの操作にお
いて身障者のように、特にオペレータが細かい操作が
行えない場合、人間の意志を尊重しつつ、計算機によ
る操作支援がなされるといった形が望まれる。
そこで本研究では車いすロボットの操作系に計算機
によるオペレータの操作支援システムを組み込み、簡
単なコマンドで操作できる計算機支援システムの開発
を行う。支援システムはオペレータから与えられるお
おまかな操作指令に基づき作業環境に適応させながら
作業を完成させる。周囲環境への適応として、今回は
障害物回避を行った。
また、本研究ではオペレータのジョイスティックに
よる移動方向の指令を不連続的に分割して操作を行う。
モデルとした。 ロボットの位 置
座 標 を とし、ロボット が向 いて
いる角 度 を とすることでロボット
の状 態 を表 現 する。右 車 輪 の
速 度 を 、左 車 輪 の速 度 を 、
ロボットの中 心 から車 輪 の
Fig.2 二輪キャスター付ロボット
距 離 を d 、ロボットの
並 進 速 度 を v、回 転 角 速 度 をωとする。このとき v,ωは以 下
の式 で表 現 できる。
(1)
(2)
さらに v,ωと x,y,θの関 係 を離 散 系 で表 すと以 下 の式 に
なる。
2. シ ス テ ム 概要
・
・
2.1 システム構成
本研究のシステム構成を Fig.1 に示す。
・
・
指令
作成部
オペレータ
周囲の環境
センサー部
操作指令
危険度評価
・
VR
VL
移動ロボット
状態
ΔV
Δω
支援部
相対距離
速度
操作指令と
支援操作の
合成
危険度
(3)
(4)
(5)
危険回避操作指令
ΔV、Δωの決定
Fig.1 システム構成
このシステムでは、オペレータはジョイスティック
を使用して操作指令を行う。支援部はロボットからの
フィードバック情報から左前方、前方、右前方の危険
度を評価する。評価された危険度から危険回避操作指
令 (減 速 度 と 補 正 角 速 度
)を 決 定 し 、 オ ペ レ ー タ か
らの操作指令と支援部からの 、 を合成した左右の
車輪速度を決定し、ロボットを操作する。
危険度評価と危険回避操作指令はファジィ推論を用
いる。
2.2 車椅子ロボット
本 研 究 では F ig.2 に示 すような二 輪 キャスター付 ロボットを
2.3 簡略化した操作指令
前進
右旋回
左旋回
ロボットの操作におい
前進
前進
て、オペレータが身体
障害などで腕が震えてし
まうなどして、細かい
左旋回
右旋回
連続的な操作を行なうこ
停止
とができない場合があ
右旋回
左旋回
る。一般的に、手が震え
後退
後退
後退
るような身障者であって
も、ロボットを前に進め
Fig.3:操 作 パターン
たいときは正確な方向に
倒すことは困難でも、ジョイスティックを前方向に倒
して前に進めたいという意志を表わす事が可能と考え
られる。具体的な移動方向として前進、斜め前進、旋
回、後退、斜め後退などの移動方向が考えられる。そ
こ で ジ ョ イ ス テ ィ ッ ク の レ バ ー を 倒 す 領 域 を Fig.3 に
示すように 8 つに分割し、その領域にレバーが倒され
るとその領域に割り当てられた動作指令が出されるよ
うにし、指令に対応した左右車輪速度が決定される 。
部で決定した減速度Δ V と補正角速度Δω から左右車
輪速度
を決定する。
は以 下 の式 で算 出 される。
(6)
2.4 危険度の評価
(7)
センサーより取得した周囲の物体との相対距離、相
こ こ で、
は 操 作 パ ター ン で 決 めら れて い る 左 右 車 輪 速
進行
対速度を用いて、ファジィ推論によって
方向
度、
は
を用 いて(1)(2)式 で算 出 される並 進 速 度 と角
危険度を算出する。前件部は相対
速度、
は正 の実 数 で、あらかじめ実 験 により決 定 される。
前方の
危険度
左前方
距離と相対速度、後件部は危険度
右前方の
df
の
危険度
危険度
dr
である。物体との相対距離、相対
dl
3. 実 験
速度は正規化され、メンバーシッ
ロボット
本研究で開発した操作支援システムの有効性を確認
プ関数によりファジィ表現される。
するため、シミュレーションによる操作を設定し実験
rd を 相 対 距 離 、 rv を 相 対 速 度 、
を行った。
d を算出される危険度とすると
Fig.4 危 険 度 評 価 する領 域
フ ァ ジ ィ ル ー ル の if- then ル ー ル は 以 下 の よ う に な る 。
3.1 実験方法
R k : If rd is RD and rv is RV then d is
実験では被験者に移動ロボットを操作してもらい、
D (k=0,1,⋯,8)
狭路の通過を行なってもらう。被験者には細かい操作
こ こ で RD、 RV は 前 件 部 の フ ァ ジ ィ 集 合 で 、 そ れ ぞ
ができないよう、利き手の逆の手の小指のみでジョイ
れ 相 対 距 離 rd、相 対 速 度 rv の 大 き さ を 表 わ す 。D は 後
ス テ ィ ッ ク を 倒 し 、操 作 を し て も ら っ た 。Fig.5 に 実 験
件部のファジィ集合で、危険度 d の大きさを表わす。
環境を示す。
被験者にはロボットを操作して
2.5 危険回避操作指令部
もらい、狭路の左上の入り口
危険回避操作指令は危険な方向へ向かって進まない
から右上の出口に向かって移動
ように決定される減速度Δ V と、危険な方向から安全
してもらい、操作支援システム
な方向へ進路を変更するための補正角速度Δωによっ
による支援操作の有無で狭路の
て 構 成 さ れ て い る 。危 険 回 避 操 作 指 令 Δ V、Δ ω の 決 定
通 過 時 間 と 壁 に 接 触 し た 回 数 を Fig.5 実 験 環 境
はファジィ推論を用いて行なう。
調べた。
3.2 実験結果・考察
2.5.1 減 速 度 Δ V の 決 定
Fig.6 に実 験 によるロボットの軌 跡 の一 例 を示 す。
Δ V の フ ァ ジ ィ 推 論 で は 、前 件 部 は 前 方 の 危 険 度 df、
後件部は減速度Δ V としている。Δ V のファジィルー
ル の if- then ル ー ル を 以 下 に 示 す 。
If df is DF then Δ V is DV
DF は df の 大 き さ を 表 わ す フ ァ ジ ィ 集 合 で 、 DV は Δ
V の大きさを表すファジィ集合である。集合とルール
の例をあげると、「前方が危険なら減速度を大きくす
(a)操 作 支 援 なし
(b)操 作 支 援 あり
る」のような形式となる。
Fig.6 狭 路 の通 過
図 14 において、○は移 動 ロボットの位 置 を、黒 い線 は壁 を
2.5.2 補 正 角 速 度 Δ ω の 決 定
表
して い る 。 ロボット が 壁 に 接 触 して い る 場 合 は 、 ロボ ット の
Δωのファジィ推論では、前件部は進行方向に対し
位
置 を 大 き い ○ で 囲 っ た。 こ の ロボ ット の 軌 跡 か ら 、操 作 支
て右前方、前方、左前方の危険度およびジョイスティ
援
を行
なった場 合 は壁 との接 触 回 数 は減 っているとわかる。
ッ ク の 傾 き 角 度 、後 件 部 は 補 正 角 速 度 Δ ω と し て い る 。
操
作
支
援 システムの有 効 性 を検 討 するために、操 作 支 援 が
Δ ω の フ ァ ジ ィ ル ー ル の if- then ル ー ル の 例 を 以 下 に
ある場
合
とない場 合 の通 過 時 間 と接 触 回 数 の平 均 を調 べた。
示す。
その結
果
、支 援 を加 えない場 合 、平 均 通 過 時 間 は 22.5 秒 、
If dl is DL and df is DF and dr is DR and joy is JOY then
平
均
接
触
回 数 は 2.2 回 だった。支 援 を加 えた場 合 、平 均 通
Δ ω is DW
過
時
間
は
19.18 秒 、接 触 回 数 は 0 回 だった。この結 果 から、
こ の ル ー ル で は 、 dl は 左 方 の 危 険 度 、 df は 前 方 の 危 険
操
作
支
援
を行
なった場 合 、通 過 時 間 、接 触 回 数 ともに減 少
度 、dr は 右 方 の 危 険 度 、joy は ジ ョ イ ス テ ィ ッ ク の 傾 き
する
こと
が
わか
った 。 こ のこ とか ら、 操 作 支 援 を 行 なうと 通 過
角 度 、Δ ω は 補 正 角 速 度 を 表 し て お り 、DL,DF,DR は そ
時
間
、
接
触
回
数
を ともに 減 少 させ るこ とが でき たた め、 本 研
れ ぞ れ dl,df,dr,の 大 き さ を 表 わ す フ ァ ジ ィ 集 合 、JOY は
究
で開
発
した操
作
支 援 システムは有 効 であると考 えることが
joy の 大 き さ を 表 わ す フ ァ ジ ィ 集 合 で あ る 。DW は Δ ω
できる。
の大きさを表すファジィ集合である。集合とルールの
参考文献
例をあげると「右方と前方が危険で、左方が安全、ジ
1)
中野
翔平:「簡単なコマンドによる遠隔操作システム
」
ョイスティックが前に倒されているなら左方へ少し旋
平成
21
年度北九州工業高等専門学校電子制御工学科卒業
回」のような形式となる。
研究(2010)
2.6 操作指令と支援操作の合成
オペレータからのおおまかな操作による指令と支援
2)
酒井
幸 市 : 「 VB で 学 ぶ コ ン ピ ュ ー タ 応 用 」 、 コ ロ
ナ 社 (1999)
風力選別機用フィーダのシステム同定
樋口
翔馬
Identification the feeder of air classifier.
Shoma HIGUCHI
Abstract
Air classification is a kind of dry process and it is lower cost and cleaner than wet process. Although there are many unknown factors in the air
classifier, the operators mostly operate based on an experience and intuition. In general, parameters of controller are usually tuned based on
parameters of plant. Therefore, in order to control the air classifier, it is necessary to estimate of the system. An electromagnetic feeder was used to
feed the raw materials to the air classifier. In this study, we had estimated the magnetic feeder system before controlling the air classifier. Using an
acoustic emission (AE) sensor, we detected the generated impact sounds when the particles collide with the plate which was attached to AE sensor. In
this study, the relationship between the set value of frequency to the electromagnetic feeder and the AE sensor output voltage was examined. The
extended least squares method was employed to estimates unknown parameters. The GLS method estimates not only the plant parameters but also the
noise parameter. In order to verify the estimated model, the real output values and the simulated output values were compared. The simulated output
values oscillate around the real output values. However, it found that the larger the number of iterations, the smaller the deviation of estimation.
Key words: Air classifier, System Identification , Least-squares algorithm
1.はじめに
乾式の一種である風力選別装置は,液中で選別する湿式
の選別と比較して選別対象の劣化を防ぎ,低コストで処理
することができる.また,風力選別機は廃被覆導線粉砕物か
ら銅と塩ビを分別する工程での活躍が期待されている.し
かし,現状では,風力選別機の操業には未知の部分が多く,
オンラインモニタリングした.フィーダは,PC からの制御
電流に従って動作周波数を決定する.なお,本研究では実験
試料として被覆導線粉砕物の被覆部分である塩化ビニル
(PVC)を用いた.
本研究では,サンプリング時間の正確さの観点から
熟練オペレータの経験と勘によって操業しているため,高
RTLinux を使用した.RTLinux は通常の Linux のカーネルに
効率化のため,自動化が望まれている.また,選別機に供給
リアルタイムパッチを充てることで実現した.
される原料中の製品となる粒子と不純物粒子の混合比が変
動するため制御対象の特性が常に変化し,制御に必要な制
ホッパー
御対象のモデルを求めることは困難である.
AE(Acoustic Emission)センサは,物質が変形する際の弾
性波を検出し,測定領域が高周波領域であるため,高周波領
電磁式
フィーダ
Vf[g/min]
域に情報を多く含む選別対象となる粒子と壁の衝突音の分
AEセンサ
析に適している.
現在、風力選別機内へ選別対象を供給するために電磁フ
制御電流
0~20[A]
ィーダを用いているが,このフィーダの供給量が常に変化
全波整流
するため,定量供給するためのフィーダ制御が求められて
平均電圧Vs[V]
ディスクリミネータ
いる.本研究では,風力選別機の制御に先立ち AE センサを
図 1 フィーダ制御系のシステム図
用いて,多数の選別粒子と壁との衝突音を測定し,その結果
よりフィーダへの指令電圧から AE センサの出力電圧まで
の伝達関数をシステム同定を用いて推定した.
2.実験方法
図 1 に,フィーダ制御系のシステム図を示す.本実験では
試料を定量供給するために,フィーダと,AE センサを用い
てフィーダ部の同定を行う.
フィーダは PC から DA 変換,V/I 変換を介して駆動する.
その際,DA 変換の出力電圧の 0-10[V]を電流 0-20[mA]に変
換し,フィーダのコントローラに入力する.
粒子衝突音は,センサヘッドとなる鉄製の板に AE センサ
を取り付けたものを回収箱内に設置し検出した.検出され
た信号は,まずプリアンプにより 100 倍に増幅され,ディス
クリミネータのバンドパスフィルタ(100~500kHz)を通し
て,全波整流後の平均電圧を求め,AD 変換機を介して PC で
3.最小二乗法によるシステム同定
本研究ではフィーダ制御装置に同定用の信号を入力しAE セ
ンサの出力を計測し,得たデータを最小二乗法を用いて同定
した。
同定入力としては白色信号が望ましいが、本研究ではM
系列信号を同定入力とした。M系列信号には周期性はある
が、その周期中で白色性を有するような 2 値の疑似白色信
号である。このM系列信号は式(1)で表現されるアルゴリズ
ムで発生する。
xk  a1 xk 1  a2 xk  2  …  an xk  n
(1)
ここで出力 xk と係数 a1 , …, an は 0 または 1 の値をとる 2
値信号である。本研究では対象を同定するために十次の M
系列を使用した。
システム同定では,測定した入出力 { yt , ut } データ列を
用い,システムのパラメータ  を推定する。本研究で用い
た,最小二乗法によるパラメータ推定では,以下式(2)で表
される,
実際の同定対象であるフィーダを用いて得られた入出力デ
ータを用いて,一般化最小二乗推定を行った.同定入力の M 系
N
J   ri 2  ( y  Z )T ( y  Z )
6.同定結果
(2)
i 1
式誤差𝑟𝑖 の二乗𝑟𝑖 2の総和を最小にする  を求めることであ
る.式誤差の二乗を最小化するには,式(1)を  で偏微分
し,
列はフィーダのコントローラに与える 0V,4V の 2 値信号,出力
は AE センサの出力とした.なお,M 系列生成の際の次数 n は 10
次,すなわち周期 N は1023 とした.サンプリング時間は100[ms],
つまり,同定実験は 200[ms]で行った.また,実際の実験の同定入
力は同定対象の応答速度を考慮し,M 系列のデータを時間的
J
 2Z T y  2Z T Z

(3)
J
0

(3)
ˆ  ( Z T Z )1 Z T y
(4)
に五倍に引き延ばして5115 個とした.図2 にフィーダ制御系に
対して一般化最小二乗推定を行ったプログラムの実行画面を
示す.
とし,式(4)より式誤差の二乗和を最小化したパラメータ
ˆ を求めることができる。
5.一般化最小二乗法によるシステム同定
システムに入る雑音が白色雑音でない場合,最小二乗推定
は一致推定量とならず,常に推定値に偏りが出ることがわか
っている.この問題を改善するために有色化フィルタC(𝑧 −1 )
図 2 GLS 推定結果
を用いた一般化最小二乗法(GLS 推定法)について検討した.
以下に GLS 推定アルゴリズムを示す.
ˆ  (Z T Z )1 Z T y
(5)
を計算して推定値𝜃̂の初期値とする.
(2)
式誤差の推定値
r̂  y  Zˆ
𝑦𝑡 (blue) , 𝑦𝑡 (red)
測定データ{ ut , yt }を用いて最小二乗推定を行い,
𝑦𝑡 (blue) , 𝑦𝑡 (red)
(1)
(6)
を計算する.
(3)
サンプル数 t
{ rt }を用いて
̂𝑇
(a)LS 推定の場合の出力波形
𝑐 = (𝑅 𝑅̂) 𝑅 𝑟
−1
̂𝑇
(4)
図 3 に,GLS の繰り返し回数について検討した結果を示
す.(a)は GLS の繰り返し回数が 0 回,つまり LS 推定の場
ĉ を用いて
1
ut  C ( z )ut
yt  C ( z 1 ) yt
合,(b)は 300 回の場合の波形の拡大を示す.繰り返し回数が
(8)
多い方が真の出力と推定した出力のさが小さいことがわか
(9)
った.
から{ ut , yt }を生成する.
(5)
7.まとめ
電磁フィーダに与える周波数を入力,AE センサからの出
{ ut , yt }を用いて,
ˆ  (Z T Z )1 Z T y
から ˆ を求める.
(6) (2)に戻り(2)~(6)を繰り返す.
(b)繰り返し回数 300 回の出力波形
図 3 繰り返し回数による出力波形の比較
(7)
から有色化フィルタのパラメータ ĉ を求める.
サンプル数 t
力電圧を出力として,この系のシステム同定を行った。今後
(10)
は,推定したフィーダの伝達関数を用いて,実際に制御系を
設計し,実験により本手法の有効性を検討する.
参考文献
1)片山徹:“ システム同定入門”, 朝倉書店(1994)
2)中溝高好:”信号解析とシステム同定”,コロナ社(1988)
感性情報による自動絵文字挿入システムの提案
本田 隼生
The proposal of an automatic pictograph symbol insertion system using sensitivity information
Toshiki HONDA
Abstract
It is natural to put the pictograph on sentences of E -mail with an intimate person. However, it is complicat ed for users to select proper
pictograph for text. If the pictograph can be inserted by an automatically or easy operation, we can send an emotive mail eas ily.
Therefore, we propose the following system in this paper. First of all, the word and the pictogr aph with the emotions vector based on
the emotion theory of Plutchik are prepared respectively. Next, the weight of each emotions of the sentence is obtained by us ing tf-idf
method. The pictograph is inserted in the sentence by using the weight of emotions . As a result of experiments, we were able to build
the system of the automatic pictograph symbol insertion based on sensitivity information.
Key words: Pictograph, emoticon, theory of Plutchik, tf-idf
1. は じ め に
近年,電子メールなどの文字ベースのコミュニケーション
が一般的となり,その重要度が増している.その利便性や遠
距離でも連絡が可能な事などが利点として挙げられる.しか
し,文字のみの情報では,自分の感情が伝わりにくく,相手
の感情も読み取りにくい.そこで使用されるものが,顔文字
や絵文字である.顔文字や絵文字を使うことで,感情をより
多く表現することができる.しかし,膨大な量の絵文字から
自分が使用する絵文字を選択することへの面倒さや時間の浪
費などが問題点として挙げられる.前述の問題の対処法に,
文字のみの電子メールに絵文字を自動で挿入するものがある
が,それは言葉に対して一対一の変換をするだけである.ま
た,感情を直接表さない言葉には反応せず,複数の絵文字に
該当する単語を含ませるとその度に絵文字が挿入され,受信
側の理解がかえって難しくなることがある.テキストのみに
よるコミュニケーションサービスの普及により,多くの場面
で,この問題に直面することが想定される.そこで,文章か
ら様々な感情を読み取り,自動で文に合う絵文字を挿入する
システムを構築することができれば,上の問題を解決でき,
よりコミュニケーションをスムーズに図れるのではないかと
考え本研究を行った.
葉,否定する言葉も重要である.文には多くの感情を持つ単語
が存在する場合が考えられる.そこで本研究では,出現頻度に
よる感情の重み付けの計算に tf-idf 法を用いた.ここでは tf を文
d における感情を持つ単語 t の頻度とする.また,df を単語 t を
含む文の出現頻度を表すものとし,idf は df の逆数とする.この
とき,全文章数 N 中の単語 t の重みは以下の式で表される.
tf 
文書 dにおける単語 tの出現頻度
文書 d中における全単語数
N
idf  1  log( )
df
tf _ idf  tf  idf
得られた tf-idf が単語 t の感情の重みとなる.強調・否定にお
いてもパラメータの変更を行う.
3.システム概要
作成したシステムは大きく分けて 2 つのシステムから成り
立つ.図 1 の左側は言葉から感情を抽出するもの,右側は言
葉から直接絵文字を抽出するものである.実際にシステムを
行うときは,使用者がどちらかを選ぶ.今回は作成した感情
抽出のほうを説明する.
2.原理
2.1 絵文字と単語のベクトル表現
Plutchik の基本感情を以下の直交基底ベクトルに対応付ける.
→
→
e1:喜び⇔悲しみ e2:怒り⇔恐れ
→
→
e3:期待⇔驚き
e4:受容⇔嫌悪
今回,絵文字とメールに書かれている単語を感情ベクトルで
→
表現する必要がある.単語のベクトルをWとすると,
→
→
→
→
→
W =W 1 e 1 +W 2 e 2 +W 3 e 3 +W 4 e 4
で表される.なお,パラメータ設定については,本研究室内
で集めた感情を含む単語集とそのパラメータを使用した.
絵文字の係数の決定についてはシステムを行うたびに値が
変更できる仕様であるため,設定時は主観によって値の決定
を行った.なお各パラメータ W1 ~W4 は-5.0~+5.0 の値で設定
を行う.
2.2 文章の感情の重み付け
文の感情を考える上で感情語の出現頻度やそれを強調する言
図 1.システムの概要
入力された文章から感情を推移し絵文字を挿入するシステ
ムの流れについて説明する.入力された文章はまず文単位に
区切られる.区切られた一文について形態素解析を行い,名
詞,形容詞,動詞のみを抽出する.抽出された単語の中にあ
らかじめ用意した感情を持つ単語があればその単語の感情語
を抽出する.
のに対し,感情語データベースの(怒り)の値は能動態である.
この差異から自動選択の際に使用したい絵文字が項目に無か
ったことも要因といえる.
また,コミュニケーションにおいて,「間を置く」,「間を
持たす」という慣用句があるように間隔というものも重要と
いえる.相手に伝えるまでの時間に差がありすぎると,誤解
を生じてしまうことがあり,それは避けるべき問題といえる.
そこで被験者ごとのパターンの時間の差を図 3 に示す.
5
被験者1
被験者2
4
時間の偏差[s]
以上の動作を全ての文に対して行い,感情語を集める.そ
の後,すべての感情に対して,感情の一文に対する頻度と文
章全体に対する頻度を求める.得られた頻度を元に各感情に
tf-idf 法を用いる.得られた重みを感情語が持つ各感情のベク
トルにかけて,その感情語がその文に対する影響度を得る.
→
→
→
→
感情 t が持つ感情ベクトルをそれぞれ W1e1,W2e2,W3e3,W4e
4 とし,文 i に感情 t が与える重みを tf-idf(i,t)とすると,文 i
→
に対する感情 t の影響度P(i,t)は以下の式で表される.
→
→
→
P(i,t)= W 1 e 1 × t f _ i d f ( i , t ) + W 2 e 2 × t f _ i d f ( i , t )
→
→
+W3e3×tf_idf(i,t)+W4e4×tf_idf(i,t)
一つの文に対するすべての感情の影響度を得られたら,平
均化を行う.得られた平均値がその文の感情の値とする.文
の感情と近い感情ベクトルを持つ絵文字が各文に 10 個ずつ
表示され,その中から自身が使用したい絵文字を選択する.
被験者3
被験者4
3
被験者5
2
被験者6
被験者7
1
被験者8
被験者9
0
4.
4.1
実験
実験方法
実際にこのシステムを使用してもらい,結果に対して考察
を行った.なお実験では感情が含まれている言葉を持つ文章
を 5 つ用意し,3 つのパターンに対して実験を行った.3 つの
パターンは全てパソコン上で行い,①全てに対して絵文字を
手動選択,②システムによる自動選択,③tf-idf 法を用いない
自動選択(感情の重みが全て均一)である.
全パターンにおいて時間を比較し,今回使用した tf-idf 法が
このシステムで有用であるか,コミュニケーションを円滑に
図れるかを判断する.
4.2 実験結果および考察
実験の際にそれぞれの時間を測定した.各例文の平均時間
と 3 つのパターンの関係を図 2 に示す.なお,挿入時間は打
ち間違いなどによる外乱を防ぐため,予め入力されている文
に絵文字を挿入するまでとしている.
図 2.3 つのパターンの挿入時間の差
例文 4 を除いた,全ての例文において自動選択の方が手動
選択と比べて挿入するまでの時間が減少していることが分か
る.また,システムでは文の感情値に最も値が近い絵文字が
選択項目の上位に配置されるため,上位の絵文字を選択した
方が挿入時間は少なくなる.そのため,図 2 より tf-idf 法有り
の方が tf-idf 法無しと比べて時間が減少しているため,tf-idf
法有りの方がより良い絵文字候補が出現したといえる.
例文 4 においては,手動と自動の挿入時間の差が少なくな
っている.原因として,例文 4 を除いた他の例文では(喜び)
や(勧誘)といった,以前入力した文に含まれている感情があ
ったため絵文字の値が更新され選択が行いやすくなったのに
対し,例文 4 のみ今まで用いなかった感情語であったため選
択に時間がかかったと考えられる.そして,例文 4 の感情に(怒
り)が抽出されているが,例文 4 は(怒り)を受動態としている
1
2
3
パターン
被験者10
被験者11
図 3.各パターンの時間の偏差
なお,パターン 1~3 は 4.1 節のそれぞれ①~③を表す.①に
おいては,手動であるため探す手間が生じ挿入までの時間に
ばらつきが生じる.②では,自動挿入であるため,探す手間
が省け偏差も最大で 1.778[s]となり,安定したペースでのコミ
ュニケーションができ,また個人ごとの差も少なくなったと
いえる.一方,③では同じ自動挿入でありながら,個人ごと
の差が大きい.同じものに対して個人ごとに感情の持ち方や
大きさが異なるように,感情の抽出も個人で異なる.そのた
め,被験者 9 や被験者 10 では③の手法が自身の感情抽出と似
ていたため偏差が減少し,他よりも安定したといえる.
5.
結論
本研究において,簡単ではあるが感性情報を基にした自動
絵文字挿入のシステムを構築することができ,挿入までの時
間やその偏差も手動と比べ減少することに成功した.しかし,
システムに導入する要素として構想はしているものの実装出
来なかったものが多い.例えば,感情が文に含まれていない
と判断すると,現段階では絵文字を挿入しないが,絵文字を
選択することで文からキーワード抽出を行い最も重要視され
る単語に絵文字の値を与えることで,次回以降の絵文字挿入
がより円滑に進むと同時にデータベースの拡大に繋がると考
えられる.また,4.2 節でも述べたように,感情語データベー
スが能動態として感情値を扱っているため,受動態の感情を
うまく処理することが出来ないことが,本システムの脆弱性
を強める要因となったと思われる.能動・受動による値の設定
には十分注意を払う必要があるが,現在は基準値が無いため,
今後の指標化が待たれる.他に,現在は絵文字の値の更新に
平均化を用いているが,最適な式とはいえない.この部分に
おいても検討する必要がある.今後以上の問題点の改善を図
ることでシステムの強化を行うとともに,絵文字の使用に慣
れていない人や電子メールへの依存が大きい聴覚障害者の方
でも使用できるツールとしての有用性を示していきたい.
参考文献
1)白濱成希:”主観観測モデル理論に基づく感情表現,モデルと
表情インターフェースの提案”,北九州工業高等専門学校
(2009)
人間と複数ロボットによる移動体の協調捕獲制御
松下 由佳
Cooperative control system between operator and multi robot to catch a moving object
Yuka Matsushita
Abstract
The activity of the robot is granted from an industrial use to family use for many divergences, and the use accomplishes evolution every moment now.
The robot used in a multi-purpose is different in shape and a function equipped with by a use scene. Besides, efficiency of the work and reduction of the cost,
the diversification of the use is accompanied. Therefore, a method of cooperative control with plural robots is proposed. Plural robots can be controlled
autonomously control with only limited information when we use cooperative between some robots control. And we realize complicated work by multiple
robots. In addition, ability for expansion and reduction of the system and fault tolerance as the robot group is improved. However, as well as plural robot
operation which needs human skill, there is danger to make operation difficult. Therefore, this present study aimed for the construction of "the cooperation
capture supporting system", where the system predicts the track of the target to move with multiple robots, and capture it. In addition, the multiple robots
realize an automatic operation by communication between robots and can realize manual operation by the joystick.
Key words: The crowd robot, Capture, The obstacle avoidance, Cooperative control
1. は じ め に
現 在 、ロボットの多 くは人 の作 業 代 替 、支 援 を目 的 とした
利 用 が注 目 されている。このような分 野 にロボットを導 入 する
ためには高い安全性と信頼性がロボットに要求されるが、ロボット
の作 業 内 容 の複 雑 性 等 から見 て、現 在 の制 御 技 術 では完
全 な自 律 ロボットを実 現 することは困 難 である。
この問 題 の解 決 策 の 1 つとして、人 間 による直 接 制 御 とロ
ボットによる自 律 制 御 を組 み合 わせた人 間 とロボットの協 調
制 御 法 がある[1][2]。人 間 とロボットがお互 いに欠 点 を補 い、
サポートし合 うことで、より効 率 的 に作 業 を行 うことが出 来 ると
考 えられる。しかし、いくら機 能 を高 めようともロボット単 体 で
は能 力 に限 界 があることは明 らかであるためこの手 法 に加 え、
1 つの問 題 を複 数 体 のロボットによって解 決 する処 理 に注 目
した。 高 橋 ら[3] は 複 数 体 のロ ボットを 用 い て 協 調 行 動 と 捕
獲 作 業 の提 案 を行 っているが、ロボットの自 律 制 御 だけでは
作 業 の続 行 が不 可 能 になってしまうことが懸 念 される。
そこで、本 稿 ではこの問 題 の解 決 策 として人 間 による直 接
制 御 とロボットによる自 律 制 御 を組 み合 わせた人 間 とロボット
の協 調 制 御 法 を 提 案 する。このような背 景 の下 、協 調 問 題
解 決 の例 として二 輪 駆 動 1 キャスタ方 式 の移 動 ロボット 3 体
を用 いて、速 度 と軌 道 が変 動 する対 象 物 の捕 獲 を考 えた。
すと自 律 制 御 (Fig.1 の破 線 内 のみの動 作 )に切 り替 わり、目
標 物 を捕 獲 する態 勢 になる。なお、自 律 、手 動 はボタン操 作
により任 意 のタイミングで切 り替 えが可 能 である。
本 研 究 において、ロボットは二 輪 駆 動 1 キャスタ(2DW1C)
方 式 を採 用 しており、左 右 車 輪 の速 度 を考 慮 する必 要 があ
る。そこで、ファジィ推 論 を用 いて左 右 車 輪 それぞれの速 度
指 令 を 決 定 するこ と を 考 え る。 ま ず右 車 輪 の速 度 は 、前 件
部 をロ ボットと 捕 獲 対 象 物 の角 度 差 、後 件 部 を新 しい右 車
輪 の速 度 の割 合 とするファジィ推 論 を用 いて決 定 する。なお
ロボットの左 車 輪 の速 度 決 定 についても同 様 の操 作 を行 うこ
とで得 られる。これら左 右 車 輪 の速 度 を用 いることでロボット
の速 度 制 御 を行 う。
開始
群ロボットは待機
手動による捕獲
対象物の決定
NO
YES
捕獲対象の
軌道が変化
YES
NO
逐次最小二乗法による
捕獲対象物の軌道計測
NO
捕獲対象物接近
2. シ ス テ ム 構 成
捕獲予想地点の決定
本 研 究 では、3 台 の移 動 ロボットによりロボット群 を構 成 す
る。 Fig. 1 に本 研 究 のシステム構 成 図 を示 す。
YES
囲い込みによる
捕獲
群ロボットでの自律移動
自律制御時
追従
オペレータ
フィードバック
NO
群ロボット
捕獲予想地
点に到着
YES
終了
メンバー1
移動
操作端
操作指令
エージェント
指令作成部
進行方向や速度
車輪指令
Fig.2 捕 獲 システムの流 れ
キャプテン
メンバー2
Fig.1 システム構 成
ロボットの移 動 はオペレータによる手 動 操 作 とロボットによ
る自 律 制 御 の 2 つの方 式 によって実 現 できる。手 動 操 作 時
はオペレータ が操 作 端 のボタ ンを 押 してい る間 のみロ ボット
を移 動 させることができ、操 作 端 のレバーを倒 した方 向 がロ
ボットの進 行 方 向 となる。また、ロボットの速 度 はレバーの傾
きの度 合 いに比 例 して大 きくなる。なお操 作 端 のボタンを離
また、捕 獲 システムに沿 った大 まかな流 れについて Fig.2
に示 す。まず、オペレータは操 作 端 によってキャプテンロボッ
ト の進 行 方 向 を 決 定 し、進 行 方 向 に存 在 する動 的 捕 獲 対
象 物 を認 識 する。次 に、捕 獲 対 象 物 が決 定 すると対 象 物 の
速 度 を読 み込 み、逐 次 最 小 二 乗 法 を用 いて捕 獲 対 象 物 の
次 の速 度 を予 測 する。この結 果 から対 象 物 を捕 獲 する位 置
(捕 獲 予 想 地 点 )を計 算 し、その位 置 に向 かって群 ロボットは
自 律 移 動 を開 始 する。なおこの際 、群 ロボットが捕 獲 予 想 地
点 に到 着 するまで捕 獲 対 象 物 の軌 道 を逐 次 最 小 二 乗 法 に
より繰 り返 し計 算 して、軌 道 に変 動 があれば逐 次 、捕 獲 予 想
地 点 を修 正 して移 動 する。捕 獲 予 想 地 点 に群 ロボットが到
着 すると、捕 獲 対 象 物 が接 近 するま で その場 で 待 機 し、接
近 が確 認 できたら囲 い込 みにより捕 獲 を行 う。
3. 捕 獲 シ ス テ ム
3.1 手動操作による捕獲対象物の選択
本 稿 では速 度 が変 化 する直 線 移 動 体 を 1 体 と、速 度 と軌
道 が変 動 する移 動 体 を 2 体 の合 計 3 体 を用 意 した。群 ロボ
ットはオペレータの意 思 により任 意 の移 動 体 を捕 獲 対 象 物 と
して選 択 する。手 順 としては手 動 操 作 から自 律 制 御 に移 行
する際 に、キャプテンロボットから移 動 体 への角 度 と、キャプ
テンロボットの角 度 との偏 差 を計 算 し最 も角 度 差 が小 さいも
のを捕 獲 対 象 物 として認 識 する。
(a)は図 の中 心 付 近 にあ る静 的 障 害 物 ( 白 い円 )を 群 ロボ
ット(白 、灰 、濃 灰 )が回 避 している。また(b)は左 上 から右 下
に移 動 する動 的 障 害 物 (黒 )を群 ロボットが回 避 している。な
お、一 定 時 間 置 きに軌 跡 を 描 画 しており、こ の時 間 は 全 て
の移 動 体 において共 に同 じ時 間 間 隔 である。そのため動 的
障 害 物 ( 黒 )を 交 差 してい るロ ボット (白 )は 衝 突 してい ない と
言 える。
5. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
Fig.4 に軌道予測から捕獲後までのシミュレーション結
果を示す。なお、この軌 跡 より、群 ロボット(白 ・灰 ・濃 灰 )は捕
獲 対 象 物 (黒 )の決 定 後 、自 律 制 御 により捕 獲 予 想 地 点 (水
色 )に向 かい、捕 獲 対 象 物 を捕 獲 していることが分 かる。
3.2 捕獲対象物の軌 道 予 測
ま た 物 体 を 捕 獲 する に 当 た り 、捕 獲 対 象 物 の 軌 道 を 予
測 し先 回 りすることが求 められる。そこで、時 々刻 々と軌 道 が
変 化 する対 象 物 にも対 応 できるようにするため𝑥方 向 、y方 向
それぞれの捕 獲 対 象 の速 度 の予 測 式 を導 入 し逐 次 系 最 小
二 乗 法 を適 用 することを考 えた。捕 獲 対 象 物 の𝑘時 点 の𝑥方
向 の予 測 速 度 を𝑥�(𝑘)とし、𝑥が変 動 する場 合 の𝑘時 点 の予
測式を
𝑥�(𝑘) = 𝛼1 𝑥(𝑘 − 1) + 𝛼2 𝑥(𝑘 − 2) − 𝛼3 𝑥(𝑘 − 3) − 𝛼4 𝑥(𝑘 − 4) (1)
で表 したとき、𝛼1 、 𝛼2 、 𝛼3 、 𝛼4を推 定 することを考 える。な
お、1 時 点 前 の入 力 速 度 を𝑥(𝑘 − 1)、2 時 点 前 の入 力 速 度
を𝑥(𝑘 − 2)、3 時 点 前 の入 力 速 度 を𝑥(𝑘 − 3)、4 時 点 前 の入
力 速 度 を𝑥(𝑘 − 4)、で表 す。なお、y方 向 の予 測 式 について
も同 様 な手 順 で逐 次 最 小 二 乗 法 を適 応 する。
3.3 捕 獲 地 点 の 決 定
上 述 した捕 獲 対 象 の速 度 から捕 獲 対 象 の軌 道 を予 測 し、
これを用 いてまず、キャプテンロボットの捕 獲 予 想 地 点 を決
定 する。その後 、この点 と捕 獲 対 象 の軌 道 からメンバーロボ
ット 2 体 の捕 獲 地 点 を定 める。
このとき、2 体 のメンバーロボットを最 短 距 離 で捕 獲 予 想
地 点 に導 く ため に、メンバーロ ボットの現 在 地 と捕 獲 地 点 と
の距 離 の大 小 を元 にどちらの捕 獲 予 想 地 点 にメンバーロボ
ットが移 動 するかを決 定 する。全 ロボットの捕 獲 地 点 決 定 後 、
順 次 速 度 を更 新 させながら捕 獲 予 想 地 点 まで移 動 する。
4. 動的・静的障害物の回避
動 的 ・静 的 障 害 物 に対 する各 ロボットの衝 突 回 避 はロボッ
トと障 害 物 との距 離 、障 害 物 とロボットの進 行 方 向 との偏 角
を用 い、各 ロボットの左 右 車 輪 の回 転 速 度 をファジィ推 論 に
よって調 整 する事 で実 現 する。Fig.3 に障 害 物 の回 避 を示
す。
Fig.4 シミュレーション結 果
6. お わ り に
本 研 究 で は人 間 とロ ボット が互 い に欠 点 を補 い合 える関
係 性 に焦 点 を当 て、人 間 とロボットの協 調 による群 ロボットを
用 い た移 動 体 の捕 獲 制 御 システムを構 築 した。本 システム
で は 、オ ペレータ によ っ て 捕 獲 対 象 物 が 決 定 さ れ た 後 、逐
次 最 小 二 乗 法 を用 いて予 測 された捕 獲 予 想 地 点 へとロボッ
トは自 律 制 御 によって移 動 する。障 害 物 が進 行 方 向 に存 在
する場 合 は 、障 害 物 間 の 距 離 と 現 在 の隊 形 の幅 から自 動
的 に隊 形 変 更 を行 い、各 ロボットの回 避 行 動 と組 み合 わせ
障 害 物 を回 避 する。もしオペレータの意 図 しない動 きをロボ
ットが行 った場 合 や、ロボットに搭 載 されているセンサで検 知
できない障 害 物 が発 生 するなどロボット 単 体 では 移 動 困 難
な状 況 に陥 った際 にはオペレータの操 作 端 を用 いて手 動 操
作 に切 り替 え 、ロ ボットをサ ポート する。群 ロ ボット は捕 獲 予
想 地 点 に到 着 すると待 機 状 態 に入 り、捕 獲 対 象 物 が接 近 し
たならば囲 い込 みにより捕 獲 する。
本 研 究 では捕 獲 対 象 物 として、速 度 のみが変 化 するもの、
軌 道 のみが変 化 するもの、速 度 と軌 道 が変 化 するものの 3
体 を用 意 して、シミュレーションおよび実 験 を行 った。その結
果 、障 害 物 を回 避 しながらオペレータによって選 択 された任
意 の移 動 体 を 捕 獲 すること ができた。さらにオペレータの任
意 のタイミングで手 動 操 作 に変 更 することができ、より柔 軟 な
対 応 が可 能 となった。
参考文献
(a)静 的 障 害 物
(b)動 的 障 害 物
Fig.3 障 害 物 の静 的 回 避
[1]THOMAS .SHERIDAN:TELEROBOTICS,AUTOMATION,AN
D HUMAN SUPERVISORY CONTROL、THE MIT Press、
13/25(1992)
[2]平 井 : Shared Autonomy の 理 論 、 日 本 ロ ボ ッ ト 学 会
誌 、 Vol.11、 No.6、 788/793(1993)
[3] 高 橋 、 柿 倉 : 複 数 台 移 動 ロ ボ ッ ト に よ る 協 調 捕 獲
に 関 す る 基 礎 研 究 (追 跡 問 題 に お け る 協 調 捕 獲 の 提 案 )、
日 本 機 械 学 会 論 文 集 (C 編 )、 71 巻 702 号 (2005-2)
Twitter をユーザインターフェイスとした学習支援システムの提案
森山 洋祐
Study support system with using Twitter as user interface
Yousuke MORIYAMA
Abstract
This paper presents a new study support system. The system works as Twitter BOT and comes up with Web pages or
sites to solve follower’s question. And it work on users of this system to request a Web page to solve difficult and
complex question. This system makes answer of follower’s colloquial question sentence which received through Twitter
and morphological analysis Web API based database which record Web pages and sites data with metadata. When this
system success to propose a good Web page to solve the question, it will be rated higher and will be choose again to
solve similar question.
Key words: Expert system, Twitter, Study support system
1. は じ め に
近年,IT を利用して学習や教育を行う e ラーニングシステム
が数多く利用されている.
e ラーニングの利点のひとつとして,
学習者と教師が同じ時間に同じ場所で講義を行う必要がなくな
るという点が挙げられる.しかし,それは学習者が講義中,教
師に直接対話を行うことで疑問を解決することが困難になり得
ることも意味する.学習者は,Web を利用して疑問の解決を試
みることができる.Web 上には,学習者がもつ疑問を解決し得
る Web ページが数多く存在するためである.また近年のインタ
ーネットの普及から,e ラーニング環境に限らず,学習者が Web
を利用して学習に役立つ Web ページを検索することは多い.し
かしながら,膨大な数が存在する Web 上のデータから,学習者
が持つ疑問を解決できる適切な Web ページを探し出すために
は,学習者に一定以上の情報リテラシが必要となる.また,Web
上の情報は必ずしも正しい情報であるとは限らないため,学習
者はその情報が正しいものであるかを吟味しなければならない.
これらは不慣れな学習者にとって無視できない障害となる.そ
こで本研究では,Twitter をユーザインターフェイスとして用い
た学習支援システムを提案する.事前に教師や熟練した学習者
が査読した Web ページの情報を登録したデータベースを,
Twitter 経由で自然文により検索することにより,十分な情報リ
テラシのない学習者にとっても利用しやすい学習支援システム
を実現する.
2. Twitter と は
Twitter は ユ ー ザ が ツ イ ー ト と 呼 ば れ る 140 文 字 以 内
の文章を投稿し、ユーザが登録した他のユーザのツイ
ートを閲覧することができる情報ネットワークである
[1]。 こ の 、 ツ イ ー ト を 閲 覧 す る 目 的 で 他 の ユ ー ザ を 登
録することをフォローと呼び、基本的にフォローには
登 録 す る 相 手 ユ ー ザ の 許 可 を 必 要 と し な い 。そ の た め 、
Twitter は 従 来 の SNS と は 異 な る 方 向 性 の コ ミ ュ ニ ケ ー
シ ョ ン サ ー ビ ス と な っ て い る 。 Twitter や そ れ に 関 連 す
る様々な現象を対象とした研究も行われている.これ
ら の 研 究 は , ツ イ ー ト の 内 容 に 着 目 し た も の [2] や ,
Twitter の 情 報 の リ ア ル タ イ ム 性 と 実 際 の 事 象 と を 関 連
付 け た も の [3]な ど 多 岐 に わ た る .
3. Twitter BOT と は
Twitter を利用しているユーザの中には、自分のアカウントに
様々なアプリケーションを登録し、そのアプリケーションが生
成したツイートを自動で投稿しているユーザが多く存在する
[4]。このような、自動でツイートを投稿するアプリケーション
を BOT と呼ぶ。Twitter を提供している Twitter 社は、BOT や外
部アプリケーションを作成する為に必要な API を公開しており
[5]、このため数多くの BOT と Twitter 用アプリケーションが
Twitter 社外のユーザにより作成・利用されている。現在稼働し
ている BOT アカウントには、人工無能による会話 BOT のよう
な娯楽用から、時報 BOT やスケジュール管理 BOT などの実用
的なものをはじめ、様々な種類が存在する。これらの BOT は、
Twitter サーバに登録を行い、Oath 認証を受けることで、Twitter
社が提供する TwitterAPI を利用して動作している。
4. 学 習 支 援 シ ス テ ム
4.1 概要
本 研 究 で は 、 Twitter BOT を 通 じ て 、 ユ ー ザ が Web
サイトを利用して行う学習を支援するシステムを提案
す る 。提 案 す る シ ス テ ム は 、事 前 に 登 録 さ れ た Web サ
イトの情報をデータベースに格納し、学習者の質問に
対して、その質問を解決するために最も適切であると
判 断 し た Web サ イ ト を デ ー タ ベ ー ス か ら 検 索 し 回 答 と
し て 学 習 者 に 提 供 す る 。こ こ で の Web サ イ ト の 情 報 と
は 、 各 Web サ イ ト の URL の 他 、 掲 載 さ れ て い る 情 報
をデータベース上で処理するためのメタデータや、そ
の Web サ イ ト に 対 し て 設 定 し た 評 価 ス コ ア な ど を 含 む 。
Fig.1 に 提 案 シ ス テ ム の 概 要 図 を 示 す 。
4.2 デ ー タ ベ ー ス
提 案 シ ス テ ム は , 学 習 支 援 を 行 う 分 野 に 関 す る Web
サ イ ト の URL,そ の Web サ イ ト の 記 述 内 容 の 概 略 な ど
を,事前にデータベースに登録し,メタデータとして
保存する.また本システムは,学習者が本システムの
TwitterBOT に 対 し て 自 然 文 で 質 問 を 行 う こ と を 想 定 し
ており,そのため質問文の表記揺れに対応するための
テーブルもデータベース上に作成している.
4.3 学 習 支 援
提案システムが実際に学習者に対して学習支援を行
う 場 合 ,ま ず 学 習 者 は Twitter 上 で 学 習 支 援 シ ス テ ム の
受 付 と な る BOT ア カ ウ ン ト を 相 互 に フ ォ ロ ー し ,そ の
後自然文による質問を行う,学習支援システムは,ツ
イ ー ト を TwitterAPI に よ り 取 得 し , 質 問 文 に 対 し 形 態
素 解 析 を 行 う , こ の 形 態 素 解 析 に は 、 Yahoo!デ ベ ロ ッ
パ ー ネ ッ ト ワ ー ク に 存 在 す る 日 本 語 形 態 素 解 析 Web
API[6]を 使 用 す る . そ の 後 , 形 態 素 解 析 の 結 果 得 ら れ
た 各 単 語 を 基 に SQL 文 を 生 成 し ,学 習 支 援 シ ス テ ム の
データベースから回答として適切であると考えられる
Web サ イ ト の 検 索 を 行 う . こ の 時 , 各 単 語 は 本 シ ス テ
ムのデータベース内に関連しているか,および本シス
テムのデータベース内で採用されている表記と異なる
表記でないかを確認するため,表記揺れ対応用テーブ
ルによりフィルタリングを行う.データベース検索に
よ り 回 答 と し て 提 示 す る Web サ イ ト を 決 定 し た 場 合 ,
そ の Web サ イ ト の URL と , 誰 の ど の 質 問 に 対 す る 回
答であるかを示す文章で構成されるツイートを,質問
を行った学習者に対して送信する.
5. 実 験
5.1 実 験 方 法
実 際 に 本 シ ス テ ム を Twitter 上 で 動 作 さ せ ,被 験 者 5
人 に 自 身 の Twitter ア カ ウ ン ト と 本 シ ス テ ム の
TwitterBOT を 相 互 フ ォ ロ ー し ,実 際 に行 われる被 験 者 の
質 問 に本 システムが TwitterBOT を経 由 して適 切 な回 答 を
行 えるか実 験 を行 った.なお,この実 験 に際 して,質 問 の内
容 は「C 言 語 に関 連 する初 歩 的 な質 問 」に限 定 した.また本
システムのデータベースには予 め回 答 になり得 る URL を 49
個 ,C 言 語 に関 連 する語 とその表 記 揺 れとして考 えられる形
態 素 を 82 個 ,事 前 に登 録 している.これらの処 置 は,被 験
者 全 員 が C 言 語 に対 して一 定 以 上 の知 識 を有 するため,回
答 としてシステムが返 す URL が実 際 に自 己 学 習 を行 う上 で
役 立 つかを判 断 することが容 易 になるように,また質 問 の内
容 を限 定 することで,事 前 にデータベース登 録 すべきレコー
ドの量 を軽 減 できるようにするためのものである。また,実 験
中 は各 被 験 者 が普 段 Twitter を利 用 している状 況 を再 現 す
るために,実 験 とは無 関 係 なツイートも投 稿 するように指 示 を
行 った.
5.2 実 験 結 果
実 験 の結 果 ,本 システムは,質 問 に対 して,事 前 にデータ
ベースに登 録 された Web ページの中 から回 答 として適 切 な
Web ページを回 答 として提 示 することができた.しかしながら,
質 問 以 外 のツイートに対 しても,それが本 システムのデータ
ベースに登 録 された単 語 を 含 む場 合 ,それを質 問 とみなし
反 応 してしまう不 具 合 が見 られた. これは,フォローしている
ユーザのツイートが質 問 であるかを判 別 していなかったため
である.
6. ま と め
6.1 ま と め
実 験 より,本 システムが Twitter 上 で動 作 し,学 習 者 の質
問 に対 してそれを解 決 し得 る適 切 な Web ページを提 示 する
ことが可 能 であることが分 かった.今 回 の実 験 では,質 問 の
範 囲 を限 定 したため,事 前 に質 問 を想 定 し,それに対 応 す
る Web ページを用 意 することができたが,実 際 に本 システム
を稼 働 させる場 合 ,より広 範 囲 にわたる質 問 が行 われること
が 予 測 さ れる . そ の 場 合 , 事 前 にデ ータ ベ ース に 登 録 し た
Web ページでは,十 分 に回 答 を行 えない可 能 性 がある.そ
こで,本 システムが Twitter 上 で動 作 することを活 かした機 能
の実 装 が考 えられる.その分 野 に習 熟 したユーザが,本 シス
テムのデータベースに新 たな Web ページを登 録 し,質 問 に
回 答 できる範 囲 を増 やしたり,回 答 としてより適 切 な Web ペ
ージを提 示 できるようにデータ ベースを 編 集 したりできるよう
に集 合 知 を活 用 した機 能 が実 装 できれば,本 システムの回
答 可 能 範 囲 が広 がり,よ り適 切 な回 答 が行 え るよ うになると
考 えられる.その他 ,Twitter のコミュニケーションサービスの
面 から,各 ユーザについて,そのユーザが行 う質 問 の傾 向 を
分 析 し,似 た傾 向 のユーザを紹 介 したり,リスト化 したりといっ
た機 能 により,ユーザ間 のコミュニケーションを促 進 する目 的
の機 能 が実 装 できると考 えられる.
参考文献
[1] Twitter. “Twitter”. http://twitter.com/about
[2]
与儀涼子, 當間愛, 赤嶺有平, 山田孝治, 遠藤聡志, Twit
ter 上で行われる議論要約のための,文脈を表現する指標構築
のための検討, 情報科学技術フォーラム講演論文集 9(2), 261264, 2010-08-20
[3] Takeshi Sakaki, Makoto Okazaki, and Yutaka Matsuo: Ear
thquake Shakes Twitter Users: Real-time Event Detection by S
ocial Sensors, Proc. 18th International World Wide Web Confe
rence (WWW2010), April 2010
[4] Twitter BOT JAPAN. “日本の Twitter BOT まとめサイト”
http://bot.cuppat.net/
[5] Twitter. “Create cool applications!” http://dev.twitter.
com/
[6]
Yahoo Japan Corporation. “Yahoo!デベロッパーネッ
トワーク - テキスト解 析 - 日 本 語 形 態 素 解 析 ” http://deve
loper.yahoo.co.jp/webapi/jlp/ma/v1/parse.html
感情状態を用いた経路選択 AI の開発
安武 諒平
Developed the artificial intelligence model for path finding with an emotional state
Ryouhei YASUTAKE
Abstract
Recently , game AI is a very important field for researching the artificial intelligence. In this study, we proposes to
introduce emotional factor to give human behavior to game AI. Then, the factor is introduced into path selecting method that is
primitive behavior. A*algorithm that is the heuristic path finding algorithm is used for the navigation system, and emotional
factor is added to the cost function. Thereby, this AI model comes to select the path based on feelings. A game called Tower
Defence game introduced the AI model was played by some persons, and we got them to answer the questionnaire. As a result, It
succeeded in impressing to them that the model is emotional enough.
Key words: Artificial Intelligence, Emotion, Path finding
1.背 景 ・目 的
近 年 ,欧 米 ではゲーム技 術 の発 展 に応 じる形 でデジタ
ルゲームの AI に関 する研 究 が活 発 になっている.ゲーム
ルベースのゲームであるためタイルの中 心 をウェイポイント
とすることで経 路 探 索 アルゴリズムの実 装 が容 易 となると
考 えた点 などが挙 げられる.
機 器 の処 理 能 力 や表 現 方 法 の高 性 能 化 に伴 い,ゲーム
内 のキャラクターの内 部 処 理 に関 しても高 度 な技 術 が要
求 されるようになった.また,ゲームのような仮 想 的 に作 ら
2.2 感 情 要 素 の導 入
本 システムでは,敵 キャラクターとマップ上 のタイルに対 し
れた世 界 で,その環 境 内 で生 きているキャラクターが世 界
て感 情 要 素 を導 入 する.感 情 のモデル化 に関 しては,
とどのように干 渉 しあっているのかを研 究 することは,「知
Plutchik の感 情 モデルを参 考 にした.タワーディフェンスゲ
能 」というものを理 解 する上 で非 常 に有 益 であると考 えられ
ームにおいて,プレイヤーが AI に対 して働 きかける手 段 は
ている.本 研 究 では,このゲーム AI の考 え方 を元 にゲーム
タワーによる攻 撃 である.そのため,Plutchik の感 情 モデ
キャラクターをより知 性 的 ,人 間 的 に見 せる方 法 を探 って
ルの基 本 感 情 から,攻 撃 を受 けることで喚 起 される感 情 と
いくことを目 的 とする.ゲームのプレイヤーに AI がより人 間
して「恐 れ-怒 り」の一 軸 を取 り上 げて考 えることにした.
的 である,と感 じさせるための手 法 は大 きく分 けて二 種 類
感 情 値 の増 減 はダメージ量 によって定 め,敵 キャラクター
である.1 つはアニメーションである.ゲーム内 のキャラクタ
は砲 台 から攻 撃 を受 けた際 にそのダメージ値 から内 部 の
ーの動 きが現 実 の人 間 のそれに近 ければ,プレイヤーは
感 情 値 を変 化 させる.d をタワーからのダメージ量 ,E(t)を
そのキャラクターを人 間 的 である,と評 価 するだろう.もう 1
現 時 点 での感 情 値 ,E(t-1)を一 時 点 前 の感 情 値 とし,変
つは,AI の行 動 である.盲 目 的 な移 動 やパターン化 され
化 量 を次 式 で定 める.
た行 動 などではなく,何 らかの思 考 ,あるいは意 志 を持 っ
ているようにプレイヤーに感 じさせるように AI が振 る舞 うこ
とができれば,プレイヤーはその AI を人 間 的 である,と評
価 するだろう.
本 研 究 では後 者 ,すなわち AI の振 る舞 いに焦 点 を当
感 情 値 は Plutchik の感 情 モデルより,正 の場 合 を怒 りと
し,負 の場 合 を恐 れとする.以 降 ,この感 情 値 が正 の値 で
ある時 の敵 キャラクターの状 態 を「怒 り状 態 にある」と定 義
て,特 に基 本 的 動 作 であるところの経 路 の選 択 に際 して
し,反 対 に負 の値 である時 は「恐 れ状 態 にある」と定 義 す
人 間 的 な要 素 である感 情 を導 入 する事 で,ゲームのプレ
る.
イヤーが,より人 間 的 と感 じることができる AI を実 装 するこ
とを目 指 す.
2.システム構 成
2.1 概 要
本 システムの基 本 的 な部 分 は web 上 で公 開 されている
タワーディフェンスゲームのチュートリアルを用 いる.タワー
ディフェンスゲームとはスタート地 点 から一 定 数 出 現 し,ゴ
ール地 点 へと向 かって移 動 をする敵 キャラクターを,ゴー
ル地 点 へ到 達 する前 にフィールドに設 置 した砲 台 (タワー)
による攻 撃 で撃 破 するゲームである.このゲームを基 本 とし
た理 由 としてはスタート地 点 とゴール地 点 が定 まっている
ため,経 路 探 索 に対 して親 和 性 が高 いと考 えた点 と,タイ
(a)通 常 の実 行 画 面
(b)感 情 要 素 追 加 モデル
図 1:システムの実 行 画 面
この内 部 状 態 は色 で視 覚 的 にわかりやすく表 現 することに
はどちらが面 白 かったか
した.ダメージを受 けた場 所 についても,ダメージを受 けた
また,質 問 1~3 については「思 う」「少 し思 う」「あまり思 わ
際 に敵 キャラクターが居 たタイル,もしくは進 もうとしていた
ない」「思 わない」の四 段 階 で評 価 してもらい,更 に自 由 記
タイルのどちらか近 い方 に対 して感 情 値 を蓄 積 していく事
述 欄 を設 けた.
とした.これにより敵 キャラクターは,自 身 の感 情 状 態 でタ
イルに蓄 積 された感 情 値 に対 して補 正 を掛 け,感 情 値 を
3.2 実 験 結 果
経 路 選 択 の際 のコストのように扱 うことができる.Ts をタイ
ルに蓄 積 された恐 れの感 情 値 ,Ta をタイルに蓄 積 された
怒 りの感 情 値 と定 義 し,蓄 積 された感 情 値 の増 分 は次 式
表 1:アンケート結 果 のまとめ
度 としてデザインしたため,怒 りも恐 れも正 の数 とした.
3.4 発 見 的 経 路 探 索 法 による経 路 の生 成
経 路 探 索 には A*アルゴリズムを用 いる.但 し,評 価 関 数
に前 項 の感 情 値 を追 加 したモデルで計 算 を行 うものとする.
この時 ,敵 キャラクターの動 きが,現 時 点 での感 情 状 態 が
怒 りならば,怒 りの感 情 値 が多 く蓄 積 された場 所 を優 先 し
て通 り,恐 れの状 態 ならば恐 れの感 情 値 が多 く蓄 積 され
た場 所 を避 けるような動 きになるよう設 計 した.
この時 ,h にスタート地 点 からタイル何 枚 で到 達 できるか
で推 定 値 を与 える.また,R にタイルの通 行 しやすさ,これ
は整 地 されていれば 1,そうでなければ 3 にそれぞれ設 定
した.c を目 標 からの距 離 ,E をキャラクターの持 つ感 情 値 ,
Ta を現 時 点 でキャラクターがいるタイルの怒 りの感 情 値 ,
Ts を現 時 点 でキャラクターがいるタイルの恐 れの感 情 値 と
して,評 価 関 数 を以 下 に示 す.
あまり
思う
思 わない
13
8
1
0
質問 2
14
7
1
0
質問 3
8
13
0
1
思う
質問 1
で定 めた.
タイルの感 情 値 はその場 所 について喚 起 される感 情 の強
少し
質問項目
思 わない
質 問 4 に関 してはアンケート対 象 者 全 員 から経 路 選 択
ありの方 が面 白 くなっ たとの回 答 を 得 ることができた. ま た,
自 由 記 述 意 見 には以 下 のようなものがあった.
・恐 れは非 常 に分 かりやすかったが,怒 りはやや分 かりにく
かった
・怒 りの感 情 を表 すために,敵 に攻 撃 の概 念 を与 えると良
いかもしれない
・感情の遷移が急すぎるように感じた
・フィールドをもう少し広く取れば動きが分かりやすくな
ると思う
4.結論
本研究では,自身と地形から感情値を取得し,それを
用いて経路を動的に変化させるという簡単なモデルではあ
るが,プレイヤーが感情や知性を感じられるゲーム AI の
作成ができた.しかし,怒りの感情が分かりづらいという
意見や,場合によっては感情が感じられない単調な動きに
なってしまうといった問題点も見つかった.これらは本モ
この処 理 を敵 キャラクターの生 成 時 ,タワーからのダメージ
を受 けた時 の経 路 選 択 アルゴリズム内 で行 うことで動 的 な
経 路 選 択 が可 能 となる.
3.実 験
3.1 実 験 方 法
本 システムの評 価 を行 うために,被 験 者 にチュートリアル
そのままのタワーディフェンスゲームと本 モデルを組 み込 ん
だゲームを比 較 してもらい,アンケート形 式 で評 価 してもら
った.この実 験 は 10~20 代 の 22 人 を対 象 に行 なった.
以 下 にアンケートの内 容 を示 す.
質 問 1:経 路 選 択 なしのモデルと経 路 選 択 ありのモデルを
デルの AI の感情の変化がタワーからの攻撃という,受動
的なものであることが大きな要因となっていると考える.
よって,今後の課題としてこれら問題点の解消のため,
現在の周囲の他の AI の生存数や体力などを参照して能動
的に感情を変化させていく方向での改良が考えられる.ま
た,怒りの状態をより分かりやすくするために敵キャラク
ターからの攻撃要素の採用や,怒りの度合いに応じた敵キ
ャラクターの移動速度の向上などを考えている.また,感
情の移り変わりが急すぎるように感じたという問題に対し
ては,内部の感情状態を分かりやすくするためのインター
フェイスの改良,具体的には表情画像を追加することなど
を考えている.
比 較 して敵 キャラクターの動 きが知 性 的 になったと感 じた
参考文献
デジタルゲームの教科書製作委員会,
“デジタルゲーム
か
1)
質 問 2:敵 キャラクターの感 情 状 態 を色 で表 したが,実 際
の教科書”,ソフトバンククリエイティブ,(2010)
にその感 情 を持 っているように感 じられたか
2)
XNA Tower Defense,http://xnatd.blogspot.com/
質 問 3:感 情 に伴 う行 動 として敵 キャラクターの動 きは適 切
3)
Plutchik, R.. “The Multifactor-Analytic Theory of
だったと思 うか
Emotion”,Psychology,Vol.50,pp.153-171,(1960)
質 問 4:経 路 選 択 なしのゲームと経 路 選 択 ありのゲームで