第3学年選択 1 題 材 教 材 「和楽器で創作しよう」 「かごめかごめ」わらべ唄 「ノヴェンバーステップス」 音楽科学習指導案 「夕焼け小焼け」作詞 武満徹 仲村雨紅 作曲 草川信作 2 ○ 指導観 日本音楽は,日本の美しい自然や風土の影響を受けて,西洋音楽とは異なる独特な音楽の世界をつくり 出している。和楽器の箏・三味線・尺八は日本の代表的な楽器で,日常生活でも耳にすることが多く,そ れぞれの独特な奏法や音色があり味わい深い。こうした楽器を演奏したり,聴いたりすることから,和楽 器の音色の美しさや響きの豊かさ,日本音楽の特徴やよさを見直し,表現の幅を広げ,表現することのお もしろさを感じ取ることができると思われる。 本題材では,和楽器の箏・三味線・尺八とのそれぞれの音色の美しさや響き,特性を味わい,わらべ唄 や童謡を通して和楽器による創作活動をすることをねらいとしている。その際, 「かごめかごめ」と「夕焼 け小焼け」の 2 曲を創作のベースとする。わらべ唄や童謡は昔から歌い継がれ,私たちが幼い頃から遊び に取り入れていたものであり,この 2 曲も生徒になじみのある曲であるため創作のイメージをもちやすい。 また,和楽器の演奏においても,「夕焼け小焼け」は5音,「かごめかごめ」においては4音と音の数が少 なく,音域も狭く半音がないため,使い慣れない楽器であっても奏法が比較的容易である。日本音楽で大 切にしたい和楽器の大切な響きや温かさを子どもたちに伝えたい。 ○ 本コースを選択している生徒は女子20名である。その 20 名ほとんどの生徒が音楽第1希望でこのコー スを選択している。事前調査では,音楽については全員が「好き」と答えた。 日本の音楽については,興味・関心が全体的に低く,三味線や尺八など楽器を実際に触ったことも見た こともない生徒がほとんどで,普段日本の音楽を耳にすることもないと答えている。しかし,昨年の授業 や文化発表会で箏を実際に演奏したり,津軽三味線の演奏を聴いたりしたことで,日本音楽に親しみを感 じるようになった。 ○ 指導にあたっては,実際に箏・三味線・尺八を体験したり,あるいは,視聴したりすることによって, 楽器独自の響きやその特性を味わわせたい。また,曲の構成をとらえ,3種類の楽器の音素材を使い,創 造的に曲を表現できるようにさせたい。そのためにまず,楽器の持ち方,姿勢など基本的なことをゲスト ティーチャーから学び,実際に楽器に触れる体験をさせる。ここでは,それぞれの和楽器の音色や響きに 関心をもたせ,音の魅力を感じ取らせた後,興味・関心をもった楽器を1つ選択する。次に,自分たちの 好きな楽曲を選び,曲ごとのグループに分かれて練習する。そして,和楽器の音の響きや奏法を生かし, 装飾,合いの手,速度などを工夫して創作する。その際,五線譜,図形譜などを使って,記録ができるよ うにする。さらに,生徒が互いに協力し合いながら,グループで互いに聴き合ったり,見合ったりするこ とで新しい工夫を発見させる。最後に,グループごとの発表を行い,まとめとする。実際に和楽器に触れ る体験を通して,日本の音楽を自分自身のものとして感じ,楽しむことができる力を身に付けさせたい。 3 目標分類表 内容 観点 ○和楽器の楽しみ ○和楽器の演奏 関心・意欲・態度 ○和楽器の音や奏法に 関心をもって聴いた り,それを生かした表 現をすることに意欲 的である。 表現の技能 感受・表現の工夫 ○和楽器の音色や奏法などの特徴を理解し 楽曲の構成をとらえて聴き取っている。 ○和楽器の音色や奏法などの特徴を感じ取り, それらを生かして表現を工夫している。 ○和楽器による創作 ○自分たちの表現をつ くりあげようとする。 鑑賞の能力 ○創作した音や音楽を表現し,五線や図形を 使って記譜する技能を身に付けている。 4 計画(8時間) 配 学習活動・内容 時 留意点 評価規準 <評価の方法> 和楽器で創作しよう 2 ゲストティーチャーから和楽器について学ぶ ・それぞれの楽器の音色 ・ 基礎的な奏法 〔三味線〕持ち方,姿勢,ばちさばき 〔尺八〕構え方,口唇の当て方,吹奏方法 それぞれの楽器に触れながら,和楽器の中 で興味・関心のある楽器を選択する 箏 尺八 三味線 2 それぞれの楽器で曲ごとのグループに分か れて練習,演奏する。 ・ 「夕焼け小焼け」 ・ 「かごめかごめ」 3 本時7/8 グループ活動を通して,曲に合った表現の 工夫ができるように話し合い,グループの オリジナル曲を創作し,表現する。 ・ 図形譜,記譜の仕方 ・ 奏法 ・ 装飾,合いの手,速度,リズム,前奏, 後奏などの工夫 中間発表 ○ゲストテーチャーによる三味線,尺八の演奏から 音色や奏法の特徴を感じ取るようにする。 ○自分の興味・関心・技能に応じて選択できるよう に試しの場を設定する。 ○楽器の決定が生徒の興味・関心や技能にふさわし いものになるよう相談活動を行う。 ○生徒の希望で楽器を選択し,楽曲でグルーピング をする。2 年次で学習した箏も取り入れるように する。また,曲も自分たちの興味・関心があるも のを選ぶようにする。 ○楽器のバランスなどを考えてグルーピングする ように助言する。 ○正しい姿勢で楽器を構えるように指示する。 ○曲の特徴やイメージを明確にさせるため,原曲の CD や三味線や尺八の入門ビデオを参考にして, 主体的に練習できるように機材を準備する。 ○和楽器それぞれの本来の音が出せるように支援 する。 ○音が出にくいときには個別に支援する。 ○ゲストティーチャーの演奏から感じ取ったり,説 明を聴いたりしたことから自分たちの演奏を工 夫するよう伝える。 ○曲のイメージをグループで話し合い,意見交換す る場を設定する。 ○和楽器の音色や音楽の諸要素の働きに注意させ る。 ○イメージは五線や楽譜,図形譜などを使って記録 できるようにする。 ○イメージした演奏を録音し,聴き返して確認でき るよう機器を準備し,見直しができるように促 す。 ○楽譜を提示し,実際のCDを聴きながら,図形譜 を説明する。 関:和楽器の音の特徴に関 心をもって聴いたり,そ れを生かした表現をする ことに意欲的である。 <様相チェック,発言チェ ック> 感鑑:和楽器の音色や奏法 の特徴を理解し,楽曲の 構成をとらえて聴き取っ ている。<様相チェック, 学習の手引き分析> 感表:和楽器の音色や奏法 の特徴を感じ取り,それ らを生かして表現を工夫 している<表現内容チェ ック,演奏チェック> ○演奏だけではなく,練習した内容や工夫した点, 難しかった点についても発表できるよう指示す る。 ○他のグループの演奏のよさを聴き取るよう指示 する。 ○各グループの表現の工夫に気づくよう助言する。 ○自分たちが合奏したものの録音を聴き返し,楽譜 などに記録しながら,さらに発展させていくよう 促す。 1 創作発表をし,学習のまとめをす る。 ・和楽器の演奏の味わい ・和楽器の特性やよさ ・創作表現の工夫と記録 ○自分たちが録音したものを聴き返し,全体の響き のバランスを考えさせる。 ○前回の学習より,他のグループの演奏の工夫に気 づき,演奏のよさを聴き取りよう指示する ○学習の手引きに,和楽器のよさについて,感じた ことを記入するように指示する。 関感:自分たちの表現をつ くりあげようとする<様 相チェック,ワークシー ト分析> 表感:創作した音や音楽を, 五線や図形を使って記譜 する技能を身に付けてい る。<様相チェック,楽譜 分析> 5 本 時 平成 19年 10月 10日(水曜日)5校時 計画7/8 於 第1音楽室 (1)本時の指導観 これまでの学習で,ゲストティーチャーを招き,和楽器を体験している。和楽器の音色や響きを感じ取り 基本的な奏法を身に付けることができるようになった。 本時は,和楽器の基本的な奏法を取り入れ,音の響きやその組み合わせを生かし,自分のイメージを表現 させたい。さらに,日本の楽曲の雰囲気を受けて,曲の前奏や後奏なども創作できるようにする。その際, 五線譜や図形譜を使って,工夫して記録することができるようにさせる。また,グループに分かれ,自分た ちが考えた表現を聴き合ったり,見合ったりすることで和楽器の音色や響きを発見させる場になるようにし たい。 (2)主眼 ○ 和楽器の音素材や奏法に興味・関心をもち,楽曲をオリジナルに編曲する。 (3)準備 ① 学習の手引 ② VHS ③VHSプレ-ヤ- ④ビデオカメラ ⑤ 楽器(箏,三味線,尺八) ⑥楽譜 ⑦譜面台 (4)過程 学習活動・内容 0 1 各楽器の準備をする。 ・チューニングなど 前時までの授業の確認をし,本 時のめあての確認をする。 自分たちの「夕焼け小焼け」 「か ごめかごめ」をつくろう 2 各グループに分かれ練習する。 ・個人練習 ・グループ練習 ・創作表現の記録 留意点・評価 ○自分の楽器の準備をし,終わった人は他の人を手伝う。 ○自分たちでチューナーを使って音あわせをする。 ○記録した楽譜や模造紙などを配布しておく。 ○前回演奏したビデオを見ながら,課題を出し合って,さらに練習して改善してい く。 ○それぞれのグループごとの課題を発表させ,板書する。 ○課題を出す際,自分たちの改善点は見かけだけではなく,楽器そのものの音や奏 法など中身にふれるよう助言する。 ○練習計画をリーダーが立てるように声かけをする。 ○各グループに分かれ活動させる。その際,グループを巡回しながら奏法を生かし た装飾音,合いの手,前奏,後奏,速度,リズムなどの工夫がなされているか助 言する。 ○前回演奏し,録画したものを自由に見れるように準備しておく。 ○図形譜を使って自分の思いを楽譜に表現できるよう小節を区切った五線譜に記入 するように指示する。 3 「かごめかごめ」 「夕焼け小焼け」 ○学習した成果を発表するとともに,他のグループの工夫された表現を聴き取るよ うに助言する。 を演奏する。 ○グループによって選んだ楽器や演奏方法などの違いに注意しながら聴くように助 ・グループごとに発表 言する。 ○演奏だけでなく,工夫点や難しかったところも発表するように指示する。 ○他のグループの発表を聴かせることによって意欲を持たせる。 ○発表後,他のグループの工夫を認めたり,アドバイスをし合ったりするよう助言 する。 ◆感表 和楽器の音色や奏法の特徴を感じ取り,それらを生かして表現しようとし ているか <表現内容チェック,演奏チェック> A B ○和楽器の奏法の特徴を生かし,曲にふさわ しい音色や奏法を工夫して表現しようと している。 ○和楽器の奏法を身に付け,美しい音色を工 夫して表現しようとしている。 ○Cの生徒への手だて 友だちとアドバイスをし合ったり,録音を聴いて表現を見直すように指示する。 4 本時のまとめをする。 5 次時の学習について知る。 ○友だちのどんなところがよかったか,工夫している点や効果的な表現などできる だけ詳しく学習の手引に記入するよう指示する。 ○本時の活動を振り返り,自己評価表に本時の感想を記入するよう指示する。 ○記入後,練習や演奏の取組の感想を励ましの言葉を含めて伝える。
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