海光る丘 №36

雨粒を
からめてゐたり
蜘蛛の糸
海光る丘
校訓
平成28年
7月19日
文責
百津
眞人
「英知 信愛 活力」
「いま」「ここ」で頑張る生徒を育てる教育の推進
おめでとう!林田 麗さん「佐世保市PТA連合会会長賞」受賞
13日の授業参観の日に玄関前のテレビに子どもたちの野活、海洋体験、社明協弁論大会の
様子を映していましたところ、保護者の方から「榎並さんの弁論聴きたかったね~」「どんな
弁論だったのだろう?」というお話を聞かせていただきました。3年生の学年便りではすでに
発表内容を紹介してくれているようですが、改めて榎並桜子さんの明社協弁論大会と16日に
行われた「尐年の主張」の林田麗さんの弁論内容をお知らせします。明日20日には、全校生
徒の前で発表してくれる予定です。3年生が小佐々ズプライトを着々と作り上げています!
「生かされる」
小佐々中学校
三年
榎並
桜子
人は人に生かされて生きている。支え合い、愛し合い、関わり合い、他者によって生かされて生きてい
る。こう考えるようになりました。そのきっかけは、DARC=ドラック アディクション リハビリテー
ション センターを知ったことからです。
DARCとは、民間の薬物依存症リハビリ施設のことです。薬物所持や使用による芸能人の逮捕がよくニ
ュースに流れます。あの有名なプロ野球選手も今では、栄光の姿はなく、犯罪者です。DARCは、心の隙
間を薬物で埋めてしまった人たちが、同じように苦しんだスタッフと共に、薬物を使わない生活を支援して
いきます。全国四十三か所にその施設を持っています。長崎にもDARCがあります。
長崎ダルクの方にどうやって依存症から回復できたのかと質問をしました。薬物依存症の人を回復させる
ためには、愛情が必要であると教えてくださいました。依存症の方を回復へと導くのは、医療も必要ですが、
愛情を持った人の存在が大切なのだと言われました。家族や周囲の愛情が一人の人間を生かし直すのです。
このことが、生かされることだと実感しました。
私は、まだ中学三年生で、親や家族から大切に見守られて、学校で楽しく元気に毎日を過ごしています。
自分の目指す進路へと努力する日々です。でも、私と年を同じくして、犯罪を犯してしまった人たちは、ど
うしていくのでしょう。尐年犯罪の中でよく聞く、万引き・窃盗・薬物・深夜徘徊等、依然としてなくなり
ません。中でも、薬物に身を侵されてしまった十代は、どうするのでしょう。
長崎ダルクの方も、薬物依存症からダルクを通じて回復されたと聞きました。苦しいリハビリから回復で
きたのは、自分の周りの人の愛情に支えられたお陰だと話されました。過ちの多い十代には、まだ長い人生
が待っています。だからこそ、他者を生かす愛情が必要です。そして人生を学びんでいくのです。
犯してしまった罪に対してどうしていくか、この答えをくれた人がいます。このDARCで人生を取り戻
し、『マーシーの薬物リハビリ日記』という本で、自らの薬物体験やリハビリ生活を告白している田代まさ
しさんです。回復に必要なのは『仲間たちの手助けをすること』そして、『仲間たちと共に歩むこと』だと
彼は気づきました。薬物に手を出す人の歯止めになるためにこの本を出したのだと言います。
人は人生の中で自分の力で選択する力を持っています。いいことも悪いことも、一瞬の判断で選択して生
きていると考えます。十三年前の男児誘拐殺害事件を起こしてしまった当時十二歳の尐年が、「今願いがか
なうなら」と問われて「事件前の日に戻りたい」と答えたという新聞を読みました。自分がしてしまったこ
とへの後悔の一言です。新聞によると現在は社会復帰しているそうです。
犯罪は憎むべきものです。被害もしくは被害者の家族となった時に、許せる自信はありません。でも、大
人になって犯罪を起こしてしまった人に出会ったときに、その人が生き直したいと考えるならば、支えとな
りたいと考えます。人は生かされて生きているのです。明るい未来をつくるために。
「花は咲く」
小佐々中学校
三年
林田
麗
美し化プロジェクト活動中!小佐々中学校生徒会整美部が活動しています。
「させぼ美し化プロジェクト」
に参加して六年目になりました。小佐々中学校では、この活動を当たり前のように続けています。小さな1
~2ミリの種をポットに植え、苗を育て、その苗をプランターに植えて、校門前の道路を飾ります。
この活動の最中に、整美部の男子が、市の職員の方にこんなことを言ってしまいました。
「なんでこがんことばせんばと」
整美部の活動として「するべきこと」になっていました。美しく咲かせた花で町を飾ることが目的ではな
く、させられているものとなっていました。私自身も水やりが面倒臭いと感じることもあります。整美委員
長として、仕事をしない人を注意しなければなりません。時間もかかります。花を咲かせることに何の意味
があるのだろうと考えました。
家庭の庭にも季節に合わせた色とりどりの花が咲いているのをよく見かけます。手間暇をかけ、費用もか
かるのに、花を育てることは日本各地で行われています。
私たちは、花を咲かせることで何を残しているのでしょうか。
「はるかのひまわり」について知ったのはそんなときです。平成7年に起こった阪神淡路大震災で犠牲と
なった当時11歳のはるかちゃん。震災から半年後、遺体が発見された場所にたくさんのひまわりが力強く
花を咲かせたのです。何もなくなったかに見えた場所から生まれたひまわりは、悲しみにくれていたはるか
ちゃんの家族に、生きる力を与えてくれました。今もたくさんの花を咲かせています。
この出来事は、東日本大震災復興ソング「花は咲く」とつながっているのだと気づきました。大切な人、
大切な思い出、なつかしい街を全て津波が押し流してしまったあの災害からもう5年がたちました。尐しず
つ復興はしていますが、あの苦しみや悲しみを持ち続けた方は多くいます。「悲しみの中に生きる希望を」
と、「はるかのひまわり」が日本各地にも植えられています。たくさんの人が、ひまわりを育てる中で、命
の大切さや人とのつながりを感じ、生きる勇気をもらっているのです。
先日、大きな地震が起こった熊本。まだまだ復興には遠い益城町の中学校でも「はるかのひまわり」の種
が植えられたと聞きました。つらい生活のでも、ひまわりの花は希望の花を咲かせるに違いありません。
自然は私たちに幸せや恵みを与えてくれます。しかし、時として牙をむき、私たちに悲しみと絶望を感じ
させることがあります。花を大切に思う心をなくしかけた時に、戒めを投げかけてきているのです。それで
も私たちは、その時こそ人と人のつながりの大切さや助け合うことの大切さを実感してきました。
花は枯れても来年また種から花を咲かせることができます。花は枯れても、心の中の花は私たちに安らぎ
と希望の種を与えてくれます。
花を育て、花を咲かせることは、勇気と希望を育てることだと考えます。東北から熊本へ、小佐々中学校
から小佐々地区へ、その花を育て咲かせることで、人々に希望を届けることになるのです。
今年、小佐々中学校にも「はるかのひまわり」を植えました。私たちが育てたひまわりは、私が卒業して
もたくさんの種を育んでいくでしょう。だから、私は、今日も一日頑張ろうと思う気持ち、人々が笑顔で生
活する町をつくるために、私は、これからも花の水やりをするのです。
※榎並さんと林田さんは、弁論の小佐々中という新たな「小佐々ズプライド」を作り上げてくれました。