Coronary CTA (冠動脈CT血管撮影)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Okayama Diagnostic Imaging Center 医療法人
2-3-25 Daiku, Okayama 700-0913, Japan 岡山画像診断センター
700-0913 岡山市大供 2-3-25
Tel:086-235-2511 Fax:086-234-5633
E-mail:[email protected]
http://www.okayama-dic.or.jp
2008 年 10 月 29 日
岡山画像診断センター
ニューズレター
2008 年 11 月号
朝、晩の冷え込みが増し、ようやく秋の気配を感じるようになりました。
今回の特集記事は岡山大学病院放射線科
奥村能啓先生による PET/CT 診断第二弾「乳がんにお
ける PET/CT」を掲載いたします。
今後とも岡山画像診断センターをよろしくお願い申し上げます。
岡山画像診断センター
院長
1.画像診断センターからのお知らせ
○
11 月の診療日ご案内
11 月は第一土曜日(1 日)、第三土曜日(15 日)、第五土曜日(29 日)が診療日ですので、ご
利用よろしくお願いいたします。
○
第 25 回岡山画像診断センター病診連携勉強会(二木会)のお知らせ
毎月第二木曜日 19 時 30 分からセンター3F のラウンジにて勉強会を開催しております。
第 25 回の勉強会を下記の要領にて開催いたしますので、奮ってご参加の程、よろしくお願い
いたします。
日時:11 月 13 日(木)19:30-21:00
場所:岡山画像診断センター3F ラウンジ
内容:内容:症例検討
症例:岡山大学病院、岡山画像診断センター、参加施設
司会
岡山画像診断センター
院長
特別講演:「脊椎・脊髄の外科 -脳神経外科医の立場から-」
岡山大学病院 脳神経外科 講師
※当日はビール、軽食を用意しております。
今後の開催予定日:12 月 11 日(木)
1
三好康之
先生
2.「乳がんにおける PET/CT」
岡山大学病院
放射線科講師
奥村能啓
先生
1)はじめに
平成13年の人口動態統計では本邦の乳癌死亡数は女性の悪性新生物で第5位であった。昨今の医療技術の進
歩により、乳癌患者の予後は改善されているが、そのためには適切な診断が必要となる。そこで、乳癌診療
におけるFDG-PETおよびPET/CTの診断ついて紹介する。
2)原発巣について
FDG-PETの乳癌原発巣の診断能は初期には90%以上といわれた。しかし、種々の報告では感度64-96%1)2)3)4)
(メタ解析;感度89% 5))、特異度75-100%(メタ解析;80% 5))であった。またAvril らの検討では感度は64%
で、サイズ2cm以上の81%に対して、1cm以上、2cm未満では63%、1cm未満では13%であった。サイズにより
感度は異なり、小さい病変の検出には限界があることが明らかになった
6)
。また組織型 (硬癌や小葉癌など)
粘膜下病変(Carcinoma in site; CIS)による感度の差も指摘されている。小葉癌では浸潤性でも感度は35%
にとどまることが明らかにされた
6) 7)
。それに対してFDG-PETはdense breast、fibrotic changeの強い例、
豊胸術後の原発巣の診断にその有用性が期待されている
1)
。また偽陽性として授乳など活動性乳腺、乳腺症、
1)4)
良性腫瘍では線維腺腫、乳腺炎が考えられる
。原発巣へのFDG集積は病理学的悪性度との関連、細胞増殖
の指標であるKi-67、MIB-1との関連、新生血管の指標の微小血管密度との関連など生物学的な悪性度が反映
していると考えられる
8) 9)
。臨床的にも乳癌原発巣のFDG集積が高い例は治療後生存率や無再発生存率から
予後不良であると報告されている8) 9)。乳癌原発巣のFDG-PETの役割は新たに腫瘍を検出することよりも、腫
瘍の性状把握や予後予測、治療効果判定のbase-lineとすることと考える8)。
3)病期診断について
腋窩リンパ節転移の有無は重要な予後因子であるとともに、縮小手術の適応などの治療方針の決定に重要
である。FDG-PETによるN因子診断の報告では90%以上の高い感度をもつと報告され、FDG陰性であれば腋窩郭
清を省略できると期待された。しかし、FDG-PETでの腋窩リンパ節転移の感度は61-100%1)2)3)4)10) 、特異度
66-100%1)2)3)4)10) と報告されている。Wahlらの他施設前向き研究によれば、FDG-PETの感度は61%、特異度は80%、
陽性的中率は62%、陰性的中率は79%であった10)。さらに、FDG-PETの感度はT1症例を対象とすると30%程度11) 、
臨床的に腋窩リンパ節転移がないcN0を対象とすると感度は20%程度であった12)。腋窩リンパ節転移陽性であ
れば郭清を行い、FDG-PET陰性であればセンチネルリンパ節生検を行うことが推奨される8)。傍胸骨リンパ節
転移は形態画像診断では困難で、FDG-PETに期待されている1)。遠隔転移検索の主な対象は肺、骨、肝である
8)
。肺転移の検出にはCTが肝転移の検出にはCTや超音波検査が優れていると考える 1)8)。骨転移診断について
はFDG-PETと骨シンチグラフィを比較した検討では、感度はいずれも78-95%で、両者ともほぼ同等であるが、
特異度はFDG−PETが98%、骨シンチグラフィが80%でFDG-PETが優れている4)8)13)。FDG-PETは溶骨性病変の検出
に優れ、骨シンチグラフィは造骨性骨転移や混合性骨転移が比較的多い乳癌の骨転移においてはFDG-PETの
みでは不十分で骨シンチグラフィは省略できないと考えられる1)4)8)13)。FDG-PETを乳癌の病期診断目的に行い、
36%(upstage:28%、downstage:8%)が病期の変更となり、治療方針の大幅な変更は28%、軽微な変更は24-30%
に見られたと報告されている2)8)14)。FDG-PETによる乳癌の病期診断は総合的にみると従来の画像診断よりも
優れており、治療方針の決定に重要な役割を果たすと考えられる8)。しかし、骨や肺など対象臓器によって
は診断能に限界があり、FDG-PETに従来の画像診断を相補的に用いる必要がある8)。
4)治療効果判定
進行症例の予後は化学療法に対する反応性に大きく左右される8)。化学療法に反応する群ではFDGの集積が
早い時期に低下し、以後治療の継続とともにFDGの集積は低下する15)16)。1コース後のFDGの集積低下は予後を
良く反映すると思われる病理組織診断結果との関連も指摘されている17)。治療により生じる最初の変化は形
2
態学的変化よりの早期に生じ、また予後を反映する8)17)。FDG-PETでは治療効果判定を早期に予見できる可能
性もある。治療の反応性におけるFDG-PETの感度は81-90% 2)17)、特異度は96%
2)
。
5) 再発・転移診断
FDG-PETによる再発・転移診断の感度は80-100% 1)2)4)8)、特異度は79-97%1)2)4) 。通常の形態画像診断より優
れている18)19)。治療後に腫瘍マーカーが上昇した患者を対象とすると感度は90%以上となる20)。Meta-analysis
の論文では、再発、転移診断に関する感度は90%で、偽陽性率は11%と報告されている21)。FDG-PETを行うこ
とで通常の画像診断よりも病巣が増加したのが43%、逆に減少したのが24%見られた18)。これにより治療方針
が変更となったのが32-40%2)18)見られ、治療方針の決定に大きく寄与していることがわかった18)。またFDGの
集積がない患者は集積のある患者より無病生存率が高く、FDG-PETでは再発診断に加え、予後予測が可能であ
ると報告されている19)。
【図1;原発巣診断】
40歳女性 右乳房D領域に2cmの腫瘤があり、生検にてclass V(papillo-tubular carcinoma; 11mm, pT1N0M0)
(CT横断像)
(PET/CT横断像)
(FDG−PET横断像)
【図2;病期診断】
40歳女性 右腋窩リンパ節転移あり。
(CT横断像)
(PET/CT横断像)
【図3;再発・転移診断】
57歳女性 乳癌術後、腫瘍マーカー上昇。 多発性肝転移あり。
(CT横断像)
(PET/CT横断像)
(FDG−PET横断像)
3
(FDG−PET冠状断像)
参考文献
1)
奥山智穂:クリニカルPET , 乳癌, 96-99, 2004, Medical View
2)
Gambhir SS, et al. J Nucl Med 2001; 42: 1S-93S
3)
Dehdashti F.Positron Emission Tomography,195-209 LWW, 2002
4)
陣之内正史: FDG-PETマニュアル, 乳腺.
5)
Samson DJ, Flamm CR, Pisano ED, et al. Should FDG PET be used
115-125, 2004, インナービジョン
to decide whether a patient with an abnormal mammogram or breast
finding at physical examination should undergo biopsy? Acad Radiol 9: 773- 783, 2002.織内昇.画像診断 2003; 23: 1142-1150.
6)
Avril N, Rose CA, Schelling M, et al. Breast imaging with positron emission tomography and fluorine-18 fluorodeoxyglucose:
use and limitations. J Clin Oncol 2000; 18: 3495- 3502
7)
奥山智穂:クリニカルPET , 乳癌, 96-99, 2004, Medical View
8)
佐々木雅之、古賀博文、阿部光一郎. 乳癌.癌の臨床 2005; 51: 632-637
9)
Oshida M, Uno K, Suzki M, et al. Predicting the progress of breast carcinoma patients with positron emission tomography using
-2-deoxy-2-fluoro[18F]-D-glucose. Cancer 1998; 82: 2227-2234
10)
Wahl RL, Siegel BA, Coleman RE, et al. Prospective multicenter study of axillary nodal staging by positron emission tomography
in breast cancer: a report of the staging breast cancer with PET Study Group. J Clin Oncol 2004; 22: 277- 285
11)
Avril N, Dose J, Janicke F,et al. Assessment of axillary lymph node involvement in breast cancer patients with positron emission
tomography using radiolabeled 2-d(fluorine-18)- fluorodeoxy-D-glucose. J Natl Caner Inst 1996; 88: 1204-12092
12)
Barranger E, Grahek D, Antoine M, et al. Evaluation of fluorodeoxyglucose positron emission tomography in the detection of
axillary lymph node metastases in patients with early-stage breast cancer. Ann Surg Oncol 2003; 10: 622-627
13)
Cook GJ, Houston S, Rubens R, et al. Detection of bne metastases in breast cancer by 18 FDG PET: differing metabolic activity
in osteoblastic and osteolytic lesions. J Clin Oncol 1998; 16: 3375-3379
14)
Yap CS, Seltzer MA, Schiepers C, et al. Impact of whole-body 18F-FDG-PET on staging and manageing patients with breast cancer:
the referring physician’s prespective. J Nucl Med 2001; 42: 1334-1337
15)
Wahl RL, Zasadny K, Helvie M, et al. Metabolic monitoring of breast cancer chemohormontherapy using postron emission tomography:
initial evaluation. J Clin Oncol 1993; 11: 2101-2111
16)
Gennari A, Donati S, Salvadori B, et al. Role of 2-[18F]-fluorodeoxyglucose(FDG) positron emission tomography(PET) in the early
assessment of response to chemotherapy in metastatic breast cancer patients. Clin Breast Cancer 2000; 1: 156-161
17)
Schelling M, Avril N, Nahrig J, et al. Positron emission tomography using [18F] Fluorodeoxyglucose for monitoring primary
chemotherapy in breast cancer. J Clin Oncol 2000; 18: 1689-1695
18)
Eubank WB, Mankoff D, Bhattacharya M, et al. Impact of FDG PET on defining the extent of disease and on the treatment of patients
with recurrent or metastatic breast cancer. AJR AM J Roentgenol 2004; 183: 479-486
19)
Vranjesevic DFilmont JE, Meta J, et al. Whole body 18F-FDG PET and conventional imaging for predicting outcome in previously
treated breast cancer patients J Nucl Med 2002; 43: 325-329
20)
Liu CS, Sfen YY. Lin CC, et al. Clinical impact of [18F] FDG PET in patients with suspected recurrent breast cancer based on
asymptomatically elevated tumor marker serum levels: a preliminary report. Jpn J Clin Oncol 2002; 32: 244- 237
21)
Isasi CR, Moadel RM, Blaufox MD. A meta-analysis of FDG PET for the elevation of breast cancer recurrence and metastases. Breast
Cancer Res Treat 2005; 90: 105-112
4