新たな人的資本指数が優れた人的資本を持つアジアの国々を特定

オリバー・キャン
副理事、メディア担当
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新たな人的資本指数が優れた人的資本を持つアジアの国々を特定
 新たなグローバル指数において、国民の潜在的経済力を引き出すことに関してシンガポールが世界 3 位、日本
(15 位)、マレーシア(22 位)、韓国(23 位)となった
 中国は BRICS 諸国では最高の 43 位、カンボジア(96 位)、バングラデシュ(110 位)、パキスタン(112
位)は同地域で最も低い順位
 スイスは 122 ヶ国のランキングで 1 位、続いてフィンランド。ドイツは 6 位、アメリカは初登場で 16 位
 人的資本指数は、国民の潜在的経済力に投資する際に国が正しい決定を行えるよう支援することを目的として
いる
 122 の国と地域の情報、順位、ビデオ、インフォグラフィックなどのレポートの全文はこちらからダウンロー
ドできます。
2013 年 10 月 1 日 アメリカ、ニューヨーク-世界経済フォーラムの第 1 回人的資本指数は、労働力の長期的な潜
在的経済力の最大化に最も成功したアジアの国としてシンガポールを特定しました。122 ヶ国のランキング全体で
シンガポールは 3 位となり、15 位となった別のアジアの国である日本と共にトップ 20 にランクインしました。同
地域での他の優れた国にはマレーシア(22 位)、韓国(23 位)、そして BRICS では最高の 43 位となった中国が
含まれます。順位が最も低かったアジアの国はパキスタン(112 位)で、初開催の年においてバングラデシュ(110
位)に僅差で上回られました。
人的資本指数は、教育・健康とウェルネス・労働力と雇用・実施可能環境という 4 つの異なる柱を通じて健康的で
教育を受けた能力のある労働者を養成し、展開するための国の能力を
測定するものです。シンガポールの高いパフォーマンスは、世界第 2
位の優れた労働力と雇用のスコアに基づいています。また、健康とウ
ェルネス(13 位)に関してはそれほどよくないものの、教育(3 位)
および実施可能環境(5 位)も高いスコアを獲得しています。
日本のパフォーマンスは健康と医療の全般にわたって優れていますが、
教育の質、特に学校運営に依然として課題が残っています。加えて、
低レベルの「シルバー労働人口」の統合が障壁となっています。43 位
の中国は低い失業率や高い能力水準のビジネス認識から恩恵を受けて
いますが、健康対策や法的枠組みの質、現在の労働力における高等教
育の低水準によって妨げられています。スコアは今後変化していく可
能性があります。
健康や教育、能力形成に対する投資を経済的利点へと最もよく変えて
いくことができる国々を特定すると、人的資本指数の結果では、最も
優れたパフォーマンスの国々の多くがトップ 10 のうちの 8 つの順位
を占めているヨーロッパ北部および西部の国々であり、顕著な例外と
してシンガポールとカナダ(10 位)が示されています。中国と同じ
BRICS 諸国については、ロシア(51 位)、ブラジル(57 位)、イン
ド(78 位)、南アフリカ共和国(86 位)の結果はまちまちなものと
なっています。
Top 20
Selected
Countries
Switzerland
1
France
21
Finland
2
Korea
23
Singapore
3
UAE
24
Netherlands
4
Spain
29
Sweden
5
Chile
36
Germany
6
39
Norway
7
Saudi
Arabia
China
United Kingdom
8
51
Denmark
9
Russian
Federation
Greece
Canada
10
Brazil
57
Belgium
11
Mexico
58
New Zealand
12
Turkey
60
Austria
13
Tunisia
67
Iceland
14
India
78
Japan
15
86
United States
16
South
Africa
Iran
43
55
94
Luxembourg
17 Egypt
111
ヨーロッパでは、国の人的資本資源を活用する能力という観点からは
明確な地理的区分が生じており、ヨーロッパ南部および東部の国々は
Qatar
18 Pakistan
112
北部および西部の隣国と比較して乏しい状態となっています。こうし
Australia
19 Nigeria
114
た国々の中でスペインは 29 位にランクインしており、健康とウェル
Ireland
20 Yemen
122
ネス(12 位)で上位を記録していますが、労働力と雇用(70 位)は
あまり良くありません。それにもかかわらず、同国はイタリア(37 位)やギリシャ(55 位)、セルビア(85 位)
を上回っています。フランスは 21 位で教育、健康とウェルネスが高い順位となっているものの、労働力と雇用や実
施可能環境の不足がこれらを相殺しています。
北アメリカでは、カナダ(10 位)が主に教育面で世界 2 位という高い順位を理由にアメリカを上回る順位になって
います。アメリカの順位(16 位)は力強い労働力や才能を呼び込む能力、イノベーションの潜在的可能性、高い水
準の大学レベルの教育によって得られています。弱い要素には主要労働年齢層での非伝染性疾病が比較的高い水準
であること、そして精神的安定が比較的に低いことが含まれます。
中近東及び北アフリカでは、カタールが 18 位にランクインして最も優れた国となっており、教育で 26 位、労働力
と雇用で 7 位、実施可能環境では 15 位です。しかしながら、高い水準の非伝染性疾病や肥満、悪い健康状態で過
ごした年月を理由に健康とウェルネス(44 位)は良くありません。続いてアラブ首長国連邦(24 位)、イスラエ
ル(25 位)、サウジアラビア(39 位)、バーレーン(40 位)となっています。チュニジア(67 位)、レバノン
(74 位)、モロッコ(82 位)、エジプト(111 位)はランキングの下位を占めています。イエメンは最下位です。
ラテンアメリカでは、コスタリカ(35 位)とチリ(36 位)がトップであり、カリブ海諸国ではバルバドス(26 位)
がトップです。ブラジル(57 位)は教育での比較的弱いパフォーマンスに妨げられています。
サハラ以南のアフリカでは、最も高い順位となったのがモーリシャス(47 位)でボツワナ(79 位)とケニア(81
位)が続いています。アフリカ大陸でもっとも人口の多い国であるナイジェリアは 114 位です。マリ(118 位)、
ブルキナファソ(119 位)、ギニア(120 位)は同地域の最下位を占めています。
人的資本レポートは国の人的資本資源、すなわち生産技能と能力が実質的には他のあらゆる資源よりも、長期的な
経済成功のより重要な決定要因になり得ることを強調しています。また、同レポートは個人と経済への利益を創出
するためにも、最も初期の段階、そして後年での投資に対する差し迫った必要性を特定しています。
世界経済フォーラムの創設者兼会長であるクラウス・シュワブ氏は以下のように述べています:「あらゆる国、機
関の将来を握るカギは、その国の人々の能力と才能にかかっています。将来的には、人的資本が資本の最も重要な
種類となるでしょう。人への投資というのは、単にそれがあれば越したことがないというものではなく、成長や繁
栄、進歩に不可欠なものです」
また、世界経済フォーラムの人的資本プロジェクト代表であるサーディア・ザヒディ シニア・ディレクターは次の
ように述べています:「高齢化、または高齢化している人口に直面している国がある一方、若年層が突出している
国もあり、数は少ないもののこれら両方に直面している国もあります。これが、今後の大きな才能の逼迫に直面す
ることを意味している国もあれば、一方で人口の潜在的可能性を負担へと発展させるのではなく、実現させられる
メカニズムを開発することを意味している国もあります。こうした点から、 人的資本指数というのは国が現在どの
ような位置にあるのかを理解するためのツールであり、これを理解することで政府やビジネスが将来の労働力計画
に取り組めるようになるのです」
編集者注記
世界経済フォーラムの人的資本指数は、健康的で教育を受けた能力のある労働人口の発展と展開の寄与因子と抑制
因子を測定することで世界の人口の 90%を代表する 122 ヶ国を評価しています。人的資本指数は 4 本の柱で構成さ
れています:




教育の柱は初等・中等・高等教育全般、年齢コホート全般における教育へのアクセス、質、達成の側面を
捉えます。
健康とウェルネスの柱は小児期から成人期までにおける人口の心身の健康を評価します。
労働力と雇用の柱は国の労働年齢人口における経験や才能、職業訓練、能力のミスマッチを定量化するこ
とを目的としています。
実施可能環境の柱は人的資本の利益を可能とする法的な枠組みやインフラストラクチュア、他の要因を捉
えます。
人的資本指数は51の変数で構成されています。Z値として発表されている同指数のスコアは、サンプルの全ての国々
の平均からの距離として解釈できます。大きな正数は優れたパフォーマンスを伴い、大きな負数は弱いパフォーマ
ンスを伴い、ゼロに近い正数と負数は平均的なパフォーマンスを伴います。変数の約半分は国際労働機関や
UNESCO、国連開発計画、世界保健機関といった国際機関の公表されているハード・データに由来し、残りの半分
は世界経済フォーラムの年次経営幹部意見調査(Executive Opinion Survey)および他の調査源に由来しています。
人的資本レポートは世界経済フォーラム、マーサー・コンサルティング、ハーバード大学の各研究チームの協力、
そして学会やビジネス、政府、市民社会といった様々な構成組織との協議によってもたらされた結果です。
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