VI サ イレージに関する質問あれこれ ギ‐ ︵υバ ゝ﹁ Q:サ イ レー ジの定義 とは どんな ことで しょうか ? A:一 般 に、 サイ レー ジとは、青刈 り牧草 や飼料作物 をサ イ ロに詰 め込 み、空気 のない条件 下 で 原 料 の糖分 と乳酸菌 によって乳酸 が生成 され、呼吸や発酵 に よ って 生 成 した炭 酸 ガ ス と一 定 の pHや 有機 酸 な どによ って、嫌気的条件 で貯蔵 された発酵飼料 の ことで す。 ' ー サイ レ ジの発酵品質 を左 右 す る主 な要因 は、原料 の糖分、水分含量、微生物 およびサ イ ロ内 の酸 素 です。 表 1 畜 産先進国が サイ レー ジ利用の比重 を高 めている理 由 区 土 地 分 生 産 主 要 な 理 由 乾草 ・放牧 に比 較 して 明 らか にサイ レー ジ作物 は生 性 産性 が高 い。欧米 で も地価 の上昇 が著 しい。 サイ レー ジは乾草 に比較 して天候 に左 右 され ず、安 安 定 した 調 製 ・貯 蔵 全 に計画的 に収穫貯蔵 で きる。 一 定 の機械化体系 で は、 サイ レー ジは 省力 ・省 エ ネ で収穫 ・貯蔵 ・給与 がで きる。 省 エ ネ 貯 蔵 ・給 与 乾草 に比 較 して計画 的 に収穫 で きるので、飼料価値 高 い 飼 料 価 値 が高 い。 通年的給与 で高能力 の乳 ・肉牛飼養 に適 して い る。 畜産経営 の集約化 ・安定化 に役立 つか らである。 高能 力 の家 畜 飼 養 Q:サ イ レー ジの 出来上が りでの水分 含量 による ポ当た り重量 は ? A:牧 草 中 の水分含量 は生 草 で85%前 後 で、乾草 で15%程 度 で す。牧草 サイ レー ジの水分 は この 中間 で、 80数 %か ら40%ま で と様 々 です。 サイ ロ内 のご当 た り重量 は水分 とサイ 口の高 さ (測定位置 の上 部 のサイ レー ジが重石 にな ってい る)、鎮圧 などによ り異 な ります。 表 2は その一例 です。 表 2 サ イ レー ジの水分別、深 さ別密度 サ イ レ ー ジ深 さ 物 (kg/ポ ) 乾 1 8 5 水分50%子 イレージ 物 (kg/ポ ) 乾 155 324 352 381 410 439 467 496 75 162 176 191 205 220 234 248 263 5 3 3 3 6 3 2 9 3 0 0 3 6 4 2 8 7 7 525 554 611 669 物 (kg/ポ ) 7 6 7 0 9一 3 77 160 174 189 203 217 231 246 260 274 300 0 0 3 629 676 724 771 819 866 914 1,000 1,000 1,000 1,000 物 (kg/ポ ) 原 0 0 3 5 6 7 8 9 10 12 14 16 18 原 4 3 5 1 2 3 4 5 5 2 (m) 水 分 7 0 % サ イ レー ジ (高野 ) イ レー ジを 開封するには、詰め込み 後何 曰くらいが よいので しょうか ?(持 ってい る飼 料 が少 …… な くな り緊急 に 開封 しなければ な らないときな ど ) ー イ レ ジ調製 にあた って は飼養頭数 か ら年間 の必要量 を考 え、余裕 を持 って確保す る ことが 大 A:サ Q:サ 切 です。 右図 のよ うに詰 め込 み時 の条件 密封 など)に は 2∼ 3日 で好気性 発酵 が終 わ りそ の後乳酸発酵期 に 入 ります。乳酸発 酵 は15日程度 で 良 質サ イ レー ジ 生菌数 ︵ 対数/ こ が良 か った とき (早期詰 め込 み ・ 10 8 6 4 2 0 終了 し、 その後安定期 とな ります。 6 6 pH 5 4 5 4 3 3 るには2 5 日程I 質かか ることにな り 3 乳 酸 2 2 ます。 41 これが、詰 め込み に時間がかかっ た り密封 が不十分 な劣質 サイ レー ジの場合 だ と、乳酸発酵が終了す この ことか ら、詰 め込 み後 最低 劣質サ イ レー ジ 3 1 0 5 10 15 20 25 30 35 0 40 45 2週 間程度 で 開封可能 で す が、 サ イ レー ジの質 によ って、 それ以上 図 1 サ イ レー ジの 発 酵 過 程 経過 しなければ な らな い もの もで (安宅) て きます。 生 菌数 ︵ 対数 / 8 高水分サ イ レー ジ サ イ レー ジの質 の判定 に つ い て は、 108ペ ー ジ を 参照 に して下 さい。 又、 高水分 と低水分 の違 いは 左 図 のよ うにな って い ま す。 このよ うに低 水分 で は サ イ ロ内 の乳酸発酵 には 20日程度必要 にな ります。 5 10 15 20 25 30 35 40 5 10 詰 込 み 後 日数 ( 日) 15 20 25 30 35 40 詰 込 み後 日数 ( 日) 好気 発酵 期 図 2 高 水分 サイ レー ジとヘ ィ レー ジの発酵過程 のちが い - 1 1 1 - (安宅) イ レー ジの 品質 を現 場 で判断す るには、どのような方法があるので しょう力、 (品質 評価 の 方 法) イ レー ジの品質 を評価す る方法 は、牛 の採食状況 ・ 生産性 、官能試験、 pH、 フ リー ク評点 、 V Q:サ A:サ ス コア、飼料分析 な どがあ ります。 この中 で、官能試験 は道立試験場か ら指導参考 と して表 3の よ うな判定基準 が 出 されて い ます。 表 3 牧 草 サイ レー ジ品質判定基準 (改訂版) 段 判 定 項 目 鵬 触 沢 味 感 5% 未 満 ︶ 発 酵 品質 ︵ 低 水 分 用 、水 分 6 水 分 色 沢 香 76日以上 4 1 ∼5 5 日 5 6 ∼7 0 日 (20) 7 1 ∼8 5 日 (10) 9∼ 1% (3) 86日以上 (0) (30) (中 間 ) (5) (4) 1∼ 3% (4) 71-75,` (8) 味 5 5 5 10 感 19∼ 10% (6) 葉部割合、茎 の 太 さ中程度 (3) 4∼ 6% (3) r b ∼測 % (6) 4.5(8) 4.6(6) 4.7(4) (2) 7∼ 9% (2) 81-859` (3) (4) 快甘酸臭 ・芳香 甘 酸 臭 (5) (4) さ らっと して清潔 (中 間 ) 軽 い粘性 (中 間 ) (5) (4) (3) (2) 明黄緑色 黄 緑 色 (10) (8) 快甘酸臭 ・芳香 甘 酸 臭 (11) さ らっ と して清潔 (中 間 ) (5) (4) 上 (0) 86%以 上 (0) 簡易水分計 な ど によ る 5.1以上 (0) マメ科割合 がA 黄緑色 な る も若 黄 褐 色 褐 色 千褐色 を帯 び る ラ ンクの場合 1 ∼ 2点 加点す る (3) (2) (0) 甘酸 な る も若干 僅かにアンモニア ア ンモ ニ ア具 ・ 刺激臭 ・不快酸臭 臭 。かび臭を伴う かび臭 を伴 う (3) (2) (0) (5) bυ― bbツ 6 (3) lU%以 4.8(3) 4.9(2) 5.0(1) 黄 緑 色 b4-bO% (10) 上 と同 じ 葉部割 合低 く、 茎細 い (0) (中 間 ) 明黄緑色 (15) 触 61-75日 考 混踏牧草 の場合 に は主 体牧草 に つ いて判定 中Fal得 点可 な < 香 4 6 ∼6 0 日 4.1以下 (15) pH 色 3 1 ∼4 5 日 葉部割合高 く、茎太 ヽ 65-70ツ イ (10) 分 開 花 期 開花後期 (10) 29-20,` (8) し 期期 実実 0 5%以上︶ 発酵品質︵ 高。 中水分貝 水分6 水 出穂揃期 開花盛期 (20) 50-30,` (10) な 備 E D 結結 雑 ・枯草 割 合 C 期期 メ 科合 マ割 葉部割合 穂花 m 料 出開 刈取時期 階 B (1番 草) イネ科草 出 穂始以前 マ メ科草 開 花始以前 (40) (2番 草以降、生育日Ю オ ー チ ャー ドグラス 30日以内 チモ シー ・マメ科草 40日以 内 (40) 原 草 A 栖 圧 ・死 熙 ・先 か びあ り (0) 54-50% 49-45% 44ン6,ス ト (6) (3) (0) 貢緑色 な る も若 色 黄 褐 色 褐 千褐色 を帯 び る (6) (3) 甘酸 な る も若干 僅かにアンモニア ア ンモ ニ ア具 ・ 刺激臭 ・不快酸臭 臭 ・かび臭を伴う か び臭 を伴 う (7) (3) (0) 。発熱 ・発 粘性 軽 い粘性 (中 間 ) かびあ り (3) (2) (0) 簡易水分計 な ど によ る マメ科割合 がA ランクの場合 1 ∼ 2点 加点する 中間得点可 注 1)飼 料 と認 め難 いサイ レー ジは評価 の対象 に しない。 (1989 北 海道立根釧農業試験場) ― 色沢 :く ん炭化 な どによ り褐黒色 黒褐色 にな った もの。 香味 :酪 酸臭、 ア ンモ ニ ア臭、 たば こ臭、焦 げ付 き臭 な ど不快臭 が著 しく口に入れ難 い もの。 触感 :べ た べ た し、発熱、発 かびの著 しい もの。 その他飼料 と して認 め難 い もの。 2)色 沢は下記の色調表を参考にして判定する。 3)牧 草 サイ レー ジの得点 と格付 は次 の通 り とす る。 格 付 A B C D E 原料草+発酵品質=合計得点 100∼81 80∼61 60∼41 40∼21 20以下 一 H2- Q A :材 料水分が多 い場合、水分調整す るための調製材料 (添加材)に はどんなものが あるので しょうか ? :ふ す ま ・ビー トパ ル プ ・圧 ぺ ん大麦 ・破砕 トウモ ロコ シなどがあ ります。 これ らは、水分調整 とい う効 果 と糖添加 とい う効 果 もあ るため、乳酸発酵 を促進 させ ます。添加量 は、原料 に10%添 加 す ると水分 を 6∼ 7%低 減す る ことがで きます。 他 の効果 と して は、低蛋 白質飼 料 に添加す ると嗜好性 と飼料価値 を 向上 させ ます。 添加 方法 は、大 量 の場合 にはワ ゴンの上 にフ ロン トロー ダで濃厚飼料 (穀類)を 上 げ、原 料 と一 緒 にサイ ロに混入 させ ます。 ・ 表 4 添 加物 の種類、特性 と添加量 添加物 の種類 濃 厚 飼 料 (穀類添加法) 添加物 の作用 添加物 の使用量 水分 を調整 し、 さ ら 原料 に10%添 加す る 大 量 の 場 合 に は、 ヮ に糖 の添加効果 もあ と水分 が 6γ 7%低 ゴ ンの 上 に フ ロ ン ト り、乳酸発酵 を促進 減 させ ることがで き ロ ー ダで 濃厚 飼料 を させ る。 フスマ ●ビ ー トパ ル プ ・圧偏大 る。低蛋 白質飼料 に 上 げ、 原 料 と一 緒 に 添加 す ると嗜好性 と サ イ ロ に混 入 させ る。 麦 ・破砕 トウモ ロコ 飼料価値 を向上 させ ボ ブキ ャ ッ トで 混 合 シな ど使用す る。 る。 す る方 法 もよ い。 添 加 法 澤訂里予 (1980) Q:サ イ レー ジ くん炭化 にょる飼料価値 の低下 はどの くら いで しょ うか ? A:乾 燥 しす ぎたサ イ レー ジ、 または、乾燥不十分 な乾草 (と もに水分 が30∼40%)を 収納 した 時、 牧草 が異常 な発熱 を起 こ して、色が濃褐色か ら黒 褐色 に変 り、強 い焦 げ臭 (不快臭 で はない)を 発生 します。 このよ うな現 象 を くん炭化 (ヒ ー トダメ ー ジ と もい う)と 呼 んでい ます。 くん炭化 した牧草 で も軽度 の もので あれば採食 しますが、飼料価値 は乾物消化率 が低下 し、中 で も 蛋 白質 の消化率 の低下 は著 しく、乳量 を低下 させ ます。 表 5 く ん炭化 による各成分消化率 ・栄養価 の低下 ネ くん炭化 に お い ラン ク 色 調 栄 養 価 貯 蔵中の品温 D M 有 色 50∼ 611℃ 程度 91 ' 92 ︲ 白 ︲ 5 重 注)ネ良質乾草を100と した時 の割合 カ ビ (放線菌)汚 染乾草 -113- 99 91 90 89 1 80 lllCl 5 5 78 強い酸臭と焦げ臭 黒 褐 色 80℃ 以上 95 9 6 86 99 4 8 85 103 9 8 濃 褐 色 65∼ 75℃程度 臭 田 強 い 酸 ︲ 2 90 5 ︲ 89 中 自、褐色 50∼ 60℃程度 7 8 9 6 軽 甘酸臭 とカ ビ臭 lllCl 9 7 褐 センイ DCP TDN 0 0 臭 0 9 酸 100 0 0 甘 100 ︲ 0 淡緑色 外 気温∼40℃ ∼淡黄色 程 度 まで 0 0 臭 3 7 草 ∞ 質 一 軽 良 乾 機物 粗タンパク粗 脂肪 NFE 粗 82 (北海道立根釧農業試験場) Q A サイ レー ジ調製 での 養分 ロスにはどんなものが あ るので しょうか ? ① サイ レー ジ調製 ・貯蔵過程 には、呼吸、発酵、排汁、酸化 による損失 があ ります。 (図 3) 呼吸 =サ イ レー ジ調製過程 での損失 で最 も大 きい もの です。 これ は、 サ イ ロ内 の空気量 ・空気 に接触 す る時間 の長 さに関係 して きます。 詰 め込 み後 に呼吸 が長 く続 くとサイ レー ジの温度 が上 が るばか りでな く、乾物損失 が多 く ② ③ な り消化率 も低下 します。 =発 発酵 酵 による ロ スは、乳酸発酵 で 2∼ 5%の 範 囲 です。 排汁 =サ イ レー ジ原料草 の水分 とサイ 6の 型式 。大 きさ ・加圧 の有無 が関係 して きます。 排汁量 とその成分 は図 405の また、排汁 中 の BODは よ うに な ってい ます。 牛尿 の4.7倍、家庭下水 の180倍に も達 します。河川等 へ 流 出 させ ないよ うにす る必 要 があ ります。 (表 607) ④ 酸 化 =貯 蔵中に徐 々に空気が浸透 してできるサイレージの腐敗 (スポイレージ)に よる損失です。 %︶ 乾物損失 ︵ 調整後の 日数 図 4 経 過 日数 と排汁量 (粗飼料草地 ハ ン ドブ ック) 乾物含量 { % ) 図3 サイレージの乾物含量と乾物損失との関係 ( ツ イ ンマ ー、 1 9 6 9 ) 76 74 72 70 68 水 分 含 量 (%) 図 5 材 料 の 水 分 含 量 と排 汁 量 と の 関 係 ( ム ー ドッホ 、 1 9 5 4 ) 表 6 牧 草サイ レー ジ排汁 の 成分 乾 区 分 灰 粗 窒 全 平 均 範 囲 BOD(mg02/′ 分 区 物 (%) 5.0 2.8-5,8 サイ レー ジ排汁 分 (%) 1.0 0.99-1.05 豚 ス ラ リ ー 35,000 素 (%) 0.22 0.14-0.26 牛 19,000 4.1 pH 比 表 7 各 種汚水 の BOD 重 注)無 添加サイレージの排汁 1.023 3.6∼4.5 1.011-1.07 (高野 ・ 山下 1972) -114- 尿 牛 ス ラ リ ー 家 庭 下 水 90,000 ) 5,000 500 (ウ ー ル フ ォ ー ド、 1978) Q A :わ が 家 のサイ レー ジはマイ コ トキ シン (カ ビ属)に 汚染 されて い ますか ? :マ イ コ トキ シ ンは、 カ ビ (糸状菌)に よ って産 出 され る有毒物質 です` カ ビはあ らゆ るところに存在 し、適切 な物質、pH、 適量 の酸素、水分、温度 があればどこで も生 育 します。 この毒素 は、嫌気的、好気的環境条件 を 問 わず に生 成 され るよ うです。 知 られて い る糸 状菌 は20万種類 を越 え ると言 われて い ますが、 サイ レー ジが好気的変敗 (二次発酵) す る時 に普通 は、 1.ア スペル ギ ルス属 (ヨ ウ ジカ ビ)=圃 場 で産生す る場合、高温乾燥条件 で発育 しやす い 2.フ ザ リウム属 (アカカ ビ)一 圃場 で産生 す る場合、低温湿潤条件 で発育 しやす い 3.ペ ニ シ リウ ム属 (ア オカ ビ)一 圃場 で産生す る場合、低温湿潤条件 で発 育 しやすい の糸状菌 が 関与 しているよ うです。 これ らのカ ビか ら産生 され る毒素 (マ イ コ トキ シ ン)が 、 乳 牛 の 深 刻 な低乳 量 、 繁殖 障害、 疾 病 (乳房炎 も含 む)の 発生 と死亡 を もた らします。 人間 に係 わ る最 も良 く知 られた症状 は、 ア レルギ ー反応 の結果発症 す る「 農夫肺症」と 「喘息」です。 ー レ ジ サイ を含 む飼料 は、 明白 なカ ビの発生 や飼料 の劣化 が見 え な くて も、かな りの レベ ルで有害 な マ イ コ トキ シンを含 んでいることが あ ります。 逆 に、 カ ビの発生 した飼料 が マ イ コ トキ シ ンが産 出 されなか ったために無害 な こと も有 り得 ます。 このよ うに、 飼料 のカ ビや外見 で は マ イ コ トキシ ン含量 の指標 とはな らな いよ うです。 この外見 と毒性 とは関係 がないために、 マ イ コ トキ シンによる乳牛 の生産 と健康 へ の影響 は過 小評 価 されて い ます。 ◎ 粗 飼料 で良 く見 られるマイ コ トキ シンには、次 のよ うな物が あ ります。 ① ア フ ラ ト キ シ ン∼ 1由 来、発 ガ ン性 あ り、綿実 に含 む、乳牛 の症状 は流産、繁殖障害、下痢て 脱毛、小 さ く虚 弱 なぬれ仔牛、肝臓障害、死亡 な ど ー ② デ オキ シニバ レノ ル∼ 2由 来、最 も普通 に検 出 され るカ ビ毒、乳牛 の症状 は飼料摂取量 の減少 また はボ ミトキシン と 乳量 の低下 な ど ③ ゼ ア ラ レ ノ ン ∼ 2由 来、乳牛の症状は流産、腔炎、腔分泌、低繁殖率、未経産牛の乳腺浮 腫、育成牛の受胎率低下、飼料摂取量低下、乳量低下、下痢など ∼ キ シ ン 2由 来、乳牛の症状は、胃腸炎、小腸出血及び死亡、仔牛では白血球 と好 ④ T-2 ト 中球菌の減少 ともに免疫グロブ リンの低下 など ⑤ フ モ ニ シ ン ∼反すう動物 にとって有害である。 ⑥ オ ク ラ トキ シ ン∼ 3由 来、冷涼気候の方が発生 しやすい、多 くはルーメンで破壊される、乳 牛の症状は下痢、肝臓障害、乳量低下、哺育牛の死亡など ∼ サイレージヘの汚染 と中毒症があるが、病気 との関連 は不明 リ ン ⑦ パ ツ ③ ト レ モ ル ゲ ン∼ 1由 来、肉牛 は食欲減退、下痢、元気喪失及び被刺激性を示すなど ⑨ そ の他多数 (注:数字 1はアスペルギルス属、2はフザリウム属、3はペニシリウム属を示す) ◎ 飼 料の大まかな症状 ① 飼 料が塊 になる。 ② カ ビ臭がする。 ③ 飼 料が温かい、あるいは発熱 した兆候がある。・ ④ 黒 ずんだあるいは湿害を受けた色が見える。 ⑤ 明 らかなカビの発育が見える。 -115- ◎動物の症状 ① 飼 料摂取量 の減少あるいは食べない。 ② 元 気 のない栄養不良の外貌 ③ 粗 い皮毛 と寄生虫感染の外貌 ④ よ く設計された飼料にもかかわらず低 い乳量 ⑤ 日 和見症 の高率発生 ―特に分娩牛の代謝病 ⑥ 病 気治療 に対する低反応 ⑦ 断 続的な下痢、あるいは便秘、時として血便あるいは暗色の糞 ③ 流 産、鈍性発情発生の増加と受胎率の低下 ⑨ 悪 い管理の外貌 ◎ 予 防と処置 マイコ トキシンに汚染されたサイレージを解毒す る実用的方法はな く、 マイコ トキシン発生の防止 が重要です。原則的には、サイレージ調製 の基本技術の励行、二次発酵 の防止、アンモニア或いはプ ロピオ ン酸 の添加は有効と思われます。また、 カビ吸着剤の飼料への添加 などもあります。 糞がゆるい場合→糞の色は明るい茶色、泡無 し→ マイコ トキシン症状 糞の色は明るい灰色、泡有り→ アジドーシス症状 ② 乳 牛 は透明な鼻汁を出す。 ③ DMI(乾 物摂取量)が 上が った り下がった りする。 ④ マ イコ トキシン症状はアシドーシス症状と良 く似ている。 (重曹 の摂取量が多いとアシドーシス) ⑤ 原 因不明のラミナイティス (蹄葉炎)症 状がみられる。 小腸、大腸が赤 く腫れている→乳量、繁殖成績が落ちる。 ◎ カ ビ吸着剤について ① も し、 マイコ トキシンに汚染されたエサを給与 していて も、 カビ吸着剤を給与すると、日 乳量 が 1∼ 1.5kg/頭上がる。 ② 2週 間位給与 し続 ける→乳量 の反応を見 る→乳量 が上がれば給与 し続 ける。 ③ も し、乳量 の反応 が無 ければ他 の商品 に替 えてや ってみる。 ④ ミ ネラルを吸着する物 もあるので注意す る。 表 8 バ ンカーサイ国におけるコーンサイレージの臓 取 り出 し表面 410,000 <(1,000 370,000 5,300 730,000 コ ロ ニ ー /g ・︱ 注 ° ・︱ 18,000 ︱ 3.83 数 カ ビ 数 バ クテ リア数 ヾンカーサイロの床t' ィ 3.68 pH 酵 母 力欧 パクテリアの状態 -116- ・ ゴ ∵サイ ロの上部表 面 もバ ンカ ーサイ ロの床 の状態 に近 い Q:リ ステリア菌、リステリア症とは何ですか? 菌 は リス テ リア モ ノチ トゲネ ス (Listeria monOcytogenes)で通 称 り不 テ リア菌 と呼 ばれ ています。 A:本 グラム染色 が 陽性、芽胞形成が無 く、運動性 があ り、拝状形態 の通性嫌気性細菌 で 自然界 に広 く分 布 し、 かつ腐食 した植物材料、下水、水、糞便、土壌及 びサイ レー ジで頻繁 に検 出 され ます。 この菌 は通 常腐生菌 と して生息 しますが、 日和見感 染病原体 で、何 らかの原因 で免疫系 の機能 が低下 した個 体 を 冒 し、多 くの動物 に疾病 を発症 させ ます。 家畜 について は妊 娠末期 の母畜や新生児 に発症 します。 この微生物 は動物 に対 して骨髄炎、脳炎 や敗血症 を含 む多数 の疾病 に関与 し、 また流産 を引 き起 こ す ことが知 られて い ます。 牛で はほとん どが脳炎型で菌が口粘 膜 や鼻粘膜 の微細 な傷 日か ら侵入 し、神経繊維 を上 行 して脳 に 達 ヒ.ます。 また、人 に も感染 して髄膜脳炎 を引 き起 こす こと も知 られて い ます。 牛乳 や ソフ トチ ー ズで もこの菌 が見 つ か った との報告 もあ ります。 この菌 の身近 な発生源 と して は、pHが高 く、破損 ビニ ー ル な どか ら空 気 の 侵 入 したサ イ レー ジの 中 で増殖 します。 ですか ら、 サ イ レー ジで この リステ リア菌 の生育 を抑制 す る最 も効 果的 な方法 は、空気 の侵入 を最 大限防 ぐことで あ ると言 われて い ます。 罹患牛 の症状 と して はt脳 炎型 は高齢牛 に多 く見 られ、突然 、元気 ・食欲 が減退 して畜舎 の壁 ある いはスタンチ ョ ンに体 を寄 せて果然 と件立 します。 また、平 行感覚 が無 くな り運動制御がで きな い た め暴走す ること もあ ります。 斜頸及 び頭部 の片麻痺 とな り旋回運動 を します。延髄 が 障害 を受 けて いるため嘔吐す ることもあ り ます。 発症後 3∼ 7日 の経過 で急速 に悪化 し死亡す る例 と、初期 に抗生物質療法 を行 うと症状 の進行 が止 ま り回復す ること もあ ります。 仔牛 で は敗血症型 とな り発熱、沈 うつ虚弱、削痩 お よび下痢 などの症状 を示 します。 70 結 束端部 : O L ベ ー ル 中央部 : △ L monocytogenescfu,/ B. OpH pH monocytogenescfu,/ g. 50 40 30 20 10 一 r ﹁一 〇∞一 〇 0﹁ C、 o∞0っ0∽ ︵ o●oのく静 ∞︶ 60 01 埋蔵後の日数 バ 6 実 図 験 室規模 ックサ イ レー ジの 好 気 的変 敗 時 の L . m o n o c y t o g e n e s の 消長 に及 ぼす サ イ レー ジp H の 影響 (サ イ レー ジの生化学 よ り) 一 H7- Q:タ ロストリジアについて教えて下さい。 ロス トリジアは、嫌気性芽胞菌 と呼 ばれ るサイ レー ジに生 育 す る細菌 (酪酸菌)の グループで、 サイ レー ジに混入 す ると品質 を大 き く低下 させ ます。 ク ロス トリジアは通常緑葉植物 には少 ないので、土壌 や糞 などに生育 す る芽胞 がサイ レー ジに混入 A:ク す ることによ って発生 す るとも言 われて い ます。 一 般的 にこの菌 は、 サイ ロ内 の嫌気的条件下 で 、水分 の高 い状態 (通常 70%以 上)で 生育 します。 しか し、 70%以 上 の ものの全 てが ク ロス トリジア汚染 につ なが る訳 ではあ りません。 この細菌 グル ー プは、有益 なバ クテ リアによ って産生 された乳酸 を酪酸 に変 え る物 や、作物 の タ ン パ ク質 か ら得 られた遊離 ア ミノ酸 を分解 して ア ンモ ニ アを生成す る物 な どが あ ります。乳酸 とア ンモ ニ アか ら生 成 された酪酸 は共 にサイ レー ジのpHを 上昇 させ ます。 ク ロス トリジアの多 いサイ レー ジの特徴 は ① 乳 酸 よ りも酪酸 の方 が多 い ② pHは 5.0以上 になる ③ ア ンモニア態窒素が全窒素に対 して10%以 上になる ④ 酪 酸臭 (変質 したバ ター臭)や ア ンモニア臭 などの悪臭がする などです。 クロス トリジアの多 いサイ レー ジを乳牛 に給与 した場合、乾物摂取量 が減少 しルーメ ン微生物 の生 態が崩壊 します。通常、乳牛 は飼料摂取 を嫌 が り、体重 の減少、産乳量 が低下 します クロス トリジア は通常低 いpHと低水分 の条件 では生育 しません。 ですか らこの細菌 による被害 を防 ぐには ① 原 料草 の適切 な水分調節 ② サ イ ロに詰 め込み後で きるだけ早 くpHを下 げる環 境 を整える ③ サ イ ロ内 には原料草以外 の上砂などを持 ち込 まない ④ 糞 尿 の散布時期、散布量 などを適正 に行 う な どが上 げ られ ます 。 -118- 敗 したサィ レー ジを堆肥 にまぜて発酵 させて も大丈夫ですか……。 Q:腐 : 肥醗酵を促進 させるには、 カ ビ (糸状菌)や 酵母、好気性細菌が必要 なので、堆肥 に混 ぜて も 問題 はあ りません。 サイ レー ジが空気 にさらされて腐敗 (二次発酵)す ると、好気細菌 0カ ビ酵母 が増加 します。 通常 のサ イ レー ジに増殖す るこれ らの微生物 には、病原性 の ものが含 まれていませんので衛生面 か A:堆 │ │ │ らの問題 もあ りません。 仮 に大腸菌群が いたとして も、堆肥発酵中 の発酵温度で死滅す ることも知 られています。 サイ レ‐ ジを堆肥 に混 ぜる場合 は、混合切 り返 しを必ず行 うことが重要 です。 │ ー これ は、醗酵が早 く進みサイ レ ジ中 の微生物相が堆肥発酵 の微生物相 に早 く変化 させ るため と考 え られます。 Q: 1年 もの、あるいはそ れ以上 の年数 が 経過 したサイ レー ジが サ イ ロに残 ったまま、サ イ レー ジ を 詰 め込 み、古 い もの まで給 与 して もよいですか ……。 A:結 論からいいますと、大丈夫です。 タワー型だ と下部 に古 い ものが残 り、 バ ンカーだと奥 に古 い ものが残 ります。 それに続 けて詰め込むわけですが、詰め込むまでの期間が長 か った り、気温が高 か った りす る時期 にぶつかると境 目の部分 が腐敗す る可能性があ り、廃棄 しなければな らない場合 もあります。 す 境 目を腐敗 しないよ うにす るには、基本的 に二次発酵を起 こした表面 に防止剤を散布す ることと同 じです。 ギ酸、 プロ ピオ ン酸、 ギ酸 カルシウム複合剤 な どが使 えます。 (添加物 の項 ・参照)新 しい サイ レー ジが古 い ものにかぶ さり、 きちん と密閉されてサイ レー ジが作 られると、古 い ものは数年間 経過 して も大丈夫です。 Q A サイ レー ジ作業効率を上 げるためには どのよ うな条件整備が心要 で しょうか。 次 の よ うな条 件 の整備 が必要 です。 ① 圃 場 整 備 ∼耕起 時 の整地 で 凸凹 の解消、区画整備 ( 旋回 の減少等) ② 農 道、取 り付け道路、 サイロ周辺整備 ∼運搬 スピー ドのア ップ、走行中のこばれ防止、原料草への汚れの防止 ③ 作 業機の整備∼牧草収穫後の点検 0修理、よく壊れる ・減る箇所の部品用意 ④ 作 業の打合せ∼共同、家族作業の予定打合せ、 これは作業能率ばか りではな く事故回避 にも つ なが る。 ⑤ 健 康 管 理 ∼ 農繁 期 に は労働 過 剰 とな って お りま せ ん か ? 普 段 よ り十 分 な栄養 を と り心 身 と もに健 全 な生 活 に心 掛 けま しょう。 一 H9- │ │
© Copyright 2024 Paperzz