植物生理 ~おいしいエサ作りの基礎を十分に理解し応用へ

― は じめに ―
―
「おい しい エサ」 を考 える
(│)食 欲 の メカ ニ ズ ム ー牛 は なぜ エ サ を食 べ るの か
動物 の脳 には、 「空腹 中枢」、 「満腹 中枢」 と呼ばれ る部位 が あ り、それぞれ 「腹 が減 ったか らエサ
を食 お う」、「腹 一 杯 にな ったか ら食 うの を止め よう」 とい う判断 と行動 の決定 を行 な ってい ます。
ここで問題 になるのは、何が 「腹が減 った」 とか 「
腹 が一 杯 になった」 とい う刺激 を与 えているの
か とい う事です。 これ らの要因 については、未だ完全 には解 明 されて い ませんが、諸説 の うち、 牛 に
も関係す る主な もの について上げてみ ます。
① 消化管 (特に第 1胃 )に かかる物理的なカ ー 飼料の充満、胎 児に よる圧 迫等。
②温度 に対 す る反 応 一 第 1胃 内の発酵熱や 、体組織の余乗Jエネルギ ー、外気温等。
③ 第 1胃 内の PH―
④ 血 中 VFA―
炭水化物の発酵 に よる有機酸の発生等 による酸度 の変化。
牛 は炭水化物 を酢 酸、 プ ロ ピォン酸等 の VFA(揮
発性脂肪酸)の 形 で利 用 す る
が、 これ らの血 中農度 や組成の 変化。
これ らの説は、それ単独で全ての場合 を説明することはで きません。最近 の考 え方では、 これ らの
現象が重ね合わ さ って、その結果 として最終的 に食欲調整機能が発現 す る と考 え られて い ます。更 に、
上記の条 件の他、環境、牛の気分や体調、飼料の嗜好性 とい った要素 が大 き く影響 して い る と考 え ら
れます。
よ り多 く食 い込 ませ る技術 とは、 これ らの条件を コン トロー ル して、満腹感 を覚 えるのを遅 れ させ
た り、抑制 した りす ることであ る とも言 えます。
具体的 な対応 と しては、例 えば次の様 な こ とが考 え られ ます。
①第 1胃 の通 過速度、熱の発生 を考 える と消化の悪 いセ ンイを多 く含 む エサ (遅刈 り乾 草等)は 不
利。 一 般 にマ メ科草は イネ科草 よ りこの面 で有利。
② デン プン質の多 い穀類 を多給 す る と、第 1胃 内の PHを 下げた り血中VFA農
度 を上 げた りし易
いので、回数 を分け る、先 に粗飼料 を食わせてお く、重曹等の緩衝剤 を併用 する、充 分 に水 を飲
ませ る等で急激 な変化 を抑 える。
③牛舎内の気 温 を低 めに抑 える。放牧地の 日除けを考 える。
①嗜好性 の良 いエサ を与 える。嗜好性 の劣 るものは、 良 い物 と混ぜ る等 して食わせる。
(2)牛 の 五 感
私達人間では、血糖値 等 の代謝 に よる空 腹感、満腹感の他 に、外界か らの刺激 によって 食欲 をそそ
られた り、減退 した りす る事 が よ くあ ります。
い かに もお い しそ うな食物の外観、手触 り、匂 い、包丁 ・煮焚 き ・食器の触れ合 う音等、様 々な要
素に よって食欲 をそそ られます。 また、 習慣 として毎 日の 決 まった食事時間 に食欲 が湧 くとい う こ と
もあ るで しょう。
逆 に、気持の悪 い物 を見た り、嫌 な匂 い を嗅 いだ り、不快 な騒音 に曝 された りす る と、食欲 は 減退
- 1 -
して しまい ます。
この様 に、 牛 において も同様 に採食行動 には五 感の刺激が大 き く関わ って います。 しか し、人
間と
全 く同 じに感 じる とい うこ ともなさそ うです。
ここで、牛の五 感 と食欲の関係につい て考 えてみ ま しょう。
①視 覚
一般 に牛は色盲、
近視であ る と言われてい ますが、ある試験 によれば色 を見分け ることはで きる
ら しい とも考 え られ ます。 しか し、仮 に色 覚があ るに して も、その機能は貧弱で、飼
料 の嗜好性 等
に与 える影 響はほ とん ど無 い と考 えて よいよ うです。
採食行動 に影響 す るのは 、採食場所の形 や距 離、 エサ を くれ る人や外敵 の判別、明 るさの認識 と
い った こ とで、飼料 その ものの評価 と しては視覚はほ とん ど役に立たない と考 え られ
ます。
②聴 覚
牛 に とっての聴覚は主 に外敵 を認識 す るために使われ、採 食中 に不 意 に大 きな音 を立て る と採 食
を中止 した り、継続的 に不快 な音や大 きな音がす る環境では採 食量が低下 す る とい う報告 もあ りま
す。 また、条件付けの学習に よって特定の音がす る と採 食場所 に集 まって くる例が あ ります
。 しか
一
し、 音楽 を流す と食欲 が増進 する とい うこ とは 般 に否定 されて い ます。
③触 覚
採食に関わ るのは主 に鼻鏡、 日、舌の部 分です。 日を付け ようとして トゲ等 があ って痛 ければ
食
うの をやめます。 口に入れて多毛質の もの、モサ つ くもの 、 ジ ャ リジ ャ リす る ものは がるよ
嫌
うで
す。噛む時の歯応えで、老化 ・木質化 した草 と若 くて水 々 しい草を く区別 した り、放牧地で
ょ
倒れ
た草の中か ら直立 した草を 口元の触覚で見つけ出 して食うと言われています。
④嗅覚 ・味覚
匂い と味 も採食行動に与える影響は極めて大 きく、その構成要素、反応は非常 に複雑です。また、
未解明の部分 も多 いのですが、わからないか らと言って無視できる程、小さな問題ではあ りません
。
エサのおい しさを考える時、ほ とん どこの匂い と味の問題に行 き着きます よりおい いェ
。
サ を作
し
る方策を求めるな らば、既に解明されていることと未解明で も推定 しうる事を組合せて、可能性を
追及する必要があるで しょう。そ こで、こあ嗅覚 と味覚に関 しては項を改めて更に深 く掘 り下 げ る
止↓
岬
傘
[‖
↓中
採
採食中J:
↑
図 1 採 食行動 に 関 す る感 覚 の 影 響
-2=
非常に
おいしい
食
⇒ 最雛燎で ↓
あ
ま
飼料の認識 ⇒
非常に
まずい
あ
⇒
飼料 のお い しさ
味 匂 い+ α
ま
採 食の前 行動 誘起
﹁測コ倒﹁∃←
m闇闇開関閣囲幽←
圃閣囲団悧旧□←
↓
l
v
口旧 目 □
事 に します。
(3)嗅
覚
哺乳動物の嗅覚器 管 は 、鼻腔粘膜 に存在 す る嗅細胞 と匂 い物質 との化学反応 によって刺激が生 じ、
その刺激 が中枢 ( 脳) に よって匂 い として認識 され ます。 この脳 に よる情報処理の段 階 で、味覚 と
併
せて 「風味 」 として認識 した り、必要 な い と ( 無意識に) 判 断 した ものは意識の表面に 出ずにカ ッ ト
されて しまう場 合もあ ります。
嗅細胞の数は動物 の種類 に よって様 々ですが、 人間では他の哺子L 類に比 べ る と、割 と少な い ら しい
のですが、嗅細胞が多 いか らとい って匂 い に敏 感 だ とも限 らな い とも言われ ます。
嗅覚は、感覚器 管その ものの機能以外 に、馴れ、ト レー ニ ング、学 習等の後天 的な条件や心理 状態
等 に よって大 き く左右 され 易い と考 え られています。
哺子L 類の 中で、私達 人間は 外界の認識 や意志伝達 に、視覚や言語の 占め る割 合が多 いので、嗅覚の
重要性 は相対的に低 いのですが、牛 をは じめ として大多数の動 物 では嗅覚に頼 る部分が大 き く、生活
の様 々な場 面で嗅覚が大 きな働 きを して い ます。
牛 では 、外敵の認知 、他の牛の 「個」の特定、発情のサ イン等、行動のかな りの部 分を嗅覚に頼 っ
てお り、採食行動 において も、食物の発見 ・特定は、大半 が嗅覚に よって判断 して い るよ うです。
嗅細胞 が匂 い を感 じるメカニ ズム には様 々な説が あ りますが、近年広 く認 め られてい る説 として 、
立体化学説 ( J . E . ア ム ー ア1 9 6 2 ) があ ります。 これは、物 質の特定部位の構造 や電子の配列 と、
細胞 の受容部 をカギ とカギ 穴の関係で説 明 してぉ り、 7 つ の 原臭 ( ショウノウ臭、ジ ャコウ臭、花香、
エー テル臭、 ハ ッカ臭 、刺激臭、腐敗臭) が それぞれ対応す るカギ穴部位 と び い
結 付 た数や組合せ に
よって物 の匂 い を判断 して い る とい うものです。
私達 人間では一 般 に1 0 万種類程の物質 を嗅 ぎ分け られ る と言われていますが 、他の動物 が何種類嗅
ぎ分け られるのかは 、試 験成績 がない ( 試験 の しようがない) の で 、わか りません。
牛について も、様 々な物 質 の 匂 い に対す る嗜好性評価試験 はな されて い ますが 、明確 な ものは極め
て少な く、その都度正 反対の結果が 出る こ ともよ くあるようです。
物の匂 いは、その濃度 を変 えた り、 ご く微量の他の匂 いの物質 を加 えただけ で全 く異な る い に
匂
感
じることが 多 く、又、慣 れ等の要素 が大 きいので、匂 い に対 す る評価 は極めて困難で あ る と
考 えざる
を得 ません。 ただ、それで も比 較的 は っ き りと嫌 う傾向があ る匂 い として、糞臭、腐敗臭、刺激臭
等
があ りますが、 これ らに も例外はあ ります。牛は牛糞のにおいは嫌 い ますが、羊の は
糞 あ ま り気 に し
ません し、逆の場合 も同様 です。何故かはわか りません。 人間 に とっては強烈 な腐敗臭 であ る酪
酸の
匂 い を牛は気 に しませ ん。 これは、牛 自らのル ー メン内で酪酸 を生成 してお り、常 に反 す うや ゲ ップ
によって その匂 い を嗅 いでいるため ではないか と考 え られます。
酪酸臭は気に しな い と述 べ ま したが、決 してサ イレー ジが酪酸発酵 して もかまわ な い とい う こ とで
はあ りません。 サ イレー ジが酪酸発酵 す る時 には、同時 に様 々な腐敗臭 や刺激 臭 を持 つ
物 質が作 られ
ますので 、やは り牛 は嫌 い ます。
もう一 つ重要 な こ とは 、牛は経験 を積む程 、食物 に対 して保 守的 になる ( 牛に限 りませんが) 傾
向
い
があ る と うこ とです。嗅 ぎ慣 れな い臭 t ( のす る土サはぁ ま り好 まな い とい うこ とです また
。
、匂 い
には 「打ち消 し効果 」 とい うこ ともあ ります。何か強 い匂 い が あ る と他の匂 い を感 じな くな る場
合の
こ とです。 不快 な匂 いがあ って も、好む匂 い を強 くすれば 、不快 な匂 い に対 して ごまか しが効
く可能
性 もあ ります。 これ らの こ とを考 え併せ る と、 エサの 匂 い に関 して、極 く僅 かでは あ りますが 「お い
-3-
しさ」 へ の手 がか りが 見えて きます。 それは、
①糞 の匂 いが しな い。 (糞尿の混入 を避け る)
②腐敗臭 が しな い。 (サイレー ジの酪酸発酵、二 次発酵 を防 ぐ、 カビを生や
さな い)
③特殊 な臭 いのするエサ (魚粕等)は 、 なるべ く若 い うちか ら慣 らしてお く。
①臭 いの強 い化学物質 (殺菌剤、洗剤等)を 誤 って混 入 しな い。
⑤本来 の主 食である草その ものの香 りが きちん とす るサ イ レー ジ、乾 草 であ るこ と。
といった こ とで 、従来常識 とされて きた ことばか りであ り、取 り立てて 目新 しい話はな い ようです 。
しか し、逆 に言 えば、常識 とされて きた基本的な技術 を きっち り実践す ることが とて も大事なの だ。
と考 えることもで きるのではないで しょうか。
(4)味 とは 何 か
厳密な意味での 「味」 とは、舌の味曹 と呼ばれ る器 管 や 国内粘膜 が受 け る科学的刺激 によって生 じ
る感覚 で、味曹 はそれぞれ甘味、酸味、塩味 を感 じる部分があ り、 これ らは味の基本形 と呼ばれてい
ます。更 に、 国内粘膜全体 に刺激 を受 け る と 「辛 い」、 口内粘膜 が タン ニ ン等 で収 れん作用 を受け る
と 「渋 い」 と感 じます。更 に特殊 な味覚 として 、 グル タ ミン酸 やイノシン酸 に よる 「旨味」 があ りま
す。 これ らの組 み 合わせが物の味 を決定 します。 しか し、実際 に私 達 が 「味」 として認識 して い るの
は、そんなに単 純 な ものではあ りません6本 来 の 「味」 に、様 々な物質特有の 匂 いが組 み 合わさった
感覚 を 「味」 と認識 して い ます。 カゼ をひ いた りして鼻 が効かな くなる と、 食物 の細 かな味わ いはほ
とん どわか らず、甘、苦、酸、塩、辛、渋が区別 され るだけにな って しま い ます。更 に 、一 つの味、
例 えば甘 味 について考 える と、 一 言で甘 い と言 って も、 さらりとした甘味や くどい甘 味 な ど、幅があ
ります。 白砂糖 の ように、純粋 な甘味物 質 だけだ と割 とあ っさ りした甘味 ですが、 これ に極 く少量の
他の味 を加 える と、 深 さや くどさのあ る甘味 とな ります。
これ らの微妙 な味わ い に対す る感 受性 は、普段 か らの食生活や経 験、個体差等が大 き く影響 します 。
人間では一 般 に、子供は大人ほ ど微妙 な味 覚の感受 性は持 たず、単純 に甘 味の強 い物 を好み、苦 味
のある物 を嫌 い ます。味わいの 深 さや繊 細 さを好 むのは大人の味 覚 であ り、 子 どもは甘 い とか しょっ
ぱ い とか、は っ きりした味の物 を好 む傾 向があ ります。別 に、舌の感覚器管 その ものが未発 達 だ とい
う訳ではな く、脳 での情報処理 回路の発 達 との関連 で生 じる差 であ る と考 え られています。
一 般 に甘 い 食物 は糖 (重 な エ
ネルギ ー源)を 含む こ とが多 く、苦味は毒物 であ るこ とが多 いので、
要
本能は甘味 を要求 し、苦 味 を拒否 します。 しか し、人間は雑 食性動物 として進化 し、 また、食物 を保
存加工 して利用す る とい う文化 を持 ったので、食 えるか どうかを微妙な味 わいで判断す る能 力を必要
とす るようにな った と考 え られ ます。 肉食動物 では甘 味 が大 した意味 を持 たないので 、猫 な どは甘味
に反応 しません。
牛 では、大脳の発達が人間ほ ど高度化 して いな いので、複雑 な味覚情報処理 をす るほ どの容量は無
い、 とも考 え られます し、生の植物 の栄養価 や毒性 を判断す るの には基本 的 な味 さえ きちん と感知で
きれば、微妙 な味わ いな どわか らな くて も別 に不 都 合は無 い と考 え られます。従 って 、進化の過程 に
お いて複雑 な味覚情報処理 能 力を獲得す る必要は無 か った とも言 えます。
試験的 に も、甘味、苦味、辛味 には強 く反応 し、塩味、酸味は、あま り強 くな る と嫌 うとい う結果
が 出 て い ます。渋味 や 旨味 にはあ ま り反応 しな い ようです。 また 、若牛 では幼 いほ ど甘 味 と苦味 に対
-4-
して強 く反応す る とい う報告 もあ ります。
ですか ら、単純 に味 の面 か ら見て 「お い しい」 とい うのは、 み をよ り多 く、苦味 や辛
甘
味 をよ り少
な くした エサで あ る と考 えるこ とがで きます。
(5)味 覚 物 質
哺乳類の舌の表面は微細なデL頭状の組 織で覆われて いて、これ らの乳頭 には物理的 な働 きをす る「
機
械乳頭」 と味覚組 織であ る味曹 を持 つ 「味曹ジL頭」 が あ ります。
牛の舌 には数十個の味苦乳頭 が あ り、それぞれが多数の味曹 を持 ってい ます。 また、舌以外の 口
内
粘膜 中に も若干ですが味雷が散在 して い ます。
味曹は、一 つ の味苦が全ての味 を感 じるのでは な く、甘味 を感 じる もの、 苦味 を感 じる もの、酸
味
を感 じる もの、塩味 を感 じる もの と、機能が分化 している と考 え られています。
味覚物質は、それぞれの対応す る味苦の受容部 (「
/k細胞 )と 特異的な化学反 応 を生 じ、それによっ
て 「甘 い」 とか 「
苦 い」 とか い った信号 を発信 します。
①甘味物質
糖類、多価 アル コー ル (グリセ リン等)、人工甘味料、ア ミノ酸 の一部、 Al、
Zn、 Pb、 (o
H)n、 NHの 各イオン、 牛の飼料 中で実 質的 に甘味 を左 右す るのは 、糖含量 とア ミノ酸組成 が
ほ とん どで あ る と考 え られ ます。
②苦味物質
Na、 K、 Ca、 Mg、 Agの 陽 イオン及 び (N02)n、 ア ミノ酸の一 部 、ア ル カ ロイ ド テ
、
一
ペ
ル ン類 。 般 に食物 中の苦 味源はアル カ ロイ ドとテルペ ン類 だ といわれてい ます アル カ ロ
。
イ
ドは植物体 内で合成 され るち っ素 を含んだアル カ リ性の物質の総称で、キ ニー ネ、 ニ コチン
:モ
ル ヒネ等 を初め として、様 々な種類が あ りますが、大半は有毒 で、強烈 な苦 味 (キニー
ネでは水
に10ppm程 度含 まれただけで苦味 を感 じる)を 伴 い、量の多少はあるに しろほ とん どの
食物 に含
ペ
まれています。 テル ンは脂質の仲間で、 ハ ッカ油や樟脳等の精油、 ビ タミンAや Eも この
仲間
に入 りますが 、それぞれ独特 な匂 い と味 を持 ち、 ミカンの皮の苦み もこれが原因です。
③塩味物質
無機塩 類陰 イオ ン、中で も塩 化物 (塩化ナ トリウム 、塩化 カ リウム等 )。有機物 では リン ゴ酸、
コハ ク酸等のナ トリウム塩類。
④酸味物質
酸の水素 イオン。無機酸 (塩酸、硫 酸等)で は濃度 と酸味の強 さはほぼ一 致 しますが、有機酸 (酢
酸、乳酸等 )で は必ず しも一 致 しません。
⑤辛味物質
他の味覚 と異な り、 日中粘膜 に対 す る直接 的 な刺激 であ り、刺激性物 質全部 が辛味物質 とな り得
ます。物理的 な刺激 も辛 味 と感 じる事があ り、炭酸飲料 を初めて 口にす る子 どもや動物等 は、そ
の泡 の刺激 だけで辛 い と感 じるようです。 また 、私達人間では、ト ウガラシの ように 口中 が ヒ リ
ヒ リする辛あ じと、 ワサ ビの よ・
うに鼻 にツン と くるような辛味 の二通 りの感 じ方 があ りますが
、
牛 が どの 様 な感 じ方 を しているのか はわか りません。 いずれにせ よ、 どち らか とい えば痛 み や灼
熱感 に近 い感 じ方 をす るはずです。
-5-
(6)牛 に と っての お い しさ
以上のように、牛の五感を細分 して検討 してな ると、牛に とってのおい しいエサの条件 とい うのが
ある程度 見えてきたのではないで しょうか。 ここです 且、整理 してみま しょう。
① エサの外見はほ とん ど影響はない。
②音 も、エサの品質には直接関係はないが、採食時に不用意に大 きな音、不快な音をたてると食欲
を減退させる可能性はある。
③ トゲや多毛感 (モソモソした口触 り)、堅すぎる もの、砂 っぽいものは嫌 う。
①匂いはわか らないこ とが多いが、糞臭t腐 敗臭、刺激臭等が少な く、草本来の香 り、甘 い匂 いの
す るものを好む らしい。
⑤甘味を好み、苦味や辛味は嫌 う。細かな風味に対する反応はよくわか らない。
⑥習慣性が強 いので、食べなれない ものは嫌 いがちである。
これらの条件 をより多 く満たすエサが、牛にとらてのおい しいェサであると考えられます。
ここまでは牛の食物をひ とくくりに 「エサ」 と表現 してきましたが、実際 には穀類や粕類等の購入
飼料や、主に自家生産に頼るであろう粗飼料があ ります し、粗飼料でも原料草その ものの問題 と調製
技術 との関係で最終製品 としてどうか という問題があ ります。
一般に流通 している飼 の中には
料
、栄養的な価値は高 くても、嗜好性の劣る物 も少な くあ りません
し、逆に栄養的には大 した事がな くて も嗜好性が非常 に高い もの もあ ります (表 1)
区分
表 1 単 味飼料の栄養的価値と嗜好性の例
飼
料
名
栄
養
的
特
徴
嗜
好
面
の
影
低 嗜 好 高嗜好 そ の他
蛋 白、 エ ネルギ ー 高 い
味あま り無 く、 多毛質
コー ングルテン ミー ル
蛋 白、特 に バ イパ ス分高 い
酸味強 く、砂 状
各種 ミネラル剤
ミネラル 調製 に不 可 欠
苦 味 あ り、砂状 の 物 もあ る
糖
エ ネル ギ ー や ゃ高 い
甘 い香 りと味
綿
実
密
果実粕類
'a
半自
しょうゆ粕
同
上
蛋 白、 Ca極 めて 高 い
バ イパ ス蛋 白高 い
同
響
上
li:信
『
誓
彗
讐
警
な
:
薯
ぎ
警
桑
1爆
低嗜好の もの は量 を制限 して使 う、他の嗜好性の良 い物 と組 み 合わせて使 う等の工夫が必 要 に な りま
す。逆 に、嗜好性 の 高 い ものは食 いの 良 くな いサ イレー ジな どのフ リカケにす る といった 使 い途 があ
ります。 いずれに しろ、単味飼料は個性の強 い ものが多 いので、それぞれの特性 を十 分 に把握 して使
う必要 があ ります。 その点 、一 般的 な配 合飼料では、栄養、 嗜好性の両面 か ら 「そ こそ こ」 バ ランス
を取 って作 って あ る と考 え られます。
さて、本資料 の主 テー マ であ る粗 飼料 について考 えてみ ま しょう。
自家生産 した粗飼 料が牛の 口に入 るまでの経路は、一 般 に、放牧草、乾草 、 サ イレー ジの三 通 りが
考 え られ ます。 それぞれについ て求め られ る性 質 には若干の違 いが あるか も知 れ ません。
放牧草では、言 って見れば原料草その ものが牛 の 口に入 る と見ることがで きます。従 って、草その
ものの味 を いか に良 くす るか、又 、 いかに食 い 易い状態 で生や してお くか、 とい う こ とが重 要 にな り
ます。
-6-
乾草では、草その ものの味 を 良 くす ることに加え
`、 1春奮落 とさず│1短期間で きれ い に乾燥 させ ら
・
れる栽培 調製方法が求め られ ます。
サ イレー ジでは 、 「発酵」 とい う生化 学処理 が加わ って きますので 、原料草の味の
他 に、想定 した
通 りの発酵 をさせ るための 条件作 りも重要 です。
これ らの具体的技術につ いては 、次章以 降で展開 され るこ とにな りますが、 「お い ぃェ
サ
し
」 を作
るための 大原則 を ここで確認 してお きま しょう。
①物理的に食 い 易 い一― トゲ ・モサつ きが少な い、固す ぎな い、土砂が混 ざ らない、食 い 易い長 さ
②甘味 が多 い―― 糖分含量 を高め る
③苦味 ・辛味が少ない一―非蛋白態ちっ素等の苦味 ・辛味源を減らす
④悪臭がしない一―糞や土砂混入、サイレージの不良発酵、カビの発生等を防ぐ
-7-
植物生理
∼ おい しい エサ作 りの基礎 を十分 に理解 し
応用 へ ∼
名
不足 しな いように/
国日日□ □
↓
「 ///′
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「/ 竹
④
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