-このコンサートが買いだ!2009 年 10 月 10 月初旬は過密スケジュールで、大忙し! まず 2 日(金) -4 谷戸基岩 ・買いのコンサートに行ったら2009 年 8 月 まず遠くまで、行った甲斐があったと思ったのがアステールプラ 日(日)にかけて東京オペラシテイコンサートホールで催される 毎年恒例の「アジアオーケストラウィーク 2009J 。私は 2 日夜の ザ(広島市)での『アフィニス夏の音楽祭 2009 広島 J 。私は 17 日、 18 日の二日間しか聴けなかったが、実に充実した内容だ、った。コ プラティープ・スパノロン指揮タイ・フィルハーモニック管弦楽 ンサートのための公開セミナ一、シカゴ、交響楽団首席ホルン奏者 デ、ール・クレヴェンジャーの長年の経験に基いた話とレッスンな 団、 4 日午後の陳佐連指揮インチヨン・フィルハーモニク管弦楽 団を聴きに行く。ちなみに私は行けないが 3 日夜は劉鵬指揮武漢 ど聴講するだけでもまことに有意義な二日間だ、った。公開セミナ 管弦楽団で、いずれのコンサートでも冒頭にアジアの楽曲が置か ーでの各団員の演奏ぶりを聴いて、個人的には札響と京響の公演 れている。アジアにおけるオーケストラに対する価値観の多様性 により一層注目しなければと思った。しかし今回何よりも驚いた のは素晴らしい大小様々な会場があるアステールプ ラザ。厚生年金 を知るには恰好の機会だけにくれぐれもお聴き逃がしなきょう。 ρ その 3 日(土)に関して、まず午後は彩の固さいたま芸術劇場で の「小山実稚恵ピアノ・リサイタル』へ。ショパン(バラード第 1 番、夜想曲嬰ハ短調)、リスト(愛の夢第 3 番、エステ荘の噴水、 会館ホールの隣りにあり、「ラ・フオノレジュノレネ j を行うなら最適な会 場ではないか・・・いずれにせよここが会場ならぜひ再来年も訪 れたい。長原幸太、鈴木康浩、辻本玲といった若手弦楽器奏者た ラ・カンパネッラ)、スクリャービン(ソナタ《黒ミサ)) )、ラフマ ちがアンサンプルを活性化していたのが ニノフ(ソナタ第 文化ホールにおける「第 35 回木曽音楽祭』の f フェスティヴァル コンサイト I J 、「問fiJ 。ファランク「九重奏曲 J とグリエール「弦 楽五重奏曲 J が圧巻だ、った。野島稔が参加したブラームス「ピア 2 番、ほか)と彼女が得意とする作曲家の名曲 が揃うだけにこれはお買い得。夜はエプタザール(狛江駅下車徒 歩 10 分)での横山奈加子(ヴァイオリン)と高橋礼恵(ピアノ) のリサイタルへ。今年 3 月の同所における共演でも白熱した演奏 を聴かせただけにこれは大いに楽しみ。プログラムはデュオでス ーク f4 つの小品」、ベートーヴェン「クロイツェル・ソナタ ピアノ独奏でヤナーチェク「ソナタ 集」よりとなっている。さらに ノ五重奏曲 j 、 J 、リスト「パガニーニ練習曲 2 日(金)の午後はすみだトリフ オニーホールでのデリック・イノウエ指揮新日本フィルと椙沢吏 江子(ピアノ)による「新クラシックへの扉 J (シューマン「ピア ノ協奏曲」、チャイコフスキー「交響曲第 5 番 J) にも出かける。 昨年 1 月の同オケとのサンニサーンス「交響曲第 3 番 J では作品 への共感度の高いアプローチを見せたイノワエがチャイコフスキ ーではどんな指揮をするのか大変興味がある。 JT アートホールにおける「アフィニス・アンサンブル・セレクショ ン Jo 10 月は二つ面白い公演が揃った。まず 7 日(水)は日本フィ ルのメンバーによる『アンクレンゲ j と題し、ロマン派のクラリ j 21 目、22 日木曽文化公園 ではちょっとしたハプニングがあり(詳細は「音楽 の友 j 誌 10 月号に記した)音楽の奥深さを改めて思い知らされた。 予定曲目がメンデ、ルスゾーン「厳格な変奏曲 J 以外は全て変更 になったのが 19 日 f 第 30 回草津夏期国際音楽アカデミー&フエ スティヴァル j でのブルーノ・力ニーノのピアノ・リサイタル。 しかし多少のリスクを官しても活気に溢れた音楽に志向するカニ ーノのピアノは細かなトラブソレがあっても音楽の自然な流れが保 たれていて心地良かった。西村朗「オパーノレ光のソナタ J での緊 迫感、アンコールのベートーヴェン「失われた小銭への怒り」の 表情の変化の鮮やかさなどはさすがだ、った。 30 日午後、五香のフ リューゲルザールで、のモナ=飛鳥・オットの「ピアノ・リサイタ ノレ j では個性的なショパン「英雄ポロネーズ」と手馴れて安定し ていたリスト「スペイン狂詩曲 j が面白かった。しかしその一方 で、シューベルト f3 つのピアノ曲 J を何度も取り上げているにも ネット三重奏曲を 3 曲(ファランク、ハルトマン、ブラームス)揃えたプ かかわらず今回も繰り返しを一切しないあたりの音楽センスに疑 ログラム。特にファランクとハルトマンは耳にする機会が少ない 問も感じた。未だ 18 歳のピアニストにそこまで要求するのは酷な だけに楽しみだ。メンバーは伊藤寛隆(クラリネット)、菊地知也 のかもしれないが・・ ·8 日東京文化会館(小)における丸山奏の (チェロ)、高良仁美(ピアノ)。もうひとつは 26 日(月)の広響、 東フィノレ、N響のメンバーによるアベルト弦楽四重奏団。田野倉 雅秋、近藤薫(ヴァイオリン)、坂口弦太郎(ヴィオラ)、西山健 一(チェロ)というメンバーは東京肇術大学の同窓生。今年 1月 「ヴィオラ・リサイタル J 。レベッカ・クラークの「ソナタ 全体の構成、ダイナミクスの広さと音色の多様性という点でやや j では 不満が残ったが「モルフェウス J およびブリッジの 2 作品は楽し めた。しかしむしろブラームス「ソナタ第 1番 J におけるやや軽 高輪区民ホールでの公演も良かっただけに、ハイドン (op. 74- 1)、 いノリの中の多様性、シューマン「ロマンス」で示された粘着性 がこの人の個性なのかもしれない。 演奏を聴かせてくれるのか注目したい。何が飛び出すのか興味 やはり野原みどりの耽美主義的で美しく研ぎ澄まされたドビ、ユ プロコフィエフ(第 1 番)、メンデルスゾーン(第 2 番)でどんな 津々なのが 14 日(水)サントリーホールにおける『作曲家の個展 中川俊郎 J 。ヒ。アニスト、eM 音楽作家として実にユニーク 2009 な活動で私を魅了する中) II が管弦楽ではどんな作品を書いている のか? 飯森範親指揮東京都交響楽団の演奏で委嘱世界初演とな るシューベルトの同名歌曲その他による「影法師 j 、「合奏協奏曲 第 2 番 J 、「同3 番 J 、「もの思う葦たち J の 4 曲が取り上げられる。 ッシー「ベルカママスク組曲 JU 月の光」だけの予定を変更して全 曲になった)が圧倒的だ、ったのが 7 日東京文化会館(小)におけ る「アレクセイ・スルタノフ生誕 40 周年記念追悼コンサート』。 しかし場内アナウンスでスルタノフの名前を間違えたり、拍手が 続いているのにアナウンスが入ったり、全体の取り仕切りがイマ イチだ、った。なお野原の演奏中に舞台裏の他の出演者たちによる 誰よりも心に訴えかける歌手、郡愛子のリサイタルでも特にお と思われる話し声が聴こえてうるさかった。このホールはついた 薦めしたいのが 27 日(火)紀尾井ホールでの「いちぽん大切なも の」。前回の公演と同様、松木康子のピアノとともに並木健司のギ ての後ろの音が客席から非常に良く聴こえることをホールの側か ターが加わっての公演であることが嬉しい。クラシックから歌謡 の様々な音楽語法を何のためらいもなく使い分けている点が素晴 曲まで幅広いジャンルをハートフルに歌いこなし、愉快な仕種と トークで笑わせる円熟のステージをご堪能し 1 ただきたい。若手の ら使用者に厳しく周知徹底する必要があるのかもしれない。既存 中では言葉の意味を大切にした歌唱を聞かせてくれるのが春日保 らしかったのがウンスク・チンの室内楽。 24 日サントリーホール (小)での「サマーフエスティヴァル 2009J の『室内楽コンサー ト』で聴いた。中でも言葉の意味に敏感に反応する吉川真澄の歌 人。彼が日本歌曲を本格的に取り上げるという点でどうしても気 唱が素晴らしかった「錯綜としがらみ になるのが 31 日(土)午後、東京オペラシティ近江楽堂における 「和洋遅遁』。西山まりえの中世ノ\ーフ。およびゴチックハーブ との の演技力でも吉原すみれが聴衆の目を釘付けにした「アレグロ・ マ・ノン・トロッポ J 、そして響きが明確で彩度の高い音楽で不快 ρ 共演で「荒城の月 J 、「さくらさくら」、「赤し咽tJ などとサンチェ ス「スターパト・マーテノレ J 、モンテヴェルデ、イ「苦しみは甘く J などを取り上げる。 さを感じさせない J 、打楽器奏法だけでなくそ f3 つのピアノ・エチュード J (演奏:中川賢一)。 アンサンプル・ノマドはじめ素晴らしい演奏陣にも恵まれた理想 的な紹介の場となった。
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