第一次長期総合計画.

は
じ
め
に
「海景色の映えるまち
〜地域資源を活かした理想郷の実現〜」をめざして
大崎上島町長
藤 原 正 孝
恵まれた自然の中で、先人たちの英知とたゆまぬ努力によって築かれ、幾度の困難
にも打ち勝ち、今ここにある私たちの郷土『大崎上島町』。これまでも旧3町の時代
から共に歩んでまいりましたが、大崎上島町として、平成15年4月1日に平成の大合
併の先陣をきって広島県で最初に誕生し、新たな一歩を歩みはじめております。
今、わが国は少子化・高齢化や高度情報化の進行、さらには地方分権の動きなど社
会経済情勢の変化を背景に、時代の大きな転換期の中にあり、新たなシステムの構築、
新たな視点が求められているといえます。
町民福祉の向上と町の発展のためには、時代の潮流や住民意識の変化等を的確にと
らえていくことが不可欠です。そして、大崎上島は風光明媚な自然の中で歴史を刻ん
でまいりました。その魅力ある特性と、町民の島を愛する想いを礎に、新たな視点に
立った長期的なまちづくりの方向を明らかにし、皆様と共にしっかりと歩んでいくこ
とが重要と考えております。
そこで、まちづくりの方向や町政運営・地域経営運営の最高指針となり、まちづく
りの根幹ともいえる『大崎上島町第1次長期総合計画』を策定いたしました。今後は、
本計画に示す町の将来像「海景色が映えるまち〜地域資源を活かした理想郷の実現〜」
をめざし、町民全員がいきいきと暮らせる地域の実現に向けて、努力を重ねて参りま
すので、皆様のなお一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
最後になりますが、本計画の策定にあたり、精力的なご審議をいただきました大崎
上島町振興基本計画審議会委員各位をはじめ、ご協力いただきました多くの町民の皆
様に厚くお礼申し上げます。
平成17年3月
目
第Ⅰ部
第1章
次
総論
計画策定の趣旨と計画の概要 …………………………………………………………………3
【1】計画策定の趣旨 …………………………………………………………………………………3
【2】計画の概要 ………………………………………………………………………………………5
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題 ……………………………………………………………8
【1】大崎上島町の地域特性 …………………………………………………………………………8
【2】まちづくりの主要課題 ………………………………………………………………………17
第Ⅱ部
第1章
基本構想
これからの大崎上島町の展望 ………………………………………………………………21
【1】計画人口の設定 ………………………………………………………………………………21
【2】基本理念と町のめざす将来像 ………………………………………………………………24
【3】基本目標 ………………………………………………………………………………………26
【4】まちづくりゾーン ……………………………………………………………………………30
第2章
実現に向けての重点プロジェクト …………………………………………………………33
【1】元気で温かい健康福祉の島プロジェクト …………………………………………………33
【2】大崎上島流地域産業育成プロジェクト ……………………………………………………33
【3】島内外アクセス快適化プロジェクト ………………………………………………………34
【4】島での生活の安心感向上プロジェクト ……………………………………………………36
【5】島を愛して支え合う人の和
第3章
構築プロジェクト …………………………………………36
施策の大綱 ……………………………………………………………………………………37
【1】元気に住み続けたい気持ちを実現する
【2】地域を愛する人を育てる
まち ……………………………………………38
まち ……………………………………………………………38
【3】美しく住み良い環境で暮らす
まち ………………………………………………………38
【4】大崎上島流の元気産業を育てる
まち ……………………………………………………38
【5】明るく温かい人と地域が支える
まち ……………………………………………………39
【6】理解と協働で地域を想う
まち ……………………………………………………………39
第Ⅲ部
第1章
基本計画
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち ……………………………………………43
【1】健康づくり・地域医療 ………………………………………………………………………43
①
健康づくり・保健活動 ……………………………………………………………………43
②
地域医療 ……………………………………………………………………………………46
【2】高齢者対策 ……………………………………………………………………………………48
【3】次世代育成支援 ………………………………………………………………………………51
【4】障害者対策 ……………………………………………………………………………………54
【5】地域福祉 ………………………………………………………………………………………57
【6】低所得者対策 …………………………………………………………………………………59
第2章
地域を愛する人を育てる
まち ……………………………………………………………60
【1】生涯学習 ………………………………………………………………………………………60
【2】幼児・学校教育 ………………………………………………………………………………63
【3】文化活動 ………………………………………………………………………………………66
【4】スポーツ・レクリエーション ………………………………………………………………68
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち ………………………………………………………70
【1】水と緑の保全 …………………………………………………………………………………70
①
環境保全 ……………………………………………………………………………………70
②
河
川 ………………………………………………………………………………………73
【2】土地利用 ………………………………………………………………………………………74
【3】地域基盤 ………………………………………………………………………………………75
①
道
路 ………………………………………………………………………………………75
②
交通・輸送 …………………………………………………………………………………77
③
港
湾 ………………………………………………………………………………………79
【4】消防・防災・安全 ……………………………………………………………………………81
①
消防・防災 …………………………………………………………………………………81
②
防犯・安全 …………………………………………………………………………………83
【5】居住環境 ………………………………………………………………………………………85
【6】環境衛生 ………………………………………………………………………………………88
①
ごみ・リサイクル・火葬場 ………………………………………………………………88
②
上下水道 ……………………………………………………………………………………90
【7】情報・通信 ……………………………………………………………………………………92
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち ……………………………………………………94
【1】農林水産業 ……………………………………………………………………………………94
①
農林業 ………………………………………………………………………………………94
②
水産業 ………………………………………………………………………………………97
【2】商工業・観光 …………………………………………………………………………………99
①
工
業 ………………………………………………………………………………………99
②
商
業 ……………………………………………………………………………………101
③
観
光 ……………………………………………………………………………………103
【3】大崎上島流産業の育成 ……………………………………………………………………105
【4】雇用の創出・就業環境の整備 ……………………………………………………………107
第5章
明るく温かい人と地域が支える
まち …………………………………………………109
【1】人を尊ぶ地域づくり ………………………………………………………………………109
【2】コミュニティ活動 …………………………………………………………………………112
【3】人づくりと交流活動 ………………………………………………………………………114
第6章
理解と協働で地域を想う
まち …………………………………………………………116
【1】住民参加と情報公開 ………………………………………………………………………116
【2】広報・情報提供・広聴活動 ………………………………………………………………118
【3】行財政運営 …………………………………………………………………………………120
【4】広域行政 ……………………………………………………………………………………122
第Ⅳ部
資料編
【1】「大崎上島町第1次長期総合計画」について(答申) …………………………………127
【2】大崎上島町振興基本計画審議会条例 ……………………………………………………128
【3】大崎上島町振興基本計画審議会委員名簿 ………………………………………………130
Ⅰ部
第
総
論
白
第1章 計画策定の趣旨と計画の概要
(1) 計画策定の趣旨
瀬戸内海のほぼ中央に位置する大崎上島は、海上交通の要衝として発展し、古くから製塩
業や造船業が営まれるとともに、人と物と文化が集まり、島ならではの海の文化が生まれ育
ってきた地域です。また、美しい海と緑、暮らしやすい気候の中で、先人たちの努力により、
手入れの行き届いた山や畑が広がる美しい島がつくられ、柑橘栽培などが盛んになりました。
そして、それぞれの変遷を経て旧大崎町・旧東野町・旧木江町が誕生し、歴史を重ね、様々
な場面で連携・調整を図りながら、まちづくりを進めてきました。平成15年4月1日には、
広島県で平成の新設合併第1号の町として大崎上島町が誕生しました。
島全体が1つの町になり、第一歩を歩み始めて2年が経過しました。これからの
まちづ
くり を展望することは、先人たちが守り築いてきた環境・財産を受け継いでいくことです。
海に囲まれる島であることを確信し、これを基点とする総合的な展開に力を入れ、次の世代
に伝え、つなぐことが今の私たちの責務だと考えられます。
21世紀を迎えたわが国は、社会構造の変化、社会経済活動の成熟化、人口構造の変化、高
度情報化、住民意識の変化など大きな変革期の真っ只中にあり、表面化した様々な問題に直
面しています。本町においても、全国平均を上回る高齢化と過疎化の進行、加えて核家族化
や社会経済状況の低迷などがみられます。その一方で、町民の暮らしを支える まちづくり
は、それぞれ地域性を活かした取り組みを進めてきましたが、一つの町として、今後取り組
むべき様々な課題もあります。
町民の立場に立った行財政運営を展開するため、『大崎上島町第1次長期総合計画』を策
定し、町民が町を愛する気持ちを尊重し、町民の福祉の向上をめざして推進します。
3
《計画策定の背景》
地方分権時代の到来
住民参加・協働のまちづくり
少子化・高齢化の急速な進行
環境問題への意識の高まり
IT時代の到来・国際化の進展
価値観の多様化・高度化
社会経済活動の低成長時代
4
大
崎
上
島
町
の
誕
生
大
崎
上
島
町
第
1
次
長
期
総
合
計
画
の
策
定
第1章
計画策定の趣旨と計画の概要
(2) 計画の概要
1.計画の位置づけと役割
総合計画は「行政運営の総合的な指針」であり、さらに「大崎上島の地域の総意と意思」を示
した地域運営の指針という役割も求められます。同時に、総合計画は各種計画の最上位に位置づ
けられ、福祉・教育・産業・環境・基盤整備などの取り組みの方向は、総合計画に示す方針を基
本に推進します。
そして、総合計画は、地方自治法第2条に定められている『基本構想』と、構想を実現するた
めの『基本計画』で構成されます。基本構想は、これからの大崎上島町のめざすべき姿を示すと
ともに、実現に向けての基本的な施策分野の方向を明確に示したものです。基本計画は、基本構
想の実現のための基本的な施策を体系的に定め、町政運営を総合的かつ計画的に進めるためのも
のです。
町のめざす姿の実現に向けては、町民と行政が共に取り組む姿勢が不可欠です。そして、町民
の想いを大切にし、それぞれが役割を担いながらまちづくりに取り組み、町の進むべき方向を明
らかにします。さらに、本計画をまちづくりの共通指針として推進します。
《総合計画の構成・位置づけ》
大崎上島町の将来の姿及び
行政・地域の運営方針を示す
もの
基本構想
基本構想を実現するために
部門別で基本的な施策・事業
の方向を示すもの
基本計画
部
門
別
計
画
部
門
別
計
画
部
門
別
計
画
部
門
別
計
画
部
門
別
計
画
相互に連携・関連
《計画策定の基本姿勢》
ア)町民にわかりやすく、参画しやすい町民のための計画
イ)社会の動きに適応する計画
ウ)町内外に「大崎上島町の意思」を主張できる計画
エ)
「人」
と「地域」を重視した個性・魅力ある地域づくりを進める計画
5
2.国・県計画等諸計画との関係
『大崎上島町第1次長期総合計画』は、国及び県の諸計画の整合性に留意して策定・推進しま
す。これにより、目標がより合理的になるとともに、実現性の高いものとなります。
あわせて、大崎上島町の誕生に当たり策定した「大崎上島三町新町建設計画」など、諸計画と
の整合性に配慮して推進します。
《主な上位計画・関連計画》
第5次 全 国 総 合 開 発 計 画
( 平成13年度〜平成22年度)
国・県の関係計画⇒
第 四 次 広 島 県 長 期 総 合 計 画「 ひろしま・
新 たな 躍 進 へ の プログラム 」
( 平成8年年度〜平成17年度)
・ 広 島 中 央 地 域 発 展 プラン
・ 広島中央広域市町村圏計画 等
大 崎 上 島 町
第1次 長 期 総 合 計 画
※1
大崎上島三町新町建設計画
( 平成15年度〜平成24年度)
※2
大崎上島町離島振興計画
町の関連計画等⇒
※3
大 崎 上 島 町 過 疎 地 域自立 促 進 計 画
( 平成17年度〜平成21年度)
※1 新町建設計画:合併市町村の建設を総合的かつ効果的に推進する目的で、合併協議会で作成される合併市町村
の建設に関する基本的な計画。市町村の合併の特例に関する法律に定められている。この計画
は、合併後の地域づくりの基本方針、その実現のための主要施策、公共的施設の統合整備及び
財政計画を中心に構成される。
※2 離島振興計画:離島地域の振興のため「離島振興法」にもとづいて関係都道府県知事が作成し、内閣総理大臣
が離島振興対策審議会の意見を聴いて定める計画。離島振興法の改正・延長により、広島県離
島振興計画(平成15〜平成24年度)が策定され、本町は上大崎群島地域に指定されている。
※3 過疎地域自立促進計画:過疎地域自立促進特別措置法(平成12年4月1日施行)にもとづき、町議会の議決
を経て計画の策定が規定(第6条)されており、県と協議をして定めることとさ
れている。この計画は、他の法令の規定による地域振興に関する計画と調和が保
たれるとともに、町の建設に関する基本構想または広域的な経済社会生活圏の整
備の計画に適合するよう定めなければならない。
6
第1章
計画策定の趣旨と計画の概要
3.計画期間
本計画は平成16年度に策定し、計画期間は平成17年度から26年度までの10ヵ年とします。ただ
し、社会経済状況の変化や計画の進捗状況を踏まえ、適宜見直しを行います。
《計画期間》
平成16年度
大
崎
上
島
町
第
1
次
長
期
総
合
計
画
の
策
定
平成17年度
平成26年度
計
画
期
間
7
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
(1) 大崎上島町の地域特性
1.自然条件
ア)位置・気象
大崎上島町は、瀬戸内海の中心、芸予諸島に浮かぶ大崎上島と生野島、長島、契島などか
ら成り、北部から西部は竹原市、東広島市(安芸津町)に、東部は愛媛県今治市(大三島町)
に、そして南部は呉市(豊町)と愛媛県今治市(関前村)に相対しています。旧大崎町・旧
東野町・旧木江町の3町から生まれた本町の行政面積は、本島と属島を含め43.24km2を有し
ています。
瀬戸内海特有の降雨・降雪・降霜日数の少ない温暖な気候で、年間を通して比較的過ごし
やすいものの、干ばつの被害を受けやすく、台風の季節には地理的条件からも強風、高潮の
被害に幾度か見舞われています。
《位置図》
広島県
大崎上島町
東広島市
(安芸津町)
竹原市
15km
10km
5km
愛媛県今治市
(大三島町・上浦町)
大崎上島町
呉市
(豊町)
8
愛媛県今治市
(関前村)
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
イ)地勢・土地利用
かんのみね
大崎上島のほぼ中央部に位置する神峰山(標高452.6m)は、瀬戸内海国立公園に指定されてい
ます。山頂からの展望は瀬戸内海でも有数の風光明媚な景勝地として知られており、その稜線が
島内を東西に縦走しています。町域は瀬戸内海離島特有の急傾斜地が多く、平地部が少ない地形
条件を有しています。
町域面積を土地利用区分別でみると、山林が35.4%、畑が27.7%で全体の63.1%を占め、宅地は
5.4%にとどまっています。
《土地利用区分別面積》
(平成15年)
2.6
1.3
27.7
35.4
3.4
5.4
23.9
43.24㎢
0.3
0%
20%
田
40%
畑
山林
原野
60%
池沼
宅地
80%
雑種他
100%
その他
資 料:固 定 資 産 概 要 調 書
ウ)交通アクセス
広島県本土側とのアクセスは、竹原市(竹原港)、東広島市(安芸津港)、三原市(三原港)と
高速船・フェリーで結ばれています。竹原市(竹原港)には高速船で最短8分、フェリーは30分
おきに運行され、30分で結ばれており、また東広島市(安芸津港)とはフェリーで30分、三原市
(三原港)とは高速船により30分で結ばれています。そのほかに呉市(小長港・大長港)、愛媛県
今治市(宮浦港・宗方港)との便もあります。
また、島内の主要な道路網は、島全体を環状に走る主要地方道大崎上島循環線、東部を縦貫す
る一般県道大田木江線、大西港と循環線を結ぶ一般県道大西港線があり、それらに接続する町
道・農道が町民の重要な生活道路となっています。
9
《島外交通アクセス図》
広島空港
河内I.C
広島
山陽自動車道
R432
東広島
新幹線
三原
R2
安芸津
呉
竹原
三原港
R185
安芸津港 竹原港
白水港
忠海港
垂水港
大久野島
鮴
崎
港
大西港
一貫目港
大崎上島
明石港
小長港
大三島
天満港
宮
浦
港
沖浦港
大長港
大崎下島
宗方港
至今治
凡例
自動車道
鉄道
フェリー
高速船
10
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
2.人口・世帯
国勢調査における町の総人口(旧3町合計)は、昭和55年から平成2年までに19.5%減少し、
平成2年から平成12年までに16.9%減少しています。平成2年以降の減少率は緩やかになり、平
成12年の旧3町の人口は合計で10,131人です。
平成12年の人口構成は、0歳〜14歳の年少人口比率が9.3%と低い一方、65歳以上の高齢人口比
率は36.4%を占めており、広島県平均の18.5%、全国平均の17%を大きく上回り、少子化・高齢化
が進行しています。また、世帯数は4,385世帯(旧3町合計)で、1世帯当たり平均2.31人と、核
家族化も進行しています。
住民基本台帳人口で直近の人口動向をみると、平成13年度末に旧3町合計で1万人を下回り、
平成15年度末には9,635人となり、近年の5年間で8.3%減少しています。
《人口構成・世帯の推移》
(各年10月1日現在)
(単位:人・世帯)
昭和55年
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
15,146
(100.0%)
2,944
(19.4%)
9,589
(63.3%)
2,613
(17.3%)
0
(0.0%)
14,101
(100.0%)
2,399
(17.0%)
8,915
(63.2%)
2,787
(19.8%)
0
(0.0%)
12,190
(100.0%)
1,605
(13.2%)
7,442
(61.0%)
3,143
(25.8%)
0
(0.0%)
10,854
(100.0%)
1,146
(10.6%)
6,254
(57.6%)
3,454
(31.8%)
0
(0.0%)
10,131
(100.0%)
945
(9.3%)
5,465
(54.0%)
3,691
(36.4%)
30
(0.3%)
帯 数
5,033
4,904
4,658
4,452
4,385
1 世 帯
当 たり人 数
3.01
2.88
2.62
2.44
2.31
総
人
口
0 歳〜1 4歳
15歳〜64歳
65歳以上
年齢不詳
世
資料:国勢調査
11
《近年の人口と人口構成の推移》
(各年度末現在)
(単位:人)
11,000
10,509
10,248
9,977
9,816
9,635
平成13年度
平成14年度
平成15年度
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
0歳〜14歳
15歳〜64歳
65歳以上
平成11年度
平成12年度
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
990
(9.4%)
5,748
(54.7%)
3,771
(35.9%)
912
(8.9%)
5,518
(53.8%)
3,818
(37.3%)
877
(8.8%)
5,286
(53.0%)
3,814
(38.2%)
863
(8.8%)
5,135
(52.3%)
3,818
(38.9%)
842
(8.7%)
4,991
(51.8%)
3,802
(39.5%)
資料:住民基本台帳
また、人口推移と同様に世帯数も微減しており、平成15年度は4,537世帯となっています。1世
帯当たりの人数は、減少傾向が続いており、平成15年度は2.12人となっています。
《世帯数と1世帯当たり人数の推移》
(各年度末現在)
(単位:世帯・人)
2.50
5,000
2.21
2.17
2.15
2.14
2.12
2.00
4,500
4,748
4,715
4,644
1.50
4,584
4,537
平成14年度
平成15年度
4,000
1.00
平成11年度
平成12年度
平成13年度
世帯数
世
帯
数
1 世 帯
当たり人数
1世帯当たり人数
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
4,748
4,715
4,644
4,584
4,537
2.21
2.17
2.15
2.14
2.12
資料:住民基本台帳
12
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
3.産業構造・就業人口
ア)産業構造
本町の産業構造は、工業と農業を中心に多種の産業が融合した形態といえます。第1次産
業では、農業はみかんやデコポンなどの柑橘類が主要作物ですが、就業者の高齢化や兼業化、
急傾斜地の多い地形的条件、柑橘類の価格低迷や生産経費の増大などで、耕作放棄地が増加
状況にあり、漁業も就業者の高齢化が進んでいます。造船業や非鉄金属業が古くから基幹産
業として発展してきましたが、既存工業も近年の不況で低調となり、製造品出荷額は平成7
年以降減少しています。
また、島の豊かな自然を活かした海水浴やキャンプなどアウトドアレジャーが盛んで、東
野自然休養村、大串海水浴場・キャンプ場、野賀海水浴場などの施設があります。町内の宿
泊施設では、平成6年に開業した木江地区の民間温泉宿泊施設が中心的存在といえます。
町内の事業所数は、第3次産業就業者の多い卸売・小売業・飲食店とサービス業の事業所
が多くを占めています。
《産業別事業所数》
(平成13年)
(単位:カ所)
総
数
692
(100.0%)
農林漁業 (除個人経営)
5
(0.7%)
鉱 業
3
(0.4%)
建築業
85
(12.3%)
製造業
51
(7.4%)
8
(1.2%)
52
(7.5%)
266
(38.4%)
13
(1.9%)
6
(0.9%)
183
(26.4%)
20
(2.9%)
電気・ガス・熱供給・水道業
運輸・通信業
卸売・小売業・飲食店
金融・保険業
不動産業
サービス業
公務他
資料:事業所統計
13
イ)就業人口
就業人口は高齢化や人口構造の変化に伴い、総人口よりも大幅な減少傾向が続いていますが、
昭和55年から平成2年の減少率よりも平成2年から平成12年までの減少率は鈍化し、平成12年の
就業人口は4,680人となっています。産業別では、第1次産業比率が平成12年に19.4%となり、第
2次産業比率ともに低下する一方、第3次産業比率は上昇し、平成12年は56.0%と半数を超えて
います。就業人口が減少する中で、第3次産業就業人口はこの10年間で同程度を維持しています。
《産業別就業人口の推移》
(各年10月1日現在)
(単位:人)
総
数
第1次産業
第2次産業
第3次産業
分類不能
昭和55年
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
7,420
(100.0%)
2,029
(27.3%)
2,167
(29.2%)
3,217
(43.4%)
7
(0.1%)
6,629
(100.0%)
1,586
(23.9%)
2,045
(30.9%)
2,995
(45.2%)
3
(0.0%)
5,595
(100.0%)
1,265
(22.6%)
1,665
(29.8%)
2,664
(47.6%)
1
(0.0%)
5,301
(100.0%)
1,179
(22.2%)
1,485
(28.0%)
2,629
(49.6%)
8
(0.2%)
4,680
(100.0%)
906
(19.4%)
1,153
(24.6%)
2,621
(56.0%)
0
(0.0%)
*第1次産業:農業、林業、漁業の合計
第2次産業:鉱業、建設業、製造業の合計
第3次産業:電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業・飲食店、
金融・保険業、不動産業、サービス業、公務(他に分類されないもの)の合計
資料:国勢調査
4.各種アンケート等による町民の想いの把握
町の誕生に向けて実施した「新町建設にあたってのアンケート調査」をはじめ、これまでに行
ったアンケート調査結果などから、町民の町を愛する想いと期待を把握し、今後のまちづくりに
反映します。
現状の生活に対する不満度は、年齢による違いが見受けられます。10歳代〜20歳代は交通機関
や娯楽施設などを、30歳代〜60歳代は雇用の問題を多く回答しており、その比率が30歳代〜40歳
代では高くなっています。70歳以上は、島内の移動の問題に関する回答が増えています。一方で、
公共施設の整備状況とテレビ放送などに対する満足度が全般的に高くなっています。年齢に関わ
らず、町民同士のつながりや介護サービス、子育て支援サービスなど、地域づくりや福祉に対す
る満足度も比較的高いといえます。
14
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
≪現状に対する満足度と不満度の高い項目≫(平成16年2月調査)
不満度(上位5項目)
満足度(上位5項目)
1
2
3
4
5
公共施設の整備状況(12.7%)
テレビ放送の数(11.7%)
住民同士のつながり(11.0%)
介護サービス(10.7%)
保育所など子育て支援(8.6%)
1
2
3
4
5
働く機会の多様さ(57.3%)
公共交通機関の整備状況(52.8%)
海上交通機関の整備状況(51.0%)
医療サービス(48.4%)
娯楽・レジャーの多様さ(42.4%)
10
歳
代
〜
20
歳
代
1
2
3
4
5
公共施設の整備状況(23.5%)
テレビ放送の数(11.8%)
教育環境(9.8%)
住民同士のつながり(7.8%)
保育所など子育て支援(5.9%)
1
2
3
4
5
海上交通機関の整備状況(76.5%)
娯楽・レジャーの多様さ(72.5%)
防災面の対応(70.6%)
住民同士のつながり(68.6%)
医療サービス(56.9%)
30
歳
代
〜
40
歳
代
1
2
3
4
5
公共施設の整備状況(17.2%)
テレビ放送の数(11.6%)
介護サービス(10.2%)
住民同士のつながり(8.7%)
保育所など子育て支援(6.1%)
1
2
3
4
5
働く機会の多様さ(83.45%)
娯楽・レジャーの多様さ(77.6%)
海上交通機関の整備状況(75.6%)
医療サービス(73.3%)
公共交通機関の整備状況(64.2%)
50
歳
代
〜
60
歳
代
1
2
3
4
5
公共施設の整備状況(12.4%)
テレビ放送の数(11.3%)
住民同士のつながり(10.6%)
介護サービス(9.5%)
買い物の便利さ(5.7%)
1
2
3
4
5
働く機会の多様さ(68.3%)
海上交通機関の整備状況(57.5%)
医療サービス(56.5%)
公共交通機関の整備状況(56.3%)
娯楽・レジャーの多様さ(49.3%)
70
歳
以
上
1
2
3
4
住民同士のつながり(9.0%)
テレビ放送の数(7.6%)
介護サービス(7.4%)
医療サービス、買い物の便利さ、
生活基盤の整備状況(同5.5%)
1
2
3
4
5
公共交通機関の整備状況(43.3%)
働く機会の多様さ(34.6%)
海上交通機関の整備状況(33.5%)
買い物の便利さ(31.2%)
医療サービス(29.0%)
全
体
*調査対象:町に居住する町民、町内で働く学校関係者、町外にいる町出身者及び大崎
上島に興味のある人、町内で就学する児童(5年生以上)・生徒・学生
調査方法:区長会による配布・回収、ホームページへの書き込み
回収状況:配布数4,441通、回収数2,677通、回答率60.3%
資料:大崎上島町情報化推進事業計画策定のためのアンケート調査
平成13年と平成16年に実施した調査における今後の町の姿については、概ね同様の回答が上位
を占めています。それは高齢者をはじめとする町民が安心して暮らせることであり、その要素と
して医療や福祉の充実や公共交通など日常生活の利便性の向上を求めていることがうかがえます。
あわせて、既存の産業振興と新たな産業おこしにより、町全体の活性化への期待感がみられます。
15
≪将来の姿と施策展開≫(平成13年10月調査)
合併後の
将来像
(回答数=
4,759)
合併後の
施策展開
(回答数=
4,471)
1
2
3
4
5
6
1
2
3
4
5
安心して暮らせる医療と福祉のまち
(3,624人・76.2%)
公共交通サービスも整った生活基盤充実のまち
(1,285人・27.0%)
商工業・サービス業などが活発な産業のまち
(1,161人・24.4%)
農林漁業と調和した、
自然を生かしたまち
(995人・20.9%)
教育・文化が充実した生きがいのあるまち
(529人・11.1%)
人々との活発な交流が行われる観光のまち
(515人・10.8%)
病院、診療所等の医療施設の整備(2,405人・53.8%)
公共交通機関(フェリー、高速旅客船)の整備(2,313人・51.7%)
本土架橋の建設(2,036人・45.5%)
救急医療体制の整備(1,450人・32.4%)
高齢者、障害者への介護福祉施設等の整備(1,272人・28.5%)
資料:新町建設にあたってのアンケート調査
≪期待する将来像のまとめ≫(平成16年2月調査)
1
2
3
4
高齢者が安心できる日常生活が便利な島
既存産業と新規産業で発展する島
自然が豊かで人のつながりが強い島
若者に楽しく、多くの人が移り住み、観光客でにぎわう島
10歳代〜20歳代
1
2
3
4
5
高齢者が安心して暮らせ、
日常生活が便利な島
若者にとって楽しい島
既存産業が盛んで、
自然が豊かな島
新規産業が発展し、多くの人が移り住む島
住民同士のつながりが強い島
30歳代〜40歳代
1
2
3
4
5
高齢者が安心して暮らせ、
日常生活が便利な島
自然が豊かで、既存産業で発展する島
新規産業で発展し、若者にとって楽しい島
住民同士のつながりが強い島
都会から多くの人が移り住み、観光客でにぎわう島
50歳代〜60歳代
1
2
3
4
高齢者が安心して暮らせ、
日常生活が便利な島
既存産業と新規産業で発展する島
自然が豊かで住民同士のつながりが強い島
若者に楽しく、多くの人が移り住み、観光客でにぎわう島
70歳以上
1
2
3
4
高齢者が安心して暮らせ、
日常生活が便利な島
既存産業と新規産業で発展する島
自然が豊かで住民同士のつながりが強い島
若者に楽しく、多くの人が移り住み、観光客でにぎわう島
全
体
*希望する将来の姿を2項目ずつ選択して回答
資料:大崎上島町情報化推進事業計画策定のためのアンケート調査
16
第2章
大崎上島町の歩みと直面する課題
(2) まちづくりの主要課題
少子・高齢社会の到来、IT・高度情報化、技術革新の進展と社会経済の成熟化、国際化
の進展、環境問題の高まりなど、わが国全体の社会動向が変化を続けるなか、今後取り組む
べき課題を明確にして、総合的な推進を図ります。以下の主要課題は単体の課題ではなく、
それぞれ関連性・循環性のあるものとしてとらえています。
1.過疎化による人口減少と人口構成の少子化・高齢化への対応
本町では過疎化による人口減少が進み、人口構成の少子化と高齢化が大きな問題です。近
年の人口減少率は鈍化傾向で、高齢者は働き手、地域の力として大きな存在であり、子ども
たちも健やかに成長している様子がみられます。人口問題は本町にとって最も重要な問題で
あり、人口減少に歯止めをかける対策を講じるとともに、町民が生活に満足できる環境づく
りが最も基本的な課題といえます。
2.経済基盤の確保
人口の減少は、経済活動にも大きな影響を及ぼします。本町では、若年の労働力人口の島
外への流出により、就業人口の減少と高齢化が進んでいます。これは地域活力の低下、高齢
者の核家族化などに波及する問題であり、循環性を伴います。そして、若年層に魅力ある雇
用の場を確保することは、本町に合った地域産業の創出につながる取り組みといえます。さ
らに、経済基盤と産業の問題と合わせて、町民の生活全般にわたる生活環境や教育・福祉の
充実を図る必要があります。
3.地理的条件の克服
町内には眼科、小児科、耳鼻咽喉科、産婦人科等の診療科目がなく、人工透析体制も確保
しにくく、島外に通院することが多い状況です。これまでの町民アンケートでの意見等から
も、不安感を抱いていることがうかがえます。これについては、予防体制から緊急時の対応
に至るまで、計画的に対応していくことが重要な課題です。
また、島外との交通はフェリー等の海上交通に限られ、島内の移動も車が主要な手段であ
り、子どもや高齢者など車での移動ができない町民は、バスを利用しています。通院や買物、
社会活動への参加など、島内外のアクセスを容易にすることは、来島者の交通・移動や産業
活動とも関連することから、公共交通の維持・改善を図る必要があります。
17
4.土地有効活用
自然環境の保全をしながら公共福祉の向上を優先に、地域の社会的・経済的・文化的条件
を配慮して、豊かで住み良い生活環境の確保と地域の発展を図ることを基本に、総合的で計
画的な土地の有効利用をめざします。各地区の土地利用を再度整理して、全体的なまちづく
りのゾーンを設定し、各ゾーンにふさわしい機能を発揮できるように施策を転換します。
5.生活環境の向上
豊かな山林・緑の畑と青い海を愛する気持ちを大切にして、住み良い環境の中、愛着のあ
る島での暮らしを続けられるように、自然環境の保全と防災対策、生活環境の整備、有効な
土地利用を進めます。あわせて、情報化は町民の生活の質を高めるだけでなく、地理的条件
を克服する手段として進める必要があります。
6.島の良さを特徴にする元気と人づくり
多くの町民が島の豊かな自然を愛し、誇りを持って暮らしています。地域に元気をもたら
すためには、この想いをつなげることです。子ども達は地域で育ち、島を愛する気持ちが培
われるとともに、今後の魅力あるまちづくり、町民と行政による協働のまちづくりに欠くこ
とのできない大切な力です。
18
Ⅱ部
第
基本構想
白
第1章 これからの大崎上島町の展望
(1) 計画人口の設定
近年の5年間の住民基本台帳人口の年齢や性別等の推移を変化率として算出する ※コーホ
ート変化率法により、計画期間の人口を推計し、計画の基礎条件として用います。
1.推計人口
推計人口は、計画年度当初の平成17年度が9,380人、中間年度の平成21年度は8,534人、目
標年度の平成26年度には8,000人を下回り、7,443人と推計され、計画期間の10年間で20.7%の
減少が見込まれます。
《計画期間の推計人口》(年度当初の推計人口)
(単位:人)
10,000
8,000
6,000
9,380
8,534
4,000
7,443
2,000
0
平成17年度(計画当初)
平成21年度(中間年度)
平成26年度(目標年度)
※ コーホート変化率法:一定期間に出生した集団(コーホート)に着目し、過去及び推計期間に大規模な人口変
動がなく、その時間的変化を将来も一定であると仮定して算出する人口推計方法
21
2.人口構成の推計
10年後の人口構成は、年少人口比率はほとんど変わらないものの、生産年齢人口比率が低
下し、高齢人口比率が上昇することが推計されます。これは、人口構成が高年齢層に移行す
ることを表しています。
《平成16年度の実績人口と平成26年度の推計人口の比較》
(単位:人)
512
366
413
平成16年
240
201
267
75〜79歳
540
445
317
309
70〜74歳
489
401
412
391
65〜69歳
365
378
310
60〜64歳
469
192
405
168
367
204
50〜54歳
199
424
320
167
221
186
168
40〜44歳
175
215
136
35〜39歳
77
174
109
30〜34歳
172
62
195
128
25〜29歳
135
91
105
196
98
20〜24歳
167
197
150
214
15〜19歳
114
336
117
139
10〜14歳
185
85
60
200
74
0〜4歳
102
0
男性
H16年
4,461
H26年 (推計) 3,424
97
133
5〜9歳
153
400
55〜59歳
45〜49歳
126
女性
H16年
5,174
H26年 (推計)4,019
371
189
194
177
600
平成26年(推計)
149
80〜84歳
436
476
189
85歳以上
404
130
0
200
400
600
*平成16年度当初現在と平成26年度当初の推計人口の比較
《目標年度(平成26年度)の推計人口構成》
総人口
7,443人
100.0%
22
男女別
男 性
3,424人
46.0%
女 性
4,019人
54.0%
年齢別
0〜14歳
547人
7.3%
15〜64歳
3,363人
45.2%
65〜74歳
1,546人
20.8%
75歳以上
1,987人
26.7%
第1章
これからの大崎上島町の展望
3.計画人口
計画期間の基礎的条件となる計画人口を設定します。近年の人口減少は鈍化傾向ですが、
推計人口は減少傾向が見込まれます。長期的にみて、人口減少に歯止めをかけることが計画
の最重要課題の一つです。そこで、大崎上島町が誕生した段階と同程度の9,800人を目標人口
に設定します。
《計画期間の計画人口》
(単位:人)
10,000
9,800
9,800
9,800
8,000
6,000
9,380
8,534
7,443
4,000
2,000
0
平成17年度(計画当初)
平成21年度(中間年度)
目標人口
平成26年度(目標年度)
推計人口
23
(2) 基本理念と町のめざす将来像
1.将来像
大崎上島は、瀬戸内海の温暖な気候と風光明媚な環境、そして先人達のたゆまぬ努力によ
って歴史を築いてきました。島という限られた土地に生き、造船や柑橘栽培・水産業等産業
や文化に知識を広げ技術を磨いた活力が、現在に受け継がれています。この土壌にあって歴
史を学び、現在を知り、次の世代に伝えることが、町の将来を大きく広げることになると考
えます。
町民は、島の豊かさ、海の恩恵、人の温かさのなかで暮らしています。このなかで、慣れ
親しんでいる「海景色」に思いを寄せることが大切だと考えます。「海景色」には、 自然
健康
文化
交流
などのキーワードが含まれており、日々の暮らしに様々な光と力を
与えてくれます。町民それぞれの「海景色」をまちづくりに反映することが、大崎上島に暮
らしたいと思えることにつながるといえます。
こうした視点から、町のめざす将来像を『海景色が映えるまち〜地域資源を活かした理想
郷の実現〜』とし、町全体で取り組んでいきます。
《町のめざす将来像》
海 景 色 が 映 え る ま ち
〜 地域資源を活かした理想郷の実現 〜
海景色には、瀬戸内海の多島美、輝く海、温暖な気候などの自然
資源と、文化・産業などの島ならではの多種多様な社会資源、さ
らに、優しさ・癒し・元気といった島に住む人間によって生み出
されるすべての効果を含んでいます。
○地域資源―大崎上島町の全ての財産(海景色)
○理 想 郷―町民が住んで良かった、住み続けたいと想う故郷、
満足できる町、心の拠り所
24
第1章
これからの大崎上島町の展望
2.共通の視点
町のめざす将来像の実現に向けて取り組む上で、全ての場面で以下の共通視点にもとづき、
施策・事業を推進します。
共通視点(1) 合 併 を 経 て
真の1つの大崎上島町
になる視点
旧3町の合併を経て、これからのまちづくりの方向を明確にし、町全
体の視点と各地域の特性や状況を踏まえた視点の両面から取り組むこと
を基本とします。
共通視点(2)
今あるものを最大限活用する視点
これまでに生活基盤となる公共施設等の整備により、快適な生活環境
づくりを進めてきました。21世紀を迎え、生活環境への意識は更に高ま
り、住民意識にも変化がみられます。この時代に生き、そして次代に引
き継ぐ責務としても、今あるものを最大限有効的に機能させて、活用す
ることが重要です。これは、公共施設や道路などだけでなく、人と人の
つながりや地域づくりにも共通すると考えます。
共通視点(3)
大崎上島町を想い、みんなで取り組む視点・しくみ
まちづくりは、住民と行政のパートナーシップが不可欠です。これか
らのまちづくりは、行政の積極的な取り組みと住民・組織の力がまちづ
くりの両輪となって進めることが重要です。
25
(3) 基本目標
各分野のまちづくりの方向を6つに大別し、それぞれの目標を掲げて推進します。
基本目標(1):元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
近年は、生活水準の向上、医療技術の進歩などにより、平均寿命が伸び、わが国は世界的
にも長寿国となり、急速に高齢化が進行しています。そして、介護が必要な高齢者が増加し
ていますが、核家族化により家庭の介護力が低下し、高齢者の介護問題は老後最大の不安要
因となっています。高齢化が進むなか、本町の高齢化率は県及び全国平均よりも大幅に高く、
人口の40%程度が高齢者です。一方で、生涯現役の高齢者が多い状況ともいえます。しかし、
食生活等生活習慣の変化やストレス、運動不足をはじめ、本町の就業状況や生活環境などに
起因する新たな健康課題もみられ、健康に対する関心は全般的に高まっていると考えられま
す。
健康であるために、疾病や障害の予防を第一に、それぞれの年齢や状況に応じて自らの健
康を守り、支援が必要な場合には安心して地域での生活が続けられる支援体制を構築します。
このため、各年齢層に応じた健康づくりを積極的に推進し、介護保険や介護予防などの高齢
者対策、障害者の自立支援対策をはじめ、子どもの健やかな成長をめざす次世代育成支援を
推進するとともに、地域の温かいつながりで支援するしくみづくり、地域を基盤にした福祉
活動に取り組みます。あわせて、医療機関との連携、生活等に関する支援、社会保障制度な
どは、社会・経済動向を踏まえた適切な対応を図り、住み続けられる町の実現をめざします。
《施策の方向》
1. 健康づくり・地域医療
3.次世代育成支援
5.地域福祉
26
2.高齢者対策
4.障害者対策
6.低所得者対策
第1章
基本目標(2):地域を愛する人を育てる
これからの大崎上島町の展望
まち
科学技術の高度化と情報化の進展は、私たちの生活様式に大きな変化をもたらしています
が、取り巻く環境に様々な問題も表面化しており、物質的な豊かさだけでなく、生活の質や
心の豊かさが強く求められています。
このようなことからも、年齢に関わらず学ぶ気持ちを実践する生涯学習や地域の財産を後
世に伝える文化活動が、大きな広がりをみせています。本町では大崎上島文化センターを拠
点に、各地区の施設において様々な公演や学習活動が取り組まれており、島ならではの伝統
文化を継承する活動も盛んです。今後は、人の成長段階に応じた学ぶ場所を確保して、幅広
い世代が共に意欲的で自主的な活動ができるように支援します。
少子化が進むなかで、子ども達がのびのびと成長する姿がみられますが、学校運営に関し
ては児童・生徒の人数的な問題で学級運営やクラブ活動運営に難しい面がでています。学校
配置については、学校施設の老朽化と統合を視野に入れて、幼児教育の場の適正配置を含め、
教育環境の向上を図ります。また、学校施設は地域に身近な公共施設でもあり、開かれた学
校づくりと有効な活用方策を検討し、生涯学習、社会体育、文化活動の拠点機能を高め、地
域を愛する人を育て、自分の個性と可能性を伸ばし、地域にも元気を与える人づくりをめざ
します。
《施策の方向》
1.生涯学習の推進
3.文化活動
2. 幼児・学校教育
4.スポーツ・レクリエーション
基本目標(3):美しく住み良い環境で暮らす
まち
住み良い環境には、地域基盤と快適な生活環境の確保が求められます。海の青と木々の緑
が織りなす美しい景観は本町の魅力であり、町民の宝です。愛着のある島で気持ち良く暮ら
し続けるために、自然環境保全と快適な生活環境の調和に配慮した整備を推進し、住み良い
環境をめざします。土地利用は、限られた資源の中で効率的な推進を図るための方針を明確
にします。そして、適正な管理に努め、水と緑を保全しつつ、河川整備、災害に強い基盤づ
くりを含め、適正な土地利用を推進します。
島内の交通ネットワークとして、島内定期周期バスが走れる道路と中間道路の整備、島
外・本土との交流の結節点である港湾施設の整備、交通問題の中心ともいえるフェリー運行
の適正化に向けて取り組みます。
27
あわせて、住環境の点から、空き家対策、若者定住促進のための住宅問題、住み良い住宅
の確保などの対策を講じる必要があります。また、上水道の確保、ごみ・し尿の処理などの
環境衛生対策は、町民の意識面でもニーズが高まっており、地域性や必要度を勘案して計画
的に推進します。
情報化に伴い、光ファイバ、防災行政無線など情報・通信網の整備については、施設面に
とどまらず活用方法などソフト面の充実に努め、快適で安心な生活の確保をめざします。
《施策の方向》
1.水と緑の保全
3.地域基盤
5.居住環境
7.情報・通信
2.土地利用
4.消防・防災・安全
6. 環境衛生
基本目標(4):大崎上島流の元気産業を育てる
まち
特有の自然条件を背景に、本町の産業構造は多様で、相互に関連性を有しています。担い
手が工夫したブランド化、健康に良い作物や商品づくりの動き、体験農業・観光なども可能
性を広げています。多様な産業をつなぎ合わせて、様々な年齢層の就業者を創出できる場を
確保し、各種産業の基盤整備に取り組み、大崎上島流の地域産業の確立をめざします。これ
には、地域性を活かした産業展開に向けて、光ファイバ等の活用を視野に入れて推進します。
農林水産業の第1次産業の担い手の高齢化が進むなか、基幹産業としての農業の再生へ向
けて柑橘農家の新品種への取り組み、転作等への支援、経営基盤強化のための支援、さらに
後継者問題や新規就業者の支援などの対応策を確保します。商工業では、地域に密着した商
業活動、造船技術を活かす取り組み、交流を軸にした取り組みを推進します。また、観光ニ
ーズの高まりに呼応し、他産業との連携の核として、地域の活性化と交流促進の具体的な方
策を検討します。
《施策の方向》
1.農林水産業
3.大崎上島流産業の育成
28
2.商工業・観光
4.雇用の創出・就業環境の整備
第1章
基本目標(5):明るく温かい人と地域が支える
これからの大崎上島町の展望
まち
少子化・高齢化が進み、地域の重要性が再認識されるなか、地域の人や住民コミュニティ
は町の宝であり、大きな牽引力です。本町では現在も集落の行事、文化的な伝統行事は住民
が主体となって行われており、地域を人が支える土壌が根づいています。今後は、このよう
な活動がより意欲的に、そして地域に大きな恩恵を寄与するために、人と住民コミュニティ
を活かすしくみの確立をめざします。
また、地域間の連携、世代間の活動、他地域とのふれ合いの場の拡充を図るとともに、町
民の自主的な活動への支援を行います。あわせて、社会が複雑化するなか、一人の人間とし
て尊重されることが再認識される時代となっています。人権問題や男女共同参画の考え方を
教育や日常生活の中から育み、明るい地域社会の形成をめざします。
《施策の方向》
1.人を尊ぶ地域づくり
3.人づくりと交流活動
2.コミュニティ活動
基本目標(6):理解と協働で地域を想う
まち
社会経済情勢及び町民ニーズの変化により、行政ニーズは年々増大し、内容も多様化して
います。あわせて、地方分権の推進による市町村の役割分担の明確化と地域を重視した取り
組みが図られ、町への事務の権限委譲がさらに進む見込みであり、一層行財政運営の適正
化・効率化が迫られています。そのため、行政のスリム化・システム化を図るとともに、地
域に密着した対応ができるよう行政組織内の連携を強化し、対応力を高めます。
また、町民にわかりやすい行財政運営、行政に対する信頼度を高め、地域の課題解決に向
け町民と協働できる体制づくりに努めます。そのためには、町民との対話の場や広報等によ
る情報提供、プライバシーの保護、透明性を高める情報公開制度などを一層推進します。ま
た、町内の各種関連団体・住民コミュニティとの相互交流・理解を深めて、堅固な協力体制
を築きます。一方、地方分権の視点から、近隣市との連携・協力、広域的対応のシステム化
を推進します。
《施策の方向》
1.住民参加と情報公開
3.行財政運営
2. 広報・情報提供・広聴活動
4. 広域行政
29
(4) まちづくりゾーン
1.広域交流(竹原市・東広島市・安芸灘諸島)
主要なアクセスルートである本土(竹原市、東広島市、三原市)との航路、愛媛県今治市、
大崎下島等の安芸灘諸島との航路を結ぶ港湾周辺を「広域交流」の拠点とし、町民の生活圏
域の拡充への対応と来島者の移動・アクセスの確保を図ります。広域交流の拠点からは、広
島空港や山陽新幹線にもつながることから、より広域的なネットワークの形成に向け、海上
交通の利便性の向上などの取り組みが必要です。
また、長期的な整備の方向性として、本土架橋構想、安芸灘架橋8号橋構想の実現に向け
て取り組みます。
2.拠点及びゾーンの方向性
行政機能拠点
白水港及び役場本庁は、近隣市との広域交流との結節点であり、本土航路の主要な港とし
ての交通拠点であることから、来島者が最初に目にする島の顔ともいえる地区です。特に、
白水港周辺は救急患者を島外医療施設へ搬送するヘリポートを整備しており、島の救急医療
体制で重要な位置を占めています。
交通利便性が高い立地特性を活かし、本庁を核とした行政・公共公益機能の拠点形成を図
るとともに、島の玄関口にふさわしい環境の整備に取り組みます。
健康・福祉拠点
急速な高齢化が進展するなか、町民の日常的かつ総合的な健康づくりを支援するため、こ
の地区では既存の保健福祉センターと新設予定の健康増進複合施設を核とした健康・福祉機
能の一層の充実を図ります。また、島内の既存施設との連携強化により、町民が安心して暮
らせる体制づくりに取り組みます。
教育・交流拠点
ホールや情報プラザを備える大崎上島文化センターを中心とする地区を教育・交流拠点と
位置づけ、生涯学習や文化活動のより一層の推進を図ります。また、教育委員会の併設によ
り、文化センターと学校教育の連携を図りながら、学校教育、生涯学習、文化・スポーツ振
興等を総合的に推進し、地域が一体となって世代を超えた交流促進に取り組みます。
30
第1章
これからの大崎上島町の展望
観光・体験ゾーン
島で最も長い白砂海浜を有する大串海水浴場を中心とする一帯及び自然休養村が立地する
生野島の周辺を、瀬戸内海の魅力を活用するゾーンとして位置づけ、観光・体験ゾーンの形
成を図り、観光客の誘致に積極的に取り組みます。
また、生野島においては、自然休養村のより一層の有効活用と、大崎上島から本土への移
動時間の短縮等を図り、観光客の増大をめざします。
教育・情報ゾーン
大崎海星高等学校や広島商船高等専門学校が立地する当該地区を、町の学校教育・学習活
動をリードするゾーンと位置づけ、島の個性と魅力を活かした学校教育、社会教育、文化活
動等の推進を図ります。
特に、高等教育機関である広島商船高等専門学校との連携を図りながら、情報通信技術な
どを有効活用し、生活の利便性の向上と島内外の交流の促進に取り組みます。
商業・交流ゾーン
大型店、商店街など商業施設が集積し、町民の生活に密着した機能が形成されている当該
地区は、日常生活を支えるゾーンとして商業機能の更なる充実・向上を図る一方、大崎上島
文化センター、海と島の歴史資料館等、島の文化を発信できる施設をつなぎ、賑わいと活力
あるゾーンの形成を図ります。
緑の環境保全ゾーン
島の内陸部は、神峰山に代表される森林地域であり、また、みかん畑等地場産業を支える
農地が広がっています。これを「緑の環境保全ゾーン」と位置づけ、豊かな自然環境の保全
に配慮しつつ、柑橘栽培の促進とこれを活用した観光振興に取り組みます。
健康・保養ゾーン
健康・福祉拠点として当該地区を健康・保養ゾーンとし、町民の健康づくりと福祉活動の
場として充実を図ります。また、温泉施設や情緒あふれる町並みを活かして、来島者にとっ
ても癒される場となるように推進します。
31
観光ゾーン
神峰山を背後に、多くの観光客が訪れる温泉施設や海水浴場を有する当該地区は、来島者
にとって魅力的な癒しの空間といえます。また、ふれあい漁港を拠点とした整備を進めてお
り、保養と観光、そしてふれ合い体験の要素を兼ね備えたゾーンとして、ハード面の整備だ
けでなく、情報発信やPR、観光資源をつなげる工夫に努めます。
《まちづくりゾーンの設定》
観光・体験ゾーン
広域交流
(竹原市)
行政機能拠点
商業・交流ゾーン
広域交流
(東広島市)
教育・情報ゾーン
教育・交流拠点
健康・福祉拠点
観光・体験ゾーン
神峰山
健康・保養ゾーン
緑の環境保全ゾーン
観光ゾーン
広域交流
(安芸灘諸島)
32
第2章 実現に向けての重点プロジェクト
町の将来像に向けて、重点的に取り組む施策を示します。以下の5つのプロジェクトは相
互に関連性を有しており、牽引力を発揮するよう連動して取り組みます。
(1) 元気で温かい健康福祉の島プロジェクト
心豊かな暮らしを実現するために、疾病予防と健康づくりは不可欠です。特に町民が自主
的に健康づくりに取り組めるように、健康づくりの場の確保と本町の疾病構造や要因に合っ
た保健指導メニューを検討し、相談・憩い・交流の場、運動の場を確保して、町民の健康づ
くりを推進します。
《関連する施策》
● ライフステージに適した一次予防対策・対応策の推進
● 地域ぐるみ健康づくり活動の推進体制・機能の確保
● 健康増進計画の策定及び推進
● 健康増進複合施設の整備
(2) 大崎上島流地域産業育成プロジェクト
働く場の確保は、若者の定住促進だけでなく、高齢者が自らの役割を担って地域で活動で
き、障害者が自立した生活を送るためにも重要です。町の活気・地域力の向上という視点か
らも、重要かつ根底にある課題といえます。そのため、造船、柑橘栽培など既存産業の活性
化を支援するとともに、地域産業の育成をめざします。また、体験型の癒しを感じられる観
光資源を活かした活動や、観光と農業の融合化、商業活動の活発化などに関係各種団体と共
に積極的に取り組みます。
《関連する施策》
● 特産品の開拓、産地化の推進
● 観光漁業と水産加工品の開発
● 商工会の再編等活動の支援、観光協会の活動支援
● 観光活動の促進(情報提供)
● 滞在型・体験型の魅力あふれる観光施設の創出
● 第1次〜第6次産業の融合とつくり育てる産業の育成
33
(3) 島内外アクセス快適化プロジェクト
急峻な地形と平坦地の少ない地勢の中で、島内の移動は車が中心となっています。車は産
業活動にも欠くことのできないものとなっており、町内を縦貫する生活道路を確保し、各集
落と結んで利便性と安全性を高め、島内の道路交通網を確立する必要があります。また、道
路整備と合わせて、移動手段の拡充と緑化など道路周辺環境の整備を図り、安全で快適・便
利なアクセスの確保をめざします。
快適な道路網の整備・推進により、来島者の移動とアクセスも円滑になり、交流活動や商
業活動の活発化が期待できます。
また、島内の移動はもとより、島外へのアクセスを快適にすることは、生活面・産業面な
ど全ての面で重要な課題です。アンケートによると、町民からも海上交通に関する声が多く
みられ、本土との架橋問題を視野に入れ、島外へのアクセスと島内の移動が連動して快適に
なるよう、アクセスの一層の充実を図ります。
《関連する施策》
● 町道・農道・林道の整備による道路網の確立
● 交通手段の拡充(コミュニティバスの導入・運転ボランティアの確保)
● 利用者ニーズに合った海上交通の課題解決と架橋建設構想の推進
● 交流人口の増大
34
第2章
実現に向けての重点プロジェクト
《島内アクセスの整備イメージ図》
凡例
計画道路
既存道路
35
(4) 島での生活の安心感向上プロジェクト
島の自然条件は貴重な宝である一方、災害や医療など町民の生活面では不便をきたす面も
あり、安心できる生活の確保が求められています。このため、水道や環境衛生、防災、緊急
時の輸送などの対策に力を入れるとともに、地域が支え合うしくみづくりに取り組みます。
《関連する施策》
● 災害予防のための治山・治水事業の推進
● 防災行政無線設備等と情報手段の拡充
● 支え合い、見守り活動(ボランティア)の促進
● 上下水道の整備
● 救急体制の充実(ヘリポート基地の整備、患者輸送艇による搬送等)
(5) 島を愛して支え合う人の和 構築プロジェクト
まちづくりに町民の参加は不可欠であり、アンケート調査では、自分達の町の行方や取り
組みに関心があるものの、参加・協力する気持ちを実践につなげる手段が見出せないという
声もあります。町民同士がお互いに助け合い・支え合い、また庁内の各担当や組織が連携し
合い、町民と行政が理解し合って進めるように、豊富な人材の確保と実践・活動のできるし
くみの構築をめざします。
あわせて、町の良いところ、好きなところ、住み良さを再認識し、これらを町内外に伝え
ていくことが重要であり、本町から情報発信します。
《関連する施策》
● コミュニティ活動の促進
● 人づくりと活用のしくみづくり
● 町内の異年齢・世代間交流とまちづくりへの参画の促進
36
第3章 施策の大綱
今 後のまちづくり
大 崎 上 島 町の現状
まちづくりの主要課題
① 過 疎 化 による
人 口 減 少と人
口 構 成 の少 子
化・高 齢 化 へ
の対応
③地理的条件の
克服
② 経 済 基 盤 の確
保
④土地有効
活用
⑥ 島 の 良さを 特
徴 に する元 気
と人 づくり
⑤生活環境の
向上
人口の推 計
町民の想い
共通の視点
共通視点(1)
合 併を経 て 真 に1つ
の大 崎 上 島 町 になる
視点
基本目標【1】
元気に住み続けたい
気持ちを実現する まち
基本目標【2】
地 域 を 愛 す る 人 を
育てる まち
基本目標【3】
美しく住み良い環境で暮
らす まち
基本目標【4】
大 崎 上 島 流 元 気 産 業を
育てる まち
基本目標【5】
明るく温かい 人と地 域が
支える まち
基本目標【6】
理 解と協 働 で 地 域を
想う まち
重 点 プ ロ ジェ クト
【1】元気で温かい健康
福祉の島プロジェクト
【2】大崎上島流地域
産業育成プロジェクト
共通視点(2)
今あるものを最
大 限 活 用 する
視点
共通視点(3)
大 崎 上 島 町を
想 い 、み んなで
取り組む視点・
しくみ
【3】島内外アクセス
快適化プロジェクト
【4】島での生活の安心
感向上プロジェクト
【 5 】 島を愛して支え合う
人の和構築プロジェクト
海
景
色
が
映
え
る
ま
ち
|
地
域
資
源
を
活
か
し
た
理
想
郷
の
実
現
|
37
【1】 元気に住み続けたい気持ちを実現する
①
②
③
④
⑤
⑥
健康づくり・地域医療
高齢者対策
次世代育成支援
障害者対策
地域福祉
低所得者対策
【2】 地域を愛する人を育てる
①
②
③
④
まち
生涯学習
幼児・学校教育
文化活動
スポーツ・レクリエーション
【3】 美しく住み良い環境で暮らす
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
水と緑の保全
土地利用
地域基盤
消防・防災・安全
居住環境
環境衛生
情報・通信
【4】 大崎上島流の元気産業を育てる
①
②
③
④
38
まち
農林水産業
商工業・観光
大崎上島流産業の育成
雇用の創出・就業環境の整備
まち
まち
海
景
色
が
映
え
る
ま
ち
|
地
域
資
源
を
活
か
し
た
理
想
郷
の
実
現
|
第3章
【5】 明るく温かい人と地域が支える
施策の大綱
まち
① 人を尊ぶ地域づくり
② コミュニティ活動
③ 人づくりと交流活動
【6】 理解と協働で地域を想う
①
②
③
④
まち
住民参加と情報公開
広報・情報提供・広聴活動
行財政運営
広域行政
39
Ⅲ部
第
基本計画
白
第1章 元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
(1) 健康づくり・地域医療
① 健康づくり・保健活動
現
状・課
題
わが国の平均寿命、健康寿命は世界的に最高水準にあり、医療技術の進歩に伴い、世界有
数の長寿国となっています。一方で、生活様式が変化し、急速に高齢化が進む中で疾病構造
が変化し、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、歯周病等の生活習慣病が増加しています。生活
習慣病は自覚症状のないうちに進行して重篤な症状に至り、深刻な状態になる疾病であり、
発症時期の低年齢化傾向がみられることから、ライフステージで望ましい生活習慣の定着を
図る対策が急務となっています。
国では、健康寿命の延伸と生活の質の向上を図るため、疾病の早期発見・治療にとどまら
ず、疾病を予防する一次予防に重点が置かれ、平成12年から「21世紀における国民健康づく
り運動(健康日本21)」が健康増進法(平成15年施行)にもとづき推進されています。一次
予防を推進する上で、地域性を踏まえた推進が求められており、地域の諸条件を踏まえて、
町民の健康に対する意識を高めて実践につなげることが、最重要課題の一つといえます。
本町の地理的条件や高齢化の状況から、一次予防を主眼にした保健活動は重要な意義があ
り、保健事業を担う専門スタッフは、母子保健事業、老人保健事業、精神保健事業を推進し
ています。町民は生活に密着した視点から栄養・運動・歯・心の健康づくり活動に参加し、
健康に対する意識が高まっています。しかし、保健事業参加者の固定化がみられ、健康づく
りが必要な対象者、保健指導などの支援や関わりが必要な対象者に保健事業を広げることが
課題となっています。また、町内の保健活動拠点の役割と機能・活用方策を検討し、保健活
動の実施、相談への対応、自主グループの活動支援なども含めて、健康づくりの方向性を明
確にして、町民が実践する土壌をつくる必要があります。そのため、平成15年度から多くの
町民の参加を得ながら「健康増進計画」の策定を進めており、これにもとづいて保健事業を
展開します。
43
基
本
方
針
自分らしい心身の健康を保持・増進しながら生活できる町民の健康づくりを支援するた
め、ライフステージに適した一次予防対策を推進します。あわせて、保健事業の総合的でき
め細かな展開を図るために、健康づくり活動の場や地域活動などの推進方策を明確化し、実
践につなげ、元気・健康な島をめざします。
施策の方向・主な取り組み
ア)ライフステージに適した一次予防対策の推進
少子化の進行により母子保健事業対象者は減少傾向ですが、精神面でのサポートを重点に、
食育・歯の健康など成長と生活の視点から、親子の健康の保持・増進を図ります。老人保健
事業は、団塊の世代が高齢者となる10年後を見すえて、生活習慣病など疾病予防を重点に、
自らの健康を自ら守るように、成人期からの生活習慣の改善と、学校保健・思春期保健など
の取り組みと連動し、家族ぐるみの健康づくり活動を促進します。
また、ストレス対策を含め、心の健康を保持するための啓発・活動を推進するとともに、
精神障害者の社会復帰に向けた活動を促進します。
イ)地域ぐるみ健康づくり活動を推進するための体制・機能の確保
個別対応の必要性が高まり、町民の自主的な取り組みへの働きかけが重要性を増すなか、
相談や自主活動を含めた保健活動が円滑に展開できる機能的な体制・拠点を確保します。
町民の福祉や健康づくりにおいて、より一層の成果をめざすには、町民一人ひとりが自ら
の日常生活の中で生活に関わる問題や課題を把握・分析して解決・改善に向け、自主的にま
た協力し合って取り組める土壌が必要です。そのためには、担当窓口をはじめ、保健福祉セ
ンターや整備予定の健康増進複合施設など町内の各種保健福祉施設の機能を明確にし、町民
活動の活性化の支援とともに総合的・計画的な推進体制を確立します。
また、町の保健師・栄養士を中心に、在宅の栄養士・保健師、助産師、看護師、歯科衛生
士、関係機関及び食生活改善推進員など、保健活動を担う人材の確保と資質の向上を図り、
この連携により健康づくりを促進します。
44
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
ウ)健康増進計画の策定及び推進
本町の疾病構造、社会的・地理的条件に合った健康づくり活動を展開するため、子ども・
成人・高齢者・障害者などの分野ごとに計画を策定し、健康増進計画としてとりまとめ、着
実な推進と実践をめざします。
エ)健康増進複合施設の整備
疾病の予防と健康管理という点で運動習慣の定着を図り、自ら健康を守る意識を高め、地
域の支え合いの中で生活を続けられるように支援することが重要な課題です。このため、相
談や情報提供も含めた健康増進活動の拠点として、木江地区にプールでの歩行訓練、リハビ
リやトレーニングのできる健康増進複合施設を整備し、町民自らが健康づくり活動を実践で
きるように機能の充実を図ります。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
健康増進計画の策定と計画
にもとづく推進
健康増進複合施設の整備と
機能化
ライフステージに適した
保健活動の推進
施策の内容
町民との話合いを策定段階から進め、まず成人・
高齢者・障害者の対象別に健康増進計画を策定し、
母子保健計画と併せて、町全体の健康増進計画
を策定する。策定後は具体的な年次計画を立案
して実施する。
木江地区に健康増進複合施設を整備し、健康増
進活動の核として各種事業の実施とネットワー
ク化を図り、町民の健康づくり活動に活かす。
母子保健事業、老人保健事業、精神保健事業、
歯科保健事業、感染症予防など医療・福祉・教育・
産業の他分野とも連携し、地域保健活動の推進
を図る。
45
② 地域医療
現
状・課
題
近年、人口構造の少子化・高齢化、生活習慣病の増加、医療技術の進歩等保健医療を取り
巻く環境は大きく変化しており、疾病・傷害の状況と日常生活に与える影響の的確な把握が
重要となっています。日常生活に与える影響、生活の質という点からは、保健・福祉分野と
の連携とともに、地域の疾病構造や生活の特徴をとらえた対応が求められます。
本町には、医療施設が10施設(歯科診療所を含む)あり、病床数は43床で、医療施設、医
療従事者数は都市圏と比べると人口割合が低いといえます。眼科・耳鼻咽喉科・小児科等充
足されない診療科目があり、人工透析のできる施設もない状況です。地理的条件などからも、
冬季や悪天候時の島外への患者の運搬などの問題が生じており、高齢化が進む中で懸案事項
となっています。全国的に、初期(外来)と二次(入院が必要な重症患者対応)、三次(救
命救急センター)からなる救急医療体制の整備と、へき地医療支援として二次医療圏を越え
た広域的な支援対策が推進されており、本町においても引き続き充実を働きかけることが求
められます。このため、患者搬送時にはヘリコプターと患者輸送艇の活用を図っていますが、
かかりつけ医の定着と※プライマリ・ケアを推進しながら、島外への通院・入院、搬送など
町民の利便性と安全性の確保に向けて広域的な連携を一層強化し、適切な対応を継続して働
きかけることが必要です。
社会的な問題として医療費が増大し続け、医療制度を取り巻く環境の構造的変化に対応し、
医療制度の再構築が重要課題となっています。本町は高齢化が進み、医療費も高額であるこ
とから、適正な制度の運用に努めることが課題です。
《町内の医療施設の状況》
島
内
医
療
機
関
10施設(うち4施設は歯科診療所)病床数:43床
人口1,000人当たりの医療施設・診療所の病床数:4.8床(平成14年度末)
内科・歯科が中心(眼科・耳鼻咽喉科・小児科・産婦人科等が不足)
人工透析障害者交通費支援事業として通院費の補助制度を導入
救
急
医
療
第1次救急: 大崎上島消防署の救急車(2台のうち1台は高規格救急車)
が町内の医院へ搬送
第2次救急: 患者を患者輸送艇に乗せ換え、本土である竹原港又は安芸津
港に向かい、現地の救急車に乗り換える
※ プライマリ・ケア:最初に接する保健医療システム
46
第1章
基
本
元気に住み続けたい気持ちを実現する
方
まち
針
町内の医療施設をはじめ、広域的な医療機関との連携を強化するとともに、保健・福祉が
連携したプライマリ・ケアの実現をめざし、地域医療活動を支援します。また、町民の安心
感を高められるように、町内外の医療機関への通院の利便性の向上と救急医療体制の拡充を
図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)疾病予防対策と連携のとれたプライマリ・ケアの促進
一次予防と生活の質の確保と保健・福祉と連携のとれたプライマリ・ケアをめざし、町内
の医療機関及び郡医師会等と連携して、かかりつけ医の定着を図ります。
さらに、不足診療科目解消のため、既存施設の活用や医師の確保などに段階的に取り組み
ます。
イ)通院の利便性の向上と救急医療体制の充実
島内の移動手段の拡充と道路環境の向上を図るとともに、運転ボランティア活動の拡充、
必要に応じた通院費用の軽減など通院に係る負担の軽減に努め、安心できる一次医療体制を
確保します。
また、島外への搬送を円滑に行えるように、町内のヘリポート周辺の整備を進めるととも
に、町民には救急医療体制に関する周知を深めます。さらに、町内の救急体制の迅速な対応、
必要な設備の確保と合わせて、島外の医療機関との連携、情報ネットワークの確保により、
緊急時に円滑な対応ができるように努めます。
ウ)医療保険制度の適正運用
医療費の増大と医療保険制度の再構築に対応し、適切な制度運営に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
町内の医療機関と連携し、保健活動と連動して
かかりつけ医の定着と
かかりつけ医の定着を促進する。健康増進計画
保健福祉活動との連携
と整合を図って推進する。
通院に関する支援
高齢者・障害者の通院手段の確保(運転ボラン
ティア等)とフェリー代の助成、町内交通アク
セス環境の向上
救急医療体制の充実
患者輸送艇、高規格救急車の確保、町内の救急
体制と広域連携、救急救命士の養成
不足診療科目の解消に
耳鼻咽喉科等の医師派遣、人工透析器の導入に
向けた取り組み 向けての検討・協議
47
(2) 高齢者対策
現
状・課
題
わが国の高齢化の進行は急速で、超高齢社会に移行しようとしています。その中で、一人
ひとりが健康で長生きして良かったと誇りを持てる社会の確立が目標となっています。高齢
者の多様な実態を考慮し、これまでの画一的な高齢者対策にとらわれず、高齢者自身の自立
しようとする意欲とそれを支援する家庭・地域社会があってこそ、高齢者の安心な暮らしに
つながります。国では高齢者対策が重点的に取り組まれており、老人保健事業や福祉事業が
体系化され、近年は平成7年に施行された高齢社会対策基本法の理念にもとづき、介護保険
事業や介護予防・生活支援などの具体的な取り組みが推進されています。
本町の高齢化率は平成15年度で39.5%と高く、全世帯の58%が高齢者のいる世帯であり、
高齢者対策は町民にとって関心の高い行政課題となっています。合併前から旧3町で連携し
て、認知症(痴呆)高齢者のケアや地域の見守り・支え合い活動などを行い、社会福祉協議
会と連携して独自の高齢者施策を展開してきました。そして、介護保険制度開始以前から、
島内の2つの介護老人福祉施設、1つの介護老人保健施設を軸に、施設サービスと居宅サー
ビスが提供され、島内の高齢者介護福祉機能は概ね確保されています。また、生涯現役を実
践する活動的な高齢者は、仕事の場、地域活動で重要な担い手として活躍したり、支援が必
要な高齢者を支える存在にもなっています。今後も、団塊世代が高齢期を迎え、高齢化の進
行が見込まれるなか、元気高齢者の島をめざしたサービスと高齢者が互いに支え合う活動の
推進が必要です。
《高齢者と要介護認定者の状況》(各年度末現在)
高 齢 者
要介護認定者
*上段(
48
平成12年度
3,818人
(37.3%)
613人
(16.1%)
)は高齢化率、下段(
平成13年度
3,814人
(38.2%)
727人
(19.0%)
平成14年度
3,818人
(38.9%)
829人
(21.7%)
)は高齢者に占める認定者割合
平成15年度
3,802人
(39.5%)
898人
(23.6%)
第1章
基
本
元気に住み続けたい気持ちを実現する
方
まち
針
高齢者一人ひとりの自立を支援し、大崎上島町で暮らして良かったと思える町の実現に向
けて、健康寿命の延伸に資する健康づくりや社会参加活動を活発化します。
介護保険事業、介護予防・生活支援サービス、介護者の負担軽減など、自立した暮らしの
ための支援を充実します。
あわせて、見守り活動や移送サービスをはじめとして、高齢者同士が支え合い、地域が支
える取り組み、高齢者が暮らしやすい環境づくりなどを推進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)高齢者一人ひとりの自立支援の促進
日常生活での悩み、介護問題、権利擁護など多様化・複雑化する相談に対して、担当窓口
や社会福祉協議会できめ細かく対応できるように、相談窓口の連携と体制づくりを図ります。
高齢者の語らいの場、世代交流の場として、地域のサロン事業を今後も継続して推進しま
す。また、就業、地域活動、健康増進活動、生涯学習など社会活動への参加促進と機会の拡
充を図ります。
イ)温かみがあって住みやすい環境の向上
高齢者世帯やひとり暮らし高齢者が増加しており、バリアフリー、更には※ユニバーサル
デザインの視点に立ったまちづくりを進めるとともに、緊急事態や災害の場合の対応、地域
の見守り活動などに取り組み、安心で住みやすい環境をめざします。
社会福祉協議会を核としたボランティア等による地域の支え合い活動をより活発化すると
ともに、高齢者が高齢者を支え合うお互いさま活動の推進により、支えられる側は安心でき、
支える側は意欲的に取り組めるように、地域と高齢者同士が支え合うしくみを構築します。
あわせて、介護を担う家族等の介護者の負担を軽減するための取り組みと、ボランティア
等人材の確保に努めます。
ウ)介護保険の適正運用
平成15年度末現在の要介護認定者数は898人であり、高齢者全体の23.6%を占め、介護保険
サービス利用者と給付状況も増大し、制度の定着がみられます。保険制度を運用する保険者
としては、適正な利用の促進と介護保険財政の適正な運用を図るために、適正給付と介護保
険事業計画の定期的な見直しを行います。
※ ユニバーサルデザイン:バリアフリーよりも広い概念で、すべての人のためになるデザインが必要であるとい
う考え
49
エ)介護保険サービスの充実
町内3ヵ所の介護保険入所施設、グループホームを含め各種介護保険サービスを確保して
います。必要となった場合に安心してサービスを利用でき、要介護状態となっても生活の質
を確保できるように、サービスの向上、担い手育成の支援に努めます。
オ)介護予防と生活支援の充実
高齢者向けの保健福祉サービスについては、高齢者の暮らしを総合的にとらえ、単体のサ
ービス利用ではなく、高齢者のライフスタイルに応じた生活支援を中心とし、必要なサービ
スを組み合わせ、連続性を考慮したサービスをめざします。また、要介護状態の予防を主眼
に、健康づくりや認知症(痴呆)予防、寝たきり予防、転倒予防に取り組みます。そして、
支援が必要な高齢者の自立した生活を支える施策として、外出支援、生活支援、住宅改修支
援、緊急通報装置の貸与、配食サービスなどを継続して実施します。
《主な取り組み・施策》
50
主な取り組み・施策
施策の内容
介護保険サービスの充実と
適正化事業
介護保険事業計画の見直しと介護保険費用の適
正化、介護保険サービスの質の確保・充実
健康づくりと介護予防・
生活支援サービス
高齢者保健福祉計画の見直し、健康増進複合施
設の整備と活用方策の検討、介護予防事業・生
活支援サービスの提供
介護をめぐる環境の整備
家族介護支援、介護教室、担い手の確保・養成
地域支え合い活動の活発化と
支えるしくみづくり
ボランティア活動、地域ぐるみ支え合い活動、
高齢者同士のお互いさま活動の推進
相談体制の連携
在宅介護支援センター・社会福祉協議会・担当
窓口などの相談窓口の連携
高齢者の活動の場・機会の確保
生涯学習活動、世代間交流、生きがい対策、雇用、
ボランティア活動
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
(3) 次世代育成支援
現
状・課
題
少子化・高齢化が同時に急速に進行しており、第2次ベビーブーム以降出生数の減少と
※
合計特殊出生率の低下が続いています。平成15年の合計特殊出生率は全国平均1.29人と、少
子化の進行が著しい状況です。少子化によって、将来的な労働力人口の減少、経済成長、生
活水準等の社会経済的な影響と家族や地域への影響が懸念されますが、何よりも子ども自身
の健やかな成長自体への影響が指摘されています。国ではこれまでの少子化対策を拡充し、
少子化の流れを変えるためのもう一段の対策として、次世代育成支援対策推進法を制定し、
国・地方公共団体・企業が三位一体となって、平成17年度からの10年間で集中的に次世代育
成支援に取り組むこととしました。
本町では高齢化とともに少子化が進み、少子化問題は世帯構成や雇用、まちづくりの分野
にも関わる重要課題に位置づけています。このため、これまでも子ども一人ひとりにきめ細
かな対応ができるように、母子保健や子育て支援サービス、児童健全育成事業などを推進し
てきました。保育所や幼稚園に入所・入園前の子ども達の日常の場として、地域子育て支援
センター事業を各地区に巡回して実施し、親子同士がふれ合える場を提供しています。保育
サービスは、乳幼児からの保育、一時保育、障害児の受け入れなど柔軟な対応に努めていま
す。また、就学前の子どもを育てる世帯には、子育て費用の負担軽減を図る目的で、町の独
自事業として子育て支援手当を支給しています。
しかし、全国的な動向と同様に子どもと子育て家庭を取り巻く環境も変化しており、様々
な問題を抱える家庭、多面的なフォローが必要なケースの増加が見込まれます。子どもをみ
つめ、子育ての第一義的な立場である家庭での健やかな育ちを第一に、子どもの視点に立っ
た施策の展開が緊急の課題です。
《児童数の推移》(各年度末現在)
平成11年度
0〜5歳
6〜11歳
12〜17歳
合
*
(
計
355人
401人
626人
1,382人
(13.2%)
平成12年度
329人
382人
579人
1,290人
(12.6%)
平成13年度
313人
364人
544人
1,221人
(12.2%)
平成14年度
318人
353人
518人
1,189人
(12.1%)
平成15年度
288人
360人
497人
1,145人
(11.9%)
)は総人口に占める割合
※ 合計特殊出生率:女性1人が生涯に生む子どもの平均人数
51
基
本
方
針
この島で子育てをして良かったと親が感じ、子ども達が愛着を感じる町をめざします。
保健事業と連携し、親子の心身の健康の確保・増進を図り、子ども同士がふれ合い、親の
不安を取り除く支援をはじめ、多様化するニーズに対応した保育サービス、小学生の放課
後健全育成事業、子育て家庭の負担軽減策などを実状に適した手法で充実を図ります。
また、ひとり親家庭の増加、児童虐待などが全国的に増える様相を背景に、支援が必要
な家庭への支援策が一人ひとりの状況に適した対応となるように、町及び関係機関でのネ
ットワークを拡充します。あわせて、日常生活に密着した子育て支援と、子どもの健やか
な育ちに地域が関われるように取り組みます。
施策の方向・主な取り組み
ア)多様で柔軟な保育サービスの充実
町内の民間保育所で生後2か月以上の乳児から受け入れており、乳幼児の利用が増え、
平成16年度は定員を上回っています。時間外保育や一時保育、障害児保育など多様で柔軟
な保育サービスの提供だけでなく、地域子育て支援センター事業や世代間交流など、地域
の子育て支援の拠点とつながりを持ち、それに対応する施設面の充実を図ります。
また、3歳もしくは5歳で保育先の変わる子どももみられることから、長期的な展望に
立ち、保育所と幼稚園の新たな関わりについて検討します。
イ)子どもの居場所と地域での子育て支援の推進
放課後に家庭での保育に欠ける小学校低学年等の児童を預かる児童クラブは、町内に4
ヵ所あり、学校内や地域の施設で実施しています。共働き世帯が増加するなか、親が安心
して預けられ、子ども達が仲間と共に過ごせる家庭的な場所として、柔軟な対応と適正な
利用に努めます。
また、小中学生は、学校施設のほか図書施設などを多く利用しています。今後も子ども
達の居場所・集まる場所を身近な地域で確保し、地域が関われるように取り組みます。ま
た、就園前の子どもと親の集まる場である「きらきらランド」では、今後も各地域を巡回
して仲間づくりや相談などを行い、子育ちと子育てを支援します。
子育ての負担を軽減する取り組みの一つとして、国の制度による児童手当、児童扶養手
当、医療費の助成事業を、相談と情報提供の側面的支援と併行して行うとともに、独自の
子育て支援手当、障害児の通院等のフェリー代補助など、ニーズと現状を配慮して適正に
実施します。
52
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
ウ)支援が必要な親子へのきめ細かな対応
地域の相談は主任児童委員・児童委員を中心に、担当窓口などと連携して対応していま
すが、ひとり親家庭や支援が必要な親子に対する体制づくりが急務といえます。多くの問
題を抱える親子にきめ細かく対応できるように、相談室と母子自立支援員を配置し、相談
体制の充実を図ります。
また、児童虐待防止対策として、子育て支援ネットワーク協議会を中心に関係機関が連
携して予防と対応力の強化を図ります。
エ)次世代育成支援対策の推進
平成16年度に策定した次世代育成支援対策地域行動計画にもとづき、地域ぐるみの子育
て・親育てを支援するため、保育サービスをはじめとする総合的な子育ての支援体制の充
実を図ります。そして、地域の一員としての役割に子どもが気づき、親が子どもに愛情を
持って接することができるように、地域が子どもと子育て家庭に関わりの持てるしくみを
つくり、次世代に様々なことを伝え、地域での親子の育ちを促進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
保育サービスの充実
施策の内容
保育所施設改築事業(補助金)、保育所・幼稚
園との関わりの検討、一時保育・児童クラブの
推進
「次世代育成支援対策地域
行動計画」による推進
地域での子育て・親育ての推進(親子が集まる
場の確保、ボランティア活動、地域での体験活動・
文化活動、情報提供、児童健全育成活動等)
相談体制の充実と
きめ細かな対応
子育て支援ネットワーク協議会の拡充(ケース
スタディ、連絡・調整機能の充実)、母子自立
支援員の配置、相談活動
53
(4) 障害者対策
現
状・課
題
すべての人が安心して心豊かな社会生活を送るためには、社会全体のバリアフリー化の
推進が必須課題です。障害者施策として、これまでに障害者基本法の施行、障害者プラン
など、条件整備や様々な分野での取り組みが進められてきました。平成15年度からは障害
者基本計画にもとづき、 ※1ノーマライゼーションと ※2リハビリテーションの理念を継承し
ながら、国民だれもが人格と個性を尊重して相互に支え合う共生社会の実現に向けて総合
的に推進されています。
平成16年度の本町の身体障害者手帳交付数は580件、療育手帳交付件数は60件で、交付
件数は増加傾向で、身体障害者手帳所持者は高齢化し、高齢者の申請も多くみられます。
身体障害の種別では肢体不自由が多く、療育手帳では身体障害者手帳所持者よりは年齢層
が低く、程度は「A」が多くなっています。また、平成9年に新設された精神障害者保健
福祉手帳は、平成14年度からその事務が町に委譲されました。本町の精神障害者保健福祉
手帳交付件数は平成16年度53件、通院医療費公費負担制度利用者は延89人で、年々増加し
ています。
平成15年度からは、障害者福祉サービスの利用方式が支援費制度として導入され、居宅
介護では通所事業や訪問介護、また入所施設(平成16年度入所者26人)が利用されていま
す。毎年、障害に関する啓発活動や福祉まつりの開催、社会福祉協議会が中心となったボ
ランティア活動等により、町民全体の理解を深め、共に過ごす機会と支え合いの活動の推
進に努めています。また、障害者団体(身体障害者福祉協議会417人、障害児者わかばの
会54人の2団体)が活発に活動できるように支援しています。あわせて、支援費制度、精
神保健事業のほか、配食サービスや介護者リフレッシュ事業、地域で自立した生活を支援
するためのサービスを実施しています。また、地域の人やボランティアの協力・指導によ
り、障害者の日常生活の訓練や仲間と過ごし働く場として、ふれあい農園は地域に根ざし
た存在になっています。また、精神障害者の社会復帰を促進するための取り組みも、地域
の人達が関わりながら展開されています。
※1 ノーマライゼーション:高齢者や障害者を含むすべての人が、家庭・地域社会で共に生活できる社会が通常の社会
であるという考え方
※2 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン :医療、教育、社会福祉、職業などの専門領域が全人間的復権の目標の下に総合的な援助を
行う実践
54
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
町民の心身の健康の保持・増進をめざす上で、後天性の障害を持つ人の増加、社会の複
雑化の影響などからも、障害は各年代に存在する共通課題です。自分らしい自立を自らが
考え、必要な支援が地域で展開できるように、予防対策から保育・教育の問題、働く場・
住まい、医療、移動の問題も含めた生活全体と成長発達段階に応じた取り組みを充実し、
地域の関わり、協力を更に広げて、障害者の社会参加・参画を促進することが課題です。
《障害者手帳交付件数の動向》
(各年4月1日現在)
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
身
体
445件
482件
510件
570件
580件
療
育
34件
35件
35件
58件
60件
精神障害者
保健福祉
33件
41件
42件
53件
基
本
方
針
住み慣れた地域で、障害者が自分らしい自立した生活を営めるように、ノーマライゼー
ションを町全体に広め、保健・福祉・教育・まちづくり・支え合い活動など、生活を支え
る体系的な支援体制を充実します。また、日常の生活、雇用の場など社会参加を促進する
ため、活動の場の確保と授産施設の整備を推進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)ライフステージに対応した予防と対応策の充実
疾病の複雑化、障害者の高齢化などを踏まえ、成長段階に応じた心身の健康づくり、疾
病予防を主眼に置いた保健活動を推進します。そして、障害児の療育、保育所・幼稚園、
特別支援教育、児童クラブから、社会参加、雇用、親なき後の暮らしに至る自立を促進す
るため、その対応策を関係団体と連携しながら推進します。また、精神保健対策について
は、予防活動とともに社会復帰の促進に向けて、上島コスモスなど地域の関係団体と連携
して推進します。
イ)住み慣れた地域での暮らしの支援
住み慣れた家庭での生活、施設サービスが必要な人には施設で安心して生活できるよう
に、支援費制度を適正に実施します。そして、自立した生活を地域で支えるサービスとし
て、配食サービス、介護者のリフレッシュ事業、スマイル21などの福祉サービスの利用を
促進します。福祉サービスは、制度の動向等を踏まえた適切な対応と、障害者の社会参加
と自立に向けた総合的な支援について、障害者計画に方向を示して推進します。
55
ウ)福祉のまちづくりの推進
公共施設は障害者に限らず、高齢者や子どもなどすべての人が利用しやすいことが基本
であり、ユニバーサルデザインを取り入れた道路や施設のバリアフリー化に努めます。
障害者の日常生活や社会参加を促進する上で、移動の問題は重要な課題です。障害者の通
院支援として、フェリー利用料の助成等を行っていますが、今後も島内外の移動の充実を
図っていきます。
あわせて、町民全体が障害に対する理解を深められるように、心身の健康や障害を考え
る場・機会を拡充します。また、障害者の地域活動への参加や障害者団体の自主的な活動
を支援し、共に暮らせる地域をめざします。
エ)授産施設の整備
家族会・関係団体・社会福祉法人と連携し、知的障害者の通所事業、福祉的就労の場とし
て、知的障害者・身体障害者・精神障害者向けの授産施設を整備します。また、暮らしの
場として、障害者・高齢者向けの ※ユニバーサルリビングのグループホームを確保します。
地域に根ざした施設となるように、授産品の開発、運営方策の検討などを支援します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
障害者計画の見直し・策定
支援費制度、授産施設機能の明確化、町独自の
生活支援、支え合いサービス、社会参加促進の
充実
授産施設の整備
授産施設建設、グループホーム(ユニバーサル
リビング)の確保、授産活動の推進
疾病・障害の予防と心身の
健康づくり対策
疾病・障害の予防活動、心身の健康保持のため
の保健・運動の促進、精神保健対策
※ ユニバーサルリビング:すべての人に使いやすい、暮らしやすい居住空間、地域居住の新しい形
56
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
(5) 地域福祉
現
状・課
題
国では、社会的な支援を必要とする様々な人達の社会環境を向上するため、社会福祉制度
にもとづく取り組みがされています。少子化・高齢化に伴う社会環境の変化などに対応する
ため、新たな制度づくり、社会福祉法の改正も含めた社会福祉基礎構造改革が進められてい
ます。サービス利用者側と提供側の対等な関係の確立、多様化する個々の福祉ニーズの増大
に対する総合的な支援体制などがその一例であり、転換期にあるといっても過言ではありま
せん。そのような状況にあって、町民が地域に関心を持ち、互いに助け合い、地域の福祉サ
ービスの現状・水準を認識して、支え合う関係を築くことこそが、進むべき新たな地域の姿
といえます。
少子化・高齢化が進む本町において、地域福祉活動の役割は重要な位置づけであり、町民
の期待も多大です。そこで、各地区の民生児童委員と連携しながら、相談活動、ひとり暮ら
し高齢者の見守り活動を実施し、住民参画型の在宅福祉サービス、地域の「ふれあいサロン
事業」、空き家を活用した「よってみんさい屋事業」などの活動を展開してきました。今後
も、社会福祉協議会をはじめとした関係団体と連携を深め、体系的な地域福祉サービス、支
え合いのしくみづくりや町民の自主的な活動の支援など一層の充実を図り、支え合い、助け
合う温かい地域をめざして福祉活動を充実することが不可欠です。
基
本
方
針
地域福祉活動の重要性を考慮し、住民福祉の向上を図るため、地域福祉サービスのしくみ
を確立します。町民の参画による支え合い、高齢者同士の支え合い活動などを活発化し、お
互いに助け合う温かい地域をめざします。そのためには、介護の問題や支え合う大切さを啓
発し、活動を担う人づくりなど活動の支援を中心に進めます。
施策の方向・主な取り組み
ア)地域福祉活動・機能の明確化
町民への福祉教育、介護や支え合いの意識の醸成を図り、サービス利用の仕方や福祉人材
の育成・活用なども含めて、社会福祉協議会等と連携を図りながら地域福祉活動の一層の推
進を図ります。そして、個別の相談等に応じられる体制確保と活動・連携のネットワーク化
を図ります。
57
イ)社会福祉協議会の活動支援
社会福祉協議会は合併後木江保健福祉センター内に設置され、従来からの事業を整理しな
がら平成16年から大崎上島キューピットの支え合い活動も開始しています。今後は、外出支
援など住民参加型の支え合いサービスを地域福祉サービスとして体系化し、真に必要な福祉
ニーズの把握とネットワーク化、担い手の育成など、地域の協力を得ながら充実できるよう
に、社会福祉協議会の活動を支援します。
ウ)地域ケアシステムと権利擁護の推進
地域ケアシステムを確保しており、今後も定期的な連絡調整会議とケーススタディを継続
して実施し、地域ケアシステムの充実を図るとともに、痴呆性高齢者や多様化する問題への
対応力を高められるように取り組みます。
《主な取り組み・施策》
58
主な取り組み・施策
施策の内容
社会福祉協議会との連携
及び活動支援
福祉教育、福祉の心の啓発、相談・情報等のネ
ットワーク、福祉人材・ボランティアの育成・
確保、支え合いサービスの推進
地域ケアシステムの充実
権利擁護事業とサービス利用の支援、地域ケア
会議等地域ケアシステムの充実
第1章
元気に住み続けたい気持ちを実現する
まち
(6) 低所得者対策
現
状・課
題
近年、高齢化の進行や景気後退による社会経済情勢の悪化に伴い、生活保護受給者の増加
が看過できない問題となっています。生活保護制度は、生活困窮者が利用しえる資産、稼働
能力、他の制度などを活用してもなお最低限度の生活を維持できない場合に、その困窮の程
度に応じて保護を行うもので、その人の自立の助長を目的として制度化されました。しかし、
意識の変化や経済社会、人口構成など状況は変化しており、制度の役割と制度全般について
の議論が進められています。
本町においても、全国及び県の動向と同様に平成11年度以降保護世帯・保護人員が微増傾
向で、保護率は6.5‰(平成16年4月末現在)となっています。木江支所に福祉事務所を設置
したことにより、町民が本庁及び大崎支所に相談に来られた場合は、専門職員が出向いて迅
速に対応し、適切な説明・助言等に努めています。今後も、制度本来の目的を達成できるよ
うに、適正な運営を継続する必要があります。
基
本
方
針
生活保護法の実施に当たり、制度本来の目的を達成するため、国及び県の指導に沿って相
談への対応と適正な運営に努めます。
施策の方向・主な取り組み
ア)対応と相談の体制確保
生活保護の支援体制を確保するため、国の基準に則った職員の適正配置に努め、査察指導
員等の専門職の人材育成と地区担当員の確保、研修により質の向上を図ります。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
対応と相談の体制確保
施策の内容
個々の状況に即した適切な相談対応と、対応す
る職員の適正配置と研修会への参加
59
第2章 地域を愛する人を育てる
まち
(1) 生涯学習
現
状・課
題
人はあらゆる生活場面で学習しており、学校だけでなく、家庭や働く場なども学習の場と
いえます。そして、文化的な欲求を充足させるには、自分の知りたいこと・興味などを、自
分に合った手段や方法で年齢に関わらない学習活動が必要です。このようなことから、生涯
にわたって学習意欲を引き出し、その学習活動を支援するための条件整備が課題となってき
ました。学校教育だけでなく、企画・福祉・保健・環境・労働・産業など幅広い分野が連携
して総合的に推進していくことが必要です。
社会教育施設としては、多目的ホールと図書施設の機能を持つ複合文化施設である「大崎
上島文化センター」が平成14年に完成し、各種公演の開催、各種グループ活動など町の生涯
学習活動の拠点となっています。これを中心に各地区の学習活動の場としては、大崎公民館
(開発総合センター)、東野公民館(文化センター)、木江公民館の3つの公民館をはじめ、
大崎郷土資料館、木江ふれあい郷土資料館、海と島の歴史資料館があります。また、図書施
設は大崎上島文化センターの情報プラザ・エルと東野及び木江公民館に併設しています。各
公民館では、町民の学習意欲を発揮するための女性教室や子ども教室など、教室活動や公民
館事業を開催しており、子ども達の体験学習と育成活動が地域の協力を得ながら行われてい
ます。
今後は、学習ニーズの多様化が進むことが見込まれ、学習の場の活用を促進して、学習意
欲の高揚や仲間づくり、自主的な運営ができる支援が必要です。
60
第2章
地域を愛する人を育てる
まち
《公民館事業等の状況》
(平成15年度)
大崎上島文化センターイベント実行委員会主催事業
コンサート:5事業 参加者延1,656人
映画鑑賞会:2事業 参加者延1,014人
文化センター
その他:2事業(マジック、古典伝統)参加者延579人
大
崎
上
島
公民館教室:10教室、生徒数延108人
東 野 公 民 館 主催行事・教室等:英会話教室、女性教室・子ども教室、夏
休み子ども映画会、公民館だよりの発行
公民館教室:28教室、生徒数延254人
木 江 公 民 館 主催行事・教室等:英会話教室、シルバースクール、夏休み
子ども映画会、夕なぎコンサート、老人大学
大 崎 公 民 館
そ
公民館教室:21教室 生徒数延397人
教室等:英会話教室等
夏休み子ども映画会、放課後子どもスポーツ活動活性化事業、
他 体験活動ボランティア支援センター、青少年育成町民会議講
演会、子育て講演会、各種行事・教室等
の
《図書施設の利用状況》
(平成15年度)
情報プラザ・エル
蔵書:27,718冊 延利用者数:年間40,811人
貸出冊子:30,595冊
東
野
公
民
館
蔵書:12,000冊 延利用者数:年間1,500人
貸出冊子:4,000冊
木
江
公
民
館
蔵書:11,000冊 延利用者数:年間391人
貸出冊子:1,684冊
基
本
方
針
すべての町民が自分の学習意欲を学習活動につなげられるように、生涯学習に対する意識
を高めながら、施設の機能と活用、人づくり、新たな学習課題、多様な学習内容など生涯学
習を推進する体制を確立し、情報を提供して多くの町民の活動を支援します。
また、地域ぐるみで大崎上島町の子どもを育むという観点で、育成活動と家庭教育の充実
を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)生涯学習推進体制の整備
大崎上島文化センターを中心に各地区公民館が連携し、柔軟性のある学習活動ができるよ
うに努めます。また、社会教育施設をはじめ、学校施設や地区コミュニティ施設など既存施
設の有効活用を促進します。
61
イ)学習活動の活発化のための取り組み
学習グループや社会教育団体の活動を支援するとともに、教える人・教わる人の相互のつ
ながりを様々な学習活動に広げていきます。高等教育機関や関係機関と連携して、広い分野
で人材の発掘、人材情報の登録・提供ができ、コーディネートできる体制の確立をめざし、
町民のニーズに対応できる多様な学習内容への拡大を図ります。
ウ)子どもの育成と家庭教育の推進
出生率の低下や週休2日制の普及、女性の社会進出の増加などにより、あらゆる場面で男
女共同参画が重要になっていることを勘案し、家庭教育の推進と学習内容の充実を図ります。
あわせて、地域で子どもが健全に育つ環境づくりと、子どもが多様な体験や地域の人との
つながりの中で育つように、関係団体と連携して育成活動を推進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
62
施策の内容
大崎上島文化センターの活用
センター運営、多様な活用の促進
生涯学習推進体制の整備
人材の登録・情報提供など推進体制の確保、学
習活動の支援、学習内容の充実
児童育成活動の推進
育成活動・家庭教育活動の推進
第2章
地域を愛する人を育てる
まち
(2) 幼児・学校教育
現
状・課
題
子ども達が心身の調和のとれた発達を果たし、一人ひとりが個性と可能性を伸ばし、社会
で生きるための人間形成において、学校教育は重要な役割を果たすものです。しかし、国際
化・情報化に対応した教育ニーズの高まり、高学歴志向、いじめや不登校など様々な問題が
表面化し、子ども達の成長に大きな影響を及ぼしています。国では、学習指導要領の改訂、
学校完全週5日制や総合的な学習の時間などの導入などゆとりある教育に向けて、学校教育
改革が進められています。また、学力低下対策など一層の推進が求められています。
本町の児童・生徒数は減少しているものの、健やかに成長する姿がみられます。しかし、
小中学校の適正な配置の検討と対応が直面する課題です。これは学級運営面、子ども達の集
団活動などからも必要なことであり、子ども同士が多くの仲間と共に育つことが最大の目標
です。また、就学前の子どもの教育の場として、町立幼稚園が2園、私立幼稚園と私立保育
所が各1園あります。町立幼稚園は1年と3年教育の違いもあり、幼稚園・保育所の機能を
明確にした新たな関わり方が課題です。
さらに、これらの学校の存在が地域に開かれたものとなり、地域ぐるみで子どもを育む社
会をめざした取り組みも重要と考えます。
《園児・児童・生徒の就園・就学状況》
(各年5月1日現在)
平成15年
幼
稚
園
小
学
校
中
学
校
大崎幼稚園(年長のみ)
木江幼稚園(年長〜年少)
私立幼稚園(年長〜年少)
合
計
中野小学校
西野小学校
東野小学校
木江小学校
合
計
大崎中学校
東野中学校
木江中学校
合
計
32人
23人
45人
100人
142人
30人
100人
81人
353人
104人
44人
37人
185人
平成16年
29人
18人
32人
79人
144人
24人
103人
86人
357人
113人
40人
34人
187人
63
基
本
方
針
子ども達が基礎的な学力と生きる力・学ぶ力を伸ばし、次代の担い手として成長できるよ
うに、家庭と学校・地域が連携を図り、子どもの育つ教育環境の充実を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)就学前保育・教育の場の適正配置と連携
通園児童の推移と今後の見込みにより、適正定員の設定を行い、町立幼稚園の通園期間、
通園バス、預かり保育なども含めて、保育所・幼稚園の関わりについて検討します。また、
通園児童の保護者との活動、教育内容の充実を促進するとともに、保護者が相談できる場の
確保に努めます。
イ)生きる力をつける教育環境の向上
老朽化が進む学校施設が多くあり、平成16年度に中野小学校では耐震調査、大崎中学校で
は耐力度調査を実施しましたが、今後も必要な施設の点検・整備を促進します。
教育内容の充実を図るため、教育委員会に指導主事を配置して、授業改善の指導に努めて
おり、今後も町の文化等貴重な財産、福祉教育など多様な分野を教育題材に取り入れるよう
努めます。
学校保健では、疾病・異常の早期発見・指導、正しい食生活や生活習慣の定着など、思春
期保健対策も含めて子どもの成長に合った保健活動を関係機関で連携して促進します。
また、子どもにきめ細かく対応できる相談・指導の体制づくりと、教職員研修による人材
育成を図ります。
ウ)小中学校の適正配置の推進
現在3校の中学校は小規模のため、教員の確保や授業運営、集団活動等で支障をきたして
います。これまでも交流を図りながら運営してきましたが、平成21年度までに中学校の統合
を行い、共に学べるように学校施設の整備に取り組みます。
また、小学校は西野小学校と中野小学校の統合について検討し、段階的に取り組みます。
エ)開かれた学校運営と学校の地域化の促進
各学校で評議員を設置し、地域に開かれた学校づくりに取り組んでおり、スポーツ活動な
どでの学校施設の開放も行っています。今後も、保護者と地域に信頼される開かれた学校運
営に取り組みます。
64
第2章
地域を愛する人を育てる
まち
また、町内の学校間の交流、社会福祉施設への訪問、幼稚園と小学校の合同行事など年齢
を超えて共に過ごす場所・機会を拡充し、地域に根ざした学校づくりを推進します。さらに、
保護者への講演会、PTA活動の支援により、学校・家庭・地域の教育力の向上を図ります。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
町立幼稚園・小中学校の適正
配置
大崎幼稚園と木江幼稚園の位置づけの検討、私
立園との連携強化、大崎地区の2小学校の統合
の促進、3中学校の統合と学校施設の整備
教育環境の整備
小学校の改築、教員住宅の整備、特別支援教育
への対応、相談体制の確立
65
(3) 文化活動
現
状・課
題
物質的な生活の豊かさに加え、心理的・精神的な満足感が求められるようになっています。
文化や芸術に対する関心が高まり、観る・聴くにとどまらず、自主的に取り組む人が増え、
その人の生活様式や趣向の多様化によりその分野や範囲が拡大しています。
本町では、大崎上島文化センターや公民館などを活動拠点に、各種文化・芸術活動が行わ
れています。文化祭は3会場で開催し、その他に夕なぎコンサートや絵画展などを開催して
おり、多くの町民が鑑賞し、参加しています。また、文化協会・音楽協会などの団体の芸能
発表会の開催、文化祭や各種行事に協力できるように、活動場所の提供などをしています。
一方で、郷土の歴史、文化を正しく理解し、次の世代に伝えていくことは、新しい文化の
創造と地域を愛する気持ちを育む上で欠くことのできない貴重なものです。町内には祭りや
民話、民謡など無形の文化財があり、海藻の繁茂やスナメリクジラの生息などの貴重な海洋
資源、海洋の歴史など島ならではの貴重な財産を有しています。また、大崎郷土資料館、木
江ふれあい郷土資料館、海と島の歴史資料館では、関連する郷土資料の保存・保管に努めて
います。今後も、この貴重な財産を観光や学習に活用し、町民が地域の財産を再認識し、新
たな文化の創造につなげることが課題です。
《文化活動の組織・行事等の状況》
自 主 活 動 団 体
文化協会・音楽協会に所属する団体・グループの活動
関
大崎上島町文化祭:3会場で参加者延5,000人程度
芸能発表会:文化協会等の発表会
絵画展:参加者400人程度
夕なぎコンサート:参加者150人程度
係
行
事
文 化 ・ 伝 承 行 事
文化伝承団体の活動支援
基
本
方
針
町内の文化施設を活用して、町民主体の文化・芸術活動の場が広がるように活動を支援し
ます。あわせて、歴史と文化が息づく島づくりをめざし、個性的で魅力的な海洋資源、伝承
行事、歴史的建造物・史跡を町民が再認識し、保全と伝承、学習活動や観光などに有効活用
できるように取り組みます。
66
第2章
地域を愛する人を育てる
まち
施策の方向・主な取り組み
ア)文化・芸術活動の振興
町民主体の文化・芸術活動が活発になるように、場所や発表の場の拡充などに努めます。
あわせて、新たな分野への興味や広く町民の関心を高めるため、学習・研修及び優れた文化
にふれる機会の創出に努めます。
イ)歴史的・文化的風土づくりの推進
個性的で魅力的な文化財や伝統行事・風習などの保護のため、調査・収集・研究を進め、
町重要文化財の指定を行います。また、貴重な資源を保護・保全し、郷土に対する意識と文
化的な意識を高めるため、伝統文化を保存・伝承する団体の活動支援などを行います。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
文化・芸術活動の支援
各種団体の活動支援と機会の場の確保
文化財・伝統行事の保護・活用
ふれあい郷土資料館改修、資料館の運営・活用、
保存活動の支援
67
(4) スポーツ・レクリエーション
現
状・課
題
スポーツ・レクリエーションは、すべての人にとって、心身の健康と発達を促すだけでな
く、人との交流や社会参加を促す要素を含み、健康で文化的な生活をする上で大きな役割が
あります。近年は幅広い年齢層の人が健康・体力づくりを楽しみながら、スポーツ・レクリ
エーションに取り組めるように、一生涯スポーツを実践する人も多くなっています。
本町においては、スポーツ少年団に参加している子どもが多く、成人の各種スポーツ自主
団体は、社会体育施設などを利用しながら活発に活動しています。これらの町民に定着して
いる種目に加え、体育指導委員会が中心となり、子どもから高齢者まで幅広い層を対象にし
て、ミニテニス、カローリング、グラウンドゴルフ等ニュースポーツの普及活動に取り組ん
でいます。
スポーツ・レクリエーション活動が活発に行われていることにより、各社会体育施設の利
用は空きがない状況がみられ、より多くの町民の参加を促進するためには、施設の確保が課
題といえます。また、高齢化を背景に健康意識の高まりや、少子化を背景にした子どもの居
場所づくり、多世代交流としてのスポーツ・レクリエーション活動などが期待されることか
ら、指導者の養成を含めて、町民主体のスポーツ・レクリエーション活動が一層活発になる
ように取り組む必要があります。
《スポーツ団体及びスポーツ施設の状況》
68
ス ポ ー ツ 少 年 団
( チ ー ム 数 )
野球(3)、バレー(2)、サッカー(1)、陸上水泳(1)、陸
上(1)、剣道(1)、空手道(1)
自主団体(団体数)
ソフトバレー(20)、ビーチボールバレー(15)、バレー
(9)、野球(8)、ゴルフ(7)、テニス(5)、サッカー
(4)、バドミントン(3)、卓球(2)、剣道(1)、バス
ケットボール(1)、ソフトボール(1)、フットサル(1)、
陸上(1)
スポーツ関係行事
ニュースポーツ(ミニテニス・カローリング・グラウンド
ゴルフ等)教室、大崎上島ウォークラリー、大崎上島駅伝
大会、大崎上島町女性ソフトバレーボール大会、大崎駅伝
大会、木江ロードレース大会、東野健康駅伝大会、各地区
親善球技大会
スポーツ・レクリ
エーション施設の
設 置 と 利 用
おおさきオレンジプール(年間約3,000人)、木江プール(年
間約2,000人)、東野プール(年間約4,000人)、町民運動
公園、大崎武道館、東野スポーツ広場、夜間照明施設等の
各種施設(年間100〜250回程度利用)
第2章
基
本
方
地域を愛する人を育てる
まち
針
子どもから高齢者まで、いつでも、だれでも、どこでも気軽に運動できる環境づくりに取
り組みます。このため、関係機関と連携を図りながら、活動の場の拡充、指導者の育成を図
り、町民のスポーツ活動を支援します。
施策の方向・主な取り組み
ア)スポーツ・レクリエーション活動の場の拡充
現在は、各学校の体育館等が利用されていますが、連日空きのない状況となっており、既
存施設の有効活用を一層進めるとともに、運動施設・町民プールの改修などを含めて、活動
の場の確保・整備を推進します。
イ)スポーツ推進体制の充実
体育指導委員会、各スポーツ少年団、体育協会と連携して、指導者の育成と活動の活性化
を図るため、講習会や研修会への参加促進と自主的なグループ・団体などの活動支援に努め
ます。
ウ)生涯スポーツの振興
子どもから高齢者まですべての町民がスポーツを楽しめるように推進するために、保健・
医療・福祉・教育などの分野が連携し、地域を中心にした組織づくり、指導者の育成、施設
の管理などの体制づくりを行います。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
スポーツ・レクリエーション
活動の推進
運動公園の改修と利用促進
生涯スポーツの推進
生涯スポーツの普及、指導員の確保、保健・福
祉・教育分野の連携
69
第3章 美しく住み良い環境で暮らす
まち
(1) 水と緑の保全
① 環境保全
現
状・課
題
地球温暖化、オゾン層の破壊、森林の減少など地球規模で環境問題が深刻化し、21世紀は
「環境の世紀」ともいわれ、世界的に環境に対する関心が高まっています。環境基本法の施
行により、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、限られた資源を有効に活
用し、自然を守りながら経済活動を進める循環型社会の構築が目標となっています。住民・
企業・行政が共に環境問題の重要性を認識し、廃棄物の発生抑制や効率的なリサイクルに取
り組むことが必要です。あわせて、自然の恵みを実感し、環境保全を図ることが最も重要な
ことといえます。そして、時代の要請に対応するには、石油・石炭等の地域環境や人間環境
に負荷の大きいエネルギーだけではなく、太陽光・太陽熱・風力といった環境負荷の少ない
優れた環境特性を有する「新エネルギー」の導入と省エネルギー化に積極的に取り組む必要
があります。
本町では、天然記念物に指定されているスナメリクジラ廻遊海面が、島の北側海域(本土
竹原市沖)でみられ、その海域の保全が図られています。また、最高峰である神峰山(標高
452.6m)は瀬戸内海国立公園内に位置し、特別管理区域に指定されており、町民はもとより
観光客に昔から愛されている観光スポットです。神峰山公園は昭和45年度に憩いの森整備事
業を実施し、遊歩道、駐車場、展望台、トイレ等の整備をしました。その後、施設等の老朽
化や利用者のニーズに応え、優れた自然風景の保護と利用促進を図るため、県と協議しなが
ら平成12年度から計画的に国の補助事業で「国立国定公園等整備事業」を実施し、遊歩道改
良、展望デッキ、循環式トイレ等を整備しています。あわせて、治山事業で公園内の森林の
整備を重点的に行っています。
70
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
神峰山公園をはじめ、親水公園、大崎公園と宮山中公園の桜などは町民に愛される憩いの
場となっています。県道・町道の緑地帯には、地域団体やボランティア等により四季の草花
が植栽されています。また、公園や公共施設周辺地では、桜の苗木の植樹など緑化活動と景
観形成活動にも力を入れています。今後も神峰山の整備を進めるとともに、地域の緑化活動
と景観形成を促進し、町民と共に環境問題を考え、保全活動を進めることが重要です。
基
本
方
針
町内の豊かな自然環境の保全に努め、快適な環境づくりと災害予防対策を推進するととも
に、豊かな自然環境をまちづくりに活かします。また、町民の自然や環境に関する関心を高
め、町民の活発な活動を支援し、町全体に広げていきます。神峰山からの展望は町の自慢で
あることから、自然環境保全と施設の充実、アクセス道路の整備を図るとともに、イベント
等による活用を促進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)環境に優しいまちづくりの推進
新エネルギー・省エネルギー等のエネルギー問題に町民・行政あるいは関連機関が一体と
なって取り組むことで、意識の高揚や環境への対応につなげ、人と環境に優しい町の実現を
めざします。
イ)神峰山公園の整備・充実
優れた景勝地である神峰山公園へのアクセスを円滑にできるように、車離合場所の整備や
側溝改良など実効性のある整備を推進します。
ウ)緑化・景観形成の促進
生活環境林整備事業で下刈り・植林等施業した箇所の幼木の養生・間伐・整枝など、維持
管理を積極的に取り組みます。公園区域外の地域についても現在の自然環境が保全されるよ
う調和を図り、町民の自主的な緑化活動と連携して景観形成に努めます。
エ)自然保護思想の啓発
公園利用者等への自然保護思想の普及・啓発を図るとともに、町民の自主的な緑化活動、
公園管理などが円滑に取り組まれるように支援します。
オ)災害予防の推進
町の地理的状況を踏まえ、自然災害による被害を予防するため、急傾斜地崩壊対策、治
山・治水事業、高潮対策、危険箇所の巡回など災害予防対策を推進します。
71
《主な取り組み・施策》
72
主な取り組み・施策
施策の内容
新エネルギー・省エネルギー
化の推進
公共施設・家庭での新エネルギー・省エネルギ
ー導入に向け、官民一体で取り組む
神峰山の整備
車離合場所整備、アクセス道路の整備
公園・緑地の整備充実
親水公園・緑地広場等の整備、緑化活動の支援
と啓発
災害予防対策の推進
急傾斜地崩壊対策、治山・治水事業、危険箇所
の周知と巡回
第3章
②河
美しく住み良い環境で暮らす
まち
川
現
状・課
題
河川は、自然水や生活排水を流下させる治水・浄化機能と、農工業用水としての利水機能
を有しています。また、河川は人間にゆとりと潤いを与え、多様な生物の生息・生育の場で
ある水辺空間としての親水機能もあわせ持っています。その反面、大雨や台風による増水・
洪水・高潮の危険性が高まり、水害・土砂災害を引き起こすこともあります。
2級河川及び砂防河川は、上流付近を除きほぼ改修を完了していますが、普通河川は未改
修部分が多く残っています。河川全般でも、堆積土砂の撤去及び除草等、維持管理が行き届
いていない箇所がみられ、安全面からも水辺環境の維持・管理、河川災害の防止対策が必要
です。現在、町の2ヵ所で潮遊地を利用した親水公園を整備し、下水道等の整備で水質浄化
が進めば、町民に親しまれる場として更なる活用が期待されます。
基
本
方
針
河川及び海岸線などの水辺空間を保全し、災害を予防するための整備、管理を行うととも
に、水に親しめる場所として親水公園の活用を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)河川の整備促進
災害による人家への被害対策を計画的に進めていますが、河川氾濫、浸水被害の予防のた
め、逆流水対策と河川環境の維持管理に努めるとともに、治水事業を推進します。
イ)海岸線の整備
高潮・異常潮位などによる被害を防止するため、海岸線の整備を推進します。また、水際に
生息する水生生物の生命機能の維持など、多様な活用方針を検討し、関係機関に要望します。
ウ)親水化への取り組み
水に親しみ、水に癒される空間づくりに向け、下水道整備と合わせて親水公園を整備し、
町民の憩いの場としての活用を促進します。あわせて、水の大切さや環境保全に関する町民
の意識の高揚を図ります。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
砂防対策及び海岸線整備
河川の改修、砂防事業、治水事業、海岸線の整備、
高潮対策
親水化への取り組み
親水公園の活用
73
(2) 土地利用
現
状・課
題
限りある財産である土地を有効に利活用することが、まちづくりにおいても、また生活に
おいても基礎的で重要な問題であり、その取り組みは地理的条件等に即していることが必要
です。
島の中央部に位置する神峰山の尾根は海岸線まで迫る特有の地形で、木江・東野地区は平
坦地が乏しく、集落は海岸線に沿って形成されています。近年は埋め立てにより土地造成が
進められ、有効な活用に努めていますが、既存集落では空き家もみられます。
一方、本町の土地に関する資料はいずれも古く、土地の面積・地目等に関する統一的な資
料が不足しており、土地に対する施策の遂行上多くの問題点が生じています。土地所有者の
高齢化が進み、土地も荒廃しており、一筆調査が困難になっています。そのため、平成2年
度から大崎地区では地籍調査に着手し、調査対象面積43.14km 2 のうち14年間で8.41km 2
(19.5%)を完了しました。今後も継続して実施し、多目的に成果を活用する方法と今後の土
地利用の方向性を明確にする必要があります。
基
本
方
針
長期的な展望に立った計画的で有効な土地利用をめざし、その指針となる国土利用計画を
策定します。また、地籍調査を継続して実施し、土地の所有と地籍の把握を行い、有効な活
用を促進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)国土利用計画による有効な土地利用の推進
今後の土地利用の指針として国土利用計画を策定し、総合的な土地管理情報などを確保し、
適切で有効な土地利用を促進します。
イ)地籍調査の実施
土地の所有と利用関係など地籍の明確化を図り、土地行政全般の基礎資料にするため、今
後も地籍調査を継続して実施し、有効な土地利用に十分活用できるように推進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
74
施策の内容
有効な土地利用の推進
今後の土地利用に関する方向性の明確化
地籍調査
地区毎に段階的な調査の実施、実施方法・活用
方法の検討
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
(3) 地域基盤
①道
路
現
状・課
題
日常生活や地域経済・社会活動を営む上で、道路は欠くことのできない基盤であり、※モ
ータリゼーションと都市化が進むなか、道路交通の役割は特に重要です。
町内の主要幹線道路は、大崎上島全体を環状に走る主要地方道の大崎上島循環線及び島の
中心を南北に縦貫する大田・木江線、大西港と大崎上島循環線を結ぶ大西・大西港線があり
ます。これらの県道に町道や農道・林道が接続しており、重要な生活路線となっていますが、
幅員が狭く車両の離合に支障をきたす箇所もあります。
町道の整備の状況は総延長約152.038km、改良率59.4%、舗装率92.0%となっています。し
かし、平坦な土地が乏しい地域では、道路網の整備、住宅地や集落内道路における安全性の
確保が課題です。各集落間の移動を容易にするために連絡道の整備を進めていますが、継続
して通行が不便な地区の解消を図る計画的な推進が課題です。
高齢化が進むなか、道路の整備と合わせて、歩道及び視覚障害者誘導用ブロック等の確保、
道路の安全性の確保に計画的に取り組んでいます。今後は、交通安全施設整備を含め、地域
の実情に合った道路の確保・整備の継続的な実施が課題です。
《町道等整備状況》
(平成16年12月現在)
改良率
59.4%
町道総延長
152.038km
舗装率
92.0%
資料:道路統計
耕地1ha当たり農道延長(平成14年度末)
林野1ha当たり林道延長(平成14年度末)
基
本
方
40.2m
6.1m
針
県道・町道・農道・林道を継続的・一体的に整備することにより道路網を整備し、アクセ
スの利便性を高めます。市街地では車両と歩道の分離、山間地においては農作業の効率化を
図るとともに、防災・観光など多様な機能を持つ道路網の整備を推進します。
※ モータリゼーション:車が日常生活の中で広く一般的に利用されるようになること
75
施策の方向・主な取り組み
ア)広域道路の整備
県道は一部未改良箇所があるため、早期拡幅改良を引き続き要望し、地域の実情を勘案し
ながら2車線化を推進します。また、その地域の状況等を十分踏まえて計画的な推進を図り、
地域の活性化を促進します。
イ)町道・農道・林道の整備による道路網の確立
集落内道路は幅員が狭く、拡幅改良が困難な状況もあり、地域の実情に即した道路の整備
を推進します。山間地では農作業の効率化、環境保全を図るための道路整備を推進します。
そして、将来的には島内の中央を縦断する道路を新設し、町内を循環する道路、縦断・横断
する道路、それらにつながる生活道路を整備し、町内のアクセスが円滑にできる道路網整備
をめざします。
ウ)道路環境の向上
町内の道路網は、観光での利用、防災面の役割など多様な機能を持つものとして、町道の
維持・管理に努めるとともに、地域の実情に合った整備を推進します。また、電動車及び自
転車などに対応できる歩車道の分離、バリアフリー化、ガードレールの設置など望ましい施
工に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
76
施策の内容
町道等の改良
県道道路改良事業、町道の維持・管理、町道の
改良・整備、交通安全施設の設置
島内道路網の構築
町道・農道・林道の整備による道路網の整備、
地区間のアクセス道路の確保
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
② 交通・輸送
現
状・課
題
鉄道やバスなどの公共交通は、都市部では道路網の整備と合わせて拡充されてきましたが、
過疎化の進む地域や郊外では車社会が普遍化し、交通手段が限られる状況もみられます。公
共交通機関は人の輸送に加え、環境対策とすべての人の利便性に配慮した車両・交通体系の
確保が求められています。
本町は離島という地理的条件から、島外への移動は海上交通が唯一の手段となっています
が、フェリーの運賃や発着時間・便数などで利用上の課題があります。また、生野島へは大
崎上島との間を離島航路の国庫補助を受けて町営フェリーを運行していますが、利用者の減
少で収入の減少が見込まれ、日常生活に不可欠な航路の確保しつつ、今後の方策を検討しな
ければなりません。
陸上交通はバス路線が島内2区間運行し、主要地方道大崎上島循環線については、島内一
周循環バスサービスの実現をめざしているところです。しかし、バスの運行便数が少なく、
フェリーとの連絡も十分でないため、主に通勤者は自家用車を、通学者は徒歩や自転車を利
用しています。さらに、町内の市街地は大型バスが運行できない箇所も多く、生活基盤とし
ての道路整備に合わせて、すべての町民が利用しやすいバスの導入が望まれています。島内
アクセスの充実は、地域交流の活性化につながり、産業活動・社会参加活動にとっても極め
て重要です。このため、今後はコミュニティバスの試行運転などを行いながら、利用状況と
ニーズを把握し、島内の移動の快適化の方向性を明確にする必要があります。
また、本土との架橋問題については、広島県中部島地域架橋促進期成同盟会などの関係機
関と協議を重ねており、今後も長期的な展望を踏まえて取り組む必要があります。
基
本
方
針
道路の確保と合わせて、生活交通手段として連携のとれた島内と島外へのアクセスを円滑
に行えるように、コミュニティバスなどの交通手段と海上交通の充実を図ります。また、本
土架橋建設に向けて、関係機関と協議し連携して取り組みます。
77
施策の方向・主な取り組み
ア)交通弱者のための交通手段の確保
平成15年に設立した大崎上島交通問題協議会で、町における交通に関する課題の話し合い
を重ねています。今後も料金、ダイヤ改正、バスとの連絡などサービス向上に向けた協議を
継続して実施します。今後は、バス路線が通っていない地域を補う方向でコミュニティバス
の試行運行を行いながら、利用の状況とニーズを的確に把握し、コミュニティバスの運行と
サービス及び利便性の向上に取り組みます。
イ)利用者ニーズにあった海上交通手段の確保
陸上交通と連携を図り、通勤者・通学者・高齢者をはじめ町民の日常生活で不可欠な航路
維持と海上交通の充実に努めます。また、国庫補助航路である町営渡船は、収支改善に努め
ながら維持します。
ウ)架橋建設構想の推進
町民の夢である本土架橋の実現に向け、関係機関と連携を強化して取り組みます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
78
施策の内容
海上交通の利便性の向上
町営渡船の運航、関係機関との連携
本土架橋・安芸灘架橋8号橋
建設構想推進
架橋期成同盟会の要望活動を強化し、架橋の早
期実現をめざす
コミュニティバスの運行
バス車両の確保、試運転の開始と利用ニーズの
把握
第3章
③港
美しく住み良い環境で暮らす
まち
湾
現
状・課
題
平成12年に港湾法が改正され、流通・生産の場だけでなく、憩い・快適といった機能を付
加した港湾環境の創出が求められています。島外への交通については、本町と本土はフェリ
ーや高速船等の海上輸送機関により結ばれており、港は大崎地区の大西港、大串港、東野地
区の白水港、垂水港、鮴崎港、木江地区の明石港、沖浦港、天満港、一貫目港があります。
本土との幹線航路としては、白水港、垂水港、明石港から竹原市を結ぶ航路、大西港から東
広島市(安芸津町)を結ぶ航路、明石港から三原市を結ぶ航路が整備されています。各港で
桟橋や駐車場、待合所などの必要な設備整備を進めていますが、不十分な箇所が残っており、
町の玄関口として周辺も快適で憩いを感じられる環境の整備が求められています。また、高
潮や台風などにより浸水する危険箇所が多くあり、予防策として護岸整備を推進することが
課題です。
基
本
方
針
町の玄関口として、港湾施設とその周辺環境の補修・整備は、様々な機能・役割を勘案し
て計画的・重点的に推進します。あわせて、浸水災害を予防するため、環境に配慮した護岸
整備により海岸保全事業を継続して推進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)港湾施設の計画的な整備の推進
桟橋、駐車場、待合所など港湾施設とその周辺環境については、海上交通の拠点として、
また町の玄関口として計画的に整備を要望します。
イ)護岸整備の推進
浸水災害の予防対策として、海岸保全事業を継続し、景観と環境に配慮した海岸保全を推
進します。
ウ)町の玄関口にふさわしい港づくり
「港」は町民にとって日常生活の基盤であり、コミュニティの場でもあります。特に盛谷
埋立地については、町の玄関口である白水港との一体的な整備が必要です。町民が憩いの場
として活用できる公園等の整備を進め、来島者にも交流の場としてくつろげる、多様な機能
と役割を持った総合的な港づくりを進めます。
79
《東野地区盛谷埋立地のイメージ図》
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
港湾整備と海岸の保全
80
施策の内容
港湾改修、周辺施設の整備、海岸保全事業
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
(4) 消防・防災・安全
① 消防・防災
現
状・課
題
わが国は、地震、台風、豪雨、火山噴火など多種の自然災害が発生しやすい国土であり、
国土面積に対する被災額は世界的にも高水準です。地球温暖化に伴う災害、地震火山活動の
長期的動向が予想されるとともに、阪神・淡路大震災、北海道釧路沖地震、新潟県中越地震
など各地で被害を被っており、これを教訓に災害予防対策と応急対策が講じられるようにな
り、自助・共助・公助による取り組みの必要性が再認識されています。
本町は瀬戸内海離島特有の平地が乏しく、山地が海岸に迫り、急傾斜地が多く、災害の起
こりやすい地形であるため、これまでも相次ぐ集中豪雨や台風・強風・高潮により、多大な
被害を経験してきました。さらに近年は、松枯れや過疎化の急速な進行とともに労力不足で
耕作放棄地が増え、山林の涵養機能の低下が懸念されています。
消防・救急体制は、竹原広域行政組合大崎上島消防署が常備消防及び救急業務を担ってい
ます。消防組織法にもとづく消防団は9分団341人で構成され、災害時の出動や訓練活動を
行っていますが、過疎化、団員の高齢化が進行する状況において、消防団組織として成り立
たない分団がでる可能性もあり、将来を見すえた組織の再編が課題となっています。消防設
備は、特に密集集落で消防水利の適切な配置が困難な箇所もあり、防火水槽、消火栓等の確
保・整備に努める必要があります。また、生野島へは島内に搬送用の車両を1台備えており、
大崎上島からの患者輸送艇と合わせて緊急時の搬送体制を確保しています。平成11年から平
成15年で火災発生件数は31件で、年平均6.2件となっており、高齢者世帯が多い状況からも高
齢者や子どもが災害の被害者とならないように、地域で守る体制を強化する必要があります。
また、島内には第2次及び第3次の救急医療機関がなく、患者輸送艇により本土の医療機
関に搬送し、竹原地区の医療機関で困難な患者については、広島市の消防ヘリコプターまた
は広島県防災ヘリコプターにより、呉市または広島市の医療機関に搬送しています。島内に
整備したヘリポートから呉市内の医療機関までは10分程度で、患者輸送艇の場合は竹原地区
の医療機関へ20分〜30分で海上搬送できます。しかし、平成15年度の救急出動件数は381件
と増加傾向であり、救急指定医・病院が島外にあることから、町民が安心できる搬送体制の
強化が必要です。
81
基
本
方
針
町民の生命と財産を守り、災害や急病などに対する迅速な対応が島での安心な暮らしにつ
ながることから、関係機関と連携して消防力と救急体制を強化します。また、防火や防災に
関する正しい知識を町民が保持できるように、日常的に防災訓練や避難訓練を実施し、自ら
の暮らしを守り、自らの地域を守る意識の啓発と活動を進めます。
施策の方向・主な取り組み
ア)消防力の確保・消防水利の整備
町全体の消火栓の整備率は76.2%で、管の口径が基準以下の小さい箇所があり、消火栓の
整備と貯水槽の設置、老朽化した消防車両の更新など、必要に応じた整備に努めます。あわ
せて、消防活動がより円滑に行えるよう、消防庁舎の改築・整備を推進します。
また、自主防災組織2団体、事業所の自衛消防隊3事業所が地域で活動していますが、災
害時における被害の防止または軽減を図るため、隣保共同の精神にもとづき、地域の町民ま
たは施設の関係者等による自主防災組織の組織化を支援するとともに、その育成・指導に努
めます。さらに、将来の推計人口を踏まえて自主防災組織の再編成を検討し、地域での活動
を強化します。
イ)地域防災計画による予防・応急対策の確保
平成16年度に策定した地域防災計画にもとづき、各種の災害について必要な防災知識の普
及と防災意識の高揚を図ります。そして、災害の発生時、または発生の恐れがある場合には、
拡大防止及び防御について迅速かつ実効ある措置を講じます。防災組織の整備、要員の配備
動員を推進し、災害に関する情報を関係機関及び町民に確実に伝達します。そして、災害時
の被害実態の把握を的確に行い、災害情報の収集・伝達、必要な災害応急対策を実施します。
また、島内全域に分布する急傾斜地崩壊危険地区の対策事業を県に要望して推進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
82
施策の内容
消防水利施設の整備
消防水利施設、消防車両、広報車などの整備、
消防庁舎建設
地域防災計画による災害予防
対策の推進
避難計画、関連する災害予防事業の推進
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
② 防犯・安全
現
状・課
題
わが国では、モータリゼーションの進展と道路交通体系の整備や交通量の増大、高速化な
どにより、それに伴う交通事故の増加が社会問題となっています。また、社会の広域化や情
報化の進展のなかで、組織的で高度化・巧妙化した犯罪の多発、少年の凶悪犯罪、外国人に
よる犯罪、多種多様な商品やサービスの発生による消費者トラブルなども増えています。そ
のため、国では平成15年に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を策定し、そのなか
では地域の防犯意識を高め、関係機関との連携強化により、多様な犯罪や事故の被害を事前
に防ぐことが重要とされています。
町内には警察署が1ヵ所、駐在所が大崎地区に1ヵ所、東野地区に2ヵ所、消防署と海上
保安部分室がそれぞれ1ヵ所あります。町内の県道及び町道はカーブが多く狭隘である上、
車が交通手段として多く利用されていることから、物損事故が増加傾向です。このため、学
校や地域での交通安全教育と活動を行っていますが、明石地区を高齢者交通安全モデル地区
として、年2・3回の交通安全教室を開催しています。また、町民の消費生活を脅かす犯罪
なども数件みられ、木江警察署管内に防犯組合連合会を組織し、行事や駐在所発行のミニ便
りで啓発活動を行っていますが、今後は相談など対応策についても検討する必要があります。
基
本
方
針
安心で安全な町をめざし、交通安全施設の整備を図るとともに、交通安全の教育・活動を
幅広く推進します。また、防犯意識の高揚を図り、地域が協力し合って防犯活動ができるよ
うに関係機関と連携して取り組みます。
施策の方向・主な取り組み
ア)交通安全活動・啓発の推進
町民が交通安全について考え、正しい知識を深められるように、啓発活動と交通安全活動
を継続して推進します。あわせて、県道改修、町道・農道・林道の新設・改良時には歩道の
新設等に努めるとともに、道路反射鏡、歩道、ガードレールなどの交通安全施設の整備を緊
急度・重要度を踏まえて促進します。
イ)防犯対策の推進
地域・関係機関と連携して、町民の防犯意識を高め、自らの地域を自ら守るための巡回や
見守り活動を促進します。
83
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
84
施策の内容
交通安全対策
交通安全教室、交通安全活動、交通安全施設の
設置
防犯体制の充実
消費生活に関わる啓発、関係機関との連携、巡
回活動
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
(5) 居住環境
現
状・課
題
住宅は生活の基本の場であるとともに、やすらぎの場、地域との交流の場でもあります。
一方で、少子化・高齢化の進行、生活水準の向上と生活様式の多様化、核家族化などにより
家族構成は多様になったといえます。
住宅所有状況は持ち家率が高く、近隣の竹原市や広島県平均よりもやや高い状況です。な
かでも、大崎地区の持ち家率は82.3%と特に高く、木江地区は民営借家比率が他の地区より
もやや高くなっています。平成7年から平成12年で持ち家の世帯数は減少していますが、持
ち家率は高い水準を維持しています。このように、町民は地域に愛着を持ち、住み慣れた自
宅・地域での生活の継続意向が強く、高齢者はその傾向が顕著だと考えられます。
《一般世帯の住宅種類・住宅所有状況》
(単位:世帯)
一 般 世 帯
住宅に住む一般世帯
持ち家
公営・公社の借家
民営借家
給与住宅
間 借り
住宅以外に住む一般世帯
平成7年
実 数
構成比
4,449
100.0%
4,405
99.0%
3,544
79.7%
243
5.5%
385
8.7%
188
4.2%
45
1.0%
44
1.0%
平成12年
実 数
構成比
4,358
100.0%
4,276
98.1%
3,428
78.7%
247
5.7%
291
6.7%
274
6.3%
36
0.8%
82
1.9%
資料:国勢調査
公営・公社の借家は町営住宅がほとんどですが、平成15年11月現在、町営住宅は木江地区
の特定公共賃貸住宅(中層所得のファミリー向け賃貸住宅)を含めて、41棟、242戸の住宅
を管理しています。その他には、東野地区に雇用促進住宅があります。耐用年数を超えた住
宅が7棟、修繕が必要な時期を迎えた住宅が16棟など、老朽化の進んだ住宅が多くなってい
ます。また、町営住宅の入居の問合せに対しては相談等に応じ、空き住宅がでた場合には適
宜周知し募集しています。
持ち家と民営借家の世帯が減少し、公営借家・給与住宅及び間借世帯等が増加しています
が、これは民営借家の老朽化と最低居住水準程度の住宅の混在が考えられます。
公営住宅の整備・活用については、平成15年度に住宅マスタープランを策定し、これにも
とづき規模拡大・改善・建替えを計画的に進めており、今後は高齢者・障害者などに配慮し
た居室のある複合住宅の確保が必要です。
85
《構造別管理戸数》
(平成15年11月現在)
構
造
木
造
簡易耐火平屋建て
簡易耐火二階建て
耐火構造
合
計
戸 数
68戸
6戸
44戸
124戸
242戸
比 率
28.1%
2.5%
18.2%
51.2%
100.0%
《町営住宅の位置》
基
本
方
針
良好な住宅市街地を形成するため、地区毎の機能・役割を踏まえて、住宅マスタープラン
にもとづき、地区の整備方針を明確にして整備を推進します。また、多様な類型の町営住宅
の供給とともに、土地の確保と住宅の周辺整備など快適な居住環境の創出をめざします。
86
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
施策の方向・主な取り組み
ア)各地区の機能・役割に即した住環境整備の推進
東野地区は、町の玄関口として海上交通の拠点と居住機能を担う位置づけで、良好な住環
境形成に努めます。大崎地区は町内で平坦地が最も多いことから、農業用地との調整を図り
つつ、新たな住宅ニーズに応えられる宅地開発の促進に努めます。木江地区は歴史的価値の
高い民家の保存を積極的に進め、個性的な市街地の形成とともに、民営借家の居住条件の向
上と住宅ニーズに合った公的住宅の確保を促進し、周辺の公園整備を含めて生活環境の向上
に努めます。
イ)高齢化と多様なニーズに合った公営住宅の管理と複合住宅の確保
既存の公営住宅は、住宅マスタープランにもとづいてストック活用計画を策定し、住宅の
管理と合わせて方向性を明確にします。
今後は、多様なニーズに対応し、高齢者・障害者対応のバリアフリー住宅、ファミリー向
けや定住促進のための住宅など、ライフステージとニーズにあった複合型の公営住宅の供給
をめざします。
ウ)良好な住まいの確保への支援
良好で居住環境のよい住宅を実現するため、町営住宅に関する相談への対応と適切な入居
を促し、適正な管理、必要な補修に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
公営住宅の管理と活用計画
施策の内容
住宅マスタープランにもとづいたストック活用
計画を策定し、多様なニーズに対応した複合住
宅の確保に向けての検討、修繕・改修などの方
向性を明確にする。入居に関する適正な対応及
び既存住宅の総合管理
87
(6) 環境衛生
① ごみ・リサイクル・火葬場
現
状・課
題
高度経済成長や生活様式の変化などにより、わが国は大量生産、大量消費、大量廃棄の社
会となり、平成13年度のごみの総排出量は国民1人当たり1日約1.1kgとなっています。また、
近年プラスチック製容器の生産量が増え、環境に与える影響が問題化しています。平成15年
には「循環型社会形成推進基本計画」が策定され、物質循環の輪を形成する循環型社会の具
体的な目標などに向けて総合的な廃棄物・リサイクル対策が全国的に推進されるようにな
り、危機感を持って住民、企業、行政が一体となった積極的な取り組みが求められています。
町内にごみ焼却施設(大崎上島環境センター)とし尿処理施設(大崎上島クリーンセンタ
ー)を設置しており、共同処理を行っています。ごみ焼却施設は平成3年度に施設を新設し
ましたが、ダイオキシン類の排出基準の強化に対応するため、平成13年度に施設の改造を行
いました。し尿の計画収集率は100%で、生活排水処理は水洗化率が39.3%と安定して上昇を
続けており、平成7年度に最新の高度処理を行う施設となりました。また、生野島と長島の
ごみ、し尿も同様に処理しています。火葬場の施設及び霊柩車は、平成15年度から竹原広域
行政組合より町が引継ぎ、管理運営を行っています。
リサイクル活動は、分別によるゴミ収集と地域の協力により活発に行われており、地区や
各種団体による清掃活動、美化活動も取り組まれています。このような取り組みを推進する
ことにより、空き缶やたばこのポイ捨てなどを防ぎ、環境及びリサイクルに対する認識を高
める啓発活動を町民に推進していくことが重要です。
基
本
方
針
清潔で快適な町、循環型社会を実践する町をめざして、リサイクルと美化の意識の高揚を
図り、適切なゴミの出し方を広め、町民の自主的な美化活動を支援します。また、環境に配
慮した火葬場の改築にも取り組みます。
施策の方向・主な取り組み
ア)ごみの収集体制の充実とリサイクルの促進
ごみの収集体制の充実を図り、地域と共に取り組みます。また、リサイクルの意義、正し
い認識を深められるよう啓発を図るとともに、リサイクルの促進に積極的に取り組みます。
88
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
イ)美化活動の促進と衛生環境の向上
地区や関係団体の美化活動を支援するとともに、環境美化に関する広報・啓発に努めます。
また、空き地や遊休地の除草、廃棄物の不法投棄防止対策、害虫駆除などが適切に行われ
るように、地域と連携して巡回と指導、さらに必要に応じた措置に努めます。
ウ)火葬場の整備
火葬場の老朽化を踏まえ、環境に配慮した時代にふさわしい火葬場の改築整備を推進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
ごみ対策とリサイクル活動
ごみ収集、リサイクル活動、廃棄物対策
火葬場の整備
火葬場改築事業
89
② 上下水道
現
状・課
題
人の生命・暮らしを維持する上で水は不可欠であり、産業活動においても欠くことのでき
ないものです。当たり前のように蛇口から水がいつでも出る現代の暮らしでは、水が限りあ
る資源であることや良質の水をいつでも飲めることが貴重だということが忘れがちになって
いるといえます。
簡易水道は、昭和49年に本土からの県営広域水道の給水が始まり、水道普及率は平成15年
度末現在、大崎地区99.0%、東野地区99.5%、木江地区97.3%で、全体で98.7%となっていま
す。島内全域にわたる配水管及び送水ポンプは老朽化が著しく、順次必要に応じて配水管等
の施設を更新しており、今後も継続して取り組むことが必要です。また、平成14年度には新
ルートで送水管が増設され、生活用水等水需要への対応及び災害時の対策を図っています。
今後は、安全な水の安定供給を図るため、設備の整備とともに、水の大切さを啓発していく
ことが大切です。
生活排水処理については、平成22年の完成(一部供用開始)をめざして、大崎地区で
98.0haの環境保全公共下水道事業を進めています。また、大串地区では農業集落排水施設が
平成15年度から供用開始し、沖浦・明石地区では漁業集落排水事業で52.0haの整備を進めて
おり、いずれも浄化センターの設置を完了しています。それ以外の地区では浄化槽での汚水
処理を推進しており、水洗化・生活雑排水処理人口は2,084人、普及率は21.6%となっていま
す。浄化槽を設置する世帯には、小型合併処理浄化槽設置整備事業として補助金を交付して
おり、平成15年度では43戸に交付し汚水処理の推進に努めています。一方で、海抜0m以下
の土地では、池に溜めて潮の干満を利用して排水している状況であり、トイレの水洗化等に
より汚濁の進む場合には、浄化対策で改善を図っている所もあります。このような現状から
も、快適で衛生的な生活を確保するため、生活排水処理事業の計画的な整備が課題となって
います。
《生活排水処理状況》
(平成15年度末現在)
計画処理区域内人口
9,635人
90
水洗化・生活雑排水
処理人口
2,084人
生活排水処理率
21.6%
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
《生活排水処理対策の取り組み》
事業名
対 象
大崎地区(大
串・瀬井・原
田地区の一部
を除く)
計画内容・状況
計画面積 98ha、計画処理人口 3,500人、計
3
画処理水量 1,800m/日、平成16年4月1日供
用開始 公共マス230戸設置、大崎浄化センター
3
(第1期分900m 処理設備)設置済み
農 業 集 落
排 水 整 備
事
業
大串・瀬井・
原田地区の
一部
計画面積 20.2 ha、計画処理人口 1,020人、
3
計画処理水量 337m/日、平成15年4月1日供
用開始、公共マス230戸設置、平成16年度で施
設整備は完了予定
漁 業 集 落
排 水 整 備
事
業
沖浦・明石
地区
計画面積 51.5ha、計画処理人口 2,260人、計
3
画処理水量 790m/日、平成13年10月1日供用
開始、公共マス161戸設置、平成18年度で工事
完了予定
環境保全公共
下水道整備
事
業
基
本
方
針
水が限りある資源であることを啓発するとともに、水需要の動向をとらえて安定的な供給
ができるように、設備の整備を計画的に進めます。
排水処理施設は、長期にわたる整備が計画的に推進できるように努めるとともに、下水処
理施設区域外の地域については、浄化槽の設置を促進します。
施策の方向・主な取り組み
ア)計画的な水道施設の整備
水需要の推移等と供給能力を踏まえ、水道施設整備構想にもとづき、計画的な水道施設の
整備を推進し、安定供給をめざします。
また、長期の断水や濁水に備えて、日頃から節水意識を持つように町民への啓発を行います。
イ)生活排水処理の推進
人口密集地では環境保全公共下水道整備事業、農業集落排水整備事業、漁業集落排水整備
事業による集合型処理施設の整備を計画的に推進します。その他の地域では、合併処理浄化
槽設置費用の助成により、浄化槽の設置を促進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
水道施設の整備
計画にもとづいた簡易水道、水道施設の更新、
施設管理及び台帳の整備
生活排水処理の推進
環境保全公共下水道整備事業、農業集落排水整
備事業、漁業集落排水整備事業の推進、下水道
台帳の作成、浄化槽の設置促進
91
(7) 情報・通信
現
状・課
題
「IT革命」と呼ばれる近年の情報通信技術の飛躍的な発展は、家庭・産業をはじめほと
んどの分野で浸透しており、人の価値観や生活様式に大きく影響しています。IT革命によ
り、様々な面で高度化が進む一方で、プライバシーの保護など取り組むべき新たな問題が表
れています。
携帯電話は島内で利用可能で、防災行政無線も全域で聴取できるようになっていますが、
テレビ・ラジオは難視聴地域があります。情報通信については、高速大容量の通信環境が都
市部では急速に広まっている状況です。本町では民間事業者による整備の可能性が極めて低
いことから、平成14年度と平成15年度に ※1地域イントラネット及び ※2FTTH網を構築し、
各家庭で高速大容量通信が可能となる光ファイバ網の整備を進め、平成15年4月に民間通信
事業者と※3IRU契約を締結しました。現在は光ファイバによるインターネット利用を希望
する住民の約570世帯(平成16年12月末現在)にサービスを展開しており、行政ネットワー
クの整備だけでなく、町民にとっても超高速インターネットが利用できる環境を整備しまし
た。今後は、光ファイバ情報通信基盤を利用した行政サービスの充実及び新産業起業の促
進・支援、旧3町ネットワークの統合による行政サービスの均一化、情報格差の是正など行
政自らが光ファイバを導入した目的を踏まえ、インフラの利活用を検討し、取り組むことが
課題です。
基
本
方
針
高度情報化のための基盤整備である光ファイバ網と、その上に展開されるサービスの充実
を図ります。具体的には、ユニバーサルデザインの考えにもとづいて、ネットワークによる
コミュニケーションの実現、光ファイバ網で展開するサービスまたは※4コンテンツの整備な
ど、町民の生活に役立つ内容を中心に取り組みます。
※1 地域イントラネット:インターネットの技術を活用した組織内の情報通信網
※2 FTTH網:電話局と家庭を結ぶアクセス網を光ファイバ化したブロードバンドネットワークの1つ。
Fiber To The Homeの略
※3 IRU契約:破損し得ない使用権。Indefeasible Right Of Userの略
※4 コンテンツ:情報内容、目次
92
第3章
美しく住み良い環境で暮らす
まち
施策の方向・主な取り組み
ア)情報化の推進
情報化推進計画にもとづき、庁内ネットワークと※1グループウェアの運用がほぼ整ったた
め、今後は電子申請等の取り組みを推進し、行政サービスの効率化を図ります。
あわせて、町民に対して実践につながる情報教育とモラルの向上に努めるとともに、利用
しやすい手段・方法を検討します。
イ)テレビ放送再送信の基盤整備
現行のテレビ放送の難視聴地域の実態を調査し、調査結果にもとづいて難視聴の解消に努
めるとともに、※2地上波デジタル放送に対応する基盤整備を推進します。
ウ)加入者の光ファイバ網を利活用したコンテンツの整備
現在は、福祉・教育・産業振興につながるコンテンツが未整備であるため、今後町民ニー
ズを把握しながら、効果的で多様な事業の実施につなげます。
エ)ネットワーク統括組織の設置
現行ネットワークの管理はIRU契約事業者が実施していますが、今後は町内で可能な維
持管理等を実施する組織の確立に努めます。
オ)外部への情報発信
超高速の回線を利用し、観光資源、産品等のPRを各関係機関と連携を図りながら進め、
「大崎上島町」の情報を発信します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
情報化の推進
行政内・広域ネットワーク・県電子システム運
用など行政運営の情報化促進、町民への情報教育、
島外への情報発信
多様な利活用方策の検討・導入
在宅健康管理、安否確認、遠隔医療、 ※ 3 e地域ビ
ジネス、テレビ放送再送信などコンテンツの整備、
統括組織体制の検討
※1 グループウェア:情報の共有やコミュニケーションの効率化を図り、共同作業を支援するソフトウェア
※2 地上波デジタル放送:地上波のUHF帯で映像や音声をデジタル信号に置換して放送する方式
※3 e地域ビジネス:インターネット関連産業の1つで、コンピュータを利用した電子商取引全般の業務
93
第4章 大崎上島流の元気産業を育てる
まち
(1) 農林水産業
① 農林業
現
状・課
題
近年、都市部への人口流出による農業人口の減少、高齢化及び後継者不足や農産物輸入自
由化による農産物価格の低迷、米の生産調整、遊休地や低利用地の増加など、農業生産の環
境は一段と厳しさを増しています。これに対応するため、平成11年には新たな食糧・農業・
農村基本法が施行され、食糧受給率の目標を設定し、食糧の安全供給をめざし、それに向け
ての適切な支援が提唱されています。また、農林業や農村の多面的機能は、水源の涵養、自
然環境の保全など公益的機能を有するもので、これらの機能を健全に保持するためにも農業
の持続的発展と農村振興を推進する必要があります。
本町の農業は、傾斜地を利用した柑橘類の生産が主体ですが、島の南西部(旧大崎町)に
おいては、比較的なだらかな傾斜の農地を利用して、野菜等の施設栽培も行われています。
その他の地域は急傾斜地が多く、従来型の人力作業による柑橘栽培が中心となっています。
しかしながら、高齢化や担い手不足、柑橘類の価格低迷によって、農業従事者の減少が続い
ており、耕地面積の減少、遊休農地の拡大もみられます。
平成2年の農家戸数は約1,200戸でしたが、平成12年は約800戸に減少しています。また、
平成12年より農林業センサスの統計数値が販売農家のみの数値となり、専兼別農家戸数の前
回調査との比較は困難ですが、専業農家が204戸、兼業農家が198戸となっています。これに
伴い耕作面積も平成7年以降急速に減少し、平成12年の耕作面積は平成2年の68%(353.2ha)
までに縮小しています。地区別では平坦な地形が多い大崎地区が町内全耕地面積の約53%を
占めているものの、各地区で田、畑、樹園地の減少が続いています。
このようななかで、地域に適した転作の推進及び施設導入型の野菜栽培やレモン・ブルー
ベリーの生産は着実に産地化が推進されており、後継者、新規就農もみられ、今後は規模拡
大の支援を行っていくことが課題です。
94
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
《農家数及び経営耕地面積の推移》
(単位:戸・a)
農家
総数
平成2年
平成7年
(前回比)
平成12年
(前回比)
経営耕
専兼別農家数
専業
地面積
兼業
経営耕地種類別面積
田
畑
2,487
樹園地
1,153
525
628
51,792
5,962
100.0%
45.5%
54.5%
100.0%
11.5%
4.8%
83.7%
948
461
487
40,986
4,482
2,353
34,151
100.0%
48.6%
51.4%
100.0%
10.9%
5.7%
83.3%
82.2%
87.8%
77.5%
79.1%
75.2%
94.6%
78.8%
821(402)
- (204)
- (198)
35,323
2,324
3,329
29,663
100.0%
50.7%
49.3%
100.0%
11.0%
4.6%
84.4%
86.6%
-
-
86.2%
74.4%
98.8%
86.9%
*平成12年調査の(
43,343
)の数値は販売農家数
資料:農業センサス
柑橘栽培の省力化を図るために、県営事業による農地保全整備事業をはじめ、団体営事業
の基盤整備促進事業を順次進めており、農道・排水路の基盤が整備されつつあります。あわ
せて、小規模農業基盤整備事業による農道・用排水路の整備など、農業生産基盤整備と生活
環境整備を推進しています。地域内には、土地改良区、地域農業集団、生産組織等がそれぞ
れ活動を行っており、営農指導は広島県及び農協と連携しながら取り組んでいます。
一方、農産物加工については、農事組合法人または生活研究グループ、個人で進められて
います。また、ブルーベリージャムは着実に販売が伸びており、生産拡大の取り組みが必要
です。姉妹都市との交流、各種特産品祭り等への出展による流通経路の確保にも努めていま
す。また、観光農園では、果樹(柑橘・ブルーベリー)のもぎ取り等で観光客を確保してお
り、町のホームページやパンフレット等を活用し、広告・宣伝を実施しています。今後は、
農産物の生産性の向上とブランド化・高品質化を進め、特色ある産地化への取り組みが必要
です。
基
本
方
針
農道や圃場整備など農業生産基盤の整備を推進し、農産物の生産性の向上と農業経営の安
定化、担い手の確保・育成を図ります。また、特産物の開発に取り組むとともに、他産業と
の連携を図り、産地化を推進します。
林地の管理を促進するため林道を整備し、町土保全機能の維持・向上を図るとともに、防
災機能を持つ林道として整備しながらアクセスの利便性を高めます。
95
施策の方向・主な取り組み
ア)特産品の開発、産地化の推進
柑橘類では農協が主体となり、いしじ・はるみ・レモン等奨励品種の早期産地化に向けて
の品種更新が着実に進められており、今後は経営の安定化を促進しつつ、施設導入型の農業
への展開を図ります。そして、「安全・安心」の農産物生産に向けた農業技術の改善・推進
に取り組みます。
イ)生産基盤整備の推進
段階的に、緩傾斜地・平坦地での農業が推進されています。現状では、中山間地域等直接
支払制度の導入により生産基盤の保持に努めていますが、今後も省力化・効率化を図るため、
緩傾斜地・平坦地での農業への移行などを促進します。
ウ)農業経営の安定化と農業の担い手育成
従来の経営形態(単作)から施設導入型の複合経営に転換する状況もみられるため、今後
はより強力な推進を図ります。
※
U・I・Jターンによる新規就農、後継者の確保は非常に困難な状況にありますが、地
域農業の振興と活性化に向け、新規就農への対応として県・町の助成制度の活用を図り、相
談窓口を確保して支援します。また、子ども達の体験農業などふれ合い活動を促進するとと
もに、農業後継者クラブなど関係機関の活動を支援し、農業組織の人材育成を図ります。
エ)林道の整備
山林の管理を促進し、緑の環境と機能を保全できるように、林道の管理と必要な補修・整
備を推進します。また、今後は防災面・観光面・移動面など多面的機能を持つ林道の整備を
めざします。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
農業生産基盤の整備
農道・排水路・農業施設の整備、農地保全、圃
場(畑地)整備、近代化施設の整備
林道の整備
既存林道の管理、計画にもとづく林道の改修・
整備、島内幹線と有機的な林道の整備
農業経営の安定化
関係団体の活動支援、新規就農への支援
※ U・I・Jターン:Uターンは大都市圏の大学に通った者が出身地に戻って就職すること、Iターンは大都市圏
出身者が地方で就職・転職すること、Jターンは大都市圏の大学に通う地方出身者が地元
近くの都市で生活すること
96
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
② 水産業
現
状・課
題
わが国の水産業は200海里時代が本格的に到来し、新たな海洋秩序のもとで展開されてい
ます。近年は、地球温暖化などによる水域環境の悪化、漁獲量の低迷、漁業従事者の減少と
高齢化、食生活の多様化による魚介類の購入費比率の低下など、水産業を取り巻く環境は厳
しさを増しています。
本町の漁獲量は平成10年が68t、平成15年は52tと減少傾向にあります。一本釣り・刺し
網・底引き網漁業が中心で、マダイ・カサゴ・メバルなどが水揚げされています。3t未満
の漁船を持つ漁業経営体が多く、経営規模は漁業者の高齢化や魚価の低迷により年々零細に
なっています。
そのような中、魚礁設置等による水産資源の確保に努めるとともに、沖浦漁港を中心に、
漁港の改修や中間育成など「つくり育てる漁業」への転換を図っています。これらの基盤整
備と合わせて、沖浦漁港観光物産館等の施設の活用と生産者・団体への支援、物産品開発、
さらには観光と合わせた新たな展開に取り組んでいます。養殖漁業は企業的経営が発達して
おり、若い従事者も増加し、マダイ・ヒラメなどが養殖され、いち早く種苗生産を始めるな
ど、意欲的な取り組みがみられます。そして、「マダイの里」「メバルの里」として栽培漁業
を展開する中で、餌やり体験などの体験型漁業、見せる漁業にも利用しており、特産品の開
発と合わせて、観光漁業の中核事業として、海釣り公園、水産物や加工品の販売店、観光物
産館を整備し、交流の場にもなりつつあります。これらの取り組みの更なる充実を図るため、
水産資源の持続的利用の確立、就業環境の改善、水産品加工・流通体制の確保などを推進す
る必要があります。
基
本
方
針
水産物の安定供給を図り、「つくり育てる漁業」「体験する観光漁業」を重点的に推進し、
水産資源の増大、漁港・集落の整備を推進するとともに、観光物産館の活用、他産業との連
携・融合、交流活動の拡大を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)水産資源の持続的利用の推進
沖浦地区を中心に中間育成施設を整備し、陸上ではヒラメを、海面ではマダイ・メバルを
中間育成し、あわせて放流事業などを行っており、今後も資源管理型漁業を推進します。こ
のため、海洋牧場や漁港などの生産基盤の整備と漁業集落整備を継続して推進します。
97
また、本町は瀬戸内に面した長大な海岸線と多くの島々を有しており、自然環境に恵まれ
ています。特に海藻は150種が群生していることが確認されていることから、快適な水質環
境づくりによる水産資源の再生も可能です。
《沖浦地区の整備イメージ図》
イ)観光漁業と水産加工品の開発
アンテナショップ、観光物産館、海釣り公園を観光漁業の拠点として整備しており、加工
品づくりと連動して販路を拡大し、観光漁業の振興を図ります。
ウ)漁業運営の安定化促進
若手漁業従事者や企業経営の視点に立った経営者の育成を図り、新たな特産品づくり、交
流機会の拡充など新たな取り組みを促進し、経営の安定化への支援に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
98
施策の内容
漁業生産基盤の整備
漁場と漁港の基盤整備、鮮度保持施設・加工セ
ンター等の活用、漁業経営の改善と関係団体の
活動支援
つくり育てる漁業・
観光漁業の推進
新魚種導入・放流事業の推進、栽培漁業施設の
整備、加工センターの活用
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
(2) 商工業・観光
①工
業
現
状・課
題
戦後、わが国は製造業を中心に高度成長を遂げましたが、近年は情報化の発展や経済活動
低迷の長期化、経済の国際化と国内産業の空洞化が進行し、旧来の産業構造の変革期を迎え
るなど今後の方向性が不透明な状況です。このような状況下で、地域産業はニーズの高度化、
多様化への対応が求められており、地域の資産を利活用した物産の開発や地域に特化した新
たな取り組みを行うなど、地域の活性化に向けて動き始めています。
本町の工業は造船業をはじめ、化学工業や非鉄金属業などが主要工業といえます。造船業
界が全般的に平成8年以降衰退傾向となっており、化学工業や非鉄金属業なども含めた地場
産業は、平成3年から平成12年で工場数は約35%、従業員は約36%、出荷額は約40%の減少
を示しています。しかし、工場従事者1人当たりの出荷額は約7%の減少にとどまっており、
今後も同水準で推移するものと考えられます。造船業では小型船建造が主ですが、長期にわ
たり受注が減少状態で、大型船・中型船のブロックを建造してきました。小型船舶建造もか
すかに兆しがみられ、熟練職人の確保が求められるなど、明るい見通しもあります。化学工
業では産業素材の中間品である有機・無機化成物が主に生産されてきましたが、景気低迷の
余波を受けて低迷した時期もありました。しかし、コスト削減やリサイクルなど環境問題へ
の配慮などの努力により、数年前から受注も回復の兆しがみられるようになり、今後は付加
価値の高い有機化成物の生産が期待されています。
工業活動の活発化は、産業振興だけでなく、人口の流入と活性化に多大な影響が期待され
ます。このため、経営安定化のための支援や企業誘致の基盤整備を促進し、長期的展望に立
った取り組みが必要です。
《工業粗生産額の動向》
平成14年
平成15年
事業所数
(従業員4人以上)
30ヵ所
30ヵ所
従事者数
576人
584人
製造品出荷額等
20,887百万円
24,134百万円
資料:工業統計
99
基
本
方
針
活気と活力にあふれる町をめざし、既存産業の体質強化と参入促進のための基盤整備に取
り組み、主要工業の振興を図るための活動と担い手の確保・育成を支援します。そして、工
業に携わる人材の育成と、労働条件の改善や安全に作業できる労働環境の確保を働きかけま
す。
施策の方向・主な取り組み
ア)造船業振興のための取り組み
主要工業である造船業の振興を図るため、造船海運団体への活動を支援し、担い手の育成
と熟練工の確保を支援します。
イ)既存企業の体質強化と参入促進のための基盤整備
既存企業の経営意識を高め、体質・基盤の強化を図るため、経営安定化の支援を積極的に
促進します。また、関係機関と連携して相談や経営指導に努めます。
平成12年から長島に中国電力(株)の発電所が稼動しており、増設(2号機)計画につい
ては早期着工が可能となるための要望活動を展開します。地理的条件から新たな企業誘致は
難しい面もありますが、化学・非鉄金属業など既存産業の活性化、生産・物流活動の活発化
など、新規参入企業の立地意向に沿った基盤整備に努めます。
ウ)長期的な視点に立った担い手の確保
次代の工業活動を支える人材の確保・育成、熟練工の確保について、労働条件や就業環境
の向上を働きかけ、長期的な視点で支援に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
100
施策の内容
造船業振興のための取り組み
関係団体の活動支援、基盤整備、人材の確保等
の支援
既存企業の体質改善と
新規参入の促進支援
経営安定化の支援及び活用、相談・経営指導、
産業活動の活性化に向けた基盤整備の促進
第4章
②商
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
業
現
状・課
題
情報通信技術の発達や国内外の流通の活発化などにより、人の価値観や生活様式が多様化
し、消費者ニーズの大きな変化に対応した多様な産業との融合など新たな取り組みが展開さ
れています。
町民は町内の食料品・日用品の小売業の店舗で概ね買物していますが、その他については
近隣市で購入している状況がうかがえます。平成3年から平成14年までの11年間で小売店舗
数は約28%減、従業員は約15%減、小売販売額は約14%減となっていますが、町内に立地し
た大型店は従業員数及び販売額ともに増加しています。また、町民1人当たり販売額は、平
成3年の69.1万円から平成9年は83.4万円に伸びていますが、大型店の出店、経営者の高齢
化などにより廃業する小売業者や空き店舗が増加し、商工会の会員数は減少傾向です。これ
に対応するため、商工会で「おと姫カード」を発行し、地域密着のサービスと地元商店の活
力の促進に努め、町の行事(祭)への積極的な参加、会員の意識高揚をはじめ商業活動の活
性化に取り組んでいます。今後は商工会の組織編成を促進し、より地域に密着した商業活動
を工夫しながら進めることが課題です。
《小売業の状況》
(単位:ヵ所・人)
店舗・従業者数等の推移
平成
平成
平成
平成
6年
9年
14年
3年
平6
/平3
増加率
平9
/平6
平14
/平9
小売店舗数
280
255
232
201
91.1%
91.0%
86.6%
従 業 員 数
販
売
額
(百万円)
1 人 当 た り
販売額(千円)
790
753
740
678
95.3%
98.3%
91.6%
8,626
8,786
9,169
7,396
101.9%
104.4%
80.7%
691
760
834
-
109.9%
109.9%
-
資料:商業統計調査
基
本
方
針
多様化する消費者ニーズに対応した魅力ある商業活動ができ、町内での買物が楽しめるよ
うに、小売商業の魅力づくりと工夫に関する取り組み、担い手の育成を継続して支援します。
101
施策の方向・主な取り組み
ア)商工会の活動支援
商業活動の中枢的役割を担っている旧3町の商工会は、県の方針により平成21年度までに
再編することとなっています。このため、3商工会はブロック協議会で合併推進協議会(仮
称)を設置し、合併を前向きに推進する話し合いが持たれています。
また、おと姫カード会など地域密着型の商業活動が一層促進されるように、活動を支援し
ます。
イ)担い手の育成
地域消費者ニーズに対応した商業活動をめざし、担い手の確保と研修会及び青年活動を支
援し、経営者意識の醸成を図ります。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
商業関係団体の活動支援
102
施策の内容
商工会の合併支援、関係団体の活動支援、担い
手の育成・研修の支援、情報発信・情報提供の
促進
第4章
③観
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
光
現
状・課
題
景気の影響を受けやすいものの、余暇活動の活発化と価値観の多様化などにより、観光ニ
ーズは増大傾向であり、健康や自然環境に対する志向が強まり、「見る観光」から「参加・
体験する観光」などが注目されています。また、地域にとっても観光活動は、地域の活気づ
くりや経済発展、交流促進などが期待されます。
本町の観光資源は、町民に愛されている神峰山をはじめ、海水浴場、キャンプ場、観光農
園、特産品売場、自然休養村、釣り場などのレクリエーション施設があり、宿泊施設は温泉
ホテル、旅館、民宿、ログハウス等があります。しかし、公設としての施設が分散して管理
が十分にできない状況で、設営後年数が経過して老朽化が進む施設もあることから、施設の
統合と合わせ、改修・新設を検討する必要があります。
毎年開催される夏まつり、櫂伝馬競漕、駅伝大会、水上バイク大会等のイベントには島外
からも多くの参加者と観光客を集めており、年間の入込み客数は平成6年の温泉ホテル開業
以降8〜9万人と大幅に増加しています。しかし、温泉ホテル以外はほとんどが海洋性の観
光施設で、夏季に観光客が集中しているため、滞在型・通年型への転換が課題です。
一方で、施設や観光資源等の情報発信などソフト面の充実も大きな役割があります。合併
前に旧3町の観光協会が協議会を発足して、ホームページ、パンフレット等の作成などの取
り組みが進められています。また、神峰山を活用したイベントや、マリンパークおおさきで
の漁協によるイベントが開催されており、このような観光活動をより効果的に展開するため
に、情報提供などの取り組みが必要です。
基
本
方
針
観光活動は、産業の活性化に向けて町民の理解・協力・参加を得ながら、関係機関と連携
することが必要です。このため、ソフト面での取り組み、道路等のハード面の取り組み、多
分野との融合・連携などにより、町の良さを活用しながら更なる開発によりふれ合いの観光
活動を展開し、町の主要産業となるように育成します。
施策の方向・主な取り組み
ア)観光施設の充実
夏の集客が多いことから海水浴場の休憩施設の整備を行うとともに、島内外の交通アクセ
スの充実を図り、島内の観光資源を結び、魅力ある観光拠点づくりを促進します。
103
イ)観光団体への活動支援
観光振興には町民の理解と参加を促す地道な取り組みが必要であり、観光協会・民間活動
団体が結集し、まちづくり塾等を構築してその輪を広げていきます。
特産品の開発について、民間主導型により開発の気運が高まりつつあり、アンテナショッ
プ玉手箱を中心に、積極的なバックアップ体制を確立し、産業の活性化を図ります。
ウ)観光活動の促進
交流人口の確保及び地域の活性化を図るため、観光資源の充実と夏祭りなどのイベント活
用など観光活動を促進します。そして、イベントや地域でのふれ合いを観光活動と融合して
実施するために、特産物の開発や情報発信を促進します。さらに、道路の利便性の向上を図
り、観光活動を促進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
104
施策の内容
観光資源の確保・整備
海水浴場の休憩施設、道路等の整備
大崎上島夏まつり補助・
特産物の開発支援
活動の支援と関係団体との連携
町民参画型イベントの開催
民間グループの育成と支援
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
(3) 大崎上島流産業の育成
現
状・課
題
商工業と観光活動の融合をはじめ、地域の特性や文化を活かした産業活動が地域の活性化
と魅力づくりの一翼となり、地域に新しい風を吹き込む事例が近年多くみられるようになり
ました。
本町では、過疎化と少子化・高齢化が進行するなか、少子化・高齢化対策を推進するとと
もに、雇用対策と若者の定住促進対策を重要課題に位置づけています。町に愛着を持ち続け、
温かい地域の暮らしの実現に向けて、人口を増やして地域の活性化を図ることが目標です。
そのためには、地域に適した産業を育成し、人づくりと魅力づくりに取り組むことが重要な
課題です。
みかん・造船・水産業が主な産業ですが、柑橘類の栽培は過剰生産と自由化等により価格
が低迷し、その結果専業農家の減少、後継者不足、担い手の高齢化などの状況が顕著にみら
れます。しかし、近年ではトマトなどのハウス栽培が経営されたり、ブルーベリーなどの観
光農園の入込み客も増加し、レモンも産地化しています。水産業は、獲る漁業からつくり育
てる漁業に移行し、豊富な自然環境を有する島で、体験できる漁業をめざして取り組んでい
ます。あわせて、情報機器を活用した労力負担の軽減策などの新たな動きを敏感に受けとめ、
第1次産業から第6次産業が融合した新たな産業構造と本町にふさわしい産業の創造が重要
です。
基
本
方
針
新たな動き、個々の取り組みを敏感にとらえ、関係機関と連携を図りながら、第1次産業
から第3次産業を融合した第6次産業化産業の育成をめざします。そして、人とのふれ合い
と癒し、滞在と体験ができる観光に拡充できるよう研究・検討を継続して行い、町全体で島
の良さを知ってもらえる大崎上島流の産業づくりに取り組みます。
施策の方向・主な取り組み
ア)魅力あふれる産業の創出
年間を通じて利用可能な滞在型・体験型観光施設の定着をめざし、沖浦漁港観光物産館を
拠点に農業・漁業、商業などとの連携を軸とし、様々な交流のある島の魅力を全面に出す新
たな産業の創出を図ります。
交通体系の整備を促進し、観光資源が有効に活用できるように、島の自然環境を十分取り
入れた体験型の観光振興を図り、交流人口の増加をめざします。また、宿泊施設については、
この島でしか味わうことのできない個性的な部分を強調し、独自性を大切にした宿づくりを
促進します。
105
また、光ファイバ網の整備も進み、ハウス栽培や養殖業に共通して、ネットワークをはじ
めとした情報機器を活用することで、労力の負担軽減を図ります。このような取り組みの土
壌が整ってきており、例えば映像監視、温度計測などを利用することで、第3次産業の可能
性も期待できます。
イ)滞在型・体験型施設の整備
島の自然環境を活用した体験型の総合施設を確保し、拠点機能を持たせて、町内の観光資
源のネットワーク、情報提供・発信などを促進するため、大串地区に滞在型・体験型施設の
確保・充実をめざし、計画的な推進に努めます。
《大串地区滞在型・体験型施設のイメージ図》
ウ)新たな産業の創出支援
産業活動を支える人材、新たな事業展開の意欲を持つ人を育成・支援するため、関係機関
と連携してベンチャー企業の支援、新たな産業・雇用の場の検討を継続して行います。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
106
施策の内容
ベンチャー企業への支援
ベンチャー企業の支援策の促進、新たな産業・
雇用に関する検討
沖浦漁港観光物産館の運営
交流の場、町の特産物を広める場として活用
第4章
大崎上島流の元気産業を育てる
まち
(4) 雇用の創出・就業環境の整備
現
状・課
題
バブル経済の崩壊後、わが国の完全失業率は平成14年に5.4%に達し、深刻な状況を経験し
ましたが、その後は緩やかな低下傾向で推移しています。また、女性就業者の増加や雇用形態
の多様化、学卒未就職者の増加、高齢者の社会参加など、雇用・就業環境は構造的な変化がみ
られます。そして、労働者は国際化や高度情報化などに対応できる力を求められています。
就業者の90%以上が島内で働いており、今後は通勤エリアの拡大を視野に入れながら、宅
地や住宅の確保を促進する必要もあります。また、若者定住促進制度を確立して、U・I・J
ターンの受け入れ体制の検討と、住宅・スポーツ施設の確保など、若者の定住を促進するた
めの環境づくりに努めています。さらに今後は、産業構造対策を進め、経営規模拡大や経営
の多角化等により、販売額の増加を通じた雇用機会の創出・拡大に取り組むことも重要です。
基
本
方
針
大崎上島流の産業の創出に取り組み、雇用の場の確保・拡大を図ります。また、働く意欲
のある人が誰でも働くことができるように、関係機関と連携して、職業訓練機会の確保と就
業環境の向上に努めます。
施策の方向・主な取り組み
ア)雇用の場の確保
働く意欲のある人が雇用・就業の場を確保できるように、関係機関と連携して情報提供に
努めます。また、町の産業の活性化を図り、後継者や担い手の育成など地域産業に根ざした
雇用を促進します。
イ)相談・職業訓練の充実
求人情報の迅速な提供と職業訓練の受講促進のため、関係団体と連携して対応します。労
働相談は様々な問題が含まれることに配慮し、関係機関との連携を図り、相談体制を充実し
ます。
ウ)就業環境の向上
生涯現役を実践する高齢者を含めた就業者の健康管理や生きがいを保持できるように、雇
用条件の明確化、定期健診の受診奨励、職場環境の安全性・快適性の向上を働きかけます。
そして、居住については、若者定住促進事業による住居の確保と居住環境の向上を図ります。
また、広く町民に対して、多様な就業形態や制度の周知に努めます。
107
エ)就業構造の転換
コンピュータ利用による大規模・ハイテク農園化の推進による雇用創出と農業後継者の育
成など、就業構造の転換に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
108
施策の内容
雇用の確保と就業環境の向上
雇用に関する情報提供、職業訓練や就業条件に
関する啓発、相談活動、就業構造の転換への取
り組み、就業条件などの啓発
定住促進
U・I・Jターン者の受け入れ及び相談体制の
検討・促進
第5章 明るく温かい人と地域が支える
まち
(1) 人を尊ぶ地域づくり
現
状・課
題
人権は人の尊厳にもとづいて一人ひとりが持つ固有の権利であり、他の人の人権について
も理解し、責任を自覚して、相互に尊重し合うことが基本です。人権問題への取り組みは、
基本的人権の尊重を基本原理の一つとする日本国憲法に保障され、世界的な動きを踏まえな
がら取り組まれています。しかし、人間関係や社会の中で、人権問題は継続して取り組むべ
き多くの課題が残されているといえます。子ども・高齢者の人権問題、同和問題、※1セクシ
ュアル・ハラスメントや暴力など女性に対する差別、障害者や外国人に対する差別、HIV
感染・ハンセン病患者に対する偏見、犯罪被害者などの人権問題、※2性的マイノリティに対
する偏見など、現在及び将来にわたる様々な人権侵害の問題があります。これらの問題は、
国際化・情報化・高齢化・少子化など社会の急激な変化も要因の一つと指摘されています。
子どもから高齢者まで多くの町民が各分野へ参加・参画することは、地域の経済的・文化
的な活性化につながります。今なお人間の尊厳の侵害が残されていることを鑑み、根本的か
つ速やかにあらゆる差別をなくし、町民一人ひとりの人権が真に大切にされる、差別のない
明るい地域づくりが課題と考えます。本町では、これまで基本的人権を守るため、学校教育
や生涯学習だけでなくあらゆる場面において、人権問題に関する町民の差別意識の解消を図
るとともに、人権意識の啓発に努めてきました。しかし、明るい地域社会の実現は発展途上
にあり、継続して差別をなくす取り組みが必要です。このため、今後も関係機関と連携しな
がら継続して啓発活動を行い、一層の理解と実践に取り組めるように、人権政策に対する全
行政分野の推進方向を明確にし、継続的な啓発活動を進めることが必要です。
※1 セクシュアル・ハラスメント:職場や学校などで起きる性的な嫌がらせをいう
※2 性的マイノリティ:異性愛が規範である性のあり方から外れる少数派の総称
109
基
本
方
針
人権尊重の理念に対する正しい理解と実践を通じて、日常生活に近い場面から継続して積
極的に取り組むことが求められます。
このため、すべての人の人権・権利が守られるように、人権政策は全行政分野の連携・協
力のもとに総合的に推進します。そして、互いを認め合い、その個性と能力を発揮して社会
活動に参画し、責任を分かち合える真に豊かな地域をめざします。町民に対して人権に関す
る教育と啓発活動を積極的に推進し、町民が互いに人権を尊重する明るい地域づくりに努め
ます。
施策の方向・主な取り組み
ア)人権教育と啓発の推進
人権に関する基本的な知識の習得、生命の尊さ、個性の尊重について、一人ひとりが正し
い理解と認識を深められるよう、関係機関と連携・協力して、学校や生涯学習、福祉教育、
地域の活動において講演会・学習会・研修などの人権教育を推進します。また、人権問題の
理解をより深め、適切な対応ができるように、町職員の研修を充実します。
人権問題への対応の総合的視点を確立した上で、教育・福祉分野のみでなく、全行政分野
が連携して町民への啓発、学習活動を積極的に展開します。また、多様な媒体を活用して啓
発活動を行うとともに、人権擁護委員の活動支援、関係機関との企画・実践により、差別や
偏見を取り除くための広域的な対応を促進し、新たな人権問題についても適切な対応を図り
ます。
イ)子どもの権利擁護の推進
子どもも大人と同様に基本的人権を保障されているにも関わらず、現在の子どもを取り巻
く環境は、いじめ・虐待などの問題が懸念されています。この要因は他人への思いやりやい
たわりといった人権意識の立ち後れという指摘もあることから、学校教育や生涯学習などと
連携しながら、子どもの権利擁護に関する意識の高揚を図ります。
ウ)同和問題の啓発・推進
現代社会においても、同和地区・被差別部落に対しての偏見や差別意識により、様々な社
会的不平等や差別が存在しています。憲法がすべての国民に保障している基本的人権を守り、
真の「人権の世紀」にするためにも、町民一人ひとりが解決に向け取り組む必要があります。
あらゆる機会を通じて、同和問題に対する正しい理解と、認識を深めるための啓発活動と研
修を行い、差別のない明るい社会の実現に取り組みます。
110
第5章
明るく温かい人と地域が支える
まち
エ)高齢者の権利擁護の推進
高齢者の社会参加や生きがい活動を支援し、いきいきと活動的な高齢者の暮らしづくりに
取り組みます。また、介護が必要になった場合や認知症(痴呆症)になった場合にも、一人
の人間としての尊厳が保持できるように、関係機関と連携を図りながら、高齢者の権利擁護
と成年後見制度を推進します。
オ)男女共同参画社会実現の促進
男女双方に潜在する固定的な意識を取り除き、男女が共に社会活動に主体的に参画できる
豊かで活力のある社会をめざします。このため、男女共同参画を推進するための計画を策定
し、これにもとづいて意識改革や環境づくりを推進します。
カ)ノーマライゼーション理念の実現
障害者が自宅・地域社会・施設等それぞれの場で周りの人々の温かい心に包まれ、自立した
生活を送り、社会に貢献できるように、ノーマライゼーション理念の理解を深め、共に暮ら
す町をめざして啓発します。
キ)外国人への配慮
近年の国際化の進展により、人・物・情報・文化の交流も世界に広がっており、本町におい
ても年々外国人が増えています。他国の言葉・習慣・文化等の違い・良いところを互いに知
り、身近な場所で交流できる機会の創出に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
人権教育・啓発の推進
関 係 機 関と連 携・協 力して 人 権 擁 護 委 員 の 活 動
支 援 、人 権 講 演 会 の開 催 、学 校 教 育・生 涯 学 習な
どでの人権教育の推進、広報を活用した啓発活動
男女共同参画社会の形成に
向けた啓発
女性会連合会活動の支援、啓発活動の推進
111
(2) コミュニティ活動
現
状・課
題
地域性・共同性を基本にした母体がコミュニティであり、生活の最も身近な社会です。ま
ちづくりに関しても、今後取り組むべき行政課題の多くは、コミュニティの主体的な取り組
みなしでは解決が難しい状況といえます。人の価値観や生活様式の多様化が進み、地域社会
の連帯感や相互扶助意識の希薄化がみられるなか、コミュニティの役割が改めて認識されて
います。
本町においては、高齢者世帯が増加しており、近隣世帯の見守りによる温かい地域社会の
形成が求められ、これに向けた取り組みも着実に進んでいます。町内には自治会が38区あり、
町広報誌等の配布、防犯灯の改修の取りまとめ、災害時の被害状況取りまとめ及び薬剤配布
などを担っています。町では補助金を交付し、地域と行政をつなぐ重要なパイプ役である自
治会活動を支援しています。大崎上島町連合区長会は、大崎地区区長会、東野地区区長会及
び木江連合区長会で組織され、木江連合区長会は木江地区区長会、沖浦地区区長会及び明石
地区区長会で組織されています。地区の活動・組織の維持は、過疎化や高齢化で運営が難し
い面も考えられますが、住民自治を支えるため、引き続き自治組織を支援します。一方で、
女性団体や老人会、商工関係のグループ、子ども会育成会、趣味のサークルなど自主的なグ
ループ・仲間で日常生活に密着した取り組みが広がっており、従来からの地域活動と合わせ
て主体的な活動を支援する必要があります。
基
本
方
針
町民相互の信頼と連帯のあるコミュニティの形成に向け、活動の場の提供など自主的・主
体的で多様な活動を支援し、町民の活動とより円滑で効果的な連携をめざします。
施策の方向・主な取り組み
ア)住民自治区活動の支援
身近な問題を地域が一体となって取り組み、相互の連帯感と信頼感を高められるように活
動を支援します。各地区の住民自治組織活動がより活発になるように、運営及び連携体制、
組織化などを支援します。
イ)コミュニティ活動の促進
地域活動の意義や重要性について啓発し、町民がコミュニティ活動に関心を持ち、参加で
きるように支援します。
112
第5章
明るく温かい人と地域が支える
まち
ウ)地域リーダーの育成
地域の状況や特性を反映した活動の場と自主的な学習・話し合いの場を創出し、活動の中
心となる地域リーダーの育成に努めます。地域リーダーが人づくりや生涯学習活動など様々
な分野と連携して、温かい地域づくりを牽引し、コミュニティ活動の活性化が図れるよう支
援します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
コミュニティづくりの推進
施策の内容
地区のコミュニティ活動の支援、地区集会所の
充実
113
(3) 人づくりと交流活動
現
まちづくりは
地域
と
人
状・課
題
のつながりが大きな要素であり、力であるといえます。し
かし、地域社会の希薄化が様々な問題に影響していると指摘されています。大崎上島が1つ
の町になり、これからのまちづくりを進める上で様々な分野で従来の町域や世代・性別を超
えて交流する場を積極的かつ弾力的に創出することが重要と考えます。
また、町内にとどまらず他地域の生活・産業・文化・伝統を知り、お互いの生活環境や育
った環境の違いを知ることは、わが町を再認識する機会になります。本町では北海道中頓別
町・広島県庄原市・広島県北広島町と姉妹縁組をしており、学生同士の交流は卒業後も良好
な交友関係を保持しています。東京都武蔵野市とは福祉・農業でのつながりから派生して、
相互に訪問するなど交流活動が続けられています。
町外で暮らす本町出身者や、本町に関心のある人などからも意見を聴取する機会を設けて
いますが、今後は光ファイバ等を有効活用した更なる拡大が期待できます。外国人の町民が
微増している状況や、学校教育で英語教諭を招聘するなど、異文化にふれる機会が増えてお
り、国際交流活動などを広げていくことが必要です。
《地域間交流活動の状況》
広島県北広島町(旧大朝町)・北海道中頓別町・
姉
妹
縁
組 広島県庄原市(旧高野町)
友
好
都
市 東京都武蔵野市
基
本
方
針
人のつながりを最大限に活用して、支え合いや助け合いの地域づくりをめざし、様々な人
と力をつなぐしくみを構築し、実践をめざします。そのきっかけにもなるように、地域、世
代・性別を超えて共に活動・交流する機会を拡充します。
施策の方向・主な取り組み
ア)人づくりと活用の促進
生涯学習、地域活動、福祉活動などに多くの町民が参加されていますが、町民の意欲や活
動をコーディネートする機能があれば、その成果と効果は一層広まり、地域に貢献すること
になります。このため、地域の人材の登録制度とコーディネート機能などのしくみを構築し、
実践に向けて取り組みます。
114
第5章
明るく温かい人と地域が支える
まち
イ)世代間交流の促進
行政のまちづくり活動など様々な活動は、幅広く、多くの町民の参加が促進できるように
努めます。また、日常的なふれ合い活動などが行われていますが、より一層の機会・場面の
拡充を働きかけます。
ウ)地域間交流の促進
子ども達をはじめ多くの町民が、他地域の様々な歴史・文化並びに行事などを体験するこ
とにより、新しい価値観を創出し、お互いを理解し合える機会となるため、地域間交流、国
際交流など町民主体の多様な活動を促進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
まちづくりに地域の人材を
活かすためのしくみづくり
まちづくり・産業・福祉・学習・スポーツの人
材の発掘と登録・活用などのしくみづくり
交流活動の推進
町内の世代間交流活動、地域間交流活動、国際
交流活動
115
第6章 理解と協働で地域を想う
まち
(1) 住民参加と情報公開
現
状・課
題
これまでの町民と行政との関係は相互に依存的な様相があり、相互の認識に大きな差異が
あるといわれています。しかし、地方分権や人口構造の変化、社会経済活動の複雑化が進む
なか、これから自治体が直面する政策課題の解決には、単に自治体だけの努力ではなく、そ
こに暮らす人々の理解と自覚、行動が必要となっています。
行政の状況を踏まえ、今後の方向を明確にし、課題解決に向けて、町民の意見や要望、意
識変化を敏感に察知して取り組む必要があります。そのため、個人情報保護条例とあわせて
情報公開条例の制度化を進めてきました。このような環境が整いつつあることから、より良
いまちづくりに向けて町民の参画機会の拡大と参加促進が課題となっています。
基
本
方
針
まちづくりの主役である町民一人ひとりが自ら役割を認識し、自主的・主体的なまちづく
り活動への参画が促進でき、条件整備と機会の拡充を図ります。そして、町民と行政とが両
輪となって、協働で地域の課題解決に取り組みます。
施策の方向・主な取り組み
ア)まちづくりへの参画の促進
各種審議会等の委員の選任方法を柔軟に見直し、年齢や性別などにとらわれず興味と意欲
のある公募委員を増やすなど、広く町民の参画が広がるように配慮します。
イ)個人情報保護の推進
改正から条例施行までにデータ整理など必要な事務を行い、町民のプライバシーを保護し、
行政に対する信頼を確保するための個人情報保護条例を国の動向に沿って改正し、適正な運
用を図ります。
ウ)情報公開の推進
行政側が説明責任を果たし、町民との信頼関係を保持するという観点から、町情報公開条
例にもとづき、適切な情報公開を推進します。そのため、開示請求への対応、情報公開の適
正な運用が図れるように、行政文書の管理の徹底を図り、効率性を高めます。
116
第6章
理解と協働で地域を想う
まち
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
情報公開の推進
住民主体のまちづくりを推進するため、行政の
情報公開を積極的に行う
まちづくりへの参画促進
委員会・アンケート調査の実施、新たな参加手
段の検討
117
(2) 広報・情報提供・広聴活動
現
状・課
題
行政が説明責任を果たし、町民が自らの町を築こうとする活動を支援し、信頼関係の中で
町民と共にまちづくりを進めるためには、互いの想いを伝え合い、協働することが不可欠で
す。そのツールとして、広報・広聴活動があります。
本町の広報手段は、町広報紙(月刊)のほか、担当課からのお知らせ文の世帯配布、防災
行政無線、ホームページ等があります。
広聴活動は、ホームページに「何でも相談室」を設け、町民からの質問や要望に随時回答
しています。行政側は随時町民との懇談の機会を持ち、行政区内の要望を区長がとりまとめ
て町に伝えるシステムを構築しています。また、行政相談員による相談とともに、各担当課
では必要に応じてアンケート調査や事業説明会を行っています。
多様化する町民ニーズを的確に把握し、意見を交わす機会を広げ、まちづくりに反映する
ためには、従来型の広報・広聴に加え、光ファイバ網を活用した情報ネットワークを形成し、
将来的には電子自治体の実現に至る広報・広聴活動を展開する必要があります。
基
本
方
針
親近感のある開かれた町政をめざし、町民の様々な意見や要望を敏感にかつ的確に聴取・
把握する機会・手段の拡充を図ります。そのため光ファイバ網の活用を図り、従来の広報・
広聴に加えて、電子掲示板の設置やメールによる回覧板など新しいツールの充実を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)防災行政無線設備の充実と情報手段の拡充
周波数や電波方式の相違から本庁・支所の3ヵ所で放送していますが、1ヵ所で町内全域
に放送できるよう現状の無線放送施設の改善を図ります。今後は長期的な視点で、周波数の
統一とデジタル化への対応を検討するとともに、インターネットなど光ファイバの有効活用
などの情報手段の拡充をめざします。
イ)広報活動の充実
行政に対する町民の理解を深め、行政情報の内容を少しでも読みやすく、必要な内容を確
実に伝えられるように、広報物等の作成に配慮します。広報誌やホームページなどは行政と
町民をつなぐ太いパイプであることを認識し、町民の意見や活動が集約できる場となるよう
努めます。
118
第6章
理解と協働で地域を想う
まち
ウ)広聴活動の充実
町民の多面的な意見・考えを聴取して政策形成に活かし、町民との協議により方向性を明
確にする方法として、地区の懇談会・ホームページなどの広聴の場及び手段を拡充します。
また、施策に応じてアンケート調査や説明会を取り入れ、対話のまちづくりを推進します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
広報の充実
防 災 行 政 無 線 設 備 の整 備 、行 政 の説 明 責 任を果
たし、町 民にわ かりや す い 広 報 物 の 作 成 、行 政と
町民をつなぐ広報活動の推進
広聴活動の推進
広聴機会の拡充、ホームページの活用、アンケ
ート調査・各種説明会の実施
119
(3) 行財政運営
現
状・課
題
地方分権の流れや社会経済状況の低迷が続くなか、これからの行政は自治体自らが決定し、
自らがその責任を負う体制に移行すると考えられ、いかに行財政運営の総合化、健全化、効
率化を図るかが重要な課題です。住民自治組織・地域と行政がパートナーシップの下にまち
づくりを協働するにも、健全な行財政運営を保ってこそ信頼感が高まります。
本町は、事務処理の効率化を図るための行政システムの活用、町行政手続条例の制定によ
る事務手続きの明確化、事務事業の見直しをはじめ、公共的団体への管理委託、民間委託な
どによる効率的な運営に努めています。また、職員の各種研修への参加や窓口業務の効率化
などにより、行政窓口での手続きや相談が円滑になるように努めています。
一方、平成16年度の町の財政力指数(平成14〜平成16年度)は0.508で、自主財源収入の増
加は難しいことから、平成18年度以降は下降することが見込まれます。さらに、※公債費負
担比率は17.8%(平成15年度決算)で、警戒ラインに近づきつつあり、財政運営の硬直化の
進行が見込まれます。
地方分権時代の到来と、町民の価値観や生活様式の多様化、人口の少子化・高齢化などを
背景に増大する行政ニーズに対応し、信頼される行政運営、将来像の実現のためには、どこ
にどのように投資していくかが最も重要な点であり、ここに施策や取り組みに対する事前評
価、事後の点検・評価の意味があります。また、複数の課・係に関わる事業・施策は、一層
の調整と連携を図って推進することが不可欠です。
基
本
方
針
厳しい財政状況のなか、多様化・複雑化する町民ニーズに必要度・優先度を踏まえた対応
と将来に負担を先送りしない健全な行財政運営をめざします。そのためには、行財政改革を
行い、点検・評価方法を取り入れ、効率的かつ効果的な行財政運営と透明度の高い行政づく
りに努めます。
※ 公債費負担比率:地方債の償還経費である公債費の負担が当該団体の財政運営に及ぼす影響を知る指標
120
第6章
理解と協働で地域を想う
まち
施策の方向・主な取り組み
ア)効率的・効果的な行政運営の推進
事前の事業評価、事後の点検・評価手法を確立し、行財政運営に取り入れ、効率的で効果
的な行政運営を推進し、行政手続条例にもとづいた事務の実施・執行、庁内LANなどの更
なる情報化、指定管理者制度の導入などに取り組みます。
イ)組織・機構の弾力的運用
新たな行政課題に対応できる行政運営をめざし、専門性や年齢構成、適正な職員数など組
織・機構の弾力的・効率的な運用を図り、必要に応じて職員定数も考慮し、行政機構の見直
しを行います。
ウ)行政サービスの向上
本庁・支所との連携をさらに強化し、柔軟な対応と密接な連絡、適切な職員採用及び配置
などに努めます。
職員は各種研修会に参加し、行政職員として広く英知を養い、日常業務に活かせるように
努め、働きやすい職場環境の向上を図ります。
エ)財源の確保
受益者負担の公平・適正化を図り、財政を確保するため、納税に関する啓発活動に努める
とともに、課税対象の的確な把握と滞納解消対策に取り組みます。また、固定資産に関する
的確な評価と課税事務の効率化を図ります。
そして、国・県の補助制度の有効かつ積極的な活用とともに、地方分権時代にあった特定
財源の確保を図ります。あわせて、地方財源制度の確立について、広域的な連携を図りなが
ら国・県に働きかけます。
オ)計画的な財政運営
施策・事業の重点化・効率化に努めながら、町民との協働によるまちづくりを進めます。こ
のためにも、中長期的な財政見通しにもとづき、町民ニーズや施策の優先度、緊急度、重要度、
事業効果などを勘案した選択と集中による効果的な実施と財源の適正な配分に努めます。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
施策の内容
行政運営
行政改革、組織・機構の継続的な見直し、職員
の資質向上、評価手法の導入検討
財政運営
財源の確保・適正配分
121
(4) 広域行政
現
状・課
題
経済活動の発展、モータリゼーションの進展、高度情報化などにより、日常生活圏が拡大
し、人の価値観と生活様式も多様化して、町行政だけでは対応が難しい課題が増えています。
また、本格的な地方分権時代の到来により、地域の実情や特性を踏まえた柔軟かつ効率的な
対応が求められます。このため、広域的な連携による施策の展開や事務の効率性の向上、対
応力の強化など広域行政が果たす役割が大きくなってきました。
本町は竹原広域行政組合の構成市町の一つであり、竹原広域市町村圏と賀茂広域市町村圏
の2市9町区域を対象として、「広島中央広域市町村圏」を設定しました。広島中央広域市
町村圏計画では、従来の圏域が統合された経緯等を踏まえ、圏域の地域特性を活かした広域
的な自立生活圏の形成と広島県の発展をリードする拠点地域の形成を基本方針として示され
ています。その中で本町は、きらめき海洋レジャーゾーンに位置し、豊かな自然環境を活か
し、保健・医療・福祉の充実強化、生活交通の維持、コミュニティ活動の支援などによる快
適・安心・生きがいの揃った地域づくりが方向づけられています。
一方、県の出先機関では、福祉事務所が木江支所内に設置され、教育分野は尾三教育事務
所、農協は呉地域事務所、その他は東広島地域事務所と連携を図りながら推進しています。
今後は、町民サービスの向上と町民主体のまちづくりを目標に、1つの町では対応しがた
い多様で高度な行政ニーズに応え、財源の効率的な運用を図るためにも広域対応の必要性を
研究・調整し、着実な推進を図る必要があります。
基
本
方
針
広域的課題、協働を必要とする課題に対して的確に対応するため、より効率的な財源運営
をめざし、近隣市町との連携を一層強化しながら、広域行政の積極的な推進を図ります。
施策の方向・主な取り組み
ア)広域行政体制の動向への対応と推進
広島中央広域市町村圏における本町の位置づけを踏まえ、快適・安心・生きがいを感じら
れる地域づくりに取り組みます。あわせて、将来的な広域行政体制の動向を踏まえ、関係自
治体との連携を強化して広域行政の推進に取り組みます。
122
第6章
理解と協働で地域を想う
まち
イ)広域行政の研究の推進
町民のニーズ及び課題への対応、効果的で効率的な行政サービスの提供を図れるように、
広域行政の今後の方向性、あり方、役割などを十分研究・検討します。あわせて、地方分権
制度の動向を鑑み、県内市町と連携して、必要な財源の確保と運用について要望します。
《主な取り組み・施策》
主な取り組み・施策
広域行政の推進
施策の内容
関係機関との連携による広域行政の円滑化と研
究、広島中央広域市町村圏における本町の位置
づけを踏まえたまちづくりの推進
123
Ⅳ部
第
資 料 編
資 料 編
(1)「大崎上島町第1次長期総合計画」について(答申)
平成17年2月9日
大崎上島町長
藤原正孝
様
大崎上島町振興基本計画審議会
会長 小林 弘晁
「大崎上島町第1次長期総合計画」について(答申)
本審議会は、諮問された「大崎上島町第1次長期総合計画(平成17年度〜平成26年度)」
について、慎重審議した結果を次のとおり答申します。
計画の推進にあたっては、格別の配慮をされますよう、意見として申し添えます。
記
1
2
3
4
5
6
「大崎上島町第1次長期総合計画(以下、「本計画」という。)」は、今後、大崎上島
町が進むべき方向と将来像を示し、町民と行政が一体となって進むべき指針であり
ます。
本計画は、町の活性化を指標とするものであり、将来に向けて計画実現のために
尽力され、計画的に推進することを望みます。
町民が安心していきいきと暮らせるまちづくりの実現のための基盤整備(福祉・保
健・医療、交通機関、教育、生活環境等)を図り、誰もがこの町に住んで良かった、
住みつづけたいと思えるようなまちづくりを推進されたい。
各分野の取り組みは、まちづくり全般にわたって相互に関連しあっている点を十分
踏まえ、計画的・効果的に推進されたい。
本計画の内容について町民が熟知できるよう、計画の趣旨を町民に周知・徹底し、
理解と協力を得るとともに、町一体となってまちづくりを推進されたい。
親しみやすい役場づくりに取り組むとともに、重要な施策の実施にあたっては、で
きる限り町民が意思決定段階から参画できる機会を設け、町民主体のまちづくりを進
めることを望みます。
行政運営については、より効率的・機能的・緊急度・重要度を総合的に勘案した運
営に徹し、健全財政を堅持しながら、計画が着実に実施されるように望みます。
最後に、本計画が本町の将来に道が開かれる道標となる計画であると確信し、答申と
します。
127
資 料 編
(2) 大崎上島町振興基本計画審議会条例
(設
置)
第1条
地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、町長
の附属機関として大崎上島町振興基本計画審議会(以下「審議会」という。
)を設置する。
(所掌事務)
第2条
審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項について審議する。
(1)
地方自治法第2条第4項の規定により、本町が定める事務処理の総合計画に関すること。
(2)
前号に定めるもののほか、本町の振興整備に関し、長期にわたる計画に関するこ
とで町長が必要と認める事項に関すること。
(組
織)
第3条
2
審議会は、委員25人以内をもって組織する。
委員は次に掲げる者のうちから町長が任命する。
(1)
町の議会の議員
(2)
町の執行機関の職員
(3)
町の区域内の経済団体を代表する者
(4)
町の地域団体を代表する者
(5)
学識経験を有する者
3
4名以内
3名以内
8名以内
4名以内
6名以内
委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。但し、委員
が任命されたときの要件を欠くに至ったときは、その委員は退任するものとする。
4
(会
委員は再任されることができる。
長)
第4条
2
128
審議会に会長を置き、委員の互選により定める。
会長は、会務を総理する。
資 料 編
3
会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長の指名する委員が
その職務を代理する。
(会
議)
第5条
審議会は、会長が招集する。
2
会長は、審議会の議長となる。
3
審議会は、委員の半数以上の者が出席しなければ会議を開くことができない。
4
審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決する
ところによる。
(部
会)
第6条
審議会は、必要に応じ部会を置くことができる。
2
部会に部会長を置き、会長の指名する委員をもってあてる。
3
部会に所属する委員は、会長が指名する。
(庶
務)
第7条
(雑
審議会の庶務は、企画課において処理する。
則)
第8条
附
この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し、必要な事項は、町長が定める。
則
この条例は、平成16年7月1日から施行する。
129
資 料 編
(3) 大崎上島町振興基本計画審議会委員名簿
組
織
1.町の地域団体
を代表する者
2.町の区域の
経 済 団 体を
代 表 する者
3.学識経験を有
す
る
者
4.町議会の議員
5.町の執行機関
の
事
130
職
務
員
局
氏
名
所
属
小 林 弘 晁
社会福祉協議会 副会長
長 谷 川 南 城
連合区長会 会長
望 月
魏
連合区長会 副会長
西 田
弘
連合区長会 副会長
望 月 成 功
大崎町商工会 会長
佐 伯 清 憲
東野町商工会 会長
堀
芳 彦
木江町商工会 会長
横 本 正 樹
JA広島ゆたか 理事
奥 本 英 壮
大崎内浦漁業協同組合 代表理事組合長
濱 中 国 雄
大崎上島漁業協同組合 代表理事組合長
緒 方 盛 仁
東邦亜鉛(株)契島製錬所 所長
堀 内 和 行
中国電力(株)大崎発電所 所長
堀 井 義 範
教育委員会 委員長
川 崎 晟 司
農業委員会 会長
平 田 芳 憲
民生委員協議会 会長
信 谷 俊 樹
青少年育成町民会議 会長
信 谷 加 代 子
女性会連合会 会長
藤 原 龍 秀
PTA連合会 会長
土 井 田 聖 次
議 長
西 田
総務常任委員会 委員長
巧
森 川 家 忠
福祉文教常任委員会 委員長
辰 田 真 司
産業建設常任委員会 委員長
徳 森 和 範
助 役
高 田 幸 典
教育長
蒔 田
総務課長
弘
畝 本 達 郎
企画課 課長
亀 山 英 治
企画課 主幹
藤 原 保 弘
企画課 企画係 係長
田 中 直 弘
企画課 企画係 主事