教育の 教育の 逆転が 逆転 が こる日 起こる 日 著 株式会社ショウイン 代表取締役 田中正徳 「学は人たる所以 たる所以を ぶなり」 所以を学ぶなり」 ・・・松下村塾 ・・・松下村塾 吉田松陰 (勉強で一番学ぶべきことは、人間として大切なことは何か、そして人間はどのように生きてい くべきかを知ることである) 学びを通して自らの幸せを発見する。 私どもショウインはこの「教育の原点」を未来の子供たちへ引き継ぎ、学ぶこ とを通して、創造力豊かで世界に貢献できる人創りを使命にして参ります。 株式会社ショウイン 代表取締役 田中正徳 弊社は昭和 55 年学習塾として創業し、一貫して個別指導を実践して参りま した。 個別指導の長所は「ひとりひとりの学力に応じた指導が出来る」ということで、 理想的な学習スタイルです。しかしながら、私どもが 30 年間取り組んできた 中で、実に大きな試行錯誤がありました。潰れてしまう寸前のところまでいき ましたが、幸いなことに今年で 30 年を迎えることが出来ました。 私たちの創りだしたこの教育スタイルを「ショウイン式の学習方法」として ようやく胸を張って、多くの子どもたちにお知らせできる時が来たと考えてお ります。 そして、これからの 30 年、さらに進化し続ける最先端の道具を利用すれば、 全く想像できないような学習スタイルで教育の歴史が変わっていくと予測して います。 勉強は「自らが行うもの」です。 ショウインの学習システムは、補助教材ではありません。 ここが、他教材とおそらく根本的な違いであると考えています。 私たちの 30 年の学習塾の歴史を「教育の逆転が起こる日」としてまとめてみ ました。まずはご覧いただき、私どもの思いをお伝えしたいと存じます。 教育の逆転が起こる日 ●勉強の指導者の役割はこうなる 昔テレビで、こういう風景を観た記憶がないだ ろうか。宇宙を旅する家族の世話役としてロボッ トがいろいろな事を助言する。子どもは、そのロ ボットに家庭教師のように勉強を教わるという ものだ。数学や物理など難解なものでも一瞬に計 算して回答してしまう。しかし子どもが感情で勉 強をしたくないというと「計算できません・・」 という回答が帰って来る。人間の感情をデジタル化して分析することは難しい のだろう。子どもが勉強したくなるような感情までコントロールする事は難し い。感情をコントロールするのは、いつの時代でもアナログ式に限るのである。 なぜこんなことを言うかというと、子どもたちの学習には二つの要素がある からだ。 これを「ハート」と「スキル」と呼ぶとわかりやすい。ハートは「心」=「学 習する心」と考える。つまり勉強する前に、心構えや学ぶ姿勢を整える必要が あるということ。スキルとは「熟練した技術」=「学習の効果的な技術」と考 える。つまり学習を技術と考えれば訓練次第で、だれでも熟練者になることが 出来るのである。 言い換えると「ハート」は感情をコントロールする必要がある。人間教育、 勉強の目的や将来の夢もここに入る。これは、人間対人間のふれあい教育によ って達成される。 ところがスキルは学習技術であり、感情を抜きにしても、繰り返し演習によ って、学習能力はいくらでも向上させることが出来る。この分野はデジタルつ まりコンピューター学習の得意とするところなのである。 少し前置きが長くなったが、10年前には、このハートとスキルを人間がす べてやらなければならなかったのである。なぜならコンピューターが今のよう に普及もしていないし性能も劣っていたからである。ところが現在では、コン ピューターも廉価で手に入れることが出来るし、インターネット、しかも光回 線などブロードバンドの発達が著しいのである。こんな時代を迎えて、このい わゆる「スキル」の部分について非合理的なアナログでやる必要がないのであ る。それでは、指導者の役割は何か。ズバリ、「子供をコーチングすること」 勉強を「ティーチングすること」ではない。 ●近未来の学習塾はこうなる インターネットを利用した学習が主流になるだ ろうと考えている。 現在、子どもたちの凡そ六割は、学校から帰る と週2日から3日程度学習塾に通っている。 しかし、インターネットを活用した学習をする と、わざわざ塾まで足を運ぶ必要もなくなる。 従来のような講師がいて、学校と同カリキュラ ムを組んで一斉指導する学習塾は不要になるはずだ。 さらに言うと、教師がいて、従来のように黒板を使って、教え込む授業風景 は姿を消すことだろう。今まで板書していた文字や図は、コンピューターなら ボタンクリックひとつで出現するし、しかも静止画のみならず、ムービーが子 どもの心を虜にするのである。しかも納得がいくまで何回でも確認する事が出 来る。こうなると講師の書いた見辛い黒板と、ほこりっぽいチョークは陳腐化 するといっても過言ではない。 さらに一斉指導の塾では、一年間に消化しなければならない学習内容をまと めた「年間カリキュラム」が存在する。このカリキュラムは、子ども本人のた めに作られたものではなく、学習を消化するために、生徒の平均値によって作 り出されたものである。つまり塾を運営するために、塾にとって都合のいいカ リキュラムなのである。子どものためではない。これが現実である。 ところがインターネット学習なら、一律のカリキュラムは存在しない。子ど もの理解度とスピードに応じた変幻自在のカリキュラムに変わる。個々の子ど もの進捗記録が、その子供にとって適正なカリキュラムを自動的に作って、し かも指示してくれるといったほうが良いかもしれない。こう考えていくと、従 来型の講師は「不要」になるのである。先にも述べたが、スキルを指導する講 師役は、コンピューターに取って代わられるだろう。これからは、子どものヤ ル気を引き出すコーチ役の教師が求められてくる。コーチは教える事が仕事で はないため、社会経験と社会常識をもって、ある程度コーチング術を身につけ ていれば、だれでも教師を努められる時代がやってくるのである。 ●子どもの興味はコンピューター 以前弊社で主催していた子供向けサイト PKC(キッズクラブ)は、子どもたちの大好きなチ ャット、掲示板、ゲームコーナーなど日本中の子 どもたちが集っていた。子どもの一番の興味はな んと言ってもゲームコーナーである。コンピュー ターはゲームが楽しめるマシンというイメージ が一番強いようだ。10年前は、コンピューター は大人の一部の特殊な人たちがビジネスで利用するという高級品のイメージが あっただろうし、子どもに自由に勝手に使用させることなど考えられなかった。 ところが現在は、小中学生の約 8 割が家庭で自由に利用できるとのアンケート 結果もある。最近ではインターネット対戦型のゲームも流行っている。子供た ちはチャットや掲示板が大好きだ。気が合う者同士が、ハンドルネームで呼び 合い、共通の話題を書き込んでいく。さらに書き込んだ内容に対して、即座に 返答が帰って来る。掲示板なら興味のあるトピックスに書き込むことで、興味 を共有しさらに興味のある知識を吸収できるからである。さらに面白いことに、 子どもたちは、ランキング系が好きなようだ。人気の掲示板は、書き込むこと でポイントがもらえて、さらにランキング表示されるものである。 こう言う流れをみると自然にこんな考えが出てくる。 「子どもたちの大好きな コンピューターのゲーム性と子どもが興味を引く仕組みを取り入れることを、 こどもの学習に利用すればどうだろうか」これが開発の原点である。 ショウインは、これらの点に着目して、子どもの目線でコンピューターのプ ログラムを開発した。 ●勉強すればするほど「プレゼント」がゲットできる 勉強を楽しみに変える一手段と して、プレゼントを用意してみた。 一つ目は、全ての単元が終了する 毎に点数に応じて、コインがゲット でき、さらに貯まっていく仕組みで ある。貯まったコインの枚数に応じ て、子どもが好きな商品と交換でき るシステムなのだ! 目標を作ることで、学習意欲を引き 出すことを目的にしているが、予想 以上に学習効果があがっている。 子どもにとって、将来の目標と学習意欲は比例しない。あまりにも長期的な 目標では、漠然として、エネルギーが出てこないようである。ところが目の前 に自分の欲しいものがはっきり見えると、案外短期的な目標として頑張れるよ うである。そこで登場したのが、コインシステムである。これは、単元が終了 した時点で、点数に応じてコインが貯まっていくというゲーム感覚を取り入れ た。学習システムのトップ画面で、貯まったコイン枚数が確認できるようにし た。さらに「プレゼントコーナー」から交換できる商品が閲覧でき、申し込み フォームで交換を受け付けるというものである。 もう一つは「ムーンストーンプレゼント」 「継続は力」という諺があるように、勉強は継続していかなければならない。 子どもはシールを集めるのが好きなので、この心理を利用したのが「ムーンス トーンプレゼント」 。シールのようなアイコンが毎月貯まっていく。これがある 枚数貯まる毎に、もれなくプレゼントが待っているというもの。 お父さん、お母さんに代わって、ショウインからプレゼントをするというもの。 勉強すればするほど、継続すればするほど、素敵な商品がもらえるという目標 ができるのである。 勉強はきらいでも、こんな夢のようなシステムをきっかけに、一生懸命学習に 取り組む子どもが増える事を願うものである。 ●学習記録をみんなに公開しよう! インターネットは、時間と場所の垣根をなくしてしまったところに面白さが ある。子供同士、学習記録、勉強の仕方を交換し合うことを提案したい。 ショウインでは、子どもの学習履歴・進捗記録を、コンピューターが自動的 に記録してくれることだ。学習した内容を日時付で、単元、さらにレベルごと の細目に至るまで表示される。ある単元を何回繰り返したか、さらに繰り返す 事で理解度が向上する履歴が棒グラフで表示される。指導者としては、この結 果を分析すれば、次の方針を立てやすいというわけだ。 今までの一斉指導塾ではまったく考えられない、 「個人別カルテ」ができあが るのである。 指導者にとって、これは画期的な学習分析表で、これをみれば、子どもの弱 点を早期に発見する事が容易で、次の指導に生かすことができる。 しかし、学習履歴を分析して次の方針を立てたとしても、実行するのは子ども。 なかなか理論どおり行かない場合 がある。 そこで考案したのが生徒1人1 人に用意されるコミュニケーショ ンツール「りあめも」。子どもが、 自分の学習履歴をいつも閲覧した くなる、或いは書き込みたくなる 学習記録をつくることだ。さらに みんなにも公開し、子供同士、ラ イバル心を起こしたり、励ましあ ったり、自慢しあう WEB ページをつくると面白い。もちろん公開する範囲は、 任意に設定できる仕組みも必要であるが、こうする事で今まで秘密にしていた 勉強の仕方を子供同士の情報として互に交換することができる。今まででは考 えられない学習効果が出てくるものと思われる。 ●海外で学ぶ人、不登校・引きこもりのお子様にも最適 ショウインは現在、約 80 箇所の教育現場に ID を寄贈している。 公立の小中学校、適応指導教室、病院内学級、フ リースクール、海外の日本人学校など、不登校気味 の子どもの特別学級や、海外で教師の数が不足して いる日本人学校では、とても重宝されている。ショ ウインは自立学習を支援するための教育システムとして開発されたもので、教 師が子どものそばについて、教え込む指導方法ではない。つまり子どもが自分 の力で学び取っていく仕組みである。マイペースで学習できるため、子どもが つまづき始めた学年に戻って学習をスタートすることが出来る。学校で習えな かった単元を自分で学び取れる学習方法であるから、特殊な環境におかれた子 どもたちにとっても、これ以上にない格好の学習スタイルである。 寄贈先の教場から頂戴したコメントをご紹介しよう。(一部抜粋) ■公立中学校校長からのお便り 「このたび、本校の不登校生徒への指導に関しまして、貴社の高価な教育ソフ トを無償にて利用させていただきまして、心よりお礼申し上げます。 さて、本校では不登校生徒に対して、さまざまな働きかけを行ってきましたが、 なかなか思うような成果が上がっておらず困っていたところでした。生徒指導 担当から貴社のことを知り、ご相談したところ快く利用させていただく事がで きました。おかげさまで、部屋に閉じこもりぎみだった生徒も最近では少しず つではありますが、教育ソフトを使った学習をしていることを家族より報告を 受けています。今後このようなコンピューターを活用した学習や E メール等の 交換が不登校生への指導・援助の新しい形態として位置づけられるのではない かと思います。今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。 」 ■公立中学校担当教諭からのお便り 貴社から寄贈戴きましたソフトを早速、活用させて戴いております。今までは、 机に向かってもなかなか学習へ集中できなかった中 3 年生も時間を忘れ学習し ております。また中1・2年生もコンピューターの空時間になると我先にと学 習したがっている状態になりました。興味から、実力へ一歩一歩力を伸ばして くれればと思っております。 ■公立小学校担当教諭からのお便り 言語教室を担当しております。言語教室には、通常学級に通いながら、その 子の苦手さ(ことばの遅れとか、国語の読み書きの遅れなどなど)を個別指導に て克服、軽減させるようにしています。聴覚障害の子どもも通っています。 貴社のソフトは、そのような子どもたちにとって、大きな救いの手になるよ うな気がします。不登校児もおりますので活用させて戴きます。 ■海外補習授業校 校長よりのお便り 弊補習校では、四才児クラスより中学部までの子どもたちが通っています。 子どもたちが「国語」あるいは日本語を通して日本文化を習っています。多 くは国際結婚の家庭で生活しており、家庭あるいは学校で、ゲーム感覚で母 国の言葉を習得させることが出来ると期待するものです。 ●先入観を捨てた学習指導 ■教える側の先入観を捨てること。 学校や塾の先生にコンピューター 学習の感想を聞くと間違いなく同じ 答えが返ってくる。 「 コ ン ピ ュ ー タ ー は 、授 業 後 の 補 助 教 材 だ よ ね 。基 礎 と 応 用 に 分 か れ て い て、問題量があれば十分だよ。」 ショウインはこの原点が根本的に違う。 指 導 者 が 教 え 込 む と い う「 教 え る 側 の 先 入 観 」で「 教 え 込 も う と す る 」 指導方法をすべて捨て去ったことなのだ。 そ れ は な ぜ か 、 こ れ は 私 た ち が 、 約 30年 間 の 歳 月 を か け て 個 人 指 導 の 学習効果を研究し試行錯誤した結果、生まれたものだからだ。 ■ 一生懸命に教え込む指導 私 た ち の 学 習 シ ス テ ム は 学 習 塾 か ら 生 ま れ た 。個 別 指 導 の 学 習 塾 で の 苦 い経験から現在のショウイン式学習が生まれたといっても過言ではな い 。個 別 指 導 学 習 塾 の 内 情 を 知 っ て い た だ く た め に 、学 習 塾 指 導 の 歴 史 、 いや失敗の歴史を知って戴きたい。 シ ョ ウ イ ン の 前 身 で あ る 学 習 塾 は 、パ ソ コ ン を 利 用 し た 学 習 に 切 り 替 え る ま で 、昭 和 5 5 年 4 月 の 発 足 時 か ら 平 成 5 年 3 月 ま で 小 人 数 ク ラ ス 編 成の個別指導塾を運営してきた。 特色は生徒一人一人に目を行き届かせるため、 ①1クラスの人数を5名以内にする。 ②学力別クラス編成にし、生徒の学力に応じたカリキュラムをつくる。 ③手作り教材を使用する。 などが主なものだった。 当 時 、第 2 次 ベ ビ ー ブ ー ム に 生 ま れ た 子 供 達 が 、い よ い よ 中 学 生 に な る 頃 だ っ た の で 各 小 中 学 校 で は 1 ク ラ ス の 人 数 が 約 4 0 人 前 後 、親 の 間 に も 競 争 意 識 が 強 く 、と に か く 塾 に 行 か せ な い と 遅 れ を と る と い っ た 社 会情勢があったようだ。 当 時 の ほ と ん ど の 学 習 塾 は 、学 校 の 補 助 的 役 割 で あ り 、1 ク ラ ス 1 5 人 か ら 3 0 人 程 度 の 集 合 塾 が ほ と ん ど で あ っ た 。学 校 の 勉 強 だ け で は つ い ていけない子供が増えてきた時期でもあり、親の競争意識も手伝って、 とにかく塾に通うことで親は安心感を得ていたようだ。 も ち ろ ん 、そ ん な 状 況 の 中 で 、学 校 の 補 助 的 機 関 で あ る 学 習 塾 で は 、学 校 と 特 別 変 わ り の な い カ リ キ ュ ラ ム に 従 い 、同 じ 授 業 を た だ 繰 り 返 し て い る だ け で あ っ た 。こ れ で は 、学 校 で 落 ち こ ぼ れ た 子 供 が ま た 、塾 で 落 ちこぼれるということも珍しくなかった。 当時の塾は1クラスの人数を5名以下にすることで一人一人に目を配 り 、徹 底 し て 教 え 込 む 塾 を 目 指 し た 。当 然 の 事 と し て 、講 師 は わ か り や す い 授 業 を 行 う た め に 、い ろ い ろ な 角 度 か ら 教 え る た め の 工 夫 を 凝 ら し 、 手作り教材を準備した。 又 、講 師 の 質 を 向 上 さ せ る た め に 、さ ま ざ ま な 求 人 広 告 メ デ ィ ア を 使 っ て 、1 年 間 で 約 1 0 0 0 名 程 度 の 講 師 登 録 を 行 っ た 。講 師 登 録 で は 大 学 生 を 中 心 に 、中 学 生 レ ベ ル 5 科 目 の テ ス ト 及 び 面 接 を 行 い 、人 物 評 定 中 心に約300名程度に絞り込んで人材を採用した。 さらに指導前研修 を行った。 その研修の際に私が、講師にいつも言っていたことは、 「 い ろ い ろ な 角 度 か ら 教 え る 内 容 を 研 究 し 、大 切 な ポ イ ン ト を ピ ッ ク ア ップして、わかりやすく、一生懸命教え込みなさい。」 「子供の質問には即座に答えなさい。」 「つまづいている子供を発見したら個別に丁寧に指導しなさい。」 今 ま で の 集 合 指 導 の 学 習 塾 で は 、き め 細 か な 指 導 が で き な か っ た と 言 う 反 省 が あ っ た 。個 別 指 導 の 利 点 で あ る 、よ り 親 身 な 指 導 、よ り 個 別 に 近 づ く 指 導 で 他 塾 と の 差 別 化 を は か っ た 。一 人 の 漏 れ も な く 全 員 の 学 力 向 上を達成するための工夫を益々実践したのである。 ■人が人を教えるのは大変難しいこと ところが現実はどうであったか。 小人数指導は、子供の依頼心を増長させてしまった。 あまりにも身近にいる講師が子供に必要以上に世話を焼くシステムで あったために、子供は講師に甘えてしまうのだ。 さらにそれが講師の 威 厳 を 損 ね 、い わ ゆ る「 な め ら れ た 」状 態 を つ く り 、講 師 の 指 導・指 示 を無視して宿題すらやってこない子供が続出してきたのだった。 徹 底 し た 個 人 指 導 を 普 及 さ せ る た め に は 、月 謝 を 低 く 抑 え る 必 要 が あ っ た 。そ の た め 大 学 生 を 中 心 に し た ア ル バ イ ト 講 師 に 頼 ら ざ る を 得 え な か っ た 。学 生 の 都 合 で 授 業 に 平 気 で 穴 を 開 け た り 、学 期 の 途 中 で 辞 め て し ま う 講 師 が 出 て 、講 師 の 労 務 管 理 に 日 々 追 わ れ る 毎 日 が 続 い た 。勿 論 講 師が変われば生徒や保護者からのクレーム続出は言うまでもないこと であった。 こ ん な 状 態 で 果 た し て 、生 徒 全 員 、一 人 も 落 ち こ ぼ れ な く 、全 員 の 学 力 向上が果たせたか。もちろん。否である。 「 人 が 人 を 教 え る こ と 。」こ れ は 、人 類 が 誕 生 し て 、営 々 と し て 続 い て い る こ と で あ り 、普 遍 の 真 理 で あ る こ と は 間 違 い な い 。し か し 、人 が つ く っ た 伝 達 内 容 を も っ と 効 果 的 に 、確 実 に 伝 達 に す る に は 、何 か 別 の 方 法があるのではないか。 私 た ち は 、さ ま ざ ま な 工 夫 を 繰 り 返 し た が「 人 が 人 を 教 え る 」と い う 方 法 に は 、人 の 持 つ 環 境 、習 慣 、性 格 、感 情 、を ベ ー ス に 成 り 立 つ こ と を考えれば、「大変難しい」ということに遂に行き着いたのである。 ■潰れない塾をつくる 平 成 5 年 バ ブ ル 経 済 が は じ け 、そ の 後 遺 症 で 世 の 中 の 社 会 情 勢 が 急 に 変 化 し て き た 。 さ ら に 子 供 の 小 子 化 現 象 で ベ ビ ー ブ ー ム 時 の 4割 減 の 子 供の数になってきた。 いよいよ思い切った決断を下すときが来た。 「塾に通っている全員の子供の学力を一人の漏れなく向上させたい。」 こ の 考 え は 益 々 強 く な っ て い る に も か か わ ら ず 、個 別 指 導 ゆ え の 少 々 高 い月謝は抑えられない。 これまでの塾の問題点は何だったのか。 ①講師の質と人件費。②高い家賃 。これらがネックになって潰した教 室もあった。 そこで考えたのが、まず講師の問題点。 「人が人を教えるには限界がある。」 人 が 人 を 教 え る の で は な く 、コ ン ピ ュ ー タ ー に や ら せ て み て は ど う だ ろ う か 。今 ま で 私 た ち が 築 き あ げ て き た 教 材 を ソ フ ト 化 し た ら ど う だ ろ う か 。も ち ろ ん 教 え る 講 師 は 不 要 。人 件 費 も 不 要 。指 導 が 均 一 化 で き る 。 講 師 が 教 え な い か ら 、子 供 の 依 頼 心 が な く な り 、自 立 学 習 が 達 成 で き るのではないか。 コ ン ピ ュ ー タ ー を 置 く ス ペ ー ス が あ れ ば い い 。黒 板 も い ら な い 。省 ス ペ ー ス 化 で き る の で 、高 い 家 賃 も 不 要 。自 宅 を 使 っ た ミ ニ 塾 だ っ て で き る 。 これなら家賃「ゼロ」も可能だ。 教 育 に は 時 間 が か か る 。潰 れ な い 塾 、潰 さ な く と も 済 む 塾 が で き る か も しれない。 ■まず実験教室をつくってみた 早速準備に取りかかった。 ま ず 、講 師 の 自 宅 を 借 り て 、そ こ に コ ン ピ ュ ー タ ー を 置 い て も ら い 自 宅 を ミ ニ 塾 と し て オ ー プ ン し て も ら う 。家 賃 が か か ら な い の で 、月 謝 は 思 い切って半額に下げてみた。 求 人 を 出 し て 自 宅 で ミ ニ 塾 が で き る 講 師 を 募 集 し た 。運 良 く 、元 気 で 明 る い 人 を 採 用 で き た 。 小 さ な 看 板 を 準 備 し 1万 枚 の チ ラ シ を 、 塾 中 心 に 半 径 1キ ロ 以 内 に 絞 り 込 ん で 数 回 新 聞 に 折 り 込 ん だ 。 す る と 、 何 と 問 い 合 わ せ が 1週 間 で 10件 以 上 あ っ た 。 (当 時 の 折 り 込 み チ ラ シ で は 1万 枚 で 1 ~ 2件 程 度 の 効 果 で あ っ た 。 ) 月 謝 を 低 く 抑 え た こ と 、斬 新 な コ ン ピ ュ ー タ ー 学 習 と い う 話 題 性 も 手 伝って、思いがけない生徒数を確保できた。 子 供 た ち の 生 き 生 き と し た 楽 し そ う な 学 習 風 景 が そ こ に は あ っ た 。も ちろん指導する先生も「子供の学習進捗状況が手に取るようにわかり、 納 得 で き ま す 。」 「充実して帰る子供たちの後ろ姿をみるとこっちまで、 ウ キ ウ キ し て き ま す 。」と い う コ メ ン ト を い た だ い た 。「 習 う 側 も 、指 導する側も納得できる。」 ■教え込むことは逆効果 私 た ち が 一 番 驚 い た こ と は 、今 ま で の 講 師 は 、教 え る こ と に ほ と ん ど の エ ネ ル ギ ー を 使 い 果 た し 、自 分 の 先 入 観 で 子 供 を 指 導 し て き た た め 、子 供のペースを無視していたのだ。 伝達内容を人が人に直接指導すること。つまり、 一 生 懸 命 に 教 え 込 む こ と は 、実 は 逆 効 果 で あ り 、人 と 人 の 間 に コ ン ピ ュ ー タ ー と い う 学 習 す る た め の 道 具 を 置 く こ と が 、本 物 の 学 習「 自 立 学 習 」 へ の 入 り 口 だ っ た の だ 。私 た ち が 目 指 し て い た「 全 員 の 学 力 向 上 」に 一 歩近づいたと確信するに至ったのだった。 ●驚異のプログラム学習 ■山の頂上目指して 山の麓に、今いるとしよう。 「 さ あ 、頂 上 目 指 し て 登 っ て ご ら ん 」と 言 わ れ た と き に 、あ な た は 、ま ず①登山口はどこか ②どのルートを進めばいいのか ③高度はどのく らいか ④どんな装備が必要なのか まず、こんな事を考えるのではないだろうか。 「 い き な り 登 れ と 言 わ れ た っ て 、地 図 も な い し 、最 近 は 足 腰 に も 自 信 が ないよ。」と文句の一つでも言いたくなるだろう。 このたとえを子供たちの勉強にあてはめてみてみよう。 新 し い 単 元 に 入 っ た と き 、子 供 は 山 の 麓 に た っ て い る 。単 元 の 終 了 が 頂 上である。 さ ら に 次 か ら 次 へ と 、1 つ 1 つ 山 の 頂 上 を 征 服 し て い か な け れ ば な ら な い。 子 供 に「 一 人 で 頂 上 ま で 登 っ て ご ら ん 」と 命 じ る と 、山 の 麓 に 立 つ 子 供 は 、同 じ よ う に 登 山 口 を 発 見 し よ う と し て 、う ろ う ろ す る や ら 、発 見 で き ず に 登 り 始 め ら れ な い 者 も い る 。登 山 口 は わ か っ た が 、ど の ル ー ト を 行 け ば よ い の か 、途 中 で 道 に 迷 っ て し ま う 者 も い る だ ろ う 。頂 上 が 険 し くみえるので、引き返してしまう者もいることだろう。 現在の学校教育や集合指導塾にもあてはめられないだろうか。 麓に立つ子供たちを教師がリーダーとなって集団で頂上を目指すこと に し よ う 。登 山 口 は 当 然 わ か る の だ が 、足 腰 の 強 い 子 供 は 、リ ー ダ ー の 前 を ど ん ど ん 先 に 進 め る の で 、物 足 り な い 。足 腰 の 弱 い 子 供 は リ ー ダ ー の 後 ろ に つ い て 進 む 。リ ー ダ ー は 平 均 的 な 足 腰 の 強 さ の 子 供 の ペ ー ス で 進 む し か な く 、つ い に リ ー ダ ー の 視 界 か ら 消 え 去 っ て 、途 中 落 伍 す る も の が 出 て く る 。し か し リ ー ダ ー は 、必 ず 頂 上 に 立 た ざ る を 得 ず 、先 に 進 ん だ 者 た ち を 追 い か け て い く 。引 き 返 せ な い 。ど う だ ろ う 。こ れ が 現 在 の集合授業そのものをたとえているのではないだろうか。 ■山の頂上まで誰でも登れる階段をつけてみた そ れ で は 、山 の 麓 か ら 頂 上 ま で 、子 供 の 足 に 合 せ た 高 さ の 階 段 を つ け て み た ら ど う だ ろ う か 。 1段 目 に 登 っ た 子 供 は い と も 簡 単 に 2段 目 に そ し て 3段 目 に ・ ・ ・ ・ い よ い よ 頂 上 へ と 到 達 で き る の で あ る 。 登 山 口 を さ が す 必 要 も な く 、途 中 で 道 に 迷 う こ と も な く 、自 分 の ペ ー ス で着実に、頂上へとたどり着くのである。 実 は 、プ ロ グ ラ ム 学 習 と は 学 習 す る 単 元 を ス モ ー ル ス テ ッ プ に 細 分 化 し 、 徐 々 に レ ベ ル を 上 げ て い く 、ま さ に 麓 か ら 頂 上 へ 通 じ る 一 本 の 登 り や す い階段だったのである。 こ の 階 段 は 、教 師 が 子 供 の 手 を つ な い で 、引 っ 張 り な が ら 登 る 階 段 で は ない。 教 師 が 手 を 引 け ば 子 供 の 足 の 筋 力 は つ か な い 。登 り や す い 階 段 を 子 供 一 人 で 登 ら せ る こ と で 、足 の 筋 力 が 強 化 さ れ 、一 人 で も 登 れ る ん だ と い う 、 大 き な 自 信 を つ け る こ と な の だ 。こ れ こ そ 、私 の 主 張 す る 本 物 の「 自 立 学習」が達成できる方法だったのだ。 ■学力の差は時間で補える も し こ の 階 段 を 2 人 の 子 供 A君 と B君 が 登 っ た と し よ う 。 A君 は 頂 上 ま で 2 時 間 で た ど り 着 い た 。 B君 は 6 時 間 か か っ た 。 も し 階 段 が な か っ た と し た ら 、 B君 は 頂 上 に た ど り 着 く 前 に 落 伍 し て い た か も し れ な い 。 し か し B君 は 時 間 が 少 し か か っ た け れ ど も 、 自 分 一 人 の力で頂上に立つことができた。 こ の た と え を 学 習 に あ て は め て み よ う 。A君 は 、あ る 単 元 を 2 時 間 で 終 了 し た 。 B君 は 、 6 時 間 か か っ た が 終 了 で き た 。 A君 は 理 解 す る ス ピ ー ド が 速 く て 、普 通 の 授 業 に も 十 分 つ い て い け る 、い わ ゆ る 学 力 が 高 い と 言われている子供。 B君 は 理 解 す る ス ピ ー ド が 遅 い タ イ プ 、 じ っ く り 型 か も し れ な い 。 普 通 の 授 業 に は つ い て い け ず 、い つ の 間 に か 取 り 残 さ れ て し ま い 、学 力 が 低 いと言われている子供。 ところがどうだろう。 プログラム学習というスモールステップの階段を自分のペースで登る 学 習 方 法 で は 、 A君 ・ B君 2 人 と も 頂 上 に 立 っ て い る で は な い か 。 頂 上 に 立 っ て い る と 言 う こ と は 、 A君 ・ B君 の 学 力 差 は ほ と ん ど な い と い っ て い い の で あ る 。そ れ で は A君・B君 の 差 は 何 な の か・・・・。 そ う 。 時 間 の 差 な の だ 。 B君 も 自 分 の ペ ー ス で 登 れ る 階 段 が あ れ ば 、 必 ず 頂上に立てるのだ。 小 中 学 生 の 間 に マ ス タ ー し な け れ ば な ら な い 学 習 内 容 は 、特 殊 な 事 情 が ない限り誰にでも到達できる高さだったのだ。 正しい手順で必要な時間をかければ誰にでも到達できることだった。 私 た ち は 、コ ン ピ ュ ー タ ー に よ る プ ロ グ ラ ム 学 習 を 行 う た め 、こ の ス モ ー ル ス テ ッ プ を 子 供 の 足 に 合 せ て 順 序 正 し く つ く っ た 。子 供 は マ イ ペ ー ス で 他 人 を 気 に す る こ と な く 、全 員 が 頂 上 に 立 つ こ と が 可 能 に な っ た の だ。 学力の差は必要な時間をかければなくなってしまうのである。 ●インプット学習からアウトプット学習 ■インプット学習・アウトプット学習とは コンピューターの用語にインプット、アウトプットという言葉がある。 こ の 言 葉 を 引 用 し て イ ン プ ッ ト 学 習 、ア ウ ト プ ッ ト 学 習 と い う 言 葉 を つ くってみた。 ①インプット学習 イ ン プ ッ ト 学 習 と は 、先 生 か ら 受 け 身 的 に 、た だ 授 業 を 受 け た 状 態 を い う。読書のみの学習。一方通行的に習うだけの学習をさす。 しかしインプットしたつもりが図にもあるように意外にア~ウの状態 にあることが多い。 ア.情報がインプットされずに素通りした状態。 イ.情報が定着せずに、突き抜けた状態。 ウ.情報を理解できずに、跳ね返した状態。 ②アウトプット学習 アウトプット学習とはイン プットした情報を自分なり に理解し、その情報を外に 出す訓練をさす。インプッ トした情報が定着していな ければ、アウトプットでき ない。たとえば単語を書い て覚える。沢山の演習問題 を紙に書いて解く等。 つまりアウトプットでき るということは、インプッ トした内容が定着している ことになるわけだ。 図のようにインプットした 情報をアウトプットできて 初めて定着したことが確認 できる。 ■学力向上の秘訣はアウトプット学習にあった。 現在、塾に通っている生徒や家庭教師につ いて学んでいる生徒の学力の向上度について 考えてみたい。 私自身20数年、個別指導塾で生徒を指導し てきた。もちろん教える指導で学力が向上す る生徒もいた。しかし学力の向上度がいまひ とつかんばしくなく、現状維持がやっとという生徒もかなりの数いた。 別 に 手 を 抜 い て 指 導 し て い る わ け で も な く 、当 時 は 私 も 教 え る こ と を 業 と し 学 力 向 上 の 研 究 を し な が ら 指 導 し て い た の で 、い わ ゆ る ア ル バ イ ト 講師とはもちろんひと味違った指導をしていた自負はある。 こ ち ら が 一 生 懸 命 に 指 導 し た に も か か わ ら ず な ぜ 、思 う よ う な 学 力 の 向 上が果たせなかったのか。この答えは実は簡単なことだったのだ。 ま ず 学 力 が ぐ ん ぐ ん 向 上 し て い っ た 生 徒 の 様 子 を ご 紹 介 し よ う 。A君 当 時 中 3 は 4 月 に 入 塾 し て き た 。当 時 私 は 文 系 を 担 当 し て い た の で 、英 語 を 中 心 に 指 導 し た 。こ の 生 徒 は 英 語 に 対 し て ま っ た く 自 信 が な い と い う こ と だ っ た 。指 導 を し て い く う ち に こ の 生 徒 は 中 1 で す で に 学 習 し て い る べ き 三 単 現 の Sの 内 容 を い い 加 減 に 理 解 し て い た 。 平 均 点 は 常 に 取 っ て い た が 、こ の 部 分 の 理 解 が 不 足 し て い る た め に 、自 信 の な い 解 答 を 繰り返していたようだ。 自 信 が も て な い 科 目 は 、な か な か 勉 強 す る 気 に な れ ず に 、中 3 に な る ま で 放 置 し て い た よ う だ 。こ の 生 徒 に は 、も ち ろ ん 中 学 1 年 生 で 習 う 三 単 現 の Sか ら 指 導 を 行 っ た 。 英 語 が わ か ら な く な り 始 め る 分 岐 点 が あ る と す れ ば 、実 は こ の 三 単 現 の Sな の だ 。 こ の 生 徒 は こ の 学 力 の 穴 が 埋 ま る と 驚 く よ う な 勢 い で 、自 分 な り に 勉 強 を 開 始 し た の だ っ た 。も ち ろ ん 宿 題 だ け で は な く 、進 ん で 問 題 集 を 解 い て い く 姿 勢 が で て き た 。さ ら に「 先 生 、こ の 問 題 が わ か ら な い の で 教 え て く だ さ い 。」と 積 極 的 な 質 問 も 増 え て き た 。当 然 英 語 の 学 力 が 目 を 見張るほどの勢いでついてきたのは言うまでもなかった。 こ の 生 徒 の 例 で わ か る の は 、受 け 身 の 授 業 を い や い や 受 け て い る だ け で は 、学 力 は 定 着 し な い と い う こ と な の だ 。私 は こ れ を「 イ ン プ ッ ト 学 習 」 とよんでいる。 インプット学習では、確かに習ったことに対して理解はできるけれど も 、す こ し 違 う 角 度 で 問 題 が 出 題 さ れ る と 手 が つ か な い こ と が 多 い よ う だ。 テ ス ト の 採 点 後 、テ ス ト を 返 し て も ら っ て 先 生 の 解 説 を 受 け た 時 、全 部 理 解 し て い た の に 、な ぜ テ ス ト の 時 に 、こ ん な ふ う に 書 け な か っ た の か なということが、誰にでもあると思う。 ところが自分で工夫しながら積極的に問題を解いていくと言うこと は 、「 イ ン プ ッ ト 学 習 」し た 後 に 、そ れ を「 ア ウ ト プ ッ ト 学 習 」を す る 。 つまり訓練を行うことになる。 こ れ は 、よ り 応 用 力 が 鍛 え ら れ る だ け で な く 、確 実 な 記 憶 と 思 考 が 定 着 するものなのだ。 今 度 は 、 学 力 が な か な か 向 上 し な い 生 徒 の 例 を ご 紹 介 し よ う 。 B君 当 時 中 2 は 、中 1 の 2 学 期 か ら 通 塾 し 始 め 、も う 1 年 に な る 。性 格 は ま じ め な ほ う で 、割 合 の ん び り し て い る と こ ろ が あ り 、授 業 中 の 態 度 は 良 好 だ っ た が 、授 業 中 時 々 好 き な マ ン ガ の こ と で も 考 え て い る の か「 ボ ー ッ 」 と し て い る こ と が 多 く あ っ た 。こ の 生 徒 は 授 業 中 に テ キ ス ト に 大 切 な こ と や 、答 え は き ち ん と 書 き 込 ん で い る し 、こ ち ら の 質 問 に も 答 え ら れ る 程 度 の 理 解 は し て い た の だ が 、残 念 な が ら 、家 で は ま っ た く 塾 の テ キ ス ト を 開 い た こ と が な か っ た 。自 宅 学 習 は ほ と ん ど ゼ ロ 。い や い や 宿 題 を や っ て く る 程 度 だ っ た 。こ の 生 徒 は「 イ ン プ ッ ト 学 習 」は 一 応 や っ て い る よ う に み え る が 、「 ア ウ ト プ ッ ト 学 習 」は ゼ ロ に 等 し い も の だ っ た の だ 。試 験 前 に 教 科 書 は 読 ん で 理 解 す る が 演 習 は し な い 。単 語 も 書 い て 覚 え な い 。問 題 の 答 え を み て 理 解 は で き る が 、自 分 で は ス ラ ス ラ 解 け な い 。 もちろん試験では平均点すら取れないことがしばしばであった。 こ れ ら A君 と B君 の 例 で わ か る こ と は 、 い く ら ま じ め に 「 イ ン プ ッ ト 学 習 」を 行 っ て も 自 分 な り に 考 え 抜 い て そ れ を 工 夫 す る「 ア ウ ト プ ッ ト 学 習」による訓練を怠れば、せっかく新鮮な食材を仕入れておきながら、 料理もせずに腐らせてしまうことと本質的には同じことになりはしな い か 。自 分 な り に 工 夫 し な が ら 料 理 し て 、初 め て お い し い デ ィ ナ ー が で きあがるのだ。 集 合 授 業 や 普 通 の 個 別 指 導 塾 ま た 、学 生 の 家 庭 教 師 の 指 導 に あ り が ち な指導方法はまさに、この「インプット学習」が中心だったのだ。 勉強はインプット学習からアウトプット学習につなげて初めて学力の 向上があり得るのである。 ■コンピューター学習とはアウトプット学習だった。 それではどうすれば、誰にでも簡単に 「 イ ン プ ッ ト 学 習 」か ら「 ア ウ ト プ ッ ト 学 習 」に 連 結 さ せ る こ と が で き る の だ ろ う か 。 コンピューター学習における学習効果の 中 で 、私 が 注 目 し た 最 大 の メ リ ッ ト が 実 は ここにあったのだ。 コ ン ピ ュ ー タ ー 学 習 で は 、ま ず 、自 分 の ペ ー ス で 学 習 内 容 を イ ン プ ッ ト 学 習 す る 。ノ ー ト に 書 い た り 、解 き 方 を 自 分 の ペ ー ス で 理 解 す る 。次 に コ ン ピ ュ ー タ ー に 向 か っ て 自 分 で 考 え た り 暗 記 し た こ と を ア ウ ト プ ッ ト し な け れ ば な ら な い 。ア ウ ト プ ッ ト し て 初 め て コ ン ピ ュ ー タ ー が 正 解 か 不 正 解 か を 瞬 時 に 答 え て く れ る 。つ ま り コ ン ピ ュ ー タ ー に 向 か っ て ア ク シ ョ ン し な け れ ば な ら な い わ け だ 。頭 に イ ン プ ッ ト し た も の を す ぐ に ア ウ ト プ ッ ト す る 。ノ ー ト に 書 い て 徹 底 暗 記 訓 練 を す る 。暗 記 し た こ と を ア ウ ト プ ッ ト す る 。つ ま り イ ン プ ッ ト と ア ウ ト プ ッ ト の キ ャ ッ チ ボ ー ル 。こ の タ イ ミ ン グ が 、学 習 効 果 を 最 大 限 に 引 き 上 げ て く れ る 秘 訣 な の だ 。勉 強 の 仕 方 を 会 得 し て い な い 生 徒 に と っ て 、勉 強 の 仕 方 か ら 訓 練 さ せ る こ と に な る 。今 ま で 膨 大 な 時 間 を 費 や し て学校や塾で授業を受けたにもかかわらず学力が定着していない生徒 の 場 合 と 比 べ て 、コ ン ピ ュ ー タ ー で 学 習 し て い る 生 徒 は 学 習 時 間 に 比 例 して学力が向上していくのも当然と言えるのである。 ●「松下村塾」の吉田松陰はコーチングの天才! 江戸時代の終わりごろ、静かなたたずまいの中にポツンと身を構えた木造平 屋建ての小屋「松下村塾」があった。 この小さな部屋で、門下生を教育した青年「吉田松陰」 。 若い情熱をぶつけ至誠を貫いた彼の教育は、門下生の魂を揺り動かし、明治維 新の原動力となった高杉晋作や明治政府の総理大臣伊藤博文など幕末から明治 に活躍する青年を育てあげた。 「あなたは、何のために学問をする のか? そして、何をなそうとする のか?」……吉田松陰は、入門を請 いに来た若者にそう問いかけた。こ れが、松下村塾の入塾試験だったの だ。今で言うコーチング術をすでに 使っていたのだ。 勉強をする上で一番学ぶべきこ とは、人間として大切なことは何か、 そして人間はどのようにして生きていくべきかを自分で自覚することであると 説いた。 松下村塾の教育方法は、個別指導のもと、門下生の自主性を尊重し、自分で 考える力を養わせるというものだった。さらにこまめに写本を勧め、重要な部 分のノート学習を通して、深く読み深く理解することを徹底させた。 これら学習方法を通じて門下生達は、自分の個性に目覚め、進むべき道を見 つけ、邁進することによって、自分の人生だけでなく人の役に立つための「魂」 を身に付けていったのだ。 歳月は流れ、時代は21世紀を迎えた。さかんに教育の崩壊が叫ばれている。 一斉指導中心の学校教育、依頼心を増長させるだけの個別指導・家庭教師の弱 点は何か…。 この弱点は、現代の最先端技術であるパソコンの出現によって解決されよう としている。 自主性を育てるためには、まず学力・能力に応じたきめ細かな指導を徹底する 必要がある。大容量のパソコンが個人の学習履歴を瞬時に記録・分析し、的確 な指示を出すことで、個々に異なる学力の穴を埋めていく。自分一人の力で「わ かった!」という感動と自信が、自主性を育てる最大の秘訣なのだ。 ショウインは、学年にとらわれることなく、解らないところは、わかる所ま で戻って何度でも繰り返し、しっかり楽しく学べる学習方法だ。特にアウトプ ット学習に力点を置き、動画や音声を使った右脳理論を随所に取り入れるなど、 パソコンの特徴を最大限に生かした。 私達が目指す指導方法が不思議に松下村塾と合い重なり合うことに 驚 き を覚 え て い る 。吉 田 松陰 の 教 育 方 法 を 模 範に し て い く こ と も 、今の 教 育 が失 い か け た 教 育 の 根本 に 警 鐘 を 鳴 ら し、改 善 さ せる 一 方 法 にな ら な い だろ う か 。「 松 下 村 塾が 最 新 の パ ソ コ ン ネッ ト ワ ー ク に よ り 現代 に 蘇 っ た 」と言 わ れ る こ と は大 変 面 白 い 事 で あ る 。私ど も の 教 育 方 法は 最 新 の パソ コ ン の 機 能 を 十 分活 用 す る こ と に よ り、教 育 の平 均 値 を あげ る 目 的 で行 わ れ て き た 、集 合 一 斉指 導 方 法 の 弊 害を 取 り 除 き 、教 育 の原 点 を 復 活さ せ る 、本 物 教 育 の普 及 に 繋 が っ て 行 くか も し れ な い と 思 って い る 。 ショ ウ イ ン の 名 前 の 由来 は 、 も う お 気 づ きの 通 り で あ る 。 「学は人たる所以を学ぶなり」 吉田松陰 1830-1859 ●ショウインの戦略 現在、学習塾業界は少子化の渦中にあり、勝ち抜くためにさまざま特色を模索 している。 塾業界のニーズは現在大きく二極化してきた。1つは進学に特化した受験塾。 もう1つは学校での学力低下をくいとめるための補習塾(個別指導塾)である。 フランチャイズ学習塾業界は後者の補習系個別指導塾である。最近は大手が M&Aで中小塾を抱え込むなどまさに学習塾の戦国時代を迎えている。 ショウインの戦略はこうである。「点と面」のセグメント戦略。 ショウインを個人利用者向けのサービスとして「面」で拡大を図り、その面の 中の拠点として学習塾【認定校】を「点」として置いてサポートの砦とする戦 略である。 ■「面の戦略方法」=ショウインの拡大戦略 在宅学習のニーズが年々高まってきてい る。夜の通塾時の安全面から保護者の送り迎 えは常識となっている。在宅学習としては、 現在家庭教師か通信教育しかなく、後者の通 信教育では生徒の目的がはっきりしていな いと続かないし、質問の受け答えにあまりに もタイムラグが生じるというデメリットが ある。家庭教師の場合は、学生教師が自宅に出入りするという煩わしさと、親 不在では密室になるため不安な要素が拭いきれない。月謝も高い。 ショウインの場合、自立型学習支援システムに沿って学習するだけで、塾と 同レベルの学習が24時間、どこにいても(旅先からでも)学習できる。さらにテ レビ電話を利用した学習(ショウイン・プラス)の進捗管理と質問を受けるこ とで、生徒本人の緊張感の維持と学習の習慣作りを行うことが出来、全く新し い家庭教育のスタイルが生まれることになる。月謝も従来のものと比べると破 格の金額となっている。先生の採用、研修も同様にインターネットを介してテ レビ電話で行うことが出来、在宅で教育関連の仕事として相当なニーズがあり、 供給にはことかかないのが現状である。将来補習系の学習塾は、このような合 理的なスタイルにとって変わる時代が必ず来る。いち早く打ち出したところが、 シェアNo1を維持していくことになるだろう ■「点の戦略方法」=学習塾へのインターネット学習システム普及 ショウインの認定校として、通塾型、遠隔指導型の塾を全国に展開している。 先にも述べたとおり、学習塾業界として、新しいシステムを待ち望んでいると ころである。全 国 の 3 万 5 千 件 と も 言 わ れ る 学 習 塾 に こ の ショウインを低 価格で提供することを提案したい。なぜなら、現行のオンライン教材は映像配 信授業やPDFファイルのダウンロードが主流であり、補助教材の粋を出ない。 当然講師の代わりをすることも不可能であり、講師の人件費削減にもつながら ない。そもそも生徒が自己採点するのなら、市販のプリントと何ら変わること がないのである。 ショウインは自動採点機能付き、ベテラン講師の味付けをした問題自動出題 機能が付いている。宣伝方法、販売方法を工夫するだけで相当なシェア拡大が 可能な事業である。 株式会社ショウイン 著 代表取締役 田中正徳 さらに詳しくご覧になりたい方は 執筆 株式会社ショウイン 代表取締役 田中正徳 「チャイルド・スタディー・コーチング」 株式会社 弘文堂 発行 (全国有名書店で好評販売中)
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