須坂市立常盤中学校だより 碧 空 平 成 27年 10月 9日 (金 ) 第3号 第46回 常盤祭 瞬彩 ~ この一瞬を色とりどりに~ 1日目 「常盤祭のスタート 開祭式」 オープニングセレモニーでは,第68期校 友会役員による劇が行われました。テーマは ルパン対コナン。常盤中に隠された宝箱を先 に見つけ出したルパンでしたが,宝箱は簡単 には開きません。宝箱を開けるためのキーワ ードを13名の歴史上の人物が握っているこ とを知り,全校生徒と共に宝箱を開ける鍵を 探す2日間がスタートしました。 「学びを伝えたステージ発表」 JRCトレセン 三浦市親善訪問 広島平和学習 2年生のJRC委員が毎年参加 三浦市の紹介や,交流学習 原爆投下から70年目を迎 しているトレーニングセンター の体験の様子を資料や写真を交 え,全校生徒で折った千羽鶴を の報告を行いました。 えて発表しました。 届け,改めて平和の尊さを実感 しました。 意見発表会・英語スピーチ 技術部 意見発表会では,各学年2名の代表者が,様々 今年もピタゴラスイッチを製作し,それを動 な視点から自分の考えを論理立て,わかりやす 画に撮ったものや独自に制作した楽しい映像な く伝えてくれました。 どを見せてくれました。 英語スピーチは素晴らしい発音で,堂々と発表 特に,CMパロディ集が大変面白く,会場を してくれました。 大いに沸かせてくれました。 「一致団結した体育会」(雨天のため,市民体育館に移動して種目を一部変更して行いました。) 玉入れ 色分けされた玉を縦割りのク ラス毎のかごに入れ,全校で順 位を競いました。かなり多くの 玉が入り,数えるのも大変でし た。3年4組が全校1位でした。 大縄跳び 跳ぶ方も回す方も大変な大縄 跳び。ポイント制で2回行い,1 回目は3の1,2の1,1の4, 2回目は3の1,2の1,1の1, 1の4が1位になりました。 全員リレー 走る順番,ショートカットの 利用,バトンバスの巧みさ等, 走力以外の学級のチームワー ク・応援の盛り上がりがありま した。 2日目, 「心にひびかせた吹奏楽部・合唱部発表」 吹奏楽部 合唱部 夏のコンクールで演奏した曲から,JーPO 合唱部発足3年目を迎え,男子の協力も得て, Pの人気の曲まで,全6曲を披露しました。曲 厚みのある澄んだ歌声を披露してくれました。ド の中で,3年生は一人一人ソロ演奏を入れて発 ラマで使われた馴染みのある曲を,ソロで歌った 表し,部活動を締めくくりました。 り振り付けを交えたりして,工夫あふれる発表に してくれました。 「成果を発表し合った音楽会」 各クラスを審査いただき,賞が贈られます。特に素晴らしいクラス にその年の最優秀賞が贈られます。 杉山由一先生(柳原公民館長,前柳町中学校長)を審査員にお迎えし,講評をしていただきました。 先生からいただいた講評を載せました。 2学年合唱 「はじまり」 ○無伴奏の歌い出しから言葉を大切に,ていねいに表現されています。各パートの重なりのハーモ ニーが美しく,見事にまとまっています。 ○よく頑張って練習しましたね。先日の指導を大切に表現に生かしてくれてとても嬉しいです。 ○音楽会のオープニングにふさわしい学年合唱でした。感動しました。! ブラボー!! 2年1組「勝利の行進」 金賞 2年2組「旅立ちの時」 ○男声もよく安定して歌えており,この雄大な曲 をよく表現できています。ユニゾン,ハーモニー ともに曲の感じをよくとらえて歌えていますが, バランスや,更に弱声をていねいに歌うようにす るともっとよくなります。 ○拍のきざみが正確に歌えていて,クラスの協力, まとまりを感じました。クラシックの名曲をよく 歌い上げて感心です。 2年3組「いのちの歌」 銀賞 須坂支援学校 須坂支援学校校歌 ○曲のやわらかな曲調がしっかりとらえられて います。メロディーに対するバランスがよく表 現できています。ア・カペラの開始,工夫され ていますね。フレーズも大切に歌い切れて,て いねいに歌えているのがいいです。 ○高音から低音まで同じように共鳴できる発声 を作っていきたいです。更に表現の幅が広がり ます。 2年4組「生きている証」 ○しっとりとした曲の感じがよくとらえられてい て,表現使用とする気持ちがよく伝わってきます。 「なきたい日もある~」からの曲調 ,「本当に大 事なもの~ 」「ささやか~」など,その部分にあ わせて表現を工夫しているところがすばらしい。 ○メロディーライン跳躍がむずかしいですが,よ く頑張っています。ハーモニーのバランスや,音 色が更に豊かになることが大切。もっともっとよ くなります。曲を歌うことでできたクラスのまと まりを大事にしていきましょう。 銀賞 銀賞 ○クラスの心がひとつになって,まとまった表 現を作っています。素直な歌い方に好感が持て ます。ハーモニーが時々不安定になる面や,フ レーズの歌い終わり,最後の音を大切に表現す ることに気をつけて歌うと更に表現の幅が広が ります。 ○のどの奥を広くして,支えのある呼吸を意識 す る と も っ と伸 びや かな 歌 声に な る と思 い ま す。頑張ってください。 ベストハーモニー賞 ○一人一人が精いっぱい自分を表現して作り上げたステージ。とってもステキですね。先生方も子 どもたちと一緒に作っていただき,まさに学校を中学部をあげての発表ですね。ここまでまとめる のにたくさんのご苦労があったと思います。立派にステージを勤め上げた子どもたちに大拍手!! 心が洗われました。感動です。これからも頑張って下さいね。 1学年合唱「COSMOS」 ○先日の私の指導をよく覚えていてくれて,しっとりと歌詞を大事にした合唱になっていました。 ○場面による曲の変化がよく創り出されています。聞いていてとっても嬉しくなりました。教えに 来たかいがあったと思い,また私の思いや指導を受け入れてくれた1年生のみんなに感謝していま す。心からありがとう。ブラボ-!! 1年1組「時を越えて」 銀賞 1年2組「変わらないもの」 銀賞 ○しっとりとした曲の感じがよくとらえられて います。メロディーラインが美しく,言葉を大 切にして歌われています。フレーズの切れ目, 終わりの音の表現をていねいにしめくくるよう にすると更に音楽的になります。 ○いずれにしても,皆さんの伝えよう,表現し ようとする思い,気持ちは十分に伝わってきま した。心に響きました。 ○曲の感じ,イメージがよくとらえられていて, 表現につなげようと工夫して合唱しているところ がとてもいいです。 ○男女のバランス,メロディーに対するバランス もよく,全体的によくまとまっています。 ○少しハーモニーが崩れてしまうところがありま す。やさしい音やとけ合う響きを大切にして歌っ ていきましょう。 1年3組「HEIWAの鐘」 1年4組「あさがお」 金賞 ○とかく乱暴に叫んでしまいがちな歌い出しの 部分ですが,内側からの思いを大切にして,メ ッセージをしっかり伝えようとしている面がと てもすばらしいです。 ○バランスで男声の高音がメロディーより強く なってしまう所,もう少し大切にしたいです。 ○全体に歌詞を大切に,ていねいに歌えている のがとても良かったです。 銀賞 ○しっとりと,歌詞の内容を大切に表現しようと いう気持ちがしっかりと伝わってきます。 ○バランス的に女声もっと頑張ってほしいです。 混三だとどうしても男声が強くなりがちです。 ○メロディーラインが浮き立つようにバランスを 調整しましょう。一つ一つの音がていねいに歌わ れていて好感が持てます。落ち着いたクラスの雰 囲気が想像されます。 常盤中学校合唱団「プレゼント」 ○こんなにたくさんのメンバーで歌えること,とってもすばらしいですね。前に指導した時からこ んなに増えているなんて,びっくりしました。すごいですね。 ○歌詞の内容をよく理解して,落ち着いた表現になっています。今年最後のプレゼントの発表かな? いい形で発表できてよかったですね。気持ちよく聞くことができました。 PTA・職員合唱「糸」「名づけられた葉」 ○常盤中の子どもを支えるPTA,そこに職員が加わってのしっとりとした情感たっぷりの合唱に 心打たれました。 ○「糸」後半の盛り上がりがステキです。心こもった合唱,いいですね 。「名づけられた葉」ユニゾ ンのfの出だし,チームワークのよさを感じさせるまとまりですね。 ○「わたしも一枚の」のしっとりとした表現,その前後の対比が見事です。ルルル・・・,難しい部分 もよく練習してあります。力強いエンディング,さすがです。すばらしい合唱でした。 3年1組「あなたへ」 金賞 3年2組「証」 金賞 ○しっとりと歌う場面と力強く表現する部分, 「あいと~」のコントラストがしっかり歌い分 けられ,しかも決して乱暴になっていないとこ ろがとてもすばらしいです。 ○細かい音符に与えられた言葉が,もっと鮮明 に聞こえるともっといいと思います。もっと口 が全体に動くことが大切です。フレーズのしめ くくり,歌い終わりをていねいに,最後まで気 を抜かずに歌いましょう。 ○細かい音が多く,音取りも,合わせるのも難し い曲ですが,よくここまで練習し,歌い込んであ ると感心しました。 ○バランスとしては,やはり女声がもっとほしい ところです。四部合唱の方がバランスがいいかも しれません。全体にメロディーがもっと表面に浮 き立つようなバランスでハーモニーを作って下さ い。しっとりとした情感あふれるいい合唱でした。 3年3組「そのひとがうたうとき」 金賞・最優秀賞 3年4組「聞こえる」 金賞 ○深い味わいのある曲をしっとりと豊かな情感 で歌い上げていて,感心しました。 ○各パートそれぞれしっかりと歌えていて,ま とまりのある合唱ができていること,すごいで すね。 ○メロディーを中心としたバランスがもっと作 れるといいと思いました。音色のまとまりも更 に追究したいところです。私の心も充実するよ うな気持ちでした。ありがとう。 ○ピッタリと合ったユニゾンの出,すごいですね。 気持ちがしっかりとそろっています。mpのソフ トの表現の中に情感が豊かに感じられます。そこ からのハーモニーへの移行もスムーズですが,も う少し対比をはっきりさせたいところです。 ○fの力強さ,迫力の表現がもう一歩ほしかった です。でもこの曲のメッセージはしっかりと伝わ ってきました。練習の成果の表れですね。更に歌 い深めていってください。 3学年合唱「葡萄の樹」 ○歌い出しのハミングから,fへの移行の仕方が見事で,思わず表現に引き込まれます。先日の指 導からまたひと回り充実した合唱になっていて感心しました。各パートのバランスも絶妙に整って きています。一人一人の力がしっかりと集まり,まさに3年生らしい立派な合唱でした。 3学年・常盤中学校合唱団「群青」 ○これだけの人数で「ああ,あのまちで~」と歌うととてもいいですね 。「またねと~」男声の表現 とってもステキです。響きを大切にしたソフトな歌い方が効果を上げています。 ○メッセージ性の強い曲です。とかく気持ちが出すぎて,表現がこわれてしまいがちですが,音楽 的に上手にまとまった合唱です。感心しました。エンディングの盛り上がりもよく揃っていました。 心に響きましたよ。 全校合唱「大地讃頌」 ○音楽会のしめくくりにふさわしい重厚なハーモニー。全校で気持ちを一つにすると,こういう感 動的な表現になるんだと実感しました。メリハリのきいたそれぞれが,一人一人しっかりと表現し ている合唱! すばらしかったです。 「感動のフィナーレ 閉祭式」 キーワードを全校で探し出し,最後は会長から鍵 を開ける答えが出されます。常盤祭に向けての準備や 2日間の様子がプロジェクターで投影され,宝箱を開 く鍵とその中身は常盤中学校生徒一人ひとりの個性 (彩り)や輝きであることを知ります。 最後は,全校でテーマソングの「虹」を歌い上げ, 全校でこの2日間で得た沢山の彩りをこれからも鮮や かにしていくことを誓い,常盤祭は閉祭となりました。 この2日間の発表や,発表を聞く姿勢,それまでの沢 山の準備の努力に常盤中の成長を感じました。 校長講話 9月30日(水) 「人はなぜ勉強するのか」~吉田松陰の生き方から学ぶ~ 大きな成果をおさめた第46回常盤祭が終わり,本年度の学校生活 も後半に入りました。季節も秋本番を迎えます 。「勉学の秋」とい う言葉がありますが,進路実現や自分の目標に向かって,学習にし っかりと向き合うことができる時です。4月6日の始業式で「中学校 は学習するところであるということをしっかり自覚してほしい」と いう話をしましたが,腰を据えて学習に向かってほしいと思います。 そこで今日は ,「人はなぜ勉強するのか」というタイトルで,社 会科の学習などから知っている人も多い幕末の志士(身を犠牲にし て国や社会のために尽くそうという高い志をもっている人 )「吉田 松陰(しょういん)」の生き方から考えてみたいと思います。 吉田松陰は,今から180年ほど前の1830年(天保元年,江戸時代)に今の山口県の萩の松 本村に生まれ,1859年安政の大獄に連座した罪で,江戸伝馬町の牢屋敷で処刑されました。そ の一生は29年2ヶ月あまりの短いものでした。しかし,松陰が師を務める「松下村塾(しょうかそ んじゅく )」で学んだ高杉晋作や伊藤博文などは,後の明治維新に大きな影響を与える人物へと育っ ていきます。松陰は,その人物の偉大さから「千秋の人(千年もの歴史に名を残す人という意味)」 とも呼ばれています。 なぜ,松陰は偉大な人物と呼ばれるようになったのでしょうか。松陰の生まれた杉家は,貧しい 半農半士の下級武士でしたが,学問に熱心な家でした。6歳の時,萩藩の山鹿(やまか)流兵学師 範を代々務める吉田家に養子に入り,その後,家を継ぎます。兵学とは,戦術などを学ぶ学問です が,その師範となるために必死に勉強し,11歳の時には,萩藩主毛利敬親(たかちか)の前で講 義を行います。松陰の学問の高さに藩主は驚かされます。11歳の少年が,藩の殿様の前で兵学の 講義をするということは,当時も考えられませんでした。 ある祝日,兄の梅太郎が「今日は勉強をやめて,休息しようじゃないか」と松陰を誘ったところ, 松陰は「いや,この一日も一生の内の一日である」と答え,勉強をやめなかったということからも, 松陰の勉強に対する思いの強さがうかがわれます。その後も松陰は,学問を追い続け,日本各地を 歩き,勉学に励みました。20歳の時,南は熊本,北は津軽まで歩き,その総距離は1万3000キロに 及んだといわれています。 松陰は,日本が鎖国をしていた最中の1854年3月27日の夜,下田港に停泊しているアメリ カの軍艦に乗り込んで出国をしようとします。しかし,それは失敗に終わり幕府に捕えられ,牢に 入れられます。その牢の中で,最初の二か月に読んだ本は106冊,翌年488冊,翌々年505 冊と伝えられています。その時の心境を 「朝起きてから夜寝るまで,一心に務め励んで読んだり抜き書きをして,ある時は感動して泣き, ある時は喜んで躍り上がったりすることがやめられない。この楽しみは,他に比べられるものがあ るとは思えない」 と言っています。今は,大事なところはコピーをすれば済むことでしょうが,松陰は,大事なとこ ろを抜き書きしコメントを加えました。そうすることで。内容をより深く理解していったのです。 また,牢の中でも,中国の『孟子』などの講義をしたため,乱れていた牢の空気は一変し,囚人達 は互いに教え,学び合うようになっていったと言われています。 牢から出た松陰は,1857年(安政4年)11月,杉家の庭先の小屋を改装し,塾を主宰します。 これが現在も松陰神社境内に保存される「松下村塾(しょうかそんじゅく)」です。当時の武士を対 象とした「藩校」とは異なり ,「松下村塾」は,武士に限らず誰にでも講義を行い,その中で数多く の有能な人材を育てました。やがて,塾生達は明治維新を成し遂げる原動力となっていきます。 さて,このような松陰の学問に対する強い思いの原動力は何だったのでしょうか。 「松下村塾」の柱に一対の聯(れん)がかかっています。そこには「万巻(まんかん)の書に非 (あら)ざるよりは,寧(いずく)んぞ千秋の人と為(な)るを得ん。一己(いっこ)の労を軽 (かろ)んずるに非(あら)ざるよりは,寧(いずく)んぞ兆民(ちょうみん)の安きを致(い た)すを得ん」と彫られています。これは ,「人として生まれてきたからには,千年もの歴史にその 名を残すような人物になり,世の中の人々が安心して幸せに暮らせるようにしたい。そのためには, 一万冊の書物を読んで勉強し,進んで世のため人々のため,苦労を惜しまずに尽くさなければなら ない」という意味です。 この気持ちは,松陰の生涯をかけた覚悟であり,夢であったのです。その夢をかなえるため,不 断の努力を続けようと考えたのです。これが「立志」というもので,自分の生涯の目標に向けて人 生をデザインすることです。 では,どうすれば,松陰のような「志」を立てられるのでしょうか。 1つ目は,「自分探し」が大切になります。皆さんは,世界にたった一人のあなただから,一人ひ とりの異なった持ち味を持っています。まず,一人ひとりの持つ持ち味を生かすことが,自己実現 への道になります。それには,まず自分自身を信じることが大事です。松陰は「人は誰でもその内 面に天性の純金を含んだ金の鉱石を授かっている」そして「人によって純金の量は異なっていて良 い」と言っています。松陰自身も,その金の鉱石から学問という手段を使って純金を取り出そうと 努力したのです。 2つ目は,夢を持つということです。夢とは実現したい事柄です。夢の大きさは,大小あるかも しれませんが,夢があるからこそ自己実現の喜びが生まれるのです。 3つ目は,自分の良さや得意なことを知るということです。そのために最も必要なことが勉強で す。皆さんは常盤中学校で今学んでいるすべての教科に全力を挙げて取り組み,自分を試してみる ことが必要です。その中で,自分の得意な分野,あるいは興味を持つ分野,つまり,自分の持ち味 に合った分野がわかるのです。中途半端なぶつかり方では,中途半端な「自分探し」しかできなく なってしまい,おそらく「立志」までには至らないでしょう。「自分探し」を通して,自分の持ち味 を生かせるものが発見できたら,その分野の自分の持ち味を高める努力を続ける,さらに勝ったも のへと変化させていくことが大事です。自分の得意な分野ですから,努力すること自体が生きがい へと変わり,喜びとなっていくはずです。 4つ目です。人と触れ合うことです。2人と触れ合うと3通りのふれあい方が生まれ,5人に触 れあうと15通りのふれあい方が生まれます。いくら得意な分野とは言っても,もしかしたら独りよ がりの自分がいるかもしれません。それを知る機会にもなるのです。そうは言っても,遠くの夢を 追い続けていくことは容易なことではありません。まず,大きな夢を実現するために,目の前の目 標を実現する努力を繰り返すことが必要です。皆さんも自転車を乗ることがあると思います。ちょ っと考えてみてください。自転車のライトは10メートルぐらい先しか照らさないでしょう。しか し,前に走りつづければ,結果的に何キロも照らし続け進むことができると同じ事です。 先に話した松陰の生き方は,この4つのことを実践しています。その中で,「立志」をし,学問を 積み,自分の持ち味を発揮することが社会に役立つと信じて,日々努力をしたのです。皆さんはど うですか。勉強を通して,自分の持ち味を発見しつつありますか。金の鉱石から,あなただけの純 金を取り出す努力を進めていますか。 松陰はこう言っています 。「能(あた)はざるに非(あら)ざるなり,為(な)さざるなり」と。 これは ,「できないのではない。やらないのである」という意味です。皆さんもこの言葉の意味を考 えてみましょう。 松陰は1959年に斬首されます。その場の様子を,首切りに携わった役人がこう述べています。 「いよいよ首を斬られる松陰の態度は,実にあっぱれなものであった。悠々として歩き運んできて, 役人に会釈し ,“御苦労様”と言って座した。その一糸乱れざる堂々たる態度は,幕府の役人も深く 感嘆した。」この姿は,後々まで語り伝えられています。 本年度の後半,良い自分探しができることを期待しています。以上で校長講話を終わります。 生徒の感想から 1年男子 「なぜ勉強するのか 」,自分は 今日の講話を聴いて感じたこと は,自分のこれからの人生の道 をつくっているのだと思った。 確かに勉強に対して大きく抵抗 をもつこともあるが,一歩立ち 止まって自分のやりたいことを 明確にすることが大事だと思っ た。そして,一人で悩むのでは なく,自分を知り,他人を知り, 関係を持っていくのも大切だと 思う。 2年女子 「できないわけじゃない。やら ないだけだ」という言葉につい て,本当にそうだなあと思いま す。なぜなら私も部活などで怖 いことがあったらチャレンジす るのではなく「できないよ」と あきらめてしまうことがありま す。でも,これはできないので はなく,やらずに逃げているの です。だからこの言葉には本当 に共感できます。 3年男子 松陰は,志が高く,ただ種を存 続させるために生きているその 他の獣や虫や植物などではなく, 文化を形成し,文明を発展させ, 芸術に感激し,幸福を追究する 人間として生まれたからには, 人類の歴史に深いつめあとを残 すような千秋の人になることが 幸福であると思っている。自分 も千秋の人となるように努力し ていきたいと思った。
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