財物損害 - 日本船主責任相互保険組合

P&I保険の基礎(2)
「財物損害」
「救助契約等による責任」
2014年1月27日
日本船主責任相互保険組合
損害調査部
I. 財物損害
1.
2.
3.
4.
5.
P&I保険でのてん補範囲
事故例と事故対応
原状回復と新旧交換控除
船主責任制限制度
船骸撤去
1. P&I保険でのてん補範囲
Japan P&I 保険契約規定
第24条 財物等に関する責任及び費用
• 港湾設備等に生じた損害
(本船との接触により、岸壁、ブイ、海産物等に与えた損害)
• 接触以外の原因により第三者に生じた損害
(本船の過大な速力により生じた航波により、停泊していた船舶等
に与えた損害。本船の不当航法により他船に与えた損害。乗組員
のバルブ操作ミスにより誤った貨物を揚げてしまい、陸上タンクの
貨物に与えた損害。)
• 船骸撤去費用
(撤去義務がある場合)
• 本船上の第三者の財物への損害
(用船者の燃料油や荷役機器等へ与えた損害)
2. 事故例と事故対応
(1) 事故例
典型的な事故原因
–
–
–
–
–
操船ミス
Pilot Error
荒天によるもの
見張り不十分
本船主機等のトラブル
• フェンダー、岸壁、荷役施設等
との接触
写真は着岸中に台風の影響による強
風と波浪により本船が動揺し、フェン
ダー、岸壁、荷役施設に損傷を与え
たもの。
• ドルフィン(係船杭、陸岸から離れた水面に束ねた矢板、鋼管
杭、コンクリートパイルなどを海底に打ち込んで作った柱状の
構造物)への接触
®パイル部に座屈、変位などを与えるとパイルの打ち替えが必
要になる場合があり、復旧費が高額となる。
• ローディングアーム(タンカー貨物荷役に用いられる陸上の
パイプと船側のパイプとを接続する装置)への接触
®曲損等を与えると専門のエンジニアによる気密テスト、分解
検査、パーツ交換等の時間・コストが掛かり、その間の不稼
働損失を避けるための費用など、復旧費が高額となる。
• 航路ブイへの接触
®日本では海上保安部が管理しており、事故発生後直ちに現
認書・誓約書(損傷物の原状回復工事の船主発注、保安部監
督費用の負担を誓約する文言を含む)の提出を要求される。
*後述する責任制限の問題があるので、誓約書には「日本国
の法律に基づく賠償責任を負う。」と明記する必要あり。
• 漁業施設の損害
®誤って定置網、養殖施設などに侵入した場合、原状復旧費用
に加えて復旧までの逸失利益の請求を受けます。これらは高
額になることが多いので、専門のサーベイーヤー(海事鑑定
人)による調査が必要です。
(2) 事故対応
•
•
•
•
•
•
•
•
P&Iクラブへの通知
サーベイヤー手配(事故原因と損害程度の調査)
船長報告作成
現認書(要求があれば事実のみを認める。決して責
任を認めたり、損害賠償を約してはいけない。)
保証状(要求があれば)
被害者との解決交渉
賠償(金銭賠償、原状回復)
注意点:新旧交換控除と責任制限
和解協定、完工確認
3.原状回復と新旧交換控除
• 事故前の原状に回復(事故前から損傷が存在して
•
•
いた場合は、賠償額から控除)
既に古くなっている財物(例えばフェンダーなど)を
損傷した場合において、修理や代替が困難で新品
に交換するときは、従前の物より付加価値が生じる
場合が多く、この付加価値分については賠償額から
控除されるべき。
耐用年数と減価償却を考慮
4. 船主責任制限制度
(1) 起源
船舶の運航は多くの危険性を伴い、事故の発生も避けられず、ときに巨額
な賠償責任を負わされることがある。
→このような危険性を伴う海運業の育成の観点から、海運各国では独自
の方式により、船主の賠償責任を制限する制度が設けられた。
→各国バラバラの責任制限制度を国際的に統一する動きが起こり、1957
年に「海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約」
(International Convention Relating to the Limitation of Owners of SeaGoing Ships)が採択された。
→わが国では1957年条約を批准、1975年に国内法化し、1976年9月1日施
行(「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」(「船責法」))
さらに1976年の海事債権についての責任の制限に関する条約
(1976LLMC)を批准、国内法を改正し、1984年5月20日施行。 その後
1976LLMCを改正する1996年の議定書(1996LLMC)を批准し、国内法を
再度改正、2006年8月1日に施行され現在に至る。
• 1957年条約(1957 Limitation Convention)
批准国32ヶ国(ポルトガル、パプアニューギニア他)
• 1976年条約(1976LLMC;Limit of Liability for
Maritime Claims)
批准国53ヶ国(シンガポール、香港、UAE他)
• 1996年議定書(1996 Protocol/1996LLMC)
批准国46ヶ国(日本、イギリス、ロシア他)
*トン数主義:船舶の総トン数に基づいて責任限度額を算出
*船価主義 :船価よって責任限度額を算出する(米国など)
*責任制限制度がない国もあり
(2) 「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律
(船責法)
① 責任制限の対象となる損害(制限債権)
• 船舶上、又は船舶の運航に関連して生ずる人身損害、物的
ないし経済的損害(当該船舶の乗組員の人損除く)
• 運送品、旅客又は手荷物の運送の遅延損害
• 上記以外の債権で船舶の運航に直接関連して生ずる権利侵
害による損害(例:漁業権侵害、売店営業権の損害)
• 損害防止措置による生ずる損害、相当な損害防止措置の作
業に伴って生ずる二次損害(例:防止作業中に積荷に与えた
損害、油処理剤による漁業損害など)
• 損害防止措置に関する債権、損害防止費用(例:船舶衝突の
場合の他船船主等の防止措置費用、但し本船船主・被用者
自身又は彼らとの契約による報酬・費用は除く)
• 救助者又はその被用者が救助活動に直接関連して生ずる人
又は物の損害(但し救助船舶自体の滅失・損傷を除く)
• 救助者又はその被用者が救助活動に直接関連して生ずる債
権
② 責任制限の対象とならない損害 (非制限債権)
• 当該船舶自体の損害、船主等自身及び船主発注の損害防止
措置費用並びに同措置によって船主等が被った損害
• 海難救助・共同海損に基づく債権
• 被用者の船舶所有者等に対する債権(当該船舶の乗組員や救
助者の被用者の死傷による債権でそれを相続する者を含む)
• 旅客の死傷による債権(2006年8月1日施行前の船責法では内
航船旅客のみ非制限債権とされていたが、改正後は内外航船
の区別が無くなった)
③ 他の法律が優先適用される債権
• 原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律)
• 船舶油濁損害賠償保障法(「油賠法」)に定める油濁
損害
④ 責任制限阻却事由 (責任制限出来ない場合)
• 自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認
識しながらした自己の無謀な行為によって生じた損害
⑤ 船舶所有者等の責任限度額
1976年の海事債権についての責任の制限に関する条約
《76LLMC》 [旧船責法]
(1)物損のみの場合
a)500トン以下の船舶
b)500トン超の船舶
・501∼30,000トンの部分
・30,001∼70,000トンの部分
・70,000トンを超える部分
:
:
:
:
:
167,000SDR (約2,672万円)
500トンを超える部分に、次の額を加算
1トン当たり 167SDR
1トン当たり 125SDR
1トン当たり 83SDR
(2)人損のみ又は人損と物損の場合
a)500トン以下の船舶
b)500トン超の船舶
・501∼3,000トンの部分
・3,001∼30,000トンの部分
・30,001∼70,000トンの部分
・70,000トンを超える部分
:
:
:
:
:
:
500,000SDR (約8,000万円)
500トンを超える部分に次の額を加算
1トン当たり 667SDR
1トン当たり 500SDR
1トン当たり 375SDR
1トン当たり 250SDR
*1SDR=¥160とする
*SDR (Special Drawing Right; 特別引出権):
IMF加盟国が創設した国際準備資産
SDRの価値は主要通貨(USドル、ユーロ、英国ポンド、日本円)の加重平均で評価
1976年の海事債権についての責任の制限に関する条約を改正
する1996年の議定書《96LLMC》 [現行船責法]
(1)物損のみの場合
a)2,000トン以下の船舶
b)2,000トン超の船舶
・2,001∼30,000トンの部分
・30,001∼70,000トンの部分
・70,000トンを超える部分
: 1,000,000SDR (約1.6億円)
: 2,000トンを超える部分に次の額を加算
: 1トン当り 400SDR
: 1トン当り 300SDR
: 1トン当り 200SDR
(2)人損のみ又は人損と物損の場合
a)2,000トン以下の船舶
: 3,000,000SDR (約4.8億円)
b)2,000トン超の船舶
: 2,000トンを超える部分に次の額を加算
・2,001∼30,000トンの部分
: 1トン当たり 1200SDR
・30,001∼70,000トンの部分
: 1トン当たり 900SDR
・70,000トンを超える部分
: 1トン当たり 600SDR
*1SDR=¥160とする
76LLMC / 96LLMCの責任制限額の比較
80,000
70,000
60,000
40,000
30,000
責任制限額(SDR) 単位千
50,000
20,000
10,000
0
75,000
70,000
65,000
60,000
55,000
50,000
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
トン数(G/T)
拡大図
7,000
5,000
4,000
3,000
2,000
責任制限額(SDR) 単位千
6,000
1,000
0
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
トン数(G/T)
⑥ 責任制限における留意点
• 責任限度額を超過して解決した場合
®船主と被害者との関係上、責任制限額を超えて賠償を行う場
合、責任限度額を超えた部分につきP&I保険でのてん補はな
い。
• 国によって制度が異なる。
®国によってどの条約を批准しているかにより責任限度額が異
なる。 また責任制限制度が存在しない国もある。
• その他の責任制限制度がある。
®船主の責任制限を認めるその他の条約及び法律がある。
(油濁民事責任条約、船舶油濁損害賠償保障法、ヘーグルー
ル、国際海上物品運送法など)
(3) ケーススタディ
① 物損クレーム
X号(8,000gt)が錨地で錨泊中、強風に圧流され走錨し、錨が
海底パイプラインを引っ掛け、Y社所有のパイプラインが損傷し
た。船主はY社よりパイプライン復旧費用6億円、不稼働損害1
億円、合計7億円の請求を受けた。
X号の物損の責任制限額は以下の通り約4億4400万円
従って、船主は同額で責任制限ができる。(1996LLMC)
1,000,000SDR + (8,000gt-2,000gt) x 400SDR = 3,400,000SDR
3,400,000SDR = ¥544,000,000 (@¥160)
② 物損・人損の複合損害
A丸(2,200G/T)が停泊中のB丸(1,500G/T)に衝突、B丸が全損となり乗組員
15名が死亡した。 A丸側の一方過失とし、油流出は発生せず、次の損害
と仮定する。
物損:①全損金
②乗組員捜索費用
③船骸撤去費用
小計
:¥200,000,000
: ¥3,000,000
:¥100,000,000
:¥303,000,000
人損:①逸失利益
②慰謝料
③葬儀費用
小計
:¥450,000,000
:¥450,000,000
: ¥30,000,000
:¥930,000,000
合計: ¥1,233,000,000
B丸のA丸(2,200G/T)に対する債権総額は¥1,233,000,000となるが、A丸
(2,200G/T)船主の責任限度額(96LLMCをベース)は
3,000,000SDR+(2,200−2,000)×1,200SDR=3,240,000SDR
3,240,000SDR×@¥160=¥518,400,000
(1SDR=¥160とする)
となり、A丸船主は¥1,233,000,000の債権に対し、¥518,400,000(ア)で責任を
制限することとなる。
96LLMC
(2)人損のみ又は人損と物損の場合
a)2,000トン以下の船舶
: 3,000,000SDR (4.8億円)
b)2,000トン超の船舶
: 2,000トンを超える部分に次の額を加算
・2,001∼30,000トンの部分 : 1トン当たり 1200SDR
船責法第7条第2項では、
(イ)人に関する債権を優先し責任限度額に充当する。
(ロ)その額は責任限度額から物損のみの場合の責任限度額を差し引いた
額である。
*人損プラス物損の責任限度額(¥518,400,000)から物損のみの責任限度
額を差し引き、まず人損債権に充当する。
本件の場合、物損のみの責任限度額は、
1,000,000SDR+(2,200−2,000)×400SDR=1,080,000SDR
1,080,000SDR×¥160=¥172,800,000(イ)
となり、¥518,400,000(ア)−¥172,800,000(イ)=¥345,600,000(ウ)が人損債
権に充当されることになる(人損債権 ¥930,000,000)。
96LLMC
(1)物損のみの場合
a)2,000トン以下の船舶
: 1,000,000SDR (約1.6億円)
b)2,000トン超の船舶
: 2,000トンを超える部分に次の額を加算
・2,001∼30,000トンの部分 : 1トン当り 400SDR
* 前述の(ウ)¥345,600,000 : 人損債権に充当した金額(人損+物損の
責任制限額から物損のみの責任限度額を差引いた金額は人損債権
¥930,000,000を弁済するに不足している
よって
* 人損債権の残余¥584,400,000(=¥930,000,000−¥345,600,000)と、物損
債権額¥303,000,000との割合に応じて、物損のみの責任限度額
¥172,800,000(イ)より弁済されることとなる。
精算式は下記のとおり
残余の人に関する債権
¥172,800,000(イ;物損のみの限度額)×¥584,400,000/(¥584,400,000+
¥303,000,000) = ¥113,797,972 (エ)
*¥584,400,000: 人損債権の残余(=¥930,000,000−¥345,600,000(ウ))
*¥303,000,000: 物損債権
物に関する債権
¥172,800,000 (イ;物損のみの限度額) ×¥303,000,000/(¥584,400,000+
¥303,000,000) = ¥59,002,028 (オ)
従って、物損については¥59,002,028 (オ)、
人損については¥459,397,972(= ¥ 345,600,000(ウ) + ¥113,797,972 (エ))
と配当される(「人身流れ込み」)。
¥59,002,028 + ¥459,397,972 = ¥518,400,000
96LLMC ベースでのA丸の人損プラス物損の責任限度額(前述:ア)
(3,000,000SDR+(2,200−2,000)×1,200SDR=3,240,000SDR
3,240,000SDR×¥160=¥518,400,000
5. 船骸撤去
• 船骸とは:船舶が衝突、火災、沈没、座礁などの結果、
•
技術的に救助・修繕が不能である状態(現実全損)、
あるいは技術的に可能であっても経済的に船舶とし
て使用することを諦めた状態(推定全損)
船骸を撤去する義務
公法:港則法、海上交通安全法、港湾法、
海洋汚染及び海上災害防止に関する法律など
私法:妨害物排除請求権
代表的な船骸撤去契約
• Wreckfixed(ランプサム一括払い契約)
• Wreckhire (Daily Hire契約)
• Wreckstage(ランプサム分割払い契約)
複数の実績のある救助業者に対象物と契約条件を示して見積
りを依頼。工法、工期、金額などを総合的に考慮して業者を選
定し契約を締結する。
II. 救助契約等による責任
(SCOPIC 条項)
1. P&I保険でのてん補範囲
2. LOFの伝統的な原則であった「No-Cure, No-Pay」
3.
4.
5.
6.
7.
8.
不成功、無報酬
SCOPIC条項の成立
SCOPIC条項の発動
現場代理人(SCR)
SCOPIC報酬の算定
SCOPIC報酬のメリット、デメリット
日本海運集会所救助書式
1. P&I保険でのてん補範囲
–
–
Japan P&I 保険契約規定第25条 汚濁に関する責任及び費用
船舶の海難救助に関し、ロイズ海難救助契約標準書式(LOF)に定
められたSCOPIC条項に基づく報酬
*LOF:Lloyd’s Open Form
*SCOPIC条項:Special Compensation P&I Clubs Clause
2. LOFの伝統的な原則であった「No-Cure, No-Pay」
不成功、無報酬
–
–
–
–
「不成功、無報酬」の原則では、(救助を成功させられる可能性が
低い場合)救助業者は作業を躊躇してしまう。
作業開始の遅れは油流出による環境損害の防止に遅延を来す。
環境損害の防止・軽減への関心の高まりとともに「No-cure, Nopay」の原則を変更(数度の改訂)
救助業者の環境損害防止作業に対する報酬(環境損害の防止に
寄与した救助作業に対し、一定の報酬を補償):特別報酬(海難救
助条約第14条の特別補償)を設けた。
3. SCOPIC条項の成立
特別補償の算定をめぐり、その適用時期、算定方法、適用され
る場合の指揮・コントロールに関する事項が定められていな
かったために、救助者と船主(P&I Club)で争いが起きた。
→SCOPIC条項の誕生
– 国際救助者連盟、国際P&Iグループ、英国船貨保険者の
3団体による合意
– 「適正料金」をタリフ化
– P&I ClubがUS$3 Millionの保証状(救助業者からSCOPIC
条項の発動の通知後2業務日以内)
– 現場代理人(SCR: Special Casualty Representative)を
起用(船主、荷主を含めた被救助財産関係者の代理)し、
救助作業のMonitor
– SCOPIC条項をLOF救助契約書式に取り込む
– 2000年9月1日よりSCOPIC2000と称され使用開始。
4. SCOPIC 条項の発動
–
–
–
LOFへのSCOPIC条項の編入(救助業者が選択可)
SCOPIC条項の発動(救助業者の判断でいつでも発動
可能)
救助業者は書面により船主へ通知
 P&I ClubがUS$3 Millionの保証状(救助業者から
SCOPIC 条項の発動の通知後2業務日以内)
現場代理人(SCR)の派遣
5. 現場代理人(SCR: Special Casualty
Representative)について
– サルベージに経験、見識のある専門家でSCR委員会に登
録された人
– 救助作業の全般的な指揮権はなく、作業の指揮権はあく
までもサルベージマスター。
– サルベージマスターから救助作業の報告や相談を受けて、
必要に応じ助言。
– SCRの業務内容はSCRガイドラインに規定
6. SCOPIC報酬の算定
– 人員、タグその他の舟艇、救助資器材をタリフレートと現金支出の合
計にボーナス(実費の10% or レートの25%)を加算
* 第13条報酬(救助報酬の基準) :A
SCOPIC報酬(発動後)
:B
:C
SCOPIC報酬(作業開始後)
となる。
(1) SCOPIC報酬支払いはBのうちのAを超える部分
A=================>
B==========================>
C==============================>
(2) AがBを超えてもCを超えなければ、SCOPIC報酬支払いも無く第13条報酬減額も
無い。
A=================>
B==============>
C=========================>
(3) AがCを超える場合、AはCとの差額 X の25%相当部分 Y を減額する。
A================== Y >
Y=Xの25%
B========>
X
C=============>
*救助報酬の減額
7. SCOPIC条項のメリット、デメリット
 救助者にとって
• 支払の確実性(費用回収の心配、「不成功、無報酬」の心配がない)
• 救助できる見込みが低い場合でもSCOPIC条項を発動し、現場に出動で
•
•
•
きる。
環境損害の恐れがなくともSCOPICを発動し、SCOPIC報酬が認められ
る。
適正料金、割増率等に関する争いなくなったが、割増は25%で頭打ち
(少ない報酬になりうる)
保証状(初期保証US$3 Million)を受領できる
 船主、P&I Clubにとって
•
•
•
•
SCRを通じ、救助作業の指揮、コントロールに関与できる
救助作業をMonitorしながら、救助作業の継続 / 終了の検討ができる
タリフによる明確な報酬額の算定(特別補償算定に関する争いの回避)
環境損害の防止軽減目的ではない費用の負担も発生
8. 日本海運集会所救助書式
「SCOPIC条項」を取り入れた「特別補償に関する特約条項」を
新設し、2005年12月改定
• 現場特別代理人に関する規定、ガイドラインが設けられた。
• 料率:救助業者が公表している特約条項料率表 or 船主と救助
業者が合意した料率 の選択制
• 初期担保: 3億円(「特約条項発動の通知後2営業日以内)
• 現場特別代理人の任命
ありがとうございました