問題 一辺の長さが 1 の正十二面体の体積を求めよ。 ここから問題を解法を限定して求める手順を具体化します。 問題 1. cos 72◦ , cos 36◦ を求めよ。 2. 一辺の長さが 1 の正五角形の面積を求めよ。 3. 正十二面体の隣り合う面の成す角を求めよ。 4. 一辺の長さが 1 の正十二面体の向かい合う面の距離を求めよ。 5. 一辺の長さが 1 の正十二面体の体積を求めよ。 1 1 正五角形から求まる三角比 右図の二等辺三角形を考える。このとき、頂角が 36◦ の二等辺三角形の辺の長さ の比を 1 : 1 : x とすれば、辺の長さは右図のようになる。よって 1 = x + x2 36° を解いて −1 + x= 2 √ 5 x 1 x であるから、 72° 36° √ −1 + 5 cos 72 = 4 ( = sin 18◦ ) 72° 36° ◦ x であり、 √ 1 + cos 72◦ cos 36◦ = = 2 ( = sin 54◦ ) √ √ √ 3+ 5 1+ 5 = 8 4 となる。ここでは以下の等式を用いた。 1 + cos 72◦ 2 1 − cos 72◦ 2 ◦ sin 36 = 2 cos2 36◦ = 2 正五角形の面積 一辺の長さが 1 の正五角形の対角線の長さ α は 1 α = 2 cos 36◦ であるので、正五角形の面積 S は 36° 36° 36° 108° 1 1 S = 2 · α sin 36◦ + α2 sin 36◦ 2 2 = 2 sin 36◦ cos 36◦ + 2 sin 36◦ cos2 36◦ 1 = 2 (1 + cos 36◦ ) sin 36◦ cos 36◦ 36° 36° 36° 2 x2 72° 36° 72° 3 正十二面体の隣り合う面の成す角 正五角形の高さを β とすると、 β= 1 tan 72◦ 2 であり、正十二面体のある面を底面とし、右上図のように切断した 切断面は右中図のようになる。立体の対称性を考えると、切断面は 長方形と二等辺三角形の組み合わせになっている。正十二面体の各 面の成す角は右中図における θ である。そこで、この図における θ を求める。 (あたりまえのことだが、この立面図から θ は求まらない。) β この θ を求めるために、次のページの図を考える。 1 ここで一次独立な基準のベクトルを a, b, c とし、 θ β |a| = |b| = |c| = 1 a · b = b · c = c · a = cos 108◦ β とする。 1 β 2 面の成す角を求めるため、a と垂直でそれぞれの面内にあるベ クトル p, q を考えると、 p = ka + lb とおき、p · a = 0 より、 k|a|2 + la · b = 0 b p ∴ k = −l cos 108◦ a ここで、l = 1 とすれば c ◦ p = − cos 108 a + b 同様にして q = − cos 108◦ a + c よって p · q = (− cos 108◦ a + b) · (− cos 108◦ a + c) = cos2 108◦ |a|2 − cos 108◦ (a · b + a · c) + b · c = (1 − cos 108◦ ) cos 108◦ 3 q また、 |p|2 = | − cos 108◦ a + b|2 = cos2 108◦ |a|2 − 2 cos 108◦ a · b + |b|2 = (1 − cos 108◦ )(1 + cos 108◦ ) ここで、|p| = |q| とすれば、 p · q = |p|2 cos θ (1 − cos 108◦ ) cos 108◦ = (1 − cos 108◦ )(1 + cos 108◦ ) cos θ ) ( cos 108◦ 1 √ ∴ cos θ = = − 1 + cos 108◦ 5 4 正十二面体の向かい合う面の距離 前項より β √ 1 1 1 − cos θ =√ =√ ◦ 2 2(1 + cos 108 ) 2(1 − cos 72◦ ) 1 = 2 sin 36◦ √ √ √ θ 1 + cos θ 1 + 2 cos 108◦ 1 − 2 cos 72◦ cos = = = 2 2 2(1 + cos 108◦ ) 2 sin 36◦ θ sin = 2 = 1 θ β β 1 β cos 72◦ sin 36◦ √ ここで、1 より x = 2 cos 72◦ が方程式 1 = x + x2 を満たすことから、 1 − 2 cos 72◦ = 2 cos 72◦ であること を用いた。いま、向かい合う面の距離を 2h と置くと ( ) θ 2 ( ) ( ) ( ) 1 θ θ θ = tan 72◦ · 2 sin cos + sin 2 2 2 2 { ( ) } ( ) 2 sin 36◦ cos 36◦ θ θ = cos + 1 sin cos 72◦ 2 2 ( ) 2 sin 36◦ cos 36◦ cos 72◦ 1 = + 1 · ◦ ◦ cos 72 sin 36 2 sin 36◦ ◦ 2 cos 36 + 1 = 2 sin 36◦ 2h = β sin θ + sin 4 5 正十二面体の体積 よって体積は 1 V = 12 · Sh 3 2 cos 36◦ + 1 4 sin 36◦ = 2 (1 + cos 36◦ ) cos 36◦ (2 cos 36◦ + 1) ( ) √ ) √ ( √ 1+ 5 1+ 5 1+ 5 =2 1+ · · 2 +1 4 4 4 √ 15 + 7 5 = 4 = 4 · 2 (1 + cos 36◦ ) sin 36◦ cos 36◦ · ちなみに、解法は他にもいっぱいあります。座標空間を設定して回転対称性を利用して解く方法もあるし、 補助線を引いて(?)補助立体を使う方法もあります。が、ここでは「もし大学入試で遭遇したら」という仮 定で、自分がやるだろう方法でやってみました。結果、時間がかかりすぎてアウトでしたが。 みなさんも色々考えてみてください。 5
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