セクハラは会社の責任 飲み会でのトラブル(特にセクハラ)は会社が積極的に防止しないといけません。 仕事中はもちろん、飲み会でもセクハラ行為があれば大問題となるのです。 ちなみに、セクハラは男女雇用機会均等法で【法的に禁じられている行為】です。 だから、セクハラがあった場合、会社は「法的な」責任を問われるのです。 セクハラで会社が責任を取るのは ○職場内(就業時間中かどうかを問わない) ○出張先 飲み会でも ○会社が主催 ○社員がほとんど出席(部、課単位でも) セクハラが起きた場合、会社が責任を取るのです。 特に、飲み会で起きた社員の個人的な行動でも、会社が損害賠償を追うのです。 場合によっては、2次会までもこの責任がついて回るのです。 これに関して参考となる判例があります。 <大阪セクハラ(S運送会社)事件 大阪地裁 平成10年12月> ○社員が集まって私的に飲みにいった ○その後、2次会でカラオケルームにいった ○上司が女性社員に抱きつき、キスをせまったり、スカートを上げた ○この件で、女性社員は上司と会社をセクハラで訴えた そして、裁判所では ○上司の行為は人間の尊厳を傷付ける行為である ○立場を利用して行われた違法なものである ○上司だけでなく、会社も責任を負う そして、慰謝料等110万円の支払を命じたのです。 この判決のポイントは 〇就業時間外に起きた 〇社外での事件 という点です。 しかし、裁判所の判断は 〇上司の立場を利用 〇職務に関連あり ということで、会社の責任を認めたのです。 このようにセクハラに対する懲罰は厳しいものになっています。 上司の個人的な行為でも会社が責任をとることになるのです。 そこで、セクハラの禁止について会社で取り組むことを掲げましょう。 最初の一歩は就業規則で決めることです。 具体的な条文をみてみましょう。 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------(セクシュアルハラスメントの禁止) 第〇条 セクシュアルハラスメントは、同じ職場に働く従業員の働く意欲を 阻害し、職場の秩序を乱し、職場の環境を悪化させるものであり、 従業員はいかなる場合でもセクシュアルハラスメントに該当するか、 該当すると疑われるような行為を行ってはならない。 なお、セクシュアルハラスメントの相手方については、異性のみならず、 同性も該当する。 2 セクシュアルハラスメントとは、相手方の意に反する性的言動で、 それによって仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えるもの又は就業環境 を悪化させるものをいう。 (1)人格を傷つけかねない、又は品位を汚すような言葉遣いをすること (2)性的な関心の表現を業務遂行に混交させること (3)ヌードポスターや卑猥な写真及び絵画類等を見ることの強要や配布又は 掲示等をすること (4)相手が返答に窮するような性的な冗談やからかい等をすること (5)私的な執拗な誘いを行い、又は性的な噂若しくは経験談を 相手の意に反して会話をすること (6)性的関係の強要、不必要な身体への接触又は強制猥褻行為等を 行うことの他相手方の望まない性的言動により、 円滑な職務の遂行を妨げると判断される行為をすること 3 従業員は、他の従業員の性的な言動に起因する問題により 被害を受けた場合、会社に相談及び苦情処理を申し立てることができる。 これらの申立てを受けた者は、速やかにその旨の報告、 事実関係の調査に着手するとともに、申立人が申立後も性的被害を 受けないように対処しなければならない。 なお、相談窓口担当者以外の従業員が、同様の相談を受けた場合、 本人の了承を得たうえで相談窓口担当者に相談を行う等、 被害を受けた従業員の不利益にならないよう細心の注意をもって 対応しなければならない。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------このように、きちんと就業規則でセクハラ防止をうたいましょう。 さらに、重要なことはセクハラ防止の教育をすることです。 具体的には 〇社内報などの広報資料にセクハラの内容などを記載し、配布する → セクハラの具体的内容 → 個人によってセクハラのイメージは違うため 〇セクハラ防止の社員研修などを行なう ○セクハラは法的に懲罰を受ける行為であることを周知する などです。 これらのことを積極的に実行することが重要です。 ただし、発生してしまった場合は 〇懲罰委員会の開催 〇相談窓口の設置 〇被害者へのカウンセリング 〇外部専門家との提携(弁護士、社会保険労務士、産業医など) も検討しましょう。 また、セクハラは個人のプライバシーを保護する必要もあり、大変デリケートな問題です。 たとえば、相談者などのプライバシーを保護するために、別室でヒアリングなどをすべき です。 ○一社員の暴走によるもの ○酒に酔った勢いによるもの → 多いですので、注意してください。 事が起これば、会社は損害賠償を被る可能性もあります。 さらに、新聞等で報道されれば、風評被害に発展し、会社の売上が落ちることもあり得ます。 そういうことまで考えると、会社は潜在的で大きなリスクを負っていることになります。 ただし、ここまでの意識がある会社は少ないです。 結果、 ○セクハラに関して、就業規則の整備がされていない ○社員への周知、教育もされていない ○セクハラが起きてから、大問題になり、慌てる という会社が多いのです。
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