2013 年5月号 隔月刊 日本ビジネス航空協会 (一般社団法人) ◇ 巻 頭 ビジネス航空産業の構築 副会長 金井 大悟 この 5 月の総会は創立 17 周年と同時に NPO 法人から一般社団法人へ移行終了後初の記 念すべきイベントであり、いよいよ JBAA の活動も新たなステージに入ります。 3 月 31 日には成田空港がオープンスカイにより自由化され路線や便数の自由な設定が可能 となり、いよいよアジアの競合空港や羽田空港との競争も激しさを増してきます。 また首都圏空港の機能強化方針に従い、夏ダイヤから成田・羽田両空港とも年間発着枠が それぞれ 2 万回増えて合計 68 万回となり、この 3 年間で 30%の拡大が実現します。 一方ビジネス航空の環境整備も、平成 20 年 3 月に航空局からビジネスジェット利用促進 調査報告書が発表されて以来加速されました。22 年 6 月には国土交通省新成長戦略の一環 としてビジネス機の受け入れ推進が決定され、24 年 3 月待ちに待ったビジネス機専用ター ミナルが成田空港にオープンしました。 また JBAA は長らく運航や整備に関して広範囲な要望事項を出して、小型ジェット機の航 空運送事業に適した法令整備を航空局にお願いしてきましたが、昨年 FAR Part135 に相 当するビジネスジェット用包括運航基準の作成が決定され、既に航空局原案に対する JBAA の意見書を提出して一刻も早い施行を待っているところです。 このようなビジネス航空の推進策によって成田・羽田両空港のビジネス機受け入れイン フラや運用条件はかなり改善され、香港・北京・チャンギなどアジアの主要空港に少し近 づくことができました。しかし運用の利便性という点では、2 月と 3 月に行われた JBAA 空港・グランドハンドリング及び運航・整備拡大専門委員会で多くの問題点や改善要望が 出された通り、専用ターミナルの費用対効果、スポットの使用制限あるいは地方空港の対 応など改善を要する点がまだまだたくさん残っています。 ところがビジネス機受け入れ条件の緩和や環境整備などの改善にもかかわらず、残念な がらビジネス機の離着陸回数や国内登録機数の増加といった目に見える成果がなかなか伸 びないという長年の基本的な問題があります。 従来からデータが示す通り、成田・羽田のビジネス機年間離着陸回数の合計は、ニューヨ ークは言うに及ばずロンドンやパリと比較しても 10 分の1かそれ以下で香港の半分にも満 たず、日本籍ビジネス機の割合はさらにその 3 分の 1 程度しかありません。 またビジネス機の国内登録機数は JBAA 創立以来ずっと 2 桁のままで、欧州やカナダなど とは 5 倍から 20 倍近くの開きがあり、ここ数年で中国・インドなどにも 2 倍以上の差を付 けられたことは、JBAA 創立以来のメンバーとして忸怩たるものがあります。 2 日本では最終便が早いため国内出張で遅くなると日帰りが出来ない、地方都市間の航空 路線が極端に少ない、あるいは企業がビジネス機の購入やチャーターを検討する際銀行や 株主総会での説明を心配するといった障害は、いずれもビジネス航空の普及と定着によっ て解決できることですが、いずれにしても現状はタイムイズマネーのグローバル・スタン ダードに乗り遅れており GDP のランクからは誠に恥ずべき状況と言わざるを得ません。 4 月に日銀はデフレ解消のため大胆な金融緩和を発表しましたが、インフレターゲットの達 成にはニュービジネスの創造や成長産業による経済発展が不可欠です。 その意味で正に 3 年前国交省の新成長戦略の一つに挙げられたビジネス航空を発展させて 貿易や経済の拡大につなげ、海外のグローバル企業にもアピールするよう魅力を高めるた め、現在ヘリコプターを含めて産業というには余りにも小規模な国内のビジネス航空を、 思い切った施策によって大幅に成長させることが急務と考えます。 まず運航業者を中心に運航支援会社、整備会社といった JBAA 会員企業の一層の努力が 必須となりますが、ビジネス航空事業の大幅拡大には多くの資金・施設や様々な専門要員 が必要となりますので、機材や訓練などへの助成策や融資制度といった支援制度が望まれ ます。それらの支援が拡大につながればアジアゲートウェイ構想と同様アジアで競合し得 るビジネス航空システムへの道が開かれ、その結果欧米で実証されているようにその高い 付加価値によって経済活動の活性化に寄与するビジネス航空産業構築が可能となります。 現在総合特区構想として羽田空港の一層の規制緩和が予定され、また第 2 種空港運営権数 カ所の民間委託が計画されています。同様な規制緩和策の一つとして、まとまった数のビ ジネス機を政府専用機や官公庁の公用機として導入し、その運航・整備を現在 40 機以上運 用されている各道府県の防災ヘリと同様運航会社に委託すれば大きな事業が生まれ、また 必ずや企業ユースへの効果的な呼び水にもなります。そしてこれらビジネス機の定置場を 含めて横田の民間機使用を実現していくことも可能ではないかと思われます。 ビジネス航空の産業化には首都圏だけでなく地方空港の一体的な発展がネットワーク構 築として欠かせません。国内には東北地方の 240 か所を始め全国に 1200 以上の工業団地や 産業用地があります。この中には臨空団地として千歳・安平(アビラ) ・函館・三沢・庄内・ 山形・宮城・岩沼・富里・松本・枕崎の 11 か所があり、さらに空港から 10km 以内に釧路・ 旭川・青森・富山・山口宇部空港の近隣団地 5 か所があります。 工業団地を持つ各道府県は企業誘致のため既に様々な助成策を用意していますが、まず これら空港隣接の工業団地を持つ各自治体がビジネス機を導入し、民間委託の運航により プリペイド方式等の経済的なサービスを企業に提供すれば、自治体の公務使用や救急搬送 などにも対応できますし、必ずやサービス網は全国に広がってビジネス航空が地方空港活 性化を推進する産業になるでしょう。さらに現在中国やシンガポールに集中している MRO 企業を誘致することにより、地方空港を総合的な航空産業の拠点にすることも不可能では 3 なく、国内登録ビジネス機や離着陸回数の増加に止まらず、関連事業と併せて遠からず全 国的なビジネス航空産業の構築が実現するものと信じます。 ◇ ビジネス航空界のトピックス ・ 新着情報 ABACE2013 ABACE(Asian Business Aviation Conference & Exhibition)2013 が、NBAA(National Business Aviation Association)と AsBAA(Asian Business Aviation Association)の共催で 4月 16 日-18 日に上海虹橋空港の Shanghai Hawker Pacific Business Aviation Service Center で開催されました。 今年の ABACE は、Opening General Session & Ceremony には、中国民航当局の Top を初め、米国の Gary Locke 駐中国大使, ICAO の Robert Kobeh Gonzalez Council President というような大物が多数参加し祝辞を述べました。 参加者も約 7700 名、展示機数約 35 機、出展社数約 180 社といずれも昨年を大幅に上回 り、最近の中国のますますのビジネ航空の発展を見せつけられるものでした。中国のビジ ネスジェット保有機数は大型ビジネス ジェット機を中心にすでに 195 機に達 しているという話で、あっという間に 日本は追い抜かれ置いていかれていま す。日本からも会員の愛知県や成田国 際空港(株)等がブースを出展され又多 数の方々が日本から来ておられました が、国や業界を上げての更なる対策が 必要な時期に来ているように思われま す。 屋外展示 愛知県ブース 成田国際空港会社ブース 4 EBACE2013 EBACE(European Business Aviation Convention & Exhibition)2013 が 5 月 21 日- 23 日に今年もジュネーブで開催され、盛況が予想されます。 JCAB ビジネスジェット利用促進のためのホームページ開設 今般 4 月 1 日付で、国土交通省のホームページに航空局作成のビジネスジェット利用促 進のための以下の Website「Business Aviation」が開設されました。 日本語版 http://www.mlit.go.jp/bj/index.html 英語版 http://www.mlit.go.jp/bj/en/index_en.html 国土交通省のホームページの「航空」のトップページからもアクセスができます。 ◇ 協会ニュース 協会法人格変更(NPO 法人解散臨時総会開催、法人格変更完了) すでにお知らせしておりますように協会では協会法人格の NPO 法人から一般社団法人へ の移行を行っておりましたが移行の事務手続きも順調に進み、NPO 法人は 3 月 31 日をもち まして活動を終了し、4 月 1 日からの協会活動は一般社団法人「日本ビジネス航空協会」に 一本化致しました。 また活動終了後の NPO 法人につきましては、さる 4 月 8 日に解散の為の NPO 法人臨時 総会を開き法的な解散手続きを完了致しました。 5 月 10 日に開催されます一般社団法人の定例総会で会員の皆様には詳細をご報告致しま すが、一般社団法人「日本ビジネス航空協会」に対しましても更なるご指導、ご協力をい ただきますよう御願い申し上げます。 定時社員総会 会員の皆様にはすでにご案内しておりますが、一般社団法人「日本ビジネス航空協会」 の 2013 年度の定例総会を 5 月 10 日(金)にメルパルク東京で開催致します。総会後には例年 通り懇親会を予定しております。 拡大専門委員会開催 2 月の「空港・グランドハンドリング拡大専門委員会」に続き、3 月 19 日に「運航・整 備拡大専門委員会」を開催しました。こちらの拡大専門委員会にも航空局初め多数の方々 においでいただき、多くの現場の生の声、ご要望を聞かせていただくことができました。 今後も同様な場を設けさせていただく予定にしております。 5 IBAC 事務総長が JCAB 及び JBAA を訪問 IBAC(International Business Aviation Council)の Director General (事務総長) Mr. Kurt Edwards が ABACE の帰路日本に立ち寄り、航空局の篠原航空ネットワーク部長、航空戦 略課と会議を持つとともに当協会とも日本のビジネス航空の現況と今後について意見 を交換しました。 IBAC 事務総長の来日は久しぶりであり、事務総長が Kurt Edwards に変わってからは初 めての来日です。 主要協会活動(3-4 月) 3月4日 四役会開催 3月19日 運航・整備拡大専門委員会開催 3月26日 ヘリコプター事業促進協議会の定例会に出席 3月27日 成田国際空港会社と ABACE 出展について打ち合わせ 3月31日 NPO 法人「日本ビジネス航空協会」の実質活動を停止 4月1日 協会活動を一般社団法人「日本ビジネス航空協会」に一本化 4月8日 監事会を開催 4月8日 NPO 法人解散の為の臨時理事会を開催 4月8日 NPO 法人解散の為の臨時総会を開催 4月8日 一般社団法人理事会開催(総会付議事項等を議決) 4月15日-18日 ABACE に参加 4月19日 IBAC 事務総長と共に JCAB を訪問。又 IBAC 事務総長と会議 4月23日 航空局主催の CARATS 関連会議(PBN 検討 WG 等)に出席 4月24日 経済産業省航空機武器宇宙産業課長を成田のビジネス航空専用ターミナル (Premier Gate)等にご案内 4月26日 東京ビッグサイトと今年秋に開催される「東京国際航空宇宙産業展 2013」後援に ついて打ち合わせ ◇ 会員紹介 学校法人ヒラタ学園 航空事業本部 私どもは昭和61年の創立以来、専修学校として真の専門職業人の育成に力を注いできました。 平成5年には航空に特化した専門学校として大阪航空専門学校を設立し、専修学校として国内初 の航空機使用事業及び航空運送事業免許を取得し操縦士技能証明取得を目指す学科を設立しま した。 6 現在は、学校事業の他に航空事業部門を独立し た部署として設立し、神戸空港及び八尾空港を拠 点に飛行機及びヘリコプター操縦訓練、ドクター ヘリ運航、自家用機の運航・整備・格納、各種撮 影飛行・貸切飛行など各種航空事業を行っており ます。更に平成21年9月に神戸エアセンター完 成に合わせ「HIRATAGAKUEN FBO Service」 を開始しました。 ~ Facility ~ ワンランク上の施設を目指し、お客様専用ラウ ンジからは専用駐機場が一望でき、その奥には滑 走路が見え離発着する航空機を展望することが できます。また、セキュリティーゲートを抜ける とすぐに航空機へのアクセスが出来るようレイ アウトされております。専用ラウンジには5か所 の個室も用意しておりプライバシーが気になる お客様も安心してご利用頂けます。 2階部分には様々な催し物に対応可能な多目的ホールが3室(いずれも70㎡)あり、仕切り を取り外せば1室(約210㎡・最大140名収容可能)としてもご利用頂けます。 施設には格納庫及び専用駐機場を併設しており、格 納庫は間口100m、奥行き40m、高さ16m(有 効開口部は幅70m、高さ8.5m)で大型のビジ ネスジェット機が格納出来るよう設計されており ます。 さ ら に 、 専 用 駐 機 場 で は JET A-1 を は じ め AV-GAS も給油でき、ビジネスジェット機から自家 用機まで幅広いお客様にご利用頂いております。 ~ Speedy and Private Service ~ 神戸空港は全国的にも珍しい都市型空港となっ ております。 関西圏を中心として、京都や大阪 はもちろんのこと、東京や福岡など主要都市への アクセスも充実しております。 また、このよう な地の利を生かし他の FBO との差別化をすべく、 私どもは小型航空機の運航やビジネスジェットを 手配し、スピーディに目的地に到達する事が可能 7 となりました。 特に、医療搬送や救急搬送時には専用駐機場内で飛行機からヘリコプター又は 救急車両など、乗換がスムーズにでき、関係者が専用ラウンジからその様子を窺うことも可能で す。 また、ご利用のお客様はすべてプライベート空間で税関、入管、検疫(CIQ)の審査を行 っていただけます。 日本の大型空港では導線が一般のお客様と区別がなく、CIQ を要するの に 1 時間以上もかかるケースが見受けられますが、当施設は専用となっている為、お客様にと って高いセキュリティとプライバシーの確保が可能となっており、快適かつスピーディにご利用 いただけます。 ~ HIRATAGAKUEN FBO Service ~ www.aerohirata.co.jp/english/ 【受入れ可能なビジネス機】 自家用機及びオウンユースチャーター機 (アフィニティ、包括旅行、フォワーダーチャーターは受入れ不可) 【受入れ時間】 ●出国:8:30 ~ 17:00 (ただし、出国に際し、神戸空港運用時間(7:00~22:00)の間で、上記時間帯以外に利用 しようとする際は、事前に税関、入管の了承が必要) ●入国:平日の 8:30 ~ 17:00(原則、土・日・祝は不可) 【サービス概要】 ●税関・入管・検疫・動検・植防の手配 ●機体格納・給油・Garbage・Lavatory・O2 充填・N 充填 ●ケータリング・宿泊(ホテル) ・ハイヤーなどの手配 【チャータ飛行の各所要時間目安】 ●ヘリコプター ・関西国際空港 約 10 分 ・京都市内 約 17 分 ・直島ヘリポート(香川県) 約 40 分 ●ビジネスジェット ・羽田空港 約 75 分 ・成田空港 約 85 分 また5月5日からのブライトリングジェットチーム (写真右) によるジャパンツアーのサポート(CIQ、 Oxygen・Nitrogen 充填、フライトプラン管理、駐 機格納ほか)を神戸にて実施させて頂きます。 BREITLING JET TEAM JAPAN TOUR 2013 (4 月 1 日現在の予定) 5月5日 米海兵隊岩国基地フレンドシップデー2013(エアショー) 8 5月6日 神戸メリケンフェスタ 2013(エアショー) 5月 12 日 福島震災復興支援行事(エアショー) 最後になりましたが、この度このような機会を与えて頂きました JBAA 事務局及び会員の皆様 には大変感謝しております。弊学園は引き続きビジネス航空の発展、普及及び神戸空港利用の促 進に微力ながらお役に立てるよう努めて参ります。 今後とも変わらぬご厚誼のほど心よりお願い申し上げます。 ◇ 投 稿 RJTT(羽田)小景 春の嵐も収まった快晴の一日、RJTT 空港整備ランプ地区が 10 機ほどのビジネス機で賑 わっていた。これらの飛行機は外国登録機、飛来の主目的は日本ではなく、中国のショウ に出かける途中に一時立ち寄ったものらしい。道の駅、川の駅などと旅行者に地元産品を 売る安易なビジネスが流行るが、単なる「空の駅」にならないよう航空界の戦略が望まれ る。ともあれ 1,2 の会社が日本への売り込みをかける、と聞いて見学に出かけた。 朝から RJSS(仙台)へデモに往復、春嵐の余波で 50 ノット(25m/s)の息つく風のなか、 ローカルフライトを強行したデモ機のキャプテンB氏は RJSS でのスリリングな経験に苦 笑いを見せた。運送事業のように SOP(運航規程)を持たないビジネス機の安全基準は、 セーフティネットとして機長個々のスキルとモラリティに委ねられる。 (K・Y 記) ・・Welldone with Captain B !!・・ ← RJTT に line up したビジネス機群 RJSS でのホットな体験を語る Belastock 機長 → 日を違えて飛来した New type/New comer → 9 ◇ 投 稿 首都圏におけるビジネス航空の 受入れ体制強化に向けた都の取組について 東京都都市整備局都市基盤部 航空政策担当課長 安部 毅 1 はじめに 都は、これまで、羽田空港の再拡張・国際化に最重要課題として取り組んできました。 その結果、平成 22 年 10 月に、羽田空港が本格的な国際空港として生まれ変わり、平成 25 年度中には、国際線の発着枠が年間 6 万回から 9 万回に拡大され、長距離アジア路線、欧 米路線も含め、高需要・ビジネス路線の充実が予定されているなど、我が国の空のアクセ スについては新たな動きが期待されます。 今後は、さらに、首都圏ひいては我が国の国際競争力の強化に向け、多様な航空ニーズ に対応していく必要があり、特に、今やグローバルな企業活動に不可欠なツールとなって いるビジネス航空への対応が求められています。 2 ビジネス航空の受入れ体制強化に向けた都の方針を策定 ビジネス航空は、欧米はもとより、近年は中東やアジアにおいても急速に利用が拡大し ています。 我が国においては、世界有数の大企業が集積する首都圏に海外からの乗り入れ要望が強 いものの、空港側の受け入れ体制が立ち遅れ、乗り入れは極めて限定的なものとなってい ました。 図表 1 ビジネス機の国別保有機数 国別 英国 カナダ スイス ドイツ フランス オーストリア 中国 インド 日本 米国 メキシコ サウジアラビア コロンビアメ キシコ オーストラリア 2009 年 2007 年 ベネズエラ ブラ ジル コ 米国 カナダ ブラジル メキシコ ドイツ 英国 ベネズエラ オーストラリア フランス スイス オーストリア コロンビア インド サウジアラビア 中国 日本 (単位:機数) 2009/2007 伸び率 3% 14% 31% 20% 25% 31% 18% 13% 28% 18% 34% 16% 42% 93% 56% -2% 2009年12月 17905 1068 1010 960 644 611 560 418 398 313 267 228 201 147 122 55 出典: バートインターナショナルより作成 ただし、日本の保有機数は日本ビジネス航空協会から聞き取り 10 例えば、ある世界的な企業が東京での国際会議を開催しようとしたところ、ビジネス航 空の乗り入れができなかったために、他国での開催に変更した事例もあるとのことです。 このままの状態が続けば、貴重なビジネスチャンスを他国に奪われることになり、東京、 ひいては我が国の国際的なビジネス活動における地位が大きく低下しかねません。羽田空 港の国際化に合わせ、国はビジネス航空に関する対応策を打ち出しましたが、将来を見据 えると、いまだ十分とは言えない状況でした。 そのため、首都圏空港において、香港国際空港などと並びアジアのトップレベルとなる 1 万回/年のビジネス機発着回数を実現させることを当面の目標に、都は、平成 22 年 11 月に、 「首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取組方針」を策定しました。 都心に近い羽田空港では、その利便性を生かし、ビジネス航空専用動線の確保を行うとと もに、何よりも横田基地において、平時は余裕のある滑走路などを活用して、受入れを進 めるなど、ビジネス航空の受入れ強化について国に提案しました。 図表2 首都圏におけるビジネス航空の受入れ体制強化に向けた取組方針(骨子) 1 今後の取組の方向 ◆将来的には欧米並みの利用を目指しつつ、当面、アジアにおけるビジネス航空の拠点 である香港を上回り、アジアでトップの発着回数を実現(1万回/年) ◆ビジネス航空利用者が、一般旅客とは別の専用動線によって、迅速に入国手続などが できる受入れ体制を確保 2 羽田空港における取組 ◆都心との近接性を生かし、発着枠の拡大と合わせ、専用動線の確保、CIQ 体制の充実、 スポットの増設を実施し、迅速で便利な対応を実現 ◆新国際線旅客ターミナルの増床(平成 25 年度に見込む国際線増枠(昼間3万回、昼 夜合わせて9万回となる)への対応)などの際に、上記を実施するよう国に要請 3 横田基地における取組 ◆横田基地において、既存施設の活用あるいは必要な施設整備により、ビジネス航空の 受入れ体制を確保。また、既に米軍関係者のために整備されている CIQ 体制や航行支 援事業者なども活用し、利便性の高いサービスを提供 ◆軍民共用化を国と連携して推進し、上記を米国関係機関等へ働きかけ ◆国道 16 号や中央環状線、外環、圏央道などの整備を国と連携して推進し、都心から のアクセスを一層強化 都は、この方針を公表して国に提案したところ、馬渕国土交通大臣(当時)から、 「課題 の解決に向けて関係者と検討を行っていく」旨の発言があり、国は、平成 22 年 12 月に「ビ ジネスジェットの推進に関する委員会」を発足させ、首都圏におけるビジネス航空の受け 入れ推進に向けた検討を始め、平成 23 年 6 月には中間報告を取りまとめました。 この中間報告で、国は、成田空港における具体的な受け入れ策を取りまとめるとともに、 「羽田空港やその他の首都圏空港についても、実情に応じてビジネス航空の利用促進を検 討する必要がある」としています。 11 3 ビジネス航空に関する情報発信 これまで、我が国ではビジネス機が特権的な人のみが使う単に贅沢な物であるという印 象が強く、潜在的に大きな需要があるにもかかわらず顕在化していません。ビジネス航空 の利用環境を整えていくため、ビジネス航空の必要性や施策内容などを広く発信すること が重要です。このため、都は、平成 23 年度から「首都圏におけるビジネス航空の受入れ体 制強化に向けた取組方針」の日本語版、英語版のホームページやパンフレットを作成する とともに、航空宇宙産業関係のイベントにおいてパネルを展示するなど、ビジネス航空の 利用環境の改善に向けた世論喚起に努めています。 図表3 都のホームページ、パンフレット(英語版) 4 羽田空港におけるビジネス航空の 受入れ体制の強化 平成 23 年 6 月に「総合特別区域法」が制定され、 都は外国企業誘致を目的とした「アジアヘッドクォ ーター特区」 を申請し、 同年 12 月に指定されました。 特区エリアには、東京駅周辺・臨海地区、渋谷駅周辺 地区などのほか、羽田空港跡地地区も対象となって います。 この総合特別区域における規制の特例措置に係る 国と都の協議において、都は、羽田空港におけるビ ジネス航空の使用手続簡略化に向け、駐機制限の緩 和(7 日間→14 日間)や利用者の出入国手続の簡素 化など、必要な改善策を国に提案してきました。 12 この結果、昨年 7 月、国は、 「ビジネスジェット駐機可能スポットの利用実績を踏まえ、 延長可能な日数を検証したところ、連続駐機可能日数は 10 日間までの延長であれば可能」 との見解を示し、同年 9 月には駐機期間を 10 日間まで延長することについて適用を開始し ました。 また、「(羽田空港のビジネス航空に係る)専用動線の確保に向けて、別途関係者との間 で、国際線ターミナルの拡張工事に間に合うよう調整を行いたい」と見解を示しており、 今後、具体的な内容等について引き続き協議することとしています。 図表4 総合特区 規制の特例措置に関する国と都の協議内容 都の要望 国の回答 出入国時の CIQ 手続きを各省庁と連携し 専用動線の確保に向けて、別途関係者との間 たワンストップで対応する施設の整備 で、国際線ターミナルの拡張工事に間に合う (専用ターミナルの整備)により、利用者 よう調整を行いたい。 の利便性をさらに向上。 駐機制限の緩和 連続駐機可能日数は 10 日間までの延長であ (7 日間→14 日間) ) れば可能 5 横田基地の軍民共用化 横田基地の軍民共用化は、既存施設の活用により、首都圏の空港機能を補完し、多摩の 振興はもとより、我が国の国際競争力の強化に資するものであり、現在、日米間で協議が 継続中です。 図表5 横田基地でのビジネス航空受 首都圏空港の位置 入れについては、米国企業が首都 圏へのビジネス航空乗入れを要 望しているため、日米双方のメリ ットにつながるものであるとと もに、定期便よりも離発着の時間 調整が柔軟に対応できることか ら、米軍活動との両立性も高いと 考えます。 この利点を踏まえて早期実現を図り、既存施設の活用、あるいは必要な施設整備により、 ビジネス航空の受入れ機能を確保します。 ビジネス航空用施設としては、滑走路のほか、誘導路、エプロン、旅客ターミナル、駐 車場等を、基地内施設の活用や、基地内あるいは基地外で整備を行うことにより確保しま す。また、エプロン、旅客ターミナル、駐車場の動線に配慮することで、短時間での通過 が可能な利便性の高い施設とします。 さらに、段階的に民間航空施設を展開し、将来的には、ビジネス航空用施設の拡充に加 え、定期旅客便をはじめとする多様な航空需要に対応し、首都圏の空港容量拡大、首都圏 西部地域の航空利便性向上を図っていきます。 13 ビジネス航空受入れによる日米双方のメリットを踏まえ、今後も、ビジネス航空受入れ を含めた民間航空利用に関する検討を推進するなど、国と連携して日米協議の促進に取り 組み、地元の理解を得ながら、軍民共用化の早期実現を図っていきます。 6 今後の取組 都は、出入国などの所管省庁に都の方針を説明し、協力を求めるとともに、経済団体と も意見交換を行っており、この中で羽田への乗り入れ要望が強いことなど、都の考え方に 賛同する意見が出されております。 こうした経済団体の意向などを踏まえ、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制の 整備を早急に図っていくことが重要であります。 今後とも、日本ビジネス航空協会と連携を図りながら、我が国の経済の活性化や国際競 争力の強化に向け、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制の強化に取り組んでまい ります。 安部 毅氏の職歴 平成 2 年 4 月 東京都入都 平成 17 年 4 月 東京都都市整備局都市基盤部交通企画課航空係長(課長補佐) 平成 24 年 7 月 〃 航空政策担当課長(現職) ◇ 入会案内 当協会の主旨、活動にご賛同いただける皆様のご入会をお待ちしています。会員は、正 会員(団体及び個人)と本協会の活動を賛助する賛助会員(団体及び個人)から構成され ています。 詳細は事務局迄お問い合わせ下さい。入会案内をお送り致します。 入会金 正会員 団体 50,000 円 個人 20,000 円 賛助会員 団体 30,000 円 個人 年会費 正会員 1,000 円 団体 120,000 円以上 個人 20,000 円以上 賛助会員 団体 50,000 円以上 個人 10,000 円以上 14 ◇ ご意見、問い合わせ先 事務局までご連絡下さい。 日本ビジネス航空協会 事務局 〒100-8088 東京都千代田区大手町 1 丁目 4 番 2 号 Tel:03-3282-2870 丸紅ビル3F Fax:03-5220-7710 web: http://www.jbaa.org e mail: [email protected] 編集後記 会員各位の投稿をお待ちしています。 テーマが自由な「投稿コラム」に加え、本年1月号より会員ご自身の会社・団体を自由な形式でご 紹介・広報頂く、「会員紹介」コラムを設定いたしました。写真、図、キャッチ・コピーなどを含め、A4 版 3~4 ページ、Word ファイルにまとめてお送りください。 当分は最近 5 年以内に入会された会員の原稿を歓迎いたします。 原稿送付先: [email protected] 編集子 Go Ahead 15
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