能登に あつまれ通信 月号 10 Vol.8 今回の仕事人は、今年 5 月に東京の表参道ヒ ルズで行われた日本ジェラート協会主催「ジェ ラートマエストロコンテスト」で優勝したマ ルガージェラートの柴野大造さんです。能登 から誕生した日本一のジェラティエーレ(ジェ ラート職人)に、ジェラート作りに懸ける思 いを伺いました。 能登生まれのジェラートで 世界と能登の人々を繋ぎたい 半年にわたって放送された「まれ」が最終回を迎え ました。これからもみなさんの心の中で、毎朝、笑 いや涙、希望をくれた「まれ」ファミリーが愛され 続けることを願っています。そして、ドラマは終了 してもこの通信はまだまだ続きますよ! 能登の仕事人 vol.8 しば の たいぞう 柴野 大造さん 昭和 50 年 4 月、能登町生まれ。東京農業大学卒業 後に両親が営む酪農業を継ぎ、平成 12 年にジェ ラート専門店「マルガージェラート能登本店」を オープン。地元食材を使ったストーリーのあるジェ ラートを創作し、日本のジェラート界を牽引する。 これまでに得てきた知識と 感 覚 で 素 材 に 合ったジェ ラートに仕上げる ジェラート作りを始めたのは 16 年前。両親が営んでいた牧 場を継ぐ時に、生産者と消費者が直接触れ合える、顔の見え る生産者になりたいと思い、牧場の生乳を使った製品を販売 するためにジェラート店をオープンしました。牛乳、チーズ、 ヨーグルトなどたくさんある乳製品の中からジェラートを選ん だのは、お年寄りから子どもまでみんなが楽しめる食べ物だ から。このようにスタートしたので、ジェラートの作り方はど こかで学んだわけではなくほぼ独学です。熱意のままに何度 も試作を重ね、独自でレシピを開発しました。 ジェラート作りを始めて 7 年目の平成 19 年にイタリアへ。 大手ジェラート機器メーカーが開催するジェラート学校で講義 幼少期に牧場にて。﹁マルガー﹂ はイタリ ア語で小高い丘にある牧場を意味 を受けた時に、衝撃的な発見がありました。イタリアではジェ ラートについて分子構造に至るまで研究がなされていて、化 学理論に基づいた裏付けがあり、そこには自分がそれまでの 経験で得たものがすべて数値で表されていたのです。自分の これまでの経験が証明されたことは、大きな自信になりまし た。ここで得たのは、自信の裏付けとなる努力はもちろん必 要ですが、大切なのは自分のやっていることがこれでいいと 信じて突き進むこと。自分の思いの強さが自分を取り巻く世 界を変えるし、何事かを成し遂げるための原動力になります。 目指すはジェラティエーレの世界チャンピオン。ジェラート作 りを通してイタリアと能登をつなぐ懸け橋になることが、自分 を育ててくれた地元への貢献になると思っています。 手前がコンテストで優勝した 「能登塩ピスタチオとオレン ジバニラのマスカルポーネ∼ ベリーソース添え∼」 ※野々市店のみの販売 月号 10 Vol.8 食材へのアプローチの仕方で 無限に広がるジェラートの世界 ジェラートマエストロコンテストで 優勝トロフィーを掲げる柴野さん ジェラートのレシピを考える時に大切にしているのは物語 一方で、能登の素材を 性。口に入れた瞬間の味わいの広がり、その後コンマ何秒と 使ったシンプルな味わい いうタイミングで立ち上るいくつかのアロマ(香り)や食感 の違いでストーリーが展開していきながら、食べ終わったとき のジェラートも大切にし ています。地元特産の能 に完結している。そのために複数の素材を組み合わせたりす 登塩やブルーベリー、能 るのですが、ブルーベリーにラベンダー、イチゴとピスタチオが 登 栗、加 賀 野 菜 の 五 郎 合うというような優れた味の組み合わせはすでに先人によっ 島金時、金時草のほか、 て発見されています。だからジェラート作りにどうやって自分 里山の季節を感じるふき らしさを出すかというと、素材へのアプローチの仕方。フルー のとうなどの山菜といったフレーバーも。地元の豊かな食材 ツひとつ、ナッツひとつを取っても、どんな方法でどのくらい に目を向けてもらえたらと思っています。 の温度で、どのくらいの時間をかけて調理するのかで、素材 の持ち味が違ってきます。もちろん素材自体の良さも必要で すが、同じものを使っても作る人によって味はまったく変わり ます。そこで職人の腕や個性が活きてくるのです。 食べてみて、能登のお菓子 マルガージェラート能登本店 住 所:能登町瑞穂 163-1 電 話:0768-67-1003 営業時間:10 ∼ 18 時 定休日:11 ∼ 2 月の木曜 マルガージェラート野々市店 住 所:野々市市野代 1-20-101 電 話:076-246-5580 営業時間:11 ∼ 18 時 定休日:不定休 高校生のアイデアから誕生した 地元愛あふれるかわいいスイーツです。 宝達志水町 JR 宝達駅前に立つ菓子店「宝達山本舗 松月堂」 。親子三代にわたっ て地元の人々に愛される和洋菓子を製造・販売しているこの店の人気 商品が、町名に由来する「ジュエル(宝)スイーツ」シリーズ。このスイー ツ、宝達高校家庭部のメンバーが考案したレシピをもとに商品化され たお菓子なのだ。 高 校 生 が 考 え た キャラクター をモチーフにした ﹁オムタン﹂。 奥が ﹁ロール慶次﹂ オムタン & ロール慶次 家庭部の活動として、地元特産品を活かしたスイーツのレシピを考 「高校生の発想の豊かさ に驚かされます」と店主 の松田さん 案し始めたのは平成 22 年のこと。この時に生まれたのがロールケーキ の「ロール慶次」など3 商品。 「ロール慶次」は同町にある末森城の 合戦で活躍した江戸時代の武将・前田慶次をイメージし、ロール生地 がかぶき者として知られた慶次を思わせるおしゃれな模様で、中には 特産品の宝達葛を使った餅などが入っている。その後も 1 年に少しずつ 商品を開発。平成 25 年に登場したのが、パンケーキ生地の中に特産 販売する生徒た ち。 マーケティン グや試作も行う 品のいちじく、トマト、チンゲン菜を使った餡を入れた「オムタン」だ。 高校生が考えた斬新なアイデアのレシピを、松月堂のご主人・松田 さんの腕でおいしく、そして商品として長く愛されるスイーツとして実 現する。家庭部の生徒は三年で卒業し、また新たな部員が入ってくる。 このスイーツたちは宝達高校の先輩にもあたる松田さんと一家によって 守り続けられている。 店 名●宝達山本舗 松月堂 住 所●宝達志水町小川 2-127 電 話●0767-28-2378 営業時間●8 時∼ 19 時 30 分 定休日●水曜
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