全国ブランド 「飛騨の家具」を訪ねて

全国ブランド
「飛騨の家具」を訪ねて
2009. 9 月公開
(イメージ)
いまや全国に知られる「飛騨の家具」
。その歴史は大正時代に始まりました。かつて飛騨に生
い茂っていたブナ林の活用を考えた地元有志が取り組んだ家具作りが発祥。その曲げ木の技
の確かさ、デザインの美しさから人々を魅了し続ける「飛騨の家具」の歴史をご紹介します。
ブナ林を活用せよ
!
「飛騨の家具」の発祥
四方を山に囲まれた高山。
かつて周りの山々は鬱蒼と生い茂る
ブナの原生林に覆われていました。そんな豊富なブナでした
が、
くず炭か下駄の歯程度にしかならない無用の長物として見
捨てられていたそう。
そんなブナ材が脚光を浴びる時代がやっ
てきます。明治末期、
日本にヨーロッパからブナ材の曲げ木椅
子家具が輸入され、
その美しさで人々を魅了しました。一本の
木を継ぎ目なく使う曲げ木は軽く、製造コストも輸送コストも
安価。
当時の日本政府も曲げ木家具作りを奨励しました。
なん
とかブナ材を生かせないかと考えていた地元有志の人々がこ
(イメージ)
れを受け、
ブナによる曲げ木細工の家具作りを始めます。
いま
や全国ブランドである
「飛騨の家具」
のスタートでした。
匠の技が確立した
「飛騨の家具」ブランド
ブナとブナ材を用いた椅子
「飛騨の家具」の発展
木が乾き過ぎると曲げるときに折れたり、反対に乾燥が十分
でないと形が元に戻ったりと、曲げ木には大変な技が要求さ
れます。
そこで活躍したのが、平安時代から木を知りつくす飛
騨匠の技を受け継いだ職人たちでした。現代の匠たちが困難
な曲げ木細工に取り組み、
やがて輸入品にも勝る素晴らしい
品質の椅子やテーブルなどを作り上げていきます。
さらに大正
時代半ばから日本でも生活が洋風化し、正座から椅子生活へ
(イメージ)
飛騨の家具製作風景
変わったことも発展の追い風となりました。飛騨の家具は曲げ
木が描き出す優しい曲線と木の温かさで人々を魅了し、今日の
「飛騨の家具」
ブランドを確立させたのです。
時を超えて輝く名品たち
「飛騨の家具」の名品
昭和の匠たちが手がけた家具の中には、長く愛され続けるロ
ングセラー商品や飛騨の家具の名を高めた名品が数多くあ
ります。昭和43(1968)年にグッドデザイン賞を受賞した飛
騨産業株式会社のNo.725、通称「食堂イス」はデザイナー・
葭原基(よしはらもとえ)氏と曲げ木の匠・中村守夫氏が作り
上げた名品で、多くの家庭で使われています。
おなじく飛騨産
業株式会社のカントリー調の
「穂高」
や、
日進木工株式会社の
和風モダンな
「格子」。
さらに高級路線を開いた株式会社シラ
カワの
「ロートレック」
や
「和魂」。
シンプルかつモダンなデザイ
ンで飛騨の家具を牽引し続ける柏木工株式会社の
「高山ウッ
ドワークス」
など。匠の技はモダンな家具の中にも生き続けて
(イメージ)
いるのです。
飛騨の家具に触れる
滑らかな曲線が美しい椅子
高山と「飛騨の家具」
飛騨の家具を見たい、
買いたいという人はぜひ高山へ。市内にはたくさんの家具店があります。
自然な曲線
が美しい椅子やテーブルが揃うショールームや、職人の手仕事を間近に見られる工房を訪ねてみてもいい
でしょう。工房では、
自分だけの家具をオーダーすることもできます。
飛騨の家具が買える店Map
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200m
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「飛騨の家具」が買える店一覧
ショックデザイン ショールームアルファベット
営業時間:要問合せ
定休日:要問合せ
電話:0577-35-5572
ご来店の際は、
事前にご連絡ください
匠館
営業時間:8:00∼19:00
(11月∼3月は∼18:00)
定休日:無休
(11月∼3月は火曜日)
電話:0577-36-2511
家具工房 雉子舎Gallery
営業時間:10:00∼18:00
(冬季期間中は∼17:00)
定休日:火曜日
電話:0577-34-5674
功匠工房
営業時間:9:00∼18:00
定休日:水曜日
電話:0577-34-7341
取材協力
協同組合飛騨木工連合会