岸和田市観光振興計画

岸和田市観光振興計画
「人情・伝統・ふれあい」のまちづくり観光
岸和田市
1
は じ め に
岸和田市にはだんじり祭を筆頭とし、豊かな観光資源があるにもかかわらず、これまで観光振
興をまちづくりの課題として重視することはありませんでした。しかし、岸和田城400年祭を節目
とし平成2年に岸和田市観光振興基本計画が策定され、それを出発点としてだんじり会館、旧
港再開発としての岸和田カンカンベイサイドモール、森やかの郷などの整備が進みました。現
在、ソフト面の拡充、全域に広がる優れた観光資源のクローズアップなど、まだまだ課題は山積
しているものの、施設の稼動状況は順調に推移してきております。
国内に限らず世界的に見ても、観光は一大産業となっています。そして、観光振興は、少子
高齢化や地場産業の低迷に伴う地域社会の衰退を食い止め、コミュニティーの再生を図るうえ
で、重要な施策の一つと捉えられています。平成15年、わが国においても「観光立国宣言」が
行われ、ビジット・ジャパン・キャンペーンやそれに次ぐ観光立国推進基本法の制定など、観光
振興による地域経済の活性化に積極的に推進しています。
また今日、観光の目的は、単なる「名所見物」「団体旅行・パックツアー」から地域の歴史や文
化、暮らしを訪ねるものや、体験や交流を通じて「学ぶ」ものへと変化してきており、これら観光ニ
ーズの変化という潮流は、自然、歴史や伝統、文化をはじめ産業、生活、そして祭り、人情など
様々な要素が生かせる岸和田市において、絶好の機会として捉えることができます。
今回の岸和田市観光振興計画では、「人情・伝統・ふれあい」という岸和田市が誇る地域の
すばらしさを発信することを主眼におき、岸和田市を訪れる人々との交流、来街者の声から得ら
れる客観的なまちの評価を通じて、さらに岸和田の良さに磨きをかける「まちづくり観光」をめざ
します。そして、「だんじり祭」のある岸和田であるからこそ可能な、市民・事業者・観光関係団
体・行政の協働の取組みにより、長期的、継続的な観光振興を実現します。
本計画策定にあたり、ご意見やご提言をいただきました「策定委員会」「策定検討委員会」の
委員の方々をはじめ、ご協力いただきました多くの方々に心から感謝申し上げます。
本計画を生かし、自分たちの地域の魅力を主体的に打ち出すことで、経済的な潤いだけでは
なく、市民の皆さんと岸和田市を訪れる人々が、ともに幸せを感じられる観光を創っていきたいと
考えています。
平成 19 年 10 月
2
3
も
く
じ
【序 章】岸和田市観光振興計画の策定にあたって
【第1章】岸和田市の観光を取り巻く背景と現状
1:国内の観光動向について
2:岸和田市の観光施設の現状について
3:岸和田市における観光資源の状況
4:岸和田市における少子高齢化の状況
5:岸和田市の観光課題について
【第2章】岸和田市観光振興の基本的な考え方
1:観光振興に取り組む目的
2:目標値の設定
3:基本テーマと行動指針
6
10
11
18
21
24
25
28
29
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31
【第3章】“風”を吹かす具体的な行動計画
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・風を吹かす仕組み①:まちづくりサイン設置「まちしるべ」プロジェクト
・風を吹かす仕組み②:肩書きのない解説者「人しるべ」プロジェクト
・風を吹かす仕組み③:食文化発信と飲食サービス開発「味しるべ」プロジェクト
・商品・サービス開発の場としての「つまみ食い」イベント開催計画
・体系的な情報発信手法と岸和田ファンの育成
【第4章】“光”を磨く具体的な行動計画
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38
39
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44
・個別観光資源についての短期/長期計画
【第5章】まちづくり観光の新しい可能性にむけて
・新たな観光資源の方向性
45
54
55
4
5
【序章】
岸和田市観光振興計画の策定にあたって
6
【序章】岸和田市観光振興計画の策定にあたって
1:策定の意義
急速な少子高齢化が進む日本では、定住人口が減少傾向にあり、岸和田市もその例外で
はありません。地域の産業活性化を図るには、人々の往来を活発にして活力を維持し、交流
人口を増加させる観光を機軸とした地域づくりが重要となってきました。わが国も観光立国推
進基本法を新たに制定し、国土交通省をはじめ全省庁、地方自治体、経済団体とともに観光
の振興を展開しています。
観光には、観光客などを呼び込むことで交流人口を増やすことができ、地域経済・社会に
大きな影響を与える可能性があります。また、そればかりではなく、観光客が訪問することによ
って自分の地域を見つめ直し、長所・短所を分析する必要が生まれます。この、地域による
「自己分析」も観光による大きな利点であり、地域のコミュニティーのつながりや文化の再発
見、環境や景観の保全へと広がる可能性もあります。
岸和田市では「第三次総合計画 新しいまちづくりの推進」において観光・集客産業の拡
充を目標別課題として捉え、平成2年に策定した「岸和田市観光振興基本計画」に基づき旧
港再開発、岸和田だんじり会館、まちなみ保全など中心市街地での施設整備、牛滝山の施
設整備などを進めてきました。今後、これらの観光拠点を綿密につなぐソフト面の充実や、ま
だまだ全国的に発信されていない優れた資源の掘り起しが求められています。
おりしも、パックツアーや、慰安旅行などの団体旅行から、家族旅行などの個人旅行へと、
観光の質に変化が見られます。この大きな変化は、市民や各種の団体が主導して、地域の資
源を再発見し、岸和田市のすばらしさを観光客に伝えることのできる、まちづくり観光をつくり
出すチャンスということができます。
このチャンスを有効に生かし、岸和田市のブランド力を高めて交流人口を増やし、地域経
済の活性化と地域文化への誇りを醸成すること目的として捉え、本市がめざす新しい観光振
興の方向を示すものとして「岸和田市観光振興計画」を策定します。
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2:策定の概要
(1)目標期間
岸和田市観光振興計画の目標期間を、平成19年度(2007年)~平成28年度(2016年)
とし、そのなかで短期計画を23年度(2011年)までの5年間、長期計画を28年度(2016年)
までの10年間と定めます。
(2)総合計画における位置づけ
岸和田市観光振興計画は、岸和田市がめざす目標と方向性を明確に示すとともに、その
目標を達成するために進める取り組みを示しています。この観光施策は岸和田市の第三次
総合計画における「新しいまちづくりの推進 観光・集客産業の拡充」に合致するとともに、総
合計画の“2010年への基本姿勢「時代潮流の課題」”と理念を同じくします。
①環境共生の時代
環境汚染の防止や地球環境への負荷が少ない、循環型まちづくりの必要性と高まり。
②少子高齢化の時代
子どもやお年寄りにやさしい地域社会として、持続的な発展をめざす。
③個性化の時代
「岸和田らしさ」を前面に出した施策の推進と、
市民一人ひとりの価値観に基づき、自己実現の機会を保障する。
④国際化と交流の時代
市域を越えた広域的・世界的な交流。国内外の多くの人々が集い、
活動できるまちづくりをめざす。
⑤新産業創造の時代
高齢化、高度情報化などの時代を見据え、
自然、歴史・文化資源、立地条件などを活用した産業を創造する。
⑥高度情報化の時代
デジタル技術などの飛躍的な向上に対応した地域の活性化、住民サービスの向上。
⑦市民の時代
市民が主体的にまちを創出する緊密なパートナーシップに基づく、
自立的な都市運営をめざす。
8
位置づけのイメージ
(3)観光振興計画策定の方法
岸和田市観光振興計画の策定にあたっては、岸和田市の観光関連団体や町会連合会、
事業者をはじめ経済団体、ボランティア団体、JA(農業協同組合)、JF(漁業協同組合)関係
者、学識経験者などによって編成される「岸和田市観光振興計画策定委員会」ならびに「岸
和田市観光振興計画策定検討委員会」を設置し、現状の観光振興にむけての目的や目標
設定、具体的な取り組みについて議論を重ねました。また、学識経験者については岸和田市
に関わりのなかった方々を選定し、実踏調査を行い、著名な観光地の現状と比較しながら客
観的な評価を交えて座談会を実施しました。
9
【第 1 章】
岸和田市の観光を取り巻く背景と現状
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【第 1 章】岸和田市の観光を取り巻く背景と現状
1:国内の観光動向について
(1)わが国と大阪府の観光振興、観光による地域振興に関する展望
日本人の海外への旅行者数が約1,740万人(平成17年)であるのに対し、海外からの来
訪者約673万人(平成17年)を平成22年に約1.5倍の1,000万人にするという目標をかか
げ、我が国は観光立国をめざして動き出しました。観光立国とは、そこに住んでいる人が、そ
の地に住むことに誇りを持つことができ、幸せを感じることによって、その地を訪れる人にとっ
ても魅力を感じる、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を実現しようというものです。
●観光立国推進基本法の制定●
(平成19年1月1日施行)
1:昭和38年に制定された「観光基本法」から
「観光立国推進基本法」に変わりました。
2:前文が全面的に改正され、
国家戦略としての観光立国の位置づけを明確に規定しています。
3:国および地方公共団体の責務に加え、
住民の役割と観光事業者の努力を規定しています。
4:観光立国の実現にむけて政府が総合的かつ計画的に講ずるべき施策が
盛り込まれた「観光立国推進基本計画」が策定されます。
●「観光立国推進基本計画の要点●
表1:日本人海外旅行者の推移
国土交通省「観光白書」より
政府広報資料より
11
今後、政府では観光立国に関する施策のマスタープランである
「観光立国推進基本計画」にそって、国の重点課題として観光振興
を進めることを決定しました。また、法の趣旨を踏まえて、地域の魅
力ある観光地づくりの取り組みに対する支援や、ビジット・ジャパン・
キャンペーンの強化など、観光立国の実現に関する具体的な施策
を、関係省庁が連携して推進することとなっています。
政府広報資料より
大阪府においては、平成17年4月よりビジット大阪プログラム(大阪府観光戦略プログラム)
を策定し、戦略的な観光振興による経済の活性化と地域間交流を促進、大阪再生に資するこ
とを目的として進めています。
さらに、「商いのまち」、「民が元気なまち」として繁栄してきた大阪が、間近に控えた人口
の減少期にあっても、人々がいきいきと活動する魅力ある都市として持続的に発展を続けて
いくことをねらいとして「アジアのにぎわい都市・大阪ビジョン」を制定しました。これは、アジア
が安定した高成長を持続し、世界の耳目を集めている今日、大阪府の都市としての「強み」を
存分に生かして、アジアとの関係をより一層強固なものとすることで、観光振興に限らず商工
業を含めた包括的な交流を図る計画といえます。
このように、少子高齢化により生産年齢人口が減少
し、また、人口そのものが減少期に転じるなかで、都市
の活力を高めるための交流人口の増加、観光振興によ
る産業活性化に、国も大阪府も大きな期待を寄せてい
ます。
大阪府広報資料より
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(2)近年の国内観光客動向
①全国の国内観光客動向
国内日帰り観光における平均参加率、および宿泊旅行回数などの推移によると、平成13
年をピークとして参加回数は微減しました。これは平成15年、16年の集中豪雨や台風上陸
(16年は10個と過去最多)、猛暑、豪雪といった悪天候による影響が大きかったとされてお
り、その後平成17年では持ち直しており、今後も平均的な参加回数を維持していくものと考え
られます。
表2:国内の観光参加回数の推移
年(平成)
日帰り観光参加者の
平均参加回数
国内宿泊旅行回数
宿泊観光レクリエー
ション参加回数
10
5.3
2.3
1.24
11
5.5
1.9
1.18
12
5.5
2.2
1.18
13
5.7
2.1
1.17
14
5.4
2.2
1.25
15
4.6
2.1
1.17
16
-
1.9
1.03
17
-
2.0
1.08
(社)日本観光協会「観光の実態と志向」
16年度版、17年度版より
日帰り観光の定義について、(社)日本観光協会「観光の実態と志向」では、「日常生活件を離れ、半日以上かけて行うものとし、
近所での散歩、パチンコ、日常している体操やスポーツ、キャッチボールは含まない」ものとしています。なお、16年以降同様の調
査は行われていません。折れ線グラフでは、他の公的機関などの数値から推測したイメージとなっています。
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②大阪府における泉州地区の観光客数
大阪府における総観光客数は、大型テーマパークの開園などの影響もあり、調査開始時期
の平成10年度から1億4,000万人まで増加しましたが、平成15年度をピークとして16年度よ
り観光客数は若干減少しています。また、大阪府への観光客の入り込み状況からは、その大
半が大阪府民による日帰り観光であることが指摘できます。このことは泉州地区に限らず、全
府域においても当てはまり、近場における都市への観光というスタイルが、大阪観光の基本形
であるといえます。
表3:泉州地区の観光客数の推移
年(平成)
泉州地区 観光客数(万人)
大阪府全体
観光客数(万人)
府外観光客
府民観光客
泉州合計
10
12,794
179
888
1,067
11
13,331
190
942
1,132
12
13,423
197
979
1,176
13
13,982
215
1,064
1,279
14
13,752
238
1,177
1,415
15
14,055
255
1,262
1,517
16
13,943
290
1,163
1,453
泉州地区には堺、泉大津、和泉、高石、忠岡、岸和田、貝塚、泉佐野、泉南、阪南、熊取、田尻、岬が含まれる
大阪府観光交流局
「平成17年度大阪府観光統計調査の結果」
統計資料より
大阪府域分の総観光客推計方法は、府域の主要な観光施設および宿泊施設の利用者数を、大阪府が各市町村の協力を得て調
査し、その利用者数の調査で得られる入込客数(延べ人数)を、平成16年度の大規模な実態調査から算出された指標で調整し、
実人数としての観光客数を推計しています。
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(3)「参加体験、自己実現型の旅を志向」観光スタイルの変化
①行ってみたい旅行のタイプ、観光ニーズの変化
表4は、行ってみたい旅行タイプの統計資料ですが、「温泉旅行」、「グルメ」、「自然観光」
「歴史・文化観光」は回答者の半数近くが望む旅行のタイプとなっていますが、平成13年度と
比較すると上記、観光ニーズが、多様な旅行タイプに分散している事が伺えます。
「テーマパーク」、「海浜リゾート」、「おしゃべり旅行」が減少傾向に転じ、注目したい点とし
て「歴史・文化観光」、「町並み散策」、「都市観光」が着実に増加しています。
また、表5の観光客ニーズの変化統計資料からも、高度経済成長の時代に隆盛を極めた
「慰安旅行」などへのニーズが激減し、「自然・名所・スポーツ見物や行楽」が上位に上がって
きていることが伺えます。
表4:行ってみたい旅行のタイプ
表5:観光客ニーズの変化
(財)日本交通公社「旅行者動向2006」より抜粋
(社)日本観光協会「観光の実態と志向(18年度版)」より
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②レジャー・余暇生活充実への志向の高まり
日本人の今後の生活の力点という調査資料では、「レジャー・余暇生活」が占める割合が長
期的に最も高く、今後ますます観光に対する志向が高まるものと考えられます。また、団塊の
世代における退職後の行動として「旅行(国内・海外)」を希望される層が大きいことも各方面
より報告されています。
表6:今後の生活の力点
総務省統計局「国民生活に関する世論調査」
国土交通省「観光白書」より
③成熟型社会にむけての観光スタイルの変化
慰安旅行などの団体旅行から、家族旅行などの個人旅行が力を持ちはじめ、観光の質に
変化が見られます。一般に与えられる観光情報に基づく名所見物から、参加体験、自己実現
型の旅を志向する観光スタイルや、インターネットなどで主体的に情報を集めて独自の観光
資源を探り出し、地域をじっくりと歩くことを中心とした観光スタイルなどに人気が移行していま
す。また、団塊世代を中心とした中高年を対象とした観光開発が市場の大きな関心を集めて
おり、徒歩回遊型の観光スタイルなど、多様な方向性をもった観光商品が待ち望まれていま
す。
16
長崎市で開催された【長崎さるく博】
日本で初めての回遊型の博覧会として開催をされ、長崎市内を観光客の足で実際に
歩くことを主眼とし、新しい発見をしてもらうという新しい観光のスタイル。約7ヶ月で、の
べ1,023万人を集めました。長崎市民2万人も案内人などとして主体的に協力し、あらた
めて自分の住むまちを発見できたなどの声も多く寄せられました。
(4)訪日外国人観光客の動向
訪日外国人の数は平成17年、過去最高の
673万人に達し、訪日外国人誘致への取り
組みは国をはじめ、日本各地において盛ん
表8:上位10カ国地域からの
訪日外国人旅行者の推移
になっていることからも、今後も増加すると予
測できます。
また、上位10カ国地域からの訪日外国人
旅行者の推移統計資料によると、地域別では
アジアが463万人で全体の68.8%を占め、
次いで北アメリカ100万人(同14.9%)、ヨー
ロッパが80万人(同11.9%)、オセアニアが2
4万人(同3.6%)の順となっています。
表7:訪日外国人旅行者の推移
国土交通省「観光白書」より
総務省統計局統計資料、国土交通省「観光白書」より
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2:岸和田市の観光施設の現状について
(1)平成2年の観光振興基本計画からの推移と評価
岸和田市では平成2年に「岸和田市観光振興基本計画」を策定し、新しい観光振興の出
発点として各種の整備を進めてきました。同計画にて策定された「実現化計画」のなかから、
代表的なものを取り上げて検証します。
整備プログラム名称
整備後名称
設置時期
評価
観光協会、物産協会の機能を併せ持ち、
運営体制の整備
岸和田市観光振興協会
H3年
だんじり会館運営。情報発信などにおいて
今後の展開を大いに期待。
岸和田城周辺
旧港再開発
岸和田だんじり会館
H5年
五風荘
H8年
旧港再開発地区とならび、南海岸和田駅
まちづくりの館
H9年
とのトライアングルゾーンとして稼動。
岸和田カンカン
H9年
都市型観光、ショッピングセンターの
拠点として定着。浪切ホールの認知度には
ベイサイドモール
浪切ホール
歴史的まちなみ保存地区として整備。
H14年
向上が見られ、今後、コンベンションや岸和田
ブランドとしての「お練り」の定着を図る。
日帰り温浴施設として市内に限らず
山地
森やかの郷
H11年
(近畿自動車道沿道)
広範囲からの集客を実現。また、
宿泊施設としても高稼働率を誇る
第 1 期製造業用地部分の埋め立てを済ませ、
阪南2区
ちきりアイランド
H17年
大阪府とともに企業誘致活動を展開中。
人口干潟などの活用が期待される効果を挙げている。
上記の施設整備については、それぞれにおいて一定の効果をあげているということができ
ますが、それぞれにかかわるサイン、情報発信をはじめとしたソフト部分での整備などは不充
分のままです。また、独自の特産品創出や飲食店などの整備についても進捗状況は好ましく
ありません。
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(2)主要観光施設の利用者数状況
①主要観光施設と宿泊施設の状況
各施設とも整備されてから一定の歳月が経ちますが、それぞれに平均的な利用者数を維
持しています。森やかの郷は、宿泊室が高い稼働率ですが、入浴利用者数において近隣地
域に競合施設が新規出店するなどの外的要因もあり、12年、13年をピークとして総利用者数
では微減傾向にあります。浪切ホールは認知度、ならびにリピーターなどの増加が予測でき、
これからも順調に利用者数が伸びていくと考えられます。
表9:市内主要観光施設の利用客推移(単位 人)
年度(平成)
12
13
14
15
16
17
18
岸和田城
(郷土資料館)
26,724
29,614
27,026
26,534
26,766
24,888
30,558
岸和田
だんじり会館
35,006
36,729
38,433
35,860
35,025
34,357
35,366
8,515
12,739
12,940
12,407
11,647
9,464
7,092
380,209
382,358
322,648
293,399
274,001
255,387
265,796
蜻蛉池公園
-
-
-
-
826,280
786,404
801,314
浪切ホール
-
-
362,804
313,862
387,395
395,034
421,092
五風荘
森やかの郷
19
②だんじり祭(9月祭礼)の観光客入り込み状況
岸和田市を代表するだんじり祭については、土日開催に日程が変更になり、極端な天候不
良などがない限り60万人台を推移すると考えられます。
表10:だんじり祭(9月祭礼)の観光客数推移(単位 人)
年(平成
試験曳き(1回目)
試験曳き
(祭礼前日)
宵宮
本宮
宵宮・本宮
合計
7
9/3
59,000
水
26,000
木
120,000
祝
430,000
550,000
8
9/8
49,000
金
27,000
土
190,000
祝
420,000
610,000
9
9/7
75,500
土
41,600
日
240,000
祝
310,000
550,000
10
9/6
50,000
日
52,000
月
160,000
祝
420,000
580,000
11
9/5
45,000
月
26,000
火
150,000
祝
360,000
510,000
15 日、台風 16 号通過
12
9/3
44,000
水
21,000
木
180,000
祝
390,000
570,000
14 日 15 日共、一時雨
13
9/2
45,000
木
23,000
金
190,000
祝
370,000
560,000
14
9/8
56,000
金
25,000
土
210,000
祝
400,000
610,000
15
9/7
55,000
土
50,000
日
240,000
祝
400,000
640,000
16
9/5
60,000
月
22,000
火
180,000
水
270,000
450,000
17
9/4
55,000
火
22,000
水
140,000
木
220,000
360,000
18
9/3
65,000
金
23,000
土
200,000
日
410,000
610,000
15 日、台風 19 号影響
8 日、300 年祭記念曳行
39 年ぶりの平日開催
130 年ぶりに日程変更
担当:商工観光課(照会先:岸和田警察署)
平成 17 年までは宵宮は 14 日、本宮は 15 日。平成 18 年以降は敬老の日の前々日が宵宮、前日が本宮。
20
3:岸和田市における観光資源の状況
(1)代表的な観光資源について
岸和田市は岸和田城を中心として、自然と伝統に恵まれた城下町として発展してきました。
そのため、市内のあちこちに歴史と伝統を持つ、貴重な文化的遺産が数多く残っています。
全国的に著名になった、だんじり祭は岸和田市の代名詞ですが、だんじり祭との相乗効果な
どで、新たに輝きを増す魅力的な観光資源が溢れています。
代表的な岸和田の観光資源(50音順)
市の観光パンフレットその他の資料より抽出(非公開も含む)
【歴史・神社・仏閣・史跡関係】
一里塚弁財天、意賀美神社、大山大塚古墳(捕鳥部萬墓)、岸城神社、紀州街道、岸和田
城、岸和田天神宮(沼天神)、岸和田藩主松平康重の墓、義犬塚古墳、熊野街道(小栗街
道)、久米田古墳群、久米田寺、神於寺、三の丸神社、泉光寺(岸和田藩主岡部氏累代の
墓)、大威徳寺、蛸地蔵天性寺、玉葱の碑、積川神社、梅渓寺、八大竜王社、土生神社、兵
主神社、摩湯山古墳、弥栄神社、夜疑神社、山直神社、行遇堂ほか
【レジャー関係】
森やかの郷、岸和田カンカンベイサイドモール、岸和田観光農園、北阪町観光農場、スパ・リ
ゾート リバティ、中央公園、蜻蛉(とんぼ)池公園、浪切ホール、マドカホールほか
【資料館・博物館関係】
きしわだ自然資料館、岸和田だんじり会館、まちづくりの館、久米田池交流資料館ほか
【自然・風景・まちなみ関係】
阿間河滝のまちなみ、和泉葛城山ブナ林、牛滝山の紅葉、かむろ坂、紀州街道、久米田池、
古城川緑道、こなから坂、欄干橋、神於山、酒蔵の並ぶ路地、積川のまちなみ、寺町筋、中
町石垣筋、春木川緑道、姫松街道、武家屋敷、木材港、本町のまちなみ、みかん畑、
桃畑ほか
【建築物など】
永代常夜燈(浪切神社)、岸和田中央会館、岸和田大橋、旧和泉銀行本店、旧岸和田村尋
常小学校校舎、旧岸和田煉瓦綿業の煉瓦塀、旧四十三銀行、五風荘、自泉会館、十六間長
屋、杉江能楽堂、泉州銀行、泉州春木港記念碑、蛸地蔵駅、マンサード長屋ほか
21
【イベントお祭りなど】
1月:久米田史跡散策ウォ-ク
2月:泉州国際市民マラソン
3月:久米田池桜まつり
4月:お城まつり、泉州の物産展、紀州街道にぎわい市、春のどんチャカフェスタ、
包近の桃の花まつり
5月:市民フェスティバル
6月:ほたる鑑賞会
7月:港まつり花火大会
8月:葛城踊り、土生鼓踊り
9月:だんじり祭(9月祭礼)
10月:だんじり祭(10月祭礼)、神於山地区農空間コスモスまつり、菊花大会
11月:秋の賑わいフェスティバル、イルミネーションプロジェクト、神於山まつり、
牛滝山もみじまつり、タイムトレイル岸和田ウォーク、農業まつり、産業フェア
(2)岸和田市は隠れた資源の宝庫!?
普段の日常的な生活空間のなかに、他のまちから来た人たちが、意外なほどに大きな評価を
見出すものがあります。岸和田市の海浜部(海)から市街地(まち)、丘陵部(丘・里)から山間部
(山)への地勢的な変化。また、古墳時代以前から中世、近世へつながる城下町、さらには昭和
にかけての紡績業の繁栄といった歴史的な深い魅力があります。そして、それらが優れている
にもかかわらず、岸和田の魅力として有効に発信されていないのが現状です。それだけではな
く、それら生活のなかに隠れた資源には、突然なくなってしまう可能性もあります。
全国に大勢のファンを持つだんじり。そこに漂
うにおいを感じることができれば、大喜びなの
です。
観光客も、そんなだんじりがあるまちの雰囲
気を味わいたい。それは決して、祭りの日、
当日だけではありません。
22
岸和田における明治・大正・昭和の発展と、
「レンガ」には古い縁があります。
普段見慣れていると見落としやすいものが…
他のまちから来る人には、たまらなく美しいも
のに見えることも…
木材町の景観も、独自のものです。木材とい
えば桐たんす…またケヤキにはだんじりとの
密接なかかわりがあります。
特に建築物に関しては、非常に興味深いも
のが多いと専門家は語ります。
紡績によって繁栄したころを偲ばせます。産
業観光の可能性なども、大いにあるのでは?
食文化に関しても、同じことがいえます。全国
ブランドになった「水ナス」や「くぎ煮」の、次の
商材が隠れているのでは?
改修、保全といった作業には持ち主や近隣
の方にとって、大変な負担となる場合もありま
す。
観光振興はそういった隠れた資源を再発見
するとともに、それらを保全するための活動
をはじめるチャンスにもなります。
23
4:岸和田市における少子高齢化について
岸和田市の人口は平成2年で約18万8千人、平成12年に約20万人を超え、その間1万1
千余人のゆるやかな増加がありました。その後、人口動態は自然増を基調に平成6年の関西
国際空港の開港による人口増加の傾向が続きました。
全国的には、平成22年度までの間に、少子化の影響を受け、人口減少期を迎えることが
予想されており、岸和田市においても時期的に若干の遅れはあるとしても、同様の傾向が現
れると予測されます。既に下図のように、総人口の微増に対して、15歳以上人口および労働
力人口の減少が見られます。岸和田市のにぎわいを維持、発展していくためには地場産業の
活性化はもちろん、競争力の高い産業育成が不可欠となります。同時にお祭りや各種の伝統
文化を継承していくうえでも“将来の担い手”について同様の問題が指摘できます。
少子高齢化時代においての産業振興は、さまざまな課題に対して複合的な対応策を持っ
て向き合う必要がありますが、地場産業への理解と一層の参加をうながしつつ、産業創造など
の多様な可能性を追う意味で、岸和田市の新たな観光振興が必要です。
表11:岸和田市の労働人口、15歳以上および65歳以上人口の推移
年(平成)
岸和田市
人口(人)
15 歳以上人口
2
7
12
17
188,563
194,818
200,104
201,000
153,464
161,721
164,641
164,673
岸和田市の15歳以上労働力状態
労働力人口
65 歳以上人口
92,009
98,660
96,394
95,509
総務省統計局 国勢調査より
24
19,895
25,119
31,038
37,691
5:岸和田市の観光課題について
(1)岸和田の魅力を、きちんと発信することが必要です。
●岸和田市には歴史と伝統を持つ、貴重な文化的遺産が数多く残っています。また、市民にとって
も未知なる、新しい観光資源が豊富に眠っていると考えられます。これら岸和田市の魅力は、残念
ながら他のまちの人たちに対して、ほとんど知られていないというのが現状です。
●これら岸和田の魅力を再認識し、まわりに正しく伝えていく必要があります。
(2)だんじりの持つ気品・風格を伝えることが必要です。
●だんじり祭は岸和田市の代名詞であり、市民の誇りです。全国のだんじりファンが岸和田市に集う
のは、岸和田市のだんじり祭に気品や風格があるからで、それらを学びに訪問しているのです。
●「荒々しい祭」として表現されることがありますが、だんじり祭の歴史的背景や伝統文化、山や海、
人々とのかかわりなどにある、気品や風格を正しく伝えていかなければなりません。
(3)岸和田の魅力を学ぶこと、保全していくことが必要です。
●だんじりをはじめとして、優れた文化、歴史、景観などの岸和田の魅力を地域の内外の人々に伝
えるためには、それらの背景や実情を積極的に学ばなければなりません。それは自分たちの住む地
域について、再認識することにもつながります。後世へ語り継ぐことを意識し、子どもたちを筆頭とし
て、地域のことを学ぶ機会を増やす必要があります。
●岸和田の魅力は意外にも身近なところにも隠れている可能性がありますが、消失してしまうことも
頻繁にあります。音や匂いなどを含めた景観や資源についても、積極的な保全活動が望まれていま
す。
(4)日帰り観光を推進して実績を積み、外国人観光客にも備えます。
●大阪府の統計データからは大阪府下の観光客の大半が、大阪府内を中心とした近隣住民である
ことが読みとれます。また、岸和田市内に「すぐに」宿泊数の増加を考えられないため、当面は日帰
り観光を想定します。
●それら日帰り観光によるお客様の満足度を高める実践を通じて、受入の経験を増やし、今後増加
すると考えられる通過型の外国人観光客にも対処していきます。
25
(5)「食」
、「土産物」の提供を強く意識することが必要です。
●他の観光地と比較してみると、岸和田市らしい「食」と「土産物」が不足しています。独自の
商品や提供可能なサービスを、意識的に開発する必要があります。これらは新しい岸和田ブ
ランドの創出に深くつながります。
●地味で格好が悪いと思われていた地域の特産品が、結果的に地域を代表する商品になっ
たケースは全国に数多くあります。またこれは郷土の生活文化を保全する、有効な方法という
こともできます。
(6)案内表示、解説サインなどの観光情報の発信などが必要です。
●中高年などを代表として、徒歩回遊型の観光客が増加します。しかし、岸和田市の観光資
源については、総じて案内表示や解説サインが足りていません。行政による徹底整備も検討
できますが、掲出される情報が継続性や持続性に欠けることから、デザイン的な統一感を保ち
ながら独自の設置方法が求められます。
●総合的な観光情報の発信も必要で、主要な駅でのビジタ-センタ-機能やインターネット
を活用した情報発信体制を整えていく必要があります。
●また、旧市街などにおけるトイレ、駐車場などの不足も深刻(特に祭礼時)であり、基本的な
インフラの整備、充実も必要とされています。
(7)市民による自律的、主体的な活動が必要です。
●「観光振興」は、特定の観光産業による“一面的なお金もうけ”ではありません。観光の質が
変化し、観光客がほかにない魅力を捜し求めている点を考慮して、“自分たちが住む地域”を
さらに良くしていく、ひとつの機会だとして考えることが重要です。
●もちろん、観光を大いに活用するなかで、新たな商品やサービスを開発し、利益を得ること
も決して問題ではありません。市内のあらゆる産業において、「観光振興」をビジネスチャンス
として捉えることができます。
●少子高齢化社会に対応するためにも、にぎわいと活力をもたらすには観光の力が必要で
す。岸和田の魅力を核として、ここに暮らしている誇りを大切にしたいと願う、市民のみなさん
の主体的な活動が必要なのです。
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27
【第 2 章】
岸和田市観光振興の基本的な考え方
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【第 2 章】岸和田市観光振興の基本的な考え方
1:観光振興に取り組む目的
交流人口を拡大し、にぎわいをつくり出す。
岸和田市が人口減少時代を迎えようとするなかで、観光施設、宿泊業、交通機関、飲
食業や商店街、特産品販売をはじめとして、農林漁業、建設業など産業全体を含めた裾
野の広い波及効果を、観光の振興によってつくり出すことを目的とします。
目的補足―1:ニーズの変化に対応し、実効性の高い行動計画。
参加体験、自己実現型の旅を志向するなど、観光に対するニーズ、スタイルには変化が見
られ、この変化を、これまで発信できなかった岸和田市の観光資源をあらためて伝えるチャン
スとして捉えます。また、近隣に在住する日帰り観光客を対象として受入経験を充実させた
後、海外からの観光客に対応していくという無理のない、実効性の高い展開を進めます。
さらに、過度な観光施設開発ではなく、既存の資源を有効に活用したソフト面の整備を中
心とすることで、現実的な実行計画をめざします。
目的補足―2:岸和田市独自のまちづくり観光を実践。
まず、岸和田の魅力を再認識し、それらを地域で学び、伝え合うことからはじめ、それによる
地域内の交流やつながりを広げていくことを最優先します。地域の魅力が確立することによ
り、おのずから観光客も好感を持ってくれるように観光資源と地域そのものを磨きます。そのた
めには生活に密着した岸和田市の文化や歴史を、きちんと伝えることのできる特産品などを
つくり出し、失いつつある景観や文化財、生活、文化や仕事を積極的に保全するなどの活動
が大切です。これを全国に先駆けた、岸和田市独自のまちづくり観光として捉え、実践するこ
とで活力あふれる魅力的なまちを形成していきます。
目的補足―3:次世代への継続を大切にする。
地域について学ぶ機会の創出はもちろん、文化・歴史や景観、仕事(職業)として食文化の
保全、観光にともなう産業振興など、すべてのまちづくり観光のプロセスと、岸和田の魅力は、
次世代を担う子どもたちに伝えていきます
29
2:目標値の設定
岸和田市観光振興計画の目標年度(短期目標 平成23年度・長期目標 平成28年度)の
目標値を、年ベースで以下のとおり設定します。
①主要観光施設、イベントなどへの入りこみ客数を増やします。
目標値Ⅰ 平成28年度には岸和田市への年間入りこみ客数 260万人をめざします。
※平成 18 年度実績220万人。但し、中心部、市北部、だんじり祭、市主要イベント、浪切
ホール入りこみ客数統計に基づく。岸和田ベイサイドカンカンモ-ルを除く。
②独自のまちづくり観光指数として下記の目標を設定します。
目標値Ⅱ 平成28年度には、勉強会ができる観光資源を100箇所認定します。
現存資源数 約70箇所(歴史・史跡関係、景観、風景、建築物、仕事など)において地
域市民による自主的な勉強会開催を支援。新しい観光資源の再発見、開発も含む。
目標値Ⅲ 平成28年度には、観光資源のサイン100箇所を設定します。
上記にともなう解説サイン類の制作、掲出の支援をおこないます。
30
3:基本テーマと行動指針
(1)岸和田市の魅力、観光資源の捉え方
基本テーマと行動指針を考えていくうえで、行動計画をわかりやすく共有するために、発信
していくべき岸和田の魅力「既存の観光資源(ハード面)」を、観光の光にちなんで岸和田の
“光”として定義します。さらに未だ発信されていない岸和田の魅力、雰囲気、「埋もれているこ
れからの観光資源(ソフト面)」を岸和田の“風”として捉えます。
岸和田の魅力 “光”と“風”の定義づけ
個別の“光”が、“風”による連携で一体感を持ってより輝きを増す…
“岸和田の風”
だんじり小屋
秩序、自治
路地
木造家屋のまちなみ
つながり・ちぎり
多様な職業
S字カ-ブ
伝統・歴史
職住一致の商店
海:イカナゴ、アナゴ、ネブト
夕涼みのお年寄り
木:たんす、イカダ師、木材町
駄菓子屋、かしみん
里山:保全活動、ブナ林
その他
人情・伝統・ふれあい 景観配慮型の近代建築
だんじりグッズ
まちの雰囲気…
気質・誇り
“光”と“風”はどちらが上、高級というように優劣をつけるものではなく、もともと
共存・一体となって「そこにあるもの」です。しかし、既に整備が進んだ観光施設などハ
ードに磨きをかける意味でのソフトが重要であること、
“風”すなわち、人情や伝統、風景
など岸和田だからこそ誇れる要素が独自性に富んでいることから、岸和田市観光振興計画
では“光”に対しての“風”を強く意識します。
31
(2)岸和田市観光振興の基本テーマ。
基本テーマを以下のとおり設定します。
岸和田ならではの「人情・伝統・ふれあい」のまちづくり観光
<岸和田の“風”>
岸和田市にある既存の観光資源である“光”に対して、“風”とも
いうべきまちの雰囲気、つまり「人情・伝統・ふれあい」などが他に
はない魅力であり、これらを強く意識して発信します。
“風”は抽象的で実態として捉えにくく、それらを具体的に伝える
には人による説明が最も適しており、施設や設備とは異なって時
流にあわせて対応でき、大きな発展の可能性を秘めています。ま
た、人による交流を重視した観光スタイルは、参加体験、自己実現
型の観光ニーズに合致していきます。
“光”と“風”が連携できる地域の魅力を、自律的に学び、伝えて
いくことで地域に対する愛着を一層高めていく、まちづくり観光を推
進しながら、次世代にわたって継承できる、誇り高い岸和田文化
創造をめざします。
●岸和田市「まちづくり観光」の定義●
①住まうまちを良く知り、さらに良くしていく活動を「まちづくり」として捉えます。
②外部の観光産業などが地域資源の価値をきめるのではなく、市民、地域が主体となって
価値を再発見、創出していく観光です。
③成果を経済的なメリットだけに求めず、交流によって「学び」、「楽しみ」、「つながり」などが
生まれる点を大きく評価します。
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(3)観光振興の行動指針
基本テーマ、“岸和田ならではの「人情・伝統・ふれあい」のまちづくり観光”に基づいて、以
下の行動指針を設定します。
行動指針①岸和田の“光”とともに“風”を生かす取り組みを優先します。
目に見える観光資源“光”に磨きをかけることはもちろん、
“光”のなかで流れている、人情、伝統、ふれあいなどの岸
和田市の魅力、雰囲気、市民によるホスピタリティー(おもて
なし)といった“風”を生かす取り組みを優先して進めます。
また、“光”が個別に散在していることから、“風”を生かす
なかでつながりを持たせ、深みのある岸和田文化を発信し
ます。
行動指針②まちづくりと同時進行、手づくり観光で進めます。
住まう地域の資源をともに学び、発信していく市民が主体と
なった「手づくり観光」を進めます。景観をはじめ生活文化、
続けてきた仕事が保全できたり、地域への愛着が強くなった
り、ほかの地域との連携が広がるなど、観光によるメリットを得
ることができます。もちろん、行政はさまざまな角度からそれを
積極的に支援します。
行動指針③子どもたちによる参加を大切にします。
地域の観光資源の再発見や発信のための勉強会、
環境美化や自然環境保全などのボランティア活動など
において、子ども会や学校単位での参加協力を推進
し、岸和田の文化や歴史を正しく次世代へ継承するこ
とを重視します。
33
(4)推進体制
基本テーマ、“岸和田ならではの「人情・伝統・ふれあい」のまちづくり観光”に最も適した推
進体制として、市民による自律的、主体的な活動を機軸として行政ほか関連団体、産業団体
が互いに連携できる流動的な展開を行います。また、目標達成にむけての全体の調整、なら
びに横断的な推進母体として観光振興推進会議を設けます。
推進体制のイメージ
岸和田市観光振興の目的
交流人口を拡大し、にぎわいをつくり出す
目的補足―1:ニーズの変化に対応し、高い実効性を持つ。
目的補足―2:岸和田市独自のまちづくり観光を実践。
目的補足―3:次世代への継続を大切にする。
観光振興の行動指針
行動指針①岸和田の“光”とともに“風”を生かす取り組みを優先する。
行動指針②まちづくりと同時進行、手づくり観光で進める
行動指針③子どもたちによる参加を大切にする。
34
35
【第 3 章】
“風”を吹かす具体的な行動計画
36
【第 3 章】
“風”を吹かす具体的な行動計画
風を吹かす仕組み①
まちづくりサイン設置「まちしるべ」プロジェクト
「まちしるべ」プロジェクトの概要
岸和田市内の主要な観光資源をはじめとして、今後再発見が待望される未知なる資源をも
含めて、全体的に案内看板、解説などのサインが不十分です。行政による支援とガイドライン
の設定に基づき、地域に住まう市民のみなさんが主体的にサインや地図を計画し、設置して
いく事業が「まちしるべ」プロジェクトです。
サインの計画は、地域全体にかかわる課題です。計画を進めるには、地域の成り立ちや現
在にいたる正しい情報(教科書に載らない情報も含めて。)を学ばなければなりません。子ども
たちを中核に、自主的な勉強会などのなかから、地域にふさわしい手づくりサインを計画し設
置していきます。
【進め方の例】
●「まちしるべ」プロジェクトは案内看板や解説サインを作成する取組みです。地域の創意工夫に
より地図やインターネットホームページなど、他の成果物も考えられます。
●高額な素材を活用した耐久性能の高いものより、毎年更新することになったとしても、地域の
情報を地域で共有するなど、完成までのプロセスを大切にします。
●市民からの「道路の愛称」を募集し、愛称看板(まちしるべ)を設置します。
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風を吹かす仕組み②
肩書きのない解説者「人しるべ」プロジェクト
「人しるべ」プロジェクトの概要
歴史的資源に限らず、岸和田市の観光資源のまわりには、それらの魅力を自発的、好意的
に伝えようとする市民のみなさんがいます。そんなみなさんこそが岸和田の“風”そのもので、
他にはない「暖かさ」を強く感じることができます。義務や責任を持たず、気がむいたときにで
きる、そんな語りかけ…観光客に対する「おもてなし」として役立つ仕掛けづくりが「人しるべ」
プロジェクトです。
「岸和田歩きの心得」など、市民と観光客が交流できる手法を研究します。
【進め方の例】
案内人ではなく、何かのついでに
声かけできる程度の活動です。
●人しるべプロジェクトは、観光客に地域の情報をお伝えし、それにやりがいを感じていただける方を対
象に、交流回数、充実度にみあう認定制度の導入も検討できます。
●まちなかでの回遊性が高まり、お店の宣伝もできることから、小売業での実施がスムースと考えられる
ため、商店街との連携を図ります。
●岸和田ボランティアガイドと連携し、受入の充実を図ります。
●市職員も休憩時間等に、マップをもっている人を見かけたら積極的に話しかけます。
●そのため、市職員研修を実施します。
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風を吹かす仕組み③
食文化発信と飲食サービス開発「味しるべ」プロジェクト
「味しるべ」プロジェクトの概要
案内看板やサインの不足と同時に指摘されているのが、岸和田市の食文化発信です。食
の魅力が観光地にとって、不可欠なことはいうまでもありません。山の幸、海の幸をはじめ生
産地としての岸和田市の役割は大きく、すばらしい素材を生かした岸和田ならではの食文化
が存在しています。これらを発掘し、市外へ発信するのが「味しるべ」プロジェクトで、お土産
物の開発であるとともに、誇るべき地域の食文化を保全・伝承することにもつながります。
固有の食材、食習慣が全国ブランドになる例は、決して珍しくありません。販売拠点、飲食
施設の整備も視野に入れた、実践的な活動を展開します。
【進め方の例】
●事業者とのビジネスマッチングなども、岸和田商工会議所などと連携して積極的に支援します。岸和田
市の伝統的な文化発信につながる、起業のチャンスとしても大変有効です。
●食における優れた商品開発となる場合、「岸和田ブランド」として認定します。
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商品・サービス開発の場としての「つまみ食い」イベント開催計画
「つまみ食い」イベントの概要
「味しるべ」プロジェクトを代表として、新しい土産物販売、さらに徒歩回遊型のウォーキング
イベントや「人しるべ」など、提供した商品やサービスがどのように受け取られたのか、市場ニ
ーズにどの程度適しているものかなどの検証作業が必要になります。市内各地域で実践され
るさまざまな“風を吹かす仕組み”プロジェクトを、観光客にモニターしてもらうのが「つまみ食
い」イベントを実施します。
単独での開催も望まれますが、だんじり祭や既存のイベントなどに便乗して、実施・実験を
繰り返し、商品の質、内容を高めていきます。
【進め方の例】
●観光客を対象としたアンケート調査を行い、客観的な評価、新しい発見や喜びを共有します。また結果
によっては商品やサービスを改良して、次回のイベントで再挑戦を行います。
●アンケートは行政サイドでとりまとめをし、包括的にどのような観光客の動向があるのかを検証し、今後
発信していく岸和田ブランドなどの方向性を検討していきます。
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体系的な情報発信手法と岸和田ファンの育成
体系的な情報発信手法と岸和田ファンの育成について
“風を吹かす仕組み”プロジェクトの進行具合を、時系列で外部にむけて継続的に情報発
信を行います。市広報はもちろんですが、これら岸和田市独自のまちづくり観光を専門に発
信し、全国の岸和田ファン(仮想市民)を育成する取り組みもスタートさせます。それぞれの地
域での取り組みや企業、個人による取り組みを網羅し、持続的なコミュニケーションを実現で
きる手法としてインターネットを活用します。
歴史やウォーキング、写真愛好家など個別の団体に直接イベント参加を勧誘できるようなイ
ンターネット上での独自なコミュニティーづくりをめざします。
【コミュニティーサイトのイメージ】
●市民の皆さんによる、まちづくり観光の進み具合を情報源として発信します。
●全国にいる「だんじりファン」を手はじめとし、参加体験、自己実現型観光を志向する「歴史」、「ウォーキ
ング」、「写真愛好家」などの各地で形成されているコミュニティーに対し、ダイレクトに情報を発信し、仮想
市民を募るとともに、イベントなどへの参加告知・報告、評価・評判の収集を行います。
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インターネット以外の情報発信手法について
インターネットによる仮想世界を活用した、情報発信手法とは別に、現実世界における広
報活動も、もちろん推進します。今日、自治体や観光産業が用いる、観光振興に有効とされる
情報発信手法の導入が検討できますが、それらを単純に模倣するのではなく、岸和田市観光
振興のテーマに準じる形で加工、アレンジが必要です。具体的には“風を吹かす仕組み”プロ
ジェクトと連携して、相乗効果をあげていく展開を模索します。
●岸和田観光大使(仮称)などの認定●
具体的な露出計画などを見極めたうえで岸和田の魅力を語るに相応しい、著名人を岸和田観光大使
として認定。全国にむけて情報発信をお願いします。
●岸和田検定(仮称)の実施●
市民はもちろん、全国にむけて岸和田の歴史、生活文化を発信し、それらを学ぶ機運をつくり出す手
法として実施を検討します。小学生が参加できるレベルから、専門・特化した内容のものまで複数の認
定レベルが必要です。
●関西空港からのトランジェットツアー企画活用●
訪日外国人を対象に、飛行機乗換えの時間を活用したトランジェットツアーを企画し、海外むけの情
報発信を連動させていきます。
●その他●
映画やドラマにおける撮影誘致や支援活動を行う、フィルムコミッション事業の推進、また、岸和田だ
んじり会館を核とした「お祭りサミット」などの開催、さらに、大阪府主導にて開催される国際会議などの
分科会誘致など、さまざまな企画、情報発信が考えられます。これらに関しても、継続的に実行可能
性を追求していきます。
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【第 4 章】
“光”を磨く具体的な行動計画
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【第 4 章】 “光”を磨く具体的な行動計画
個別観光資源についての短期/長期計画
岸和田市内の主要な観光資源、“岸和田の光”における行動計画として<長期計画:望ま
れる姿>と<短期計画:できること>を提言します。
だんじり祭(9月祭礼、10月祭礼)
短期計画
●町会所有のだんじりは貴重な文化遺産であり、末代まで語り継ぐべき地域の誇りであることはいう
までもありません。だんじりと、だんじり祭にまつわる過去から現在までの歴史や、関連する職業や
食文化などの生活文化について、子どもたちを中心に勉強会などを推進します。同時にそれらの
成果を「まちしるべ」などのプロジェクトに連携していきます。また自分たちの地域に限ることなく、ほ
かの町会や、だんじりを育んだ山や海の文化との連動、市外のお祭りとの比較など広域な交流にも
期待できます。岸和田市内はもちろん全国にむけて、だんじりの気品、風格を正しく伝えていきま
す。
●特に9月祭礼は宵宮、本宮あわせて60万人の見物客を集めるお祭です。岸和田市の情報発信
はもちろん、食や土産物などの販売や、市場調査を行うには絶好の機会といえます。地域に収入
を発生させる意味でも、果敢な挑戦を行います。
●10月祭礼についても、その魅力を情報発信します。
長期計画
●一般観光客にとっては、だんじり会館の見学で満足されますが、一年を通じて全国から訪問され
るだんじりファンにとっては不満との声があり、現役だんじりを見学したいという強い要望がありま
す。祭礼日以外にだんじりを見学できる機会を町会の協力の下検討していきます。
●「味しるべ」などのプロジェクトの発展形として、町会単位でつくり、販売していける食や土物、グッ
ズなどの企画、販売を進めます。
●休憩場所の設置、仮設トイレの水洗化など、観光客の受け入れ体制の整備を進めます。
45
岸和田だんじり会館
短期計画
●「人しるべ」を中心に各種のプロジェクトの勉強会や、交流会、発表会など、だんじりにかかわりの
ある市民活動の拠点として、そのポジションを高めていきます。
●岸和田だんじり会館が自主企画する催事を増やし、市の内外を問わず、積極的な情報発信でリ
ピーターを育成します。
長期計画
●国際会議に連動したオプションツアーなどを積極的に受け入れます。同時に韓国、中国やインド
などアジア方面からの観光客に対応できるよう、サービス内容の高度化をめざします。
●日本各地のお祭り関連施設との、ネットワーク構築を行い、お祭りサミットなどの開催を企画しま
す。
電車・徒歩による玄関口/南海岸和田駅、蛸地蔵駅など
短期計画
●現状の南海岸和田駅は、「だんじりがあるまち」という期待感に応えにくい状況です。だんじりを
ほうふつさせるシンボリックなサインや、イベント開催予定のポスターや情報を掲出できる情報発信
コーナーなどを設置します。
●トライアングルゾーンの回遊を前提にすると、蛸地蔵駅をスタートとして捉えたほうがファサード/
玄関口の雰囲気が相応しいという考え方もあります。現行の南海岸和田駅を基点としたコース設定
に加えて、蛸地蔵駅起点の周遊コースも新たに発信していきます。また、蛸地蔵駅にも情報発信コ
ーナーを設置しますが、駅舎の雰囲気を生かしたものを検討します。
長期計画
●南海岸和田駅周辺においては、常時解説員を設置することでビジターセンターの機能を持たせ
ていきます。多彩な観光情報、地域情報の発信はもちろん、物販拠点としてもその役割を充実させ
ていきます。
●蛸地蔵駅周辺においては、蛸地蔵商店街と天性寺、および五風荘、岸和田城のシンボリックな
情報拠点とし、「味しるべ」などのプロジェクトの成果による独自商品の物販なども行います。
46
まちづくりの館と本町界隈
短期計画
●まちづくりの館は「人しるべ」を中心に市民活動の拠点として、また集客拠点としてポジションを高
めていきます。また、「味しるべ」などによる酒類や飲食(試食)サービス、参加体験型観光などがで
きる、地域の常設ショールームとしての機能も高めます。
●本町界隈の景観保全活動はもちろん継続し、エリアの拡大も視野に入れます。「まちしるべ」、
「人しるべ」の導入も比較的実施しやすい地域であるために、先行して充実したサービス開発を行
い、岸和田市の顔のひとつとして一層強力に発信していきます。
長期計画
●岸和田城ウエディングでの利用、紀州街道にぎわい市に加えて、市内全域の歳時記にあわせた
催し、浪切ホールでのイベントに連動したものなど、独自のイベントを数多く開催していきます。
●本町だけではなく、紀州街道を核とした周辺の地域全体と連動し、堀の石垣や昔の海岸線、さら
に、現存している昭和のまちなみなど、保全していく対象を広げます。
●町家家屋保全のための情報発信施設や宿場を模した簡易宿泊施設、第二、第三のまちづくりの
館設置も検討します。
紀州街道沿い(本町界隈をのぞく)
短期計画
●多様に優れた資源が埋もれているだけに、周辺の商店街と連携のうえで、「まちしるべ」などプロ
ジェクトの導入による、地域情報の掲出が急がれます。
●独自の企画や、本町界隈におけるイベント、浪切ホールでのイベントと連動することで、観光客
の回遊性が高くなると考えられます。既に市民活動の拠点として稼動している岸和田中央会館など
も、観光客が気軽に出入りできるような取り組みを進めます。
長期計画
●本町界隈と同じく、江戸・明治・大正・昭和が残るまちなみとして景観保全活動を推進し、新たな
ものを付け加えるのではなく、歴史や文化をしのばせる新たなシンボルとして位置づけます。
●古城川沿道や欄干橋の再整備なども視野に入れ、“次なる岸和田市の顔”のひとつとして整備
計画を検討します。
47
岸和田城とその周辺
短期計画
●「八陣の庭」(重森三玲設計)を正しくうたい、貴重な文化財を保全している事実を発信します。
●二の丸、多聞櫓・隅櫓の充実を図り、国際会議に連動した茶話会などに対応できるような、“お
城”の付加価値を高めることのできる取り組みをはじめます。
●岸和田城ウエディングが他の地域に無い独自の取り組みとして、内外の評価が高くなっていま
す。ブライダル事業は飲食、宿泊と多面的なサービスを展開できる可能性があるため、五風荘をは
じめ周辺資源と連動して強く発信し、受け入れ数を増やします。
長期計画
●朝鮮通信使とのかかわりをはじめとして、岡部氏にまつわる史実は数多くあります。文化財から
中町石垣筋などにいたるまで、文化財の収集・保全に取り組みます。
●従来どおりの市民によるイベントはもちろん、岸和田市の食や土産物を試すことのできる「つまみ
食い」イベントなどの定期会場としての方向性を探っていきます。
●旧裁判所の跡地を、岸和田城、五風荘、岸和田だんじり会館と連携させた、公共施設などとして
の利用方法を検討していきます。
●お城は岸和田のシンボル。古城川の復元など、旧市街の観光資源と有機的に連動できるような
規模の大きな整備についても視野に入れて進めます。
五風荘
短期計画
●岸和田市のゲストハウスとして、岸和田城周辺観光の核としての位置づけを高めます。
●岸和田市の食文化発信を行ううえで、施設内の設備の見直し、運営方法についても高度なサー
ビスが提供できるように整備していきます。
長期計画
●敷地内の庭園、建物や蛸地蔵駅からのエントランスなど、利便性を高めつつ、保全を目的とした
整備に取り組みます。
●廻遊式日本庭園を生かした、岸和田市の食の拠点として「味しるべ」のショールーム的要素を整
え、五風荘を核とした岸和田市の食文化発信を展開します。
48
浪切ホール
短期計画
●文化発信の拠点として、京阪神地区への認知訴求をさらに高めます。
●大阪府などと連携して国際会議に付随するイベントの誘致を行います。
●来館者へのトライアングルゾーンへの回遊をはじめ、市内観光を促すための情報提供を強化す
るため、指定管理者との協同を密にしていきます。
長期計画
●浪切ホールの催事スケジュールと連動した期間限定の発売会などを実施することにより、商店
街の活性化方策を模索します。
岸和田カンカンベイサイドモール
短期計画
●「まちしるべ」、「人しるべ」などの各種の取り組みを掲出できる情報コーナーを設置、また、「味し
るべ」などのデモンストレーション、発表、それに連動した岸和田市の旬の食材の販売などの開催
を提案します。
長期計画
●自動車利用による市内観光の起点とし、周辺観光資源との連携を深める取り組みを提案しま
す。
天性寺、本徳寺、泉光寺、神於寺、大威徳寺、積川神社をはじめとした寺社仏閣
短期計画
●縁起絵巻や宝蔵、さまざまな伝承など貴重な文化財の存在が知られておらず、「まちしるべ」プロ
ジェクトに最も相応しい文化財として、市民による独自の発信を展開します。
長期計画
●文化財の保全を第一義とし、地域の市民にとっての愛着を高めます。
●それら貴重な文化財を、関係者による解説を加え、定期的に公開できる機会を可能な限り増や
していきます。
49
旧市街とそれに隣接している商店街、さまざまな産業・小売店
短期計画
●「人しるべ」プロジェクトを積極的に活用し、観光資源の「光」をつないで連携し、観光客による徒
歩回遊を活性させていきます。また、「まちしるべ」を商店街マップとして捉えるなど、観光客だけで
はなく、市民への再発信という意味もこめて、地域の特色を前面に打ち出していきます。
●商店街と観光資源、または、商店街と商店街をつなげることで回遊性が高まるウォーキングイベ
ントなどを、小さな規模から実践していきます。最初から観光客を対象とするのではなく、地域の小
学生などを対象とした「お仕事しらべ」、「就業体験」といった催しなどに取り組みます。
長期計画
●魅力的な商材や品揃えが無くては現実的な効果が期待できません。「味しるべ」プロジェクトの
連動をはじめ、商店街と協働して、食や土産物、休憩できる場所など“ここでしか手に入らない”、
“ここで手に入れることがうれしい”商品、サービスの提供をつくり出します。
●商店街の周辺にある文化財も重要ですが、商店街に存在している“仕事”自体の保全も大変重
要な課題です。魅力的かつ真に豊かな生活文化の保全にむけて、岸和田の良さを守り、伝えてい
きます。
岸和田漁港、春木漁港
短期計画
●「味しるべ」プロジェクトの中枢的な役割を担い、岸和田和泉 SA や、イベント時での販売を継続。
また、「つまみ食い」イベントなどを通じて、新しい販売拠点の開拓なども行います。
●春木漁港の歌碑などについて、知られていない資源の外部への発信を積極的に行います。
長期計画
●「ワタリガニ」、「アナゴ」、「ハモ」、「イカナゴ」に限らず「フカ」、「ガッチョ」、「シタビラメ」、「ネブト」
「タコ」など漁業資源は岸和田における生活文化の要です。岸和田ブランドとして発信可能な商材
の開発が必要です。それらに伴い、漁業資源の保全活動とも連動していく必要があります。
●「まちしるべ」、「つまみ食いイベント」プロジェクトとして、訪問しやすい漁港の環境づくりを行いま
す。また、定期的な市場の再開も視野に入れて進めていく必要があります。
50
久米田池、久米田寺と周辺古墳群
短期計画
●サイン類の欠如が著しいことから、地域の歴史についての認知度の低いことからも、古墳時代以
前よりの歴史的資源を生かす意味で、早急なる「まちしるべ」プロジェクトの導入が期待されます。
久米田周辺の場合、熊野街道をはじめ、旧街道からの導線を配慮したルート設計も行います。
●ため池という文化的歴史的資源を生かしたイベント、飲食施設などの充実を図ります。また、岸
和田市の海浜部と山間部をつなぐ地勢にあることからも、休憩場所的な役割を持たせます。
長期計画
●市民を中心とした憩いの場であり、健康増進型のイベントや、“野鳥の国際空港”と称されるほど
の鳥たちが集まる魅力を生かした野鳥観察会などの定期的な開催についても、検討していきます。
●久米田寺周辺は歴史的におもむきのある建造物が残っています。景観保全地区としての展開も
視野に入れて進めます。
森やかの郷とその周辺
短期計画
●高稼働率で運営できている点から、岸和田観光の山間部における情報拠点としての展開を進め
ます。「味しるべ」プロジェクトによる食や土産物の販売も強化していきます。
長期計画
●増床にて受け入れ客数を増加するなど、新しい魅力を加える方策を具体的に検討します。
相川周辺のホタル観光
短期計画
●一極集中による弊害が顕著に見られるため、環境基金などの設定により駐車料収受を導入する
などで車両乗り入れを規制し、同時に付加価値を高めるサービスを提供することで混雑緩和を進
めます。
長期計画
●海外のエコツアーに見られるような、景観、自然環境に対する取り組みを観光事業として位置づ
けするなど、相川の保全活動へと展開を広げていきます。
51
神於山と道の駅計画
短期計画
●里山保全活動と農作物などの販売が密に連携しており、道の駅計画については周辺自然環境
に配慮した整備を行い、市民活動をはじめ JA、JF との親密な連携とともに、岸和田市を代表する
名物施設として発展させます。
●「味しるべ」プロジェクトなどを導入し農作物に限らず、海浜部の特産品、だんじりグッズなどの販
売も、地域の NPO や町会による出店を募集し、NPO や市民活動の拠点として整備していきます。
長期計画
●里山保全を、環境に配慮した循環型社会をめざすシンボリックな活動として、商品販売、情報発
信拠点としてだけではなく、参加体験型のプログラムなどを充実させます。それにより、周囲の観光
農園とのかかわりを密にして、丘陵部における岸和田市のショールームとして位置づけていきます。
阪南二区「ちきりアイランド」
短期計画
●人工干潟について、きしわだ自然資料館や各種の研究機関とともに、海浜部における参加体験
型プログラムを提供していきます。プログラム開発には関係機関などの協力を仰ぎ、市内の小学生
による自然観察会などを実施し、新しい岸和田市の資源として「まちしるべ」プロジェクトを導入して
いきます。
長期計画
●「都市臨海部に干潟を取り戻すプロジェクト」を長期的に継続します。また、海浜・親水緑地の整
備を進め、自然公園として、大阪湾再生事業の拠点としての機能や、公共施設の設置などを視野
に入れて整備を進めます。
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【第 5 章】
まちづくり観光の新しい可能性にむけて
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【第 5 章】まちづくり観光の新しい可能性にむけて
新たな観光資源の方向性
インターネットで直接ホテルを予約する旅行、まちなかを歩いて回遊して写真を撮影する中
高年観光客といった参加体験、自己実現型の旅を志向するなど、観光に対する市場ニーズ
は、成熟型社会の到来とともにますます大きく変化します。
このことは、商品として成り立たないという理由から旅行代理店などが選ばない場所や、マ
ニアックな事象を好む人々が増加しているといい換えることができます。また、水や空気を味
わうなど、何もない自然なままの場所にやすらぎを感じる人も増えてくるでしょう。まさに風や雰
囲気が、貴重な観光資源に変わっていきます。
まちづくり観光は、市民のみなさんが「実はこの場所が好きなんや」、「これを眺めていると
落ち着くんや」、「これが旨いから、岸和田っ子でよかった」というような、あらゆる岸和田の魅
力を再発見し、共有することからはじめていきます。“岸和田ならではの「人情・伝統・ふれあ
い」のまちづくり観光”というテーマに沿って、岸和田の“光”にも“風”にもなっていない、これ
からの新しい観光資源を見つけていく方向性を示します。
方向性①一番の資源は“人”という考え方
どんなにすばらしい観光資源であっても、解説者を代表格として
売店や近隣にお住まいの方々を含め、魅力を伝えてくれる人間の
存在が重要です。全国的に著名な観光地において、人的なサービ
スが悪かったために、その観光地全体がひどくつまらないものに見
えることもあります。一番の資源は“人”なのです。
観光客に対して、ゴミだけを捨てていく人々と、思っては意味がなく、むしろ積極的に観光客とかか
わることで、自分たちの地域についての印象を教えてもらうような接し方を進めます。このような交流
の結果を地域にフィ-ドバックする事が、少しずつ改善することで、まちを磨くことにつながります。参
加体験、自己実現型の旅行スタイルというと、体験型プログラムを作ることと錯覚してしまいがちです
が、本質には人間による交流があるものと考えていきます。
55
方向性②保全を強く必要としている無形文化財
地域のみなさんが主体になり、地域のために行っている催事、お
祭りなどが、地域の力をつむぐ大きな役割を果たしていることは周
知の事実です。しかし、ここにも少子化や合理化が影響し、ほかの
市町村を例にあげるまでもなく、気がつけばお祭りそのものが存続
の危機に陥ることもしばしばです。
岸和田市には「葛城踊り」や各地で伝承されている「地元の盆踊り」などがあります。これらの資源
は地域のみなさんが代々にわたって、生活の一部として保全、伝承をしてきたもので、歴史的背景は
もちろん、文化的にも高い価値のある無形の文化財です。地域に密着した盆踊りに関しては、明らか
に減少傾向であり、これら固有の資源を再度整理し、その保全方法を考えていかねばなりません。
無形の文化財の保全を進めるうえで、観光客による見物が直接的に支援になるとは決して断言で
きません。ですが、見られること、評価されること…価値を大いに認めてもらえることは、保全や継続を
進めるうえで大きな励みになることは間違いありません。「観光」をうまく活用することで、岸和田市に
おける無形文化財の魅力を守り、伝える工夫が必要です。
方向性③音やにおいも含む“景観”について
日常的な暮らしに溶け込みすぎて、案外気づきにくく、観光客な
ど外部の人たちによる指摘にて、はじめて大切さ、貴重さがわかる
というのが景観です。国による観光立国宣言には「伝統的建築物
保全地区」の指定を進めたり、世界文化遺産に認定されるような事
例も多く、まさにこれからの時代の観光資源といえます。
既に岸和田市では「風物百選」として、印象的な景観、祭事、自然環境などを選定していますが、
これに限らず、魅力的な資源が多数存在しているものと想像することができます。過去から現在に至
るまでの歴史の再確認、観光客などによる外部評価を改めて問い直し、地域の資源を保全していく
試みを推進していきます。建築物、自然環境、四季折々に変化する景観はもちろんとして、臨場感あ
ふれる音や、染み付いたにおいなどもその範囲にとらえて、具体的な事象にスポットライトを照らして
いきます。
56
方向性④つながりで魅力を増していくべき産業観光
過去における産業の成り立ち、隆盛を再発見することを目的とし
て、それらの栄光を見学できるように保全したり、再利用していくと
いう産業観光も、今後発展性のある観光資源の展開方法で、この
手法によって地域の活力向上に成功している事例が世界中にあり
ます。
山間部より海浜部へと生活文化の多様な地勢を持ち、明治から今日にいたる歴史を積み重ねてき
た岸和田市では、それぞれの時代にしなやかに対応しながら数々の産業の過渡期を経験してきまし
た。水産、農業から海運、船大工、酒造、泉州綿織物を主とする紡績工業、レンガ生産、金属、機械
器具、レンズ工業、桐箪笥など無数の産業の形跡が今日にも現存しており、観光資源としての出番を
待っている状態です。また、昭和の経済成長期を支えた小売業、サービス業なども懐かしい面影を
残して存在しています。
一つひとつの“光”は、決して強くはないかもしれませんが、ネットワークとしてとらえた場合、そのつ
ながりによって、重層な岸和田市の産業文化を実感できる素材といえるでしょう。地域や産業間の隔
たりを超え、これら産業観光資源の連携を進めていきます。
方向性⑤内外に対する岸和田文化の浸透
「まちしるべ」プロジェクトは地域に対する再認識と愛着を深め、
結果として観光客に地域の魅力を発信していくサインや看板をつく
り出していく活動です。これには岸和田市の歴史的背景などの基
準設定が必要であり、同時に、何らかの目標設定をすることで、主
体的に参加する動機付けを図らなければなりません。
市の内外にむけて、岸和田市の歴史、生活文化を発信し、それらを学ぶ機運をつくり出す一つの
方法として、「岸和田検定(仮称)」などを検討します。小学生たちが地域の歴史や文化に楽しみなが
ら触れることのできるレベルから、非常に専門・特化した内容のものまでと複数の認定レベルを設け、
できるだけ多くの市民による参加を喚起していきます。
57
方向性⑥新しい“光”の整備について
この岸和田市観光振興計画において岸和田の“風”、つまりは、ソフト面における行動計画を主眼
として進めています。それは、平成2年に策定された「岸和田市観光振興基本計画」における整備計
画が一段落し、それらハード面の開発に対してソフト面の整備が進んでいなかったこと、さらに、市場
ニーズが変化し、まさに人的ソフト面を重視する観光スタイルの広がりが予測できることなどという背景
に基づくものです。今後10年間の長期目標として、新しい観光施設を整備しないという意味ではあり
ません。
今日の社会背景を考慮すると、右肩上がりの経済成長を前提とした施設整備は必要ではありませ
ん。持続的なにぎわいをつくり出していくという目的のうえでは、今後とも市場ニーズを慎重に捉えな
がら、定期的に微妙な方針転換に対応していく必要があります。
岸和田城を核とした旧市街の更なる拡充・整備、古城川の復元、武家屋敷の修復・保存などの岸
和田の“光”を復活させる試みや、観光インフラとしてのトイレや駐車場の活用なども前向きに検討し
ていきます。新しい観光施設の整備については、今回の計画にて表明しました複数のプロジェクト、
まちづくり観光を進めていくなかで、条件を吟味し具体的な計画を随時、加えていきます。
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岸和田市観光振興計画
策定までの経緯と委員
(1)検討経緯
日付
会議名
平成18年
第一回岸和田市観光振興計画
11月29日
策定委員会
12月21日
平成19年
1月13日
内 容
第一回岸和田市観光振興計画
個別課題の整理、
策定検討委員会
基本的な考え方について
第一回
有識者による現地実踏会
座談会
第二回
1月28日
有識者による現地実踏会
座談会
2月9日
2月22日
3月12日
5月23日
6月7日
7月17日~
8月16日
策定の意義と方向性について
観光資源の現状調査、
市場ニーズに沿った方向性提言
観光資源の現状調査、
市場ニーズに沿った方向性提言
第二回岸和田市観光振興計画
観光振興計画における
策定検討委員会
具体的戦略について
第二回岸和田市観光振興計画
観光振興計画における
策定委員会
具体的戦略について
第三回岸和田市観光振興計画
策定検討委員会
第四回岸和田市観光振興計画
策定検討委員会
第三回岸和田市観光振興計画
策定委員会
パブリックコメント募集
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個別懸案と推進体制について
計画の検討
計画の最終検討
(2)岸和田市観光振興計画策定委員会
委員
氏名
委員長
副委員長
委 員
柳曽 健二
土井 康司
団体名
岸和田商工会議所会頭
岸和田市観光振興協会副会長
岸和田商店街連合会会長
中尾
清
大阪観光大学観光学部教授
槌谷
進
岸和田市町会連合会会長
〃
山本 義治
岸和田だんじり祭運営協議会会長
〃
山﨑 一郎
岸和田市文化協会会長
〃
明瀬 正武
岸和田市副市長、岸和田港湾振興協会副会長
〃
杉本
岸和田市農業協同組合代表理事組合長
〃
烏野 輝男
岸和田市漁業協同組合代表理事組合長
〃
川本 信義
春木漁業協同組合代表理事組合長
〃
肥田 貞子
岸和田市観光振興協会副会長
〃
根来 慶悟
岸和田市産業部長
特別委員
谷口 知弘
立命館大学経営学部助教授
〃
中村 伸之
(有)ランドデザイン代表 宝塚造形芸術大学講師
〃
林 幸治郎
ちんどん通信社(有)東西屋社長 京都造形大学 客員講師
前委員
鳥居 弘司
前岸和田市町会連合会会長
石田 眞一
前岸和田市産業部長
〃
曻
60
(3)岸和田市観光振興計画策定検討委員会
委員
氏名
中尾
委員長
清
団体名
大阪観光大学観光学部教授
副委員長
根来 慶悟
岸和田市産業部長
委 員
石田 眞一
岸和田市観光振興協会事務局長
〃
道齊 芳雄
岸和田商工会議所専務理事
〃
谷口 敏信
岸和田市農業協同組合代表
〃
奥田 泰弘
岸和田漁協魚市場株式会社専務取締役
〃
烏野 誠一
岸和田市文化財団副理事長
〃
東
岸和田TMO代表
〃
小泉 修一
本町のまちづくりを考える会会長
〃
平松 保次
岸和田城址保存会会長
〃
竹谷 和雄
岸和田市観光振興協会理事
〃
伊丹 泰司
岸和田青年会議所理事長
〃
吉野 久雄
岸和田ボランティアガイド会長
〃
原
岸和田市産業部商工観光課長
幸作
宗久
特別委員
谷口 知弘
立命館大学経営学部助教授
〃
中村 伸之
(有)ランドデザイン代表 宝塚造形芸術大学講師
〃
林 幸治郎
ちんどん通信社(有)東西屋社長 京都造形大学 客員講師
〃
上岡 典子
京都造形芸術大学非常勤講師
前副委員長
石田 眞一
前岸和田市産業部長
三田 忠雄
前岸和田市観光振興協会事務局長
中塚 貴志
前岸和田青年会議所理事長
前委員
〃
(4)事務局
岸和田市産業部商工観光課長
原
宗久
々
観光担当長
西村 利彦
々
観光担当
和田
岸和田市観光振興協会事務局次長
勝
松井 孝人
61
岸和田市観光振興計画
発行者
岸和田市
〒596-8510
電話
岸和田市岸城町7番1号
072-423-2121(代表)
http://www.city.kishiwada.osaka.jp/
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