(平成 20 年度東アジア産学官ネットワーク構築支援事業) ベトナムの食品マーケット事情調査報告書 平成 21 年 3 月 財団法人 食品産業センター は じ め に わが国企業の海外投資先は、中国への一極集中への反省から「チャイナ・プラスワン」 として近隣アジア諸国に投資を分散する動きが活発化している。その受け皿として、新興 国のタイなどと並んでベトナムが注目されている。 しかし、わが国からベトナムへの企業進出は、タイやシンガポール、マレーシアなどに 比べて未だ低調である。日系食品企業は 10 社あまりがベトナムで操業しているが、同国の 人口規模(約 8,300 万人)から決して多いとはいえない。 その要因の一つとして流通網の未発達があげられるが、2006 年 11 月の WTO 加盟を契機 に、同国の小売り分野は大きな変化を遂げつつあり、スーパーマーケットやショッピング・ センターなど近代的流通形態が小売業全体に占める割合は、2005 年の約1割から 2007 年 には3割近くまで拡大しているという。 そこで、同国の小売業を中心に食品マーケットの実態について情報収集を行うため、調 査委員会を設置し、東京工科大学の目黒良門教授を団長とする調査団を同国に派遣した。 同調査団は、併せてベトナム産食品の有力輸出先であるカンボジアおよびラオスについて も、マーケット状況を調査した。本報告書は同調査団による調査を基にベトナムの食品マ ーケット事情についてまとめたものである。 本調査にご協力いただいた委員、専門調査員各位並びに現地のベトナム貿易促進庁 (VIETRADE)はじめ関係各機関および訪問先各企業等のご協力に感謝申し上げる。 また、本調査報告書がわが国食品企業のベトナム進出検討に際しての一助となれば幸い である。 平成 21 年 3 月 財団法人食品産業センター 目 第1章 次 ……………………………………………… 1 …………………………………………………………………… 1 ベトナム消費市場の概要 1 基礎データ 2 ベトナムの政治 ……………………………………………………………… 2 3 ベトナムの社会 ……………………………………………………………… 3 4 ベトナム経済 ………………………………………………………………… 3 5 ベトナムの消費市場 4 ……………………………………………………………………… 4 (1)売上高 ………………………………………………………… (2)消費市場の種別 …………………………………………………………… (3)「都市中間所得層」をターゲットとする欧米系小売外資 6 10 …………………………………………………………………… 10 (1)所得水準 (2)旺盛な消費意欲 ………………………………………………………… (3)「都市中間所得層」の台頭 ………………………………………………… (4)「都市中間所得層」台頭の背景 …………………………………………… 10 10 11 ……………………………………… 12 ……………………………………………… 13 (5)情報サービス分野の消費について 1 7 ……………………………………………………… ベトナム人の消費行動 第2章 …………… 4 ベトナムの食品市場概要 ……………………………… 13 ………………………………………………………… 13 ………………………………………………………………… 14 ベトナムにおける1世帯当たり飲食関係費 (1)日本との水準比較 (2)地域別比較 (3)食の調達形態 ……………………………………………………………… 14 ………………………………………………………… 15 ………………………………………………………………… 18 …………………………………………………………………………… 19 (4)飲食関係費の構成 (5)品目別構成 2 物価 3 製造出荷額 4 加工食品・清涼飲料の市場規模 …………………………………………………………………… 19 …………………………………………… 20 (1)加工食品の市場規模 ……………………………………………………… 20 (2)清涼飲料の市場規模 ……………………………………………………… 21 5 ……………………… 22 ……………………………………………… 22 …………………………………………………… 24 ベトナムにおける加工食品・清涼飲料の販売状況 (1)小売店での業態別販売状況 (2)カテゴリー別販売状況 6 ………………………………………… 33 ………………………………………………………… 33 ベトナムにおける商流・物流事情 (1)現地の小売店事情 ………………………………………………… 35 …………………………………………………………………… 36 (2)流通経路および商流事情 (3)物流事情 第3章 …………… 38 …………………………………………… 38 ……………………………………………… 39 ………………………………………………… 39 ……………………………………………………… 40 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 1 日本の食品メーカーの進出状況 2 ベトナム進出企業の事例研究 (1)エースコック・ベトナム (2)ヤクルト・ベトナム ……………………………… 42 (1)パートナー企業の探索 …………………………………………………… 42 (2)先行者メリットの追求 …………………………………………………… 45 …………………………………………………………… 46 3 ベトナム進出におけるインプリケーション (3)輸出販路の確保 …………………………… 46 ………………………………………………………… 47 (4)現地の人材の能力を引き出すマネジメント (5)現地規制への対応 第4章 1 ……………… 49 ……………………………………………………………………… 49 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 市場環境 …………………………………… 49 …………………………………………… 50 (1)市場環境①:都市中間所得層の増加 (2)市場環境②:食文化の多様性 (3)市場環境③:日本に対する消費文化志向 ……………………………… 53 (4)市場環境④:都市部(特に2大都市圏)に集中する近代的物流インフラ 54 (5)市場環境⑤:伝統的流通(Traditional Trade)中心の流通業態 …… 54 …………………………………… 54 2 市場参入のためのマーケティング戦略 3 アライアンス(企業提携)による参入マーケティング ………………… 57 …………………………………… 57 (2)製品戦略上のアライアンス ……………………………………………… 57 (3)流通戦略上のアライアンス ……………………………………………… 57 (1)標的市場設定におけるアライアンス 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について ……………… 4ヶ国) 59 ……………………………… 59 …………………………………………… 59 ………………………………………………… 60 ………………………………………………………………… 60 1 メコンデルタ経済圏(ベトナム・タイ・ラオス・カンボジア 2 メコンデルタ経済圏におけるインフラ整備 3 メコンデルタ経済圏の市場規模 4 カンボジアの食品消費市場 (1)基礎データ 59 (2)経済概況 …………………………………………………………………… ……………………………………………… 60 ……………………………………………………… 67 ………………………………………………………………… 67 …………………………………………………………………… 67 (3)カンボジアの食品消費市場 5 ラオスの食品消費市場 (1)基礎データ (2)経済概況 …………………………………………………… 67 ………………………………………………………………………… 77 (3)ラオスの食品消費市場 付 資料編 60 ベトナム社会主義共和国地図 第1章 第1章 1 ベトナム消費市場の概要 ベトナム消費市場の概要 基礎データ (1)政治 国名 ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Viet Nam Cong Hoa Xa Hoi Chu Nghia Viet Nam 首都 ハノイ(Ha Noi) 中央直轄5市 Ha Noi, Ho Chi Minh, Da Nang, Hai Phong, Can Tho 国家主席 グエン・ミン・チェット (Nguyen Minh Triet) 首相 グエン・タン・ズン (Nguyen Tan Dung) 共産党書記長 ノン・ドゥック・マイン (Nong Duc Manh) 政党 共産党のみ (2)地理・気候 位置 北緯 16 度、東経 106 度の東南アジアに位置し、中国、ラオス、 カンボジアと国境を接する。 面積 約 33 万平方キロメートル(日本の約 87%) 気候 北部は温帯モンスーン気候、南部は熱帯気候で 5 月中旬から 9 月中旬 までが雨季、10 月中旬から 3 月中旬までが乾季となる。 地形 南部と北部にデルタ地帯を形成し、中部には高地、丘陵を、北西部地方 に山岳地帯を擁する。 南北の距離 約 1,650km 最高地点 Fan Si Pan 山 (Lao Cai 省) 3,144m (3)人口・民族・宗教 人口 約 8,269 万人 (2007 年) 民族構成 キン族(85~90%)、中国系、モン族、ターイ族、クメール族、 チャム族など 宗教 仏教、キリスト教(主にカトリック、一部プロテスタント)、Cao Dai 教、 イスラム教、Hoa Hao 教、他 言語 ベトナム語(公用語)、中国語、フランス語、英語、クメール語他 識字率 男性 93.9% 女性 86.9% 平均 90.3% (1999 年) (2008 年 4 月 UNESCO の世界のリテラシー調査による) 年齢別構成 0 歳~14 歳 29.4% 15 歳~64 歳 65% 65 歳以上 5.6% 人口増加率 19.58 人 (人口 1,000 人当たり/2004 年) 1 第1章 死亡者数 6.14 人 (人口 1,000 人当たり/2004 年) 平均寿命 男性 67.86 歳 女性 73.02 歳 ベトナム消費市場の概要 平均 70.35 歳 (4)経済 歳入 53 億米ドル 歳出 56 億米ドル (うち 18 億米ドルが設備投資) 主要産業 食品加工、衣料、靴・履物、機械製造、鉱業、 化学肥料、セメント、ガラス、タイヤ、石油、鋼鉄、紙 経済成長率 6.23% (2008 年 越統計総局速報値) GDP(国内総生産) 約 849 億ドル(2008 年 国民1人当たり GDP 835 ドル(2007 年 実質GNP成長率 7.3% (2007 年) 産業構成比 農業 24%、工業 37%、サービス業 39% インフレ率 19.9% (2008 年 対前年末比) 失業率 4.6% (2008 年 越統計総局速報値) 産業別労働 農業 63%、工業・サービス業 37% 通貨 ドン(Dong) 為替レート 1 ドル=約 17,800 ドン(2009 年 3 月) 越統計総局速報値) 越統計総局速報値) 1 円=約 180 ドン(2009 年 3 月) 2 ベトナムの政治 ベトナムの政治は、共産党の一党支配体制である。ベトナムの共産党体制において特 筆すべきはドイモイ(刷新)政策の導入とその成果である。1986 年第 6 回党大会以来、 ドイモイ政策の旗の下、1998 年の外資導入解禁、2006 年の共通投資法制定(外資法改 正)、2007 年の世界貿易機関(WTO)加盟と、外国資本による経済力強化の取組みを一貫 して推し進めてきた。また、外交面においても、中国や日本との関係改善、95 年の ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟、対米国交正常化など国際社会への参入を果たし ている。2006 年には、ハノイで APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を開催 し、08 年には国連安全保障理事会の非常任理事国となるなど、国際社会における存在 感も増しつつある。 一方で急速な改革が社会の不安定化と制度崩壊を招くことを恐れる政府は、現在は、 党の基本方針を維持しつつ自由経済市場を改善していくという、慎重な「試行錯誤」路 線を目指している。従って、一定レベルまで経済が発展した後、急発展に伴う諸問題(地 域間格差、インフレ、汚職や腐敗、環境汚染など)に対応するため、政府が一時的に外 資引き締め策に政策を転換する可能性も完全には捨てきれない。 2 第1章 3 ベトナム消費市場の概要 ベトナムの社会 上記のとおり、一党支配体制下での改革を押し進めてきたベトナムであるが、ベトナ ム人は本質的には極めて個人主義的な民族であると言われている。社会の最小単位であ る「家族」での生活を重んじ、最も重要な行政単位としては、自分が生まれ育った「ム ラ」があげられる。ベトナムの有名なことわざに「王のオキテもムラの垣根まで」とい うものがあるが、ベトナム人の帰属意識は常に「家族」や「ムラ」(最小の組織形態) にあり、村々の自立を重んじる傾向にある。これは、一般にベトナムという国が、歴史 上長く戦火に明け暮れてきた結果であると言われている。すなわち、自分達の身は自分 達で守らなければならないという意識をベトナム人は本来的に抱いているのである。 ベトナム社会に関連して、よく指摘されるのは、教育水準の高さや教育への情熱であ る。国の経済水準に比して、平均 90.3%という識字率は高いと言える。また、進学熱 が非常に高く、親は子供を大学まで進学させようと懸命である。単に、大学を出て良い 仕事に就くことだけではなく、ベトナムでは、受けた教育水準の高さが社会的地位とア イデンティティを表すという考え方が一般的なのである。 4 ベトナム経済 1970 年代末に世界の「最貧国群」に転落したインドシナ半島の社会主義国家は、ソ 連型社会主義経済の改革を模索し、農民の生産意欲が出ない「集団農業」を、家族単位 の「請負制」に変えるなどの実験を開始した。こうした変革に先べんを付けたのは、ベ トナムの隣国ラオスであった。ベトナムにおいては、余剰生産物の「自由販売」が可能 になったことで生産は活性化したが、こうした初期の経済改革はインフレや、配給制の 恩恵を受けていた都市住民の生活難などにつながり、共産党内での論争が激化した。し かし、1986 年の第6回共産党大会で「ドイモイ」(刷新)を中心とする政策が正式に 決定されると、具体的な諸分野の改革が本格化し、経済活動も活性化し始めた。その後、 92 年制定の現行憲法によって、一党制を維持しながらの市場経済化路線が確定した。 今日のドイモイ改革における新しい仕組みは、「社会主義を志向しつつ、国家管理の 存在する多セクター商品経済」と表現される。農村・都市とも土地の所有権は国家が維 持するが、使用権が家族単位で配分され、かつての「集団農業体制」は解体した。商工 業やサービス業では、国営企業、集団所有企業以外にも、家族経営、資本主義経営、外 資系企業もすべて活動が認められ、輸出加工区(工業団地)などへの外国企業の進出も 相次いだ。さらに現在、ベトナム政府は、WTO 加盟時の合意に基づき、小売市場の段 階的な開放を進めている。すでに 2009 年1月から、外資に 100%出資子会社を通じた 事業展開を認めている。政府はドイモイ改革を今後もさらに進め、2020 年までに先進 工業国の仲間入りすることを目指している。 3 第1章 5 ベトナム消費市場の概要 ベトナムの消費市場 (1)売上高 ベトナムの小売分野における売上高総計は、2008 年度において、968 兆 1,000 億ド ン(約 605 億ドル)であった。物価高騰により購買力が低下したため、小売・サービス分 野における消費活動は 2007 年ほど活発でなかったが、それでも前年比で 31%増を達成 した。ベトナム小売業協会によれば、2006 年の生活必需品の平均月間購入額は 73 万ド ンである。2007 年のベトナムの小売総売上高 750 兆ドン(約 468 億 7,500 万ドル)のう ちの 60%が 20 代の若年齢層による消費であることなどから、ベトナムは将来性ある魅 力的な市場と評価されつつある。また、先に述べたように、2009 年1月より 100%外 資小売業が政府より認可され、幾つかの大手小売外資が進出している。大手小売外資に ついては、出店ペースの伸びが予想されてはいるものの、外資の開店認可手続きについ ては未知数の部分が多く、未だ現場は混乱している状況である。 (2)消費市場の種別 ここでは、伝統的な市場(いちば)、地場の食料雑貨品店、地場系(ベトナム系)の 組織的小売業、コンビニエンス・ストア、アジア系小売外資、欧州系小売外資に分け、 代表的な企業を紹介する。今日のベトナムの消費者はこれら複数の小売店舗を必要に応 じて使い分ける、店舗選択購買を行っている。 ア 伝統的市場 * ホム(HOM)市場 生鮮食料品、菓子・飲料等の加工食品、雑貨類、衣類、生地等何でもそろう。加工食品は国内ブランド のものおよびアジア諸国からの輸入品である。加工食品の多くは小規模もしくは個人経営の仲介業者 が搬入する。購買者層は幅広く、都市生活者は食品雑貨店やスーパーと伝統的市場をうまく使い分け ているようである。(ハノイ) 4 第1章 イ ベトナム消費市場の概要 食料雑貨品店 商社 VISSAN の「のれん」がある食料品店。メーカー・商社の特約店を兼ねている場合が多い。 (ホーチミン) ウ 地場(ベトナム)系スーパー * INTIMEX(インティメックス) VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)をしっかり行っている。上記はパワーカテゴリーである乳製品 (VINAMILK 社の牛乳パック)の特設コーナー。価格は一般食料雑貨品店より若干高め。(ハノイ) (注) VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)=消費者動線に基づく陳列および店内広告を用いた店内プロモー ション手法 * HAPROMART(ハプロマート) ハノイ市の管轄下にある商社ハプロのスーパー。系列小売 400 店舗、従業員 7,000 名。ハプロマート は現在 17 店舗を数えるが、これを 2010 年までに 30 店舗に増やす予定である。若者の家事離れで、 プライベートブランド(PB)の冷凍食品(写真右)の売上が伸びている。(ハノイ) 5 第1章 * COOPMART(コープマート) * ベトナム消費市場の概要 MAXIMARK(マクシマーク) 大衆層から中所得者をターゲットにしてお 同じく地場系のスーパーである り、他の地場系スーパーよりも若干価格が (ホーチミン) 安い(ホーチミン) エ コンビニエンス・ストア(地場系) * Circle K(サークルK) * SHOP&GO(ショップ&ゴー) *CITIMART B&B(シティマート B&B) *G7 マート 現在、ベトナムには、上の写真のとおり、サークルK、ショップ&ゴー、G7マート、 シティマート等のコンビニエンス・ストアが展開している。しかしながら、客足はあま り伸びていない。理由としては、①コンビニがベトナム人のライフスタイルと未だ適合 していないこと ②日本のコンビニ弁当やサンドイッチのように、集客の核となるパワ ーカテゴリーがないこと ③価格が従来のいわゆる「パパママ店」に比較すると高いこ とがあげられる。特に、地下鉄などの公共交通機関が未発達で、バイクが主なもっとも 重要な交通手段である都市住民にとって、駐輪がし難いコンビニは使いやすい店舗形態 ではない。その点において、同じモダンマーケットであれば、大規模なスーパーマーケ ットの方が使い勝手が良いと言える。 6 第1章 オ ベトナム消費市場の概要 アジア系小売外資 * LOTTE MART(ロッテ・マート) (韓国系、ホーチミンに1店舗) ホーチミン市南郊の新興住宅地である7区に大規模複合商業施設を展開している。若 年層の中でも、後述の「都市中間購買層」を主要ターゲットとしている。ベトナム人に とって韓国は韓流ドラマに代表されるトレンド先進国であり、韓国ブランドも非常に好 感度が高い。施設内には、KFC、ハイランズ・コーヒー、ゲームセンター、ベスト電 器、ピザ・ハット、シネマコンプレックスなどが入っている。他のスーパーに比べると 価格は安く、庶民派のスーパーであるコープマートとほぼ同程度の価格設定である。 * WELLCOME (ウェルカム)(香港系、ホーチミンに1店舗) 香港の著名スーパーである。香港と全く同じ店舗管理形態を採用しており、徹底した 標準化経営を図っている。全般的に価格は高めで、平日の午後であったが、客足はあま り伸びていない印象であった。 (3)「都市中間所得層」をターゲットとする欧米系小売外資 上記の大型小売店の中から、ここでは、近年極めて投資意欲が盛んな欧米系の2つの 外資系小売について概観する。小売分野における外資の攻勢は、2000 年頃から都市部 を中心に活発化してきた。次節(3)において述べるように、標的市場としての「都市 中間所得層」の出現、都市部における流通インフラの整備がその背景にある。主要ター ゲットである「都市中間所得層」は主として大都市郊外に居住しており、また店舗用地 の取得も都市中心部より容易なことから、外資系小売業のほとんどが郊外型の大規模ス ーパーという店舗形態を採用している。客足は順調に伸びているように見えるが、今後 の外資への出店認可については、未知数の部分も多い。 7 第1章 * ベトナム消費市場の概要 Big C(ビッグC) フランスに本拠地を置くカジノグループが経営しており、現在、ハノイ、ホーチミン を中心に 8 店舗を展開している。カジノグループは売上高 249 億ユーロ(約 3.8 兆円) を誇る欧州最大級のグローバル流通企業であり、アジアや南米市場への参入には、極め て積極的である。店舗の開店は 1998 年と、流通外資の中では最も早くからベトナム市 場に参入を果たしている。ベトナム国内の売上総計は 3,900 万ユーロ(約 60 億円)に 達している。同社の成功の理由としては、以下の点が考えられる。 ・ターゲットを比較的年齢の若い都市中間所得層およびハイエンド層に絞ったこと。 ・都市中間所得層およびハイエンド層が多く住む大都市近郊に集中出店していること。 ・マーチャンダイジング政策(消費者ニーズに適応した品ぞろえ政策)の徹底。 [例えば、ベーカリーショップ(焼きたてのフランスパン) 、調理済惣菜(中食)、輸 入食肉、インスタント麺などの商品について、都市中間所得層に的を絞り、パワーカ テゴリーであることを明確化している。] 実際に、調査団がビッグCを訪問した際には、来店客の7割が 20 代から 30 代のカ ップルもしくは家族連れであった。これら都市中間所得層の購入商品および購入パター ンを店内において観察して見たが、すべての食品および生活必需品を同店舗でそろえて いるわけではなく、購入商品は上記のパワーカテゴリーおよびパワープロダクツに集中 しているのが印象的であった。ベトナムの若い購買層は、既存の商店と外資小売店間に おける比較・選択購買を的確に行っていることがうかがえた。 同社は、今後さらに店舗数を増やす予定であり、2015 年までに、ベトナム全土で 35 店舗まで拡張する予定であるという。また、ハノイ、ホーチミンといった大都市の近郊 以外にも、ダナン、フエといった中部の大都市への出店計画も進めつつある。 店舗管理、店舗デザインは、現在のところ、 従業員用の身だしなみチェック用ポスター。 フランス本社と同様のやり方を採用しており、 人事教育も徹底的に標準化されている。 徹底した標準化が図られている。ベトナム全 国に配送するための冷凍保管倉庫を所有し ている。 8 第1章 ベトナム消費市場の概要 ビッグCが提案する欧米風のライフスタイル 店内のポスター(ビッグC ハノイ) * METRO CASH&CARRY (メトロ・キャッシュ&キャリー) メトロ・キャッシュ&キャリーは、キャッシュ&キャリーの名が示すとおり、中小企 業者を対象とした、現金取引による持帰り問屋である。あくまでも、企業者を対象とし ているが、実際には一般消費者(エンド・ユーザー)も買いに来るという点においては、 ホールセール・クラブに極めて近い。メトロ・グループはドイツ最大の小売業グループ であり、その中核部門であるメトロ・キャッシュ&キャリーは積極的な国際展開で知ら れている。 展開している国の数は、全世界で 29 ヵ国、店舗数では全世界で約 600 店舗に達して いる。2002 年にホーチミンに出店して以来、順調に拡大を続け、現在ではベトナム全 土に 8 店舗を展開している。同社の成功の理由としては、以下の点が考えられる。 ・これまで大規模かつ集中的な問屋機能が不在だったベトナムにおいて、初めて、地場 小売業者向けの問屋機能を提供したこと。 ・取扱い商品の多くをベトナムで調達し、品質管理を徹底して行っている。その結果、 「高品質」 「厳選した品ぞろえ」 「低価格」を実現している。 ・上記の特長により、 「外資系企業」としての良いブランド・イメージを保持している。 ・大都市近郊に出店することにより、中小企業者のみならず、一般の都市中間所得層を も積極的に会員として取り込み、売上を伸ばしている。 実際に、メトロ・キャッシュ&キャリーを訪問した際には、小売店経営者と思われる 客に混じって、20 代から 30 代のカップルもしくは家族連れも多く見られた。これら都 市中間所得層は、ビッグC同様、すべての食品および生活必需品を同店舗でそろえてい るわけではなく、トイレタリーや加工食品等のパワーカテゴリーを慎重に選択購買して いる様子が印象的であった。同社は、今後も店舗数を増やす予定であり、2009 年には ドンナイ省に9店舗目を出店する予定である。 9 第1章 駐車場には高級外車が並ぶ ベトナム消費市場の概要 買い付けに来た業者。ハノイで雑貨店を数 店経営しているとのこと。粉ミルク、缶詰、 洗剤を仕入れた。 6 ベトナム人の消費行動 (1)所得水準 2006 年度のベトナム統計総局調査によれば、 ベトナムの平均月収は現在 100 万~200 万ドン(約 5,500~11,000 円)である。また、2005 年上半期の公務員・国営企業社員 の平均月収は 150 万ドン(約 8,300 円)である。近年は事業で成功を収めたハイエン ド層も数多く出現しており、日常的な市民の足であるバイクも、近年は 5,500 万ドンク ラス(約 30 万円前後)の高額品が品薄状態であるという報告もある。収入による消費 者のセグメント分けは、資料によりばらつきがあるが、一般に、ミドルアッパー層が 200 万~450 万ドン(11,000 円~25,000 円) 。ハイエンド層が 450 万ドン以上とされて いる。(いずれも、1円=約 180 ドン(2009 年3月)で換算) (2)旺盛な消費意欲 総じて、今日のベトナム国内における消費活動は極めて活発である。 調査会社 AC Nielsen が 2007 年度に発表した世界消費者信頼感指数では、ベトナム が第5位にランキングされた。調査は家計支出に関して行われたもので、ベトナムの消 費者信頼感指数は世界平均の 97 ポイントに対し、118 ポイントとなっている。同調査 会社によれば、世界的に消費に対する慎重傾向が強まるなか、ベトナムの消費者の 72% は、現在(2007 年)の自身の財政状況に自信を持っており、さらなる家計支出のため の準備を行っている状況にある。 (3)「都市中間所得層」の台頭 以上、消費活動が活発で購買意欲も極めて高いベトナムの消費者であるが、経済の牽 引役となる個人消費の内容は大きく変わりつつある。前節で既に触れたように、大都市 部に居住する若者(いわゆる「8X」世代)は、今日、極めて消費意欲が旺盛な「都市中 10 第1章 ベトナム消費市場の概要 間所得層」の核となっており、外国企業にとって非常に魅力的なターゲットとして期待 されている。もともと、生産年齢と消費年齢が低い(15 歳~64 歳が全人口の約 65%) 上に、ベトナム戦争後に生まれた世代は、西欧的な消費文化に対する憧憬が強い。また、 消費行動が従来の儒教的倫理に根ざした保守的なものではなく、見た目の立派さや最新 モデルであることにこだわる傾向にあると言われている。(前出、AC Nielsen 2007 年 度の調査による) 市場調査会社テイラー・ネルソン・ソフレスの調査によれば、2007 年のベトナムの 小売総売上高 750 兆ドン(約 468 億 7,500 万ドル)のうちの約 60%が 20 代の若者による 消費であるとされているが、スーパーマーケットの利用については、15 歳~20 歳の利 用者が 28.3%と最も多く、逆に最も少ないのは 55 歳以上の 6.8%であった。また、同調 査によれば、大都市部に居住する 20 歳~25 歳の消費者は、衣料品や装飾品の購入に総 支出の 46.4%をあてており、26 歳~35 歳では同じく 23.8%をあてている。さらに、先 の調査会社 AC Nielsen の調査によると、月収 150 万ドンの平均的な若者が最も関心の ある商品は、携帯電話およびバイクであるという。 お菓子はいつもビッグCで買うという フランスパンを買い、洗剤をまとめ買 若者。ちょっと遠いけど、ここは安くて いした夫婦。ここのパンは焼き立てで 種類が多い。(ビッグC ハノイ) おいしい。(メトロ ハノイ) (4) 「都市中間所得層」台頭の背景 「都市中間所得層」出現の背景には、経済的理由と歴史的理由が存在する。経済的理 由としては、先進国企業によるチャイナ・プランスワン戦略の下、1990 年後半から本 格化した外資系製造業のベトナム進出による若年層雇用の創出があげられる。これら外 資系製造業の恩恵に浴する若年消費者層は、主に大都市およびその近郊に居住し、欧米 型のライフスタイルを志向する傾向にある。1人当たり GDP が約 800 ドルのベトナム にあって、ホーチミン市における1人当たり GDP は 1,900 ドルを超えており、またハ ノイでは 1,500 ドルを超えつつある。しかしながら、外需志向型製造業の進出は、ほぼ 11 第1章 ベトナム消費市場の概要 案件が一巡しており、これからはサービス業・小売業を中心とした内需志向型の投資案 件が増えていくものと思われる。今後は、こうした非製造業分野の投資案件増加により、 さらなる「都市中間所得層」が出現していくものと期待される。 歴史的理由としては、西欧近代国家(フランスと米国)との戦争とその後の社会変革 によりもたらされた「消費に関する世代間ギャップ」があげられる。一般に、ベトナム 戦争を何らかの形で体験した世代は、閉鎖性の強い政治・経済システムの中で育ち、ま た儒教的価値観の影響を強く受けているために、消費に関しては保守的かつ控えめであ り、生活も比較的質素であると言われている。これに対して、戦後生まれの世代、特に 1986 年のドイモイ(刷新)改革とともに成長してきた若い世代は、自分の消費欲をセ ーブするという意識が希薄であり、商品・サービスの流行や新しいライフスタイルに関 する好奇心が旺盛である。「都市中間所得層」は、主にこうした“ドイモイ世代”(20 代~30 代)から形成されている。これらの世代は、また、幼少時からメディア(主に テレビ)との接触を行っており、かつ電子的な情報リテラシー能力も非常に高い。海外 の消費文化への志向が強いのもこの世代の特質である。 (5)情報サービス分野の消費について 次に、消費者の情報交換ならびに購買活動に大きな影響を及ぼす情報通信サービス市 場の伸びについても付記しておきたい。2008 年における電話・インターネットの契約 件数は 8,610 万件であった。電話の新規契約は、2007 年比 53.1%増の 2,760 万件に上 り、累計で 7,940 万件に上ったが、そのうち 83.5%を携帯電話が占めている。インタ ーネットの 2008 年度新規契約数は 28.4%増の 150 万件、累計で 670 万件となった。 このように、ベトナムの情報通信市場は、移動通信分野の大きな成長により急発展して いる。 統計によると、2008 年の通信分野の売上は 2007 年比 23.8%増の 69 兆 2,000 億ドン(約 43 億ドル)に上っている。 12 第2章 第2章 ベトナムの食品市場概要 ベトナムの食品市場概要 1.ベトナムにおける 1 世帯当たり飲食関係費 (1)日本との水準比較 ベトナム統計総局(General Statistics Office of Vietnam)の家計消費に関する 2006 年の統計によれば、 全国1世帯当たり月間家計消費支出は 51 万 1,400 ドン(約 2,840 円) で、このうち、飲食関係費(Eating, drinking & smoking)は 44.9%を占める(図表 2-1参照) 。一方、日本の1世帯当たり家計消費支出(全世帯・2008 年速報ベース) は1ヵ月当たり 261,306 円で、食料支出はこのうち 23.2%となっており、経済水準を 背景とする消費規模やエンゲル係数の格差がうかがえる。但し、比較可能な 2002~2006 年における家計消費支出および飲食関係費(日本の場合は食料支出)の伸びを見ると、 日本が経済成長の頭打ちや1世帯当たり人員の減少を受けてマイナス成長となってい るのに対し、ベトナムは2桁成長を達成している。①人口の平均年齢が約 25 歳と若い こと、②家族で家計を支えていること、③外国からの送金(非公式なものも含めると年 3 兆円との説あり)も一部の家計で貢献度が高いと見られること、等から消費意欲は総 じて旺盛と言われている。 (図表2-1)ベトナムと日本の家計消費支出比較 <ベトナム> (単位:千ドン) 2002年 消費支出 飲食関係費 エンゲル係数 293.7 144.5 49.2% 2004年 396.8 182.5 46.0% 2006年 511.4 229.4 44.9% 年平均 伸び率 (02~06年) 14.9% 12.2% - <日本> 2002年 消費支出 食料支出 エンゲル係数 269,835 62,795 23.3% 2004年 267,779 61,559 23.0% 2006年 258,086 59,491 23.1% (単位:円) 2008年 (速報) -1.1% 261,306 -1.3% 60,583 23.2% 年平均 伸び率 (02~06年) (注)ベトナムの統計上は、飲食関係費に燃料(Fuel)が含まれているがここでは、これ を除外した数値を掲載。 (出所)General Statistics Office of Vietnam、総務省「家計調査」 13 第2章 ベトナムの食品市場概要 (2)地域別比較 2006 年の飲食関係費を地域別に見ると、最も高水準の South East(ホーチミンを含 む地域) が 33 万 6,600 ドンであるのに対し、North Central Coast は 16 万 2,200 ドン、 North West は 16 万 4,500 ドンと、その格差は約 2 倍に達している。South East 以外 では、ハノイ、ハイフォンを含む Red River Delta や、カントーを含む Mekong River Delta が 20 万ドン強と、水準がやや高めである(図表2-2参照) 。また、国内人口の 約 25%が住む都市部の消費規模は、地方の 1.7 倍に達している。 (図表2-2)ベトナムにおける飲食関係費の地域別比較(2006 年) <都市部・地方別> 地域 全国 飲食 関係費 (千ドン) エンゲル 係数 都市部 地方 229.4 337.4 190.0 44.8% 41.6% 47.3% <地域別> 地域 Red River North East North West Delta 飲食 関係費 (千ドン) エンゲル 係数 North Central Coast South Central Coast Central South East Highlands Mekong River Delta 232.6 197.4 164.5 162.2 214.1 192.2 336.6 230.8 43.7% 47.6% 50.7% 46.3% 47.2% 44.6% 41.1% 47.5% (出所)General Statistics Office of Vietnam (3)食の調達形態 特に地方では、飲食関係費のうち、購買・取引(Buying or bartering)によるものでな く、自給・贈与(Self-made or given)によるものが占める割合が3割弱と高い点も注目 される(図表2-3参照)。地方では農家が多く、コメや野菜等を自給しているケース が多いものと推察される。 (図表2-3)ベトナムにおける飲食関係費の地域別比較(2006 年) 全国 都市部 地方 金額(千ドン) 購買・ 自給・ 取引 贈与 198.6 44.2 342.6 13.5 146.1 55.5 計 242.8 356.1 201.6 (出所)General Statistics Office of Vietnam 14 購買・ 取引 81.8% 96.2% 72.5% 構成比 自給・ 贈与 18.2% 3.8% 27.5% 計 100.0% 100.0% 100.0% 第2章 ベトナムの食品市場概要 (4)飲食関係費の構成 2006 年飲食関係費の構成比を見ると、全国ベースでは、コメ等の穀物類によって構 成される糧食(food)が 23.5%、加工食品(foodstuff)が 56.1%、飲料・たばこ(drinking and smoking)が 6.2%、外食(outdoor meals)が 14.3%となっている(図表2-4 参照)。都市部と地方とを比較すると、特に都市部での外食の高さが顕著だが、これは 都市部で富裕層がドル建て払いの店で飲食をしている影響と見られる。収入五分位で構 成比を見た場合も同様に、最も収入が多い Quintile5の家計において外食費の構成比が 高い状況にある(この世帯層は糧食に比して加工食品の構成比が高いのも特徴)(図表 2-5参照)。なお、ベトナムでは、屋台で購入した食品を持ち帰って食べる「中食」 がタイに比べて一般化している訳ではないものの、中所得層以上の世帯では、昼食は弁 当または外食が一般的となっている模様である(写真2-1、写真2-2参照)。都市 部では「ケンタッキー・フライド・チキン」、 「ロッテリア」、 「ピザ・ハット」等の外資 系外食チェーンや、 「PHO24」 (フォー24)、 「Trung Nguyen Coffee」 (チュン・グエン・ コーヒー)、 「Highlands Coffee」 (ハイランズ・コーヒー)等のローカル・チェーンも 散見される状況となっている。 (図表2-4)地域特性別に見た飲食関係費の構成(2006 年) (1)実数 糧食 加工食品 飲料・たばこ 外食 計 2002 39.7 76.6 9.2 19.0 144.5 全国 2004 45.7 98.7 10.5 27.6 182.5 2002 27.5% 53.0% 6.4% 13.1% 100.0% 全国 2004 25.0% 54.1% 5.8% 15.1% 100.0% 2006 53.8 128.6 14.3 32.7 229.4 2002 38.2 122.6 17.4 48.9 227.1 都市部 2004 43.2 151.1 17.2 65.9 277.4 2002 16.8% 54.0% 7.7% 21.5% 100.0% 都市部 2004 15.6% 54.5% 6.2% 23.8% 100.0% 2006 51.1 193.7 22.7 69.9 337.4 2002 40.1 62.7 6.7 10.0 119.5 (単位:千ドン) 地方 2004 2006 46.5 54.8 81.8 104.9 8.4 11.2 15.2 19.1 151.9 190.0 2002 33.6% 52.5% 5.6% 8.4% 100.0% 地方 2004 30.6% 53.9% 5.5% 10.0% 100.0% (2)構成比 糧食 加工食品 飲料・たばこ 外食 計 2006 23.5% 56.1% 6.2% 14.3% 100.0% (出所)General Statistics Office of Vietnam 15 2006 15.1% 57.4% 6.7% 20.7% 100.0% 2006 28.8% 55.2% 5.9% 10.1% 100.0% 第2章 ベトナムの食品市場概要 (図表2-5)収入規模別に見た飲食関係費の構成(2006 年) (1)実数 (単位:千ドン) 糧食 Quintile1 Quintile2 Quintile3 Quintile4 Quintile5 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 37.7 43.2 51.0 39.5 45.8 53.8 40.1 46.4 54.1 40.2 46.2 53.4 41.0 46.7 56.7 加工食品 36.8 47.6 61.0 52.2 68.6 89.3 65.5 87.5 113.7 86.0 113.1 148.0 142.6 177.1 231.7 飲料・ たばこ 3.6 4.5 5.8 5.1 6.1 8.4 6.5 8.6 11.4 9.2 11.4 16.2 21.5 22.1 29.7 外食 2.2 4.2 5.0 5.8 9.9 12.1 10.9 18.0 24.2 21.1 31.6 41.5 55.2 74.3 80.6 計 80.3 99.5 122.8 102.6 130.4 163.6 123.0 160.5 203.4 156.5 202.3 259.1 260.3 320.2 398.7 (2)構成比 糧食 Quintile1 Quintile2 Quintile3 Quintile4 Quintile5 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 2002 2004 2006 46.9% 43.4% 41.5% 38.5% 35.1% 32.9% 32.6% 28.9% 26.6% 25.7% 22.8% 20.6% 15.8% 14.6% 14.2% 加工食品 45.8% 47.8% 49.7% 50.9% 52.6% 54.6% 53.3% 54.5% 55.9% 55.0% 55.9% 57.1% 54.8% 55.3% 58.1% (出所)General Statistics Office of Vietnam 16 飲料・ たばこ 4.5% 4.5% 4.7% 5.0% 4.7% 5.1% 5.3% 5.4% 5.6% 5.9% 5.6% 6.3% 8.3% 6.9% 7.4% 外食 2.7% 4.2% 4.1% 5.7% 7.6% 7.4% 8.9% 11.2% 11.9% 13.5% 15.6% 16.0% 21.2% 23.2% 20.2% 計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-1)現地の人が昼食に立ち寄る一般的な飲食店の例 (写真2-2)ハノイの繁華街にある庶民的な飲食店の内部 17 第2章 ベトナムの食品市場概要 (5)品目別構成 都市部と地方に分けて飲食関係費の品目別構成比を見ると、都市部では、外食に加え て砂糖・菓子類や果実のウェイトが地方よりも高い一方で、地方では、コメや油脂類の ウェイトが都市部よりも高水準にあり、食生活の違いがうかがえる(図表2-6参照) 。 砂糖・菓子類については、地方で安価な国産品を購入するウェイトが高いのに対して、 都市部では近隣アジア諸国から輸入された、やや高価格の商品を購入するウェイトが高 いと見られる。 (図表2-6)飲食関係費の品目別構成における都市部と地方の比較(2006 年) コメ その他糧食 肉類 油脂類 魚介類 卵 豆腐 砂糖・菓子類 調味料類 茶・コーヒー ワイン・ビール その他飲料 豆類 落花生・ゴマ 野菜 果実 外食 その他 都市部 地方 全国 0 5 10 15 20 25 (%) (注)各項目の英語での表記は以下のとおり。コメ:Rice、その他糧食:Other foods (in rice equivalence)、肉類:Meat、油脂類:Grease, oil、魚介類:Shrimp, fish、卵:Egg、豆腐:Tofu、 砂糖・菓子類:Sugar, molasses, milk, cake, candy, candied fruits、調味料類:Fish sauce and dipping sauce、茶・コーヒー:Tea, coffee、ワイン・ビール:Wine, beer、その他飲料: Other drink、豆類:Bean, pea、落花生・ゴマ:Peanut, sesame seed、野菜:Vegetable、果 実:Fruit、外食:Outdoor meal、その他:Others (出所) General Statistics Office of Vietnam 18 第2章 ベトナムの食品市場概要 2.物価 経済成長を背景にベトナムの消費者物価指数(CPI)は高い伸びを示しているが、食 品(Food and foodstuffs)については、2002 年を 100 とした指数が 2007 年に 155.1 まで上昇しており、CPI を上回る上昇となっている。一方、飲料・たばこ(Beverage and cigarette)は CPI よりも低い伸びに留まっている(図表2-7参照) 。2008 年のデー タは本報告書作成時点でまだ発表されていないが、ベトナムの経済成長に加えて、国際 的な穀物相場の高騰が食品の物価を大幅に押し上げたものと推測される。 (図表2-7)ベトナムにおける近年の物価指数推移 160 (単位:2002年=100) CPI(全体) 食品 飲料・タバコ 150 140 130 120 110 100 2002 2003 2004 2005 2006 2007 (出所)General Statistics Office of Vietnam 3.製造出荷額 ベトナム統計総局によれば、食料・飲料製造業の出荷額は 2007 年の速報ベースで 123 兆 4,940 億ドンに達しており、2000 年以降、前年比増減率 10~20%の高い伸びが続い ている(図表2-8参照)。企業形態別出荷額構成を見ると、1995 年段階では国営企業 (政府・地方自治体の出資によるもの)が 47.7%、民間企業が 33.2%、外資系企業が 19.1% であったが、2007 年には国営企業が 20.6%、民間企業が 49.6%、外資系企業が 29.8% となっており、官から民・外資へのシフトがうかがえる。なお、製造業全体の出荷額に 占める食料・飲料製造業の比率は 1995 年には 26.1%だったが、ベトナム国内における 産業の高度化に伴って 2007 年には 21.6%へと低下している。 19 第2章 ベトナムの食品市場概要 (図表2-8)食料・飲料製造業の出荷額推移 150 (単位:兆ドン) 25% 国営企業 民間企業 外資系企業 2007 2006 2005 2004 0% 2003 0 2002 5% 2001 30 2000 10% 1999 60 1998 15% 1997 90 1996 20% 1995 120 対前年比伸び率(右軸) (注)2007 年は速報ベース。 (出所)General Statistics Office of Vietnam 4.加工食品・清涼飲料の市場規模 (1)加工食品の市場規模 ある民間調査機関によれば、ベトナムにおける加工食品の市場規模は、2002~2007 年の間に年平均成長率 15.4%で成長し、2007 年には 57 兆 3,510 億ドンに達している。 2007 年からの 5 年間は、年平均成長率は 9.3%で推移し、2012 年に 89 兆 2,885 億ド ンまで拡大すると予想されている。 2007~2012 年の年平均成長率を市場規模が大きいセグメント順に見ると、穀類加工 品が 12.6%、乳製品が 8.1%、油脂類が 5.5%、調味料類が 5.2%、菓子類が 12.6%、 常温保存食品が 10.6%、冷凍・冷蔵保存食品が 16.3%、調理加工食品類が 10.5%、そ の他(ベビーフード)が 11.2%と予想されている(図表2-9参照)。伸びが大きいと見 込まれるカテゴリーは、穀類加工品を除き、商品のバラエティが豊かなものが多く、ベ トナムにおける加工食品の品揃えの多様化が進みつつあることがうかがえる。また、現 地でのヒアリングでは、今後は特に水産加工品(上記セグメント分類上では、常温食品 [缶詰]や冷凍・冷蔵保存食品の一部として含まれる)の国内需要拡大が見込まれるとの ことであった。 20 第2章 ベトナムの食品市場概要 (図表2-9)加工食品のセグメント別市場規模推移 25 (単位:兆ドン) 実績 予想 20 15 10 5 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 穀類加工品 調味料類 冷蔵・冷凍保存食品 乳製品 菓子類 調理加工食品類 油脂類 常温保存食品 その他 (注) 各セグメントの調査対象は以下のとおり。穀類加工品(bakery products, pasta, noodles) 、 乳製品(ice cream, dairy products)、油脂類(oil and fats, spreads)、調味料類(sauces, dressings and condiments)、菓子類(confectionery, sweet and savoury snacks, snack bars)、常温保存食品(canned/preserved food, dried processed food)、 冷凍・冷蔵保存食 品(frozen/chilled processed food)、調理加工食品類(meal replacement products, ready meals, soup)、その他(baby food) (出所)ユーロモニター・インターナショナルのレポートより作成 (2)清涼飲料の市場規模 一方、清涼飲料の市場規模は、2002~2007 年の間に年平均成長率 6.1%で成長し、 2007 年には3兆 4,988 億ドンに達したと推計されている。2007 年からの5年間は、年 平均成長率は加工食品よりもやや低い 8.4 %で推移し、2012 年に 5 兆 2,300 億ドンに なると予想されている(図表2-10参照)。清涼飲料のうち、現地で特に需要が好調 なのは、アジア系飲料(Asian specialty drinks)と呼ばれる緑茶、ウーロン茶、豆乳等の 飲料や、ボトルド・ウォーター、野菜・果実系飲料等で、2007~2012 年にかけても8 ~15%程度の高い伸びが見込まれる。これに対し、炭酸飲料や機能性飲料は1~2%の 低い伸びに留まると予想される。 21 第2章 ベトナムの食品市場概要 (図表2-10)清涼飲料の市場規模推移 6 (単位:兆ドン) 実績 予想 5 4 3 2 1 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 0 (出所)ユーロモニター・インターナショナルのレポートより作成 5.ベトナムにおける加工食品・清涼飲料の販売状況 (1)小売店での業態別販売状況 加工食品および清涼飲料の販売実態を把握するため、①公設市場、②スーパーマーケ ット、③コンビニエンス・ストア、の各業態につき、以下の施設等を調査した。 ア 公設市場 ドンスアン公設市場(ハノイ) ホム公設市場(ハノイ) ベンタイン公設市場(ホーチミン) イ スーパーマーケット INTIMEX(ハノイ・ホアンキエム湖近くの店舗) HAPROMART(ハノイ・ザンボー通りの店舗) Big C(ハノイ店、フランス系スーパー) METRO(ハノイ店、ドイツ系業務用スーパー) COOP MART(ホーチミン・タンロイ店) LOTTE MART(ホーチミン店、韓国系スーパー) MAXIMARK(ホーチミン・タンビン地区の店舗) WELLCOME(ホーチミン・Citi Plaza 内店舗、香港系スーパー) ウ コンビニエンス・ストア他 Circle K(ホーチミン・ベンタイン公設市場付近) Shop & Go(ホーチミン・ベンタイン公設市場付近) 22 第2章 ベトナムの食品市場概要 公設市場内の各店舗においては、加工食品、清涼飲料は常温で取り扱われている比率 が圧倒的に高く、まれに小さな低温冷蔵庫が設置されている程度であった(写真2-3 参照)。生鮮食品(魚、肉、青果物)や穀類を除くと、食品の中では主に菓子、清涼飲 料、調味料、嗜好飲料(茶、コーヒー)、乾物類の取り扱いが多いように見受けられた。 現地の消費者は、鮮度の良い生鮮食品を手に入れるために朝早い時間に市場を訪れて、 店員との値段交渉をしながら買い物をしていくとのことである。なお、主要な伝統流通 業態である個人商店については路面でメーカーの各種販促ツール(バナー、パラソル等) を活用しつつも、多様な食品カテゴリーを取り扱っているケースが一般的であった(写 真2-4参照)。パン、ケーキ、乳製品等については、メーカーが系列化している店舗 を含めて、カテゴリー専門の店舗も見られた。 スーパーでは、公設市場や個人商店といった伝統流通に比べて、一般的に価格が 1~ 2割高めに設定されており、やや所得の高い人々が主要顧客層であると言われている。 スーパーは、公設市場内の各店舗や個人商店に比べて店舗面積が広いため、各カテゴリ ーの品揃えが豊富である。但し、日本に比べると1アイテム当たりの陳列スペースが格 段に大きく、同じ面積の日本のスーパーに比べるとアイテム数は少ないと見られる。ま た、スーパーでは、カテゴリー別陳列が基本となっているものの、 「日本商品コーナー」 、 「韓国商品コーナー」、 「フランス商品コーナー」といった具合に、外国商材をカテゴリ ー横断的に陳列しているケースも見受けられた。 コンビニエンス・ストアでは、スーパーよりもさらに高い価格で商品が販売されてい た。店舗構成上は、①輸入品のウェイトが高い点、②レジ脇を中心に小ぶりの商品が多 い点、③低温ケースの店舗内におけるウェイトが高い点、等に特徴があった。 (写真2-3)公設市場内店舗の様子 23 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-4)個人商店の例 (2)カテゴリー別販売状況 今後、ベトナム市場に進出する日本の食品メーカーは、まずスーパーでの重点的な販 路開拓に取り組むと予想される。そこで、ここではスーパーでの取り扱いを中心に、カ テゴリー別の競合状況を見ていくこととする。 ア 菓子(図表2-11、写真2-5参照) 菓子については、地方で安価な国産品を購入するウェイトが高いのに対して、都 市部では近隣諸国からのやや高めな輸入品を購入するウェイトが高いと見られる。 株 式 を 公 開 し て い る 現 地 の 大 手 メ ー カ ー と し て は 、 キ ン ド ー 社 ( KINH DO CORPORATION; 第3章3(1)イ参照)や、ビビカ社(BIBICA CORPORATION; 2006 年にロッテグループが一部出資)等があり、地方の一般小売店向けを中心にク ッキー、キャンディ等の西洋系菓子と月餅等のアジア系菓子の両方を取り扱ってい る。この他、西洋系菓子の分野では Phane Nguyen(ブランド名 PHANER)のチョコ パイやクッキーも数多く販売されていた。また、米菓、饅頭系の菓子、ドライフル ーツ菓子等については主に現地の中堅・中小企業が生産している模様である。日本 企業では、ロッテが「キシリトール」ガムをベトナム国内で生産している。 一方、スーパーでは、タイ、シンガポール、マレーシア等の輸入品が多く取り扱 われている。これら輸入品は、United(タイ) 、Delfi(インドネシア) 、Arsenal(タ イ)等、東南アジア企業のブランドが主流であるが、明治製菓のアジア内ブランド である「HELLO PANDA」、 「YAN YAN」や、江崎グリコの「ポッキー」、 「プリッ 24 第2章 ベトナムの食品市場概要 ツ」等、日本企業の東南アジア拠点で生産された商品も一部含まれている。その他 の外資系商品としては、ナビスコの「オレオ」 、 「リッツ」 、P&G の「プリングルス」 等の欧米ブランドや、オリオン(韓国)の「チョコパイ」 、「カスタード・パイ」も 多くのスーパーや公設市場内の店舗で見受けられた。一部のスーパーでは、これら の海外ブランドと国産品を別のコーナーに分けて陳列しているケースもあった。 菓子においては興味深いことに、タイや現地の企業のブランドであっても、日本 語がパッケージに記載されていたり、日本的な商品名が付けられたりしているケー ス(清涼飲料や即席麺でも同様の傾向あり)が他のカテゴリーよりも特に多く、こ の分野において日本のイメージが高付加価値訴求につながっている様子がうかがえ た。 (図表2-11)スーパーにおける菓子取扱事例 ブランド(企業[本社所在国]) サブカテゴリー 形態 マカデミア(明治製菓) きのこの山(明治製菓) 165g チョコレート コアラのマーチ(ロッテ) - Gap(United[タイ]) (ロッテ[日本]) 168g チョコパイ (ORION[韓国] ) 12個 PHANER(Phane Nguyen[ベトナム]) 6個 キシリトール(ロッテ) 66g ガム EXTRA(WRIGLEY[米国]) 56g HAPPYDENT OREO(KRAFT[米国]) ORRIS(BIBICA[ベトナム]) AFC(KINH DO[ベトナム]) プレーンクラッカー(明治製菓) RITZ(KRAFT[米国]) PRINGLES(P&G[米国]) SLIDE(KINH DO[ベトナム]) O-Star(ORION[韓国] ) Poca(PEPSI[米国]) KOBANA[タイ] One One OISHI[フィリピン] HANAMI[タイ] 56g クッキー クラッカー ポテトチップス 米菓 えびせん 75g 144g 200g 140g 300g 160g 27g 50g 50g 110g缶 (出所)2009 年 3 月上旬の現地スーパー調査に基づき作成 25 価格 (ドン) 82,300 43,500 17,800~ 18,200 6,700 15,200 30,500~ 33,000 9,000 19,600~ 20,200 18,400~ 19,000 16,500~ 18,500 7,100 10,800 13,000 17,900 25,600 26,000 24,000 4,000 7,800 17,000 12,000 3,000 23,500 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-5)スーパーにおける菓子陳列の一例 イ 清涼飲料(図表2-12、写真2-6参照) 清涼飲料は 500ml ペットボトル(PET)と 330~350ml 缶の容器形態が主流であ る。店頭でのフェイスが特に多かったボトルド・ウォーターについては、ネスレの 「La Vie」とペプシの「Aquafina」が高いシェアを確保している模様である。これ ら欧米系ブランドに加えて現地・アジア系ブランドも多数ある他、ハプロマート (HAPROMART)やウェルカム(WELLCOME)ではメーカー・ブランドに比し て割安なプライベート・ブランド(PB)商品も販売されていた。 果汁飲料については、ベトナム最大食品メーカーのビナミルク(VINAMILK; 第 3章3(1)ア参照)が販売している「V-Fresh」を最も多く見かけたが、スーパ ーでは、タイの「Malee」や豪州の「BERRI」等の輸入ブランド商品も陳列されて いた。 茶系飲料については、現地企業 THP が販売している「0℃」がトップ・ブラン ドとのことである。この他、現地大手菓子メーカー、キンドーの傘下にある清涼飲 料メーカーTRIBECO(正式名称は Saigon Beverage;台湾の統一企業も出資)が 販売している「100」もスーパー店頭で見かける機会が多かった(同商品は日本で 一般的な茶系飲料とやや趣を異にするレモン・フレーバーの加糖飲料)。数年前まで 茶系飲料は殆ど販売されていなかったとのことではあるが、現在は国内外のブラン ドが多数販売されており、その中にはポッカがシンガポールから輸出しているもの もあった。 26 第2章 ベトナムの食品市場概要 その他のサブカテゴリーにおいては、大正製薬の「リポビタン」や、味の素グル ープの缶コーヒー「Birdy」等の日本ブランドも取り扱われていた。 (図表2-12)スーパーにおける清涼飲料取扱事例 ブランド(企業[本社所在国]) サブカテゴリー 形態 La Vie(NESTLE[スイス]) 500mlPET Aquafina(PEPSI[米国]) 500mlPET JOY ボトルド・ウォーター 500mlPET SAPUWA 500mlPET Giant EVIAN(DANONE[フランス]) 500mlPET 500mlPET Vfresh(VINAMILK[ベトナム]) Malee[タイ] BERRI[豪州] 1ℓ紙パック オレンジ果汁 100(TRIBECO[ベトナム]) 1ℓ紙パック 1ℓ紙パック 500mlPET SHIKI 500mlPET 茶系飲料 (ポッカ[日本]) Lipton Pure Green (UNILEVER[英国]) COKE(COCA-COLA[米国]) TRIBECO[ベトナム] 500mlPET 炭酸飲料 Red Bull[タイ] LIPOVITAN(大正製薬) SAMURAI (COCA-COLA[米国]) STING(PEPSI[米国]) Birdy(味の素) 500mlPET 4,700 330ml缶 330ml缶 250ml缶 6,000 4,500 5,200~ 5,900 5,600 250ml缶 4,800 250ml缶 4,800 5,500~ 6,200 250ml缶 エネルギー飲料 コーヒー (出所)2009 年 3 月上旬の現地スーパー調査に基づき作成 27 価格 (ドン) 3,500~ 4,000 2,800~ 3,500 2,800 2,500 ~ 3,400 3,000 17,600 21,500~ 25,200 28,900 43,000 5,900~ 6,200 4,700~ 5,700 12,000~ 12,400 170ml缶 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-6)スーパーにおける茶系飲料陳列の一例 ウ 調味料(写真2-7、図表2-13参照) 日本で「味の素」と通称される旨味調味料 (別名グルタミン酸ソーダ、MSG) は、 ベトナムにおいても味の素(企業名)がトップ企業の地位を占めると推察されるが、 「Miwon」という競合の韓国ブランドも、視察した店の多くで「味の素」の隣に 陳列されていた。また、 味の素は現地の味覚にあわせた風味調味料の 「AJI-NGON」 (日本の「だしの素」に相当)もスーパー店頭で幅広いフェイスやエンド陳列ス ペースを獲得していた他、「LISA」のブランド名で、現地生産したマヨネーズ、 酢、ベトナム風味噌・醤油系調味料等も販売していた。また、キッコーマンもシ ンガポールで生産したペットボトルおよび瓶入り醤油を販売していたが、キュー ピー(マヨネーズ)やミツカン(酢)については、日本から商品が輸入販売され ており、やや高めの価格設定となっていた。この他、欧米系ブランドでは、 「クノ ール」がベトナムの代表的調味料であるニョクマムを自社ブランドで販売してい たが、現地の消費者の大半は、馴染みの深い「味の素」や「AJI-NGON」等を除 き、現地のノー・ブランドに近い大容量の調味料を公設市場や一般小売店で購入 する傾向が強いものと推察される。 28 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-7)スーパーにおける調味料陳列の一例 (図表2-13)スーパーにおける日本ブランド調味料の取扱事例 企業 ブランド サブカテゴリー 500ml 価格 (ドン) 18,600~ 21,000 38,600 74,500 12,500 59,500~ 65,500 9,700~ 10,000 74,200~ 80,300 86,000 58,000~ 61,000 62,000 400g 300ml瓶 16,100 15,000 形態 味の素 味の素 旨味調味料 454g 味の素 味の素 味の素 味の素 味の素 AJI NGON 旨味調味料 旨味調味料 風味調味料 1kg 2kg 280g 味の素 LISA マヨネーズ 1㎏ 味の素 LISA 酢 キッコーマン KIKKOMAN 醤油 キユーピー QP(日本製) マヨネーズ キユーピー QP(日本製) ゴマドレッシング ミツカン ミツカン(日本製) (以下、参考:外国ブランド商品) MIWON MIWON UNILEVER KNORR 酢 旨味調味料 ニョクマム (出所)2009 年 3 月上旬の現地スーパー調査に基づき作成 29 500ml 600gPET 500g 200ml瓶 第2章 ベトナムの食品市場概要 エ 乳製品(図表2-14、写真2-8参照) この分野においては、ビナミルクが圧倒的なプレゼンスを持っているが、オラン ダ系のダッチレディー(Dutch Lady)も、これに次ぐシェアを保有していると見ら れる。牛乳は、日本で一般的な紙のブリックパック(1 リットルサイズと 200ml 弱の サイズが主流)に加えて、日本では見かけない袋タイプの小型紙パック入り商品もあ り、いずれも常温販売が一般的である。 一方、ヨーグルトや乳酸菌飲料は低温ショーケース設備が整った近代流通チャネ ルで主に販売されているが、流通段階では、冷蔵車に発泡スチロールを詰め込むこ とにより、いわば温度を「緩和」するといった運び方もされているようである。乳 酸菌飲料については、 「ヤクルト」の営業エリアが現在はホーチミン周辺であるのに 対し(今後拡大予定;第3章2(2)参照)、ビナミルクの「Probi」やアジア系の 「Betagen」 、「Casei」等の類似商品は他の都市でも販売されている。 粉ミルクについては、人口が若い国ということもあり、日本よりもスーパー店内 に占める売場のウェイトが高いように見受けられた。ビナミルク(主要ブランドは 「Dielac」 )やダッチレディー以外にも 5~10 程度の主要ブランドがある模様であ る。明治乳業の「MERRY」、「GOLD」等も日本およびオーストラリアから輸入販 売されていた。 アイスクリームについては、ファミリー・ユースの大型パックが中心で、ビナミ ルクや、大手菓子メーカー、キンドーがユニリーバから買収したキド(KIDO)の 商品等が置かれていた。しかし、数多く並べられた商品の中には実際に触ってみる と溶けてしまっているものもあった。 (図表2-14)スーパーにおける乳製品取扱事例 ブランド VINAMILK〔ベトナム〕 VINAMILK〔ベトナム〕 VINAMILK〔ベトナム〕 Dutch Lady〔オランダ〕 Dutch Lady〔オランダ〕 VIXUMILK VINAMILK〔ベトナム〕 Yakult〔日本〕 Probi(VINAMILK〔ベトナム〕) Betagen DUMEX Dielac(VINAMILK〔ベトナム〕) MEIJI GOLD(明治乳業〔日本〕) Dutch Lady〔オランダ〕 サブカテゴリー 牛乳 ヨーグルト 乳酸菌飲料 粉ミルク 形態 小袋型紙パック ブリックパック180g 1ℓ紙パック ブリックパック180g 1ℓ紙パック 袋型紙パック ミニカップ 65ml×5本 5本 115ml×4本 800g 900g 900g 900g (出所)2009 年 3 月上旬の現地スーパー調査に基づき作成 30 価格(ドン) 2,700~4,300 4,800 20,800 4,500 19,500 4,000 3,100~3,700 18,500 12,900~24,800 15,100~18,000 214,300 200,000 337,800~338,200 189,700 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-8)スーパーにおける乳製品陳列の一例 オ 即席麺(写真2-9参照) 即席麺には、袋タイプとカップタイプの商品があるが、ベトナムでは袋タイプの シェアが圧倒的に高い。また、麺自体は、小麦粉由来のもの(主にラーメン)と米 粉由来のもの(例:フォー)に大別される。即席麺の主な企業ブランドとしては、 日本のエースコックに加え、VIFON(ベトナム国営企業)、UNIF(台湾最大の食 品メーカーである統一企業)、MAMA(タイ財閥系企業のサハグループ)等があっ た。エースコックは、主力の袋タイプラーメン「Hao Hao」を中心に極めて幅広い 商品のブランド・ポートフォリオを保有しており(第3章2(1)参照) 、即席麺の トップ・シェアを占めている。その他、日本ブランドでは、日清食品が香港の拠点で 生産した「カップヌードル」が販売されていた。 スーパーにおける袋タイプラーメンの一般的な販売価格は 2,500 ドン前後である のに対し、カップラーメンはサイズにもよるが 3,000~8,000 ドンと幅広い価格帯で 売られていた。香港製の「カップヌードル」は、2 万 2,500 ドンで言わば別格の高 級品となっていた。 31 第2章 ベトナムの食品市場概要 (写真2-9)スーパーにおける即席麺陳列の一例 カ 冷凍食品(写真2-10参照) 冷凍食品については、水産物を中心に、従来は輸出向けを主体としてきたメーカ ーが一部の商品を国内向けに供給する傾向が徐々に出始めている。また、揚げ春巻 を中心に幾つかのタイプの調理食品も、冷凍設備の整ったスーパーで陳列されてい た。ハノイでは、国営系商社のハプロ(HAPRO)グループ(第3章3(1)エ参 照)が経営するハプロマートにおいて、グループ企業が生産した冷凍食品を HAPRO ブランドで販売するといった、プライベート・ブランド的展開も見られた。 (写真2-10)スーパーにおける冷凍食品陳列の一例 32 第2章 ベトナムの食品市場概要 6.ベトナムにおける商流・物流事情 (1)現地の小売店事情 ベトナムの消費者は一般的に、各地にある公設市場や個人商店で加工食品や清涼飲料 を購入する傾向が強く、スーパーやコンビニエンス・ストアでの購入はまだ一般的では ない。アメリカ農務省のレポート「Vietnam Retail Food Sector Report 2007」によれ ば、公設市場や個人商店等の「伝統流通(Traditional Trade)」のシェアは 88%を占め るのに対し、スーパーやコンビニエンス・ストア等の「近代流通(Modern Trade)」の シェアは 12%に留まっている。しかし、現地のある大手メーカーからのヒアリングに よれば、近代流通向け販売は近年、年 30%程度の伸びを示しているとのことである。 スーパーはここ 10 年で発達し、現地では現在、コープマート(COOP-MART; ホー チミン中心、スーパーは 30 店強;写真2-11参照) 、ハプロマート(ハノイ中心、ス ーパーは 18 店舗;写真2-12参照)、フィビマート(FIVIMART)、シティマート (CITIMART)、マクシマーク(MAXIMARK)、インティメックス(INITIMEX)等 の現地系チェーン店に加え、フランス系のビッグC(Big C; 8店舗) 、ドイツ系のメト ロ ( METRO; 飲 食 店 等 の 業 務 用 ユ ー ザ ー 向 け 、 8 店 舗 )、 台 湾 系 の ユ ニ マ ー ト (UNIMART)、香港系のウェルカム(WELLCOME)等の外資系スーパーが営業して いる。しかし、約 75 万店の個人商店数に比べると、スーパーの店舗数は 200 店程度と 少ない(注:店舗数はヒアリング・ベースであり、データの出所や新旧によって諸説が ある)。 ベトナムの WTO 加盟に伴い 2009 年1月には、外資系が 100%出資の小売店を出店 することも可能になったことから、今後はスーパーのシェアが高まっていくと予想され る。但し、出店に際しては、地元の人民委員会(地方自治体)の許可が必要となる場合 があり、人民委員会の個人商店等に対する政治的な配慮から許可の取得が困難なケース も想定される。このため、特に外資系の大型店舗については、出店拡大ペースは緩やか に推移すると予想される。 一方、コンビニエンス・ストアについては、数年前から出店が本格化したと言われて いる。現地視察では、ホーチミン中心部でサークルK(Circle K; 香港から進出) 、ショ ップ&ゴー(Shop & Go)、G7マート(G7Mart; 現地の大手コーヒー・メーカーであ るチュングエン社の系列)といったチェーンを数店見かけたが、観光客が多少出入りし ている程度で、現地の消費者に幅広く利用されるまでには至っていない。ある現地食品 メーカーの輸出マネージャーは、「ベトナムは消費者がバイクを主要交通手段としてい るため、例えば香港のように駅から目的地に向かう途中に店舗へ立ち寄るといった行動 があまり見られない。小口の買い物にわざわざバイクを駐車してヘルメットを取るのは 面倒だと思う。」との理由で、ベトナムでコンビニエンス・ストアは普及しにくいだろ うとの見解を示した。 33 第2章 (写真2-11)COOP-MART 店舗の一例 (写真2-12)HAPROMART 店舗の一例 34 ベトナムの食品市場概要 第2章 ベトナムの食品市場概要 (2)流通経路および商流事情 ベトナムにおいては伝統流通ルートが一般的で、この形態では、メーカー・輸入業者 ⇒ディストリビューター⇒(公設市場・二次卸)⇒個人商店を経由して消費者に商品が 届けられる(図表2-15参照)。伝統流通ルートにおいては、メーカーや輸入業者に とって、ディストリビューターが直接の販売先となり、自社が取り扱う商品を小売業者 へと販売してくれる重要なステークホルダーとなるが、日本と違い、全国的に事業を展 開する「組織型卸」は現地に存在しない。このため、メーカーや輸入業者は、全国各地 に存在する多数のディストリビューターに対して個別に販促活動を展開していく必要 がある。ディストリビューターは個人の小規模経営が主流で、小売店を兼業しているケ ースもある。メーカーへのヒアリングによれば、1ディストリビューターがカバーして いる小売店は概ね 100 店前後で、やや規模の大きい有力ディストリビューターに対し ては、メーカーが自社商品を販売するための専門販売員を常駐させるケースもあるとの ことだった。ディストリビューターは、メーカーや輸入業者からリベートを後で受け取 ることを想定して、自らが仕入れたよりも低い単価で商品を販売することもあると言わ れており、薄利多売の商売を展開している。今後、小売段階におけるスーパーの販売シ ェアが高まれば、ディストリビューターの淘汰が徐々に進んでいくものと予想される。 スーパーやコンビニエンス・ストア向けの近代流通ルートにおいては、メーカー・輸 入業者と小売業者の直接取引が一般化している。ビッグCでは仕入先との契約は年2回 実施しているとのことだった。メーカーや輸入業者から見て近代流通の取引は、販促費 負担が大きい点や、売掛金の回収期間が伝統流通に比べて長い点等がネックとなってい る。中国や東南アジアの他の国々と同様に、ベトナムにおいてもスーパーは言わば「棚 貸し」的な展開をしており、マーチャンダイジング努力よりも、商品取り扱いに伴うメ ーカー・輸入業者からの各種フィーの受け取りを主たる利益の源泉としている傾向がう かがえる。メーカーが支払っているフィーの例としては、エンド陳列料、広告・看板設 置料、販促人員派遣費用(ある外資系スーパーの店舗では、店員約 400 名に加え、メ ーカー等からの派遣人員約 200 名が店舗の運営に従事)、年数回の小売店イベント協賛 費用、新商品のリスティング・フィー等があり、メーカーの利益を圧迫している。メー カーからは、「スーパーは現在、消費者が求めている商品よりもフィーを多く取れる商 品を多く取り扱う傾向にあるが、今後、外資系小売業の進出規制緩和に伴い小売段階で の競争が激化すれば、消費者の求めている商品を積極的に取り扱うスーパーが勝ち残っ ていくことになると思う。 」との声が聞かれた。 35 第2章 ベトナムの食品市場概要 (図表2-15)ベトナムにおける加工食品・清涼飲料の流通経路 食品メーカー 海外工場 現地 工場 現地食品メーカー 現地 工場 外資系食品メーカー 輸入業者 ディストリビューター 二次卸 公設市場 近代流通 スーパー、 コンビニエンス・ストア 個人商店 伝統流通 消 費 者 (出所)現地でのヒアリングに基づき作成 (3)物流事情 現地での物流事情は必ずしも良好とは言えず、都市部での慢性的な渋滞が社会問題化 している。現在、都市部に住んでいるのは人口の約 25%とのことだが、都市化が進ん でいくと、問題はさらに深刻化する恐れもある。一方で、今後、ソフト、ハード面での 技術発展により物流事情が改善する余地もあり得る。例えば、サイゴン・コープ (SAIGON COOP)、サトラ(SATRA; 第3章3(1)ウ参照)、ハプロ、フータイ(Phu Thai)の現地流通系企業 4 社は、外資系小売業の進出拡大による脅威を想定して 2007 年に VDA(ベトナム流通システム投資開発会社)を共同で設立し、物流システムの構 築や冷蔵倉庫建設等に共同で取り組み始めた。ある現地のスーパーでは、メーカー毎に 店舗へと個別に届けられる商品の納入頻度が月平均 1,000 回(多いときには 1,500 回) にも達するという話を聞いたが、物流センターの設置(注:コープマートは既に設置済) や情報技術の活用による効率化が進めば、物流事情が改善する余地はあると見られる。 36 第2章 ベトナムの食品市場概要 なお、情報技術の活用という点では、メーカー側もまだ発展途上にある。例えば、自 社の販売員が情報端末を持って在庫情報の確認を行っているのは、ごく一部の企業に限 られるとのことで、需給調整には限界があるものと推察される。常温加工食品を取り扱 う現地のあるメーカーによれば、都市部以外の地域への商品の配送頻度は週1回程度に 留まっているとのことであった。 低温輸送について見ると、スーパーによる冷凍設備増強、ビナミルクやビサン (VISSAN)等の現地大手メーカーによる低温配送車拡充、自社で低温配送車を持たな いメーカーによる要低温輸送商品の「相乗り」整備、といった形で、物流体制の改善は 徐々に進みつつある。しかし、実際には冷凍商品が店頭で溶けているケースも見られた 他、チルド(-5~5℃前後)帯での保管・配送体制もまだ発展途上の段階にあり、低 温輸送の充実にはもう少し時間を要することとなろう。 37 第3章 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 1.日本の食品メーカーの進出状況 ベトナムで、 外資系食品メーカーの進出が本格化したのは 1990 年代以降で、 ペプシ、 コカ・コーラ、ネスレ、パルフェッティ、ユニリーバといった多国籍企業も、中国やタ イ等に比べてやや遅い段階でベトナムに進出している(図表3-1参照)。 (図表3-1)ベトナムにおける多国籍食品メーカーの進出 企業名 PepsiCo International Vietnam Company Coca-Cola Beverages Vietnam Ltd. Nestle Vietnam Ltd. Perfetti van Melle Vietnam Ltd. Unilever Vietnam 設立 1991 1994 1995 1995 1995 本社所在国 米国 米国 スイス イタリア 英国 主要取扱商品 清涼飲料・スナック菓子 清涼飲料 コーヒー 菓子 紅茶・清涼飲料 (出所)各社 Annual Report、ホームページ等に基づき作成 一方、日本の食品メーカーの進出もほぼ同時期から本格化している(図表3-2参照)。 味の素、エースコック、ロッテ等はいずれも当初、現地食品メーカーと合弁会社を設立 する形でベトナムに進出したが、外資系企業の投資規制緩和等を受けて、後に合弁関係 を解消している。進出企業の中には、輸出販売を主体とする田中屋や大市珍味、日本向 けに輸出されるエビフライ等の冷凍水産物用に原料を供給する共栄フードや日東富士 製粉等、現地市場の開拓を主目的としていないケースもある。しかし、今後は、ベトナ ムにおける加工食品・清涼飲料市場の高成長を背景に、現地市場開拓を目的として進出 する企業が増えると見込まれる。 (図表3-2)日本の食品メーカーによるベトナム進出事例 現地企業名 ANGIMEX-KITOKU Ltd Co. Ajinomoto Vietnam Co., Ltd. 事業内容 ジャポニカ米生産・販売 調味料製造 操業年 1991年 1993年 Acecook Vietnam Co., Ltd. 即席麺製造 1995年 Tanaka Co., Ltd. 酒類製造 1995年 Nigico Co., Ltd. 水産加工品・冷凍食品製造 1995年 Lotte Vietnam Co., Ltd. 菓子製造 1996年 D & N Foods Processing Co., Ltd. 水産物加工 1997年 Taisho Vietnam Co., Ltd. ドリンク剤製造 資本金 日本側出資者 71万US$ 木徳神糧67% 4,525万US$ 味の素100% エースコック96.7% 1,200万US$ 丸紅2.4% サン・フーズ 300万US$ 田中屋 769億ドン 日本水産100% ロッテ60.7% 1,400万US$ 丸紅3.6% 3.24億円 大市珍味100% 1999年 1,368億ドン 大正製薬100% VINA Foods Kyoei Co., Ltd. パン粉製造 Nitto-Fuji International Vietnam Co., プレミックス粉製造 Ltd. 2004年 100万US$ 共栄フード100% 日東富士製粉85%、 230万US$ 三菱商事15% Yakult Vietnam Co., Ltd. 乳酸菌飲料製造 2007年 4,147億ドン ヤクルト本社80% Interflour Vietnam Ltd. 小麦粉製造 2007年 - 双日20% 2006年 (注)操業年順。日本側出資者に国内外グループ企業の出資分を含む。 (出所) 東洋経済新報社「海外進出企業総覧 2008」を基に作成 38 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 2.ベトナム進出企業の事例研究 (1)エースコック・ベトナム エースコックは、丸紅の紹介を受けて、1993 年にベトナムの国営即席麺メーカー VIFON と合弁会社 VIFON-ACECOOK を設立する形でベトナム市場に進出し、2004 年の合弁解消時に社名をエースコック・ベトナムへと変更した。同社は現在、ベトナム 国内8ヵ所に工場を持ち、年間売上が 4 兆 8,000 億ドン(約 306 億円)に達する現地 最大手の即席麺メーカーとなっている。販売数量の8%は輸出が占めており、輸出先は 近隣のアジア諸国を中心に 42 ヵ国にも及ぶ。 エースコック・ベトナムは、現地ブランドの即席麺が 700 ドン(約5円)で売られて いた設立当初、2,000 ドンの商品を発売し、品質を高く評価されたものの、価格の壁に 阻まれて十分なシェア拡大を図れずにいた。しかし、その後、殆ど輸入に依存していた 原材料調達を見直し、ベトナム産原材料を活用した戦略商品「ハオ・ハオ(Hao Hao)」 を 2000 年に 1,000 ドンで発売したところ、これが大ヒット商品となり、その後も品ぞ ろえの拡充(写真3-1)によって順調にシェアを伸ばす結果となった。こうした商品 開発面での工夫に加え、需要拡大に伴う生産ラインの増強に際し、リースを活用したり、 現地事業家との人的ネットワークを通して生産拠点を確保したりといった取り組みを 素早く図ったことが成功につながったと考えられる。また、同社の現在の社長による、 ベトナム人の幹部社員としっかり話し合い、「外資系企業」としてではなく「ベトナム 企業」としての発展を目指すマネジメント体制も、同社の強みであると考えられる。 (写真3-1)エースコック・ベトナムのブランド・ポートフォリオ(抜粋) (出所)エースコック・ベトナム社ホームページ。 39 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 今後の同社の新たな展開としては、ベト ナム国内の充実したディストリビューター (写真3-2)エースコック・ベトナム社 向け販売網を活用した清涼飲料の販売が挙 げられる。2008 年にエースコック・グルー プはキリン・ビバレッジと合弁会社をベト ナムに設立し、ビンズオン省(ホーチミン 市の北)に清涼飲料工場の建設を開始した。 2009 年中の同工場の稼動を受けてエース コック・ベトナムが合弁会社の総代理店事 業を開始する。この事業は、海外に進出し た食品メーカーが後出の他セグメント企業 と協力する先駆的なケースとして、今後の行方が注目される。 (2)ヤクルト・ベトナム ヤクルト本社は、1964 年の台湾進出を皮切りに、世界各国で「ヤクルト」を始めと する乳酸菌飲料の販売に取り組んでおり、2008 年 12 月末時点での進出先は 31 ヵ国、 日本以外での販売数量は1日当たり 1,660 万本にも達する。アジア・オセアニア地域で は 12 ヵ国(香港も 1 国として計算)で営業しており、販売数量は1日当たり 1,124 万 本と、ヤクルト本社グループの海外販売数量の7割弱を占める(図表3-3参照) 。 (図表3-3)アジア・オセアニア地域におけるヤクルト本社の事業展開 国名 営業開始時期 台湾 1964年3月 香港 1969年6月 タイ 1971年6月 韓国 1971年8月 フィリピン 1978年10月 シンガポール 1979年7月 インドネシア 1991年1月 オーストラリア 1994年2月 中国 2002年6月 マレーシア 2004年2月 ベトナム 2007年9月 インド 2008年1月 合 計 (注)2008 年 12 月末時点。 (出所)ヤクルト本社公表資料 40 販売本数 (千本/日) 781 535 1,903 4,258 1,217 166 1,102 176 944 144 11 6 11,243 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> ベトナムでの営業開始は 2007 年と、他のアジア諸国に比べると歴史は浅い。実際に は、2006 年6月に当社 80%、フランス・ダノン社のアジア法人 20%出資により現地 法人ヤクルト・ベトナムを設立した後、2007 年8月にインドネシアから「ヤクルト」 の輸入販売が開始され、現地での工場完成に伴い、現地生産・販売体制へと移行した。 2009 年2月末現在は1日当たり1万 6,000 本をホーチミン周辺で販売している。 工場はホーチミン郊外の Vietnam Singapore Industrial Park という工業団地内にあ る。この工業団地には、名前が示すとおりシンガポール政府の技術的な支援を得ており、 電力供給、通信設備、上水供給、下水処理の基本的なインフラが整っていることから、 他業種の日本企業や他の大手食品メーカーも工場を配置している。工場建物、機械、原 材料・容器等は全て「日本仕様」となっており、高品質の商品を供給できる生産体制が 整っている。今後は販売エリアや需要の拡大にあわせて設備増強を図る方針である。 販売については現在、ホーチミンに支店と販売センター3ヵ所を設置し、ディストリ ビューターを経由せず、スーパーとの直接取引やヤクルト・レディ(現在約 30 名)に よる直接販売を実施している。計画では 2013 年までに、5大都市(ホーチミン、ハノ イ、ダナン、ハイフォン、カントー)で「ヤクルト」の販売を実現する予定である。 現在はブランドの認知度を高めるために、TV、雑誌、CM による広告活動に加え、 工場見学の受け入れ、学校訪問、公設市場でのサンプリング等の活動を続けている。し かし、2008 年3月には、現地の大手乳製品メーカー、ビナミルクが「ヤクルト」と類 似する乳酸菌飲料「Probi」を発売した他、アジアの類似ブランド「Betagen」や「Casei」 等もベトナムで販売されるようになり、店頭での競争は激化している(写真3-3参照)。 (写真3-3)スーパーにおける乳酸菌飲料の競合事例 41 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 価格は 65ml×5本で1万 8,000 ドンを基 本としており、スーパー向けは宅配員によ (写真3-4)ヤクルト・ベトナム社の リーフレット る販売よりも少し高い価格を設定している。 ヤクルトでは他メーカーのように販売価格 を低く設定することで商品価値を下げたく ないとの配慮から現在の価格設定となって いる。 なお、現地工場でのヒアリングでは、① 工場スタッフに対する衛生観念の指導に苦 労したこと、②特に中部ではまだ低温輸送 が可能なトラックを確保するのが困難であ ること、③ベトナムでは、宅配員の社会的 ステータスが高くないこと、等を伺った。 3.ベトナム進出におけるインプリケーション 今回の調査を通して企業に対するヒアリングや現地視察を実施した結果、日本の食品 メーカーがベトナム市場を開拓するに際しては、①パートナー企業の探索、②先行者メ リットの追求、③輸出販路の確保、④現地の人材の能力を引き出すマネジメント、⑤現 地規制への対応、等が進出を成功させるために重要な要因であると考えられる。以下、 この5項目について、具体的なポイントを述べることとする。 (1)パートナー企業の探索 現在は外資系企業の 100%出資による現地での食品メーカー設立も可能となってい るが、単独での進出には、経営のコントロールが効きやすいというメリットがある反面、 現地適応や販路拡大に時間がかかるというデメリットがある。こうした背景から、食品 メーカーがベトナムに進出する際には一般的に、現地でパートナー企業を探して、合弁 会社を設立したり、当該企業に出資したりするといった形態を取る戦略が有効であると 考えられる(例外的に、小規模で高付加価値訴求の製造小売事業[例:ベーカリー]を 展開する場合等においては、単独進出も有効)。パートナー企業の候補としては、①現 地の大手食品メーカー、②食品の輸出入を通して日本企業と親交があり、ベトナム国内 でも製造・小売事業を傘下に抱えている商社、③現地でのプレゼンスを確立した日本の 食品メーカー(例:エースコック、味の素)や、日本企業が出資している現地の流通企 業(例:双日が出資している食品卸のフン・トゥイ)、等が想定される。また、現地で 訪問したベトナム商工会議所(VCCI)で、 「日本企業は他国の投資家と比べて真面目で、 最後まで安心して付き合える」とのコメントを頂戴したことや、ベトナムにおいて食の 42 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 「安心・安全」や高品質化に対する消費者ニーズが高まっていることを踏まえると、現 地企業にとっても日本の食品メーカーとのアライアンスはメリットがあるものと推察 される。以下には、参考までに今回訪問した企業の概要を示すが、これら企業に限らず、 幅広く現地の企業を探索し、自社と相手先の強み・弱みや両者の間に想定されるシナジ ー効果等を十分に検討したうえで、パートナー企業を選定していくことが重要となろう。 ア ビナミルク(VINAMILK; Vietnam Dairy Products Joint-Stock Company) ビナミルク社は、 前身が 1976 年にまで遡るベトナムで最初の乳製品メーカーで、 現在はベトナム最大の食品メーカー。2006 年に株式を上場しており、2008 年 12 月期の連結業績は売上高が 8 兆 3,796 億ドン、事業利益が1兆 3,622 億ドン。2004 年に Saigon Milk Joint Stock Company、2007 年に Lam Son Milk Company を買 収した他、1996 年に Dong Lanh Quy Nhon Joint Stock Company と設立した合弁 会社の全株式を 2005 年に買い取る等、積極的な投資活動を続けている。但し、2005 年に SAB Miller と設立した酒類製造の合弁会社への出資は 2009 年 3 月に解消した。 同社の主な取扱商品は、牛乳、粉ミルク、ヨーグルト、アイスクリーム、果汁飲 料、コーヒー等で、約 1,000 名のマーケティング・スタッフを通してベトナム全国 に商品を販売している他、輸出販売も行っている(売上構成比は約 25%) 。食品流 通のシステムが発展途上のベトナムにおいて、同社はある大手小売業と「特別な合 意」に基づき、販売データを入手しているとのことである。この他、同社の特徴と して、生乳仕入量の約 2 割を直接契約牧場から調達している点、 「VINAMILK」の 看板を掲げた小売店を組織化している点、ヨーグルトやアイスクリームを配送する ための低温物流輸送体制が発達している点、等が挙げられる。 イ キンドー(KINH DO CORPORATION) キンドー社は、1993 年に設立され、2005 年に株式を上場したベトナムの大手菓 子メーカー。2007 年 12 月期の連結業績は売上高が1兆 2,383 億ドン、事業利益が 2,063 億ドン。同社が属する KINH DO HOLDINGS の傘下には、①菓子製造の North Kinh Do、②アイスクリーム製造の Kido Corporation(ユニリーバから 2003 年に買収) 、③清涼飲料製造の Saigon Beverage(通称 TRIBECO;2005 年に株式 35%を取得;台湾の統一企業も同社に 15%出資) 、④ベーカリー店経営の Kinh Do Saigon Bakery(現在の店舗数は 36)、等の食品関連企業に加え、不動産事業や商 業施設開発を手がける企業も含まれる(①、③は上場企業)。また、2006 年には Cadbury Schweppes と業務提携を締結している。 同社は約 200 のディストリビューターを通して、約 6 万 5,000 軒の二次卸や小売 店に商品を販売している。また、グループ全体では、低温輸送を取り扱う約 70 の ディストリビューターや、清涼飲料を取り扱う 300 強のディストリビューターとも 43 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> 取引がある。輸出は約 30 ヵ国向けに実施しており、 (写真3-5)キンドー社の 日本向けが約3割(現在、日本企業6社と契約して 会社案内パンフレット OEM または自社ブランドを取扱)、米国、カンボジ ア向けが各2割、残りが韓国、台湾、香港、EU、中 東向け等である。 同社への訪問時には、ヤクルト本社と同じく Vietnam Singapore Industrial Park 内にある菓子工 場を見学する機会にも恵まれた(写真撮影は不可)。 この工場は 2008 年に設立された同社グループ最新工 場で、現地食品メーカーとしては最先端の機械化や衛 生管理体制が整っている模様であった。なお、工場内 には、アルファベットとベトナム語で「5S(SEIRI、 SEITON、SEISOU、SEIKETSU、SHITSUKE)」 の徹底を促す掲示板が掲げられていたのが印象的であった。 ウ サトラ(SATRA ; Saigon Trading Group) サトラ社は、1995 年に設立されたホーチミンに本部を置く国営系の商社で、60 社以上のグループ会社を擁し、2007 年のグループ売上は約 19 兆ドンに達する。グ ループ傘下の主なベトナム国内食品メーカーとしては、輸出向けを主とする Agrex Saigon(水産物)、Cofidec(青果物)、Cautre(水産加工品、茶)や、VBL(ビー ル;合弁相手は Heineken)、Vinabico(菓子)といった合弁会社、現地大手食品メ ーカーの1つである VISSAN(食肉加工品) 、等がある(図表3-4参照) 。この他、 カンボジアにて現地の石油会社と合弁で設立した食品メーカー(Satra-Sokimex Foods)も近いうちに工場が本格稼動する見通しである。グループには、化粧品、 繊維、家具製造、不動産事業などの企業もあり、流通部門においても、物流事業3 社、スーパー経営1社(現在は3店だが今年中に1~2店を出店予定) 、公設市場 1 社、レストラン事業1社を傘下に抱えている。 (図表3-4)サトラ・グループの食品メーカー 企 業 名 Saigon Aquatic Products Trading J/S Company(APT) Coastal Fisheries Development Corp. (Cofidec) Cautre Export Goods Processing J/S Company Vissan Co., Ltd (VISSAN) Vinabico Confectionery J/S Company (Vinabico) Export Foodstuffs and Agricultural Products Company (Agrex Saigon) Industrial Foodstuffs J/S Company (Infoodco) Vietnam Brewery Limited(VBL) Satra-Sokimex Food Co., Ltd (出所) サトラ社の会社案内より作成 44 URL www.apt.com.vn www.cofidec.com.vn www.cautre.vn www.vissan.com.vn www.vinzbico.com.vn www.agrexsaigon.com - - - 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> エ ハプロ(HAPRO; Hanoi Trade Corporation) ハプロ社は、2004 年に設立されたハノイに本部を置く国営系の商社で、子会社 33 社を擁し、2007 年のグループ売上は約 5 兆 5,400 億ドンに達する。食品製造子 会社が取り扱っている品目は、ボトルド・ウォーター、ラーメン、冷凍食品、缶詰、 ワイン、ウォッカ等である。サトラ社と同様に、繊維、家具・日用雑貨の輸出にも 携わっているが、同社の場合、ハノイ周辺で直営スーパー「ハプロマート」18 店及 び同チェーン系列約 400 店舗を管理している点に特徴がある。今後は、個人商店に 「HAPRO」ブランドの利用を許可する形でさらに店舗網を増やしていく方針との ことであった。また、ハプロ・グループは 2009 年 2 月末に、日本の大創産業と共 同で「3万ドンショップ」をハノイで出店した。 (2)先行者メリットの追求 進出に際しては、どのタイミングで、どの商品を現地市場に投入するかを検討するこ とも重要である。現地でのヒアリングや店舗視察を通して、「現地の既存商品と直接競 合しない、新規需要を創造する商品を他社に先駆けて現地市場に投入することが、進出 に際しての成功のポイント」であるように感じた。例えば、チョコパイの分野では現在、 オリオン(韓国)、ロッテ、PHANER(ベトナム)等のブランドが販売されているが、 オリオンは早くからベトナム市場への輸出を開始し、進出初期段階における大々的なプ ロモーション活動により、現地での定着と、後発者に対する優位性確保に成果をあげた と言われている(写真3-6参照) 。 (写真3-6)類似したチョコパイが並ぶスーパーの菓子コーナー 45 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> この他にも、即席麺の分野で、エースコックが進出に伴って、現地の即席麺に比べて 高品質な商品を他の外資系企業に先駆けて投入したり(第3章(2)参照)、ガムの分 野でロッテが近年、歯の健康を意識した「キシリトール」を発売して急速に売上を伸ば した、といった現地での事例もある。 「キシリトール」は 2 万 2,000 ドンと、現地の一 般的なガムの小売価格(2,000 ドン)に比べて高価格であるにも関わらず、近代流通で のプロモーションを通して消費者の憧れる商品へと育成したことが成功の要因と言わ れている。オリオン、エースコック、ロッテはいずれも、自社商品のブランド認知度を 高めることで伝統流通向けの販売網をいち早く拡充し、近代流通向け販売を皮切りに現 地への進出を図る追随企業に対する先行者メリットを享受していると考えられる。 (3)輸出販路の確保 ベトナムの人口は今後、高い伸びを示していく見通しで、ベトナムの加工食品・清涼 飲料市場は有望である。しかし、現地の経済所得水準から考えると、ベトナム国内のみ の販売において日本の加工食品・清涼飲料メーカーが大規模な収益をあげていくことは 困難であり、工場の稼働率維持等の観点から、ベトナム国内に加えて他国にも販路を拡 大していくことが企業にとって望ましいと考えられる。実際、現地の大手食品メーカー も、事業の成長スピードを加速するために、アジア諸国を中心とする輸出販売に積極的 に取り組んでいる。 2015 年にはアセアンの域内関税が全品目で無税となり、ベトナムから域内他国への 輸出機会が拡大する一方で(注:ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーを除く加 盟国は前倒しで関税を撤廃)、域内他国からの商品にベトナム国内での販売シェアを奪 われる恐れもあることから、ベトナムの食品メーカーは早めに域内他国での事業拡大に よるリスク分散を図る必要があろう。特に、ベトナムに隣接するラオス、カンボジアの 2国では、ベトナムで知名度のあるブランドが受け入れられやすい環境にあることから、 両国向け商品の生産拠点としてベトナムを位置づける戦略が有効であると見られる。ち なみに、日本の大手食品メーカーの中には、既にアセアンの複数国に進出しているケー スが散見されるが、これらの企業については今後、品目別に域内の生産拠点を使い分け ていくと想定される。 アセアン域内以外では、中国も有望な輸出先として想定される。中国の消費者が「安 心・安全」な商品を求めるなかで、比較的価格競争力のあるベトナム産商品を日本企業 が言わば「MADE BY JAPAN」の位置づけで輸出販売するといった取り組みも検討の 余地があると考えられる。 (4)現地の人材の能力を引き出すマネジメント ベトナムに限らず、海外に進出する場合には、日本と異なる社会文化の中で、現地の ステークホルダー(社員、仕入先、販売先、消費者等)と如何にして円滑なコミュニケ 46 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> ーションを図っていくかが非常に重要となる。特に、現地法人の社員は、最も身近なス テークホルダーで、彼らに「わが社のこの商品を販売するために、頑張りたい」 、 「日本 の技術を活用したこの商品の販売に自分が取り組むことは、自国にとってもプラスとな る」といったマインドを持って貰えるマネジメント体制を構築することは、海外進出を 成功させるうえで、大きな武器になると考えられる。実際、日本の食品メーカーが海外 進出において成功した事例を見ると、日本から派遣された現地法人のトップが上記のよ うなマインドを自ら持つとともに、現地社員への啓蒙にも励んできたケースが多いよう に見受けられる。 さらに、これら企業のトップが、社員を啓蒙するうえで決して一方的に「日本式」を 押し付けず、社員とのコミュニケーションに基づき現地への適応を図ったことこそが、 成功の最大の要因とも考えられる。現地の嗜好、所得水準、原料事情等にあわせた商品 開発や、現地の購入スタイル、商習慣にあわせたマーケティングを展開していくうえで は、日本の商品と現地市場の架け橋となる現地社員の知恵や工夫が不可欠であり、現地 法人のトップには、社員のこうした能力を引き出すマネジメント・ノウハウが求められ ることになろう。また、海外拠点のマネジメントにおいては、「その国を好きになるこ とも大事」とのお話を、複数の現地法人トップや海外事業部門幹部から伺った。 なお、ベトナムに限ってみると、食品製造技術者については、商工省傘下の食品産業 研究所(Food Industries Research Institute; FIRI)が研修やセミナーを実施している とのことであり、日本企業が人材育成のために活用を検討する余地があるものと思われ る。同機関は 1976 年に設立され、JICA の協力を受けて醸造、発酵、保管技術等を中 心とする研究活動を行っている。 (5)現地規制への対応 日本企業からのヒアリングでは現地の規制について、 「細目が設定されていないので、 分かりにくい」、 「誰に相談すればいいのか分からない」、 「多方面に打診しなければなら ない」等のコメントがあった。現地では、各種規制がまだ整備されつつある段階で、変 化のスピードが速い模様であることから、現地で事業を展開する際には、政策の動きに 注意する必要である。 なお、食品の安全基準策定については、科学技術省、厚生省、農業・農村開発省が共 同で現在取り組んでいるとの政府関係機関からのコメントがあった。同基準には罰則規 定も織り込まれ、2009 年末には策定される見通しとのことである。中国で粉ミルクに メラミンが検出される事件が発覚した影響等から、ベトナムにおいても、近年、食品の 安心・安全や品質に対する消費者の意識が高まっており、食品製造に関する法的運用体 制の整備は徐々に進んでいくと予想される。 一方、商品の品質基準以外に関する規制については、日本から進出する企業にとって 分かりづらい部分が多い状態が続く可能性がある。ある企業では、新規事業のライセン 47 第3章 ベトナム食品市場への進出に当たって<事業戦略編> スを取得するに際して、人民委員会(日本の地方自治体に相当)、工業団地、外国投資 庁等に掛け合い、約半年を費やしたとのことである。公的機関の対応は人的なつながり に左右される傾向があると見られることから、現地法人のトップは、現地の政府・人民 委員会関係者や事業家等、できるだけ幅広い人脈の構築に努めることが望ましいと考え られる。 48 第4章 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 1 市場環境 ここでは、第1章におけるベトナム消費市場の概要、第2章における食品市場の概要、 および第3章における事業戦略を踏まえ、マーケティングの視点から、ベトナム食品市 場の市場環境について再検討する。さらにこれら5つの市場環境に基づき、参入マーケ ティング戦略を構築する。 (1)市場環境①:都市中間所得層の増加 第1章において述べたように、 ベトナムの都市部に居住する 20 代~30 代の消費者(い わゆる「8X」世代を中心とする層)は、極めて消費意欲が旺盛な「都市中間所得層」と して、外国企業から期待されている。 こうしたベトナムの「都市中間所得層」のライフスタイルについて、TOHO CO., LTD. (Vietnam Guide.com より)が、2007 年1月~2月に調査を行っている。この調査に おける調査対象は、学生、国営企業勤務者、外資系企業勤務者といった都市部に居住する ベトナム人であり、年齢は 20 代が 53.9%と多い。ほとんど全員が職を持ち自由に収入を利 (参考:2005 用できる層である。月収は 100 万ドン~200 万ドンまでが 39.3%である。 年上半期公務員・国営企業社員の平均月収は 150 万ドン。ベトナム統計総局) 。1ヵ月 の可処分所得は 20 万ドン~50 万ドンが 41.8%で最多である。 同調査の「広告を見て購入したくなるものは何か」という設問に対しては、飲料、ヘ アケア製品、化粧品、家庭用洗剤などのカテゴリーにおいて、50%以上の調査対象者が 「広告をチェックした」と回答しており、日常的な買回品において広告による比較購買 が行われていることが示されている。次に、それら製品の購買決定要因についてであるが、 同調査の結果、都市中間所得層は、購買決定に際し、友人・知人からの情報を重要視する ことが明らかになっている。この傾向は、特に女性に顕著である。 日系企業がアジアの新興マーケットに参入する場合、現地商品との価格競争を避け、 高いブランド価値を創出し、企業利益を最大化するために、ハイエンド層をメイン・タ ーゲットとするケースが良く見られる。例えば、香港、シンガポール、中国大都市とい った市場においては、ハイエンド層が一定の割合で、しかも地理的に近接して居住して いるため、こうした上層顧客層に限定した参入マーケティング戦略が極めて有効である。 こうしたケースにおいては、あくまでも初期段階においてハイエンド層にアプローチを 行い、その後利益が継続的に獲得できる段階に達した後に、徐々にローエンドに下りて いくという段階的な戦略が有効とされる。こうした段階的なアプローチを採用すると、 ハイエンド顧客向けに構築したブランド・イメージがローエンド顧客にも共有され、ロ ーエンド・ターゲットに対するアプローチが非常に容易になると考えられている。 確かに、こうした「ハイエンド」⇒「大衆顧客」という考え方は優れたマーケティン 49 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 グ・コンセプトであるが、ハイエンド層のボリュームが十分でなく、国土が広く、労働 人口・消費人口ともに若いベトナムのような市場においてはリスクが高い。そこで、ベ トナムにおいては、ハイエンド顧客を上記の「都市中間所得層」に置き換え、「都市中 間所得層」⇒「大衆顧客」というアプローチが考えられる。 子供のものを買いに来た若い夫婦。 (ビッグ C ハノイ) (2)市場環境②:食文化の多様性 ベトナムにおける食文化の多様性は、地理的要因と民族文化的な要因に負うところが 大きい。南部の亜熱帯気候、中部の山岳高原と海岸平野、北部の冷涼な気候とベトナム の気候は多様性に富んでいる。また、ベトナムは 50 あまりの異なる民族が共存する多 民族国家でもある。地理的要因に加え、それら多種多様な民族ならびにそれぞれの固有 の文化がベトナムの食文化に多様性をもたらしている。また、周辺国家や西欧諸国との 歴史上の関わりも、ベトナムの食文化に多様性をもたらす一因と考えられる。 ベトナム北部においては、長きに渡る中国支配の影響が強く、炒め物、お粥、煮込み 料理、スープ類や鍋ものが好まれる。中華鍋を用いたり、箸を使うなどの食文化が中国 から伝わったと考えられている。また、10 世紀におけるモンゴル人の侵攻により、牛 肉料理が北ベトナムから全土に広まった。ベトナム中部のフエは、19 世紀にグエン朝 の首都だったこともあり、様々な料理を小皿に取り分けた宮廷料理が有名である。ベト ナム南部は、かつて存在した海洋貿易王国チャンパや隣国カンボジア(クメール)、あ るいはタイの食文化の影響を大きく受けている。北部とは異なり、カレーやスパイス、 ココナッツミルク等が多用される。 以上の様に、様々な民族・諸外国の食がベトナムの食品文化に影響を及ぼしている。 これは、ベトナム人の“外国食文化に対する受容性”を表すものである。植民地支配の影 響もあるが、かつて戦火を交えたフランスの食文化(フランスパンを好む、コーヒーと パンの朝食、チーズやヨーグルト等の乳製品好きなど)が色濃く残っていることからも、 このことはうかがえる。米国からもたらされたファーストフードも、都市部においては もはや市民の重要な食生活の一部と化している。特に、先述の「都市中間所得層」は米 50 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 国のファーストフード店を好んでおり、先の AC Nielsen 2007 年度の調査によれば、 月に1~3回はファーストフードのロッテリアやケンタッキーを利用しているという。 また、ベトナムの食文化やその多様性を論じる上で、忘れてならないのは、日本の食 文化との類似性である。食生活の基本が米食であり、おかずや汁物と一緒に、主食であ る米を食する。インディカ米の他に粘り気のあるモチ米も多用される。前項で述べた日 本に対する消費文化志向は、食文化についても同様であり、日本産の輸入食品や諸外国 (例えば、マレーシア、タイ等)産の日本ブランドは中間層以上を中心に根強い人気が ある。いわゆる和食(寿司、天ぷら、スキヤキ等)も都市部富裕層には人気がある。 このように、ベトナムの食品消費文化は極めて多様性に富んでいるが、一方において、 伝統的な食文化も、消費者層に関わらず、日常生活の中に根強く生き続けている。 ファーストフード店では、ロッテリアやケン フランスの「笑う牛」ブランドのチーズは非 タッキー・フライド・チキンがポピュラーで 常に有名。どんな店舗にも置いてある。 ある。 (マクシマークの併設店 ホーチミン) [ ベトナムの伝統的食文化 ] ベトナム人のベトナムの主食はコメであるが、ジャポニカ米でなく、インディカ米と、 もち米である。それ以外に、生春巻きの皮として用いるライスペーパー、フォーに代表 される麺類、テト(旧正月)のバインチュンなどのちまき・餅類ほか、コメの食べ方は 実に多彩である。 調味料では、魚を発酵させて作る魚醤(ヌオックマム、ニョクマム、ヌクマムとも書 かれる)が有名である。ハーブやトウガラシもよく使う。カレー系の料理は多くなく、 インド文化の影響を受けた南部地域に限られる。信仰する宗教にもよるが、食に関する タブー(禁忌)はなく、肉、魚やエビ、カニ、イカ、卵、豆腐、野菜などで、さまざま な料理を作る。有名なのは、生春巻き(ゴイクオン)と揚げ春巻き(北部でネムザン、 南部でチャーゾー)などである。 地方では、最後の王宮のあったフエの料理が人気がある。お茶(ウーロン茶系の半発 酵茶が主流で、ジャスミン茶やハスの香りのお茶などもある)、コーヒー(濃いコーヒ ーにコンデンスミルクを入れた「ベトナム・コーヒー」が有名)も良く飲まれる。ビー 51 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 ルは、いわば「水の一種」で、朝から飲むこともある。アルコールでは、ネップモイ、 ルアモイといった、コメから作った焼酎も良く飲まれる。 大都市においては、外食が普及しており、フォーやブン(ビーフン状のコメの麺。牛 のスペアリブをのせたフエの「ブン・ボー・フエ」が有名)、フーティウ(南部やカン ボジアでよく食べるコメの麺)、それにミー(中華麺)などの麺類、おこわ(ソーイ) やおかゆ(チャオ)、バインミーと呼ぶフランスパンのサンドイッチ(フランス式のパ テや、中国風のサラミソーセージなどをはさむ)他、様々な名物がある。 甘味は餅菓子、緑豆の落雁(バィン・ダウサイン)や飴類、ハスの実の砂糖漬け、チ ェー(ぜんざい類)などの伝統的な甘味のほかに、アイスクリーム(ケーム)、プリン (ケム・キャラメンまたはケム・フラン)、ガトー(ケーキ)など西洋系のスイーツも 数多くある。食事は箸と、ちりれんげまたはスプーンを併用して食べるのが普通である。 麺類や、皿飯におかずを載せた大衆食堂の「コムディア」を除き、1人前ずつ料理を盛 りつけることはほとんどなく、2人以上いれば大皿や丼に盛りつけたものを一緒に食べる。 ご飯に薄味のスープ(カィン)をかけ、おかずと一緒に食べることが多い。 ハノイの伝統料理である雷魚のターメリッ スッポン(左側のなべ)も伝統的食材であ ク炒め(チャーカー・ラポン ハノイ) る(ホム市場 ハノイ) 白米とおかず2品を皿にのせた伝統的な 庶民の昼食(ホーチミンの大衆食堂、コ ムディア) (3)市場環境③:日本に対する消費文化志向 他の東南アジア諸国同様、ベトナムにおいては、日本ブランドや日本企業の製品に対 52 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 する愛顧や信頼が非常に高い。ベトナムを含むそれらの国々に共通しているのは、自動 車、バイク、パソコン、オーディオ機器、家電製品と言った工業製品に対する良好なブ ランド・イメージが食品分野にも波及しているということである。また、昨今の「鳥イ ンフルエンザ」「SARS(重症急性呼吸器症候群)」などの疫病、「ノロウィルス」等に よる食中毒、あるいは一部中国産食品の危険性といった問題が東南アジアにおいても広 く認知されており、より安全で衛生的な日本産食品に対する嗜好が一層高まっている。 外資系の大手小売業や地場スーパーのマネージャーに確認したところ、日本ブランド の食品は最も人気があるが、現地生産している商品を除き、価格が高すぎてスーパー等 の大規模小売業における販売には今のところ適さないとのことである。しかしながら、 日本産食品ブランドを小売集客に活用しようという、小売店サイドでの動きは広まって きている。2009 年 3 月には、初の試みとして、複数の著名日本ブランドの一体型キャ ンペーンが行われた。 (写真下) 日本ブランドのフェアは集客アップの目的で 味の素、ロッテ、ヤクルト、エースコック、花 よく行われる。 王、ユニチャームによる一体型キャンペーン。 (左右ともコープマート ハノイ) ハノイ市の大手商社ハプロがハノイ中心部に 連日、若者を中心に大盛況である。特に文房 ダイソー(3万ドンショップをオープンさせた。 具、シールなどの小物、菓子類に人気が集中 店舗管理、仕入方法、マーチャンダイジング しているという。 は日本の 100 円ショップ(ダイソー)そのまま である。 53 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 (4)市場環境④:都市部(特に2大都市圏)に集中する近代的物流インフラ 4つ目は、マーケティングの実行手段である「近代的流通システム」のためのインフ ラが、都市部、特に2つの大都市圏に集中している点である。 国土が南北に 1,200km と長大であるにもかかわらず、道路環境は極めてぜい弱であ り、道路の舗装率は他の ASEAN 諸国と比較しても低い。道路の総延長距離に対して、 主要都市を結ぶ幹線道路はわずか1割に過ぎず、残りのほとんどが劣悪な村道である。 一方、都市部においても交通渋滞が常態化しており、近代的な物流システムの阻害要因 になっている。こうした状況下で、高速・高機能・多頻度オペレーションを展開するた めには、相当な初期コスト負担を必要とする。特に、第2章で見たように、低温輸送(特 にチルド配送)インフラの未整備は深刻な問題である。 (5)市場環境⑤:伝統的流通(Traditional Trade)中心の流通業態 第1章の5)で見たように、1990 年代以降、近代的流通業態(Modern Trade)が増 加し、都市中間所得層は積極的に異業態間の店舗比較購買を行うようになった。しかし ながら、店舗比較購買が進んでいるとは言え、ベトナムにおける商取引の中心は依然、 伝統的流通(Traditional Trade)にある。店舗数が最も多い外資系スーパーのビッグC でさえ、店舗数は8店舗に留まっているのが現状である。[大手菓子メーカー「キンド ー社」のマーケティング担当者によれば、現在、近代的流通の全体に占める割合が 10% であるのに対し、伝統的流通の割合は 90%である。] 価格を比較して見ると、競争相手が多く、十分に市場が発達している伝統的流通にお いては、流通業者(問屋)レベルでの激しい売り込み競争の結果、比較的低い末端価格 が実現している。これに対し、未だ競争が十分ではないスーパーやコンビニエンス・ス トアでは、同じ商品が高めの価格で販売されているケースがしばしば見うけられる。 2 市場参入のためのマーケティング戦略 上記(1)~(5)におけるベトナム食品市場の環境を踏まえ、ベトナム食品市場へ の参入マーケティング戦略として、以下のことが考えられる。 * 標的市場(ターゲット) [ ⇒都市中間所得層 ] 都市中間所得層を市場参入時のメイン・ターゲットとする理由は2つある。一つ目の 理由としては、本章および第1章で明らかにしたように、都市部に居住する 20 代の若 者( 「8X」世代)を核とするこれらのターゲットは、新しい製品・サービスに対する好 奇心および消費意欲が極めて旺盛であり、購買能力が高いからである。また、本章の参 入市場環境④で示したように、ベトナムにおける近代的流通インフラは未だ大都市およ びその周辺に偏在している傾向にあり、初期参入時におけるマーケティング投資効率を 54 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 考えるならば、全国規模の標的市場よりも大都市圏に特化した標的市場を想定すること が効果的と考えられるからである。 * 製品戦略[ ⇒日本に対する消費文化志向、ベトナム伝統的食文化、製品標準化 ] 市場参入時における製品戦略のポイントとしては、 「日本に対する消費文化志向」 「ベ トナム伝統的食文化」「製品標準化」の3つがあげられる。参入市場環境②で明らかに したように、ベトナムの消費者は“外国食文化に対する受容性”が高く、中でも日本産食 品に対するブランド・イメージは極めて良好である。パッケージングにおいては、日本 ブランドであることを強調することが有効と思われる。 一方で、市場セグメント(年齢層、収入ランク、居住地等)の如何を問わず、ベトナ ムの伝統的な食生活や味覚に対するこだわりが非常に強い。製品開発に当たっては、本 国(日本)の製品をそのまま標準化するのではなく、可能な限り、製品内容をベトナム 人の嗜好に適応させるべきであろう。 また一般に、新規市場参入においては、経営戦略上製品を幾つかの限定的なラインに “標準化”することが必要とされる。上記における、ベトナム消費者の嗜好と日本産食品 に対するブランド評価をしっかり把握した上で、製品ラインを少数に絞り込むことが必 要である。 * 価格戦略[ ⇒中層(アッパーミドル)価格帯の設定 ] 市場参入において限定的なターゲットにアプローチする場合、標準化されたブランド を高価格で提供するのが一般的な戦略である。ハイエンド層をターゲットとして、価格 を高めに設定することにより、現地商品との価格競争というリスクを避け、高いブラン ド価値を創出し、かつ企業利益を最大化することが可能になる。しかしながら、前章の 参入市場環境①で明らかにしたように、ハイエンド層のボリュームが十分でなく、かつ 国土が広く、労働・消費人口ともに若いベトナムのような市場においては、こうした戦 略はリスクが高い。そこで、ベトナムにおいては、ハイエンド顧客を「都市中間所得層」 に置き換え、中層(アッパー・ミドル)価格帯を中心とした価格戦略が有効となる。 * 流通戦略 [ ⇒大都市圏における自社流通網構築 ] [ ⇒伝統的流通・近代的流通双方への対応] 前項の市場環境④で見たように、ベトナムでは、高速・高機能・多頻度流通のための インフラが、都市部、特に2つの大都市圏に集中している。特に、地方における低温輸 送(チルド配送)インフラの未整備は大きな流通戦略構築の障害となっている。こうし た条件の下、 「都市中間所得層」をターゲットに中層価格帯で市場参入しようとすれば、 あらかじめ自社流通網の地理的範囲を大都市部に限定することが経営戦略上不可欠と なる。 55 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 また、今後徐々に増加するであろう大規模スーパー等の近代的流通業態へのアプロー チを視野に入れつつ、老舗問屋やメーカー系有力販社といった市場支配力(パワー)の ある既存流通業態への対応も怠ってはならない。 * プロモーション戦略 [ ⇒プロモーション手段としてのクチコミの重要性 ] 市場環境①の[ 都市中間所得層に対するアンケート調査 ]で既に見たように、メイン・ ターゲットである大都市部の都市中間所得層は、購買決定に際し、マス広告に加え、友人・ 知人からの情報を重要視する傾向にある。この傾向は、特に若年層に顕著である。また、 、 第1章(3) 「ベトナムの社会」において述べたように、ベトナム人は、本質的に「家族」 「ムラ」 、 「親しい友人」 、 「職場」といった比較的小規模な社会構成単位を重んじる傾向 にある。そして、それら小規模な社会内での情報交換を好む。 従って、ベトナム市場に新規参入する場合のプロモーションとしては、テレビ広告や 新聞広告といった従来型のマス広告とクチコミを発生させるための“しかけ”を上手く ミックスさせることが重要となる。クチコミを発生させるための“しかけ”としては、景 品やイベント、店頭におけるプロモーション、タレントの起用等が考えられる。 また、2007 年度における携帯電話の契約件数がすでに 6,000 万件に達していること を考えれば、携帯電話を活用したプロモーション手法も極めて有効と思われる。 図表4-1 ベトナム市場参入のためのマーケティング・ミックスのイメージ ・ベトナム人の嗜好に適応させる 製品 ・日本をイメージさせるパッケージング ・製品ラインを絞り込む(標準化) 価格 ・中層価格帯 ターゲット 流通 ・大都市圏に特化した自社構築 ・既存の大手流通業者へのアプローチ プロモーション ・イベント等、口コミを誘発する“しかけ” 56 (都市中間所得層) 第4章 3 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 アライアンス(企業提携)による参入マーケティング 海外市場におけるマーケティング活動において、考慮に入れねばならない経営戦略上 のテーマにアライアンスの問題がある。マーケティング活動のための経営資源コストが 事業戦略上の許容範囲を超える場合、当該資源を有する他社とのアライアンスを検討す べきである。そこで、以下では、ベトナム市場におけるアライアンスに関して、「標的 設定」「製品戦略」「流通戦略」の各テーマに沿って検討する。 大都市圏の標的市場向けに製品ラインを標準化する場合においては、アライアンスは 特に必須要件ではない。しかしながら、段階的に全国市場にアプローチし、製品ライン を多様化させていく場合は、コスト節減ならびにマーケティング投資効率の点からアラ イアンスが不可欠となる。逆に、アライアンスを行わず、単独で全国規模の商圏を狙う ためには、コスト面でのリスクを回避するために、グローバル(世界規模での)な事業 ポートフォリオの構築や近隣市場におけるブランドの確立が条件となる。 (1)標的市場設定におけるアライアンス 市場参入後、段階的に全国市場への拡大を志向するのであれば、地元企業とのアライ アンスが不可欠となる。前述したように、ベトナムにおいては、高速・高機能・多頻度 配送のための流通インフラが2大都市圏に偏在しているため、日系企業が単独で全国規 模の流通機能を構築するためには多大なコストを要するからである。 (2)製品戦略上のアライアンス 同じく、商圏を段階的に全国へと広げていくためには、それまで標準化していた製品 ラインを多様化していく必要が生じる。そのためには、多様な市場セグメント(年齢層、 職業、収入ランク、居住地等による各セグメント)の嗜好や消費特性を細かく把握しな ければならない。これを効率良く行うためには、経験豊富な地元企業とのアライアンス が不可欠である。 (3)流通戦略上のアライアンス 上述したように、ベトナムにおいては、高速・高機能・多頻度配送のための流通イン フラが2大都市圏に集中しているため、単独で全国規模の流通機能を構築するためには、 ばく大なコストを必要となる。チルド(低温)配送や時間指定配送が不可欠な商品に関 しては、特にその傾向が強い。また、全国的な物流基盤を所有する大手問屋といった既 存流通業態との関係構築も不可欠である。 そこで、市場参入後、段階的に全国市場への拡大を志向するのであれば、有力な地元 企業とのアライアンスが不可欠となる。 57 第4章 ベトナム食品市場参入のためのマーケティング戦略 図表4-2 ベトナム企業とのアライアンス 製品 製品ライン多様化のための アライアンス 全国 流通 高速、高機能、多頻度の 市場 全国流通網構築のためのアライアンス 58 第5章 第5章 1 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について メコンデルタ経済圏における食品消費市場について メコンデルタ経済圏(ベトナム・タイ・ラオス・カンボジア 4ヵ国) 今日のベトナム市場を分析するにあたり、よりグローバルな視点から、ベトナム市場 と周辺国市場とを連結させ、これを地域経済圏( 「メコンデルタ経済圏」 )として捉える ことが極めて重要となりつつある。これら市場を単国として捉えるのではなく、面とし て把握した方が、実際の商取引活動、開発政策、経済政策の実情に即しているからであ る。本稿における「メコンデルタ経済圏」とは、ベトナム、タイ、ラオス、カンボジア の4ヵ国であるが、既にかなりの量のヒト・モノ・カネ・情報がこれらの4ヵ国の市場 間を行き来している。特に、製造業が未発達のカンボジアとラオスにとって、ベトナム およびタイとの商取引は自国消費市場に不可欠である。 メコンデルタ経済圏のインフラ面における共同開発構想自体は、既に 1950 年代から 存在していた。2000 年代に入り、市場・流通活性化と環境保全に重きをおいた新たな 経済協力プログラムが策定された。中国は ASEAN におけるさらなるプレゼンス向上の 意図から、経済協力プログラムへの積極的な協力の姿勢を打ち出している。また、日本 政府も影響力維持を図るため ODA 拡充を表明している。 2 メコンデルタ経済圏におけるインフラ整備 同エリアにおける商取引活動が急速に活発化している理由として、近年における物流 網(幹線道路)の整備があげられる。2006 年に完成した2つの東西回廊および中国と メコンデルタ諸国を結ぶ南北回廊がそれである。第1東西回廊は、ベトナム北部のダナ ンからラオス、タイを通り抜けて、ミャンマーのモーラミャインに至る。また、第2東 西回廊は、ベトナム南部のホーチミンからカンボジアを抜けてタイのバンコクまで通じ ている。 これらタテとヨコの幹線道路整備により、生産拠点であるベトナムとタイを 核とした地域市場が形成されるに至った。 3 メコンデルタ経済圏の市場規模 「メコンデルタ経済圏」の市場規模は以下のとおりである。この地域市場は、FTA(自 由貿易協定)による関税撤廃やさらなるインフラの整備により、今後一層の拡大が想定 されている。 (以下のデータは、外務省 HP 各国・地域情勢のデータの集計による) 構成国: ベトナム、タイ、カンボジア、ラオス 人口: 1 億 6,846 万人 GDP: 2,779 億ドル 59 第5章 1人当たりGDP: 2,214 ドル 日系企業数: 約 8,000 社 4 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について カンボジアの食品消費市場 (1)基礎データ(外務省 HP 各国・地域情勢のデータに基づく) 面積 18.1 万平方キロメートル(日本の約 2 分の 1 弱) 人口 1,340 万人(2008 年政府統計) 首都 プノンペン 民族 カンボジア人(クメール人)が 90% 言語 カンボジア語 宗教 仏教(一部少数民族はイスラム教) 元首 ノロドム・シハモニ国王(2004 年 10 月即位) 議会 二院制 ・上院(全 61 議席、任期 6 年、チア・シム議長(人民党首)) ・国民議会(全 123 議席、任期 5 年、ヘン・サムリン議長(人民党名誉党首)) 政府 人民党(第一党)およびフンシンペック党による連立政権 首相 フン・セン 主要産業 観光・サービス(GDP の 38%)、農業(同 29%)、鉱工業(同 25%) GDP 約 86.2 億米ドル(2007 年、同上資料) 物価上昇率 5.9%(2007 年、同上資料) 通貨・為替レート リエル(1 米ドル=約 4,109 リエル、2006 年平均。IMF 資料) (注)実際には、米ドルが広く流通しており、米ドルで消費活動を行うことができる。 (2)経済概況 観光業、縫製・製靴などの製造業が成長分野。経済も徐々に回復してきている(2004 年から 2007 年まで年率2桁の成長率を記録)。2008 年 9 月に発足した第 4 次連立政 権は、持続的成長と貧困削減を実現するためガバナンスの強化と経済改革に引き続き取 り込む方針である。そのためには、投資環境の改善と海外直接投資の誘致が重要となる。 昨今の金融危機の影響は、輸出、観光、外国投資分野に及んでいる。 (3)カンボジアの食品消費市場 ア カンボジアの食品消費市場の特徴 第2次大戦以降、1950 年代から 90 年代まで続いた内戦の影響により、カンボジアの 社会インフラ、産業インフラ、経済制度および消費市場は大きな混乱をきたした。特に、 軍事独裁、社会主義と目まぐるしく変転した統治システムは、市場の発展を阻害し続け、 60 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 1980 年代において、カンボジアは世界最貧国の一つに数えられていた。しかし、1992 年の UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)設立以来、市場経済化が進み、徐々にで はあるが消費市場も整備されつつある。しかしながら農業から製造業への産業構造変化、 地方から都市部への人口移動が進んでいるとはいえ、第1次産業従事者が国民の 70% を占めるカンボジアにおいては、農業以外の食品関連産業の発展にはかなりの時間を要 すると思われる。地場農産物以外のほとんどの食品は、近隣諸国からの輸入に頼ってい るというのが現状である。 イ カンボジアの食品小売業 日用品や食料品はいわゆる“市場(いちば)” (オルセイ・マーケットやオールド・ マーケット等)で購入するのが一般的である。加工食品を中心とした輸入品は、すべて 仲介業者(いわゆる“かつぎ屋”)が仕入れを行い、市場内の個人経営店舗に分配する。 こうした仲介業者はスーパーマーケットにも多くの輸入商品を卸しており、小売の「品 ぞろえ」は良くも悪くも、これら業者の購買性向や仕入能力に左右される。後述するよ うな外国人向け高級スーパーは別として、市場の方がスーパーマーケットよりも極端に 安いということはなく、若干安い程度である。一方、首都プノンペンには、近代的スー パーマーケットが存在する。いずれもターゲットとしている購買層は中間所得層から高 所得層、および援助関係機関や外国企業に勤務する外国人である。スーパーマーケット としては、ビッグA・スーパーストア、バイヨン(Bayon)、パラゴン・カンボジア (Paragon Cambodia)、ラッキー・マーケット(Lucky Market)などがある。また、 プノンペン市内には、ベトナム製品を専門に取り扱う小売店やカンボジアの国産食料品 を専門に取り使う小売店も存在する。消費者の輸入商品に対する評価は、大まかに、日 本製⇒韓国製⇒タイ製⇒ベトナム製の順にランク付けされている。 * オルセイ・マーケット セントラル・マーケットが主として観光客向けの市場であるのに対し、オルセイ・マ ーケットやオールド・マーケットは、生活密着型の市場であり、食品の種類も豊富であ る。また、オルセイ・マーケットは卸売市場としての機能も果たしており、一般消費者 (エンドユーザー)の他に小売業者も多く訪れる。生鮮食料品・加工食品の他、衣料品 が豊富なので有名である。 61 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 穀類、豆類は種類が豊富である。平均 輸入品の菓子類。タイ製、ベトナム製、 すると 100 円/キロ程度である。 中国製が多い。 * パラゴン・カンボジア 大型の複合ショッピング・センターである。スーパーの他に、コーヒーショップ、ベ ーカリー、衣料品店、家電量販店、日本食レストランなどが入っている。輸入品は周辺 諸国からの中級品が多い。菓子類はタイの日系メーカーのもの、マレーシアのものが多 い。魚加工品はタイ製が多い。また、ビールは地元のアンコール・ビールの他に、日本 ブランドのもの(サッポロ、アサヒ)がそろっている。うまみ調味料は、A-One(台湾) 、 Vedan(ベトナム)が中心であった。商品はすべて米ドル表示。 * ラッキー・マーケット 近代的な店舗管理とマーチャンダイジングで、在住欧米人を中心とした富裕層に人気 がある。ベーカリーが併設されており、ワイン、チーズ、サラミといった欧米の食材や 日本食品も豊富にそろえてある。肉や野菜を調理したいわゆる「中食」や火を通せば直 ぐに食べられる「調理セット」 (1パック 1米ドル)も売られている。価格は他のスー パーよりも1~2割高めである。ターゲットを富裕層に絞ったこの種の高級食材店はイ ンドシナ地域では非常に珍しい。本来、富裕層のすそ野が広くないカンボジアにおいて、 こうした高級店が成功する可能性は低い。しかしながら、戦後復興に関連した外国人(欧 米人、日本人)、援助関係者、中国からの出稼ぎ者などが輸入食品の需要を創出してい ると思われ、店内は非常に賑わっていた。経営者は中国系(華僑)である。 62 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 入口では衣料品のセールが行われてい レジわきでは半端もののワゴンセールが た。 行われていた。先進国の高級スーパーと 何ら変わらない店舗運営である。 日本の食材も豊富にそろう。タイの日系メーカーの商 品の他、日本からの輸入品も売られている。 [ ラッキー・マーケット マーケティング担当者のコメント ] マーケティング担当者の話を聞くことができたので、以下に紹介しておく。 ・マーチャンダイジング、店舗管理、人事管理、マーケティングの方法については、 欧米の高級スーパーを参考に、自分たちで学んだ。 ・タイとベトナムの製品は、原則として現地の国内向け製品をそのまま売っている。 ・ここでは、最高級の食品ブランドは欧米ブランドであり、日本ブランドではない。 ・日本の食品メーカーのプロモーション活動はほとんどない。もっと積極的にプロモ ーションを行えば、日本ブランドのブランド認知も広がると思われる。 ウ カンボジアの食品製造産業 カンボジアの国産食料品はまだまだ種類が少ないが、アルコール飲料、コーヒー、ド ライフルーツなどの嗜好品や魚醤(タックトレイ)、唐辛子加工品(チリペッパー)な どの調味料類を中心に、いくつかの国産ブランドが存在する。ビールのアンコール (Angkor)などが著名である。アンコール・ビールの価格は 330 ミリリットル入りの 缶が1本約 60 円、小瓶が 80 円程度である。また、諸外国の産業支援団体(NGO)に 63 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について より企画・商品化された国産ブランド品が存在するが、これら NGO 関連の商品群はパ ッケージングや品質は他の国産品よりも高い水準にあるものの、価格がかなり高く、今 のところ一般消費市場向けというよりも、在留外国人向け、土産物用といった色彩が強 い。これら国産ブランドに、海外市場における十分な競争力はないと思われる。 カンボジア産の魚醤 1,000 リエル(約 アンコール・ビール 2,500 リエル 24 円)ベトナム産の5分の1の価格。 (約 60 円) (オルセイ・マーケット プノンペン) カンボジア製品のアンテナショップに置か 産業支援団体(NGO)の援助によるハチミ れたワイン、ヤシ酒など。海外で市場を形 ツ。5ドル~7ドルと非常に高い。(左と同じ 成するだけの競争力はない。 アンテナショップ) エ タイ産食品 主要国道が整備された結果、現在、タイとカンボジアの間は、主に4つの物流ルート で繋がっている。また、国境での小規模な領土紛争はなお存在しているものの、タイと カンボジアは歴史的なつながりが深く、カンボジア人の対タイ感情は悪くない。また、 タイのテレビはカンボジアにおいて広く受信可能であり、消費者はタイのテレビ番組お よびテレビ CM を頻繁に視聴している。こうした理由からタイの食品はカンボジアに おいて広く買われている。価格帯としては、大衆向けから中層向けまで幅広く、各カテ ゴリーの品種も多岐に渡っている。 64 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について タイ・グリコの菓子類(パラゴン・カ ンボジア プノンペン) オ ベトナム産食品 ベトナムの食品企業および輸出業者は、カンボジアを販路拡大のための戦略市場と位 置づけ、販路拡大を行っている。特に、ハプロ、サトラ、ビナミルク、エースコックと いったベトナムのナショナル・ブランド製造企業は、カンボジア向けの製品パッケージ を施した製品輸出も行っている。しかしながら、カンボジアの消費者にとってのブラン ド知覚レベルは、やはりタイ産食品の方が上であり、ベトナム製品の品質はタイ産より も若干落ちるというのが消費市場の共通認識である。 ベトナム食品店 VINA MART 華僑系である エースコック製品”SUMO” カ 中国産食品 中国からの輸入食品は、その多くが広州や雲南といった中国南部および南西部からの 輸入品である。実際にスーパーマーケットで確認したところ、ラオスと国境を接してい る雲南地域からの中国製品よりも、中国南部の広州からの製品の方が圧倒的に多いよう である。広州地域からの物流ルートとしては、海上輸送ルートかベトナムを経由しての 陸上輸送が考えられる。 65 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 中国南部(広州)から輸入された菓子類 キ その他の国からの食品 上記、タイ産、ベトナム産、中国産以外のアジア各国からの輸入食品としては、台湾 産、シンガポール産、マレーシア産、韓国産、日本産などがある。菓子、調味料、イン スタント・ラーメンなどが、首都プノンペンのスーパーマーケットにおいて確認された。 特に、日本ブランドの食品については、日本から直接輸入したものはほとんど無く、多 くがタイやシンガポールの現地日本企業が製造したものである。それら日本ブランドの 多くは、富裕層・外国人向けスーパーマーケットであるラッキー・マーケット(Lucky Market)で販売されていた。 フランス製の粉ミルク レジ脇に特設陳列 韓国製の焼き菓子 2.30 ドル されていた。10 ドルと極めて高価である。 (ラッキー・マーケット) (パラゴン・カンボジア) マレーシア製の焼き菓子 台湾のうまみ調味料 A-One (パラゴン・カンボジア 左右とも) ベトナムのうまみ調味料 VEDAN いずれも 1.20 ドル 66 第5章 5 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について ラオスの食品消費市場 (1)基礎データ(外務省 HP 各国・地域情勢のデータに基づく) 面積 24 万平方キロメートル 人口 580 万人(2006 年世銀統計) 首都 ビエンチャン 民族 低地ラオ族(60%)他、計 49 民族 言語 ラオス語 宗教 仏教 元首 チュンマリー・サイニャソーン国家主席(ラオス人民革命党書記長) 議会 国民議会 一院制 (115 名) 政府 (1)首相名 ブアソーン・ブッパーヴァン(党政治局員) (2)外相名 トンルン・シースリット(党政治局員、副首相兼任) 主要産業 農業、工業、林業、鉱業および水力発電 GDP 39.84 億ドル(2007 年) 消費者物価上昇率 4.51%(2007 年) 通貨・為替レート キープ(Kip) 1 ドル=約 8,500 キープ(2008 年 10 月現在) (2)経済概況 ラオスは、1975 年以来の社会主義計画経済が行き詰まった結果、1980 年代に他の社 会主義国家に先んじて経済改革に着手した。現在、銀行制度、税制、外国投資法の制定、 国営企業の民営化等、幅広い分野での改革を通じ、市場経済の導入および開放経済政策 を推進中である。一方で、マクロ経済運営のまずさから、高率のインフレおよび為替レ ートの下落に直面した。インフレは、現在、緩やかに回復しつつある。また、2006 年 に、2010 年までの貧困の基本的な解決等を目指した長期目標を策定した。さらに 2007 年には、社会経済開発の加速を目指し、日本との間の二国間投資協定を発効させた。市 場経済が未だ発展段階にあるラオスには、競争力のある企業はわずかしか無く、財源の 3 分の 1 は、諸外国からの援助資金であると言われている。一部の衣料品や木工製品を 除けば、企業が生産する工業品の輸出額も極めて少額である。最大の外貨獲得手段は、 豊富な水資源を活用した電力の販売という状況である。 (3)ラオスの食品消費市場 ア ラオスの食品市場の特徴 上記のとおり、未だ市場経済の導入過程であるラオスには、国産ブランドのビール会 社1社と、コーヒーを生産・販売する零細企業が存在するくらいで、今のところ大規模 な食品産業と呼べるものは存在しない。基本的には食材のほとんどをタイ、中国あるい 67 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について はベトナムからの輸入でまかなっているのが現状である。先述のカンボジアが加工食品 や嗜好品をタイからの輸入に頼っているのに対し、ラオスでは加工食品や嗜好品以外に も、野菜、果物などの生鮮食料品もその多くがタイからの輸入である。従って、それら 食材をタイ本国の大規模スーパーで買うよりも、1~2割程度割高となっている。ビエ ンチャンの中央市場(タラートトンカンカム等)でも、タイから輸入された野菜や果物 が数多く売られているのが見うけられる。 イ ラオスの食品小売業(首都ビエンチャン中心) ラオスでは、居住する外国人を除いて、これまで富裕層向けのマーケットはほとんど 存在していなかった。また、中所得層向け市場のボリュームもなかなか成長して来なか った。従って、従来、消費市場のほとんどが大衆向けであり、食品小売業も小規模な専 門店か生鮮食料品市場(首都ビエンチャンの主要市場であるタラートサオ、タラートク アディン、タラートトンカンカム、タラートタートルアンなど)に限定されてきた。 しかし、この数年の間に、政府の市場振興策や民営化政策の下、都市部を中心に様々 な新しい業態の店舗が出現しつつある。首都ビエンチャンには小規模スーパー(ミニマ ート)が数多く開店しつつある。また、M ポイント・マートというコンビニエンス・ ストアが 2009 年3月現在、ビエンチャン市内に4店舗開店している。さらに、2004 年に開設したラオス初の国際会議場である LAO-ITECC(ラオ・アイテック)内に、大 型スーパーマーケットであるタン・フレール・ラオ・スーパーマーケットが開設した。 この LAO-ITECC はビエンチャン市内の北東部に位置しており、国際会議場と大型 複合ショッピング・センターを兼ねた施設である。この施設内には日本料理店(鉄板焼 き店)も出店している。 また、2007 年に、ビエンチャンの中央市場であるタラートサオに隣接して、3階建 て近代的ショピング・モールであるタラートサオ・モールがオープンした。LAO-ITECC とタラートサオ・モールは、ラオスでは珍しい、エスカレーター設置の商業施設である。 この他、ビエンチャン中心部には、ピンポン・マーケットという外国人をターゲット とした輸入食材店が2店あるが、ごく一部の富裕なラオス人以外には利用されていない ようである。また、ビエンチャンには、大規模な中国市場(タラートチーン)があり、 雑貨、食料品を中心に中国製品が豊富にそろっている。これは、中国製品は一通りそろ う、一種のショピング・モールである。この他、市内中心部には小規模な中国製品ショ ップ(雑貨店)があり、こちらはコンビニエンス・ストアのような業態の店舗となって いる。 68 第5章 * メコンデルタ経済圏における食品消費市場について タラートクアディン タラートクアディンは、ビエンチャン近郊向けバス 乗り場に隣接しており、ビエンチャンで仕入れを 行う地方の商人向けの問屋機能も有している。 * タラートトンカンカム市場 食料品が最も充実している「市民の台所」である。地方から、首都ビエンチャンのこ のマーケットに買物に来る消費者も多い。生鮮食料品は地のものが多いが、果物や野菜 などは、タイ・中国からの輸入も多い。右のリンゴはアメリカからの輸入品である。 * ベトナム食品専門店 最も人気がある輸入食品はタイ産で、次が中国、その次がベトナム産である。 コーヒー(写真右) 、ベトナムワイン、菓子類等が置かれていた。 69 第5章 * メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 中国製品専門店[左:タラートチーン 右:中国製品ショップ(雑貨店) ] 中国資本の企業が建てた大規模スーパ ビエンチャン市内の中心中国製品ショッ ー。客層としてはレストラン業者、小売店 プ。中国広州からの商品が多い。北部に 経営者が多い。 行くと雲南省の製品が増える。 * M-Point MART(M ポイント・マート) もとはタイのコンビニエンス・ストアの「V ショップ」のビエンチャン店であったが、 V ショップが撤退した後、2008 年から M ポイント・マートに生まれ変わった。2009 年3月現在、ビエンチャン市内に4店舗ある。店の商品はタイからの輸入品が中心で、 若干ベトナム製品と韓国製品等が置かれている。陳列を見ると、来店者のアイライン上 には、すべてタイのナショナル・ブランド製品が並べられており、タイ製品の勢力の強 さがうかがわれる。価格は他の小売店舗や市場より若干高めである。 * PHIMPHONE MARKET(ピンポン・マーケット) 欧米や日本からの輸入品を中心とした高級食材店。現在、ビエンチャン市内に2店舗 ある。主たるターゲットは在住欧米人や日本人、ごく一部のラオス人富裕層である。観 光客も多い。ワイン、チーズ、ハム・ソーセージ・サラミ類、乳製品も豊富に揃ってい る。ラオス製品も多い。ベーカリーが併設されていて、欧米人で賑わっている。 70 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について ラオスの加工食品も手に入るので、観光客 NGO の協力の下に作られたヨーグルト。カンボ にとっては格好のお土産売り場になってい ジアと同じく、この種の製品は高価で、これは1 る。 個 8,000 キープ(約 10 円)である。タイ製のヨー グルトは4個で 12,000 キープであった。 * タン・フレール・ラオ・スーパーマーケット (LAO-ITECC 内) LAO-ITECC(ラオ・アイテック)は、2004 年 12 月にラオス国際展示場・会議場 (LAO-INTERNATIONAL TRADE EXHIBITION & CONVENTION CENTER)とし てオープンした。 この施設内に、ラオス初の大型スーパーのタン・フレール・ラオ・スーパーマーケッ ト(Tang Freres Lao Supermarket)が入っている。その他、日本食レストラン、ボー リング場、映画館が併設されている。また、月に1度程度、約1週間程度行われるフェ アが開催されており、展示会場に物産店形式で店舗が並ぶ。 同スーパーは、フランスのパリで 20 年以上操業しているスーパーマーケットの系列 店である。このスーパーは日本のスーパーと同じ陳列なので見やすく買いやすい。タイ からの輸入品がメインである。フードコートも併設され、タイの屋台料理を中心に食べ ることができる。 カンボジアの大型スーパーと同じく、商品カテゴリーによって品ぞろえに偏りがある。 従って、商品カテゴリー(品種)の数は多いが、ライン(各ブランド)の数は限られて いる。缶詰はタイ製、焼き菓子は韓国製、インスタント・ラーメンは中国ブランド(タ イで生産)が多かった。特に各商品カテゴリーにおいて、韓国製品の進出が目立ってい た。 71 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 同一ブランドの商品のみで構成された島 * タラートサオ・モール ビエンチャンの中央市場、タラートサオに隣接する3階建ての近代的なショピング・ モールである。ラオスでは珍しい、エスカレーター設置の商業施設である。外側には立 体駐車場もある。1階、2階には雑貨や衣服、3階にはクーポン式セルフサービス食堂 がある。かなりの人数の客でごった返していたが、家族連れで遊びに来ている客がほと んどのように見うけられた。 中央の吹き抜け。1階では衣類や生地が販売されている。 ウ ラオスの食品製造産業 ビア・ラーオはラオスの数少ないナショナル・ブランド食品(ビール)である。1日 に4万~5万ケースを出荷しており、95%をラオス国内に、5%を海外に輸出している。 この他、主要な国産加工食品としては、コーヒー(およびインスタント・コーヒー)、 紅茶などがある。ヨーグルト等の乳製品がある。いずれも、フランス植民地支配の時代 から今日まで、ラオス国民の生活に浸透している商品カテゴリーである。 ビア・ラーオ Dao インスタントコーヒー 72 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について コーヒー豆はラオスを代表する輸出加工食品である。 エ タイ産食品 非常に多くの食料品がタイからラオスに輸入されている。歴史的・地理的なつながり が深いことに加え、道路整備により、タイ国内の生産拠点および首都圏とラオスが短時 間で行き来できるようになったこともその背景にある。生鮮食料品および加工食品の多 くがタイから輸入されており、ラオス人の消費生活はタイ産の食品を抜きには成立しな いのが現状である。また、カンボジア同様、タイのテレビ番組がラオスにおいて広く受 信可能であり、ラオス人はタイのテレビ番組およびテレビ CM を頻繁に視聴している ことから、加工食品の購買に際しては、テレビ CM の影響力も少なくない。また、タ イ産食品は、ラオス国内で販売されている商品よりも、同じ物をタイ国内の大型スーパ ーで購入する方が2割程度安い場合があるので、比較的裕福な消費者はタイに買い物に 行くこともある。価格は、大衆向けから中層向けまで幅広く、カテゴリーも多岐に渡っ ている。 ラッピングされている果物はタイからの輸入 紙パック入りのジュース類もほとんどがタイ 品である(タラートトンカンカム 左右とも) 製であった オ 中国産食品 ラオス北部の県が中国の雲南省と隣接していることから、雲南から数多くの中国産食 品が輸入されている。輸入される商品の量から言うと、タイ産に続いて多いのが中国産 である。中国国内向けの商品がそのまま輸入される場合もあるが、雲南省の企業が輸出 73 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について 向けに生産・パッケージングしているケースも見うけられる。中国資本のショピング・ センターも首都ビエンチャンと北部国境地帯に開設されている。北部以外の地域では、 中国南部広州産の食品もかなり多い。広州産の製品は、カンボジアと同様に、ベトナム 北部を経由して輸入されて来る。中国製品の価格はタイ産よりも若干安いか同程度であ る。この他、四川省産の製品も輸入されている。 広州産のインスタントラーメン 雲南省からの商品 四川省からの商品(いずれも中国製品専門店) カ ベトナム産食品 ビナミルク、エースコック、ビビカ、キンドーといったベトナムのナショナル・ブラ ンド食品は、ラオスでもしばしば目にする。ラオスの都市部には、カンボジア同様、ベ トナム製品を取り扱うベトナム食品専門店がある。ベトナム産食品の価格はタイ産より も若干安いが、タイ産や中国産ほどポピュラーではない。 大手菓子ブランド BIBIKA(ビビカ) エースコックの販促用エプロン (タラートトンカンカム 左右とも) 74 第5章 メコンデルタ経済圏における食品消費市場について ダラット・ワイン 4万キープ(約 450 円) カンボジアとほぼ同価格である。 キ その他の国からの食品 その他、輸入食品としては、マレーシア産、韓国産、日本産などがある。近年は、菓 子を中心に韓国産、マレーシア産等が増加しつつある。この他、台湾製の調味料、イン スタント・ラーメンなどが確認された。特に、日本ブランドの食品については、日本か ら直接輸入したものはほとんど無く、多くがタイやシンガポールの現地日本企業が製造 したものである。それら日本ブランドの多くは、ごく一部の富裕層および在留日本人向 けであり、上述したピンポン・マーケットの様な高級店か、初の大型スーパーあるタン・ フレール・スーパーマーケットで販売されていた。 韓国製の菓子類はいたるところで見られた。 日本ブランドおよび日本からの輸入 価格は2万~3万キープ(約 200~300 円)で 食材(ピンポン・マーケット) ある。(タン・フレール・スーパーマーケット) 75 資 料 編 77 資料編 「ベトナムの食品マーケット事情調査」について ベトナム食品マーケット事情調査 現地調査日程 収集資料一覧 78 「ベトナムの食品マーケット事情調査」について 【調査の方法】 本調査を効率的に実施するため、次のメンバーによる調査委員会を組織し、現地調査の 前後 3 回にわたり調査内容等についての検討会を開催した。 委 員 委 長 目黒 良門 東京工科大学メディア学部教授 員 折山 光俊 国際機関日本アセアンセンター投資部 堀 千珠 みずほコーポレート銀行産業調査部流通生活チーム インダストリーアナリスト 専門調査員 藤野 裕司 みずほコーポレート銀行産業調査部 参事役 事 森下 務 局 光 部長代理 (財)食品産業センター海外室 室長 長谷川元宏 (財)食品産業センター海外室 アドバイザー 堤 (財)食品産業センター海外室 アドバイザー 麻紀 なお、藤野専門調査員は第 2 回委員会から正式参加。 第1回委員会 2008 年 12 月 19 日(金) 委員長選出(互選)および調査の骨組みについての討議 第 2 回委員会 2009 年 2 月 23 日(月) 国内調査の状況および現地調査に関する打ち合わせ 第 3 回委員会 2009 年 3 月 17 日(金) 現地調査後の情報交換、資料整理 [現地調査] 次のとおり現地調査を行った。 A班 目黒委員長、折山委員および事務局の長谷川 2009 年 3 月 5 日(木)~3 月 14 日(土)(10 日間) カンボジア、ラオス、ベトナムにおいて調査(ベトナムで B 班と合流) B班 堀委員、藤野専門調査員 2009 年 3 月 8 日(日)~3 月 14 日(土)(7日間) ベトナムにおける調査(A 班と合同) 79 ベトナム食品マーケット事情調査 現地調査日程 3月 3月 5日(木)10:55 A 班成田発(JL717) 16:00 バンコク着 18:55 バンコク発(TG698) 20:10 プノンペン着 6日(金)終 日 (プノンペン泊) マーケット調査 オルセイ・マーケット→Paragon Cambodia(ショッピング センター)→ Lucky Supermarket → VINA MART など 3月 20:00 プノンペン発(PG936) 21:05 バンコク着 7日(土)11:45 (バンコク泊) バンコク発(TG690) 12:55 ビエンチャン着 午後 マーケット調査 Lao - Vietnam Store(ベトナム商品専門店) → M - Point Mart → 街角の食品・雑貨店 → トンカンカム市場 → タートルアン市場 → Lao - ITTEC(Tang スーパーマーケット) → コンビニ 3月 8日(日)午前 (ビエンチャン泊) Phim Phone Market(コンビニ) → クアディン市場 → サオ市場 3月 午後 中国市場 13:10 空港着 14:10 ビエンチャン発(VN824) 15:30 ハノイ着(空港にて B 班と合流) 11:00 B 班成田発(JL5135) 15:10 ハノイ着 (ハノイ泊) 9日(月)08:15 - 09:20 ベトナム貿易促進庁(VIETRADE) 09:45 - 11:00 ベトナム商工会議所(VCCI) 12:45 - 13:10 ホム市場 80 13:20 - 13:30 小売業協会(Association of Vietnam Retailers) 13:50 – 14:10 INTIMEX 14:15 - 15:40 HAPRO 16:00 - 16:40 HAPRO Mart・ダイソー(3万ドンショップ) (ハノイ泊) 3月10日(火)08:30 – 10:00 食品産業研究所(FIRI) 10:30 - 11:40 Big C 13:45 - 14:30 ドンスアン卸売市場 15:00 - 16:00 METRO Cash & Carry(会員制卸売ストア) 17:00 空港着 18:35 ハノイ発(VN231) 20:35 ホーチミン市着 3月11日(水)08:30 - 09:30 (ホーチミン泊) SATRA (Saigon Trade Group) 10:00 - 11:00 Vinamilk Corporation(乳製品メーカー) 13:00 - 13:30 COOP MART 14:00 - 16:00 ACECOOK Vietnam Joint Stock Company (ホーチミン泊) 3月12日(木)09:00 - 11:00 YAKULT Viet Nam Co., Ltd. 14:00 - 15:00 BIBICA CORPORATION 15:35 - 17:00 LOTTE Mart 3月13日(金)09:40 - 11:00 (ホーチミン泊) KINH DO BINH DUONG CORP. 12:00 - 13:30 MAXI MARK 13:30 - 15:00 Circle K, Shop & Go, VISSAN 等のコンビニ 15:00 - 15:20 Citimart B&B Convenience Store 15:50 - 16:30 WELLCOME SUPERMARKET 22:00 空港着 23:55 ホーチミン市発(JL750) 3月14日(土)07:20 成田着 81 収集資料一覧 資 料 名 VIETRADE(ベトナム貿易促進庁) ベトナムの貿易と投資 基本情報 2008-2009 貿易促進局 VIETRADE Vietnam-Opportunity for Your Success ベトナムにはビジネス成功のチャンスがあります Viet Brands Vietnam's Fruits and Vegetables 種類 冊子138ページ パンフレット DVD 冊子22ページ 言語 日本語 中国語 英語 日本語 英語 FIRI(食品産業研究所) * FOOD INDUSTRIES RESEARCH INSTITUTE FIRI パンフレット 企業 * HANOI TRADE CORPORATION Hapro パンフレット * SATRA SAIGON TRADING GROUP 冊子18ページ ※ KINH DO CORPORATION VINAMILK Annual Report 2007 パンフレット Book 43ページ 製品カタログ 18ページ リーフレット リーフレット リーフレット チラシ チラシ チラシ * Bibica SEASONAL PRODUCTS ※ * * * * * Yakult(工場見学用) MEIJI GOLD(粉ミルク) LISA(マヨネーズ) METRO Big C ダイソー The DAISO JAPAN ラオス STATISTICAL YEARBOOK 2007; Ministry of Planning and Investment (参考:VIETRADEのその他の資料) Viet Brands Vietnam Rubber and Rubber Products Viet Brands Activities of the Electrical & Electronic Industry Vietnam Wooden products & Furniture VIETNAMESE HANDICRAFTS & TRADITIONAL CRAFT VILLEGES 2008-2009 (注)*を付したのは画像を掲載 ※は本文中に紹介 82 Book 127ページ 冊子22ページ 冊子24ページ 冊子37ページ 冊子(付:ダイレク トリー)135ページ ベトナム語 英語 英語 英語 ベトナム語 英語 英語 ベトナム語 英語 ベトナム語 ベトナム語 ベトナム語 ベトナム語 ベトナム語 ベトナム語 ラオス語 英語 英語 英語 英語 英語 食品産業研究所(FIRI)事業紹介パンフレットから(1) 83 食品産業研究所(FIRI)事業紹介パンフレットから(2) 84 ハプロ(Hapro; Hanoi Trade Corporation)の事業案内から 85 SATRA の事業案内から(1) 86 SATRA の事業案内から(2) 87 METRO 店内配布チラシ(1) METRO 店内配布チラシ(2) METRO 店内配布チラシ(3) METRO 店内配布チラシ(4) 88 Big C の PB 商品のチラシ(部分) ダイソー3 万ドンショップのチラシ Bibica の製品カタログから 89 MEIJI GOLD 粉ミルクの広告リーフレット 90 LISA のマヨネーズのリーフレット 91
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