海外安全対策情報(第3四半期:コロンビア) 1 社会・治安情勢 11月16日,国軍のアルサテ将軍がチョコ県においてFARCに誘拐され た。同事案の発生により,同日夜,サントス大統領は和平交渉の中断を指示し た。FARCは,アルサテ将軍及び同行者2名を「捕囚」したことを認めた上 で,和平交渉は継続するべきであると主張した。なお,同将軍は,11月30 日に無事解放された。 また,12月17日,FARCは,12月20日より,国軍または国家警察 からの攻撃がない限りは無期限に一方的な停戦を実施するとの声明を発出し た。これに対して政府は,双方向の停戦は交渉課題「紛争の終結」において協 議されるべきである,また,政府は国民の権利を保証・保護する憲法上の義務 がある旨述べた。 2 一般犯罪の傾向 (1)犯罪別発生件数 第3四半期(10月~12月)のコロンビア全国における罪種別犯罪発生 件数は以下のとおり(出典:コロンビア国防省統計)。 ・殺人 3,385件 ・強窃盗(対人被害) 19,508件 ・強窃盗(邸宅,商業施設被害) 9,097件 ・強窃盗(乗物被害) 7,663件 ・性犯罪 2,166件 (2)邦人被害事案 ○10月18日,在留邦人がボゴタ市内の雑貨店において買い物をしてい たところ,財布やデジタルカメラを窃取されるスリ被害に遭った。 ○11月23日,在留邦人がボゴタ市内を徒歩で通行中,少年グループに よる強盗未遂事件に遭った。偶然通りかかったタクシーに助けられ,被害 は免れた。 3 テロ・爆弾事件発生状況 (1)発生件数(10月~12月)(出典:コロンビア国防省統計) 144件 (2)発生事案 国内において,以下のテロ・爆弾事案が発生した。 ○10月14日,ノルテ・デ・サンタンデール県ラ・プラヤ市において, FA RCが警察署を襲撃し,警察官2名が死亡,1名が負傷した。 ○10月31日,ウイラ県の幹線道路において,FARC第6戦線のゲリラ が爆発物を使用し,警察官3名が負傷した。 ○11月13日,トリマ県チャパラル市において,FARCの奇襲攻撃によ り,国軍兵士2名が死亡した。 ○11月23日,カウカ県コルゴナ島において,FARCの攻撃により,警 察官1名が死亡,6名以上が負傷した。 ○12月2日,バジェ・デル・カウカ県とカウカ県の県境において,FAR Cの攻撃を受けた国軍兵士1名が死亡した。 ○12月15日,カウカ県ロペス・デ・ミカイ市において,FARCの襲撃 を受けた同市警察司令官が死亡した。 4 誘拐・恐喝事件発生状況 (1)発生件数(10月~12月)(出典:コロンビア国防省統計) ア 誘拐 44件 イ 恐喝 679件 (2)発生事案 本年10月~12月期間中の外国人被害に係る誘拐事案の報道発表なし。 5 日本企業の安全に関する諸問題 政府の継続した治安対策により,ボゴタを始めとする都市部ではテロ,殺人 及び誘拐の発生は減少し,都市部での治安状況はそれまでと比べ著しく改善さ れた。 しかしながら,2014年6月,ボゴタ市内で警察施設を狙った爆弾テロが 発生するなど都市部においても未だ警戒を怠ることはできない。また,山間部 やジャングル地帯は国軍・警察の影響力も低く,特に治安機関及び石油・電力 施設を狙ったテロが頻発し,人的・物的被害が絶えない。 さらに,現在キューバの首都ハバナにおいて,政府側とFARC側の代表団が 交渉を継続中である和平交渉が合意に達したとしても,社会復帰が出来なかった ゲリラが一般犯罪に手を染めるなどの不安要素が存在することから,治安の動向 は予断を許さない状況になるものと思われる。 従って,特に地方への訪問については,その可否を決定する上でも,外務省, 大使館,現地治安当局より最新の治安情報を入手するよう努めていただきたい。
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