親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 人間科学部研究年報 平成 26 年 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 −小学校・中学校・高校におけるアンケート調査、インタビュー調査を通じて− Teachers’ perception on care and support for children who have experienced their parents’ divorce − through a questionnaire survey and interviews carried out with teachers in elementary, junior and senior high schools − 藤田 博康 1、石田 真由子 2 Hiroyasu Fujita, Mayuko Ishida Children who experience their parents’ divorce tend to show emotional instability and maladjustment, and psychological support is needed for these children. In spite of the fact that a school plays an important role to support these children, research on school support system for these children are limited. The purpose of this study is to find out the perception of teachers on children who have experienced their parents’ divorce, the support system at schools and mental care/support teachers actually provided to them. The results show teachers understand the negative influence that the parents’ divorce has on children. Understanding and supporting these children are necessary. The teachers also have a strong tendency to want to be of help. Teachers in junior high schools especially feel the understanding and support for children are imperative, and the training to teachers and support models are needed. In addition, from answers to an open-ended question in the survey and interviews, we find out when teachers are paying careful attention to students’ behaviors and words, they can sense the affects of parental divorce on children. We also discover that teachers offer various support such as psychological care, legal advice and social assistance to children and their families. This study shows that teachers believe it is their duty to help children who face difficulties under unstable families. 親の離婚を経験した子どもは不調や不適応に陥りやすく、心理的ケアが必要であるとする先行 研究が少なくない。しかし、子どもが家庭以外で最大の時間を過ごす学校現場における支援体制 1 2 帝塚山学院大学大学院人間科学研究科 堺市スクールカウンセラー ― 19 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 についての研究は十分ではない。本研究は、教員へのアンケート調査と半構造化インタビューを 通じ、親の離婚を経験した子どもに対する教員の意識、学校現場の支援体制や実際のケアおよび 支援について明らかにすることを目的とした。教員全体の意識として、教員は、親の離婚は子ど もに少なからず悪影響を及ぼしていると感じており、そのような子どもへの理解と支援が必要で、 自らが何らかの形で力になりたいとの意識が強かった。特に、中学校において理解や支援が必要 との意識が強く、校内研修や支援プログラムの必要性を感じている事が明らかになった。また、 自由記述およびインタビュー調査より、教員は親の離婚の影響を子どもたちの様子や言動から敏 感に感じ取り、心理的サポートから生活上の支援や福祉的支援まで様々なケアおよび援助を行っ ていた。総じて、不安定な家庭環境下で苦しむ子どもを助けるのは教師としての当然の仕事といっ た基本姿勢が明らかになった。 問題と目的 わが国の離婚は、平成 14 年の約 29 万組をピークにその後やや減少傾向にあるものの、依然と して高止まりで、約4組に1組の夫婦が離婚に至っている。うち約 6 割に未成年の子どもがおり、 少なくとも数人に1人の子どもが親の離婚を経験している現状にある(厚生労働省 2013)。親の 離婚が子どもに与える影響に関する一連の先行研究を概観すると、子どもの自立性や成熟性、共 に暮らす家族との一体感や連帯感が強まるなどといったポジティブな側面も示されている (Gately, D. Schwebel, A.I.1992, Barber, B.L., Eccles, J.S.1992 他)。その一方で、子どもたちは情緒 的苦悩や抑うつ感、低い自尊心、問題行動などの心身の不調に陥りやすく、その悪影響は長期的 で深刻であるとする研究結果も少なくない (Zill, N., Morrison, D.R. & Coiro, M.J. 1993, Wallerstin, J.S., Lewis, J.M. & Blakeslee, S. 2000 他)。この点、わが国の関連研究の多くは、親の離婚の子ど もに及ぼす悪影響に鑑み、子どもへの心理的ケアの必要性を等しく示している(小田切 2004, 家 庭問題情報センター 2005, 野口 2006, 棚瀬 2007, 子ども未来財団 2013 他)。実際、公立中学のス クールカウンセリングにおいて、相談ケースの約 8 割の家庭に両親の離婚や深刻な不和を認めた という報告もある(藤田 2011)。しかしながら、未だ実証的研究やそれに基づいた援助実践は数 少なく、親に離婚に巻き込まれている子どもたちにその支援が十分に届いているとはいい難い(福 丸他 2012)。したがって、両親の離婚を経験している子どもたちの援助ニーズを実情に即してき め細やかに把握し、その知見を援助実践につなげてゆくための研究を積みあげてゆくことが喫緊 の課題である。 そこで、筆者は、親の離婚や不和がどのように子どもたちの不調や不適応に繋がっていき、ま た、いかなる要因がレジリエンスになるのかに関して、実態に即して理解する必要があると考え、 親の離婚を経験した大学生に対するインタビューによる質的研究を行い、その知見を踏まえての ― 20 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 援助実践報告を行って来た(藤田 2011, 藤田 2012)。 その過程を通じて見えてきたものが、子どもたちが家庭以外で最大の時間を過ごす場である、 学校現場でのケア体験の重要性であった。例えば、教職員に何らかの形で支えられたという体験 は、子どもたちが離婚やその後の移行期における苦境を乗り切るうえで、大きな役割を果たして いた。そのような教員の配慮や関わりが大切である一方で、学校教育現場では、家庭の事情を語っ たり、聴いたりするという事への抵抗なども根強く残っているようである(中釜 2001)。今後、 教育現場において、親の離婚(別居)を経験した子どもの理解や支援を広め、支援体制の充実を 目指してゆくためには、まず、学校教育現場における現状を把握することが大切であろう。しか し、これまでのところ、離婚や不和を経験した子どもに対する教員の意識や学校の支援体制に関 する研究はあまりなされていない。そこで、本研究では、教員に対する質問紙調査、インタビュー 調査を通じて、親の離婚を経験した児童・生徒に対する教員の意識、および学校教育現場におい て、実際にどのようなケアや支援が行われているかなどを明らかにすることを目的とした。 方法1 質問紙調査 質問紙調査は、教員が親の離婚の子どもに及ぼす影響をどう捉えているか、および、所属先学 校の支援体制や自らの支援経験等を明らかにするために行われた。過去の研究(藤田 2011, 2012 等)から得られた知見を参考に、複数の学校教員への予備調査的インタビューを踏まえて、筆者 および研究協力者間で 17 の質問項目を選定し、5 段階評定による回答(一部自由記述)を求めた (付録 A)。 対象は、筆者および研究協力者が教員やスクールカウンセラーとして勤務する複数の小学 校、中学校、高等学校の教員である。有効回答数は 266 名であり、その内訳は(表 1)の通りで ある。 表 1. 質問紙の回答者の内訳 小学校 中学校 高等学校 養護教諭 有効回答数 71 95 51 49 平均年齢(歳) 42 38 44 40 平均勤続年数(年) 17 13 19 18 ― 21 ― 人間科学部研究年報 結果Ⅰ− 1 平成 26 年 質問紙調査の回答より (1)教員全体(養護教諭を除く)の意識傾向 まず、質問項目毎に、「全くそう思わない・そう思わない」「どちらとも言えない」「強くそう思 う・そう思う」の割合の比較を示した(図表 2)。 教員の比較的多数が肯定している項目は、 「離婚が良い影響を及ぼすことはない(56.6%)」、 「親 の離婚を経験した子どもは不安が高まる(51.2%)」、「経済面でハンデがある(63.4%)」等であっ た。逆に、肯定した割合が低い項目は、 「親の離婚を経験した子どもたちは元気がない(21.0%)」、 「学力を低下させる(29.3%)」、「友達関係が悪い(18.0%)」、「教師の指導が難しい(15.6%)」等 であった。そして、そのような子どもたちが、 「(自ら)教師に相談してくることは少ない(50.7%)」 が、教員の多数が「子どもたちの力になりたい(81.5%)」、「子どもたちへの教職員の理解や支援 が必要である(69.8%)」と思っていることが明らかとなった。 しかし、 「勤務校において(親の離婚を経た)子どもたちへの支援体制が整えられている」とい う項目を肯定したのは 10.7%にとどまり、半数近くの教員が、「(離婚の)子どもの理解や支援に ついての校内研修が必要(47.5%)」、 「(離婚の)子どもの支援やケアのプログラムが必要(45.9%)」 と考えている実情にあった。 図表 2. 教員全体(養護教諭を除く)の親の離婚を経た子どものケアに関する意識 ― 22 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 (2)小学・中学・高校別の教員の意識傾向 次に、小学・中学・高校・養護教諭別にみた教員の意識傾向の特徴を明らかにするために、項 目ごとに、「どちらとも言えない」の回答を中央値として平均得点を変換しグラフに示した(図 表 3)。中央値を0とし、負の数値はその項目内容に対して否定的な意識が強いことを、正の数値 の場合はその項目内容に対して肯定的な意識が強いことを示している。なお、小学、中学、高校 の各校種による平均値の差を明らかにするためにソフトウェア SPSS を用いて分散分析を行っ た。ただし、養護教諭は一般教員に比較すると、明らかに離婚の悪影響への意識が強い傾向にあっ たため、分析から除外し、別途考察することにした。 結果として、校種で回答に有意差あるいは有意な傾向が出た項目は、 「集団適応を悪くする(中 >高、p < 0.1)」、 「教師への相談が少ない(高校>小学校、p < 0.1)」、 「(勤務校は)子どもの理 解や支援意識が強い(小学>高校;p < 0.01、中学>高校;p < 0.05)」、「支援やケアのプログラ 図表 3. 親の離婚を経た子どものケアに関する意識(校種別) ― 23 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 ムが必要である(中学>小学;p < 0.1、中学>高校;p < 0.1)」等であった。 小中高ともに、 「親の離婚は子どもの集団適応を悪くする」という項目には肯定の回答が多かっ たが、なかでも、中学の教員は小学の教員よりもそれを強く意識している傾向にあること、 「教師 への相談」は小学に比べて、高校ではより少ない傾向にあること、 「子どもの理解や支援意識が強 い」のは、小学、中学、高校の順であること、 「支援やケアのプログラムが必要である」と感じて いるのは、特に中学の教員であることなどが明らかとなった。 考察Ⅰ−1.質問紙調査結果に関して 総じて、「どちらとも言えない」という回答が比較的多く、さらに、校種・性別・経験年数より も個人間の評定のばらつきが目立った。このことから、本テーマへの踏み込みづらさや、離婚経 験などの個人的体験などが影響していることが推測される。しかしながら、教員全体として、親 の離婚を経験した子どもに対する理解や支援は必要であり、自らが力になりたいとの意識は強 かった。このことから、今後、学校教育現場において親の離婚や不和に苦しむ子どもたちの理解 や支援がさらに広まってゆくための土壌が十分にあると考えられた。 特に、中学では、相対的に子どもたちへの理解や支援が必要であるとの意識が強く、同時に、 校内研修や支援プログラムへの期待も高いことが判明した。このことからは、思春期渦中の多感 な子どもたちにおいては、親の離婚による悪影響がより顕著となりやすく、中学校教員が特にケ ア・システムの必要性を感じていることが推測される。 その一方で、学校全体としての支援意識が最も高かったのは小学校であるが、実際にケアや援 助の経験があると回答した教員の割合は、小学校 31.0%、中学校 41.7%、高校 43.1%と逆の結果が 示された。このことから、何をもって「離婚を経た子どもたちへのケア」とみなすかの定義や線 引きが難しいこと、特に小学校における支援は、もともと子どもたちに手がかかることから、必 ずしも「親の離婚や不和」に特化されたケアとは認識されていない可能性などが考えられ、「ケ ア」を広い視点で捉えていく必要が示唆された。 また、養護教諭は、離婚の子どもたちに対する悪影響の実感が比較的強く、ケアの意識も高かっ た。保健室は子どもたちが体調のみならず精神的なケアを求めて訪れる場所でもあり、そこで、 親の離婚や家庭状況に関する悩みが語られることも多いため、養護教諭は離婚の悪影響を実感し、 必然的に当該テーマに関する関心やケアの意識が高くなっているということであろう。 結果Ⅰ−2.自由記述項目の回答より 質問 17. では、両親の離婚や不和等で悩んでいる子どもへのサポート経験の有無の回答を求め、 ― 24 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 経験がある場合、どのようやサポートを行ったのかを記述してもらった。 回答は多岐にわたり、教員一人ひとりが、子どもたちの事情や様子に応じて、さまざまな支援 を行っている実態が明らかとなった。以下は、具体的内容を整理、分類したものである。 <話を聴く> ・しっかり聴く。 じっくり聴く。親身になって聴く。共感的に聴く。 自己開示して聴く。 ・さりげなく聴く。さらっと聴く。軽い調子で聴く。 ・非指示的に聴く。聴いてアドバイスはしない。 ・聴いてあげることしか出来ない。 <声掛けする、見守る> ・様子を観察する。見守る。 ・敏感に日常の変化に気付く。 ・その子を気にかけてあげ、声掛けをする。 ・見守り、必要に応じて声をかける。 ・さらっと声をかける。 ・直球ではなく、軽い調子で声をかける。 ・世間話や部活の話など、関係ない話をする。 ・見守り、「困ったら何でも言えよ」という関係づくりを心がける。 <具体的なかかわりによるケア> ・父母の紛争で怖がっている子どもの手をつないだり、抱っこしてあげたりする ・「大丈夫」と言って安心させてあげる。 ・家まで送ってあげて、夜遅く一人親が帰るまで一緒に勉強してあげたりする。 ・たくさん褒めてあげる。 ・とにかく自己肯定感を下げないよう、自信をなくさないような配慮や関わりを行う。 ・自分の同様の体験(自分の親の離婚など)を話して、あなたの気持ちはよく分かるよと言っ てあげる。 ・夜一人で留守番をしている生徒に電話をかけてあげる。 ・母親、父親的存在になったつもりで親身に関わる。 ― 25 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 <助言・指導> ・親や家庭環境のせいにして道を外してしまわないよう助言する。 ・生み育ててもらったことへの感謝の気持ちを持ちつつ、両親のことを理解してあげて欲しい と伝える。 ・不安の内容を聴いてあげ、心配しなくても大丈夫と伝える。大人なればそんなに気にならな くなると言ってあげる。 ・親はあなたを愛していると伝えてあげる。 ・親に自分の気持ちを伝えてみるように支援する。 ・親族などへの相談を勧める。 ・子ども同時でピアサポート的に話してみる事を勧める。 ・自分が打ち込めるような(エネルギーをつぎ込める)目標、役割を与える。 <親を含めたかかわり、親への支援> ・子どもの親への思いを聴き、親に伝える。 ・子どもの苦境や悩みを代弁して親に伝えてあげることが教師の仕事。 ・親への心理的支援・親の相談を受ける。 ・親と子どもの関係、両親同士の関係などに介入、支援する。 ・親子のやり取りに気を配り、親子が良い関係になるように支援する。 ・DV と離婚のケースで母親の相談に乗った。 ・暴力や子どもの取り合いなどのケースで、家族も含めた支援を行った。 <生活支援、福祉的・法律的手続きの支援> ・夜、家に行ってあげたり、洗濯など家事の補助を行う。 ・金銭的補助を行う。奨学金の申請援助などを行う。 ・ (ネグレクトの場合)家に行き食事を作ってあげる。朝食を用意したり、 弁当を作ってあげる。 ・(学校で放課後、あるいは家に行って)勉強を見てあげる。 ・児童相談所などの関連機関につなげた。 ・調停時の親権について、子どもの相談に乗る。 ― 26 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 <その他> ・心理精神的症状、不適応、問題行為等への積極的支援を行う。 ・問題行動や適応行動があっても、ルールを柔軟にして、見守った。 ・親子関係や家族関係は特に扱うのが難しい。 ・答えづらい。実際、家庭の事にはなかなか踏み込めないケースが多い。 ・離婚だけがすべての理由ではない。一人ひとりの子どもの状況や性別に応じた援助が必要。 ・離婚や家庭に関する事だけでなく、子どもの心理面に細心の注意を向ける。 ・悲しみや憤りをぶつけられる場所になろうと努めた。教員が解決出来ることではないので、 辛さを理解し受け止めることしか出来ない。 方法Ⅱ.インタビュー調査 質問紙調査を通じて、多数の教員が、親の離婚を経験した子どもに対する理解や支援が必要で あり、自らが子どもの力になりたいといった意識を強く持っていることが判明した。加えて、自 由記述回答項目を通じて、教員一人ひとりが、子どもたちの事情や様子に応じて、さまざまな支 援を行っている実態が明らかとなった。 そこで、各教員が、親の離婚を経た子どもたちのケアに関して、さらに具体的にどのような意 識を持ち、いかなる学校環境の下で、どのような支援を行っているのか等を詳細に把握すること を目的として、小学、中学、高校、養護教諭 5 名に対する半構造化インタビューを行った。 質問内容例は、両親の離婚や不和の子どもたちに及ぼす影響、教育による具体的な対応・かか わり・ケアの内容、子どもの回復にとって大切なことなどである。 インタビューの時間は一人当たり約 1 時間であり、すべて許可を得て録音し逐語化した。 インフォーマントの内訳は(表 4)のとおりである。 表 4. インタビュー協力者の概要 インフォーマント No. 勤務校 性別・年齢 離婚家庭の割合(概算) 1 小学校 女性・50 代 2 割〜 3 割 2 小学校 男性・40 代 約3割 3 中学校 男性・30 代 2 割〜 3 割 4 中学校 女性・20 代 約2割 5 高校(養護) 女性・20 代 約5割 ― 27 ― 人間科学部研究年報 結果Ⅱ 平成 26 年 インフォーマントの「語り」より [インフォーマント1.小学校教員 女性] <離婚の子どもに対する配慮・対応> 学校に提出する家庭状況調査票で母子家庭や父子家庭のチェックはするけれど、それほど日ご ろから離婚家庭ということを意識しているわけではない。むしろ、何かがあったときに、そのこ とも意識して対応してあげるという感じ。ただ、 「お父さん ・・・」などと特定の親のことを取り上 げる話は控えるようにして、「お家の人、誰でもいいよ」とサラッと言うようにしている。もし、 子どもが親のことを話してきたら、重々しくならないように普通の感覚で聴いてあげるようにし ている。 <子どもへの悪影響とケア> 私の経験では、親が離婚するしないで揉めている最中が、子どもは一番辛そうな様子で、ちょっ としたことでわっと泣き出したり、すごく不安定になったりする。そういう子は、むしろ、親が はっきりと離婚して別れてしまった後のほうが、落ち着くような感じがする。とにかく、そのよ うに子どもが辛そうな時は、寄り添って話を聴いてあげたり、なんとかして落ち着かない気持ち を支えてあげようと努力している。低学年の場合などは、個別に話をするだけでなくて、授業の 中で少しでも楽めることをやったり、集団の中で、他の子どもたちにはわからないように、さり げなく声をかけたり褒めてあげたりなどという工夫もしている。 <親への対応、働きかけ> 「先生、お母さんって、家に居るもんなん? 友達の親はみんな居てるけど、僕はたまにしか、 お母さんに会われへんねん!」と言ってきた子がいた。この子のケースは、私と父親(親権者) との関係が良かったので、懇談の時に父に「こんなこと言ってましたよ」って伝えた。教員の立 場では、夫婦関係には絶対に立ち入れず、決して大きなこともできないけれど、お父さんが「子 どもに、寂しい思いさせてんねんな」って感じてくれたらいいと思い、このケースの場合はお父 さんもそれに応えてくれた。 家庭が不安定な子どもを見ると本当に辛い。離婚・再婚を繰り返すある母親の子どもなど、内 心すごく苦しそうで、無理してるなというのが伝わってくる。子どもにとって環境が変わるとい うのはとても大きなことで、そのことで心に傷を受けているんだなと思う。そういうことも常に 配慮して気にかけて、日ごろから声をかけてあげるようにしているが、逆にそのくらいしかして あげられないのが、もどかしい。 <子どもの回復にとって大切なこと> たとえ小学 1 年であっても、親のことについてちゃんと考えている。でも、それをなかなか言 ― 28 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 葉に表現できないから、それを汲み取って言葉にしてあげるっていうやりとりが大事だと思う。 父母が揉めているときは親の気持ちが子どもに向かわず、なにより心細い思いをしているわけだ から、そんな時にこそ、学校での教員のかかわりにより、子どもに少しは安心できるという気持 ちを抱かせる事がすごく大切だと思う。 <支援体制について> 以前は担任一人が抱え込むという面も強かったが、特別支援体制が整備されて以来、教員同士 が気になる子どもの情報を共有し、管理職や養護教諭などにもお願いして子どもに声をかけても らうなど、チームとしてのサポート体制が作られてきているように思う。 [インフォーマント2.小学校教員 男性] <離婚の子どもに対する配慮・対応> 「ひとり親家庭」、 「生活保護」等の情報は教員全体で共有をしている。ただし、その上で、具体 的に学校としてどう支援するかとなると、「話のできる保護者と、できる範囲でしっかり連絡を とって行きましょう」という漠然としたものになりがちだ。 <具体的なケア> 私の担任としての関わりは、放課後に一緒に話をしたり、一緒に宿題をしたり、他の子を巻き 込みながら校庭で一緒に遊び、担任だけでなく、子どもが友人とのつながりの中で支えられるよ うなことも考えてみたりした。 夜、家に一人で居る子には、 「もうご飯食べたか?」とか「ちゃんと鍵閉めたか?」とか「お風 呂入ったか?」みたいなことで、毎日のように電話をかけていた。最初は、子どもたちは「そん なことで電話掛けてこんでええねん。うっとおしいねん」とか言っているけど、次第に私に学校 や親のことなどを話してくるようになり、連日一時間以上話すようになったこともあった。ただ、 そんな子に限って、親の都合でいきなり転校してしまったりして、その後の消息が分からなくな ることも多く、「今頃、どうしてるかな、、、」と気になったりする。 <子どものありよう> 私の経験では、親の事情をはっきり言ってくる子どもはあまり多くはない。きっと、寂しいは ずだろうに、 「家のことは言ってはいけない」みたいに我慢をしているのかもしれない。両親が仲 が悪いことなどは作文にも一切書かない。逆に、家での楽しかった経験は、ほんのちょっとのこ とでも、ものすごく喜んで長い作文書いてきたり、話してきたりする。そんなときは、必ず親に 「○○ちゃん、こんなに喜んでましたよ」と伝えるようにしている。 <教員の支援意識> 親が離婚したり不和だったりする子どもが苦しんでいるという実感は多くの教員が持っている ― 29 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 と思う。それぞれの人のキャパシティーが許す中で、何か子どもの力になってあげたいという気 持ちをほとんどの教員が持っている。特に、小学校の教員は、勉強などにもまして、子どもの日々 の生活の安定が大切だという思いがあり、とにかく「やれることはやろう」と一生懸命な先生が 多い。もしかしたら、私の勤務する地域には人権問題に意識が高く、面倒見が良い先輩の先生た ちが多いので、それが若い世代に伝わるなど良い影響を及ぼしているのかもしれない。今は、支 援が必要な子どもには、管理職、担任、教務主任、コーディネーターなどがチームを組んで対応 するようになってきた。これも、良い傾向だと思う。 [インフォーマント3.中学校教員 男性] <離婚の子どもに対する対応> 今の学校では、子どもが突如、非行とか逸脱行動に走って、その背景を確かめてみると実は親 の不和や離婚だったというパターンがとても多い。子どもの学校での様子が何かおかしくて、話 を聴いてみたら「親が家を出て行った」と言うこともある。しかし、たいていの場合、子どもは 親の不和や離婚に関してはなかなか言い出さない。ただし、やけに親に対する文句が増えたりと か、 「家に帰りたくない」とか言ってきたりすると、きっと家に何か事情があるのだろうと配慮す る。親が離婚した子どもに対しては、一人一人の気持ちを汲みながら、かかわってあげることが 大切。間違っても、 「世の中にはそんな子いっぱいおるねんで」など簡単に対応してしまわないよ うにしている。 <親への対応、具体的なケア> 親の離婚と虐待などの養育の問題が重なるケースが多い。子どもが内縁の夫から暴力を振るわ れていたケースがあって、そのときは、 「暴力をふるっているのであれば、虐待ケースで通告せざ るを得ない」とはっきり伝えた。その他、親の養育態度が要注意のケースの場合には、服の汚れ やきちんと食事をしているかなどを確認したり、痣や傷がないかなどを注意して見るようにもし ている。痣や傷があっても理由を言わなかったり、 「僕が悪いんや」という子もいる。そんな子に は「悪くないねんで、先生も叩かないやろ?」、 「親に叩かれるのは普通やないねんで」って伝え、 親にも会いに行く。こういう離婚と虐待が絡むケースは、その時その時にできることをやらなけ ればケアが後手後手になるので、たとえ勤務時間外であってもそれを最優先している。 教師が親の代わりをできるとは思っていない。世の中の大人、普通の大人というのはこうなん だというモデルを示すようなかかわりを心掛けている。親とのやりとりでは、できるだけ密に連 絡を取っておいて、言わなければならないことやしんどいことを言い合えるような信頼関係を築 いておく。子どもが話しかけてきたり、困っているようなときには、どんなに忙しくても時間を 取り、しっかりと向き合うように心がけている。 ― 30 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 <離婚の子どもへの影響> DV が頻繁だったり、常に両親が激しく喧嘩ばかりしている家庭の子どもは、離婚によってか えって落ち着くこともある。ひとり親でも、親がしっかりしていて子どもへの配慮もあり、親子 関係も良いところは、比較的子どもも安定している。 ただし、子どもは親の後姿を見ているので、ひとり親の母がたびたび外泊したりしていると、 子どもも夜遊びや外泊を繰り返し、 「ママもしてるやん」と開き直ったりもする。また、離婚後に 元配偶者の悪口を子どもに言う親もいる。子どもはそのことにとても苦しむので、 「それだけは絶 対言わないで下さいね」と親に伝えたこともある。 <スクールカウンセラーに期待すること> 教員は、自分たちがその時その時にできることをやってはいるが、実際、それが正しいかかわ り方なのか、本当に親の離婚に苦しむ子どもに役に立っているのかどうかが分からない。だから、 心理援助の専門家の視点から、私たちのかかわりや対応が適切かどうかなどのコンサルテーショ ンがあるととても助かる。 [インフォーマント4.中学校教員 女性] <離婚の子どもへの配慮> 離婚家庭という申し送りがあった時点で、言葉かけに気をつけるようにする。例えば、 「お母さ ん、お父さん」とは言わず、 「うちで聞ける人がいたら聞いておいで。いなかったら、いいよ」な どという言い方をするようにしている。 <離婚や不和の子どもへの影響> 今、関係がぐらついている両親の子は、精神的にとても不安定になっている。しっかりしてい た子が、何かのきっかけで簡単に泣きだしてしまったりする。この子たちの大切な世界は、家庭 と学校の二つだけしかなく、その土台の部分がぐらつくと、かなり追い詰められてしまうんだな と思う。逆に、感情的に落ち着かない子を呼んで話をしてみると、そのうちの多くの子どもたち が家のことで苦しんでいることが分かる。家庭のことは、友達関係のトラブルなどとは違う深刻 なものがある。 <子どもへの具体的ケア> そういう時は、ただ話を聴いてあげることしかできない。秘密を守ってあげることもとても大 切。先生まで、学校まで信頼できないとなったらもう子どもたちの居場所がなくなってし まう。何が良いのかは分からないけれど、私は生徒との信頼関係が回復の決め手になると思って いる。 日常場面では、なるべく自然に接し、声掛けもあまり仰々しくならないように「食べてるか?」 ― 31 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 とか「寝れてるか?」とか、さりげなくかかわっている。もっともっと支えになってあげたいと 思うが、なかなか時間が限られていて、もどかしく思うことがある。ときに、会議や部活動の指 導を休んででも子どものことを優先することもある。私は、必要なときにはそうすべきだと思っ ている。 <子どもの回復にとって大切なこと> 子どもたちにとって、この先の生活がどうなるのか分からないという不安が、気持ちを不安定 にさせる大きな要因だと思う。離婚する大人ならある程度想像ができることでも、子どもにして みたらいきなり知らないところに突き落とされる感じだと思う。だから離婚そのものよりも、環 境が変わるということのほうが辛いのかもしれない。教員の立場からは、親も精一杯なんだとは 思うが、子どもの気持ちや不安を察したうえできちんと対応してほしい。ある程度しっかりした 子であれば、大人と同じように離婚や今後のことを説明してあげてほしいと思う。将来のことを 少し言ってあげるだけで、子どもが先の見通しを立てられ、落ち着くことにつながると思う。 <スクールカウンセラーに期待すること> 親の問題で揺れている子どもの場合、教員だけでは十分に話を聴いてあげられないことがある。 そんな時に、 「スクールカウンセラーの先生が学校にいて、あなたの話を聞いてくれたり、親身に 相談に乗ってくれるよ」と言ってあげられることがとてもありがたい。また、離婚を経験してい る子どもの理解や援助のありかたについて助言があれば、教員も具体的なケアのあり方や支援策 を具体的に考えられると思う。 [インタビュー5. 高校養護教員 女性] <子どもたちの様子> 両親の不和が深刻な生徒は、何か訳があって来ている保健室でもあまり語ろうとしないことが 多い。「どうしたの?」と聞いても黙っている。私が「友達のことかな?」、 「家のことかな?」と 尋ねていくと、ようやく「家、、、」と答える子どもが多い。でも、すぐにまた「大丈夫、自分で解 決できる」とか、 「家のことやから、、、」と口が重くなってしまう。きっと、友達には相談できず、 養護教員の私の顔色を伺いながら(保健室に)来てるんだろうなと思う。また、家族関係の問題 があると、生徒は体調が悪くても早退もしたがらない。そして、保健室で少し喋ったり愚痴った りして気分転換し、授業やクラブに戻っていく生徒もいる。 <子どもたちへのケア・支援> 親のことで苦しむ子どもたちの話はしっかりと聞いてあげたい。ただし、心の深いところまで 聴くのがいいとは必ずしも思っていない。その他のケアとしては、気持ち的にしんどい子どもの ために、朝、登校の前に電話やメールをしてあげたり、途中まで迎えに行ってあげたりすること ― 32 ― 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 もある。 ひとり親で、母親が夜遅くまで働いている場合、家に帰っても 1 人ぼっちで寂しいために、夜 遊びに走ったりしてしまう子どもたちがいる。そういう子どもを見ると、今が人生の分かれ道だ から、とにかく、道から外れないように引き止めて引き止めて、というかかわりをしている。で も、教員に何ができるんだろうという無力感も大きい。夜遊びなどに関しては、生徒指導上の問 題にもなるので、信頼できる担任には一緒に指導や説得に行ってもらう。ただ、生徒の気持ちを あまり酌もうとしない教員には、かえって逆効果になるので、伝えないようにすることもある。 <離婚の良い影響> 親の不和ですごく精神的に不安定になっていた子が、いざ離婚してしまうと落ち着くという ケースはある。両親が喧嘩している様子を見なくてすむようになり、母親も笑顔を取り戻し、子 どもも安定するということもある。ある子どもは、 「親が離婚するのはもう仕方がない。でも、自 分に八つ当たりしてきたり、そうかと思うと、媚を売ってきたりするのが鬱陶しい」とか言って いた。 <子どもの回復に大切なこと> 友達の存在は大きいと思う。友達がおらず孤立していたり、仲が悪かったりしたら、子どもは 一気に崩れてしまう。ただただ、一緒に横にいてくれたりする友達の存在がとても大切だと思う。 教員は、どの子の親が離婚したかなどはおおむね分かっているが、その影響をどこまで理解し、 どこまで支援しようとするかは教員一人ひとりそれぞれだ。だから、教員全体の理解や支援体制 が向上することが、とても大切だと思う。 考察Ⅱ 自由記述回答とインタビュー調査から 自由記述およびインタビュー調査を通じて、それぞれの教員が子どもたちの様子や表情、言動 などから、親の離婚や不和の子どもたちへの悪影響を肌で感じており、多様な方法で子どもへの ケアや支援を行っている実情が明らかになった。教員は日ごろから子どもの様子を気にかけ、心 の揺れやちょっとした異変をつかみ、声のかけ方や見守り方、話の聴き方など、さまざまな配慮 や工夫を交えながら対応していた。また、必要に応じて、一教員という役割を超えて、食事や洗 濯など子どもの家庭生活を支援しているケースがあったり、保護者への介入、法律的福祉的支援 なども含めた幅広い支援が行われてたりしていた。そこには、不安定な家庭環境下で苦しむ子ど もの力になりたい、そのような子どもを助けるのは当然の仕事、といった教員の基本姿勢が見て とれた。 そのような教員のかかわりによって、学校の場が、子どもたちにとって抱えの環境として機能 していることが推察された。子どもたちにとっての第一の基盤である家庭がぐらつき不安定に ― 33 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 なっているときに、学校がいつもと変わらない「場」や「安全基地」として機能する事が大切で ある(堀田 2002)。教員は、子どもとの信頼関係を大切にし、子どもと誠実に向き合い、さらに は、授業や友達との交流の場においても、それが子どもにとって居心地の良い場所になるよう配 慮するなど、家庭での緊張感が高い子どもたちにとって、学校が少しでも安心できる場になるよ う努めていた。なかには、自分の時間を犠牲にしてでも子どもの支援を優先する教員もおり、実 際、このような教員の姿勢により、日々の生活が大きく支えられている子どもたちがかなりの数、 存在することが推測された。 おわりに スクールカウンセラーなど心理の専門家は、子どもたちの心理的ケアに直接かかわるだけでな く、このような学校教員の日ごろのかかわりによってこそ、多くの子どもたちが心理的に支えら れていることを十分に尊重し、教員の支援やエンパワーにも十分に力を注ぐべきであろう。また、 教員の中には、自分の理解や対応が適切であるかどうかの不安や戸惑いを持つ者もあった。親の 離婚という移行期にある子どもたちに対して、教員がより自信を持って支援を行うためにも、さ らに、より多くの教員が子どものケアへの高い意識を持つようになるためにも、心理職によるコ ンサルテーションや研修活動、啓蒙活動などがおおいに期待されている。そのためにも、今回は 学校教育現場でのおおむねの傾向を知る意識調査にとどまったが、今後、教員やスクールカウン セラーともども協働的な調査研究や質的研究を重ね、さらに精度の高い分析結果や方向性を示し てゆく必要があると考える。 謝辞 本調査研究に当たっては、公立学校スクールカウンセラー郭知陽先生、亀井洋子先生、朝田有 紀子先生、藤野貴子先生、養護教員栗栖香織先生、元教員西村研先生、吉岡悦子先生ほかの研究 協力を賜りました。また、多くの先生方にインタビュー調査及び質問紙調査にご協力をいただき ました。この場を借りて心からお礼申し上げます。 付記 本研究は 2012 年度科学研究費補助金基盤研究(C)課題番号 24616022(研究代表者 康)の助成を受けて行われた。 ― 34 ― 藤田博 親の離婚を経験した子どものケアに関する教員の意識調査 文献 Ahrons. C.R., 2007 Family ties after divorce : Long-term implications for children. Family Process, 46-1, 53-65 Barber, B.L., Eccles, J.S. 1992 Long-term influence of divorce and single parenting on adolescent family and work-related values, behaviors, and aspirations. Psychological Bulletin, 111, 108-126 Emery. R.E. 1999 Marriage, divorce and children’s adjustment. Thousand Oaks ; Sage Publications. 藤田博康 2011 親の離婚を経験した子どもたちのリジリエンス 藤田博康 2012 親の離婚や不和を抱える子どもへの心理援助 日本家族心理学会第 28 回大会論文集 74-75 家族心理学会第 29 回大会論文集 96-97 Hetherington, M.H. 1999 Coping with divorce, single parenting and remarriage : a risk and resiliency perspective, Mahway NJ : Erlbaum Press 福丸由佳、中釜洋子、大瀧玲子、山田哲子、曽山いずみ、本田麻希子、平良千晃 2012 離婚を経験する子ど もと家族への心理的支援 − FAIT(Family in Transition)の導入と実践 明治安田心の健康財団紀 要 47, 65-74 Gately, D. Schwebel, A.I. 1992 Favorable outcomes in children after parental diverce. In Everett, C.A.(Ed) Divorce and the next generation. 57-78 New York : Haworth 堀田香織 2002 学校臨床そして生きる場への援助 たらす家族の危機を乗り越えるために 沢崎俊之他編 学校という場でできること −離婚がも 日本評論社 堀田香織 2009 親の離婚を体験した青年の語り 心理臨床学研究 , 27-1, 40-52 厚生労働省 2013 厚生統計要覧(平成 25 年度)人口動態 中釜洋子 2001 夫婦関係の病理現代のエスプリ www.mhlw.go.jp 第 407 号 122-130 野口康彦 2012 親の離婚を経験した子どもの精神発達に関する研究 −学生と成人を対象にして− 風間書 房 野口康彦 2006 親の離婚を経験した不登校男子生徒との面接過程の一考察 験を中心に −思春期発達と子どもの喪失体 精神療法 34-1, 72-80 小田切紀子 2004 離婚を乗り越える −離婚家庭への支援をめざして 社団法人家庭問題情報センター 2005 離婚した親と子どもの声を聴く ブレーン出版 −養育環境の変化と子どもの成長に 関する調査研究 棚瀬一代 2007 離婚と子ども 心理臨床家の視点から 創元社 Wallerstin, J.S., Lewis, J.M. & Blakeslee, S. 2000 Unexpected Legacy of Divorce. New York : Hyperion. やまだようこ 2000 人生を物語ることの意味 −生成のライフストーリー −ライフストーリの心理学 やまだようこ編 人生を物語る ミネルヴァ書房 1-38 財団法人子ども未来財団 2013 親の離婚を経験した子どもの成長に関する調査研究 −家族として再編成す るために Zill, N., Morrison, D.R. & Coiro, M.J. 1993 Long-term effects of parental divorce on parent-child relationships, adjustment and achievement in young adulthood. Journal of Family Psychology, 7. 91-93 ― 35 ― 人間科学部研究年報 平成 26 年 付録 A. 1 両親の離婚(別居)は、子どもの集団生活の適応を悪くする 2 両親の離婚(別居)を経験している子どもは、元気がない 3 両親の離婚(別居)は、子どもの学力を低下させる 4 両親の離婚(別居)は、子どもの友達関係を悪化させる 5 両親の離婚(別居)を経験している子どもは、経済面でハンデがある 6 両親の離婚(別居)を経験している子どもは、落ち着きがない 7 両親の離婚(別居)を経験している子どもは、不安が強い 8 両親の離婚(別居)を経験している子どもは、教師の指導が入りにくい 9 子どもは自分の両親の離婚(別居)に関する事を、教職員に話してきたり相談して来たりするこ とは少ない 10 両親の離婚(別居)を経験している子どもの力になってあげたいと思う 11 両親の離婚(別居)は子どもにとって良い影響を及ばす 12 両親の離婚(別居)を経験している子どもに対する多くの教職員の理解や支援が必要である 13 (現勤務校は)両親の離婚(別居)を経験している子どもに対する理解や支援の意識が強い 14 (現勤務校は)両親の離婚(別居)を経験している子どもに対して、教職員の支援体制が整えられ ている 15 両親の離婚(別居)を経験している子どもたちの理解や支援のありがたについての、校内での何 らかの研修が必要だと思う 16 両親の離婚を経験している子どもたちの支援やケアのプログラムが学校内で導入される事が望ま しい 17 両親の離婚や不和等で悩んでいる子どものサポートをした事がありますか(ある場合は自由記述) ― 36 ―
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