ロミオとジュリエットの愛

『恋におちたシェイクスピア』を観て
面白かったと言うより、勉強になった。この映画の主題は『ロミオとジュリエット』が
如何にして出来たか、であろうと思われるので、英文学を専攻した人や演劇に関心がある
人には面白いかも知れないが、一般の人たちにはどうであろうか。エリザベス朝時代に詳
しくない私には参考になったが。例えば、当時は舞台に女性は立てなかったのか・・・と。
でも、ヴァイオラも、ウェセックス卿も架空の人物だったと知り、少々がっかりした。す
ると、ウェセックス卿から「お前はだれか」と訊かれ、シェイクスピアが、「クリストファ
ー・マーロウです」と答えたのもフィクションであろう。また、少年のジョン・ウェブス
ターが役人に、ヴァイオラがロミオ役を演じているのを教えたのもフィクションであろう。
が、シェイクスピアが居酒屋でマーロウからいくつかのアイディアを授かったのは本当か
も知れない。また、マーロウが酒場で殺されたのは事実らしい。当時、疫病のため劇場が
しばしば閉鎖されたのも事実らしい。
エリザベス女王役の貫録には恐れ入った。『ロミオとジュリエット』は、芝居を見に来て
いたヴァイオラが急遽、声変わりした少年に代わってジュリエットを演じたことで大成功
をおさめる。が、直後に祝典局長が乗り込んで来て「あの女役は女だ! 女王陛下の名にお
いてお前たちを全員収監する」と言う。その時、
「ミスター・ティルニー!!」と、たいそ
う威厳のある声が響く。「あなたは私の名前を使いすぎています!」。女王のおかげで彼ら
は事無きを得るが、ヴァイオラとウェッセクス伯の結婚までは取り消さない。そしてシェ
イクスピアに「今度は十二夜のために喜劇を書きなさい」と言う。それから劇場を出て自
分の馬車まで行こうとしたとき、女王は水たまりの前で止まる。一瞬の後、水たまりに気
づいた側近たちがマントを脱いで水たまりの上にかけようとする。が、女王は「もう遅い」
と言ってじゃぶじゃぶ音を立てて歩いて行く。
ウェッセクス伯はシェイクスピアにヴァイオラを取られそうになったものの、なんとか
彼女と結婚することができた。しかし、『ロミオとジュリエット』の成功で、「芝居は真実
の愛を伝え得るか」という賭けに負けて、ヴァイオラに 50 ポンド支払うように女王から命
じられる。踏んだり蹴ったりである。このウェッセクス伯、主人公たちの引き立て役をさ
せられているようで、ちょっと気の毒に思った。