ISO レポート ISO/TC 4/AG 1 第 4 回ウィーン会議報告 (TC 4 諮問グループ) 日本精工株式会社 伊藤 正夫 まえがき 1. TC 4/AG 1(以下,AG 1 という。)の第 4 回ウィーン会議が,2015 年 12 月の第 3 回ウィーン会議 に続き,2016 年 5 月 10 日に ASI(オーストリア規格協会)にて開催され,SC 12 議長として出席した ので,その概要を報告する。 現在までの経過概要 2. 2009-07 TC 4 活動全体の調整のために設立。 2010-03 AG 1 第 1 回イエテボリ会議開催。SC 12 を設立し,幹事国を日本にする方針を,TC 4 に提案することを決めた。 2015-05 AG 1 第 2 回ロンドン会議開催。ビジネスプランの改正に関する紹介と,AG 1 の出席者 について取り決めた。 2015-12 AG 1 第 3 回ウィーン会議開催。ビジネスプランの改正案や,リエゾンの見直し等運営に 関する詳細規定について審議を行った。 3. 2016-05 AG 1 第 4 回ウィーン会議開催。 AG 1 関連文書 AG 1 第 3 回ウィーン会議以降に発行された AG 1 文書及び関連文書を表 1 に示す。 表 1-AG 1 文書及び関連文書 文書番号 提出元 N 37 事務局 AG 1 第 3 回ウィーン会議プレゼンテーション資料 2016-01 N 38 事務局 AG 1 第 3 回ウィーン会議参加者リスト 2016-01 幹事国 TC 4 ビジネスプラン最終版 2016-01 幹事国 P メンバーの義務 2016-02 N 39 事務局 WG ウィーン会議参加登録用紙 2016-03 N 40 事務局 WG ウィーン会議の開催案内及びスケジュール 2016-03 N 41 事務局 WG ウィーン会議用ホテルリスト 2016-03 N 42 事務局 WG ウィーン会議用一般情報 2016-03 N 43 事務局 WG ウィーン会議用一般情報 2016-03 N 44 事務局 AG 1 第 4 回ウィーン会議議題案 2016-03 N 45 事務局 AG 1 第 4 回ウィーン会議議事録 2016-05 N 46 事務局 AG 1 第 4 回ウィーン会議推奨事項 2016-05 N 47 事務局 AG 1 第 4 回ウィーン会議参加者リスト 2016-05 N 48 事務局 AG 1 第 4 回ウィーン会議議題案(N 44 修正版) 2016-05 N 49 事務局 ISO 専門業務指針の最新版解説書 2016-05 N 50 事務局 AG 1 第 3 回ウィーン会議での WG 解散に関する推奨事項 2016-05 TC 4 N 1726 TC 4 N 1732 題目又は内容 発行年月 文書番号 提出元 N 51 事務局 注 4. 題目又は内容 発行年月 AG 1 第 4 回ウィーン会議プレゼンテーション資料 2016-05 “事務局”とは AG 1 の事務局を,“幹事国”とは TC 4 の幹事国を示す。 議題及び参照文書 AG 1 第 4 回ウィーン会議の議題及び参照文書を表 2 に示す。 表 2-AG 1 第 4 回ウィーン会議の議題及び参照文書 議題 5. 参照文書 1 開会 - 2 出席者の点呼 - 3 議題の採択 4 推奨事項作成委員の任命 5 前回会議(AG 1 第 3 回ウィーン会議)議事録の確認 6 進行中の案件に関する討議 7 将来に向けた課題 - 8 次回会議 - 9 その他の業務 10 閉会 N 48 - N 36 N 49, N 50, N 51 N 45 - 会議の概要 議題 1 開会 コンビーナの Mr. Verhaert が開会を宣言した。 議題 2 出席者の点呼 AG 1 第 4 回ウィーン会議の出席者を,表 3 に示す。 表3 番号 第 4 回ウィーン会議出席者 参加者 国名 ベルギー WV Consult(TC4 議長) AG 1 事務局 スウェーデン SIS(TC 4 国際幹事) M. Olofsson - スウェーデン SKF 4 H. Wiesner - オーストリア SKF 5 V. Lapenko - ロシア EPK 6 I. Diachkova - ロシア EPK 7 X. Yang - 中国 黄山学院大学 8 N. Kang - 中国 HZF 9 Z. Chen - 中国 LS 10 H. Velde - ドイツ DIN 11 白木高志 SC 12 国際幹事 日本 JBIA 12 伊藤正夫 SC 12 議長 日本 NSK 1 W. Verhaert 2 H. Leufstadius 3 AG 1 コンビーナ 所属 2/5 議題 3 議題の採択 N 48 について確認し合意された。 議題 4 推奨事項作成委員の任命 推奨事項作成委員として,Mr. Verhaert,Mr. Leufstadius 及び Mr. Olofsson が任命された。 議題 5 前回会議議事録の確認 前回会議(AG 1 第 3 回ウィーン会議)の議事録(N 36)が確認された。 議題 6 進行中の案件に関する討議 6.0 ISO 専門業務指針の最新版(N 49) ISO 専門業務指針の最新版について,概要説明があった。主な改正内容は,以下のとおり。 ・ISO 規格の定期見直し時における P メンバーの投票義務 ・議長の任命等に関する規定 ・現状オプションとなっている NWIP の承認の正当性 ・DIS に対する反対意見の技術コメント,他 6.1 ビジネスプラン 第 3 回ウィーン会議で審議した最終版(TC 4 N 1726)に対し,日本から追加の修正コメント を提出したので,今回はそのコメントを中心に審議が行われ,全て承認された。このビジネ スプラン案を最終承認のために回付し,承認後に委員会一般文書として ISO Livelink に入れ る予定。 6.2 P メンバーの義務(TC 4 N 1732) ISO 専門業務指針 2016 年度版に記載されているように,会議への参加や,投票といった義務 を果たしていない P メンバーには,O メンバーへ変更することを推奨するよう,TC 4 議長に 申し入れる。 6.3 活動の完了した WG の解散について TC 4 や SC に属する WG が解散する際の手続きとして,その WG が保有する書類は,将来引 用できるようにしておくことを,TC 4 国際幹事から ISO/CS に要請することとした。 6.4 多言語化について TC 4 の議長から ISO/CS に対し,WG 18 が担当している ISO 5593(用語)の多言語規格の開 発と発行許可の申し込みを行った。それに対し,同様の要請が他の委員会からもきており, TMB(技術管理評議会)のような高いレベルでの判断が必要と ISO/CS から回答があったこ とが,コンビーナより報告された。 6.5 六角形フラッグノート記号についての報告 この件については,これまでの経緯に関する資料の説明のみで,特にコメントはなかった。 6.6 リエゾンについて リエゾンオフィサーについて,AG 1 第 3 回会議にて,TC 及び各 SC はリエゾンの必要性及び 3/5 リエゾンオフィサーの任命を検討する事が,推奨事項となっていたので,現在の TC 及び各 SC における検討状況の報告があった。SC 12 においては,対象となるリエゾンの技術的分野にお いて専門知識を持つ者が良いと考えるので,次回の SC 12 会議で協議する旨を説明し,了解を 得た。 CEN/TC 256/SC 2 で進めている鉄道車両用軸受の材質,寸法,すきまの規格化については, TC 4 として内容を把握しておく必要があると考え,リエゾンを締結することを検討していた が,結論として CEN との外部リエゾンではなく,ISO/TC 269(鉄道分野)と内部リエゾンを 締結することとし,リエゾンオフィサーは TC 4 議長の Mr. W. Verhaert が担当する予定。 ISO/TC 39(工作機械)の担当規格である ISO 3408-5(ボールねじの定格荷重及び寿命)及び ISO 23848-2(ボールスプラインの定格荷重及び定格寿命)は,TC 4 と関係があるのでリエゾ ンを締結することとした。リエゾンオフィサーは,Mr. H. Velde。 6.7 ISO 582 面取り寸法について ISO/TC 213(製品の寸法・形状の仕様及び評価)では,未だ多くの意見が出ている状況のため, 本件について TC 4 としては,TC 213 の検討結果を待つこととする。 6.8 Kia,Kea について 内輪ラジアル振れ Kia と外輪のラジアル振れ Kea の定義は全て“run-out”から“variation of the section thickness”に変更することに対し,TC 4 において CIB 投票を行う予定。その投票結果 により,TC 4 から各 SC に対し開発中の規格を変更するよう指示を出すことを考えている。 6.9 寸法補助記号(Graphical symbols)について 現在 TC 10(製品技術文書情報)で,ISO 129-1(技術図面の寸法と許容差の記載方法)の改 正作業を行っており,その改正では,5.8 項で直径記号φや曲率記号 R 等は,具体的な数値に つけることは良いが,数値を表す記号(d,D 等)には記載してはならないという内容が新た に加わり,DIS の段階になっている。しかし,この案では図面を見ただけで,その形状を正し く認識することが難しいケースが出てくる。又,GPS 上も意味が異なることがあるため,日 本では問題視して情報収集を行っていた。そのような状況で,SC 8/WG 8(球面滑り軸受の定 格荷重)で制定作業中の ISO 20015 に対し,TPM(ISO テクニカルプログラムマネージャー) より,上記の DIS 129-1 の内容に沿うように修正するよう指示があった。 これは,ISO 20015 に限らず,TC 4 規格の多くに関連する内容であり,未だ修正の可能性のあ るドラフト段階の規格を展開するのは問題があるため,ISO 129-1 が改正発行されるまでは, 従来規格を採用することを,TC 4 の議長から TPM に申し入れることを日本から要請した。 TC 4 議長もこれを了解し,TPM と協議することとした。 6.10 今後の会議スケジュールについて 今後の会議開催予定は下記の通り。 ベルリン 2016年11月28日~12月2日 ワシントンD.C. 2017年5月15日~5月19日 ストックホルム 2017年11月27日~12月1日 パリ 2018年5月14日~5月18日 4/5 6.11 会議用資料の送付期限と,参加者登録の期限 会議で使用する各種資料は規定通り,6 週間前までに確実に送付すること。また,参加者登録 を早期に完了できるようにして,会議ホスト及び運営事務局の準備業務の手間の削減を図る。 6.12 エキスパート登録について Mr. Wiesner から,イタリアでは,技術知識のない事務局員がエキスパートとして会議に参加 しているとの問題提起があった。 議題 7 将来に向けた課題 特になし。 議題 8 次回会議 次回の AG 1 会議は,2016 年 11 月 28 日~12 月 2 日にベルリンで開催される WG 会議期間中 に開催する。 議題 9 その他の業務 TC 4 の総会時などに,同時に複数の WG 会議を開催すると,期間内に終えるために,幾つか の会議が平行して開催される。そのため,エキスパートは,同時に開催される会議の一つに しか参加できない。AG 1 としては,会議期間を延長してでも,全てのエキスパートが必要な 会議に出席できるよう検討することを,TC 4 に申し入れる。 議題 10 閉会 コンビーナより,ウィーン会議の参加者に対し謝辞が述べられ会議は閉会した。 6. あとがき 前回の会議で問題と感じていた会議の出席者については,規定されている SC の議長は今回も筆者 一人であったが,前回に比べ,規定されているロシアと中国が参加しており,改善されていた。また, 会議資料も事前に送付され,議題についても,事前に日本から追加要請を行った議題も正式資料とし て準備されており,その審議内容および結果も日本の意向に沿う形でまとめられ,納得のいく結果で あった。 今後も,必要と考える審議事項については,事前にコンビーナ,事務局に情報を流し,資料も事前 に送付しておくことで確実に審議を行い,AG 1 会議を通じて TC 4 がより効率的で円滑な活動をでき るよう取り組んでいきたい。 以上 5/5
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