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長期留学報告書
~ネイティブアラスカンからの教え~
アラスカ大学フェアバンクス校
15F0166 吉田 藍
私にとってこの留学は初めての海外での経験になりました。海外へ行くことが初めてと
いうこともあり始めはとても不安が大きかったのですが、しだいにアラスカでの生活に慣
れていきワクワクすることが多くありました。私は大学内のアパートで生活をしていたの
で留学中は毎日自炊をしていました。ルームメイトは 3 人いましたが、アメリカ人とカナ
ダ人で英語でのコミュニケーションに自信がなく、最初は恥ずかしくてどうやって距離を
縮めたらよいのか分からないでいましたが、日本料理をふるまったら「美味しい!」とい
って食べてくれ日本にも私にも興味を持ってくれるきっかけとなりました。休みの日はそ
れ以来一緒にお菓子作りをしたりパソコンで映画を観たりもしました。一緒に生活をして
いく中で意見の食い違いからケンカをすることもありましたが本当に心を許しあっている
のだと思えて仲直りをした後は一層絆が強くなりました。
大学での授業は、チャレンジをしたいと思い全てレギュラークラスを選択し受講しまし
た。2 学期間を通して特に思い出に残っているのは「Native Culture of Alaska」と「American
Sign Language」のクラスです。アラスカ文化の授業は先生が板書をすることが一切なく 90
分間喋りっぱなしというもので、最初はノートテイキングもまともに出来ずにいましたが、
3 か月が過ぎたあたりから心にも余裕が出来始め自分でもリスニング力の成長を感じられ
るほど先生の話を聞き取ってノートを取ることが出来ました。1 カ月に 1 回ほどのペースで
ある授業内でのプレゼンでは緊張から自分の思った通りの出来にならなくても私の頑張り
を先生やクラスメイトが認めてくれたのかプレゼンの後はいつも「You did a good job!」
と笑顔で褒めてもらえて、とても温かい気持ちになったことを今でも覚えています。また
大学内にネイティブアラスカンに関する博物館があり授業の一環で見学に 2 回訪れました。
私は気に入って学生は無料で入館することが出来ることもあってプライベートでも何回か
足を運びました。
アメリカ手話は、私は言語を学習することが本当に好きで日本手話も勉強していたので
受講しました。秋学期にレベル 1 のクラスを、春学期にレベル 2 のクラスを受講し 2 学期
間に渡って学習しました。クラスではほとんど声を出しての会話は認められず、いかなる
ときも授業中は手話を使わなければならないのが大変でした。私は日本人で英語もネイテ
ィブのように流暢に話せるわけではないので手話だけのコミュニケーションに毎回必死で
付いていきました。しかし私がこうまでして頑張れたのにはクラスメイトのサポートがあ
ったからです。毎週、週に一回のペースで授業以外の空き時間にクラスメイトと何人かで
図書館に集まって自主練習をしました。授業内だけでは理解できない私の為に自分の時間
を割いてまで、一つ一つの手話を丁寧に教えてくれました。そのかいあって、学期テスト
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の実技では、他のクラスメイトに負けない評価をもらうことができ、私は自分の成績の評
価ではなく、みんなのサポートにやっと応えることが出来たことと、みんなが自分のこと
のように喜んでくれたことに嬉しく思い心から感謝しました。
冬休みや夏休みの長期休暇はアラスカの首都であるアンカレッジに滞在することが出来
ました。休暇中は大学の友人の家にホームステイをさせてもらいました。友人も友人の家
族のみんなも、私を家族の一員として扱ってくれて、クリスマスには家族一同が集まる席
に私も一緒に参加してみんなで食卓を囲みました。私がピーナッツアレルギーを持ってい
ることを知っていた友人は、そのことを事前に家族に伝えてくれており料理にも気を遣っ
てくれました。またクリスマスプレゼントを私にまで沢山用意していてくれたのには本当
に驚きと感謝で涙が止まりませんでした。アメリカの家庭文化を体験しただけではなく、
家族の温かさ、優しさに触れ、家族という存在が大切であることに改めて気づかされるき
っかけとなりました。
アラスカでの体験はすべてが新鮮で、そのほとんどが日本では経験できないことでした。
冬場は平均―40 度と考えられないほど寒く、1 日 3 食きちんと食事をしなくては寒さで体
力が持たないことを知り、食がいかに大事かを思い知らされました。また、アラスカはム
ースやカリブーといった動物を狩って食べる習慣がよくあります。アラスカの人たちはそ
のような動物に敬意と感謝の念を持っています。私も食べさせてもらえる機会がありまし
たが、思っていたような臭みはなくソーセージがとても美味しかったです。
私が留学に行っていた期間はちょうど何十年に一度というオーロラの当たり年でした。
アラスカではオーロラとは言わずに Northern Light と呼ぶ方が多いです。一番寒い 1,2
月にはほぼ毎日といっていいほどオーロラが空に広がり肉眼でしっかりオーロラの波動く
感じも見ることが出来ました。人生で初めてアラスカでオーロラを見ることが出来て本当
に感動した出来事でした。
アラスカは自然がとても豊かです。人々がその大自然に寄り添って生活しているのだと
思いました。またアラスカの人々は心優しい人が多いと思いました。人々もその人たちの
生活も飾らないシンプルなもので、元からあるものを十分に生かしているその文化はネイ
ティブアラスカンからの教えなのではないかと身をもって感じ、体験することが出来まし
た。
また機会があればぜひアラスカに行って、留学を通してできた沢山の友人と再会をした
いと思います。そのためにも、留学を通して経験したこと感じたことを無駄にしないで、
さらに英語学習、国際交流を積極的に行っていきたいです。
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